情報漏洩は「まだ序の口」:安野貴博がフランス視察から考える日本の「AI主権」と第三の道
PIVOT 公式チャンネルPIVOTの番組で、チームみらい党首の安野貴博は二つの問いについて語った。日本のように巨大なフロンティアモデルを自前で持たない国は、AIとどう付き合えばよいのか。私たちのデータや仕事で使うAIは、誰が管理し、誰が守っているのか。安野はこの夏にアメリカ、中国、フランスを視察しており、とくにフランスでの取材をnoteで発信していた。番組ではまず、相次ぐ情報漏洩とAIの攻撃能力の関係が話題になった。そこからAI主権の考え方、トークン費用の問題、日本政府のAI活用の課題を順にたどり、最後に「第三の道」としての三正面作戦が提案された。
9〜10月の情報漏洩ラッシュは「氷山の一角」
番組冒頭では、9月から10月にかけて企業の情報漏洩が相次いでいることが取り上げられた。聞き手によれば、数時間に1回のペースで事故の記事が出ている状況だという。安野は「これはまだ序の口」であり、今後さらに悪化する可能性の方が高いと見ている。
安野の考えでは、公表されている事案はまだましな方かもしれない。内部で侵害や漏洩があっても公表に至っていない事案や、漏洩していることに会社自身が気づいていない事案もあると考えられるからだ。今後、数十社から数百社の事案が出てくる可能性もあると安野は述べた。
攻撃コストを下げたAIと、「ミュトス級」能力の拡散
急増の背景として、安野はAIの影響を挙げた。2025年夏ごろから、AIがサイバーセキュリティの攻撃能力をかなり獲得してきたと指摘され始めていた。決定的に話題になったのは、2026年4月に公開された「Claude Mythos(クロード・ミュトス)」だった。従来の脆弱性スキャンでは見つからなかった脆弱性を大量に発見したと報告されたのである。
安野によれば、こうしたAIの増強によって攻撃のコストが下がり続けている。以前は訓練された攻撃者でなければ企業のセキュリティを破れなかった。いまはAIに頼めば脆弱性を見つけ、それらを組み合わせて実際の攻撃を遂行するところまでできるようになりつつある。安野は、これが一連の事案につながっているという観測があると説明した。
では、ミュトス級の能力がすでに攻撃者の手に渡っているのか。安野はこの問いを二つに分けて答えた。
一つ目は能力の拡散である。安野は、拡散はすでに起きたと考えている。データがすべて公開されたオープンウェイトモデルのうち、8月28日に出た中国製の「GLM5.3」は、性能評価がおおむね4月のClaude Mythos Previewと同程度だった。つまり、4月に大量の脆弱性を発見したとされた水準のAIに、いまは誰でもアクセスできる。
二つ目は時間差である。9月に公表されている事案の多くは、数カ月前の出来事を調査したうえで公開されたものだ。8月末に出たモデルが攻撃に使われたとしても、公表までにはまだ時間がかかる。安野は、ミュトス級のモデルが攻撃者に実際に使われた事例は年末から年始にかけて出てくるだろうと予想し、現時点ではまだ表に出ていないとの見方を示した。
「年1回の脆弱性診断」では足りない
被害を公表しているのは大企業が多い。聞き手は、これらの企業のセキュリティがずさんだったのかと尋ねた。安野は、結果的にずさんだったケースもあるだろうと認めつつ、間違いなく言えるのは従来の守り方では足りないということだと答えた。
例として安野が挙げたのは、年に1回の脆弱性チェックで穴を探して塞ぐという、多くのシステム会社が続けてきたやり方である。いまのAIは数カ月ごとに新しいものが登場し、そのたびに見つけられる穴の量が増えていく。そのため安野は、年1回では全く足りず、AIに継続的に攻撃をさせて穴を探し続ける必要があるのではないかと述べた。
セキュリティパッチについても安野は触れた。見つかった脆弱性をパッチで塞ぐことの重要性は変わらない。ただ、AIによって未知の脆弱性を突かれることが増えるため、パッチが届くのを待っていては遅い可能性がある。だから守り方を根本から変える必要がある、というのが安野の主張だ。
聞き手が「攻撃側が使っているAIを守る側でも使わなければ互角に戦えない時代なのか」と確認すると、安野は同意した。そのうえで、AIを使えるセキュリティ人材だけでなく、それを担う会社も計算資源も大量に必要になり、現状はあらゆる意味で足りていないとの認識を示した。
なぜフランスを見に行ったのか
話はここからAI主権に移った。安野はこの夏、日本のAI政策を考えるためにアメリカ、中国、フランスの3カ国を訪れた。アメリカと中国はAIの最先端を走る国なので学ぶことは多い。しかし日本とは置かれた状況が違いすぎて、「全く真似できない」と感じたという。
一方で、フランスは日本にかなり近い立場にあると安野は見た。AI企業はあるものの、ChatGPTやClaudeを作るようなフロンティアラボはそれほどない。それでも何もできないわけではない。大国ではないがそれなりの投資力を持つ「ミドルパワー」の国である。そうした国がどう舵取りをしているかを学ぶ価値があると考え、安野は1週間ほどかけて、AI関係の企業関係者や政府の政策立案者に話を聞いて回った。
懐疑的な国フランスが、政府でDeepSeekを使う理由
フランス視察で一番の学びを問われると、安野はまず、フランスは技術に対して非常に懐疑的な国だと説明した。この技術は人間のためになるのか、本当に信じてよいのかを徹底的に議論する国だという。その国がたどり着いた結論として、フランス政府内で最も使われているAIモデルは中国製のDeepSeekだった。
一見すると逆説的な結論だが、よく考えれば納得できると安野は言う。フランス政府にはいくつかの割り切りがあった。
一つ目の割り切りは、政府の業務にフロンティアレベルの性能は必須ではないという判断だ。半年遅れ、1年遅れのオープンウェイトモデルを使いこなすことの方が大事だと考えている。
二つ目は、ChatGPTやClaudeのようなフロンティアモデルは確かに賢いが、いつアクセスを遮断されてもおかしくなく、自分たちで取り扱うこともできないという点だ。実例として安野は、6月の「Claude Fable 5」の件を挙げた。一度公開されたものの、ホワイトハウスによって輸出管理規制の対象に指定され、突然アクセスが遮断されたという。いま普通に使えているモデルでも使い続けられる保証はなく、アメリカとの政治的摩擦があればいつ止められてもおかしくない、と安野は指摘した。
こうした事情から、フランス政府はAI主権(ソブリンティ)を非常に重視している。それを最も確実に担保する方法は、フランス国内のクラウドサーバー上で自分たちでAIモデルを動かすことだ。そうすれば、電力を自前で供給できる限りアクセスは止まらないし、データも外に出ない。ChatGPTなどを使えば、アメリカのサーバーや政府外のサーバーにデータを渡すことになり、データの主権が失われる。
この考えを突き詰めると、自前のサーバーで動かせるモデル、つまり中身まで公開されたオープンウェイトモデルを使うのが最善だという結論になる。フランス政府の基盤では、国産のMistralや、OpenAIのOSSモデルなども選べるようになっている。それでも現場で最も使われているのは「DeepSeek V4」だという話だったと安野は紹介した。
AI主権を四つに分解する
聞き手は、日本では中国製オープンウェイトモデルへのアレルギーが企業の間でも強いと述べた。そのうえで、まず「AI主権」「データ主権」という言葉の整理を求めた。
安野は、AI主権とは国産モデルをゼロから作れれば済む話ではないと述べ、よく言われる四つの要素に分けて説明した。
- データ:自分たちのデータを自分たちで管理できているか。海外のAI事業者のサーバーに送れば、データは外に出ていく。
- 計算資源:GPUやデータセンターを国内で確保できているか。国内にデータセンターがなければ、計算を国内で完結できない。
- モデル:AIモデルを自分たちで持ち、自分たちの価値観とモデルの価値観を合わせられるか。
- 人材:これらを支える人材がいるか。
データについては、聞き手が自身のClaude利用を例に挙げた。安野は、入力したデータはアメリカに本社を置くAnthropicに残り、政府が一定の令状を出せば企業は情報を開示する義務を負うだろうと説明した。これは中国企業も同じであり、機密情報を安心してAIに入れられる状況ではないと安野は述べた。
この四つを各要素で一定程度確保していくことが大事だ、というのが安野の整理である。フランスはモデルの層でオープンウェイト中心に運用し、米国のクローズドモデルを使わないことで主権を確立している。安野は、その方がアメリカのクローズドモデルを使うよりも主権を確保できるという判断だろうと解説した。
日本にも必要な理由①:トークン赤字
日本にもこうした取り組みが必要な理由として、安野は二つを挙げた。一つ目は「トークン赤字」である。
AI活用はまだ始まったばかりなので、費用の問題は一部の先進的な企業でしか顕在化していない。しかしそうした企業では、使えば使うほど生産性は上がる一方で、トークン費用も急激に膨らんでいる。国全体で見れば、トークン費用として大量のお金が海外に流れていく可能性がある。国内のデータセンターで処理する分は対外的な赤字にはならないので、ある程度は緩和できると安野は考えている。
安野は、すべての作業に最先端のモデルが必要なわけではないとも指摘した。メールの返信の下書きのような比較的簡単な用途なら、いまのオープンウェイトモデルでも対応できる。ROIを見ながら、本当に知能が必要なところはフロンティアモデル、そうでないところは安価で自前で運用できるオープンウェイトモデルと使い分けることを考え始めるべきだという。
二つ目の理由は、止められるリスクである。Fableのように、使っているモデルがいつ止まってもおかしくない。その中でAIネイティブな業務を続けるには、自前で物事を進められる体制が必要だと安野は述べた。
18倍に増えた党内のAI利用と、人件費とシステム費の「中間」としての予算
トークン費用の具体例として、安野はチームみらい党内の状況を紹介した。4月から7月までの間に、党内のAI利用量は18倍ほどに伸びた。このペースはまずいと判断し、かなり節約に努めたという。
安野がさらに難しいと考えているのは、AIの費用の性質である。AIをシステム費用の延長として捉えると、費用の性質を見誤る。安野によれば、AIの費用はクラウドサービスやシステム投資の性質も持つが、人件費との中間のような性質を持っている。だから、この中間的な予算として別枠を確保しておく必要があると安野は述べた。聞き手が、ごちゃ混ぜにすると巨額になるか、逆に十分な額を割けていない可能性もあると応じると、安野は、多くの会社はむしろ割けていない方だろうと答えた。
参考になる例として安野が挙げたのはUberだ。Uberは人件費の5%程度をAI費用の枠として取っており、安野はこれを合理的だと評価する。2026年時点の仕事では、人間100・AI0よりもAIが少し混じっている方がよい。しかしAI100・人間0では何もできない。その間にベストミックスがあり、5%程度という比率は現段階では妥当な気がする、というのが安野の見方である。
さらに安野は、職種別に見る必要があると述べた。ソフトウェアエンジニア、リサーチャー、コンサルタントのようにAIのレバレッジが効きやすい職種なら、15%程度を見込む。レバレッジが効きにくい職種なら5%も要らない。このように職種ごとに人件費とAI費用のベストミックスを探るのが、いま一番納得できるやり方だという。
安野は、この問題は来年にはあらゆる会社の課題になり、予算計画を誤ればAIを活用できなくなると予測した。政府についても同様だという。政府職員向けのAI基盤「源内」は約16万人が使えるようになっている。しかしトークン費用を確保しておかなければ、すぐに上限にぶつかり、結局AI活用が進まなかったという結果になりかねない。そのため安野は、国としてトークン予算をきちんと取るべきだと主張している。
数学の未解決問題に見る「人とトークン」の比率の変化
AIの登場で企業の有限なリソースの配分が大きく変わったことを示す例として、安野は数学の世界を挙げた。人間の数学者が何年かけても解けなかった未解決問題を、OpenAIやAnthropicが次々に解くようになってきたという。
安野によれば、9月には流体力学のナビエ–ストークス方程式に関する未解決問題が解かれたという話があった。OpenAIが88時間、約10億円分のトークンを使って解いたという。数学では、数学者を何人抱えてトークンをいくら使うかという比率が大きく変わり、トークンを大量に使う側に寄ってきている。安野は、この比率を動的に変えていく必要があると述べた。
日本の「源内」とフランスの「Albert API」の違い
続いて、フランス政府の基盤「Albert API」と、日本のデジタル庁が自前で作った「源内」の比較が語られた。政府職員が使えるAI基盤を用意している点は共通している。違いは、基盤をどの層まで用意するかにある。
フランスのAlbert APIはAPIの提供に特化しており、具体的にどんなアプリケーションを作るかは各省庁に任されている。例えば日本の文部科学省にあたる省庁は、このAPIを使って教員向けのウェブサイトを作っている。算数の問題を大量に作れるといったアプリケーションで、月間アクティブユーザーは100万人と聞いたという。各省庁のIT部門が、自分たちの業務に合ったアプリを作っていくのがフランス型である。
日本では、デジタル庁がアプリケーションまで作り、各省庁に提供している。安野は、この差は各省庁のIT部門がアプリケーションまで作れるかどうかの違いから来ていると考えており、どちらがよいかはまだわからないと述べた。聞き手が、現場に近い人がAIの使い方を作らなければ使われないと企業でもよく言われると指摘すると、安野は現場に近いことは重要なポイントだと同意した。ただし人材を採用しようにも、民間企業とは給与レンジが全く違う。各省庁が今すぐ自前でできるかといえば、その枠組みから変える必要があるという。それでも安野は、予算は取った方がよいとの立場を示した。
もう一つの違いは、使えるモデルである。日本の源内では、ChatGPTやClaudeのような米国製モデルに加え、NTTや日本のAIベンチャーが作った国産モデルにも切り替えられる。一方、フランスはオープンウェイトが中心だ。
安野は、データには外に出してよいものといけないものがあり、分野によっては海外や政府外のサーバーに出ていくモデルは使いにくいと認める。それでも、フランスはやりすぎな面もあると考えている。クローズドモデルを全く使えなくするまでしなくてよく、クローズドもオープンウェイトも国産も全部選べる方がよいというのが安野の考えだ。聞き手は、選択を利用者に委ねると、リテラシーが不足していれば一歩間違えて重要な情報を出してしまう恐れがあり、フランスの判断も理解できると指摘した。安野もそこは一つの課題だと認めた。
中国製オープンウェイトモデルを日本は使えるか
では、性能のよい中国製オープンウェイトモデルを日本が使う選択肢はあるのか。安野は、現段階では使う可能性をもう少し前向きに検討した方がよいとの立場を示した。そのうえで、重要な前提として、中国製に限らず海外製のモデルは、自前のサーバーに持ってくればすべてのリスクが消えるわけではないと強調した。
安野によれば、モデルに悪意のある振る舞いを埋め込むことは理論的には可能である。例えば、自分がフランス政府内で動いているとモデルが認識したら、急に性能を落とす、あるいは正反対のことを言う、といった工作が考えられる。実際、フランスでもDeepSeekの採用時には大きな議論になったという。フランスにはAIの安全性を評価する機関INESIAがあり、悪意のある振る舞いがないかを継続的にチェックしている。現時点では性能の変化や悪意のある振る舞いは観察されていないので使ってよいだろう、という判断だという。安野は、こうした兆候が出たらすぐに気づける体制をまず作ることが必要だと述べた。
その土台があれば、中国製であれ他国製であれ、オープンウェイトモデルを活用する余地はあると安野は考えている。サンフランシスコでは、中国製オープンウェイトモデルを自社向けにファインチューニングして使う企業が多く出てきていた。アメリカでもフランスでも実際に広く使われているという。日本は中国と地理的に近く緊張関係もあるので難しい面はあると安野は認める。それでも、企業として使い倒せる部分は間違いなくあり、AI研究や開発で参考になることも多い。リスクの低い領域で検証しながら使うことはでき、中国製だから一切触れてはいけないとアレルギー的に考える必要はない、というのが安野の主張だ。
聞き手は、企業と話していると、安くて高性能な選択肢として中国製の名前が挙がるものの、説明するとリスクばかりが強調されてしまうと述べた。そのため、フランスのようなチェック機能を前提にリスクとリワードを比べる議論が必要だと指摘した。安野はこれに同意し、安全性のチェックは各社が個別に行うより、日本のAIセーフティ・インスティテュート(AISI)が担うべきだと提案した。日本の価値観とどれだけ違うのか、悪い振る舞いがどれだけ埋め込まれているのかをAISIが測って公表し、各社はそれを見て、どの領域でどこまでなら使えるか、どのリスクなら取れるかを判断する。安野はこれが最も経済合理的だと考えており、政府は個別モデルを検証する能力にもっと投資すべきだと述べた。
政府のAI活用を阻む壁:使わない管理職と1年単位の予算
源内のアカウントは約18万人に配られている。安野は、6月ごろのデータでは課長級以上があまり使っておらず、メンバーレベルの職員の方がよく使っていたと紹介した。企業でも同じだが、経営層が自らAIを使って生産性向上や業務改革の可能性を体感しているほど、導入は早く進む。AIネイティブなワークフローへの移行は組織の動かし方を大きく変えることになり、トップの強い意思が必要になる。だからこそトップに使い倒してもらう必要がある、と安野は述べた。
その一環として、安野は8月末に高市早苗首相に「AI家庭教師」を実施した。日本のトップである首相がAIを体感しておくことは大事だと考えた。それを見た官僚や大臣にも知ってもらえるという波及効果も期待したという。
高市政権への評価も語られた。安野は、17の戦略分野(17は多すぎるという声もあると付け加えた)の中でAI・半導体に力を入れる姿勢を示している点を評価し、方向性は一致していると述べた。一方、具体的なやり方には提言がある。トークン費用が爆発的に増える性質のものだという理解は、まだ省庁内に広がっていない。財務省もそのような予算を扱った経験はないだろうと安野は見ており、システム費用と人件費の中間の性質を持つ費用だともっと訴えていく必要があるという。国産モデル開発のプロジェクトについては、現場の研究者にもっと権限を渡すべきではないかと安野は述べた。加えて、オープンウェイトモデルをある程度使い倒さないとまずいのではないかという点も挙げた。総理がそこまで詳しく知るべきかには限界があると承知のうえで、提言を続けているという。
政権内にAIを理解した人材がどれだけいるかについて、安野は、AIに詳しい政治家は増えているもののまだ多くはなく、現政権にどれだけいるかは自分にもまだわからないと答えた。さらに、AIの領域では1年という時間が長すぎると強調した。数カ月で状況が変わる中で、それに対応できる予算編成の仕組みやルールの作り方が必要になる。安野は、AI時代には立法や国会のやり方そのものを大きく変える必要があるのではないかと述べた。
第三の道:CERNに倣うミドルパワー連合と三正面作戦
最後に、アメリカでも中国でもない国が進むべき「第三の道」が論じられた。安野によれば、アメリカ型も中国型もできない中で第三の道を探るべきだという話は、フランスの政策立案者との対話でよく出たという。その一つが、ミドルパワーの国々による連合である。日本、フランス、オーストラリア、カナダ、韓国、ドイツといった国々は、米中ほどの予算はないが一定の投資はできる。互いに資金を出し合って優れたモデルを作ったり、AI競争に必要な要素を整えたりすることは理論上は可能だ。
それでも難しいのではないか、という議論を安野は多くの国の人と交わした。その中で印象的だったのが、過去に実例があるという指摘だった。CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)である。物理研究に必要だが莫大な費用がかかり、各国に小さく分散させても意味がなく、一カ所に巨大なものを作る必要がある。スイスに建設されたこの加速器は、日本やフランスなどミドルパワーの国々が資金を出し合って作ったものだ。各国の研究者が実際に使い、成果を共有している。大規模なAIモデルの開発も、小さなデータセンターが各国に散らばっているより巨大なものが一つある方がよいので、構造が似ているという。安野はそれまで考えたこともなかったが、言われてみればその通りだと感じたと語った。ハードルはあるものの、ミドルパワーの国々が連携して一つの大きな基盤を作る枠組みには挑戦すべきだというのが安野の考えだ。
そのうえで安野は、日本は「三正面作戦」を取るべきだと提案した。一つ目は、ミドルパワー諸国との連携の道を探ることだ。二つ目は、アメリカに対して半導体製造能力を交渉力にすることだ。熊本にはTSMCがあり、北海道にはラピダスがある。ラピダスについて、安野はうまくいくかはまだわからないが、うまくいってほしいと述べた。チップが研究開発の速度を左右する中で、基盤モデルは持たなくても、この能力によってAIエコシステム全体で一定の交渉力を持てると安野は考えている。三つ目は、中国製オープンウェイトモデルを、リスクを認識したうえで適切にリスクを取って活用することだ。これはほかの二つを進めるうえでも交渉力になると安野は見る。アメリカとはチップで交渉力を持ち、中国のモデルは適切に使い、ミドルパワー諸国とは連携を探る。この三正面を同時に進めるのがよい、というのが安野の結論である。
聞き手は締めくくりに、これらをどこまで実現できるかは予算、外交、そしてそれを担える人材がどれだけいるかにかかっていると述べ、有権者として議論していきたいと語った。安野も、議論していきたいと応じた。
9月、10月に、もうすごい情報の漏洩が相次いでいる。これはやばいですね。攻撃する側が使っているAIを、守る側でも使っていかないと、ほぼ互角には戦えないっていう時代なんですね。そうです。
AI主権って言った時に、それって別に国産のAIモデルをゼロから自分で作れたら、それでいいのかと言うと、別にそれだけではないよねと。ChatGPTとか使おうとすると、アメリカのサーバーにデータを渡さないといけない。そのデータの主権性がなくなってしまう。じゃあ、自分のサーバーの中で動かせるAIモデルって何だろうと。それはやっぱり中国で出てきているオープンウェイトモデルと。
トークン赤字の問題っていうのが、ものすごく将来的には深刻になっていくと思います。チームみらいの党内でも、AIを使ってたら18倍くらいにAI利用量が。すごいですね。
オープンウェイトをもうちょっと日本も使った方がいいんじゃないってなった時に、中国のオープンウェイトというのがやはり性能がいいと。そうなった時に、それを使うという選択肢は日本国としてはありうるのか。
皆さんこんにちは。PIVOTの野嶋です。本日のテーマは「AI主権とは何か、第3の道と日本の現在地」と題しております。最近よく聞くのがAI主権、あとデータ主権というのもよく聞くかと思うんですが、もう本当にアメリカも中国も巨額な投資でAI開発を競っているわけなんですが、日本みたいに自前の巨大なAI、フロンティアモデルみたいなものを持たない国は、AIとどう付き合ったらいいのか。そしてさらには、私たちのデータ、あと仕事で頼っている、まさにこのAIは誰が管理し、誰がちゃんと守っているのか。そこまで考えているのかというところを、ぜひこの方と一緒にお伺いしたいなと思っています。改めて、チームみらい党首の安野さんにお越しいただきました。よろしくお願いいたします。
安野さん、本当に今お忙しいなと思うんですが、2週間くらい前にフランスの視察から帰ってきて、そこでnoteで発信されてるのを拝見しまして、今日はこのAI主権とは何ぞや、そしてAIの利用、そしてデータを守るというところの現在地をお伺いしたいなと思っております。よろしくお願いします。
まずデータの話で言うと、皆さんが一番気になってるのが個人情報の流出。今、簡単にまとめてはいるんですが、9月、10月に、もうすごい情報の漏洩が相次いでいる。
これはやばいですね。9月に出ているもの、数多いなと思うと思うんですけど、私はまだこれ序の口だと思っておりまして、今後より悪化していく可能性の方が高いと思います。あと、これ公表されてるのは、まだ実はいい方かもしれなくて、実は内部的に侵害があった、漏洩があったんだけど公表まで行ってない事案であるとか、漏洩してるんだけれども、それを会社側が気づいてない事案とかもあると思うんで、そういう意味で氷山の一角としてこれくらい。
そうか。ここに出してるのは、本当に氷山の一角であり、多分今、いろんな情報がアップデートするにあたって、もう何十社、何百社と今後出てくる可能性があるということです。毎日のように、もう数時間に1回くらい事故の記事が上がってくる。これ、なんで急にここまで広がったんですか?
これ、やっぱりAIの影響っていうのは私はあると思っております。去年、2025年の夏から、サイバーセキュリティにおける攻撃能力を結構AIが獲得してきて、これまずいんじゃないのっていう話はその頃からあったんですけど、より話題になったのは2026年の4月にClaude Mythosっていうものが公開されて、これが今までの脆弱性のスキャンとかで全く見つかってなかったような脆弱性を大量に発見したというような、そういう報告がありました。
こういうAIが増強されてきてることによって、攻撃のコストっていうのがどんどん下がってきてるんですよね。今までは本当に、訓練された攻撃者じゃないと会社のセキュリティを破るってことができなかったのが、実はAIに頼むと割と脆弱性も見つけられて、脆弱性を組み合わせて実際に攻撃をするところまでできるようになってきちゃって。ということで、こういった様々な事案につながっているのではないかという、そういう観測があります。
それは、じゃあもうMythosレベルのものが市場、つまりは悪い市場に出回っていて、それらで攻撃をしてきているという認識でいいんでしょうか?
今の事案に関してはちゃんと見る必要があって、まず2つあるんですけど、1つ、Mythosレベルの攻撃能力、これが拡散したかと言うと、私は拡散したと思っていて。オープンウェイトモデルと呼ばれる、データが全部公開されてるタイプのAIがあるんですけれども、その中で8月の28日に出たのがGLM 5.3という中国製のAIがあるんですけれども、これの性能評価が、大体4月に出たClaude Mythos Previewと同じくらいだったんですよね。なので、4月に出て、すごい量の脆弱性を発見したぞっていうAIモデルは、今、誰でもアクセスできるようになっているというのがまず1つ。なので、大変な攻撃能力を、多分攻撃アクターは持ってると思います。
2つ目が、この9月に出てるものって、数か月前の事案が調査して公開されてるケースとかが多くて、8月末に公開されたモデルがいきなり使われてっていう意味で言うと、公表まで行くリードタイムで言うと、まだもうちょっとかかると思うんですよね。なので多分、私は年末から年始にかけて、このMythosレベルのものが実際に攻撃アクターによって使われた事例っていうのが、これから出てくるんだと思う。まだそれは出てきてないと思うんですよね、私は。
じゃあ本当に、すごいスピードでできるようになってしまった、脆弱性を見つけるというものは、今後さらに爆発的に広がるっていうことなんですね。私はその可能性が高いと見てます。
もうそこまで行くと、今、正直出していらっしゃる企業さんも、かなり大きい企業さんが多いわけですよね。セキュリティがずさんだったわけではないということなんでしょうか。
この中にはずさんだったケースは、結果を見てみればあるとは思います。現状出てるところで言うと。ただ、1つ間違いないのは、今までのセキュリティの守り方だとやっぱり足りないということだと思ってて。例えば、システムって年に1回、脆弱性チェックと呼ばれる穴を探す作業をして、それをちゃんと塞ぎましょうって、なんとなくそんな感じでやってきてるシステムの会社が多い。
ですよね。年に1回の脆弱性チェックを義務づける。
はい。なんですけど、今のAIって数か月に1回、もう新しいものが出てきて、それが出てくるごとに見つけられる穴の量ってどんどん増えていくので、実は1年に1回の脆弱性チェックでは全然足りないんじゃないかと。もうちょっとコンティニュアスに、連続的にAIに攻撃を、穴探しをさせるっていうのをずっと続けないとまずいんじゃないか。
あともう1つは、よくあるのがセキュリティパッチを当てていこうっていう話があって、これは別に重要性は変わってないんですけど、セキュリティパッチって、脆弱性が見つかりました、その穴を塞ぐためのソフトウェア、パッチですね。くっつけていく、傷口を補修するようなちっちゃいプログラムがあるんですけど、それをちゃんと当てるべきところに当てていきましょうっていう感じでやられてたんですけど、AIが出てくると未知の脆弱性ですね。未知の脆弱性を突かれることが多くなってくるので、実はセキュリティパッチのプログラムが来るのを待ってたら遅いという可能性も出てくるので、本当に根本的に守り方を変えていかないといけない。
逆に言うと、攻撃する側が使っているAIを、自分たちも守る側で使っていかないと、ほぼ互角には戦えないっていう時代なんですね。そうです。
なるほど。そうなると、企業側のセキュリティ対策っていうのは、今までの常識では不可能だし、そういうAIを使えるセキュリティの人たちが今後、人材としてめちゃくちゃ必要ってことです。
はい。人材としても、会社としても、あとは計算資源としても、めちゃくちゃ必要になってくると思いますね。
じゃあ本当に、全ての意味で足りてないというのが現状。はい、だと思います。
なるほど。今のこのデータの危うさ、守るのをどうしたらいいのかという話の延長線上のところで、今回お伺いしたいのがAI主権という言葉。より国としてどう運用していくのかというところの話だと思うんですが、今回改めてフランスで視察をしていた、どんな視察があったのか教えていただけますか?
日本のAIの政策を考える上において、この夏3か国行ったんですけど、アメリカと中国とフランスだったんですよね。アメリカと中国に行って、当然AIの領域ではもう最先端の2か国なので、学ぶことも多いんですけど、もう全く真似できねえなと思いまして。日本と置かれてる状況が違いすぎるんで、学びはあるけど真似できない。でも一方でフランスは、かなり近いところにいるなと思っていて。
つまり、AIの会社はあるんですけれども、いわゆるフロンティアラボと呼ばれるような、ChatGPTとかClaudeとかを作ってる会社はそんなにないと。でも何もできないかというとそうでもなくて、いわゆる中堅国ですよね。ミドルパワーの国って呼ばれたりしますけど、大国ではないけど、それなりの投資力もあるっていう国が、どういうふうに舵取りを考えているのかっていうのは学ぶ価値あるなと思って。フランスに行って、AI関係の会社の人とか、政府の政策立案者とか、そういった方々に話を1週間くらい聞いて回ってたっていう、そんな感じです。
めちゃくちゃ取材の詳細というのがnoteにまとめてあったので、ぜひ皆さんにも見ていただきたいなと思うのですが、まずそもそも、一言で言うと、フランスの視察で一番何が学べたのかっていうのを、一言で表すと何ですか?
フランスって、すごい技術に対して懐疑的な国なんですよね。この技術って人間のためになるんだろうかとか、本当に信じていいんだろうかっていうことを、すごい議論する国で。その国がたどり着いた結論として、フランス政府の中で一番使われてるAIモデルっていうのが、中国製のDeepSeekっていうモデルだったんですよね。
っていう、一見転倒してるような結論なんですけど、よくよく考えてみるとそうだなと思ってて。なんでフランス政府はそうしてるかって言うと、いくつかの割り切りがあって、まずフランス政府が仕事をする中において、政府の中で使うにおいて、実はフロンティアレベルの性能って必須ではないんじゃないかと。フロンティアレベルじゃなくても、例えば半年遅れ、1年遅れのオープンウェイトモデルを使いこなすことの方が大事なんじゃないかっていうのが1つ。
もう1つは、フロンティアのChatGPTとかClaudeって、確かに賢いんだけれども、いつアクセスが遮断されてもおかしくないし、自分たちで取り扱えないわけですよね。実際に事案としてあったのが、6月にあったClaude Fable 5が、ホワイトハウスの輸出管理規制に指定されることによって、1回公開されたんだけど突然アクセス遮断されたっていうことが。
めちゃくちゃいいAIをClaudeが普通に出したんだけど、それは他の人たちに使わせちゃ悪くないっていうのを政府が言ったら、民間の企業が取り返しちゃったっていうことなんですよね。
そうなんです。なので、今普通にアクセスできてると思うモデルであっても、ずっとアクセスし続けられるわけじゃないよ。
めちゃくちゃ不安定ですよね。
めちゃくちゃ不安定なんですよね。本当に政治的にアメリカとの何か摩擦があったら、いつ止められてもおかしくないわけですよ。っていう中において、やっぱりフランス政府はAI主権、ソブリニティと呼ばれたりしますけれども、を非常に大事にしていて。それを一番担保できるためには何をすればいいかと言うと、やっぱり自分たちのフランスの中にあるクラウドサーバーの中で、自分たちでAIモデルを動かす。
こうすれば、別に自分たちで電力も供給できている限りにおいて、AIのアクセスって止まらないですし、あとデータも外に行かないんですよね。つまり、ChatGPTとか使おうとすると、アメリカのサーバーにデータを渡さないといけない、あるいは政府の外のサーバーにデータを渡さないといけないわけです。っていうのはやりたくないと。そのデータの主権性がなくなってしまう。でも自分のサーバーの中で動かしてるんであれば、別にデータは外に行かないわけですよ。
っていうのを突き詰めていった結果、じゃあ自分のサーバーの中で動かせるAIモデルって何だろうと。それはやっぱり中国で出てきているオープンウェイトモデルと。全部AIの中身のデータまで公開されてるものを使うのが一番いいだろうと。その中でも今、割と使い勝手がいいものとしてDeepSeekがあるので。いろんなモデルあります。フランスの国内で作ってるMistralっていうモデルもホスティングされてるし、ChatGPTのOSSのモデル、いわゆるGPT-5とか6 Astraとかではないんですけども、自分でサーバーの中に持ってこれるようなモデルもあったりするんですけど、ここら辺は全部使えるようになっていて。でもその中で、ぶっちゃけ何が一番使われてますかって言ったら、DeepSeek V4ですということでしたね。
ただやっぱり、この中国のオープンウェイトモデルとはいえって言った時の、日本におけるアレルギーというのは非常に強いものがあるというのは、企業さんと話していてもやっぱり強いので、そこら辺も含めて今日お伺いしていきたいなと思うのですが。この話を進める上で、言葉の整理として、そもそもこのAI主権、データ主権っていう言葉が今2回出てきましたけれども、これがそもそもどう別で使われてるのかっていう整理もお願いしてもいいですか?
はい。これ、主権と言うと、自分たちで何か扱えるようにするということなんですけど、AIにおいても主権は大事だって言ったりするんですけど、ちょっと中身をちゃんと分割してみた方がよくて。一言でAI主権って言った時に、それって別に国産のAIモデルをゼロから自分で作れたら、それでいいのかというと、別にそれだけではないよね。ということで、よく言われるのがこちらの4つですね。
まず1つがデータの主権ですね。自分たちのデータを自分たちで管理できるようになっているかどうか。それが1つなので、海外のAIの事業者のサーバーにデータを送ったりすると、全部データが外に出ていってしまうので。
今、例えば私がClaudeをたくさん使ってます。Claudeに入れているデータというのは、基本的にアメリカに本社があるClaude、またはAnthropic社に残っている。
はい、そうですね。これはやっぱり、政府が一定の令状を出したら、多分Anthropic社は一定の情報を政府に公開しなくちゃいけない義務を持ってるんですよね。これ、中国の会社もそうで、そういった中において、本当に自分たちの機微な情報をAIに対して入れられるかっていうと、全くそうではないよねというふうに思います。
なるほど。2つ目がこの計算資源ですね。計算主権。例えばGPUとか、あとはデータセンターとか、そういったものが自分の国の中で確保できてるのかどうかっていうところで、やっぱり日本国内のデータセンターがないと、そもそも国内で計算が完結できなかったりする。
3つ目がモデルのところで、AIモデルというものを自分たちで持てているのかどうか、自分たちの価値観とAIのモデルの価値観っていうのを合わせることができるかどうか。こういったところが3つ目のところで。最後がそれを支える人材ですね。これだけでもないかもしれないですけど、大きく言うとこの4つっていうのにちゃんと分けて、それぞれで一定の主権というものを獲得していくのが大事だと。そういう考え方です。
今の話をまとめた上でフランスの話に戻ると、フランスで今やっていることは、まさにこの③のモデルにおいては、とにかくオープンウェイト中心に使えるものでやっていこうねと。米国のクローズドモデルというのは使わないでやろうねというところで、そのソブリニティというのを確立してるということなんですね。
そうですね。その方がむしろアメリカのクローズドモデルを使うよりも、ソブリニティをちゃんと確保できるってことなんじゃないかということだと思います。
なるほど。じゃあ日本もそれをやらなきゃいけないという話で言いますと、どうしても必要な理由というのが大きく分けて2つあるというのが、noteにも書かれてたと思うんですが、これはなぜでしょうか?
そうですね。まず2つあるところとして、1つはやっぱりお金、トークン赤字の問題っていうのが、ものすごく将来的には深刻になっていくと思います。まだAI活用も使い始めて間もないので、お金の問題、予算の問題って一部の先進的な企業でしか顕在化してないんですけど、一部の企業においては、もう使えば使うほど確かに生産性は上がると。上がるんだけど、同時にトークン費用もめちゃめちゃ上がっていってしまって、これどうするんだっていう問題があると。これ、国全体で見た時にもすごい問題になって、トークン赤字で、すごい量のお金が海外に流れていく可能性があるということなんですけれども。
これ、国内で例えばデータセンターがあって、国内で完結されるとすると、トークン赤字にはならない。海外と比べての赤字にはならないので、一定そこを緩和できるんじゃないかと思います。全てのありとあらゆる作業に対して最先端のモデルが必要かというと、別に例えばメール返信のドラフトを書くとか、割と簡単なユースケースにおいては、今のオープンウェイトモデルでも想像できることっていうのはあったりするので。ROIを見ながら、本当に知能が必要なところはフロンティアで、そうじゃないところはもうちょっと安くて自前でできるオープンウェイトモデルでやるっていう、この切り替えっていうのを考え始めないといけないぞというのが、まず1つです。
もう1つは、やっぱり止められるリスクですよね。Fableもいつ止まってもおかしくないという中において、それでもAIネイティブな業務を継続し続けられるようにするには、やはり自前で物事を進められる体制というのが必要だということです。
AIトークンの話に関しては、正直海外ではもう当たり前に、それをどうしていくのか、だからこそ成果報酬にしなきゃいけないんじゃないかみたいな話まで出ているにもかかわらず、じゃあ日本側でどうかというと、多分先進的な企業というところが、自社でまだ作れてはないんだけど、ある一定入れたところ、かなりみんな使ってくれている。予算がめちゃくちゃそこに割かれてしまっていて、どんどんレベルが高いものが出れば出るほどに、さらに予算が増えていくというのが、今、大きな課題になりつつあるってことです。
なりつつあると思いますね。これ、チームみらいの党内でも、AIを使ってたら、4月から7月までの間に18倍くらいにAI利用量が伸びます。もうこのレベルで伸びるとまずいっていうので、結構頑張ったんですけど、本当によくて、やっぱりそれくらいになるのと。あとこれ、難しいのが、AIってシステム費用の延長線上で捉えられると、やっぱり費用の性質っていうのがちょっと違っちゃうかなと思ってて。今までのクラウドサービスとかシステム投資みたいな感覚、その要素もあるんですけど、その感覚と、あと人件費の、ちょうど間の性質を持ってると思うんですよね。なので、この人件費とシステム予算の間の性質を持つ予算として、ちゃんと枠を取っておかないといけないんだろうなと思います。
ごっちゃになりすぎると、どこかで膨大な数字になってしまったりとか、逆に言うと割けてない可能性もあったりとか。
割けてない可能性で、今の多くの会社は割けてない可能性の方が多いと思ってですね。これ、参考になるのはUber社の事例だと思ってまして、Uber社は人件費の5%くらいっていう形で枠を取ってるんですよね。私はこれは結構合理的だと思っていて、人件費に対してどれくらいAIがいるべきかっていう考えをすると。今の2026年の仕事において、人間100人でAIゼロよりも、AIがちょっと混じっている方が多分よいと。でもAI100で人間ゼロだと何もできないと。だからこの間に、ちょうどいいベストミックスのバランスのところがあって、その比率っていうのが5%くらいっていうのは、私は結構妥当な気がします。
今の段階でということですよね。
はい。これもやっぱり職種別にもうちょっと見ていく必要があって、多分ソフトウェアエンジニアとかリサーチャーとかコンサルタントとか、そういう職業って、AIを変換するレバレッジがより効く職種だと思うので、こういう方々に関しては、例えば15%とか、それくらいの費用を組んで、そんなにAIのレバレッジが効かない職種においては5%も積まなくていいっていう。職種別に見ていって、人件費とAI費用のベストミックスを探るっていう、今一番腹落ちしているやり方だと思います。
なるほど。今、ここまで詳しくAIトークンをどうするかについて持論を持ってらっしゃる人に初めてお話を聞いたので、すごい勉強になりました。
多分これは、もう来年ありとあらゆる会社で課題になると思いますし、ここの予算取りのプランニングのところでミスったら、AI活用できなくなるんで。私が最近言ってるのは、これ国の政府もそうだと。政府もそうで、トークン費用をちゃんとしておかないと、いくら「源内」っていうAIの使える枠組みが整ったところで、今16万人の政府職員が使えるようになってますけれども、すぐにトークンの上限にぶち当たっちゃって、結果としてAI活用が進まなかったねってことになりかねないので。私としては、ちゃんとトークン予算を取るべきであるということは言ってます。
だから本当に、データのいわゆる守り方、基幹システムをどうするかっていう話はさておき、企業としてAIというものに対してどう向き合い、どう設計を社内で組み直していくのかというのが、めちゃくちゃ早急にやらないと手遅れになりつつあるってことなんですね。
そうだと思います。本当に会社にとっての有限なリソースをどう配分するかが、AIが出てきたことによってめちゃめちゃ変わったと。これ、フランスに行った時にもそうなんですけど、数学の業界とかではまさにそれが起きていて。未解決問題ですね。人間の数学者が何年もかけて解けなかった未解決問題が、OpenAIとかAnthropicがバンバン解くようになってきたと。
この時に、今の数学の問題は、例えばナビエ–ストークス方程式、流体力学の方程式の未解決問題が9月に解かれたという話があったんですけど、これ、OpenAIが88時間で解いたんですよね。人間がもう何年もかかって解けなかったやつを、88時間、大体10億円分くらいのトークンを燃やして解いたんですよ。これ、数学における数学者を何人で、トークンをいくら使うかっていう比率がめちゃめちゃ変わる。数学においては、かなりトークンを燃やしまくる比率の方が高くなってきたってことなんですけど、この比率をダイナミックに変えていかないといけないことかなと思います。
なるほど。そうなってくると、先ほど源内という話もありましたけれども、フランスで学んだことを日本のところにアプライすると、何が違ってどこが似てるのかというのを、また一度整理したい。フランスが使っているこのAlbert APIというのに対して、日本には源内というものを自前で作っている。これの似てるところと違うところを、改めて説明いただけますか。
そうですね。まず、政府が政府職員に対して使える基盤を用意するっていうのは同じなんですけれども、よりAlbert APIの方がAPIに特化していて、それを具体的にどういうアプリケーションで使うのかは、各省庁に実は任せられてるんですよ。なので、アプリケーションを全部提供するというよりかは、APIを提供した上で、例えば文部科学省はそれを使って先生向けのウェブサイトを作って提供してたりするんですよね。AIを使って、例えば算数の問題を大量に作れるよとか、そういうアプリケーションを作って、MAUが、月間のアクティブユーザーが100万人って言ってたんですけど、そういう基盤になったりしていますし。各省庁のIT部門が、Albert APIを使って、うちの省ではこういうふうに使えるっていうアプリを作っていってるっていうのが、フランス型のモデル。
なるほど。
日本はデジタル庁がアプリまで作ってくれてるんですよね。そのアプリを各省庁に提供してるっていうのが、どのレイヤーまで基盤を用意して、どこから各省庁でやってるのかっていうのが若干違ってるっていうのが1つ。これは日本とフランスの違いで言うと、多分各省庁側のIT部門がアプリケーションまで作れるのかどうかっていうところが若干違ってると思っていまして。日本、どっちがいいのかっていうのはまだ分からないですけど。
でも正直、現場に近い人たちがAIを作ってないと使えないよねっていうのは、会社でずっと言われてること。
そうですね。現場に近いっていうのは1つ重要なポイントだと思います。
もしそれが人材でネックになってるのであれば、もう本当に早急にそういう人たちをリクルートする。
できたらいいと思いますが、これは結構やるべきだと思うんですけど、やっぱり民間企業の給与レンジが全然違う問題っていうのはありまして。各省庁が自前で今すぐできるかというと、そこの枠組みからまず変えないといけないと思います。
そこから正直、波及できる生産性の向上であったりというところを考えたら、その予算というのが、どうなんでしょうね。
取った方がいいと思いますね、私は。
なるほど。今、似てるところ2つです。他にも何かありますか?
やっぱり使えるモデルのところがもう1つですね。ChatGPT、Claudeとかも使えるし、あとは国産のモデルですね。NTTとか日本のAIベンチャーが作ったようなモデルも、日本の国内で切り替えられるんだけれども、フランスはもうオープンウェイト中心であると。
そうか。だから日本の場合はChatGPT、Claude、アメリカのものを結構ちゃんと使ってるってことなんですね。これはどうなんですか? やっぱり我々日本としては、同盟国であるアメリカのものを使うっていうのも私は理解できるかなとは思いつつも、そこへの懸念みたいな声というのはどうなんでしょう?
そうですね。まずデータとして出していいもの、出しちゃいけないものっていうのは、やっぱりあるよねと思っていて。なので一部の分野においては、なかなか海外のサーバーに出ていくものであるとか、政府が管理しないサーバーの外に出ていくものっていうのは、使いづらいところはあると思います。ただ私は、フランスはやりすぎなところもあるかなと思っていて。クローズドモデルを全く使えないことまでしなくていいんじゃないかと。クローズドモデルも使えるし、オープンウェイトも使えるし、国産のモデルも使えるっていう、全部選べた方がいいんじゃないのとは僕は思います。
それは、日本では今、後ろで何を回すかというのは、使う人たちが切り替えることができるっていうふうになってるんです。なるほど。
ただこうすると、フランスがそうしたのが理解できるなと思ってしまうのが、結局は使う側のリテラシーがないと、一歩間違えればすごい重要な情報が、っていうことがありうるわけですよね。
ありうると思いますね。難しいですね。確かにそこら辺は1つの課題だと思いますね。
なるほど。ここで1つ疑問に思うのは、でもオープンウェイトをもうちょっと日本も使った方がいいんじゃないってなった時に、中国のオープンウェイトというのがやはり性能がいいと。そうなった時に、それを使うという選択肢は日本国としてはありうるのか。セキュリティの面も含めていかがですか?
私は現段階で言うと、もうちょっと使う可能性に関しては前向きに検討した方がいいと思っていて。まず大事なこととして、中国製もそうだし海外製もそうなんですけれども、自分たちのサーバーの中に持ってきたら全てのリスクがなくなるかというと、そういうことでは実はないです。悪意のある振る舞いっていうものを埋め込むことが論理的にはできる。
例えば、自分のモデルがフランス政府の中で動いてるとモデルが認識したら、いきなり性能を落とすとか、180度別のことを言うとか、そういうふうな工作は論理的には考えられるんですよね。っていうリスクはまず気にしないといけなくて。実際フランスは、このDeepSeekを使う時にも本当に議論になったらしいです。様々議論になったらしいです。イネジアっていうフランスの機関があって、ここがAIのそういった悪意のある振る舞いがないかどうか、安全性をチェックするような機関なんですよね。ここが結構ちゃんと、悪意がある振る舞いをしてるかどうかのチェックをし続けていくと。
なので、現時点においては、そういった性能の変化とか悪意のある振る舞いは観察されてないので、使ってもいいんじゃないか。ただ、そういうのが出てきたらすぐ気づけるっていう体制を、まず作らないといけないと思います。
そういった土台が前提にある中において、そういったオープンウェイトモデル、これが中国製でも他製であっても、活用できる余地っていうのはあるんじゃないかと思いますし。実際、アメリカのサンフランシスコも行ってきたんですけど、結構いろんな会社で、別に中国製のオープンウェイトモデルを使って、自分たちの会社流にちょっとカスタマイズして、ファインチューニングって呼んだりします。ファインチューニングして使うっていうような会社も結構出てきてるので、実はアメリカではめちゃめちゃ使われてたりもするし、フランスでもめちゃめちゃ使われてると。
日本は中国と地理的にも近いとか、緊張関係もあるっていう中で、なかなか難しいところだと思いますけれども、企業としても使い倒せる部分は間違いなくあるし、AI研究とかAI開発においても参考になることっていうのは多々あるので、そこからちゃんと学びを得るとか、リスクが低い領域において検証してから使うっていうのは、アレルギー的に、中国製だから全く触っちゃいけないんだっていうことではないかなというふうに思います。
そう。だから、正直私もいろんな企業さんとお話をしていて、AI開発をする時に、特にやっぱり自社でやっていかなきゃいけないよねっていう話が出た時に、どうしても安くて性能がいいのは、もう中国製のものがやっぱり出てきてしまうと、名前として。その時にどうするかっていう時に、説明をしてもリスクの方ばかりがやっぱり上がってしまうから、そのリスクに対してフランスがやったようにチェックをする機能であったり、そこがどれだけできて、リスクリワードがどうなのかというところまで考えた上での議論ができないと意味がないってことですね。
そうです。これは各会社が安全性をチェックするよりかは、私は日本におけるAIセーフティ・インスティテュートっていうAISIというものがあるんですけれども、日本において価値観がどれくらい違うのか、悪い振る舞いがどれくらい埋め込まれているのかっていうのを、ちゃんと測ってそれを公表して。それに応じて、いろんな会社が、じゃあこの領域でここまでなら別に使ってもいいよね、このリスクは取れるよねっていうので判断していくっていうのが、一番経済合理的にいいと思ってて。なので政府としても、様々なAI、個別のモデルの性能をチェックするっていう機能を持つ、能力を持つっていうのは、もっと投資した方がいいと思います。
なるほど。今、使うモデルの話をしましたけれども、じゃあ今後、規模として今日本では18万人くらいという段階だということなんですけども、今後日本としてどれぐらい広げられるのか、その壁になるのが何なのか。それは中にいらっしゃる身としては、何が壁になると思います?
これ、いくつかあってですね。18万人で使えるようになってると、アカウントを配られてるってことなんですけれども、6月くらいのデータを見ると、課長級以上があんまり使ってないと。よりメンバーレベルの方は結構使ってるんだけど、課長補佐級以上は全然使ってないよねというデータが出て。これ、企業を見られていると分かると思うんですけど、やっぱりトップマネジメントとかマネジメントレイヤーがAIを使って、こういうふうに生産性を上げられるじゃないか、こういうふうに業務改革できるんじゃないかっていうのを、体感してればしてるほどやっぱり早いわけですよね。
だし、AIネイティブなワークフローに変えていく時って、かなりドラスティックに組織の中のいろんな物事の動かし方を変えないといけなかったりするので、やっぱりトップマネジメントのすごい意思が必要なわけですよ。経営資源として。そういう意味において、やっぱりトップにもうちょっと使い倒してもらって、体感してもらうっていうのは必要になってくるかなと思います。
そうか。トップの人たちの気持ちとしても、トップだからこそ使いづらい、つまりは何かミスをしたら怖いというところが1つあるのかもしれませんし、もしかしたら全然AIというものに触れるよりも今までのやり方がいいっていう、ちょっと凝り固まった考え方があるのかもしれないし、そこは私にも分からないところはありますが。じゃあ日本のトップである内閣府であったり高市政権というのが、今後どれぐらいそれを進めていけるのかというところで言うと、中にいていろんな議論もしてきたと思うんですけれども、何かここがまだ足りないんじゃないか、ここはいいと思ってるんだけど、みたいな話があれば、お伺いできれば嬉しいな。
そうですね。まず体感するのは大事だなというところで、8月の末に私がやったのは、高市総理にAIの家庭教師をしに行くっていうのをやりまして。あれ、まさにトップマネジメントというか、日本のトップの総理大臣がちゃんとAIを体感しておくっていうのをやるのは大事だと思いましたし、ああいうものを見ることによって、様々な官僚も様々な大臣も知っていただくって、結構波及効果があるかなと思って、あれはやらせていただきました。
高市政権の話で言うと、まず評価するポイントで言うと、AI・半導体は非常に重要であると。17の戦略分野っていうものがあって、ちょっと17個は多いんじゃないかという話はあるんですけれども、その中でもやっぱりAI・半導体に関しては力を入れるということを示されてるのは、私は評価するポイントです。これ、間違いなくやった方がいいところで、そこの方向性は一致してるかなと思います。
大きな方向性としては一致しつつ、より具体のやり方で言うと、例えばさっき言ったトークン費用みたいなものっていうのは、爆発的に増える性質のものだよという、まだそういう理解っていうのが省庁内でも広がってないと思いますので。やっぱり財務省とかも、そういうタイプの予算と接したことはないと思うんですよ。システム費用と人件費の中間の性質を持ってる費用っていうのは、もっと言っていった方がいいと思いますし。
あとは国産のモデルを作るっていう時にも、今、ノエトラというプロジェクトが走っているところではありますけれども、そこの具体的な運用として、もうちょっと現場の研究者の方に権限を渡した方がいいんじゃないかとか。あと先ほど申し上げたようなオープンウェイトモデルっていうのも、一定使い倒していかないとまずいんじゃないか。そういったところに対する解像度は、もちろんこれ、総理がそのレベルで知ってるべきなのかというと、限界もあるというのは承知の上で、もう少し知っていただけるといいなと思って、提言とかもいろいろやらせていただいてます。
なるほど。正直、もちろん政府としてもっとできることがあるというのは重々理解した上で、じゃあそれを実行する時に、分かった人たちがその中にいるのか、人材としてちゃんとそれが確保できてるのかっていうところで言うと、日本の政権はどうでしょうか?
そうですね。これも省庁のレイヤーと、政府の大臣とか政治家のレイヤーとあると思うんですけど、もちろんAIのことを知ってらっしゃる政治家の方も。
増えてきてると思いますが、やっぱりまだ数は多くないと思いますし、今の政権の中にどれだけ数多くいるのかっていうのは、私はまだちょっと分からないなとは思いますね。
中にいらっしゃる皆さんでも分からないってことは、我々国民も正直分からないじゃないですか。で、そこに今後、今井さんの話とかもどんどん出てますけれども、それが進んでいってしまうっていうのは、ちょっと恐怖感はありますね。
そうですね。だし、このAIの領域って本当に1年っていう時間がもう長すぎるわけです。
長すぎる。確かに。
その数ヶ月で状況がどんどん変わっていくのに対応できるような、例えば予算編成のメカニズムであるとか、ルールの作り方とかしていかないといけないと思うので、このAI時代における立法のやり方自体、国会のやり方自体を結構変えなくちゃいけないんじゃないかというふうには思ってます。
根本からって、それはさっきおっしゃってた企業も同じってことですもんね。
なるほど。もう本当に今日様々聞いてきましたが、改めて、第3の道、その中国でもアメリカでもない我々みたいな国が、どんな勝ち筋と言いますか、どういう道を歩むべきなのか、その提言まで頂いてもよろしいでしょうか?
そうですね。アメリカのやり方、中国のやり方って2つの道があって、そのどっちもできないよねという中で、第3の道を模索しなくちゃいけないんじゃないかっていうのが、フランスの政策立案者と話した時によく話に上がった話で。その中で1つ言われていた、ディスカッションしていた話としては、ミドルパワーの国々同士の連合をして、それでやっていくというのが1つ道としてあるんじゃないかろうかという話です。
アメリカ、中国ほど使える予算はないわけですね、日本とかフランスとか。なんだけれども、とはいえ一定の予算を投資することはできる。なので、例えば中堅国、オーストラリア、フランス、カナダ、日本、韓国みたいな、あとドイツとか、そういった国々同士でお互いにお金を出し合って、いいモデルを作っていくとか、AI競争の中で必要な部品を整えていくのは、これは論理上できなくはない。
でも、とはいえ難しくないですかっていうのを結構ディスカッションしてたんですけど、多くの国々で。
はい。うん。
その時にすごい面白かった話として、実際に過去にもそれができた実例はあるんだっていう話をされてて。それは何かと言うと、CERNという物理の研究所があるんですけど、そこで作ったラージ・ハドロン・コライダーっていう、ものすごい大きな加速器があるんですよ。この加速器、物理の研究に必要なものなんですが、めちゃめちゃお金がかかる。
うん。
しかもこれは別に各国にちょっとずつ作るとかじゃなくて、1つの場所にめちゃめちゃ大きなものを作らないとあんまり意味がないと。これスイスにできたんですけど、これは日本とかフランスとか、そういうミドルパワーの国々でお金を出し合って作ったもので。その成果っていうのは、それらのミドルパワーの国々の研究者が実際に使いながら、その成果をみんなで分け合って享受しているということがあるので、それと同じようなものをデータセンターでも作れるんじゃないかと。
これ、例えばAIの大きなモデルを作る時って、ちっちゃいデータセンターがたくさん各国にあってもあんまり意味がなくて、めちゃめちゃ大きなものが1個ある方がいいんですよね。なので、結構その物理の加速器と似たような構造があるよねと言ってて。そんなこと考えたことなかったんですけど、確かにそう言われればそうだなということは思いまして。なので、もちろんハードルはあるものの、ミドルパワーの国々で連携しながら1つ大きなものを作っていくという枠組みはトライすべきかなと思いましたね。
それが第3の道として、ぜひこの可能性は模索した方がいいと。
私は三正面作戦をした方がいいと思ってて、このミドルパワーの国々同士の話っていうのは当然進めながらも、多分アメリカとの関係においてはチップですね。具体的に半導体を製造する能力において、日本って交渉力を持てると思うんですよ。例えば熊本にはTSMCがある、北海道にはラピダスがある。ラピダス、これからうまくいくかどうかまだ分からないですけれども、私はうまくいってほしいなと思いますけれども。
こういったチップが律速に、研究開発の律速になる中において、ここの能力を持ってることで、基盤モデルはないんだけれども、AIエコシステム全体で言うと一定の交渉力を持つっていうのは、これもトライできることなので、やれるといいと思いますし。あと、中国のオープンウェイトモデルを、リスクはもちろんあるということを認識した上で、適切にリスクテイクして活用していくっていうのは、これはこの2つを進める上においても交渉力になると思うので。アメリカとはチップの交渉力を、中国のモデルは適切に使う、そしてミドルパワーの国々とは連携の道を探るっていう、この三正面をやるといいと思ってます。
なるほど。それらをどれだけできるのかというところは、予算の問題と外交の問題と、さらに言うとそれができる人たちがどれだけいるのかというところで課題があると思うので。ぜひそこには皆さんに託してる一票がありますので、そこをまさに議論していただきたいなと、今後とも思っております。
そうですね。はい。議論していきたいと思います。
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