会計検査院は税金の使い道をどこまでチェックできるのか――前院長・田中弥生氏が語る歴史、検査の基準、賃上げ税制の検証
ReHacQ−リハック−【公式】ReHacQの高橋弘樹氏は、会計検査院を「日本一地味な役所」と呼びながら、税金の使い道をチェックするうえで「めちゃくちゃ大事」な組織だと考えている。会計検査院の人員が10倍になれば税金をもっと有効に使えるのではないか、というのが高橋氏の持論である。今回のゲストは、昨年3月まで会計検査院長を務め、現在は東京大学公共政策大学院の客員教授である田中弥生氏だ。番組では、会計検査院が何をする組織なのか、明治以来どのような経緯で独立性を得てきたのか、税金の使い方をどんな基準で評価しているのかを順に聞いていく。中心となる事例は、租税特別措置のひとつである賃上げ税制の効果検証である。人員を増やせば問題は解決するのかという問いについては、高橋氏と田中氏の考えが必ずしも一致しない。
冒頭で示された「多重下請け」の問題
番組の冒頭には、本編後半からの抜粋とみられるやり取りが置かれている。持続化給付金のときに多重下請けの問題が表面化し、何次まで下請けがあるのかを調べたら9次下請けまであった、という話である。さらに電気・ガス補助金でも、博報堂が320億円で受託し、そのうち一定額を自社で持ち、200数十億円が博報堂プロダクツへ流れ、さらにその下にも委託が続いていたという構造が紹介される。
これを受けて高橋氏は、管理をするだけでなぜ多額の差額が生じるのかと疑問を示した。そして、おそらく全省庁のあらゆる発注に共通する構造だろうと述べる。ただし高橋氏は、民間の立場から見れば企業は悪くなく、その制度を許している政府が悪いという見方も示している。だからこそ会計検査院の人員を増やして力をつけるべきだ、というのが高橋氏の主張である。この抜粋に当たる詳しい議論は、今回の字幕の範囲には含まれていない。
憲法上の位置づけと認証官としての院長
高橋氏は会計検査院を、国会・裁判所・内閣に並ぶ「第4の権力」とも言われるほど独立性の高い組織だと紹介する。田中氏によれば、会計検査院長は大臣や特命全権大使、最高裁判所の判事などと同じ「認証官」であり、天皇の認証を受ける。
一方で、組織としての知名度は低い。高橋氏はかつて公務員を目指しており、官庁訪問のリストや採用人数を見ても会計検査院はまず検討対象に入らなかったと振り返る。田中氏によると、いわゆる幹部候補の採用は年に1〜2人程度で、最近は4人ほどだという。
会計検査院の基本的な役割について、田中氏は次のように説明する。国の収入と支出を、決算の段階で例外なくすべて検査する。その結果を内閣を通じて国会に報告し、国民に説明する。こうした性格から「財政監督機関」とも呼ばれる。
大隈重信が始めた「チェックを分ける」という発想
田中氏によると、会計検査院の起源は明治2年にさかのぼる。この年、政府の機関が京都から東京へ移り、今の財務省に当たる大蔵省のナンバー2に大隈重信が就いた。大隈は組織の仕事ぶりを見て、予算を作って支出する部署と、それをチェックする部署が同じなのはまずいと考えた。そこで大蔵省の中に、監督を担う別の部署を設けた。これが会計検査院の始まりだという。
高橋氏が「当時はそういう概念がなかったのか」と尋ねると、田中氏は「なかったと思う」と答えた。当時の政府は、江戸幕府から引き継げると見込んでいた財源がほとんどなく、借金をし、札を刷っても偽札が横行していた。財政の仕組みがまだ整っていない時期から、監督機能の必要性を唱えて組織を作った点を、田中氏は大隈の功績として語っている。
一般には、明治憲法で憲法上の機関として会計検査院が誕生した時点を起点とし、まもなく140年を迎えると説明されている。ただし田中氏は、そこに至るまでにもいくつもの曲折があったと話す。
廃止、復活、そして天皇直属へ
大隈が作った組織は、その後いったん廃止された。これに異を唱えたのが伊藤博文である。伊藤は、アメリカで学んだことを添えた意見書を書いて存続を訴えた。その結果、2か月後には名前を変えたうえで会計検査の機能を持つ組織が復活した。田中氏によれば、このときの組織設計には伊藤の提案がかなり生かされている。
その後、より独立した組織を目指して、会計検査院は内閣の下で大蔵省と同列の省庁として設置された。しかし田中氏は、これでも不十分だったと言う。会計検査院が指摘をしても、上司にあたる総理大臣が拒めばその指摘は通らないからである。この経験から、明治憲法の制定時には、内閣の下に横並びで置くのではなく、天皇直属とする形になった。
「院」や「院長」という名称から病院を連想されることがよくあるという話題も出た。田中氏は、人事院などと同じく、明治期の制度設計やガバナンスの名称が引き継がれているのだろうと説明する。会計検査院法には明治時代に作られた内容がかなり生かされており、日本国憲法の下でも引き継がれているという。
第3代院長・渡辺の奮闘
田中氏が尊敬する人物として名前を挙げたのが、第3代院長の渡辺である。木戸孝允や坂本龍馬と親しかった剣豪で、田中氏は「本当に武士みたいな人」と表現する。
田中氏が紹介したのは、著書にも書いていないというエピソードである。渡辺は憲法の草案を読み、会計検査院の規定がないことに怒った。そして自分で条文案を書き、伊藤博文が新橋から汽車で大阪へ向かうと聞くと、馬を飛ばして追いかけた。汽車に乗っている伊藤に案を見せ、会計検査院を必ず憲法に入れるよう求めたという。田中氏は、これが憲法に会計検査院が盛り込まれるきっかけになったと語る。
組織のガバナンスをめぐっても対立があった。大蔵省はフランス型を推していた。田中氏の説明では、フランス型は検査に加えて司法官として裁く機能も持つ形である。これに対して渡辺はドイツ(プロイセン)型を主張した。大蔵省の案が先に出ていたため、渡辺は調査団を率いてドイツへ学びに行き、帰国後に提案書を出して論争し、最終的にドイツ型を通した。その結果、裁判官的な機能は持たないことになった。この調査に同行した検査官の一人が、ドイツ文学の専門家で平塚らいてうの父だったという。
さらに枢密院は、会計検査院が天皇直属だと、まるで天皇の言葉を代弁しているように見えるとして、この規定を却下しようとした。渡辺は、天皇直属の規定を外されたら会計検査院は骨抜きになると反論し、最終的に押し通した。こうして検査報告は天皇に提出されることになった。
高橋氏が取り上げたのは、日清戦争の戦費が適切に使われたかを指摘した報告書を、渡辺が周囲の反対を押し切って天皇に提出したという話である。田中氏によれば、これは国会で大騒ぎになった。取締役会にあたる検査官は当時10数名いたが、辞職者が出て、渡辺自身も辞職した。辞める覚悟で出したのかと問われると、田中氏は「常にそういう覚悟を持って議論に臨んでいたのではないか。侍ですから」と答えている。
戦時下の検査と、憲法90条の「すべて毎年」
第二次世界大戦中、会計検査院はどんな役割を果たしたのか。田中氏はこの問いを、日本国憲法90条の文言に深く関わる大事な点だと位置づけた。
戦争が始まると、戦費は当初予算ではなく臨時軍事費特別会計で扱われるようになった。この会計の決算は、戦争が終わったときに行うとされた。それでも会計検査院は、自分たちで4月から3月という区切りを設け、毎年検査に出向いていたという。ところが次第に例外規定が加わり、機密費などは検査の対象外とされた。それ以外は検査できたため、当時は満州まで出かけて検査をしている。すべてではないにせよ検査報告が残っていたので、戦後にGHQの裁判が始まった際には重要な資料になったと田中氏は話す。
もっとも、戦時中に大きな無駄遣いを指摘するのは非常に難しかったとも田中氏は認めている。この経験を踏まえ、戦後の日本国憲法90条は、国の収入支出の決算は「すべて毎年」会計検査院が検査すると定めた。田中氏によれば、「すべて」は例外がないことを意味する。「毎年」は、戦争が終わるまで決算がないという状況を許さず、年度で区切るという意味だという。
この流れで高橋氏は、高市政権が掲げる、予算を単年度で考える方式の見直しが検査に影響するかを尋ねた。田中氏は、すでに外部の人間なので軽はずみなことは言えないと前置きしたうえで、次のように答えている。複数年度にまたがる案件は昔からあり、会計報告は年度ごとに出ているので、検査の仕組みが大きく変わることはないだろう。ただ、制度の作りが甘くなれば検査がしにくくなる可能性はあり、その点は注視すべきだという。
1250人で100兆円規模の予算を見るために
高橋氏が繰り返し投げかけたのは、100兆円規模の予算の効率性を本当にチェックするなら、人員が足りないのではないかという疑問である。田中氏によると、会計検査院の職員は約1250人だ。財務省との比較を問われると、財務省もそれほど多くはないが、国税庁や地方採用まで含めれば規模はまったく違うと答えた。
人員が足りているのかという問いに、田中氏は「足りるように」検査計画を作っていると説明する。国費は全国の都道府県教育委員会まで流れるものもあり、それを1年ですべて見るのは物理的に不可能だ。そのため、ローテーションを組んで数年かけて一巡する方法をとっている。そのうえで最も重要なのはデジタル化だと田中氏は強調する。いきなり現地に行くのではなく、まずデータで全体の傾向や異常値を分析し、そのうえで戦略的・効率的に実地検査に入る。在任中はこの方向でできるだけ進めていたという。
検査の5つの観点と「3つのE」
田中氏は、会計検査院が使う5つの観点を紹介した。
- 正確性:計算に間違いがないか
- 合規性:規則・ルール・法律に違反していないか
- 経済性:同じことをもっと安くできなかったか
- 効率性:同じお金でもっと効率的なやり方ができなかったか
- 有効性:政策目的に照らして、使ったお金が効果を上げ、目標を達成したか
正確性と合規性は最もオーソドックスな基準である。違反があれば「不当」と判断し、お金を返還させる。残りの3つは「3つのE」と呼ばれる。田中氏によれば、経済性と効率性は表裏一体の関係にある。有効性は、国民にとって最も関心が高い観点だろうと田中氏は言う。
有効性の判断は、統計やエビデンスデータを用いて客観的に行うのが基本だ。ただし田中氏は、この分野にはまだ改善や開発の余地が多いと認める。3つのEは世界中の会計検査機関が掲げているが、効果をどう測るかについてはどこも試行錯誤を続けているという。
高橋氏が、自民党の議員がしきりに口にするEBPM(証拠に基づく政策立案)は会計検査院が一手に担う領域ではないかと問うと、田中氏は会計検査院だけではないと答えた。総務省の政策評価局、財務省の予算執行調査、内閣官房の行政事業レビューもある。さらにEBPMはそもそも政策立案自体を証拠に基づいて行う考え方なので、霞が関全体で意識していこうという状況だという。
高橋氏は自身の印象も率直に語った。効いていない政策は大量にあり、「石を投げれば当たる」ように見える。巨額の予算をかけたYouTube動画の再生回数が20回ということもある。自社が過去に受けた補助金についても、国にとって効果があったとは自信を持って言えない。事業者としては審査が甘いほうがありがたいが、メディアとしては甘すぎるのではないかと見ている、という。
事例:租税特別措置としての賃上げ税制
田中氏が具体例として取り上げたのが、租税特別措置のひとつである賃上げ税制である。昨年、政府が租税特別措置の見直しを掲げたとき、高橋氏の印象では廃止されたのは1つだけだった。田中氏によれば、その1つが今回の事例だ。会計検査院の指摘を受けて、片山大臣が昨年11月に廃止を表明し、実際に止まっている。ただ、租税特別措置はまだ数百個あるので今後も注目してほしい、と田中氏は話す。
田中氏はまず租税の原則から説明した。税金は強制力をもって徴収するもので、払わなければ追徴金や罰則が伴う。だから税制は公平・中立・簡素に設計・運営しなければならない。租税特別措置は、特定の対象者に特定の政策目的のために減税という恩恵を与えるもので、公平性の原則からは例外にあたる。税収が減る分、政策効果を上げることが「大原則の約束」であり、担当省庁には効果を検証・公表し、国会に提出する義務がある。
賃上げ税制は、田中氏の説明では安倍首相の時代に始まった。賃上げをした企業に対し、賃上げ額の一定割合を法人税から差し引く仕組みである。それでも賃上げがなかなか進まなかったため、上乗せのインセンティブが加えられた。教育訓練費を前年より20%増やせば、賃上げ額のさらに5%などを法人税から差し引くというものだ。両方の要件を満たせば、企業は大きく減税され、国にとってはその分が減収になる。
この制度を提案した経済産業省には、減税分に見合う政策効果が上がったかを説明する責任がある。しかし会計検査院が調べたところ、効果検証はまったく行われていなかった。経済産業省の説明は「定量化ができない」というものだった。
会計検査院は以前から、この制度は歪んでいないかと注目していた。教育訓練費を前年の10万円から12万円に増やしただけでも上乗せの対象になる。上乗せは給与増加分の5%なので金額が大きい。その結果、教育訓練費を5万円増やしただけで1000万円の法人税が減税されている企業も出ていたという。
田中氏は、「定量化できない」という説明はおかしいと考えた。この措置を財務省に要望し、最終的に国会の承認を得る際の根拠として、ある経営学者の論文が使われていたからである。教育訓練(リスキリング)によって生産性と売上が上がり、賃上げと相関するという定量的な分析だった。それなら検証に使えるはずだ。田中氏は、経済産業省の説明を「苦し紛れ」の言い訳だったと表現している。
そこで会計検査院は、論文のモデルをそのまま使い、国税庁のデータと経済産業省が持つ企業データを突き合わせて試算した。その結果、モデルで推計される効果は実際の減税額を大きく下回った。本当の効果よりもかなり大きく減税していたことになり、その差額は157億6871万円だったという。
事前に検証できなかったのか
これに対して高橋氏は、予算を立案する段階で直近のデータをそのモデルに入れれば分かったことではないかと質問した。田中氏は、この措置はかなり急いで成立しており、そこまで精緻な事前チェックはされていなかったのだろうと答える。会計検査院が効果検証について尋ねたとき「定量化ができない」と返ってきたこと自体が、定量的な事前チェックをしていなかった証拠だろうというのが田中氏の見立てである。
田中氏は、事後の検査だけでなく、政策立案の段階でEBPMに基づく検証をしてから法案を成立させるのが望ましいとし、霞が関全体でもそうした議論がされていると述べた。高橋氏は、緊急の政策課題に急いで対応する事情は理解できるとしつつ、力学的には事前の検証は難しいだろうと見る。だからこそ、手を抜けば後から会計検査院に調べられるという緊張感が必要であり、会計検査院が弱ければ「運悪くチェックされたものだけ廃止すればいい」と考えられかねない、と主張した。
廃止された範囲については、田中氏がその場で確実には答えられなかった。大企業向けの賃上げ税制のうち、教育訓練の上乗せ部分だけを廃止したのか、大企業向けそのものを廃止したのかは後で確認したいとして、ディレクターへの確認事項になっている。会計検査院の報告書は昨年1月、田中氏の院長在任中に出されたもので、廃止の判断は昨年11月、田中氏の退任後である。
租税特別措置はいくつあるのかすら分からない
高橋氏は、ほかの租税特別措置は検証されたのかを尋ねた。田中氏も同じことを知りたいと考えていたという。会計検査院は平成26〜27年ごろ、法人税や所得税などの租税特別措置を俯瞰しようとした。その時点で380個ほどあるとされていたが、現在いくつあるのかを調べようとしても分からなかった。
理由について田中氏は、分類が難しいのだろうと推測する。農業にも賃上げにも教育にも関係するといったように、複数の分野にまたがる措置があるからだ。それでも、いくら減税されたかは必ず分かるはずであり、シンプルな減税額だけでも出してほしいと田中氏は求める。3年や5年の期限付きの措置を何度も延長しているものもあるので、延長する前に本当に有効だったかを検証すべきだという。
数値化しにくい政策の効果をどう測るか
賃上げ税制は計算で検証しやすい例である。では計算が難しい分野はどうするのか。田中氏が例に挙げたのは農業だ。農家の生産性を上げるといっても、農家の費用は会社のように切り分けられているわけではなく、申告に頼る部分もあるため、きれいに数値化できるとは限らない。また、今回のように立案時に計算モデルが用意されているのは珍しい。多くの政策では、こうなればこうなるという効果が文章で定性的に説明されているだけだという。
高橋氏は、文教政策や国民の意識啓発のような定性的な政策の効果検証について尋ねた。田中氏は、難しいが最初から諦めないほうがよいと答える。「意識が上がった」とは何についてどう上がった状態なのかをできるだけ細かく分け、当事者に聞きながら変化の兆しを拾い、指標を導き出す。これは技術的には不可能ではないという。ただし、データを出してくれる協力者がいるか、回答者が偏っていないかには注意が必要だ。田中氏は、そうした作業にはAIが強い味方になるのではないかとも話している。
高橋氏はさらに、立案時に「意識を高める」ではなく「理解度を何%高める」といった数値目標を立てるべきか、と問うた。数値にこだわりすぎると大事なものを取りこぼすのではないかという懸念も添えている。田中氏は、定量と定性の両方が必要だと答えた。定量だけに頼ると経済合理性に偏り、分布の中央の意見だけが拾われて両端の異なる意見が排除されかねないからだ。そのうえで田中氏は、事前の段階でデータ取得の設計をしておかなければ後から取ろうとしても取れない、それは必須だと強調した。
官僚の意識について、田中氏は次のように話す。現在は政策評価法や行政事業レビューのフォーマットへの記入が義務づけられ、目標達成までの道筋を示す「ロジックモデル」も書くよう求められている。ただ、データが取れずに「絵に描いた餅」になることがある。特に対人サービスや生活者を相手にした政策では、最初から検証可能なデータ取得を制度に組み込むのは難しいだろうという。
独立性の強さと、味方のいない組織
会計検査院はどうやって力を持っているのか、政治家や業界団体にとっては邪魔な存在ではないのか。この問いに田中氏は、特別に後ろ盾になってくれる政治家は一切いないと答えた。会計検査院は独立性を非常に重んじており、どこからも介入されず、自分たちの観点を曲げずに検査報告を書き上げることを続けたいのだという。
田中氏は自身の経験と比べて、その独立性を語る。会計検査院に来る前、田中氏は国立大学の評価や、国際協力銀行(JBIC)の評価室の仕事に携わっていた。そこではトップや相手国の意向に応じた調整がつきもので、担当者として違うと思っても書き直すことはゼロではなかった。しかし会計検査院に在籍した5年半の間、そうした経験は一度もなかったという。職員は学生向けの業務説明で「良心の呵責なく仕事ができるところです」と話していたそうだ。田中氏はこれを、横やりを入れられずにまっすぐ仕事ができるという意味だと受け止めている。
一方で、特定の政党や政治家と関係を作っていないため、会計検査院法の改正や予算・人員の増強を求めても応援してくれる人はいないだろう、と高橋氏は指摘し、田中氏もこれを認めた。
人員を増やせば解決するのか
もっとも、人員増強について田中氏は「賛否両論ある」と考えている。問題が起きると、国会では特に野党から会計検査院の権限強化や人員増強を求める声が出る。しかし補正予算や税制は、内閣や行政組織の中だけでは完結しない。国会で議論され、最終的には政治が決める。金額が大きいほど政治の判断と影響は大きくなる。だから最終的には政治が変わらなければ物事は良くならない、というのが田中氏の立場である。
高橋氏は、政治が適当に決めないようにするためにも、後から見るぞという強い体制が必要ではないかと重ねて主張した。これに対して田中氏は、国会の審議にも注目してほしいと応じる。決算の議論は予算に比べて圧倒的に少ない。参議院の決算委員会はNHKで初日と最終日が中継されるものの、予算を先に審議し、決算の審議は4月以降になる。そのため決算で問題が指摘されても、翌年度の予算はすでに議決されている。検査結果を予算に反映させたいなら、決算の審議を踏まえて予算を審議する順番にしなければならない。現状では、反映されるとしても2年後になってしまう。
高橋氏は、それでも2年後に指摘されると思えば立案時に効果を考えるはずだ、と述べた。田中氏はその点の重要性を認めたうえで、会計検査院の情報発信が足りなかった部分もあると振り返る。国民にもっと分かりやすく報告し、メディアにも取り上げてもらう努力がさらに必要だという。
職員の仕事は「帳簿を見る」だけではない
最後の話題は、会計検査院の一般職員の働き方だった。田中氏によると、職員は月曜から金曜までの1週間単位で出張に出る。かつては毎週のように出張していたが、今は月に2週以内だという。仕事内容も、会計処理をずっと見ているというイメージとは違う。重装備で山奥に登り、鹿よけの柵が安全に設置されているかを確かめる。高速道路のコンクリートの強度を調べることもある。
田中氏はさらに、5兆数千億円が使われた持続化給付金に話を向けた。大量に配ることは非常に大変な仕事だと述べたところで、今回の字幕は途切れている。冒頭の抜粋で示された多重下請けの問題は、この持続化給付金の検査の話から続いていくものとみられる。
日本一って言うのかな、地味な会計検査院。地味なんだけど、めちゃくちゃ僕、大事だと思ってるんですね。国会、裁判所、内閣ってありますけど、第4の権力みたいな感じでも言われるぐらい独立性が高くて、会計検査院長もあれですよね。天皇陛下にこうやって認証されるんですもんね。
大臣や特命大使、あるいは最高裁判所の方々と同じ認証官と呼ばれるものですので。
会計検査院が10倍になれば、税金ってもっと有効活用できるんじゃないかって、いつも常々思って。本当に大事だと思って。
昨年の3月まで会計検査院長、トップを務めておりました田中弥生と申します。持続化給付金の時に多重下請け問題っていうのが出てきたんですよ。何層あるのかって調べたら9層。
9次請けってことですか? そんなことあるんですか?
他にも多重下請け問題が出てきてるんですね。
何が出てきたんですか?
電気・ガス補助金。博報堂が320億円で受託しています。
博報堂が90億円、ここで持って、その下で200数十億円が博報堂プロダクツで、さらにその下、その下。本当、博報堂の社員が管理するだけで、なんで100億円抜くんですかね。そんなのばっかじゃないですか。多分それ、全省庁のあらゆる発注にある構造だと思うんですよね。俺は民間利用者として思うんですけど、企業は悪くないっす。その制度を許してる政府が悪いんで。
だから俺、会計検査院がもっと人を増やして力をつけた方がいいんじゃないかって言ってるんですけど。会計検査院が権力を持つってありますけど。
今日は、日本一って言うのかな、地味な会計検査院。地味なんだけど、めちゃくちゃ僕、大事だと思ってるんですね。
ありがとうございます。
本当に大事だと思って。会計検査院がもっと10倍になれば、税金ってもっと有効活用できるんじゃないかって、いつも常々思って。たまにReHacQでもそう言ってるんですけども、本当、超大事な役所である会計検査院の会計検査院長を務められました田中さんにお越しいただきました。よろしくお願いします。
ありがとうございます。よろしくお願いします。
初登場ということで、簡単に自己紹介の方をお願いしてもよろしいでしょうか?
今ご紹介いただきましたように、昨年の3月まで会計検査院長、トップを務めておりました。今は東京大学公共政策大学院で客員教授を務めさせていただいてます、田中弥生と申します。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。会計検査院は、国会、裁判所、あと内閣ってありますけど、第4の権力みたいな感じでも言われるぐらい独立性が高くて、会計検査院長もあれですよね。天皇陛下にこうやって認証されるんですもんね。
そうなんです。
大臣みたいなもんですよね。
そうです。大臣や、あるいは大使ですね、特命大使。あるいは最高裁判所の方々と同じ認証官と呼ばれるものですので。
めちゃくちゃ大事な役所ですと。税金の使い道をチェックするので、すごい高い独立性が求められているものの、地味であると。これ、僕、昔公務員を目指してたんで。
そうですか。
官庁訪問のリストとかあるじゃないですか。あと採用人数を見ると、会計検査院ってまず考えないし、知らないし。なんだけど、毎年1人ぐらいあるんで、興味ある人は行くんですよね。なんだこれと思って。大体、会計検査院がマイナーで、人数少ないですよね。1とか2とか。
4人ぐらいですね、最近は。
4人か。
はい。
人数少ないから知られてないっていうところがあると。だけど、税金の使い道のチェックは本当は大事なんで、大事な役所だと思うんで、何やってるのか、普段どういう課題なのかとかを聞いていければと思います。
はい。
会計検査院のまずお仕事って、どんなことやってるのか知らないと思うんですよね。何やってるんですか?
これは国の収入支出、それも決算、使った方から全て漏れなく、例外なく検査をして、その検査結果を内閣を通じて国会に報告し、国民に説明をするというのが基本的な役割ですから。これは大隈重信が実は作った組織で。
私の祖校である大隈ね。
財政監督機関とも呼ばれています。
はい。大隈重信さんが、明治2年って書いてありましたっけ? 何年ぐらいでしたっけ? 監察司から始まりましたっけ?
これ、おっしゃる通りで、ちょうど江戸幕府から明治政府になったばっかりなんですけども、明治2年に、いわゆる今で言うその機関が京都から移ってくるんですよ。
はい。
移って、いわゆる今で言う財務省、当時、大蔵省に匹敵するものなんですが、そこのナンバー2になったのが大隈重信なんですね。大隈重信がその組織の仕事を見た時に、「これはあかん」って最初に言ったのが、要は予算を作って支出をするところと、それをチェックするところが同じところにあるのはまずいと。なので、監督機関は別立てにしなさいということで、これ、大蔵省の中なんですけれども、別部署にしたんです。これが会計検査院の始まりになります。
江戸時代、その前の江戸時代の幕臣たちがその任になってたみたいなことが書いてありましたけども、江戸時代は勘定方とか勘定奉行みたいな人たちいたじゃないですか。そこがチェックもやってたんですか? 同じところがやってたんですか?
これはね、でも京都に1回戻ってますから、ちょっと私の……。
江戸の後か。
そうです。移った後で、京都でいろいろやったんだと思いますけど、組織を作ったんだと思います。少しずつ東京の方に戻していく。
ですよね。
まだ財政の制度もしっかり整っていないところで、ただやっぱり、どう確保するのかっていうのは非常に大事でしたので、真っ先に東京に、明治2年に移ってきたと。
分けた方がいいと。それ、今考えれば当たり前だけど、当時そういう概念がなかったんですかね。
なかったと思いますね。そういう中でもなんとかやりくりをしようと思った時に、当てにしていた、江戸幕府から引き継がれるだろうと思ったものはあまりなく、お金を借りていて。お札を刷ってみたものの偽札が横行するということで、まさに財政の仕組みがまだまだ整ってない時代から、チェックをするところ、監督するところが必要だということを大隈が言って、その機能をちゃんと持つ組織を作ったってことですね。
それは今考えても本当そうなんですけど、当時画期的なことであって。その後、大日本帝国時代ですよね。どんな歴史を経て今に至るんですか?
そして、明治、1880年ですか、明治12年か13年、後でチェックしますけども、そこで明治憲法ができるんですよね。そこで初めて憲法上に、大日本帝国の憲法に記された憲法機関として会計検査院が誕生するんです。一般には会計検査院はここを会計検査院の起点として説明して、間もなく140年を迎えるという言い方をしています。
ただ、ここに至るまでにも結構ドラマがありまして、さっき大隈が作った、監察司って言うんですけども、これが廃置の時に廃止になるんですよ。
なるほど。
これに対して意見申し立てをしたのが伊藤博文。
有名な人いっぱい出てきますね。
出てきます。これ絶対なくしちゃいけないということで意見書を書いて、自分がアメリカで勉強してきたことを添えて提案するんです。2か月後に名前は変わりましたけど、会計検査の機能を持った組織がカムバックしてくるんですね。その時のモデルというかは、伊藤の提案っていうのがかなり生かされているんです。
その後、ですから明治憲法の前までの話になりますけども、今度はもっと独立した組織になりたいということで、内閣の下に、今で言う太政官って当時は言うんですけど、内閣ですね。その下に、大蔵省と共に同列の省庁として会計検査院が設立されるんですけども、それでも十分じゃなかったんですよ。
というのは、会計検査が指摘をしても、結局その上司であるのは総理大臣なんです。そこに嫌だって言われてしまうと拒絶されちゃうんですよ、指摘が。そういうことがありましたから、憲法が成立する時には、会計検査院は内閣の下で横並びではなく、その上、独立したところがいいということで、天皇陛下直属になったんです。
横並びだとね、指摘できないですから。
そうです。
その「院」って、だから省庁って僕言いましたけど、「庁」ってイメージで、病院みたいな感じでみんなイメージしてるじゃないですか。「院」ですから。
そう。「院長」って言われると、「病院ですか」って言われるんです。
そうですよね。なんで「院」なんですか? やっぱりそういうところ関係してるんだろう。なんで「院」なんですか、会計。
でも人事院って言いますし、これ、明治の頃の制度設計とかガバナンスの名称から来てるものがあると思います。検査の、憲法に記されてる条項はちょっと変わりましたけど、会計検査院法については、実は明治時代に作られたものからかなりそれを生かされてるというか。ですので、意外と明治時代に作られたものが日本国憲法になっても使われている、引き継がれていると思いますね。
なるほどね。こちらの本、『税金はどこへ行くのか 元会計検査院長が見た「日本の財政」』に、会計検査院の歴史もかなり詳しく書いてあったんですけど、田中さんが尊敬なさってたのが第3代の渡辺さん。渡辺さんはどういうことをなさったんですか? 会計検査院って明治時代にそうあったんでしょうけど、明治時代から1945年までずっと戦争してるじゃないですか。だから、なかなか戦争っていうと軍部の反発が大きかったんじゃないかなと思うんですけど。渡辺さんってどういう方だったんですか?
まさにそこなんですよ。まず1番最初は枢密院と戦う、大蔵省と戦って、枢密院と戦ってって順番があるんですけどね。なんと言っても、木戸孝允とか、あと、誰でしたっけ、海兵隊の……。
海兵隊。
誰でしたっけ? 名前が出てこない。西園寺とか。
元老の人ですか?
坂本龍馬。
坂本、ああ。
とかですね。この辺、仲が良かったんですよね。そして剣豪なんですよ。彼が、本当に武士みたいな人でね。まず、これ本に書いてないんですけど、憲法の起草案を見たんです。読んだんですよ。会計検査院、なかったんですよ。
それで彼は怒りまして、自分で法案を書きまして、「伊藤はどこにいるんだ」って言うんですね。伊藤って伊藤博文です。ちょうど新橋から大阪に汽車で向かう時だっていう時に、タクシーではなくて馬を飛ばして。それで伊藤ってもう汽車に乗ってるんですけど、「これ見てくれ」って言うんで。「憲法に必ず会計検査院を載せてくれ」。それで載っかったんです。
ほう。その人の力で載っかったのか。
そうです。伊藤博文とも仲良かったんだと思うんですよね。そして、じゃあ起草されます、会計検査院というもののガバナンスですね。これどう決めるのかって言った時に、実は大蔵は、元々大蔵省の一部みたいなもんでしたからね、フランス型のガバナンスを推奨していたんですよ。
フランス型って何なんですか?
フランス型っていうのは、実は検査をするだけではなく、司法官と言いまして、裁くことができるんですね。裁判所の役割を持ってるんですけど、その2つの機能を持たせるタイプ。これフランス型なんですが、これがいいというのが大蔵の提案だったんです。
渡辺はドイツがいいって言ったんですよ。ドイツ型、プロイセンって言うんですけれども、それがいいということで。でも実は大蔵の方が先に提出してたので、これに反発するために、渡辺はドイツに、スタディツアーじゃないですけど、調査を引き連れて勉強しに行くんですよ。それで日本に戻ってきて、提案書を出して、ここでやり合うわけですね。最終的にはドイツ型、自分たちの点を通すんです。
裁判官的な機能がなくなったわけですね。
そうです。ちょうどその時に、自分の調査ツアーですね、ドイツに連れて行ったのが、ドイツ文学の専門家であった平塚らいてうのお父さん。
へえ、一緒に行った。
そうです。検査官だったんです。
検査官だったんですか。らいてうのお父さんって会計検査院の人だったんですか?
そうです。それで戻ってきて提案をして、提案が通りました。今度はいよいよその文案を通して、国会に通してっていうことをするんですけども。ただ枢密院ですね、ここが1番の最高の意思決定機関に近いところなんですけども、ここが、天皇陛下に直属であると、まるで会計検査院が天皇陛下の言葉を代弁してるように見えるから、これは却下って言われたものを、これも戦ったんですよ。
なるほど。
それで最終的には、もしこの天皇陛下直属というのを、「直隷」というのを除いてしまう、削除されたら、もう会計検査院は骨抜きになるって言って、それで通しました。
天皇陛下直属だったんですか?
そうです。
かなり強いですよね、それは。
そうです。しかも報告書は天皇陛下に提出するってことになって。
天皇陛下、読んでたんですかね。一応目を通してたのかな。
ちゃんと説明を聞いてらっしゃると思います。
その中でも渡辺さんのエピソードで出てきたのが、渡辺さんが日清戦争のお金、本当にちゃんと使われてるのかい、無駄に使ってるんじゃないのかい、みたいなことを、周囲に反対されて、天皇陛下に報告書を出しちゃったんですよね。
そうなんです。
なかなかですね、それは。軍部、怒って暗殺しそうじゃないですか、そんなことしたら。
だから国会で大騒ぎになったんですよ。それで、当時検査官っていう、いわゆる取締役会みたいなものですね。それを構成する取締役たちっていうのが10数名いたんですけど、やめた、辞職したんですよ。それが当時の国会で問題視されて、渡辺は辞職するんです。
初めから辞職するつもりで出してたんですか、それは。
常にそういう覚悟を持って議論に臨んでたんじゃないですかね。侍ですからね。
その後のことがやっぱりちょっと気になるんですけど、日清戦争の時、そういう骨のある方がいたんでしょうけど。日清戦争は勝ったからいいとして、第2次世界大戦、どんどんお金を使ってハイパーインフレになっていくじゃないですか。その時に会計検査ってどういう役割を果たしたのか、ちょっと興味深いんですけど、それはどうなんですか?
それはまさに日本国憲法90条の文言にも深く関係するところなので、大事なご指摘です。実は第2次世界大戦が始まると、そもそもあれって当初予算じゃないんですよ。全部、臨時軍事費特別会計って特別会計なんですよね。そして、これは決算がないと。
出た。
決算は戦争が終わった時ってされたんですよ。
それだとチェックできないですね。
でも会計検査院は自分たちで4月、3月って区切って、毎年検査に行ってたんです。
行ってたんだ。
行ってます。ところが、だんだん例外規定が入ってくるんですね。それがいわゆる機密費と、それから出る時の費用ってあるんですけど、会計検査免除とされたんです。でもそれ以外は検査できましたので、当時でも満州まで行って検査をしたりしてます。
満州までチェックしに行ってたんですか?
行ってました。ですから、全てではないんですけれども、検査報告は一部ありましたので、その後裁判が始まった、GHQの裁判が始まりますけど、その時にも大事な資料になったんです。
証拠になってるんですか。
はい。
でも、こう膨らんでいく。戦争中のチェックなんて意味ない。意味ないっていうか、そんなに大きな、「これ無駄遣いです」って指摘はできないですよね。
非常に難しかったと思いますね。ですから、第2次世界大戦後にできた日本国憲法90条には、国の収入支出は全て毎年この決算を検査するって書いてあるんですね。この中でとても大事なのが「全て」「毎年」なんです。「全て」ってことは例外がないということです。それから「毎年」っていうのは、戦争が終わらなければ決算がないって言われてたわけですから、それはちゃんと区切りますよっていう、そういう意味です。
それで言うと、ちょっと時事的なものに一気に引き寄せて恐縮ですけど、高市さんが単年度で考えるのをやめるっていうの、あるじゃないですか、予算の考えを。あれはどういうふうに影響してくるんですか、会計検査は。
私も外の人間になってるので、迂闊なことは申し上げられないんですけれども、複数年度の案件ってずっと昔からあるんですよ。だけど、ちゃんと会計報告書っていうのは年度で出していますので、それを見ていくっていうことになると思いますので。
検査の仕組みとしてドラスティックに変わることはない。
ない。ただ、作りが甘くなるとかね。そうすると検査もしにくくなるっていうことはあるかもしれないです。
そこはちょっとチェックしていかなきゃいけないかもしれないですね。わかりました。第2次世界大戦の経験とかもあって、全ての予算をチェックするのが憲法90条で規定された今の会計検査院であると言った時に、いつも疑問なんですけど、100兆とかの予算をちゃんと効率的かどうかとかチェックするんだったら、会計検査院の人数、やっぱり足りないと思うんですよね。必ずね。
絶対できない。1250人なんです。
少ない。だって財務省って何人ぐらいですか?
財務省もそんなに多くはないですよ。
多くないか。採用してる人数比で言うと、多分10から20倍ぐらいだと思うんですよね、1年で。数倍はいると思うんですけど。
あと、いわゆる外局じゃないですけど、国税庁とか地方採用もありますので、規模は全然違うと思いますね。
だって、効果的に予算が使われてるかとか、本当は全部の予算をやってほしいじゃないですか。謎のお金いっぱいある。これ効果的かって検証するのって、予算をつけるより結構難しいじゃないですか。本当に効果的だったのかって検証するの。検査の基準も5つ出てきました。後でご紹介いただこうと思いますけど、一応、効果的に使われてるかどうかっていうのも見るわけですもんね。
有効性っていう観点なんですけどね。それは見ます。当然見ますし、1番おそらく国民としては関心の高い観点だろうと思います。
無駄遣いかどうかっていう。それ、人足りてるんですか?
足りるようにというか、それで間に合うように検査計画というのを作っていますが、確かに全国津々浦々、教育委員会まで、ものによっては国費が流れますので、これを全部かって言った時に、一遍に1年間で見るっていうことは物理的に不可能なので、少しローテーションを組みながら、数年かけて一巡するというようなやり方もありますし。でも1番大事なのはデジタル化ですね。
おお。
いきなり現場に、現地に行くのではなくて、ある程度、全体の傾向だとか異常値だとかというのをデータで分析した後に、戦略的、効率的に実地に行くというように、できるだけ進めていました。
興味深いですね。有効性って1番気になりますけど、有効性も含め、税金ってどういう基準でチェックされてるのか、教えていただいていいですか?
5つの観点がありまして、1つは正確性ですね。これは、それこそ計算を間違ってないかとかっていうところですね。
計算間違いないか。
あと合規性。これは規則違反、ルール違反、法律違反がないかというところです。これは実は最もオーソドックスな検査院の基準ですね。「間違ってないですか」「これ、何か違反してませんか」っていうところなので。これはよく、違反してる場合にはもう不当っていう判断をして、お金を返してもらうっていうことをしているところです。
その他に、実は3つのEの検査って言われているものがありまして、これが経済性、効率性、有効性なんですね。経済性っていうのは、同じお金であれば、同じことをするんであればもっと安く、同じお金であればもっと違うやり方で節約できたんじゃないかとか、あるいはこのやり方だったらもっと効率的にできたんじゃないかっていうようなところ。経済性と効率性は表裏一体なんですけども、この観点。それから政策の目的に照らし合わせて、ここで投じたお金っていうのは本当に効果を上げて目標を達成したんですか、というのが有効性の観点になります。これが5つの観点。
上の2つ、正確性と合規性は、法律どおり粛々とやっていただければ国民も納得するところで、3つのEの方がやっぱり国民の関心が高いと。税金が正しく使われてるのか、効率的に使われてるのかっていうのは、1番興味深いところじゃないですか。これどうやってチェックしてるんですか?
これは基本的には、統計的に、あるいは客観的にエビデンス、データを用いた上で判断するということになります。ただし、この分野はまだまだ改善点というか、開発の余地が多いところで。この3つの観点は世界中の会計検査が掲げているところで、今もどうやったらこの効果を測定できるのかっていうのは、どこも試行錯誤を続けてると思います。
これ、最近、自民党の議員さんがしきりに言うEBPMっていうのは、まさに会計検査院が本当、一義的に担うところなんですよね、おそらく。
総務省の政策評価局もありますしね。それから財務省にも予算執行調査があり、それから内閣官房には行政事業レビューというのがあって、ここも見ていますので。会計検査院だけではなく、今言ったチェック機関、それから元々、政策立案そのものをEBPMでやりましょうってことなので、全霞ヶ関で意識していきましょうってことに今なってます。
なるほど。ここ、具体的にはどうやってその3つのEをチェックしてるんですか? なんか、裸で言うと、会計検査院が悪いとかじゃなくて、僕は人が足りてないんだろうなっていうあれなんですけど、結構、効いてない政策ってすごいあるな。しかも大量に。しかも石を投げれば結構当たるな、みたいな印象なんですよね。巨額の予算をかけてYouTubeの動画を作ってる割には再生回数20回とか。
自分もその商売で関わったり、例えばうちも1回補助金を受けたことありますけど、俺が受けた補助金、本当に国に効果があったかどうかっていうと、本当に自信を持って「ない」って言えるんですよね。それも含め、やっぱり結構甘々なんじゃないかというふうに若干見てて思うんですよね。僕、メディアだからそういうことを言ってますけど、事業者としては甘々でいてほしいというか、それはお金をもらえるんだったらそれでいいから、いいんですよ。だから結構いいなと思うんですけど。その辺り、これどうチェックしてるんですか?
じゃあ1つ、具体的な例を示した方がいいですよね。ここに租税特別措置、賃上げ税制なんですけれども、これで説明をしましょうか。
はい。租特ね、去年、維新と連立して租特を減らすぞって言って、僕のイメージだと1個しか廃止にならなかったな、みたいなイメージだったんですけど。1個廃止になったんですよね。
それがこれなんです。会計検査に指摘されたのでやめますということで、片山大臣が去年の11月ですか、宣言されて、本当に止まってはいるんですけど、まだまだ数百個ありますので、今後注目していただきたいんですが。5ページを見ていただけますか?
租税特別措置とは、そもそも何なんですか?
租税って実は原則がありましてね。というのは、強制力を持って高橋さんから「税金払え」って取るわけじゃないですか。もし払わなかったら、ここは違反になるわけですよね。追徴金が来たり、いろんな罰則も伴うということで、強制力を持ってお金を取ってるわけ、いただいてるわけですよ。ですから、やっぱり公平に、それから中立に、簡素に、税金の制度というのは設計し、運営しなければいけないっていう大原則なんです。
公平、中立、簡素。
公平、中立、簡素が大原則です。その例外が租特なんです。租税特別措置です。というのは、特定の対象者を、特定の政策目的のために、税の恩典ですか、減税ですね、をして、それで事業をしやすくしてあげる。その分成長してよねっていうようなことですね。そういった特定の対象に対して租税の恩典を与える。ですから、公平性の原則から例外なんですよ。反するんですね。
はい。
こういった特定の者に対して恩典を与えるからには、税収としては減るわけですよね。その分だけ政策効果を上げてくださいというのが、大原則の約束なんです。ですから、この租税特別措置に関しては、ちゃんとその効果が上がったのかを担当の省で検証する。そして、それを公表し、国会に提出しなければいけないというのは義務付けられてるんです。
はい。
じゃあどんなものかと言うと、5ページを見てください。5ページを見ていただきますと、法人税、左側のこの白いところですね。これは普通に法人税を払わなきゃいけない時の額なんですよ。ところが賃上げ税制って、これ安倍首相から始まってるんですけど、なんとか賃上げをしてもらいたいということで、インセンティブを提供した時に税を安くしてあげるって話だったんです。
ですから、この下の方に薄いグレーがありますけれども、これは賃上げをした分だけの一定割合を、この法人税から引いてあげるって話なんです。その分1個減ります。さらに、でもなかなか賃上げが実現しなかったんですよ。何年もやってたんです。次にさらにインセンティブを足したんですね。それがより濃いところでありまして、これが教育訓練を去年よりも20%増やしたならば、賃上げをした分から数%、5%とか、それをまた税金から、法人税から引いてあげる。
だからこの薄いグレーと黒いグレーですね。これ、教育訓練までやると両方減税してくれるって話なんです。ですから企業にとっては税金が減りますよね。国にとっては減収になります。これを提案したのは経産なんですけれども、経産は、この薄いグレーと濃いグレーのところ、この分だけの政策効果が上がったのかということを説明しなければいけないことになります。
これは政策評価においても、それから税法においても、それから国会からも、これ義務付けだということで厳しく言われていると。
お金減ってますからね、収入が。
はい。ところが、会計検査院で調べたところ、全く評価されてなかったんです。
経産はなんて言ってたんですか?
定量化ができないって言ったんです。
経産は定量化ができない。
はい。ところが、そもそも会計検査院は随分以前からおかしいんじゃないかと思ってたのは、この制度、去年から今年の教育訓練費ですよね。だから、ReHacQの社員さんに何か訓練しました。どこかの業者さんにお金を払いました。去年に比べたら、例えば去年は10万円だけど、今年は12万円だったら、2万円でも法人税が減るわけです。しかも給与を増やした分の5%ですから、結構なお金ですよ。そうすると、5万円、去年から増やしたのに1000万円、法人税が減税されているっていう企業が出てきてたんで、これちょっと歪んでないですかっていうことで着目はしてました。
おかしいんじゃないかと。
そうです。そして実際に検査を始めた時に、じゃあこの経産の検証ですね、これどうなってるのかと思ったら、定量化ができない。誰もやってなかったんです。でもそれ、おかしいと思いました。なぜならば、元々この租特を、こういうことをやるので認めてくださいっていうのを財務省に提出して、最終的には国会が承認するんですけど、その根拠、まさにEBPMです。根拠が、論文があったんです。
ある経営学者の先生が、教育訓練をすると、リスキリングですよね、生産性が上がって、そして売り上げも上がるので、ここは給与、賃上げに相関があるっていう論文だったんです。定量的な分析がされてたんですね。これ使えば検証できるじゃないかと。
確かに。
なのに、定量化なんていう言い訳だったんです。
なんでそう言うんですか?
もう苦し紛れ。
苦し紛れ。
怒られちゃうかもしれないですけどね。
気になってなかったってことですよね、要は。
はい。その論文で、会計検査院は全部、この先生が使っているモデルそのまんまです。そして国税庁と、それから経産が持ってる企業データですね、これを突き合わせて、このモデルどおりに全部試算をしていました。その結果、20ページをご覧ください。
このグレーの方ですね。これは実際に減税した額です。そして白いところは会計検査院が計算した効果です。これ、効果検証しやすいのは賃上げがどのぐらいになったかじゃないですか。それで見ると、こんなに下がるんですよ。だから実際には、本当の効果よりもかなり大きく減税しちゃったねっていうのが、出ているということです。
これって、先生、質問です。これは予算立案の段階で仮の計算すればわかることなんじゃないですか? 財務省か経産でもいいんですけど。
ただ論文の方……。ああ、なるほど。ちょっと過去に戻ってね。
過去に戻って。だって、おかしいんじゃないですか? 指摘される前に、これわかるじゃないですか。
そうですね。この先生がやったデータと別に取ってきてやる。最近の直近のデータでやる。
直近のをそこにぶち込んでやればわかること。
事前のチェックですよね。
そもそも予算の立て付けがおかしいんじゃないかっていう。
これ、かなり急いで成立してるんですよ。ですから、そこまで精緻な事前のチェックはされていなかったんだろうと思います。その証拠に、会計検査院が「どうして効果検証がないの」って言った時に、定量化ができないって言ってるわけですから、おそらく定量的な事前チェックはしなかったんだと思いますね。
半分気持ちもわかるというか、危機の政策課題に対して急いで政策って大事なんで、わかるので。ゆえにやっぱり決算とか会計検査院のチェック、大事だと思う。これが全部に適用されていけば、相当、自分を律して予算立案してくるじゃないですか。やっぱり会計検査が弱いと、運悪くチェックされたやつだけ廃止すればいいやって、適当にやりそうじゃないですか。だから会計検査、強くやらないといけないんだなと思うんですけど。これに関しては、経産は定量化ができないと言っていた。チェックしたら、どれくらいの無駄があったんでしたっけ?
減らした分が157億6871万円ですね。この差額ですね。
これがもったいない分。
はい。そういう意味では、高橋さん、すごくいいことをおっしゃってくださったんです。関連でそういう議論をされているんですけども、まさに事後だけじゃなくて、会計検査自体も、政策立案の段階でEBPMでおっしゃるような検証をした上で、法案を成立させるっていうのが望ましいですね。
望ましいですね。というか、力学的に絶対できなそうだから、やっぱり会計検査院が「サボると後からやるぞ」っていう恐怖が必要な気がするんですけど。でもあれですか、会計検査院って、多くの政治とか業界団体からしたら邪魔じゃないですか。その予算を減らさないでくれってみんな思ってるじゃないですか。やっぱりそんなに重要視してくれないんですか? みんなどうなんですか? 力をどうやって持ってるんですか、もっと。
政治的に、特別にどこかの先生が支援してくれるっていうのは一切ないです。
ないです。できれば目をつけないでくれと思ってるから、できれば力を持たないでくれと思ってると思うんですよ。
それと、やっぱり会計検査院はものすごく独立性を重んじてるんですね。それは、そうであったように、どこからも介入されずに、自分たちの観点に基づいて、歪めずに検査報告を最後まで書き続けて提出をするっていうところをやり続けたいんです。
本当に独立性って保たれてるなと思ったのは、私、ここに来る前までに国立大学の評価をしたり、あるいはJBICってありますけど、貸付専門のODAを扱っている銀行ですね。
国際協力銀行。
そうですね。あそこの評価室で仕事をしたこともあるんですけども、やっぱり官庁がいろんなことを言った時に調整をしなければいけない。相手国が何か言った時に調整しなければいけないっていう、調整っていうのは付き物なんですよ。場合によっては、評価室の担当職員としては違うんじゃないかなと思っても書き直すっていうことは、具体的には申し上げられないんですけれども、ゼロじゃなかったですよね。ところが会計検査院って、私5年半いましたけど、その経験ないんです。
独立性、高く担保されてるのか。それはすごい素敵なことですね。
ですから、職員がいわゆる業務説明ですね。新卒でこれから来るかもしれないっていう人たちに、学生に説明してる時に、「皆さん、ここは良心の呵責なく仕事できるところですよ」って説明してたんですね。それは、自分の正義感があって、横やりを入れられないでまっすぐ仕事ができるという意味で使ってたんだと思うんですよ。独立性がとても強いので、だからこそまっすぐ報告書を書けてるというところがあります。
ただし、何か自分たちの会計検査院法を変えなきゃいけないとかになった時に、味方の、特定の党だとか先生とは関係っていうのを作ってないですから。
もっと予算を増やして、人員を増やしたいっていうの、誰も応援してくれないですよ、多分ね。
そうですね。ただ、この人員を増やすっていうことについては、私、賛否両論あると思っているんですね。何か問題が起こると、国会でも特に野党から、会計検査院の権限をもっと強くするべきだ、人員を増強するべきだっていう意見は出ます。
出るんですけどね。例えば後でもきっと話題に出ると思うんですけど、補正予算とか、あるいはこういう税制っていうのは、いわゆる内閣の中、あるいは行政組織の中だけで完結しないんですよ。要は国会で議論されて、最終的には予算って政治が決めるんですよね。額が大きければ大きいほど、やっぱり政治の判断や影響っていうのは大きいんです。ですから、最終的には政治が変えてくれないと、物事は良くならないと思います。
でも、その政治が適当に決めないように、予算をつけるのはいいけど見るぞっていう体制が巨大にできてないと、やっぱりきつそうですよね。適当に賃上げみたいにできちゃうんじゃないですか。
どこまでこれをご理解されて国会の場で議論されてるかっていうところも注目してほしいんです。あまり決算のご議論っていうのは、予算に比べて圧倒的に少ない。
決算委員会みたいな、参議院が力を入れてるふうではありますけど、決算委員会、NHKってやってるのかな?
やってます。初日と最終日、特に初日はもうフルでやってくれてはいますけどね。でもよく考えてみてください。最初に予算の審議をするんですよ。その後、4月以降に決算の審議ってなります。そうすると、PDCAとよく言いますけど、こっちダメだって言って、もう予算が決議されちゃってるんですよ。本当に決算検査を予算に反映したいんであれば、これは決算の審議をした後に、それを参考にしながら予算の審議をしていただく。
前にしないと本当はいけないのか。
そうなんです。だから、Nプラス2年、2年後になっちゃうんですよ、仮に反映していただくとしても。
本当だ。もうちょっと前にやった方がいいけど、でもそれでもやらないよりは、2年後に怒られると思えば、ちゃんと立案する効果が必要ですよね、予算時に。
はい。それはとても大事ですし、そこはね、会計検査院、非常に地味だっておっしゃってましたけども、情報発信が足りない部分もあったと思いますので、もっと分かりやすく国民に報告をする、あるいはメディアに書いていただくっていう努力はもっともっと必要だと思います。
会計検査院だから、毎年ちゃんと騒いだ方が僕はいいと思ってるんですけどね。
ちなみに、去年、高市さんの政権でかなり、片山さんかな、租特いっぱいやるぞと、日本、どうでしたっけ、みたいなことやるぞみたいな感じで、旗振った割には1個だったかなっていうのは世間の印象だと思うんですよ。実際にもっと見てみて、全部見てみてダメだったのか、やっぱり見るだけの時間とかそういうのがなかったのか、どっちなんですか? これは全部見たんですか、一応。
租特を所管してるのは、これ当然財務省になりますので、リストは持っているでしょうし、そこの中でどうだっていう話で、去年の11月頃というのは。
ただ、私、この田中さんの話でしたっけ? その高市政権の時は田中さんがお辞めになった後で。
はい。私、去年の3月に辞めてますよ。これは去年の1月に出してるんです。
これ、さん時代ですね。
はい。それで、11月にはこれを元にして、じゃあもうやめましょうっていうことになってますね。
租税特別措置につきましては、この本の中でも書かせていただいたんですが、当然私も高橋さんと同じように、他どうなってるんだっていうのを知りたいんですよ。平成26、27年ですかね、会計検査院が法人税とか所得税とかでっていうのをオーバービューしようとしたんですね。その時、380個ぐらいあるってなってたんで、今いくつなのっていうのを調べようとしたんですけど、分からない。
分かんないってすごいですね。なんで分かんないんでしたっけ、それは?
多分、その分類が難しいんだと思いますね。こっち農業にも関係して、なんかにも関係してるとか、賃上げにも関係しているけど教育に関係してるとか、複数にまたがっていたりするので、その分類が難しいのかもしれませんが、これはぜひ、私たちの税金ですからね、出してほしいと思いますね。
検証できない状態ってことですもんね、だから。
そうです、そうです。
それもなかなか謎な、謎な金の使い道ですよね。
でもね、いくら減税されたかっていうのは必ず分かるはずですからね。こういうふうに、このシンプルな免税額だけでもこうやって出てくるわけですから、これは出してほしいですね。しかも、この中には複数年繰り返してっていうのがあるんです。これ5年とか3年期限なんですけど、それを何回も繰り返してるものもありますので、繰り返す前に本当に有効であったのかどうかは、これは検証するべきだと思いますね。
結果、この租特の賃上げ税制に関しては157億の無駄があって、どういうふうに変更なさったんでしたっけ? これ結論としては。
これは、大企業向けの賃上げ税制に関して、賃上げ、教育、この上乗せですね。これについては廃止だ。
大企業と中小企業があったけど、特に大企業の方が、だからあんまり効いてないっていう話になったんですよね、おそらく。
すいません、これ後でチェックをしたいんですけど、教育の部分だけ廃止したのか、もしかすると、賃上げ税制そのものの大企業向けをカットした可能性があるんで、ここちょっと要チェックです。
はい、こっちじゃチェックしましょう、ディレクターさん。これはその大企業の方を廃止したということですね。こうやって検証して、こうやって計算でできるものがほとんどなんですか? あるいは計算じゃできない、難しい税金の効果検証もあるものなんですか? これが分かりやすいじゃないですか。
例えば農業みたいなものですね。生産性を上げるって言った時に、農家の生産性を上げるって意外と計算難しかったりするんですよね。特に農家さんの場合、費用があったりするじゃないですか。それを会社のようにかっちりつけてるわけではなくて、農家の申告によるとなると、ここをきれいに数字化できるかっていうと、なかなか難しいかもしれないですね。
これ政策分野に関して、今回は元々予算の時使ったモデルで計算なさったと言いましたけど、政策部分に関して、計算のモデルっていうのは元々あるものですか? それを持ってくるんですか?
これ珍しいです。モデルを持ってっていうのはあまりないと思います。
これはパキッといけますよね。
そうなんです。だから、あとはこうなるとこういうふうになるって、オーラルで、口頭で文章になってですね、定性的に説明されてるものとかも結構多いと思いますね。
定性的なものの効果検証ってどうするんですか? 例えば文教政策とか、なかなか難しそうだし、教育とか、国民のなんとかの質の向上とか、特に意識の啓発とか、啓発的な政策いっぱいあるじゃないですか。そういうのどうやって効果検証するんですか、定性的なもの。
すごくいい質問だし、難しいんですけどね。でも、最初から諦めない方がいいと思っていて、やっぱり意識が上がったと言っても、どういう分野、何について上がったのかっていうことをできるだけブレイクダウンをして、例えば高橋さんの、それが意識が上がったっていう状態ってどういうことなのっていうことを聞きながら、その変化の兆しみたいなものを拾い出しながら、指標を導き出していくってことは技術的には不可能ではないんですよ。そうやってやっぱり状況に合わせて、適当な指標ですよね、適切な指標というのを導き出していくっていう努力は必要ですし、ただ、それに協力してデータを出してくれるか問題っていうのは出てくると思います。
それはやっぱり聞くしかないので、それに答えてくれる方がちゃんといるかどうか、そしてその答えてくれてる方が偏ってないかどうかというところも見ていかなければいけないと思います。でも私はそういう意味では、AIっていうのはすごい強い味方になるような気もしますけれども。
なるほど。これは僕、どっちにも反対、賛成もなくて、田中さんのご意見をちょっと伺ってみたいんですけど、それってそもそもやっぱり政策立案の時にやるべきだっていう考えもあるじゃないですか。意識が高まるじゃなくて、ちゃんと数字でなんとかっていう、理解度何%高めるみたいな立案をしないと効果検証できないと思うんですけど、すべきかどうか、どう思うんですか? あんまり数字立てると結構大事なものも逃す気もするじゃないですか。政策立案の時にEBPMっていうなら、本当僕はもっと立てた方がいいなと思う反面、立て方相当難しいだろうなと思うんですけど、そこ、政策立案でかちっと、定性をなるべく排除していく、定量になるべく置き換えていくみたいな発想、田中さんは賛成ですか、反対ですか?
私はどっちも必要だと思っているんですね。量だけ持ってくると、ものすごく経済合理性的というかね、切ってしまって、例えば分布があるとすると、真ん中のところの意見しか取らなくて、両端の違う意見のところが排除されてしまうとかってあると思うんです。そこはやっぱり定量と定性の組み合わせだと思います。ただ、今すごい重要なことおっしゃってるのは、事前の段階でこれやらなかったら、後でデータ取ろうと思っても取れないですよ。
そうなんですよ。事前ではなるべくやるべきですよね。
比べられないので、これ必須です。
官僚の皆さんはそういう意識っていうのは高まってきてるんですか? それともやっぱり効果検証って結構責任を伴うじゃないですか。だからなるべくやりたくないなと思ってるんですか? その会計検査院以外の省庁さん、予算立案する。
今、政策評価法とか行政事業レビュー、これ全部フォーマットに記入することが義務づけられているんですね。必ず書かなければいけないし、それから目標に掲げて、目標を達成するためにどういう道筋があるのか。これロジックモデルって言うんですけど、それも書けと言われているんです。ただ、絵に描いた餅になることがあって、データ取れないってことがあるんです。そこは苦労すると思いますね。
それ、最後検証できるように、データとかを取れるように初めから制度設計しておかないときついんですかね。
ただ、やっぱり対人サービスとか、対国民、生活者を相手にした時に、それはなかなか難しいことだと思いますね。
なるほど。そこまで会計検査院の仕事と、具体の租特の賃上げ税制のことを具体的に挙げながら教えてもらいましたけど、会計検査院の仕事はちょっと分かってきた気がします。普段職員さんってどんな1日送ってるんですか? 検査官、結構幹部じゃないですか、取締役みたいな。会計検査院に官僚として勤めると、職員さんとして勤めると、どんな仕事が待ってるんですか?
はい。出張の1週間っていうんですけど、月曜日に始まって金曜日に終わるんですよ。
1週間出張行ってるんですか?
昔は毎週毎週出張に行ったらしくって、今は1月に2週以内。
そこに行くとどんなことやってるんですか、普段?
会計処理をずっと見てるって思われますでしょ? そうじゃないんですよ。重装備で山奥登って、鹿よけの柵が安全性保たれているか、高速道路のコンクリートの強度が大丈夫かとか、全部調べてるんです。
そういうのもやってるんですか?
はい。持続化給付金って覚えてらっしゃいます? 5兆数千億使ってるんです。
みんなもらってましたもんね、実態ないのに。
たくさん配るってすごい大変な話なんですよ。
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