画面のないUSBオシロ「PicoScope」は実用になるのか 8チャンネル機6824Eで検証する
イチケン / ICHIKEN電子工作系YouTuberのイチケンが、イギリスのPico Technologyが販売するUSB接続型オシロスコープ「PicoScope」をレビューした(動画はPico Technologyの提供)。本体にディスプレイがなく、パソコンに接続して専用ソフトで操作するタイプである。ハードウェアの構成、ソフトウェアの操作感、性能、独自機能を順に確かめ、従来のベンチトップ型との違いを探っている。使用した機種は8チャンネルの「PicoScope 6824E」だ。
Pico TechnologyはPCベースの計測器を得意とするメーカーで、オシロスコープのほかにデータロガー、ネットワークアナライザー、自動車用の診断ツールなどを展開している。どの製品もパソコンにつないで使う前提になっている。
外観と入出力端子
ディスプレイがないぶん、本体はかなり小さい。イチケンは、波形取得の基本機能とパソコンとの通信だけを載せればよいので、ここまで小型化できるのだろうと見ている。外装は基本的にプラスチックで、モデルによって異なる。今回の6000シリーズは冷却を重視し、筐体の一部をアルミのヒートシンクにしている。
正面にはアナログ入力が8チャンネル並ぶ。入力抵抗は1MΩと50Ωの2種類で、イチケンによればミドルレンジからハイエンドのオシロでよくある構成だ。ただし最大入力電圧は±20Vである。他社製オシロの1MΩ入力は300V RMSであることが多く、それと比べるとかなり低い。8チャンネルのうち両端のA、B、G、Hは通常のBNC端子で、中央の4つはアクティブプローブへの電源供給と信号のやり取りができるBNC端子になっている。
Pico Technologyのサイトに載っているアクティブプローブのラインナップを見て、イチケンは当初、低電圧のアナログ信号やデジタル信号を見る用途が中心だと考えた。ただ、クランプ式電流プローブや高電圧差動プローブもあるので、パワーエレクトロニクス関係の測定もできそうだと述べている。
デジタル入力も備える。オプションの8チャンネルのデジタルプローブを2本接続でき、合計16チャンネルになる。付属品は帯域500MHzのパッシブプローブ4本だった。背面にはトリガー入出力、同期用の10MHz入力、ファンクションジェネレーター出力、電源入力、パソコン接続用のUSBコネクタがある。
電源はACアダプター方式である。イチケンは、USBオシロや最近の小型オシロでは外部電源が多いと指摘する。配線が面倒なので本当は電源を内蔵してほしいが、設計上難しいのだろうと推測している。なお2000、3000、4000などの下位モデルはUSBバスパワーだけで動くので、パソコンがあれば足りる。
起動と無償ソフトウェア
専用ソフトを起動してUSBを接続すると、画面上から本体の電源を入れられる。接続から10秒以内に使える状態になった。
このオシロで重要なのはソフトウェアである。ソフトのダウンロードは無償で、最初から全機能を使え、追加ライセンスもいらない。このため、実現できる機能はどのPicoScopeでも基本的に同じになる。機種間で違うのはチャンネル数、サンプリングレート、メモリ容量といったハードウェア性能だ。ソフトは比較的頻繁に更新されており、イチケンは、ソフトをあまり更新しない会社もあるなかで使う側として安心できると評価している。
マウス前提のUIと、柔軟なウィンドウ管理
UIはマウス操作を前提にしている。画面左にチャンネル設定が並び、クリックすると設定項目が開く。波形の軸をドラッグすれば位置を動かせる。レンジは手動と自動を選べ、自動にするとチャンネルごとに振幅を調整してくれる。イチケンは、こうした機能を持つオシロをあまり見たことがないという。
イチケンが特に拡張性が高いと評価したのが、波形ウィンドウの扱いである。画面左下の「ビュー」からスコープ(波形ウィンドウ)を追加し、たとえばScope 1にA・B、Scope 2にC・D・Eを表示するといった振り分けができる。同じ波形を複数のウィンドウに重複して表示することも可能だ。イチケンによれば、これができるオシロは多くない。MATH機能で疑似的に実現できる機種もあるが、その場合はおそらく動作が重くなるという。PicoScopeでこれができるのは、処理をすべてパソコン上のソフトで行っているからだろう、とイチケンは見ている。
ウィンドウは縦並びとタイル状を切り替えられ、別ウィンドウとして切り出してマルチディスプレイの別画面に移すこともできる。スコープは1画面に8個まで入り、9個目から新しいウィンドウが開く。17個以上ではさらに別ウィンドウが開く仕様だった。1つのスコープに複数のタブを持たせ、タブごとに違う波形を見ることもできる。
ただし、波形を大量に表示すると動作がややもたつく。本体はデータをパソコンに送るだけで、波形の処理はすべてパソコンが担うため、イチケンはこのもたつきをパソコンのスペック次第の部分が大きいと考えている。
時間軸・レンジ・分解能向上
画面左上で時間軸とサンプルレートを設定する。項目を開いてマウスホイールを回すと時間軸が変わり、イチケンはベンチトップ機の物理ノブにかなり近い感覚だと述べる。表示の反応もサクサクしていて問題ないという。隣の「サンプル」では、メモリ長とサンプルレートのどちらを優先するかを選べる。
電圧レンジもボタンかホイールで調整できるが、こちらはホイール操作でかなりもっさりした。カップリングはAC、DC、DC 50Ωの3種類で、プローブの種類と減衰率も選べる。DSPの項目にはローパスフィルターのオン・オフがあり、効果ははっきり見えた。
「分解能向上」は、内蔵A/D変換器の分解能とは別に、ソフトウェアの信号処理で疑似的に分解能を上げる機能だ。8bitの波形の頂点付近を拡大して試すと、9bit、10bit、12bitと最大+4bitまで上げられた。ただしイチケンは、これはあくまで信号処理の結果で元の信号とは違うので注意が必要だと強調している。
ハードウェア側の分解能も切り替えられる。8bitから10bitにすると量子化誤差がかなり消え、12bitではほとんど分からなくなった。これにソフトウェアの分解能向上を重ねると、最大16bitまで設定できる。
波形の名前と色も変えられる。色はこだわる人向けという印象だが、名前の変更はよく使うという。
操作感全体について、イチケンは、物理ノブやボタンがなくマウスとキーボードだけで操作するためもどかしい部分もあるとしつつ、慣れの問題だと見ている。軸の設定を変えずにホイールで波形を拡大・縮小でき、この種の操作はオシロのタッチパネルより思い通りにいきやすいと評価している。
設定の共有、複数台接続、マスク試験
ソフトが共通なので、本体のハードウェアが変わっても同じ測定環境を作りやすい。「PS設定ファイル」で本体設定を保存できるので、同じ設定を別の機器で使いたいときに便利だという。
1台のパソコンに複数のPicoScopeをつなぐこともできる。実演では4台を接続し、すべて問題なく動いた。イチケンは、生産ラインにUSBオシロを複数台置き、機器の信号がマスクを通れば合格、通らなければ不合格とする使い方を例に挙げた。
実際にマスク試験を試した。ツールからマスクを選ぶと、取り込み中の信号から自動でマスクが作られる。すべての波形が白いマスク領域を通っていれば成功だ。次に、ツールの「アクション」で失敗時の動作を設定する。トリガー出力、パソコン上のアプリケーションの起動、デコードデータの出力などが選べる。今回は分かりやすさのため、爆発音のサウンドを割り当てた。信号を抜くと音が鳴り、失敗回数は9回と表示された。通らなかった信号は履歴として残る。
ソフトウェア重視の製品という評価
ここまで触った印象として、イチケンは、これまでレビューしてきたオシロの多くがハードウェア重視だったのに対し、PicoScopeはソフトウェア重視の製品だと述べる。ソフトをどこまで使いこなせるかが活用の鍵で、パソコンと組み合わせる強みは自動計測のような用途で特に生きるのではないか、という見方だ。組み込み用途や自動計測向けのSDKとサンプルプログラムも無料で提供されている。
ソフトにはデモ用のエミュレーターがあり、本体を持っていなくてもデモ信号を使って全機能を試せる。購入前にどんなことができるかを確認できるわけだ。
タッチパネル液晶をつなげばタッチ操作もできる。反応速度は問題ないが、他社のタッチパネル式オシロと比べると使い勝手はいまひとつだった。マウスより移動が多くなるうえ、タッチではできない操作もある。イチケンは、マウスとキーボードで操作したほうがよさそうだと結論づけている。
6824Eの分解能とサンプルレートの制約
6824Eは帯域500MHz、最大サンプルレート5GSa/s。ハードウェア分解能は8、10、12bitの3種類で、ソフト処理で+4bitまで上げられる。ただし8bitと10bitは全チャンネル同時に使えるが、12bitは同時に2チャンネルまでしか使えない。イチケンは正直なところ残念な仕様だとし、12bitが使えるなら全チャンネル同時に使えてもよいと述べる。そのため、この機種の振幅分解能は実質10bitだと評価している。なお別機種には、帯域は20MHzに下がるものの8チャンネルで12bitのモデルもある。
サンプルレートは、使うチャンネル数と分解能によって下がる。実測した値は次のとおりだ。
- 12bit:1チャンネル・2チャンネルとも1.25GSa/s
- 10bit:1チャンネルで5GSa/s、2チャンネルで2.5GSa/s、3〜4チャンネルで1.25GSa/s、5チャンネル以上で625MSa/s
- 8bit:2チャンネルまで5GSa/s、3〜4チャンネルで2.5GSa/s、5チャンネル以上(全8チャンネル含む)で1.25GSa/s
イチケンは、全チャンネル合計で最大5GSa/sという設計で、メモリに入るデータ量にもよるのだろうと推測している。チャンネル数やビット数を変えたときのサンプルレートの増減はメーカーの設計思想で大きく変わる。欲を言えば常に最大レートを維持してほしいが、そうすると価格がかなり上がるので、そのあたりを考慮した結果だろうと見ている。使い方によっては帯域が足りなくなる可能性があるので注意してほしい、とも述べている。
ノイズフロア
時間軸を10msにし、自動測定でピーク・ツー・ピークとリップル実効値を測った。1MΩ入力ではピーク・ツー・ピークが約2.1mV、リップル実効値が約200μVで、平均では2.2mV程度という値も示された。ハードウェア分解能を変えても、ノイズレベルはほとんど変わらなかった。50Ω入力に終端抵抗をつけた場合は、ピーク・ツー・ピークが約1.8mV、リップル実効値が約170μVだった。イチケンはこれを平均的な値と評価している。
信号発生器と任意波形
背面の信号発生器の出力を入力につなぎ、画面の「Gen」から操作した。周波数、振幅、波形の種類を変えられ、ホワイトノイズを含め大抵の波形がそろっている。「AWG」では任意波形を作れる。波形のインポートのほか、マウスで描いた波形をそのまま出力するお絵かき機能もある。「0101…」と入力してデジタル波形を作ることもでき、デコードのテストなどに使えるという。
さらに、演算チャンネルで作った波形を信号発生器から出力し、それをアナログチャンネルで観測することもできた。イチケンは、アンプの波形やオペアンプの特性の測定などに使えそうだと述べている。
スペクトル表示とスペアナモード
ビューからスペクトル表示を追加すると、上に入力波形、下に周波数解析結果が表示される。10kHzの三角波では10kHzにピークが立ち、ほかの周波数にもピークが現れた。イチケンは、パソコン側で機能を追加できるのだから、ウォーターフォール表示などができると面白いとPico Technologyに要望している。
画面上部の機器設定からは、スペアナを優先して動作する「スペクトルモード」に切り替えられる。このモードでは時間軸の欄がスペクトル設定になり、周波数の表示範囲とビン数を変えられる。ビン数を少なくすると動作は速いが周波数分解能が落ちる。逆に100万ポイント程度まで増やせるが、FFTにかかる時間がとても長くなる。ビン数を少なめにすればストレスなく使えそうだ、というのがイチケンの印象である。
このモードでスコープを追加すると、どの波形の周波数を見ているかが分かる。波形から周波数解析結果へ、またスペクトル上の点をクリックして解析結果から元の波形へと、双方向に行き来できる。スペクトルにマスクをかけることもでき、マスクのない領域にスペクトルが立ったら取り込みを止めて、そのときの波形を見られる。実演でもマスク部分にスペクトルが立った時点で取り込みが止まり、波形を確認できた。イチケンは、実質的にスペクトルでトリガーをかけられる便利な機能だと評価している。
トリガーと「高速トリガー」
トリガーは標準的なエッジのほか、ラント、ロジックなどがある。シリアルデコードには対応しているが、デコード結果でトリガーをかける機能は現時点ではないようだ。
イチケンが注目したのは「高速トリガー」である。通常のトリガーでは、トリガーがかかるたびに波形データを逐次パソコンに送る。送った波形はトリガー横の「波形」ボタンから履歴として見られ、この状態では64個分がリングバッファに蓄えられていた。イチケンの説明では、通常トリガーでは転送時にオシロ内部のリソースが使われるため、出現頻度の低い波形を取り逃すことがある。高速トリガーでは波形を本体内部のメモリにため込み、満杯になった時点でまとめてパソコンに送る。
効果を確かめるため、取り込み時間とトリガータイムスタンプの表示をオンにし、トリガーは自動、時間軸は1目盛り50μsで比較した。通常トリガーでは632回取り込み、2回目のトリガーは前回から19ms後、3回目は最初から56ms・前回から37ms後だった。1回の取り込みは50μsなので、トリガー間に20〜30ms程度の何もしていない期間があり、その間に来た波形は取り逃していたことになる。
高速トリガーに切り替えると、1,000個分のバッファが一瞬で埋まり、まとめてパソコンに転送された。2回目、3回目のトリガーはいずれも前回から60μs後にかかっており、取り込めていない期間は10μsに縮まった。イチケンは、これで出現頻度の低い波形を取り逃す可能性が下がると説明している。
自動測定、ルーラー、シリアルデコード、演算チャンネル
「自動測定」は、振幅や時間に関する値、複数チャンネル間の関係などを個別に表示する機能だ。測定値が閾値を超えたかどうかで合否判定ができ、先ほどのアクションと連動させて、外部へのトリガー出力、デコードデータの出力、波形の保存などを実行できる。似た機能の「ディープメジャー」は、外部連動はないものの、波形が持つ情報をすべて表示する。使うと動作がやや重くなるが、イチケンはおそらくパソコン側の負荷だろうと見ている。
「ルーラー」は他社でいうカーソル機能である。タッチパネルでは細かい位置を選ぶときに誤って軸や波形に触れがちだが、マウスなら細かく操作できて操作感はよいという。
シリアルデコードも最初から無料で、CAN、LIN、I2Cなど一通りそろっている。デジタルプローブを接続すれば、デコードの入力にデジタルチャンネルを選べる。
演算チャンネルでは、波形同士の演算や、波形に関数をかける処理ができる。フィルター、バッファー、各種関数、三角関数などがあり、周波数やデューティ比を数値ではなくグラフとして描くこともできる。実演では、周波数が次第に上がっていく測定波形にローパスフィルターを2回かけ、周波数が上がるほど振幅が小さくなる波形をパソコン上で算出した。演算はパソコン側で動くので本体が重くなることはないが、パソコンの動作が重くなって操作がもたつくことはある。
撮影中に届いたアップデート
撮影の途中でソフトウェアアップデートが届き、画面右上に赤い丸が表示された。更新後は、画面上部に「初期設定」(デフォルトセットアップ)ボタンが加わり、シリアルデコードにisoSPIが追加されていた。グリッチを見つけやすくするため、取得した波形をすべて重ねるオーバーレイ表示も加わった。
イチケンが最も評価したのはアクション機能の改善である。更新前は、アクションのイベントを「自動測定の結果」にしても、どの測定項目をきっかけにするかを選べなかった。更新後はトリガーにする項目を指定できるようになり、使い勝手が大きく上がる良いアップデートだと述べている。
結論:低電圧・組み込み向け、パソコンとの一体運用が強み
パソコンにつないで使うオシロに最初は懐疑的だったが、慣れれば問題ない、というのがイチケンの総括だ。パワー系の測定向けというより、組み込み開発など比較的電圧の低い領域に向いた製品だと見ている。
良い点として挙げたのは3つ。1つ目は、ソフトウェアの全機能が無料で使えることだ。組み込み開発でよく使うプロトコル解析が他社では有料オプションになっていることがあり、営利企業なので仕方ないと理解しつつも、少し引っかかることがあったという。2つ目は、ソフトが頻繁に更新される安心感。3つ目は、波形データをUSBメモリで運ぶ手間なく、パソコンとシームレスにやり取りできることだ。
一方の欠点は、パソコンがなければ何もできないことである。広い作業台を確保できればよいが、実際には他の機材と並んでごちゃごちゃしがちだ、とイチケンは述べて締めくくった。
この動画はPico Technologyの提供でお送りします。
こんにちは。今日はイギリスのPico Technologyから出ているPicoScopeというオシロスコープをレビューしていきます。実はこのオシロスコープ、本体にディスプレイはついていなくて、パソコンとUSBケーブルで繋いで使うタイプのオシロスコープです。今日はハードウェアの違いや実際の使用感、そして他のオシロスコープとの違いなどを見ていきます。
Pico TechnologyはPCベースの計測器を得意とするイギリスのメーカーで、オシロスコープの他には、データロガーやネットワークアナライザー、自動車用の診断ツールなどを展開しています。他の製品を見てわかる通り、全てパソコンに繋いで使うような製品となっています。
そして今回使っていくのは、こちら8チャンネルタイプのオシロスコープです。今日使う製品や他のオシロスコープ製品については概要欄にリンクをまとめているので、興味のある人はぜひ確認してみてください。というわけで、さっそく使っていきます。
まず外観からです。やはりディスプレイがないというだけで、かなり小さくなりますね。波形を取る基本的な機能+パソコンとの通信だけできれば良いので、ここまで小さくできるという事でしょうか。外装部分についてはモデルによって変わるのですが、基本プラスチックでできています。今回使ってみるPicoScope 6000シリーズでは、冷却を重視して筐体の一部をアルミヒートシンクとしています。
もう少し詳しく見ていきます。正面部分にはアナログチャンネルが8チャンネル分です。入力抵抗は1MΩと50Ωの2種類。ミドルレンジからハイエンドクラスのオシロスコープではよくある構成です。
他のメーカーのオシロスコープでは、入力電圧の最大値が1MΩ入力は300V RMSである事が多いですが、PicoScopeの場合は最大で±20Vとなっています。他社のオシロスコープと比べると結構低めの値となっています。
アナログチャンネルについてですが、こちらのA,B,G,Hについては通常のBNC端子、真ん中の4つについてはアクティブプローブへの電源供給、信号のやり取りが出来るBNC端子となっていました。実際Pico TechnologyのWebページを見てみると、アクティブプローブ類があって、それらを繋ぐ事が出来るようになっています。
このあたりのラインナップを見てみると、割と低電圧向けのアナログ信号とかデジタル信号を見る製品が多いのかなと思いましたが、ただよく見てみるとクランプ式の電流プローブや高電圧差動プローブもあるので、パワエレ関係の測定もできそうです。
あとこちら、デジタル入力です。アナログ入力の他にデジタル入力もあります。こちらのデジタルプローブなどはオプション品です。8チャンネルのデジタルプローブを2つ分接続出来るので、8x2の16チャンネル分使えます。受動プローブについては4チャンネル分付属していて、周波数帯域は500MHzのものが付属していました。
本体裏側も見てみます。トリガーの入出力、同期用の10MHz入力、ファンクションジェネレーターの出力用の端子があります。このあたりは割と一般的な仕様です。
あとは電源入力とパソコンと接続するためのUSBコネクタです。電源はACアダプター方式です。USBオシロや最近の小型オシロあるあるですが、電源は外部供給のものが多いです。ACアダプターがあるタイプでは、このあたり繋ぐのが面倒なので本当は電源を内蔵して欲しいのですが、設計などの点から難しいのかと思います。ちなみにPicoScope 2000,3000,4000などの下位モデルについてはACアダプターは不要で、USBバスパワーのみで動作します。つまりパソコンだけあればOKという事になります。
ここからは実際に電源を入れていきます。オシロ本体以外に、ソフトを起動するためのパソコンが必要です。専用ソフトを立ち上げてUSBを接続すると使えるようになります。では実際にやってみます。ケーブルを接続して、表示されました。ここで押すと、オシロスコープの電源が入って起動出来ると。もうこれで使える状態になりました。起動も結構早いです。つないでから10秒以内くらいで起動して使えるようになります。
このオシロスコープを使うので重要なのがソフトウェアなのですが、実はそれのダウンロードは無償で、しかも全ての機能が最初から無償で使えるようになっています。追加のライセンスなども必要ありません。このため実現出来る機能については、基本的にどのPicoScopeオシロでも同じとなります。変わってくるのはオシロ本体の使えるチャンネル数や、サンプリングレート、メモリ容量などの本体ハードウェアの性能の部分です。またこちらのソフトウェア自体も割と頻繁にアップデートされているので、使う方としては安心感があります。ソフトウェアアップデートをあまりやらない会社もありますからね。
ここからは具体的な操作感などを見ていきます。今画面が映っていると思うのですが、このように基本的にマウスで使う事を想定したUIとなっているようです。チャンネルの部分がこの左のところにあって、ここをクリックするといろいろと設定出来る項目が開けるようです。初期設定ではチャンネル1がオンになってるみたいです。例えばチャンネル2をさらにオンにすると、このようにチャンネル2が表示されて、このように軸のところを持つと、このように移動出来るみたいです。
ここのチャンネルの設定のところで手動と自動があるのですが、これはどうやらレンジを自動で調整するか手動で調整するか、そのようなものです。チャンネルごとに振幅を自動で調整してくれるオシロはあまり見た事がないのですが、PicoScopeの場合は自動でやってくれるようです。
さらに波形をこのように追加していきましょう。波形を追加していくと、このように今一つの画面に全部のチャンネルの波形が表示されるようになっております。これでは少し見にくいので、波形のウィンドウを追加していきます。画面左下にあるビューのところからスコープを追加するのですね。このように表示できました。この管理のところに、Scope 1に例えばA,Bだけ表示して、Scope 2のところにC,D,Eを表示していくみたいな、そんな事もできてしまいます。
波形を重複してそれぞれのウィンドウに表示出来る機能は、実は他のオシロスコープで出来るのはあまりないのですが、これはパソコンの方で全部ソフトウェアで処理しているので、こういう事ができてしまうっていうことでしょうか。かなり使い勝手というか、拡張性っていうのでしょうか、それは高いと思います。
今このように波形が縦に4つ並んでいますが、これをタイル状にこのように並べたりする事もできます。このあたりについては結構柔軟性は高いと思います。こちらは先ほども言ったのですが、波形をこのように全部重複して表示出来るような機能もできてしまうと。このような動作を出来るオシロスコープは実はあまりないですね。MATH機能などを使えば疑似的に出来るものもあるかと思うのですが、多分オシロの動作が重くなります。
あとは今、このように波形を外にウィンドウ化したのですが、このような事も出来ると。マルチディスプレイの場合は、他のディスプレイに画面を持っていく事も出来ます。
今スコープの数が3つですが、これをさらにどんどん増やしていくとどうなるかというと、これ少しもっさりしていますが、これパソコンのスペックの性能かと思います。スコープのウィンドウが8個、いま元の画面で開いているのですが、これが9個以上になると新しいウィンドウが開くようです。スコープをどんどん追加していくと、このようにウィンドウが飛び出してきて、これもやはりこのように波形の並び替えがタイル状に出来たりもします。
あと今これ1つのスコープに1つのタブしかないのですが、これを例えばこのように1つのスコープにタブを複数入れてしまうみたいな事も出来てしまいます。タブが分かれていて、そこで全部違う波形を見る事も出来るわけです。
このように波形がウィンドウ化されるのですが、さらにスコープの数を増やしていくとどうなるかというと、スコープを17個以上にすると、もうさらにウィンドウが開いていく、そのような仕様になっています。ただこのように波形をたくさん表示すると若干重くなります。これ動作としては、オシロスコープはただデータをパソコンの方に送っているだけで、この波形データの処理とか全部パソコンでやっているので、この波形表示のもっさり感とかはパソコンのスペックに依存する部分が大きいかと思います。
ここからは基本的な使い方を見ていきます。画面左上の部分に時間軸や、あとはサンプルレートなどを調整出来るところがあります。そこをクリックすると、このように時間軸の調整ができます。ここはこのようにクリックでも変えられるのですが、先ほどクリックして開いたところにこのようにマウスのホイールを当ててクルクルすると、これでも時間軸を変えられます。これはベンチトップ型のオシロスコープで物理ノブを回して時間軸、振幅調整すると思うのですが、それとかなり似ています。この波形表示のサクサク感なども、これも問題ないレベルじゃないでしょうか。結構サクサク動いています。
タイムベースの横にサンプルという表示があります。ここを見てみます。ここではメモリ長を優先して測定するのか、それともサンプルレートを優先して測定するのかというのが選べるようになっています。
次は入力レンジを調整していきます。先ほども少し触ったのですが、この画面左のところからやっていきます。電圧レンジを調整するときは、ここのボタンで調整してもOKですし、それからここの上でホイールを回しても、だいぶもっさり感が出ていますね。このように電圧レンジの調整ができます。
その下にカップリングモードはあるのですが、AC,DC、あとはDCの50Ω入力もあります。先ほども話したのですが、ミドルレンジからハイエンド製品では割と一般的なカップリングです。あとはプローブの種類です。選べるようになっています。減衰率もここで調整できます。
その次こちらDSPの部分ですが、ローパスフィルターのオン・オフが出来るようになっています。結構効いています。その下に分解能向上というのがあるのですが、これは本体内蔵のA/D変換器の分解能とは別に、ソフトウェアで信号処理して擬似的に分解能を上げるというものです。
実際、信号処理による分解能向上がどれくらい効いてくるのか見てみます。今これ8bitにしていて、この表示している波形のちょうどてっぺん部分を拡大して映しています。このように結構波形の色なども割とやりやすいです。やはりマウスなので、だいぶ使いやすさ感はあります。そこで分解能を高くしていくと、今8bitですが、信号処理によって9bitとか10bitとか12bitまでいけるようです。最大+4bitまでいけます。ただここで注意して欲しいのは、元の信号とは違っていて、あくまで信号処理による分解能向上なので、元の波形とは違うというのには注意が必要です。
あとはハードウェアとしてのA/D変換器の分解能向上も見ていきます。ちょうどこの上の部分です。現在8bitですが、これをこのように10bitにすると、量子化誤差がだいぶ消えてなくなっています。さらに12bitにすると、だいぶ量子化誤差は分からなくなってきました。さらにここでソフトウェアによる分解能向上も出来て、このように効いてくるわけです。最大16bitまでいけるようです。
さらにこの表示の部分があるのですが、これは波形の名前の変更や、あとは波形の色を変えたりとか、そんなところです。使う人は使うかもしれないといった印象です。波形の名前を変えるというのはこれはかなり使うので、このようなところから編集できるということです。
ここまで操作感見てきましたが、通常のオシロスコープはやはり専用の調整ノブや物理ボタンがあります。しかし今日使ってるUSBオシロスコープは全部マウスやキーボードで操作するので、若干もどかしく感じる部分もあります。ただこれは慣れの問題かと思います。
ちなみに入力の振幅の軸や、あとは時間軸を調整しないで波形を拡大・縮小することも出来ます。ここでこのようにホイールを回転させると拡大・縮小ができます。時間軸についてもやはり同じで、このように拡大・縮小ができます。結構オシロスコープのタッチパネルはあまり反応は良くないですね。指で画面を広げる事があるのですが、その操作がなかなか思い通りにいかない事もあるのですが、このような波形の操作などは割とマウスの方がやりやすさ感はあります。
その他の機能については、このツールの部分に全部まとまっているのですが、これについては後で確認します。
あとはこのPicoScopeを使っていれば、ハードウェアは違っても使ってるソフトが全部同じなので、オシロのハードウェアが変わっても同じ環境を構築しやすいというメリットがあります。画面上のこの保存の部分からいろいろデータを保存できるのですが、PS設定ファイルというのがあるので、これで本体の設定ファイルも保存できます。同じ測定設定を他の機器でも使いたい場合には結構便利です。
あとは1台のパソコンだけでPicoScopeが複数台使えます。こちらにあるように今4台接続しているのですが、全て問題なく動作しています。例えば生産ラインにUSBオシロ複数台入れて、機器から出る信号を見て、マスクに通らなければ不合格、マスク通ったらそのままパスして合格です、みたいなこともできます。
少しやってみますか。このツールの部分からマスクを選びます。今取ってる信号ですが、ここからマスクを自動的に取ってくれると。そうすると、このようにマスクができました。今全部の波形がこのマスクの白い部分を通っているので成功となっています。
このマスクを使って外部に何かアクションを出したいのですね。そうするにはどうすれば良いかというと、このツールのところからアクションというのがあるので、これを押して何かイベントを出すわけです。何かいろいろ出来ますね。トリガーを出したりとか、パソコンのアプリケーションを立ち上げて何か実行したりとか、そういったところです。デコードデータも出せます。
今回は一番わかりやすいようにサウンドを出しましょう。爆発音といったものもありますね。これでやりますか。これで信号を抜くと、このように鳴ってくれるわけです。取ってる失敗の数分だけこれ流しているのだと思います。出ましたね。今9回失敗したという表示が出ていますね。通らなかった信号がどのようなものかというのも、実はこのようにきちんと履歴として残るようになっています。このような事が結構簡単にできてしまうので、かなり良いと思うのですが、皆さんどうでしょうか。
ここまでPicoScope触ってきましたが、これまでイチケンがレビューしてきたオシロスコープ製品は、ハードウェアに重きを置いた製品がかなり多かったと思います。ですがPicoScopeは割とソフトウェアに重きを置いた製品かなと思いました。そのためこのソフトウェアをどこまで使いやすくするのか、そしてどこまで使い込みが出来るのかというのが、このPicoScopeの活用の鍵かなと思います。
研究開発で組み込みとか、そのようなものにも使えるのですが、せっかくパソコンと組み合わせて使っているので、その強みを生かせるところは、例えば自動計測みたいな使い方ではかなり強みが発揮できるのではないかと思います。このような組み込みアプリケーションや自動計測で使う場合に利用出来るSDKやサンプルプログラムなども全て無料で使えますので、興味のある人はぜひチェックしてみてください。
ちなみになんですけど、PicoScope自体を持っていなくても、パソコンにインストールしたソフトにデモ用のエミュレータがあるので、オシロがなくてもどのような動作が出来るのかというのを事前に検証することもできます。このように立ち上がりました。例えばこのようにデモ信号がいろいろ出せるようになっています。これもやはりフルの機能が全部使えるということになっています。このように波形が読み取れるようになっています。これオシロがなくてもできている機能です。ツールの部分を開いてみると、PicoScopeで使える機能が全部試せるようになっています。これであればオシロが手元にない場合でも、こんな事が出来るんだみたいな確認ができます。概要欄のリンクからダウンロードできますので、興味のある人はぜひ試してみてください。
ちなみにタッチパネル液晶を繋げば、タッチパネルの操作も可能となっています。ただPicoScope自体がマウスで操作するように最適化されているのでしょうか。他社のタッチパネルのオシロスコープと比べたときに、操作感というか使いやすさは、それはイマイチですね。反応速度など、そういうものは全く問題ないのですが、マウスと比べると移動が多くなったり、そもそもできない操作などが出てきてしまいます。この部分についてはおとなしくマウスキーボードで操作した方がよさそうです。
ここからはオシロスコープの性能も見ていきます。PicoScope自体はラインナップいろいろあるのですが、今回使うのはこちら6824Eです。周波数帯域は500MHz、サンプルレートは最大5GSa/s、分解能は使用するチャンネル数によって変わりますが、8,10,12bitの3種類です。分解能については先ほど少し見ましたが、ソフトウェア側で処理する事によって+4bitまでいけます。
実際画面を見ながらやってみます。ここの画面の上の方にハードウェア分解能というのがあるのですが、8か10か12の3つから選べるようになっています。8bitと10bitは全チャンネル同時に使えるのですが、12bitの場合はこのように2チャンネルまでしか同時で使えないようになっています。これについて正直に言うと、残念仕様かなと思います。せっかく12bit使えるのですから、全チャンネル同時で12bitできても良いんじゃないかと思います。そのためこのオシロスコープの振幅分解能としては、基本10bitの機種となります。ちなみに別の機種で、周波数帯域も20MHzまで低下してしまいますが、8チャンネル12bitのモデルもあります。
あとはサンプルレートについて。これは最大5GSa/sですが、使うチャンネルやビット数が増えていくとサンプリングレートは減っていきます。例えば今分解能が12bitの場合ですが、このときサンプルレートは1.25GSa/sとなっています。チャンネル数を2つに増やすと、1.25GSa/sから変わらずです。分解能を次10bitに設定すると、サンプルレートは最大5GSa/sとなりました。これチャンネル1つだけ動いてる場合です。チャンネルを2つに増やすと2.5GSa/sまで低下しています。全チャンネル合わせて多分最大5GSa/sって事なんでしょうね。
あとメモリに入るデータの数とかによっても変わるという事かと思います。チャンネル数増やすと2.5GSa/sです。使ってるチャンネル数を2つに増やすと2.5GSa/sです。3つでは1.25GSa/sまで下がっていきます。さらに増やしていくと、4つまで変わらないですね。さらにチャンネルを追加して5チャンネル以上では625MSa/sまで低下すると。
次、分解能を一番低い8bitにしてみますか。チャンネルが多分2つまでは5GSa/sでいけるのではないかな。そうですね。2チャンネル同時で動かしていますけど、5GSa/sでいけています。チャンネル数を3つに増やすと、減りましたね。2.5GSa/sまで減りました。4つでも2.5GSa/sです。5チャンネル以上にしますと、サンプリングレートは1.25GSa/sまで低下しています。これ全8チャンネル動かすと、1.25GSa/sとなりました。
このあたりについては割とオシロスコープあるかなというところです。メーカーによってチャンネル数を増やしたときとか、ビット数を増やしたときのサンプルレートの増減は、設計思想によって結構変わってきます。欲を言えばチャンネル数を変えたり、あとはビット数を変えたりしても、常に最大のサンプリングレートを維持してほしいなとは思います。ただ実際そうしてしまうと価格面でかなり値段が上がってしまいますので、そのあたりも考えての事かなと思います。このように使い方次第ではあるのですが、もしかしたら帯域が足りなくなる可能性もあるので気をつけてください。
次はノイズフロアについて見ていきます。時間軸は取る範囲を10msにしましょう。振幅の部分でどのように測定するかというと、自動測定があって、ここでピークピークとリプル実効値を選ぶと、このように出ていますね。今カップリングは1MΩ入力です。ピークピークは2.1mVくらいでしょうか。リプルの実効値については200μV程度となっています。平均値なども見る事ができて、2.2mVかなというところです。リプル実効値についても200μV程度となっています。今確認したのですが、このハードウェアの分解能でノイズのレベルはほとんど変わらないですね。良いのではないでしょうか。
次はオシロスコープの入力インピーダンスを50Ωにした場合です。終端抵抗もつけて測定します。ピークピークについてはだいたい1.8mVというところでしょうか。リプル実効値は170μVというところです。このノイズフロアについては割と平均的な値になっています。
ここからはオシロに入っているその他の機能も見ていきます。まずは信号発生器です。裏側にある信号発生器の出力をこの入力に繋いでみますか。オシロ操作画面のGenのところから、このようにできます。波形表示されました。今これは手動になっているのですが、自動にすると自動で合わせてくれると。ここで周波数・振幅変えられて、波形のタイプ変更というのがあるのですが、ここでいろいろな波形に出来るわけです。ホワイトノイズなどもあります。良いですね。だいたいの波形はあります。
その他にこのAWGというのがあるのですが、これを押すと波形を自分で作れます。波形のインポートもありますし、波形のお絵かき機能などもありますね。例えばこのように。これで適用を押すと、このように先ほど書いた通りの波形が出てきていると。これ以外にも波形の、デジタル波形みたいなものも作れるのですね。例えばこのように0101...みたいに入力すると、これを適用すると、今ここに作ったデジタルの波形が出てくると。何かデジタル信号を作って、例えばデコードのテストをしたりとか、そのようなところで使えます。
後で出てきますが、ここにある演算チャンネルを使って何か波形を作って、その波形を出力する事もできます。例えばこの赤い波形を今作ったのですが、これを信号発生器の方から出力も出来ます。このように選んで、これが信号発生器から出力されて、そしてオシロスコープのアナログチャンネルで実際に見ている波形となっています。アンプの波形を見たりとか、オペアンプの特性を測ったりとか、いろいろできそうですよね。
先ほどこのビューの部分でスコープの表示はやったのですが、スペクトルの表示まだやっていませんでしたね。これは波形の周波数解析をやってくれるものです。このように上が入力の波形で、下が周波数解析の結果です。もう少し時間軸を長くとっていくと、周波数解析の結果が出ています。今10kHzの三角波ですが、ちょうど10kHzのところにピークが出て、他のところにもピークが立つようになっています。パソコンの方でいろいろ機能を足せると思うので、PicoScopeの人には、例えばウォーターフォールで波形を表示するとか、そういう事もできたら面白いのかなと思います。
ちなみに今はオシロスコープモードで動いていたのですが、この上にある機器の部分からスペアナモードに移行する事ができます。これ先ほどのビューで見たところのスペクトルと、この機器のところから選べるスペクトル、何が違うのかというと、こちらの機器の方からモードを選ぶとスペクトルにするのですが、これはオシロの動作としてはスペアナを優先して動くモードとなります。ちょうどここの上の部分が、先ほど時間を調整する部分だったのですが、スペクトルモードではスペクトルを調整するとなっています。
このように周波数の表示範囲が変えられたり、あとはビンの数です。これは測定するポイントの数を変える事ができます。このビンの数は少ない方が動作は早いのですが、周波数の分解能は落ちてきます。逆にビンの数はこのように100万ポイントぐらいまで増やせるのですが、こうすると今度FFTにかかる時間がとても長くなってしまいます。そのためビンの数を少なめに設定すると割とサクサク動くので、ストレスなく使えそうだという印象です。
こちらもやはりビューのところからスコープを追加すると、今どの波形の周波数を見ているかというのが分かるようになります。これ結構便利機能かと思いますが、この波形の部分はこのように波形とスペアナの結果を見る事ができます。この部分の詳しい動作は後で説明しますが、波形の状態から周波数解析の結果を見る事もできますし、逆にこのスペクトラムのところをクリックすると、周波数解析の結果からそれがどのような波形であるのかを見れるようになっています。双方向で行ったり来たりが出来るのですね。
さらにスペアナ結果にはマスクをかける事ができます。このような状況です。例えば今ここにマスクがかかっていない部分がありますが、ここにスペクトルが立ったら取り込みを停止して、その波形を見たいという事も出来ます。これで実際に動かしてみると、このようにマスクのところにちょうどスペクトルが立ちましたので、そこで取り込みを停止して、そしてそのときの波形も見られるようになっているわけです。これは実質スペクトルからトリガーをかける事もできてしまうわけです。なかなか便利かと思います。
次はトリガーを見ていきます。先ほど軽く触ってはいたのですが、より詳しく見ていきましょうという事ですね。トリガーの種類ですが、ここの部分で標準的なエッジのトリガーから、ラント、ロジックもありますね。ロジックはこういうものでしょうか。なるほど。PicoScope自体はシリアルデコードは出来るのですが、そのデコードの結果からトリガーをかけるみたいな事は、今のところ対応はしていないようです。
あと気になるのはこの高速トリガーです。まず通常のトリガーですが、オシロスコープに入ってきた波形でトリガーがかかったら、その波形データを逐次パソコンの方に送るようにしています。その送られた波形というのは、実はトリガーの横にある波形というボタンを押すと、今までの履歴が見れるようになっています。このように見れます。この波形の履歴はオシロスコープの内部でリングバッファのようになっています。それを今見ていたわけです。この状態では今波形64個分をリングバッファのところに貯めていってるわけです。通常のトリガーでは、取得した波形をパソコンの方に送るときにオシロ内部のリソースが食われてしまって、出現頻度の低い波形を取り逃す事があります。
そのような出現頻度の低い波形にトリガーをかけたい場合に、高速トリガーの出番です。高速トリガーはこのように押すと、今このオシロスコープ内部のメモリに波形をバッファしている状態です。そのメモリが満杯になったら、パソコンの方に波形データを一括でボンと送るような事をしています。こうする事で出現頻度の低い波形でもトリガーをかけられるようになっています。
実際どれくらい波形の取り逃しが少なくなるのかを確認します。こちらの波形の部分から取り込み時間とトリガータイムスタンプをオンにします。トリガーの設定は自動です。時間軸は1マス50μsにしています。これで波形を取っていきます。そうするとこのように波形を取得し始めています。ぐらい溜まったら、波形のところを押します。そうするとこのようにパソコンの方に逐次保存されたデータというのが表示されるわけです。632回やっています。
最初の方見てみますか。1と表示されているのが1回目のトリガーです。そして2というのが2回目のトリガーです。それが3,4,5,6というようにどんどん続いていくわけです。この波形を見てみると、今50μsの期間波形を取っています。しかし前のトリガーがかかった時刻が19msも経過しています。3回目のトリガーは、一番最初のトリガーがかかってから56ms、そして前のトリガーから37ms経過しています。そのためトリガーとトリガーの間に、何もしていない期間が20ms~30ms程度発生しているわけです。その何十msかの間にもし取りたい波形が来ていたとしたら、それはその波形を取り逃がしていたという事になるわけです。
先ほど紹介した高速トリガーならどうなるかです。ここを高速にします。そして再度。一瞬で終わりましたね。もう1回やるのですが、この波形の部分よく見ていてください。今このように1,000個分のバッファをオシロの中で一気に貯めて、その測定が終わったらデータをパソコンの方に移動してきたというわけです。トリガー以外の測定の条件は先ほどと同じです。
時間軸は50μsの期間見ています。これ2回目のトリガーの部分見てみると、前のトリガーから60μs経過してから、この2回目のトリガーがかかった状態になっています。3回目のトリガーもどうかというと、やはり前のトリガーから60μsを経過してからトリガーがかかった状態になっています。そのため波形が取れていない期間は10μsになります。このため通常のトリガーと比べると、出現頻度の低い波形を取り逃す可能性が低くなるわけです。これが高速トリガーの威力です。
その他のツールについても見ていきます。左にあるツールからいろいろ見れますね。例えばここの自動計測を見ますか。先ほども簡単に触ったのですが、これは波形が持っている情報を個別に見る事が出来るというものです。振幅軸、時間軸、あとは複数チャンネルを使ったときの測定です。ちなみにこの自動測定で測定した値がある閾値を超えていた場合に、その合否判定というのができます。それを先ほど使ってみたアクションと連動させると、外部にトリガーを出力したり、デコードデータを出力したり、波形の保存というのができます。
今見てきた自動測定と似た機能で、ディープメジャーというのがあります。これは外部にトリガーなどを出して連動する機能はないのですが、波形が持っている情報を全て表示するといったものです。これ使うと若干動作が重くなります。多分パソコン側の動作が重くなっているのだと思います。
あとはルーラー機能です。これは他社でいうカーソル機能です。タッチパネルでは、このような細かいところを選ぶときに、間違えて軸の方を触ったりとか、波形の方を触ったりする事がよくあるのですが、マウスで結構細かいところまで操作出来るので、操作感みたいなものは割と良いと思います。
次はシリアルデコードです。これが最初から全部無料で使えるようになっています。CANやLIN、I2C、そのようなものが一通り揃っています。このようにデジタルプローブがある場合です。このようにプローブを接続すると、デジタルデコードの入力のチャンネルとしてデジタル入力を選べるようになっています。
最後は演算チャンネルです。これは波形同士を演算したりとか、波形をソースにしてそれに何か関数をかけたりとか、そのようなものです。このようにいろいろ出来ます。フィルターやバッファー、関数、三角関数、あと科学関数です。結構種類いろいろあります。周波数を見れたり、デューティ比を見れたり。これは数値を表示するのではなくて、この周波数をグラフ化するとか、そのようなイメージです。
これ今何をやってるかというと、ローパスフィルターをかけた信号にさらにローパスフィルターをかけるという事をやっています。この青色の波形は測定した波形です。周波数がどんどん高くなっていくような波形としています。その取得した波形にローパスフィルターを2回かけています。そうするとパソコンの方で演算されて、周波数が高くなっていくにつれて振幅がどんどん小さくなっていく、そのような波形を演算する事ができています。このような演算についてはパソコン上で動作しているので、オシロ自体が重くなるとかはないです。ただ操作している側のパソコンの動作が重くなって、操作がもたつくみたいな事はあります。
ソフトウェアアップデートについてですが、実はこの動画を撮影しているときにもソフトウェアアップデートが来ました。画面右上にあるこの赤い丸の部分です。実際にソフトウェアアップデートが完了しました。いろいろ機能が追加されたので、いくつかピックアップして見ていきます。例えば画面の上のところです。先ほどは初期設定というボタンがなかったのですが、新たに追加されました。これはデフォルトセットアップです。
その他にも例えば、シリアルデコードの部分を見てみると、先ほどはなかったisoSPIが追加されていたり、あとはグリッチの波形を見つけやすくするために、この波形の部分にオーバーレイが追加されています。このように取った波形を全て重ねる事ができます。
さらにこのアクションの部分が結構よくなったんですね。先ほどアクションを実行するときは、イベントの詳細みたいなものを選ぶ事ができなかったんですね。アクションのイベントを自動測定の結果にしたときに、測定の自動測定の項目というのは実は選べなかったのですが、アップデート後はどれをトリガーにするかみたいな事が選べるようになっています。このように自動測定をトリガーにして選べるようになっているわけです。これかなり良いですよね。使い勝手も大幅に向上するという、かなり良いアップデートかと思います。
というわけで今日は、Pico Technologyが出しているオシロスコープのPicoScopeについてレビューしていきました。パソコンに繋いで使うオシロスコープって最初はどうかなって思ったのですが、慣れれば問題ないですね。このUSBオシロスコープの全体的な感想についてですが、パワー系のところに使うといった感じの製品ではなくて、組み込み開発とか割と電圧が低いところに向いている製品かなと思いました。
やはり良い点としては、ソフトウェアが全機能を無料で使えるというところです。これオシロスコープあるあるですが、組み込み開発でよく使うプロトコルの解析は、実は追加でお金かかっちゃいました、みたいな事があります。オシロメーカーも営利企業なので仕方ないですが、ちょっとねみたいな事はたまに思いますよね。
あとはパソコンのソフトウェアについても頻繁にアップデートされているので、このあたりは使う側としては安心感はありますね。あとはパソコンと一緒に使いますので、波形データのやり取りなども割とシームレスに出来るのは良いかと思います。よくあるのは波形データをUSBメモリに保存して、パソコンに持っていってみたいな感じですからね。
あとはデメリットなどは、これパソコンがないともうどうしようもできないというのは仕方ないですね。このように広い作業台確保できれば良いのですが、だいたいの場合は他の機材も一緒にあってごちゃごちゃしがちです。
最後になりますけど、PicoScope興味あるとか使ってみたいという方、ぜひ検討してみてください。というわけで、もしこの動画が役に立ちましたら、高評価・チャンネル登録よろしくお願いします。何か気になる事がありましたら、ぜひコメントも残してみてください。それでは最後まで動画のご視聴ありがとうございました。
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