元NVIDIAの林憲一氏が語るフィジカルAI:ヒューマノイドではなく「設計サイクル」を回す技術として
ものづくり太郎チャンネルものづくり太郎チャンネルの対談に、シリコンスタジオで最高フィジカルAI責任者(CPAIO)を務める林憲一氏が登場した。林氏は富士通研究所、Sun Microsystems、Microsoft、NVIDIAで、スーパーコンピューター、サーバー、GPUの仕事に携わってきた。対談の中心にある問いは、フィジカルAIがどう広がっていくのか、そして日本の製造業にとって何を意味するのかである。林氏の答えは、フィジカルAIを「ロボットが踊る話」に限定せず、設計から製造までのデジタルなツール群をつなぎ、設計サイクルを短くする技術として捉えるべきだというものだ。
冒頭で聞き手のものづくり太郎氏は、政府がフィジカルAIに大きな予算(10.5兆円、毎年7000〜8000億円規模と言及)をつけるとして注目が集まっていると述べ、議論を始めた。
自己紹介:大学で教えつつ、本業はシリコンスタジオ
林氏は信州大学の社会基盤研究所で任期付きの教員をしており、週に1回松本へ通ってAIを教えている。ただしそれは本業ではなく、本業はシリコンスタジオの最高フィジカルAI責任者だという。NVIDIA在籍時にはジェンスン・フアンとやりとりする機会もあり、本人は笑いながら「ボコボコにされました」と振り返った。
富士通研究所での並列計算機研究とアムダールの法則
林氏のキャリアは、新卒で入社した富士通研究所での並列計算機の研究から始まった。当時はベクトル型のスーパーコンピューター、たとえばCrayの性能が頭打ちになりつつあった。これからは並列計算機の時代だと考えられ、研究所がプロセッサーを大量に並べる並列計算機を作り始めた時期に入社したという。後に「京」や「富岳」を作ったメンバーは当時の同僚で、林氏は35年ほど前からの並列計算機研究の流れがそのまま京や富岳につながっていると説明した。
林氏は、並列処理の難しさをアムダールの法則で説明した。CPUを2つ並べても、計算を単純に半分に分けられなければ性能は2倍にならない。普通の計算には順番に処理しなければならない依存関係があるからだ。たとえばプログラムの10%が並列化できず、残り90%が並列化できるとする。プロセッサーを無限に増やせば90%の部分はほぼゼロになるが、残りの10%は残る。そのため、1000個並べても1万個並べても速度は最大で10倍にしかならない。
この限界を補うために、通信と計算をオーバーラップさせて計算をなるべく先に進めるなど、さまざまな工夫が重ねられてきた。林氏によれば、富岳は約16万個のCPUを持ち、並列効率99%を出している。それは一朝一夕でできることではない、と林氏は強調した。富士通時代の林氏は、処理の割り振り方や通信プロトコルといった研究に取り組んでいた。
Sun Microsystemsでエンタープライズサーバーを作る
富士通に7年ほど勤めた後、林氏はSun Microsystemsに移った。林氏によると、当時は「インターネットとはSunのサーバーをCiscoのルーターでつなぐことだ」と言われた時代で、Windows 95以降のインターネットブームでWebサーバーを立てるにはSunのサーバーが必要だった。90年代末のSunは、株価も含めて今のNVIDIAやGoogleのような存在だったという。
移った理由について林氏は、富士通でもSunのSPARCプロセッサーを並べた並列計算機を作っており、Sunの仕組みをよく知っていたので、Sunのほうが面白そうだと考えたと説明した。シリコンバレーの本社で、サーバー製品の開発に携わった。
スーパーコンピューターとエンタープライズサーバーの違いについて、林氏はアプリケーションの種類が違うと答えた。スパコンは計算の速さに特化した、いわばF1のような存在である。一方エンタープライズサーバーは業務アプリケーションを動かすためのもので、当時はメインフレーム上のCOBOLプログラムから、SunやHPのUNIXサーバーによる「オープンシステム」へ移ろうという流れがあった。
エンタープライズ用途では、大きなサーバーを分割してアプリケーションごとに使い分ける。そのためアプリケーション間でデータが混ざらないようにセキュアに分離できること、そして止まらずに動き続ける高い稼働率と信頼性が求められた。当時のSunはプロセッサーの設計まで自社で行い、製造は外部に委託していた。なおSunは後にOracleに買収され、OracleのハードウェアはもとのSunのサーバーだという。
テクニカルマーケティングへの転身とMicrosoftのHPC参入
Sunに在籍中、林氏は日本法人からテクニカルマーケティングをやらないかと声をかけられた。ハードウェアの隅々まで知っていて何を聞かれても答えられるため、エンジニアからマーケティングへ移った。最先端の技術を分かりやすく説明する仕事から入り、マーケティングの領域に軸足を移していった。
2005年、ビル・ゲイツが米国最大のスーパーコンピューティングのイベントで基調講演を行い、MicrosoftがHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)に参入すると発表した。社内にこの分野の人材がいなかったため、林氏が最初の製品を担当するマーケターとして招かれた。
当時のスパコンの世界ではLinuxが増えており、Microsoftはそこに対抗しようとしていた。林氏は厳しい分野だったと認めている。そのうえで、手元のパソコンでExcelを操作しながら計算部分をスパコンに投げるという金融系の需要はかなり取り込めたのではないか、と振り返った。
TSUBAMEの衝撃とNVIDIAへの転職
転機は2008年だった。東京工業大学の松岡先生のスーパーコンピューター「TSUBAME」(TSUBAME 1.2)が、世界で初めてGPUをスパコンに使った。林氏はこれを見て「これだ」と思ったという。並列効率を高めるには並べるプロセッサーの数をなるべく少なくしたほうがよく、そのためには1つのプロセッサーの計算量を高める必要がある。計算力の高いGPUを使うのは正しい道だと考えた。
林氏はすぐにNVIDIAへの転職活動を始めたが、2008年はリーマンショックの年で、NVIDIAの歴史で唯一のレイオフがあった年だった。ポジションがなく、採用が再開した2010年ごろにようやく入社できたという。
当時のGPUにはTensorコアはなく、CUDAコアが均質に並ぶ、グラフィックスを高速に処理するための超並列計算機だった。NVIDIAはこれをグラフィックス以外の汎用計算にも使う「GPGPU(General Purpose GPU)」のビジネスを始めており、TSUBAMEはその実例だった。林氏はジェンスン・フアンの話として、セガの入交氏が出資してNVIDIAが立ち上がったこと、そしてサーバーにGPUを入れたのは松岡先生が初めてで、それが今のNVIDIAのエンタープライズビジネスの最初だったことから、日本に来るたびに「NVIDIAがあるのは日本のおかげだ」と言っていると紹介した。
CUDAの普及に苦戦し、ライブラリーへの組み込みで突破する
林氏はNVIDIAで、エンタープライズ向けマーケティングの責任者を務めた。GPUを計算に使ってもらうにはCUDAを普及させる必要があり、2010年からは毎週のようにCUDAのセミナーを開いた。
最も活用したのは東工大の青木先生で、野球のボールが回転してなぜ変化するかといったシミュレーションをCUDAで書き、TSUBAMEで動かしていた。こうした実例でユーザーは少しずつ増えた。それでも林氏は、プログラミングは相当難しかったと認めている。顧客のコードをCUDAに書き換えて「CPUより10倍速くなりました」と見せても、「計算はCPUでするものでしょう」「GPUはゲームでしょう」という思い込みは根強かったという。
状況を変えたのはディープラーニングブームだった。AlexNetによって画像認識の精度が劇的に上がり、自動運転などにつながっていく。林氏は、ディープラーニングのプログラムを書くときにはPythonを直接使うより、PFNのChainerのようなライブラリーを使うのが一般的だった点に注目した。NVIDIAはさまざまなライブラリーの開発チームと協力し、ライブラリーにCUDAを組み込んだ。その結果、利用者はCUDAを直接書かなくても、ライブラリーを使えば裏でCUDAが動き、GPUが使われるようになった。林氏はこれを「大転換点」と呼んだ。
NVIDIA退職後:日本ディープラーニング協会と大学での教育
林氏は約9年在籍したNVIDIAを2019年に退職した。生成AIブームの前で、林氏はAIブームがまた踊り場に来ているような停滞感があった時期だと振り返る。退職後は量子コンピューターを勉強してのんびりするつもりだったが、松尾先生のいる日本ディープラーニング協会に誘われ、2019年ごろから4年ほど手伝った。
林氏は、日本でAIブームが起きたとき、社長が中身を理解しないまま「何かAIをやれ」と号令をかける状況を問題視していた。社長に限らず部長や取締役といったシニアマネジメントがAIやディープラーニングの仕組みを理解しなければ話が進まない。IT部門への丸投げが日本のデジタルトランスフォーメーションを妨げてきた、と林氏は語る。協会は検定試験を通じて経営層にも学んでもらう取り組みを行い、林氏は試験合格後も継続して学べるよう、定期的なセミナーなどを担当した。AIの進化は速く、合格して終わりではついていけないからだという。並行して2020年からは信州大学でも教え始めた。
フィジカルAIとは何か、なぜ難しいのか
ここから対談は本題に入る。林氏は、自身のキャリアはずっと「コンピューターの中の話」だったと前置きした。そのうえでフィジカルAIを、AIの知能を物理世界に応用しようとするもので、AIの指示に従って何かが物理的に動くものを広く含めてよいと説明した。例として、自動運転車、ヒューマノイドロボット、戦争で使われるドローンを挙げた。
林氏はこれを「大チャレンジ」と表現する。サイバー空間に閉じていたものが物理世界に出てくると、重力、摩擦、風の抵抗といった物理法則を理解しなければならないからだ。自動運転車は何年も前から「できる」と言われながら、なかなか実現していない。しかも自動運転車の目標は「他のものに触らないこと」である。ヒューマノイドロボットは物に触り、マニピュレーションして次の行動につなげなければならず、さらに難しい。それでも物理世界とインタラクションするには触って動かす必要がある。林氏は、可能性が大きく面白くなる世界だと認めつつ、これまで別々の世界にいたものが組み合わさる分野なので、考え方を相当変えなければうまくいかないと述べた。
ロボットはシミュレーションの中で学ぶ
林氏は、宙返りやバク転をするヒューマノイドロボットの映像について、そこに至る過程を考える必要があると指摘した。あのロボットは実際の体で訓練したのではない。コンピューター上に現実と同じデジタルツインを作り、現実的な物理シミュレーションの中で学習させる。そして「これならできそうだ」というAIができたら、それをロボットにコピーする。自動運転も同じで、路上で練習していたらぶつかりまくってしまう。コンピューター上で十分にシミュレーションしてから実車で試すので、物理世界が登場するのは本当に最後だという。
現在はロボット基盤モデルに加え、モーターや減速機のモデルもデジタル上に再現してシミュレーションしている。林氏はこれを広く捉えると「ものづくり」そのものになると述べ、話題を製造プロセス全体に広げた。
OpenUSDで分断されたツールをつなぐ
林氏は車づくりの流れを例に挙げた。マーケティング担当がコンセプトを決め、デザイナーがデザインし、CADオペレーターがCADに落とし込む。次にCAEで構造解析、流体解析、衝突解析を行い、問題がなければ部材(BOM)を管理して製造に進む。ところが現状では、デザインツール、CATIAやCreoといったCAD、シミュレーションツール、BOMを管理するPLMがそれぞれ別のツールで、データフォーマットも違う。
対談では、これがOpenUSDという共通のデータフォーマットに統一されつつあると語られた。CADやCAEがOpenUSDに対応すれば、作ったモデルをNVIDIAのOmniverseに取り込み、さらにIsaac Simでのシミュレーションにつなげられる。去年はダッソーとNVIDIAの提携により、世界トップのCADとされるCATIAもOpenUSDに対応する話が出たと紹介され、CATIAで描いたモデルをそのままOmniverseで使えるようになるはずだと述べられた。
ものづくり太郎氏は、自動車メーカーのR&D拠点を見てきた経験から、現状ではCAEにかけるためのデータ変換やメッシュ切りといった前準備に大きな手間がかかっていると指摘した。OpenUSDに統一されれば変換が不要になり、データの受け渡しも簡単になるという見方である。
AIエージェントが専門分野をつなぎ、設計サイクルを回す
林氏の議論の核心はここにある。データが共通化され、人間の知恵を超えていくAIエージェントがCAD、CAE、PLM、シミュレーションの間をつなげば、設計サイクルがぐるぐると回り始める。設計から物理的な製品までが素早くできるかもしれない。林氏は、それこそが日本がフィジカルAIで目指すべきところであり、ヒューマノイドロボットを動かす話ではないと述べた。
林氏は大谷翔平の二刀流を引き合いに出した。CADやCAEはそれぞれ1つの専門でも相当難しく、構造解析の担当者にPLMの話をしても分からない。人間の能力には限界があり、そのため専門が蛸壺化してしまう。今のAIはそれを超えていきそうな勢いで、全く異なる専門分野をAIエージェントがつなげれば、性能が高く環境にもよい製品が、シミュレーション済みの状態ですぐ役に立つ形で出てくるかもしれない。林氏はこれを「相当難しい」と繰り返しつつ、NVIDIAはシーメンスなど製造業のソフトウェア企業と提携してその方向を目指しているはずだと述べた。政府の目標年である2040年ごろを見据えて製造プロセスも変わっていく中でフィジカルAIを捉えれば、単にロボットが踊る話ではない、というのが林氏の立場である。
ものづくり太郎氏も同じ考えだと応じた。データのフォーマットだけでなく、オントロジーによって言葉のフォーマットまで整えれば、AIエージェントが上流で助言する世界、いわゆる本当のフロントローディングが来ると述べた。さらに工場側について、これまではERPから計画を立て、APSでスケジューリングし、MESで実行し、PLCで制御して、実績だけをSCADAに上げていたと説明した。今はビジョンでデータが取れるようになり、CAEやCADのデータ、品質に関わる画像データ、人のデータも上がってくる。ものづくり太郎氏は、それらをエージェントAIがつなぐことで、ものづくりの最適化と知能化が起きるという見方を示した。
日本の勝ち筋は「総合格闘技」にある
日本はAI分野で米国や中国に遅れていると言われる。これに対し林氏は、製造プロセスまで含むフィジカルAIの世界は、頭のいい人が机上で考えるだけでは済まない泥臭い部分があると指摘した。フィジカルAIは「総合格闘技」と呼ばれ、多様なツールをつなぎ込み、すり合わせ、属人的なノウハウも扱う必要がある。林氏は、そこは日本が強いはずで勝ち筋だと考えている。ただし「相当難しい」ことも認めており、方向性は多分そうだろうという言い方にとどめた。
林氏はさらに、日本の会社で生産性が低いと言われる背景として、隣の部署が何をしているか分からないといった、自分の専門以外への理解の乏しさを挙げた。今はそれらをつなぐ知能ができつつあり、蛸壺化していたものがつながって立体化していく世界は、日本にとって相当有利だと述べた。
ただし、そこへ進めるかどうかは経営層がきちんと学ぶかにかかっている、と林氏は付け加えた。大学の授業では「授業の裏のテーマは、夏休みに実家に帰ったら、習ったことを全部お父さんお母さんに教えること」だと学生に伝えたという。親世代、つまり意思決定層にまで知識を届けることが日本にとって一番大事だ、というのが林氏の考えである。
シリコンスタジオの役割
最後に林氏は、現在のシリコンスタジオについて説明した。同社はもともと3Dグラフィックスの会社で、産業系のデジタルツインの構築や、自動運転のためのシミュレーション環境の整備を手がけている。たとえば部屋の中でロボットを動かすなら、まずその部屋のデジタルツインを作り、ロボットが動けるよう多数のシミュレーションを行ってから実機を動かすことになる。同社は見た目が物理らしいものから本格的な産業用の物理シミュレーションまで扱い、異なるツールで作られたものを最終的にワークフローとして組み上げることに長けているという。林氏は同社を、フィジカルAIを現実世界で使えるようにする「イネーブルメントカンパニー」と位置づけた。
対談は、フィジカルAIがロボットだけでなく日本の製造業にとってのチャンスでもある、という点を両者が確認して締めくくられた。ただし林氏自身が繰り返したように、CAD、CAE、PLM、シミュレーションをAIエージェントでつなぐ世界は「相当難しい」。実現できるかどうかは、経営層を含めて学び、挑戦できるかにかかっているという課題が残された。
どうもこんにちは。ものづくり太郎チャンネルのものづくり太郎です。本日は聞き飽きてるかもしれませんけども、AIで製造業の未来の話を今回させていただきたいということで、製造業の現場オペレーションじゃなくてバックオフィス側ですよね。設計とか調達とか、これがどう変わってくんだっていうことを、最先端のエンジニア、MicrosoftにいたしNVIDIAにもいたし、元NVIDIAのエンジニアはこの潮流をどう見てるかっていうことを対談してきたんで、皆さんにこの動画を共有させていただきたい。
そんな回にですね、協賛いただいたのはMETALIXさんです。ありがとうございます。METALIXは商社や加工屋の3つのビジネスのもとで、特殊の専門商社です。JIS Q 9100認証取得しており、材料調達だけではなく加工まで一貫して対応できるのが強みですが、最近は薄肉加工技術にも力を入れているようです。
今回ご紹介するのは、なんと5198.6、このくらいですかね。Tが0.1×150、同0.01というですね、肉厚0.1mmの超薄肉加工の事例ですと。しかもニッケル基合金やTi合金といった難削材。難削材でも対応可。これまで溶接で組み立ててた構造を一体構造化することで強度がアップし、さらに薄肉化によって製品全体の軽量化もできると。
軽くしたいけど強度落とせないというお悩みの設計担当者様、難削材の薄肉加工を頼める先が見つからないとお困りの調達担当者様にぴったりの技術です。材料調達から加工までワンストップで対応できるMETALIXだからできるスピードで、お見積もり回答が可能です。ぜひ概要欄からチェックいただいて、薄肉を皆さんやっちゃってください。ということでMETALIXさん、ありがとうございます。それでは元NVIDIAのエンジニアと林先生の対談、いってらっしゃい。
本日は林先生をお招きしてですね、フィジカルAIの話をしていこうと思うんですが、政府が10.5兆円を、毎年約8000とか7000億円つけるっていうことで、まさにこのフィジカルAIが注目されてると。なので先生からこのフィジカルAIの可能性を話していただこうと思います。どうぞよろしくお願いします。よろしくお願いします。ではまず自己紹介ということで、お願いしてよろしいでしょうか?
林憲一と申します。今、先生と呼んでいただいているんですけれども、信州大学の社会基盤研究所っていうところで特任教授をしているので。先生じゃないですか? 先生と呼んでいただいているんですが、本業ではないというか、週に1回松本に行ってAIを教えているんですけれども、本業は今シリコンスタジオっていう会社で最高フィジカルAI責任者をやっております。まさにフィジカルをやっているんですが。
NVIDIAにもいらっしゃったんですよね。NVIDIAにもちょっといました。今をときめくNVIDIAで、ジェンスン・フアンともコミュニケーションしたりとか。ボコボコにされました。ボコボコに。新卒でどこ行かれたんですか? 最初は富士通研究所。エリート街道じゃないですか? そこでどんなことされてたんですか?
私は最初、並列計算機、スーパーコンピューターの研究をする研究者ですね。それでキャリアを始めました。スーパーコンピューターの歴史は長いですけど、当時ベクトル型のスーパーコンピューターっていうのがあって、クレイのスーパーコンピューターがあったんですけど、性能が頭打ちになっていて、これからは並列計算機の時代だろうというところで、ちょうど研究所がプロセッサーを1000個並べたような並列計算機を作り始めた頃に富士通研究所に入って、並列計算機の研究者としてキャリアを始めたという感じです。
今でも富士通は富岳とか、京でしたっけ、作ったじゃないですか。あれは昔からやってるんですね。やってます。まさに京とか富岳を作ったメンバーは、私が富士通に行った時の同僚。同僚。そうなんです。もう皆さん偉くなられてますけど、その人たちがやってるので、まさに35年前とかから並列計算機を研究してた流れがそのまま京とか富岳になってますね。富岳もあれ、CPUじゃなくてCPU。あれはCPUですね。そこのつながりもあるんですかね?
並列処理をするって難しくて、例えば2つCPUを並べるにしたって、2倍性能出すって難しいですよね。どの辺が難しいんですか? 計算を単純に半分に分けることができれば、2倍になりますよね。でも結構依存関係が普通はあるので、順番にやらなきゃいけない部分とかが少しでもあると並列にならないわけです。
アムダールの法則っていう法則があって、並列化してどれくらい速くなるかっていうのは、例えばプログラムの中の10%はどうしても並列化できない。順番にやらないと。順番にやらないと計算しない。残り90%は並列にできるとした時に、例えば100個プロセッサーを持ってくる、あるいはもう無限に持ってくるとなると、90%の部分はほぼゼロになりますよ。確かに1000個で1000倍になりますから、そこは。そう。でも残り10%は残ってしまうので、たとえプロセッサーを1000個並べようが1万並べようが、10倍にしかならないわけですよね。そういうことですね。
この部分をどうやって工夫をしていくかっていうことが必要で、通信と計算をオーバーラップさせてなるべく計算が先に進むようにとか、いろんな工夫があって初めて、今、富岳は16万個とかCPUありますから、16万個、並列効率99%とか出すっていうのはすごい工夫があって、それは一朝一夕にできることではないですよね。
そういった研究も、どういうふうに割り振りをすればうまくいくんだとか、どういう通信プロトコルで処理してくんだとか、そういうことをゴリゴリやられてたのが、最初の大学卒業して入られたっていう。そうです。富士通の後はどこに行かれたんですか?
7年ほど勤めた後に、サン・マイクロシステムズっていう。サン・マイクロシステムズ、僕初めて聞きました。サン・マイクロシステムズっていうのは、インターネットをある意味支配していた会社。「インターネットとはサンのサーバーをシスコのルーターでつなぐことである」という言葉がありましたけれども、ちょうどその時インターネットブームがWindows 95から年にかけてあったんですけど、その時もうみんなWebサーバーを立てるとかインターネットをつなぐとなるとサンのサーバーが必要で、それをシスコのルーターでつなぐ。インターネットイコールサン。
すごいじゃないですか。まさに今のクラウドを支配してるような。そうです。今の本当にNVIDIAとかGoogleみたいな、90年代終わりのサンは、株価もそうだったし、そういう会社ではありました。これ、なんでそのサン・マイクロに行こうとしたんですか?
それは富士通も結局サンを使っていて、サンが作っていたSPARCプロセッサーっていうプロセッサーを1000個並べるみたいな並列計算機で、サンの仕組みは私よく知っていたので、サンに移ったほうがもっと面白いかなと思って、サンに移って、シリコンバレー。ここでアメリカに行くんですね。シリコンバレーのサンの本社で、サーバー製品を実際作るところにいました。スパコンだ。スパコン好きではありました。すごい。
このエンタープライズ向けのサーバーはスパコンと何が違うの? スーパーコンピューターっていうのは、とにかく計算を速くするために特化した、ある意味よくF1に例えられる。なるほど。アプリケーションの種類が違うんですよ。エンタープライズサーバーは、その業務用のアプリが動くような話で、当時サンはオープンシステムって言ってましたけれども、まだその頃まではいわゆるメインフレームがあって、そこでCOBOLのプログラムが動いて、もうそれはダメだろうっていうので、オープンシステム、サンとかHPとかのオープンシステム、UNIXサーバーですね、に移っていこうっていう時代の流れだったので、そこでエンタープライズサーバーっていうのが出てきたんですね。
これ、半導体の世界になってくっていうことなんですかね。日の僕、工場にも行ったことあって、パッケージみたいなものも写真でお見せてもらったんですけども、そういうところから変わってくっていうことなんですかね。サンはその時は半導体、SPARCプロセッサーの設計も全てやっていて、製造は委託はしてました。ハードウェアの設計をして、要するに演算能力がどれくらい必要でとか、ハードディスクとしてどのくらいの容量があって、どういうふうにデータを流してくみたいな、そこの設計を考えてハードを作ってくみたいな。
エンタープライズサーバーとなると使われる規模が大きいので、大きなサーバーを何か大きなアプリで使う時もあれば、分割して使ったりだとか、アプリごとに分けたりだとか。エンタープライズなので、分割したアプリごとにそのデータが混ざらないっていうか、セキュリティ上ちゃんとセキュアに分離ができるだとか、そういうのがエンタープライズのサーバーには必要で。同じパソコンで違う人がログインして他人のデータ見えちゃうとか、そんなことあったら困るわけじゃないですか。それを完全に分離するみたいな。なるほど。そういう仕組みも必要なので、エンタープライズをやるためにはそういうセキュアなシステムで、しかもずっと動く。ずっと動くって、稼働率も高いとか信頼性があるっていうような設計で作られていましたね。
その頃のクラウドの王者みたいなポジションですから。そうですね。クラウドというか、メインフレームからオープンに乗り換えようっていう気運が結構ありました。なるほど。それにも乗ってたっていう感じはありますね。今このサン・マイクロっていうのは? オラクルに買収され。オラクルに買収されるんですか? オラクルのハードウェアは元のサンのサーバーです。なるほど。
じゃあ、そういったコンピューター畑を歩いてきて、そこでもう辞めるわけじゃないですか? おそらく。サンのその途中でキャリアをエンジニアからマーケティングに。マーケティングですか? いわゆるテクニカルマーケティング。そのサーバーのこと全部知ってる? 全部知ってる。日本のサン・マイクロでテクニカルマーケティングをやらないかと声をかけられて、ハードウェアのことは隅々まで知ってますから、何を聞かれても答えられるので、マーケティングにそこで変わりました。
でもマーケティングのことは全然わかんないじゃないですか。そうですね。ただテクニカルマーケティングというところから入ったので、最先端の技術をわかりやすく説明をするっていうようなことで、ここからマーケティングに変わっていったっていう感じですね。そうですか。
2005年にMicrosoftのビル・ゲイツが、スーパーコンピューティングっていうアメリカの最大のイベントで基調講演をして、Microsoftはハイパフォーマンスコンピューティングに参入するって発表したんです。当時Microsoftにはそんな人がいないので、呼ばれて、Microsoftのハイパフォーマンスコンピューティングの最初の製品を担当するマーケターとして。マーケターとして、このハイパフォーマンスPCを売るっていうのはうまくいったんですか?
スーパーコンピューティングの世界は当時、Linuxのシェアがどんどん増えていて、そこに対してWindowsでそのスパコン領域をやっていこう、カウンターを当てていこうということで入ったんですけど、ただなかなか厳しい分野ではあったんですけれども、Windowsでスーパーコンピューティングをやる需要としては、Excelマクロとかを大量に使って計算をするっていう、結構金融系があったんですね。そういう分野の需要はかなり取り込めたのかなとは思います。手元はExcelでパソコンで操作をしながら、その計算自体はスパコンに投げられる。
2008年に東京工業大学にTSUBAMEというスーパーコンピューターが、世界で初めてGPUをスパコンに使った。すごい先駆けじゃないですか、今の。そうです。東工大の松岡先生。私はそれを見て、これだと。なんでこれだと思ったんですか? 私、スーパーコンピューターをずっとやっていて、今後のスーパーコンピューターを考えた時に、GPUを使っていくっていうのは正しい道なのではないかと思って、それがまさにTSUBAME 1.2ですね。1.2。なんでこのGPUのほうが正しいってひらめいたんですか?
1つのプロセッサーでできる計算量を高めるっていうことも必要で、なるべく少なくしたらやっぱり並列効率は高いので、計算力が高いGPUを使っていくっていうのはいい方法だろうと思って、その2008年にTSUBAMEの存在を知って、NVIDIAに転職活動。転職活動を。始めました。
始めると、もう今のGPUっていうか、Vera Rubinみたいなものって、GPUの上にTensorコアとCUDAコアがいっぱい乗ってるじゃないですか。当時からそういうコアがいっぱいあって、細かい計算をバーッとかけてくみたいな。当時はCUDAコアしかなかった。純粋な並列計算機になっていて、元々グラフィックスを速く処理するための超並列計算機、GPUそのものが超並列計算機だったので、CUDAコアが均質に並んだプロセッサーでしたね。
この2008年っていうのはリーマンショック。よくNVIDIAはレイオフしないって言うんですけど、NVIDIAの歴史で唯一のレイオフがあったのが2008年なんですよね。そうなんですね。なのでその年はさすがにポジションがない。2年もあったんですね。2年もまた恋い焦がれた。ちょうどリーマン明けて採用が2010年ぐらいから始まったので、そこで入れてもらった。どんなお仕事したんですか?
当時のNVIDIAはまだゲームとかの会社だった。そうです。僕の高校時代にはまったオンラインゲームもNVIDIAのロゴありましたもん。GPUの中にはCUDAコアっていうのがたくさん入っていて、これをグラフィックスではなくて普通の計算に使ってやろう。グラフィックス以外の汎用的な目的に使うっていう、General Purpose GPU。General PurposeのGPなんですね。グラフィックスじゃなくて普通の計算もやらせたら速くできるんじゃないのという、GPGPUっていうビジネスを始めていて、まさにその2008年のTSUBAMEっていうのはその例だったわけです。
なるほど。松岡さんはなんでこれ気づいたんですか? TSUBAMEにこのGPUを使ったらええんちゃうかと。世界中のものを見ていて、最先端のものをスーパーコンピューターに取り入れようとされていたので、世界で最初に気づいたという感じですよね。
ジェンスンがよく、NVIDIAが今あるのは日本のおかげだと。セガの入交さん、大変尊敬というか、まず入交さんがお金を出してくれたところから会社が立ち上がって、その後にサーバーにGPUを入れるっていうことをしたのは松岡先生が初めてなので、それが今につながるNVIDIAのエンタープライズビジネスの最初がTSUBAMEであるので。日本のおかげじゃないですか、これ? それはいつも日本に来た時はよく言います。なるほど。
このNVIDIAのGeneral Purpose GPUをマーケティングする側なの? そう、エンタープライズ向けのマーケティングの責任者として入って、GPUを計算に使っていくっていうので、CUDAと言われるものがあるんですけれど、CUDAを普及させないことにはGPUとしては使えないので、毎週のようにCUDAのセミナーを開くみたいなことを2010年にやり始めたんです。
正直結構難しいですよね、プログラミングするのが。中でも一番使っていただいたのは東工大の、それも青木先生っていう、野球のボールのシミュレーションってよくご覧になった。回転して、フォークがなぜ落ちるかみたいな、あのシミュレーションは青木先生がやられてるんですが、あれCUDAで書かれてるんですよね。そういうのを東工大のTSUBAMEで使って、実際そんなことまでできるっていうのを示していただいて、少しずつユーザーが増えていったっていう感じですが、正直プログラムは相当難しかったですよね。
GPUを使って、お客様のコードを例えばCUDAに書き換えて、CPUに比べて10倍速くなりましたみたいな結果をお見せしても、計算っていうのはCPUでするもんでしょっていう思いはかなりあるので。そうですよね。ゲームでしょみたいな。でも徐々に使えるアプリが増えてきたというところに、ディープラーニングブームがやってきた。あれがAlphaGoに、そのAlexNetっていうのが出て、その画像認識で革命が起きるわけ。
画像認識の精度が劇的に上がっていったので、自動運転とかにつながってくるわけですけど、プログラムを作る時にPythonとかってプログラミング言語が使われますけど、プログラミング言語をそのまま使うっていうことはあまりなくて、ライブラリーを使うと簡単に作れるんですよね。当時日本のPFNが作っていたChainerだとか、いろんなものがあったんですけど、そういうライブラリーを使ってディープラーニングのプログラムって作られてたんですね。
NVIDIAはその時に、いろんなライブラリーの開発チームと一緒に働いて、そのライブラリーに全部CUDAを組み込むようにしたんです。なるほど。最新のCUDAで最新のそういうディープラーニングのプログラミングが簡単にできる。簡単にできるようになって、そういうインターフェイスを開発したっていうんですね。そう。CUDAを覚えていただくのは難しかったんですよ。結局ライブラリーはそのまま使えるので、ディープラーニング用のライブラリーを使えば自然にCUDAが使われちゃうんです。
なるほど。CUDAを直接書くわけではない。なるほど。PFNのChainerを使えば下でCUDAが勝手に動いて。なるほど。勝手にCUDAが動いて、その下のGPUは勝手に動くということで、CUDAは覚えなくてもよくなってね。そこが大転換点ではありましてね。
そこから先はご存じのディープラーニングブームから生成AIブーム。生成AIブームになって、事業がいっぱい。20年頃からもう破竹の勢いで来たと。そうですね。私は2019年に辞めましたけど。ちょうど来る時じゃないですか? まだ生成AIになる前なので、ある意味ちょっと停滞はしてましたよね。AIもまたブーム終わり、踊り場かなみたいな。ご存じのようにAIは過去に何回かブームがあって、こんなもんかなっていうところでブームが去って、ちょっとそういう感じがしたのが2018年ぐらいの感じですよね。
そこでNVIDIAを去ることになったのは、気持ちが変わったのかとか。9年ぐらいいたので、結構いろいろ成し遂げたから面白かった。NVIDIA行くまでは結構ジョブホッパー的な。でも富士通で結構やってますから。6、7年ずつぐらい。極めつつバージョンアップして、次どういった世界に行くんですか?
辞めてから量子コンピューターの勉強しようって思って、ちょっとのんびりしようかなと思ってたんですね。でも今はのんびりしてる感じはしないんですけど。のんびりしてるといろいろ仕事を頼まれちゃって、ちょうどNVIDIA辞めた後に、松尾先生がいらっしゃる日本ディープラーニング協会に誘われて、暇なら手伝えと言われて、日本ディープラーニング協会のお手伝いを4年ぐらいして。4年ぐらいしてたと。2019年頃から23年ぐらい。
それは本当にいい仕事というか、やっぱりよく日本のAIブームになった時、会社の社長がなんかわかんないけどやれと言って、丸投げをするっていうのがあるんですけど、その社長がそもそも勉強してくれないと困る。社長のみならずシニアマネージメント、部長、取締役とかいうそういう人たちが、ちゃんと今のAIって何なのか、ディープラーニングって何なのか、その仕組みをちゃんと知ってくれないことには話が進まなくて。やっぱりそれは日本のデジタルトランスフォーメーションが進まない、IT部門丸投げみたいなことがずっとあって、そういうことを松尾先生が危惧されて、そういうシニアマネージメントの人たちにもちゃんとディープラーニングを学んでもらおうっていうことで、検定試験みたいな。なるほど。
始めて、私はその中で、その検定試験に受かった後にもちゃんと継続的に勉強っていうプログラムで、いろんな学習の機会を提供する。AIの進化が速いので、試験合格したらおしまいではなくて、ついていかないといけないので、そのための定期的なセミナーをやったりとかっていうのはずっと担当してました。それに並行して2020年から信州大学に呼ばれて、お前暇なら教えろって言われた。
その中で中国に行ったりとか、ずっとAIというよりは、コンピューターからどうAIが作られるかもわかってて、AIのど真ん中でやられてきたわけじゃないですか。さらにそのCAEなんかにも触れられて、栄枯盛衰というかですね、ずっと見られてきて、今のこの盛り上がりと、このフィジカルAIがどうなってくんだ、どう見られてるかっていう今日の本題に入っていきたいと思うんですが、ここはいかがでしょうか?
そうですね。ずっと今申し上げたようなキャリアは、コンピューターの中の話なんですよね。確かにそうです。プログラミングして、それをコンピューターでいかに速く動かすかっていう、コンピューターの中の話。AI、業界のバズワードですよね。そうですね。1つ言うとすれば、AIの知能を物理世界に応用してやろうっていうのがフィジカルAIですよね。僕のイメージだと製造業の拡張だと思ってるんですけど。
そうですね。製造業っていうか製造プロセスというか、よくフィジカルAIの例としては自動運転車であるとか、ヒューマノイドロボットっていうのが出てくるわけですけど、まさにAIの知能を使って自律的に動くもの。今、戦争でドローンが使われたりもしますが、あれもフィジカルAIだろうし、AIの指示に従って何か物理世界のものが動くのを、フィジカルAIと広く捉えていいんだろうなとは思うんですよね。
ただこれはものすごく難しいチャレンジであって、今までサイバー空間に閉じていたものがこの物理世界に出てくるとなると、物理法則、重力があるとか摩擦があるとか空気抵抗があるとか、いろんなこの物理世界のことが理解されないといけないので、すごく難しい大チャレンジではあるんですけど。自動運転車なんかもう何年も前からできますと言ってなかなかできないんですが、自動運転車の目標っていうのは、他のものに触らないっていうのが目標で、でもそれも難しいわけですね。ヒューマノイドロボットはさらに触るんですよね。
そう。触ってマニピュレーションする。そう、マニピュレーションで次のアクションにつなげていくこと。もっと難しい。もう触らないっていう自動運転も難しいのに、触って何かするってもっと難しいんですよね。確かに。でも物理世界とインタラクションしていくとなれば、触る、何かマニピュレーションする、動かすとかっていうことになってくるので、大チャレンジではあるんですけれども、ただもうすごく可能性がある世界で、これはますます面白くなるんだろうとは思う一方で、やっぱり相当難しい世界だし、今まで違った世界に生きてたものが組み合わさっていく。そうです。考えを相当変えていかないとうまくできない分野なんだろうなとは思いますね。
今、視聴者の方はこう変わってくぞっていうことをイメージできると、確かに自動車とか産業ロボット、ヒューマノイドロボット以外にも適用範囲が広がるねっていう頭のチェンジをできると思うんですけども、どう異なる世界をつなげるということが起こるのか、このお話もぜひ触れていただきたいんです。
そうですね。その前に、そもそもフィジカルAIって言った時に、ヒューマノイドロボットの例が皆さんよく、よかったと思うんですけど、そのヒューマノイドロボットが例えばなんか風をしますとか、バク転しますみたいな、ロボットが動く姿を思い浮かべると思うんですけど、あそこにどうやって至ったかということをまず考えないといけない。あのロボットたちは、あのロボットの体を使って訓練したわけじゃないわけですよね。
コンピューターのシミュレーションの中で現実と同じようなデジタルツインを作って、その現実的な物理のシミュレーションをして、そういうシミュレーションでいろんな学習をして、これならできそうだっていうAIが出来上がったら、それをコピーするとあのロボットはああいうことができるわけですよね。コンピューター上でやって、最後に物理世界への発露としてロボットが出るわけですね。自動運転もそうですね。自動運転車が路上で練習してたらやばいですよね。ぶつかりまくりでしたら。もうずっとコンピューターでシミュレーションして、これならぶつかんないだろうって言って試す。
なので本当に最後なんですよね、物理現象に出てくるの。今はロボットを動かすためのロボット基盤モデルがあったり、そのロボットのモーターのモデルであったり、減速器のモデルであったりっていうのをデジタルの中に再現をして、そこでシミュレーションするっていうことをするわけですね。広く捉えると、ものづくりをすることになる。
例えば車、マーケティングの人がこんなコンセプトの車を作りましょうって言うと、デザイナーがきれいなデザインをする。それをCADのオペレーターが、デザインをCADに落としていく。それが出来上がったら今度はCAEというシミュレーションで構造解析をするとか、流体解析をするとか、衝突解析をする。それで構造物としてよさそうだとなれば、実際に物を作っていく。その作っていく時の部材として、BOMみたいな。そうですね。
ただそれで製造されて物理世界に出ていくわけですけれども、現状はデザイナーの人がデジタルのツールを使ってデザインしますよ。そのツールと、このCADは例えばCATIAとかCreoとか、別のツールが使われますよね。そうですね。シミュレーションとなるとまた違うツール。違うツールが出てきますね。BOMの管理、PLMだと別のツール、違うフォーマットだってことになってるんですけど、今それがOpenUSDっていう。OpenUSD。共通のデータフォーマットになりつつある。
ということは、CADとかCAEがOpenUSDに対応していたら、作ったモデルをOmniverseに取り込めるってことができる。OmniverseでまたそれがIsaac Simにつながって、シミュレーションとかってできるので、従来バラバラのフォーマットだったものが、去年ダッソーとNVIDIAが提携をして、CATIAっていう、世界ナンバーワンCADだと思うんですけど、そのCATIAもOpenUSDのフォーマットに対応するみたいな。なるほど。じゃあCATIAで描いたモデルをそのままOmniverseでも使えるっていうのは。はずです。
そうなってくると、まさにフィジカルAIの世界にみんながつながってきて、CADからCAEからPLMからIsaac Simとか全部つながってきて、製造業の永遠の夢である、デザインサイクルを短くする。まさにそれがAIのこのOmniverseとかの中でぐるぐる回り出すと、本当にすごい。すごいですね。
しかもぐるぐる回るだけでも人の手を介さないので、僕も例えば日の厚木に行ったりとか、いろいろR&Dしてるところを見るんですよね。でもそのR&Dするためにはすごい変換をかけてるはずで、CAEをかけるためにも前準備があったりとか、メッシュを切ったりとか、そういったこともOpenUSDに全部対応しちゃえば、これ変換もいらないし、データの受け渡しも簡単になる。
人間の知恵を超えていくAIエージェントが、いろいろの間をもしつなぐことができればサイクルが回る。回るためにそのデータがまず一緒になったものをエージェントがつないでいくとなれば、本当に設計サイクルが短くなっていって、設計からその物理の製品までが本当に素早くできるかもしれなくて、そこはまさに日本の目指すべきところ、フィジカルAIの目指すべきところではないかと思ってたんで、ヒューマノイドロボットを動かしますみたいな話ではないと私は思う。
みんなフィジカルって言うと、体を持ったヒューマノイドとか産業ロボットっていう話をしてるんですけど、僕も同じでして、我々が得意だった製造業に適用して、1つレベル、2つレベル、そしてAIエージェントが出てくるわけですから、データスペース化して、さらにデータのフォーマットだけじゃなくて言葉のフォーマットもオントロジーとかすることによって、AIエージェントが上流で助言してくれる世界が来ると思って。
そうですね。いわゆるフロントローディングが本当にできるようになってくる。大谷が二刀流ですごいって言われるわけですけど、CADとかCAEとかも、その1つの専門でも相当難しいわけですよね。構造解析をやってる人が別のことを、PLMとか言ったってわかんないわけです。確かに。ある意味細分化してしまうのは、人間の能力的にやっぱり限界があるわけ。でも今のAIはそれをもう超えていきそうな勢いですから、二刀流、全然違う専門分野をAIエージェントがつないでいけるとなれば、本当にこのデザインサイクルが回ってくるし、性能がよくて環境にもいいようなものが出てくる。フィジカルAIの、ちゃんとシミュレーションもしたものが出てきて、すぐに役に立つようなものができるかもしれない。相当難しいとはもちろん思います。
ただ今そっちに向かっている。そうです。そっちに向かうはずです。NVIDIAはまさにそれに向かっていて、今、シーメンスとかいろんなそういう製造業のソフトの会社と提携して、そこを目指しているはずで。まだだいぶ、その政府の目標も2040年ですけど、まさにその辺をターゲットに製造プロセスも変わっていく中でフィジカルAIを捉えていけば、単にロボットが踊るような話ではないですよねと思います。ただそこは相当難しい。相当勉強してみんなチャレンジしていかないといけないと思っている今日この頃です。素晴らしい。拍手です。ありがとうございます。
データスペース化をしないと、今まではOT領域でもERPから、リソースプランニングっていうことで、それを作るのがプロセスで、アドバンスドプランニングスケジューラーでスケジューリングして、MESで実行して、PLCで実際に制御をかけて、その実績だけをSCADAに上げてたわけですよね。だけどもここの構造も、ビジョンでデータを取れるようになったんで、もちろん先生がおっしゃられてるようなCAEとかCADもデータで上げられるし、例えば品質ということでビジョンのデータだったり、人のデータもデータに上がっていって、まさにエージェントAIがつなげて、ものづくりの最適化、ものづくりの知能化が起こると思うんですよね。僕が想像してたところをうまく言語化して。
今、日本がアメリカとか中国にAIの分野でかなり遅れを取っていると言われていて、特にアメリカの頭のいい人たちが作ってるけれども、今申し上げたような製造プロセスみたいなことも含んだ世界であるとすれば、単に頭のいい人たちが机上の空論だけではなく、泥臭い部分もあるので、ここは相当考えるところがあって、いろんなツールを組み合わせるとか、いろんな属人的なものとかもいろんなものがある。いわゆるフィジカルAIは総合格闘技と呼ばれますが、いろんな技があって、いろんなツールをつなぎ込むとかすり合わせるとか、ここは多分日本は強いはずなので、ここは勝ち筋だと思っていて。
そうです。聞いたか、とか言って。相当難しいですよ。知ってる人、多分何言っちゃってんのと思うかもしれないけど、でも方向は多分そうだろうと。それをどうやっていくか、そこは多分日本が有利なんじゃないのとは思いますけど。そう、まさに有利なプロセスだったり、設計、調達、こういった総合格闘技が強かったはずなので、ここにAIで拡張するっていう発想にね。でもその世界をイメージできるってことは、あとはやるだけですから、やっていただきたいと。
これ製造業に限らずですけど、結局日本の会社で結構生産性が低いみたいなのが、あの部署何やってるかわかんないけど、なんか暇そうじゃんみたいな。結局自分の専門以外のことってあんまりわかんないわけですよね。でもそれをつなぐ知能ができつつあるわけで、いろんなものがタコツボ化してたものがつながって、一体化していく世界が多分日本にとっては相当有利だ。相当有利ですよ。そういうふうに見ることができさえすれば、相当面白いと思うんですね。
そうです。そういけるかは、マネージメントの人がちゃんと勉強するかだとは思います。私、今大学で教えていて、この間学生に言ったんですけど、私の授業の裏のテーマは、私が教えた前期分の情報を、夏休みに実家に帰ったらお父さんお母さんに教えると。こんな善人いないですよ、なかなか。それが日本の一番大事なこと。大事ですね。
あと先生、今はシリコンスタジオっていう企業にいらっしゃるみたいなんですけど、ここでは何をやってる? シリコンスタジオっていう会社は元々3Dグラフィックスの会社で、産業系でデジタルツインを作ったり、自動運転のためのシミュレーション関係を整えたりとかっていうことをやっている会社なんです。例えばこの部屋でロボットを動かすとしたら、この部屋のデジタルツインを作らないといけなくて、この部屋でロボットが動くようにいっぱいシミュレーションした後に動き出すわけですから。このシミュレーション環境を作ってあげるみたいな。
物理っぽいのもやるし、本当に物理シミュレーションもやってる、産業用のものもやってるんで。しかもそれを作ってるツールはいろいろ違うものを、最終的にワークフローで組み上げて作っていくっていうことに長けているので、まさにフィジカルAIのイネーブルメントカンパニー。本当に現実世界でフィジカルAIを使えるようにするところをお手伝いできる。なるほど。それがシリコンスタジオだと思っていて。アウトプットをリアライズできるまでの苦労を共にできる。そうですね。そういうノウハウをいっぱい持ってる会社。
なるほど。このCTOでしたっけ? CPAIO。CPAIOなんですか? Chief Physical AI Officer。これをやられてるということですね。そういった手助けしてほしい方は概要欄をチェックいただければ。そうです。という感じですね。最後、言い残すことがあれば。いっぱいいろんなこと言いすぎたんじゃ。
本当に面白くて、フィジカルAIがロボットだけじゃなくて、日本の製造業にとってチャンスっていうところも本当に面白かったと思いました。僕が言いたいことをもう林先生が言っていただいたと、本当に感謝しておりました。
本日はフィジカルAIと製造業の関係ということでお話をいただきまして、このフィジカルAI以外にも、セミコンダクター、半導体ですとか工作機械、そしてFA、OTの領域ですよね。多くの製造業のことをやってますので、製造業で働いてる方、ぜひチャンネル登録いただいて応援をいただきたいのと、林先生にそうだねということで、この世界ワクワクした方はいいねマークを押していただけると僕の励みになりますので、よろしくお願いします。ということで今日もありがとうございました。ありがとうございました。また次回お会いしましょう。じゃあね、バイバイ。
皆様お疲れ様でございました。2026年、残り少しでございますが、ちょっと案件動画やりすぎて、PR動画おりますので、PR動画を募集させていただきたいと思います。皆さん、ホームページからでも結構です。Xはなかなか連絡がつかないからダメです。直接ご連絡いただいても結構です。動画見ましたといった方は、なんと15%オフさせていただきます。出血大サービスでございます。
皆様、弊社のチャンネル、こうなっております。性別、男性が95%、女性はほぼゼロです。5%です。非常に男臭いです。さらに年齢層は45歳から55歳。ちょっと加齢臭がするあたり。いや、違います。決裁権者の男性が素晴らしく見てるチャンネルということをご理解いただきたいと思います。
皆様、展示会、いつものように出してるんじゃありませんか? もう古いです。展示会、なんとなく出してるけど名刺500枚集まりました。それどうなるんですか? マーケティングしてるんですか? してませんね。空中戦で電話かけてますか? してませんね。そこから実際の引き合いになりますか? なりません。ほとんどなりません。なのに場所代だけで数百万、上物は数百万。さらに人20人いるとすれば、1人当たり1日チャージ5万円でございますから、1人当たり3日いると15万円。プラス交通費、宿泊費合わせて20万円です。それが20人もいたら、それだけで400万円でございます。
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過去の実績でございますが、9割のお客様からはよかったねというポジティブな評価をいただいておりまして、例えば大手電子部品メーカー、わずか1か月で30リード獲得。恥ずかしい話ですが、ものづくり太郎のPRが一番効果があったとかですね。台湾協働ロボットメーカー、得られた総リード数は50件以上と。なんとこの動画きっかけで3社とコラボレーションして、そこからの受注も20台以上ということで、この2、3年で4億から5億売り上げたと私は聞いております。
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展示会に出すのであれば、ものづくり太郎チャンネルに出す。いいじゃないですか。失敗するか失敗しないか、皆様の熱量にかかっております。ということで、ぜひよろしくお願いします。お待ちしてます。お願いします。案件ちょうだい。ちょうだい。
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