社員は2人、残りはAI:YCに合格したライトアンカーがサンフランシスコでKビューティーを売る方法

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概要

ライトアンカー(Light Anchor)は、サンフランシスコでパク・サンハとキム・ヨンドの2人が創業した会社だ。2人はSendbirdでPMとして働いた後に独立し、3月末からY Combinator(YC)のスプリングバッチに参加している。この動画で2人の創業者は、AIは人間よりも上手に消費者ブランドを作り、運営できると語る。人間2人と複数のAIエージェントで会社を回す日常、韓国人の30代男性2人がKビューティーを売っているという状況、YC合格までの過程、ビザの問題で無給のまま過ごすサンフランシスコでの生活、そして「ビジネスが得意なAIモデル」という構想について、順を追って語っていく。

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キーボードの代わりにマイクで仕事を任せる会社

2人の創業者は、自分たちの働き方について「今のところはちょっと変わっていると思う」と話す。キーボードはほとんど打たず、マイクに向かってAIに口頭で仕事を指示するのが日常だ。撮影中にも、国別に作った広告素材の間隔を直すよう英語で指示し、結果が気に入らないと「You can do better」と返す場面がある。

AIとの仕事がいつもスムーズにいくわけではない。エージェントがときどき応答しなくなるので、ちゃんと作業しているのか確認しなければならず、そうしているうちに悪態が出ることもあるという。それでもできるだけ抑えるようにしている。AIをそんなふうに扱う癖がつくと、いずれ人に対しても同じように接してしまいそうだから、というのがその理由だ。

AIがエンドツーエンドで運営するブランド

ライトアンカーが解決しようとしている課題は、消費者ブランドの運営だ。AIがストアやブランドを最初から最後まで(エンドツーエンドで)自ら運営し、顧客に商品を販売する仕組みで、同社はそうしたAIエージェントが動くためのシステムを作っている。現在最もうまくいっているブランドはKビューティーだ。自社で作った製品ではなく、市場に出回っている製品を2か国で販売していると明かした。

広告動画の制作は、まだ手間のかかる領域だ。AIが作った動画から不自然なシーンを取り除いていくのだが、よく見ると腕が3本あるケースもあるという。創業者たちは、こうしたエラーはAIに言葉で伝えるのが難しいため、テストを重ねながら潰していっていると説明する。

このブランドが始まった経緯も、実験に近いものだった。最初はAIにブランドを4つ選ばせた。AIエージェントにゼネラルマネージャーとCEOの役割を与え、1万ドルの予算を渡したところ、エージェント同士が議論して4つのブランドを作り上げた。そのうちの1つがKビューティーのマスク事業で、これが最もうまくいった。創業者たちは「なぜ売れているのか今でも理解できない」と言いつつも、売れればそれでいいのではないか、というのが自分たちの出した結論だと話す。

アンプルも知らなかった2人の男がKビューティーを売るということ

2人は、自分たちがKビューティーについてほとんど知らないことを隠さない。アンプルというものも去年になって初めて知り、化粧水が何なのかも知らず、リジュランやPDRNといったものもまったく知らなかったという。撮影中、制作スタッフにAnuaのドクダミ77を使ったことがあるかと聞かれ、少し戸惑う場面もある。パク・サンハは前日に「ジェナベル」の製品を使ってみたと言うが、品質が良かったとして、その根拠に折りたたまれたパッケージがどれだけ簡単に開くかを挙げて笑いを誘った。

創業者たちは、この状況こそが自分たちのビジネスを説明する事例だと考えている。韓国人の30代男性2人がKビューティーを売れるということ自体が皮肉だが、まさにその点が、AIが何を可能にしたのかを示しているというのだ。

数百、数千のブランドを運営する構想

今はKビューティーから始めているが、2人は今後さまざまなブランドを作り、その数は1つではなく数百、数千になるだろうと見ている。根拠はコスト構造だ。人間がブランドを運営していた時代には、情報伝達やコミュニケーションにコストがかかったため、多数のブランドを運営するのは現実的に不可能だったという。AIが運営するなら、ブランドを作るコストはまったくなくなると創業者たちは語る。ただし、製品を実際に届ける作業はまだ人間がやらなければならないため、その部分まで変わるにはもう少し時間がかかると付け加えた。

2人目の妊娠を知った翌週に創業

2人はもともと創業を目標にSendbirdに入社した。パク・サンハは創業する意思がはっきりしていたが、キム・ヨンドには大きな迷いがあった。家族がいて、間もなく2人目の子どもが生まれる予定だったからだ。キム・ヨンドは、2人目の妊娠を知ったちょうど翌週に創業を決めたと記憶していると話す。

キム・ヨンドは、家族を置いてこられた理由を昔から立てていた計画に求める。創業はすごく若いうちにするか、すごく遅くにするものだと考えていて、早く結婚して子どもを持ってから創業する道を選んだという。結婚して子どもを持つことはすでに答えが決まっていることなので、人生において変数というより定数に近いと説明する。周囲からは、2人目が生まれるのになぜ辞めるのかと言われ、本人は他のオファーも受けていた状態だった。

そのとき本人が決めた基準は「1ウォンでも投資を受けられたら辞めよう」だった。キム・ヨンドは、これは一種の確信(conviction)ではあったが、ファウンダーとしては良い姿勢ではなかったと思うと振り返る。パク・サンハは、確信は外から持ってくるものではなく自分自身の中から生まれるものだと、何度もキム・ヨンドに言ったという。それでもキム・ヨンドは、当時はそうした外部からのシグナルが必要だったと話す。

10分で出た最初の投資意向と「市場にお金がありすぎる」

2人はすぐに投資家と会い始め、最初に会った投資家が10分ほどで投資したいという意向を示した。2人は、投資の世界はちょっと変だと言う。1人が入ると他の人たちも後に続いて入ってくる「空気の読み合い」だというのだ。

その面談を終えてタクシーで帰りながら、2人はある結論に至った。第一に、市場にお金がありすぎるということだ。自分たちが優れているからではなく、今は挑戦する人なら誰でも何かを得てスタートできる環境だという判断だった。

創業する理由についても、創業者の1人は思ったより単純だと話す。見えたらとりあえずやるタイプで、できるからやるのだという。昔ならとっくに潰れていただろうが、今はパソコンをつけてキーボードを打つだけで創業できる世の中になったと語る。だから大それた野心というより、できるからやり、うまくいくまでやるタイプだと自らを説明する。

YC合格:プロダクトも売上もなしに

YCについて2人は、アメリカ最大のアクセラレーターで、合格率はおよそ1〜2%程度だと思うと紹介する。StripeやAirbnbのような大企業や、数多くのユニコーンがここから生まれたと話す。YCに通っていると、隣の席に連続起業家やユニコーンの創業者が座っていることもよくあるという。撮影中にはOpenAIのイベントに行ってきた話も出たが、有名人を「遠くから見たし、すぐ後ろにいたこともあるので、同じ空気を吸った程度」と笑っていた。

合格通知の過程はドラマチックだった。通常は電話で連絡が来るのだが、7時半を過ぎても電話が来なかった。2人は、落ちても何も変わらないのだから、やろうとしていたことをもっと頑張ろうとメッセージを送り合っていた。そのとき突然、「we would love to invest」というメールが届いた。2人はこの瞬間が魔法のようで、こんなことが自分たちにも起こりうるのだと感じたと語る。

プロダクトも売上もないのにどうやって合格したのかについて、2人は経験を理由に挙げる。今の市場で、AIエージェントを実際に本番環境へ導入したことがある人は、エンタープライズ側にもあまり多くないと見ている。2人は2〜3年前からAIエージェント製品を作って苦労してきた経験があり、YCはその経験を高く評価したのだろうと推測する。YCはプロダクトよりも「この人はファウンダーになれる人か」を見ており、自分たちは経験でそれを証明したという解釈だ。

YCに関するよくある誤解

2人は、YCが好むチームを「小さな問題を見つけつつも、大きな夢を持っている人たち」だと見ている。去年は宇宙にホテルを建てるという会社と、ポケモンカードを転売するという会社がどちらも合格したと例を挙げる。一般的な投資家は市場規模を見るが、YCはレポートで市場規模を判断するよりも、尖った問題に深く取り組むチームを見て、この人たちならどんな問題でも解けるのではないかという基準で選んでいるようだと話す。

よくある勘違いとしては、YCを「起業の士官学校」のように捉える見方を挙げる。実際には、入っても教えてくれることはなく、必要なものを自分で取りにいくことのほうが重要だという。教えも「ABCをやれ」といった指示より、哲学に近いものだと説明する。また、YCにはすごい人ばかりが集まっていると思われがちだが、2人が感じるところでは、一生懸命で何かをやりたいと思っている普通の人たちだ。違いがあるとすれば、やりたいことに対する意志が少し強いという程度だと語る。

2人はこう警告もする。おそらく大半の会社はうまくいかないだろうし、YCに入ったからといってうまくいくわけではない。YCは一つの過程にすぎず、必ずしも通る必要はないという。投資なしで立派に成長した会社も多く、投資を受けてもうまくいかなかった会社も多いと付け加えた。

家賃500万ウォンのアパート、無給生活、そして撮影中に下りたビザ

撮影はパク・サンハの自宅で行われた。サンフランシスコのミッションベイ地区で、OpenAIやYCが近くにあり、家賃は500万〜600万ウォンほどだという。シリコンバレーの会社というときらびやかな姿を思い浮かべがちだが、多くのチームはこうして日々を耐え抜くやり方で過ごしていると話す。概要欄によると、2人はリビングにエアマットを敷いて寝ながら働いている。

2人はビザの関係で給料を受け取れず、無給で働いていた。ところが撮影の途中、メールを確認していたところ、1人のビザが下りたという知らせが届いた。2人は「やばい」と喜び、もう1人は今日連絡がなければ明日来るだろうと話した。ビザが下りてこそ給料を受け取れ、ちゃんと、安心して働くことができる。韓国ではまったくしなかった心配だったので落ち着かない気分だったが、その気分がようやく消えて、ここは本当に自分が力を発揮できる土地なのだと思えるようになったと語る。

なぜ韓国ではなくサンフランシスコなのか

韓国とアメリカのどちらにいるべきか悩んでいる人は多いだろうとして、2人は市場規模に関係なく、同じような悩みを抱える人たちの近くにいることが本当に役に立つと話す。創業者の1人は、6か月前までは1か所で創業すればいいのではと思っていたという。そんな中、最近見た動画で「どこにいるべきか」という問いをルネサンスになぞらえた話を聞いた。ルネサンス期に人々がどこに集まっていたかを思い浮かべれば答えが見えるように、時代ごとにそういう場所があり、今AIが最も熱いのならサンフランシスコに来るべきだという結論だったと伝える。ただし、動画を最後まで見ていないので、それが結論ではないかもしれないと笑いながら付け加えた。

アメリカ行きの難しさも強調する。よほどの覚悟がなければ大変で、韓国人に限らず外国人ファウンダーが適応できずに帰っていくケースが多いという。アメリカ人にとってもアメリカでビジネスをするのは難しく、韓国人にとってはさらに難しい。その難しさは生活が脅かされるようなものではなく、日常的なものだ。言いたいことが言えず、自分をうまくアピールできないという難しさである。こうした日常の困難に屈せず毎日挑戦できてこそ、アメリカで有意義な時間を過ごせると2人は語る。

深夜0時以降の仕事とチームの原則

夜12時は、2人にとって寝る時間ではなく、シャワーを浴びてそれぞれ仕事を始める時間だ。この時間に2人は、投資家に断られた回数を何回と書くか、資金調達や売上、調達額といった項目をどこまで詳しく書くかを相談する。

チームの価値観としては「深く考えすぎないこと」を挙げる。何が正しくて何が間違っているかを深く突き詰めるより、与えられた状況で全力を尽くして素早くやってみようということだ。そこにもう一つ付け加える。毎日やっていればうまくいくという信念とともに、変わらない信念も必要だということだ。ある人はそれをコアバリューと呼び、ある人はテネットと呼ぶだろうが、自分たちが思い描く世界は何なのか、何を信じ、何を捨ててはいけないのかを考えなければならないと話す。その一方で、今の段階では「ビジョン」という言葉自体には何の意味もなく、ただやればいいのだとも語る。

4つのモデルによる広告対決:ビジネスが得意なモデルはまだない

2人は、AIが良くなるほど自分たちのビジネスも良くなると考えており、進行中の実験を1つ見せてくれる。Opus、GPT、Gemini、GLMの4つのモデルに同じビジネスを1つ任せ、広告を作りながら最適化させる比較ツールだ。各モデルに予算を与えて3日間自由に運用させ、CTR(クリック率)を比較した。画面上ではGeminiが3.3%で1位だった。創業者たちは、たいていはGeminiが優秀なほうだと言いつつも、今回はGLMもよくやっていて、CPCなどの指標ではむしろ上だったと伝えた。Geminiが優位な理由は、Googleが広告を多く手がける会社だからかもしれないと推測する。意図したわけではないが、実験をしているうちに見えてきた結果だと説明する。

この実験を行う理由は、モデルにも専門分野が生まれると考えているからだ。コーディングが得意なモデル、デザインが得意なモデルがあるように、ビジネスが得意なモデルもあるべきだが、そうしたモデルはまだ存在しないというのが2人の見立てだ。コーディングモデルはコードをもとに学習し、初期のGPTはインターネットをクロールした検索ベースだったことを挙げ、ビジネスの能力に特化した学習はまだ行われていないと見ている。だから、ビジネスが得意なモデルを作る会社はもしかすると自分たちになるかもしれない、という考えを持っていると語る。

「うまくいかない理由がない」という論理

2人は、自分たちの方向性について、うまくいかない理由がまったくないように思うと話す。AIは開発もデザインも得意で、人間よりはるかに多く、速く、長く働ける。AIの進化のスピードはいずれにせよさらに速くなるだろう。そして2人のビジネスは、AIが少し良くなるだけで成果がさらに出ざるを得ない構造だ。うまくいく理由をわざわざ説明しなくても、うまくいかない理由がないのなら、世の中は自然とそちらへ流れていくのではないか、というのが2人の考えだ。

大きな絵を描くときにワクワクするかという質問には、ワクワクするし楽しいと答える。どこまで行けるのか、このまま夢の中にとどまってしまうのではないかと心配もしたが、話しているうちに言ったとおりになっていったと語る。話して想像していると行動がついてきて、それが現実になるのだから、ずっと想像し続ければいいのではないかと付け加えた。

採用:ビューティーに夢中な人か、AIに夢中な人

最後に採用計画について聞かれると、2人は今ビューティーをやっているので、ビューティーに夢中な人かAIに夢中な人を探していると答える。両方に夢中な人なら最高だという。AIでは無理だろうと考える人よりも、1人の起業家が1兆ウォン規模の会社を作る世の中で、Kビューティーやビューティーでそうした夢を描く人、AIで世界を変えたい人に応募してほしいと話す。さらに、自分だけが解きたい問題、自分だけが深く考え続けてきた問題があり、その問題をこれまでどう解いてきたかを示せる経験を持つ人なら、なお良いと語った。