抵抗器メーカー4社は何で差をつけているのか:テクノフロンティア2026「電子部品の未来を探る座談会(抵抗編)」

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概要

テクノフロンティア2026(2026年7月15〜17日)のイチケンラウンジで、「電子部品の未来を探る座談会 抵抗編」が開かれた。電子工作系YouTuberのイチケンが、KOA、北陸電気工業、進工業、ロームの担当者と1社ずつ1対1で対談する形式である。

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冒頭でイチケンは、抵抗を「電子部品の中では主要だが地味な部品」と位置づけた。そのうえで、電流制限、分圧、電流検出といった回路設計の基礎を支えているのは抵抗であり、EVの電流検出用シャント、サーバー電源、再生可能エネルギーなどパワーエレクトロニクスの分野で重要性が増していると述べた。「抵抗なんてどれも同じ」と思われがちだが、各社の違いを見てほしい、というのがこの座談会の出発点である。対談の最後には、各社に共通して「自社製品の一番の特長は何か」を尋ねている。

KOA:国内生産中心で、抵抗なら「だいたい何でも揃う」メーカー

1社目のKOAは、対談の前に自社の木工グッズを手土産として渡した。同社は「農工一体」を掲げて木工も手がけており、注文家具も作っているという。

担当者の説明では、KOAは長野県のメーカーで、創業86年、売上は約700億円、従業員は約4000名である。国内生産比率は約70%で、海外でも生産と販売を行っている。売上のほとんどは抵抗器で、顧客は自動車メーカーが多く、次いで産業機器である。主力は厚膜チップ抵抗器だが、薄膜、金属板の低抵抗(mΩ)、モジュールも扱い、リード付き抵抗やセメント抵抗もいまだに作っている。担当者は、抵抗であればだいたい何でも揃うので相談してほしいと述べた。

イチケンが一番推したい製品を尋ねると、担当者は厚膜チップを挙げた。後述するハイパワー品があるほか、金属板の低抵抗は種類が非常に多く、選択肢が広いという。

「端子部温度」で抵抗器の使用限界を決める

KOAが力を入れている取り組みは熱設計である。担当者によれば、従来の熱設計は部品に空気を当てて熱を逃がすものだった。最近は基板に熱を逃がすことが重要になっている。基板設計者がパターンを工夫し、小さな部品の温度をどう評価するかも課題になっている。そのため部品メーカーとしては、基板への放熱を前提にした部品仕様を示すことが大事になっている、というのが担当者の説明である。

イチケンはこの話に、自身の経験から共感を示した。国内の充電器メーカーCIOと共同で「国産USB充電器プロジェクト」としてUSB充電器を設計しており、筐体温度が70〜80℃まで上がるため放熱に苦労しているという。

具体策としてKOAが進めているのが「端子部温度規定」である。抵抗器には、横軸に温度、縦軸に電力をとった負荷軽減曲線があり、温度が高くなるほど使える電力を下げる必要がある。従来の横軸は周囲の空気温度だったが、これでは曖昧になる。KOAは横軸を基板と部品の接続部、つまり端子部の温度にした。部品自体の温度で使用限界を決めることで、顧客が合理的に使えるようになるという。担当者は、この考え方は国際規格やJISにも反映されており、基板放熱を主体とした熱設計には必須だと述べた。イチケンが車載、再エネ、サーバー電源などの用途によらず重要なのかと尋ねると、担当者は、ほとんどすべての抵抗器で端子部温度基準の負荷軽減曲線を提供していると答えた。

根拠を持って定格電力を引き上げる

KOAは一昨年から昨年にかけて、既存製品の定格電力を引き上げた。例として挙げたのは耐パルス抵抗器で、2012サイズの汎用品が0.25Wのところ、0.75Wまでかけられるようにした。よく使われている長辺電極タイプはさらに高いワッテージにしている。担当者は、同様の製品は他社にもあるが、端子部温度規定を進めるなかで取り組んできたと説明した。一方で、この条件では放熱が非常に重要になるとも付け加えた。

イチケンは、定格を上げた分、寿命や経年劣化など信頼性がどうなるのかが気になると指摘した。担当者は、使われている温度がはっきり分かるようになることは、そうした信頼性を把握する取り組みでもあると答えた。

なぜ大きく定格を上げられたのかについて、担当者は次のように説明した。これまでの定格は顧客の要求に応じて少しずつ上げてきた。今回は大きく引き上げた。熱設計に取り組むなかで、基板に載せた部品の温度をどうコントロールできるかを研究し、定格を試験する環境をかなり制御できるようになった。そのうえで、材料と構造による限界を見定め、温度を精密に振りながら試験した。こうして根拠を明確にしながら限界に近いところまで電力を上げた、という。

発熱抑制金属チップと、開発中のセラミック抵抗

KOAはブースで新製品「発熱抑制金属チップ」も紹介していた。基板の銅箔パターン上に銅のチップを実装すると、その部分のパターン抵抗値が下がる。電流が集中して局所的に熱くなる箇所で抵抗が下がれば、ジュール発熱が減り、温度上昇も抑えられる。放熱ではなく発熱そのものを減らす部品で、デモでは約60Aを流す実験を見せていた。抵抗器ではない部品である。

用途についての説明はこうだ。車載の統合ECUなどでは、部分的に大電流が必要な箇所に、大きめの金属塊やギザギザした形状の部品を使ってパターンを強化することが多い。そこにKOAの小さな部品で提案できないかと考えている。イチケンが「基板全体の銅箔を厚くするより、ピンポイントで使う感じか」と確認すると、担当者はそうだと答えた。

もう一つは、面実装の耐パルス・耐サージ用セラミック抵抗である。見た目は普通のチップ抵抗だが、一般的なチップ抵抗が絶縁基板の上に抵抗膜を載せているのに対し、この製品は全体が特殊な導電性セラミックでできている。イチケンが「昔のソリッド抵抗のようなものか」と尋ねると、担当者はイメージとしてはそうだと答えた。パルス限界電力のグラフ(縦軸は対数)では、汎用品に比べておよそ2桁強いという。

担当者によると、このタイプはKOAのリード付き製品にはあったが、なかなかチップ化できなかった。それがどうにかなりそうだという段階で、まだ開発中であり、製品化には時間がかかるとしている。他社について聞かれると、この種のものはリード付きでも見たことがなく、チップではおそらく他社はやっていないだろうと答えた。

デメリットも率直に説明された。マイナスのTCR(抵抗温度係数)があるため使いどころに工夫が要る。また、材料を切って電極をつける製法のため、許容差が悪く、細かい抵抗値は出せない。そのうえで担当者は、突入防止やスナバのような用途にうまく使えるのではないかと述べた。KOAは熱設計の情報を動画なども含めてウェブページで発信していることも紹介した。

「一番の特長」について、担当者はラインナップの広さを挙げた。厚膜、薄膜、金属、リード付きでは巻線からセメント抵抗まで、かなり大きなものも含めて揃えている。リード付きのセラミック抵抗をチップ化したように、持っている技術を活かしていきたい。抵抗で迷ったら声をかけてほしい、と締めくくった。

北陸電気工業:抵抗器専業ではなく、センサーやモジュールも手がける

2社目は富山県の北陸電気工業である。担当者によれば、同社は軍需用のディスクリート炭素被膜抵抗器から始まり、印刷抵抗、ハイブリッドIC、高圧抵抗へと展開した。その技術を応用して厚膜チップ抵抗器を開発した背景には、部品がディスクリートから表面実装に移った時代の変化があるという。現在はセンサーやモジュールも手がけ、3つの事業部を持つ。チップ抵抗器はコンポーネント事業本部で製造している。イチケンは、抵抗専業ではなく、センサーやモジュールと並ぶ事業の一つとして抵抗をやっている会社だと整理した。

担当者は、チップ抵抗器は非常に安い部品だが、電気回路には不可欠だと話した。顧客からはコスト以外にも、高電力化、低抵抗、耐環境性、環境対応といった要求が出てくる。チップ抵抗器メーカーは安価に物を作る技術に長けているため、そこからチップヒューズやESDに強いチップ部品といった派生品も手がけているという。

イチケンが、汎用品よりも高機能品で差別化を図る方針かと尋ねると、担当者はそういう狙いだと認めた。一方で、「抵抗なんて1個何銭の世界」と言いつつ、顧客が必要とするものはすべて対応するので汎用品も一生懸命やっていくと付け加えた。

小型高電力品と、コストを考えた耐硫化品

代表例として挙げたのが小型高電力品で、3216サイズで1.5Wの製品を開発している。汎用品との最大の違いは、高電力に強い抵抗体材料を使っている点だという。

特に力を入れている領域を問われると、担当者は、現在付き合いが強いのは自動車関係の顧客だと答えた。そこで紹介されたのが耐硫化チップ抵抗器である。顧客のアプリケーションでは硫黄に触れる機会が増えており、チップ抵抗器の宿命である硫化断線が問題になっている。担当者の説明するメカニズムは次のとおりだ。メッキとオーバーコートの界面から、水分に溶けた硫黄成分が入り込み、内部電極の銀と反応して硫化し、断線に至る。

北陸電気工業は2種類の耐硫化品を揃えている。一つは硫化がもう起きないタイプである。もう一つは、めったに起きない硫化についてはコストを優先したいという顧客が多いことから用意したCRSシリーズである。CRSシリーズは構造に一層を追加し、耐硫化性とコストの両立を図っている。

宇宙用のJAXA品と、厚膜で0.1%・25ppmの高精度品

宇宙衛星用として、JAXA品のチップ抵抗器も紹介された。宇宙は真空で、地上とはまったく違う環境である。このため、宇宙空間で使えると認められた材料で構造を作っている点が普通の抵抗との大きな違いだという。イチケンが鉛フリーについて尋ねると、担当者は、地上ではRoHS対応で鉛フリーメッキが常識だが、宇宙でスズメッキを使うとウィスカーが出てしまうため、その対策をした外部電極を採用していると答えた。

さらに超高精度抵抗も紹介された。厚膜チップ抵抗器は従来、精度0.5%、TCR 50ppmまでだった。これに対し、0.1%・25ppm級の要求が出ているという。北陸電気工業は独自の抵抗体素材を使い、25ppmと高電力を両立させたと説明した。

厚膜でこの精度をどう実現したのかというイチケンの質問に、担当者はこう答えた。材料メーカー側でもTCRは調整しているが、材料メーカーと自社の工程ではパターンも条件も違うため、TCRにばらつきが出る。そこで、自社の工程内でTCRを調整できる材料にしているのが大きな違いである。

「一番の特長」について、担当者は、独自の生産設備と材料で抵抗器を作れる点を挙げた。顧客に合わせた製品を作ることも可能かというイチケンの問いには、「はい」と答えた。

進工業:創業以来、薄膜抵抗器一筋

3社目の進工業は、担当者によれば1964年に世界初の薄膜抵抗器を開発する会社として創業し、1980年代に量産技術を確立した。以来、薄膜抵抗器だけを手がけている。

スライドの半導体クリーンルームのような写真について尋ねられると、担当者は、実際に環境を制御したクリーンルームを持っていると答えた。昨年、福井県小浜市にクリーンルームを備えた生産ラインを構築した。微細加工を行い、半導体と同じくフォトレジストを使うため、紫外線を遮断した光の中で製造しているという。

膜の薄さについて、担当者は、髪の毛の太さが約100μmであるのに対し、同社製品の膜厚は100nm以下で、その1000分の1だと説明した。非常に薄く、質の高い膜を使うことで性能を出すことに特化しているという。

用途は車載・モビリティ、産業機器、高精度な計測器、民生、通信、医療機器、宇宙と幅広い。イチケンが、精度が求められる計測器以外にも使われているのかと尋ねると、担当者は次のように答えた。計測器はノイズに非常に敏感である。宇宙や通信では、小さなノイズやわずかなズレが通信速度や精度に影響する。それをいかに小さくして、システムとして顧客が出したい性能を出すか、そこで採用されている。医療機器も紹介された。医師が機械を動かす際に小さな誤差があってはいけないとされており、繊細な動きが求められる用途で採用されたという。売上比率はまだ小さいが、成長戦略として伸ばしたい分野だと担当者は述べた。

0.01%・1ppmの精度と、薄膜の限界・価格

担当者は、薄膜チップでは抵抗値精度0.01%、TCR 1ppm/℃まで実現できるとし、これが薄膜の最も大きな強みだと述べた。低ノイズであることも特長である。また、同社は銀を使わないため、硫化についてはまったく考える必要がないという。担当者は、60年以上前から耐硫化性を考えたプロセスと構造を作り、量産に結びつけた先人の知恵を「すごい」と評した。ラインナップには、ほかにmΩ帯の超低抵抗品や高周波チップもある。

イチケンは、膜が薄いので大電力には耐えられないのではないかと尋ねた。担当者は、ある領域を超えれば絶対に厚膜に負けると認めた。そのうえで、必要とされる動作範囲内では圧倒的な性能を出せるので、そこに特化すべきだと答えた。高電圧チップも別に用意しているが、数百ボルトの領域でどれだけ安定した性能を供給できるかを追求したいという。

価格についての質問には「痛いところ」と前置きして、一般的な厚膜抵抗器より高いと答えた。プロセスや加工が複雑で工程数が多いためである。それでも、価格ではなく精度や信頼性に価値を感じてもらえる製品を出したいので、フォーカスを絞って性能で勝負するという。温度が変わっても精度が変わらないこと、長期間安定して性能を出せることが求められる自動車、医療機器、宇宙が主戦場だと担当者は考えている。宇宙に持っていけば修理もできないから、というのがその理由である。

NASAのCOTSリスト登録と、車載品質から宇宙への展開

担当者は、進工業のチップがNASAのCOTS(商用部品)リストに登録されており、部品メーカーとして登録されているのは世界で進工業だけだとアピールした。また昨年、RG・KRLシリーズがNASAのパッケージプログラムに搭載されたという。

イチケンが、F1の技術を乗用車にフィードバックするように、宇宙品質を自社製品に還元しているのかと尋ねると、担当者は「逆」だと答えた。車載で培った品質・性能をそのまま宇宙に展開しているのだという。COTSとして採用されたのは一般的な車載品質の製品で、同じプロセス・同じ構造のままNASAに使われている。宇宙専用のプロセスや部品を使う例は半導体のSoCなどにはあるが、今作っているプロセス、構造、材料が認められたことが非常に嬉しいと担当者は語った。

さらに担当者は、今年8月30日にNASAが打ち上げる予定だと説明したローマン宇宙望遠鏡にも同社のチップが搭載されており、打ち上げに使うFalcon 9にも使われていると紹介した。これまで見たことのない映像が近い将来出てくるだろうし、そこに貢献できれば心の支えになる、と話した。

ノイズが少ない理由と、オーディオでの評価

厚膜と薄膜の構造比較では、担当者は、薄膜は非常に緻密で安定した膜の接合体であり、そこを電子がスムーズに流れるため1ppmという数字が保てると説明した。グラフが熱雑音かと問われると、熱雑音は抵抗全体に関わるもので、ここで示しているのは電流ノイズだと答えた。電極と抵抗体の間や抵抗体内部での電子の動きがスムーズで、温度が上がっても変わらずコントロールできることが薄膜の利点の根源だという。

イチケンが、ノイズが少ないならオーディオで喜ばれそうだと言うと、担当者は「その通り」と応じた。音質や正確な測定では、信号を正しく伝えることが非常に重要だという。ある顧客から、草原の風の音や川のせせらぎ、鳥のさえずりなど、奥にある音まできちんと表現してくれるのが進のチップだと言われ、とても嬉しかったというエピソードも紹介された。

「一番の特長」について、担当者は、62年間薄膜技術だけを追求してきたことを挙げた。大量生産ではなく、高精度、高信頼、長期安定性に価値を求めて磨いてきたという。今後は自動車、医療、AI、宇宙、次世代通信など、信頼性を求める分野で採用されていくだろうし、そうなってほしいと述べ、薄膜技術で世界の進化に貢献したいと締めくくった。イチケンは「かなり尖った技術とスペック」だと感想を述べた。

ローム:抵抗器から始まった会社の「トータル提案」

4社目のロームは京都に本社を置き、抵抗器を創業商品とする会社である。担当者によると、社名はレジスター(抵抗器)または信頼性(リライアビリティ)の頭文字Rと、抵抗の単位ohmを組み合わせた「R.ohm」に由来する。

パワー領域の電流検出ニーズのうち、特に注力する分野を問われると、担当者は、従来から車載市場に注力してきたと答えた。そこでQCDS(品質・コスト・納期・サービス)が鍛えられ、その強みを活かして産業機器やコンピューターストレージにも製品を展開しているという。

イチケンは、他社の多くが抵抗を専業とするのに対し、ロームはアナログICやパワー半導体も手がけているとして、ロームの抵抗を使うメリットを尋ねた。担当者は、LSIやディスクリート半導体、モジュールまで幅広い製品群を持ち、トータルで提案できる点を挙げた。たとえば電流検出抵抗を使うには電流センスアンプやマイコンも必要だが、それらもまとめて提案できる。技術サポートは特に熱設計と実装関係が充実しているという。担当者はこの場で、電流センスのリファレンスデザイン評価ボードをイチケンに手渡し、チャンネルで「電流検出をやってみた」のような形で使ってほしいと依頼した。

大・中・小電流をカバーする電流検出抵抗の「3兄弟」

ロームが紹介したのは、大・中・小の電流領域をカバーする3つの電流検出抵抗で、担当者は「3兄弟」にたとえた。

長男にあたるのが、100A以上の大電流域に対応するPSRシリーズである。抵抗体の合金と銅電極を溶接でつないだシンプルでパワフルな構造で、担当者は、業界最小サイズかつ業界最高水準の定格電力を保証していると説明した。イチケンは、最小0.1mΩのような領域では、基板の配線やはんだ接合部の抵抗も無視できず、扱いが難しいのではないかと指摘した。担当者はそれを大きな技術課題と認めた。顧客の設計パターンによって抵抗値がずれることもあるため、ウェブで設計サポートツールや技術資料を出している。配線周りの発熱も事前に分かるよう、高精度なモデルも提供しているという。

次男のGMRシリーズは、5mΩから220mΩと幅広い抵抗値に対応する高電力品で、高い耐パルス性を持ち、モーター駆動回路やスナバ回路で使われている。電力保証が高いため、他社品よりワンサイズ小型化できるという。担当者によれば、素子設計を工夫して発熱を分散させている。一般的な抵抗器では中央で発生した熱が左右の電極から基板へ抜けるが、この製品は熱を分散させたうえで直下に落とす構造になっている。スナバでは連続して大きなパルスがかかり熱が溜まっていくため、しっかり熱を逃がせる点がスナバ用途に向くと説明した。

三男は数Aクラスの電流検出向けで、高電力、高信頼、高精度の3つを同時に実現したという金属焼結品である。2012サイズで定格1Wや1.25Wを保証し、現在引き合いが多いという。「金属焼結」について担当者は、従来の焼成とは違う材料と、違う焼き固め技術を使っているためそう呼んでいると説明した。用途はロボット、FA機器、タブレットなどの電流検出である。

イチケンが、ほぼ金属のように見えるので熱をよく伝えるのかと尋ねると、担当者は、これは長男・次男と違って厚膜技術を使ったシャント抵抗で、セラミック部分も含むと訂正した。そのうえで、発熱を分散させてうまく逃がす構造により、従来品より温度を大きく下げているという。温度係数も従来の半分以下に抑えている。厚膜抵抗器ははんだクラックで壊れやすいが、構造を工夫して従来の5〜10倍の寿命を実現したと担当者は説明した。

ウェブでの選定支援と、ロームの「一番の特長」

担当者は、最適な部品は電流領域によって変わり、電流検出なら今回の3シリーズが大・中・小それぞれの最適な提案になるとまとめた。製品を売るだけでなく、「探す・試す・相談する・購入する」という流れをウェブで一貫して支援している。「相談する」にあたるエンジニアソーシャルハブ(ESH)は、技術記事やノウハウを共有し、技術者同士が話し合うコミュニティサイトである。抵抗器なら担当者のような技術者が掲示板で返事を書いており、各部品のエキスパートが質問に対応するという。

「一番の特長」について、担当者はパワーを挙げた。そして、そのパワーを使いこなしてもらうための技術サポートをセットで提供していることが特長だと述べた。イチケンの「部品だけでなく使い方までサポートする感じか」という確認に、担当者は「その通り」と答えた。

同じ「抵抗」でも、やっていることは違う

最後にイチケンは全体を振り返り、抵抗は汎用部品だが、薄膜の進工業やパワーのロームのように各社それぞれ特長があると述べた。抵抗というくくりで見れば同じでも、各社がやっていることはかなり違う。今回の対談で見た各社や業界のトレンドが、少しでも理解の役に立てば嬉しい、と話してセッションを終えた。