クラシエ「ファルテア」は何が新しいのか:プチプラで「リポソーム」を明言した意味

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概要

美容化学者のかずのすけは、クラシエが2024年9月11日に発売したスキンケアブランド「ファルテア(FERTHÉA)」を、8〜9月に紹介した注目新作の中で「おそらく一番すごい」商品だと評価している。理由は「リポソーム」という言葉を正面から打ち出し、その根拠となる研究データまで公表している点にある。話者によれば、これまでプチプラの価格帯でリポソームを明確にうたった化粧品はほとんどなかった。この動画では、リポソームをうたうことがなぜ難しいのか、クラシエがどこまで検証しているのか、そして3製品の成分と使用感を順に解説している。

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ヘアケアのクラシエがスキンケアに力を入れている

話者はまずクラシエという会社について説明する。クラシエはもともと「いち髪」「ひまわり」など人気のヘアケアを手がけてきたメーカーで、市販のプチプラヘアケアの価格帯ではトップの技術を持っていると、話者は以前から紹介してきた。ヘアケアの印象が強かったが、前年に紹介した「肌美精」シリーズの化粧水や美容液などから、スキンケアにも本格的に力を入れていると感じていたという。

これまでクラシエのプチプラスキンケアの代表格は肌美精だったが、ファルテアは肌美精に並ぶ、技術面ではその上を行っているのではないかと話者は見ている。また、話者はクラシエと仕事上の付き合いがあり研究員とも話したことがあるとしたうえで、化粧品業界でも研究員は男性が多い印象がある中、クラシエは女性研究員が活躍している企業だという印象を持っており、女性向けに考えて作られた商品が多いと語っている。

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ファルテアのコンセプトとラインナップ

クラシエは6月29日のリリースで、独自成分「リポソーム発酵ドリップ」を配合したブランドとしてファルテアを発表した。リリースの背景によると、30代女性がスキンケアに求める第一の要素は保湿で、乾燥しやすく慢性的な「インナードライ」の悩みが多く挙がったという。話者はこれを、インナードライの改善を狙った30代女性向けの乾燥肌スキンケアとして開発されたものと読み取っている。

ラインナップは化粧水、美容液、クリームの3種類で、ブランド立ち上げからいきなり3品が揃った。ブランド共通の特徴として掲げられているのが、「世界初のリポソーム発酵ドリップが発酵成分を守って届け、潤いが持続する」というものだ。話者は、何気なく読み流してしまいそうなこの「リポソーム」という言葉を使っていること自体が、すでに一段階目の「すごいこと」だと強調する。

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リポソームとは何か

話者は、リポソームを使った化粧品として最も有名なのはコスメデコルテの「リポソーム アドバンスト リペアセラム」だと紹介する。発売元であるコーセーのホームページの説明によると、リポソームは肌に含まれる生体成分であるリン脂質が多重層になった0.1〜0.2μmの微小なカプセルである。リン脂質は水になじむ親水部と油になじむ疎水部を持ち、それぞれが向き合うように並ぶことで、玉ねぎのような多重層構造をつくる。医薬品分野では内部に薬剤を封入して体内に届けるデリバリー技術として使われてきた。

話者の説明では、肌の内部にある生体膜も同じリン脂質でできているため、リポソームカプセルは生体膜となじみ、外側の膜が玉ねぎの皮のように剥がれながら内部へ浸透していく。奥まで届くと、最終的に封入していた成分を放出する。これを「徐放」と呼び、ドラッグデリバリーシステムとして使われてきたものだという。

ただしリポソームは構造をずっと保持しておくことが難しく、化粧品に配合できたらすごいと言われながらも、簡単には実現しなかった。それを世界で初めて化粧品に応用したのが、リポソーム アドバンスト リペアセラムの前身である「モイスチュアリポソーム」だったと話者は説明する。現行品はそのリニューアル版で、リポソームが角層内部に入り、肌の上でラメラ構造を形成することまで確認しているという。

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なぜ他社は簡単に「リポソーム配合」をうたえないのか

では、似た技術を使えば何でもリポソームと呼べばよいのではないか。話者はこの疑問に、ビタミンCの例で答える。ビタミンCを配合すれば「ビタミンC配合」と書けるが、入っていなければその表示は嘘になる。リポソームも同じで、成分表示に「リポソーム」と書かれるわけではないが、リポソーム配合をうたう以上は、実際にリポソーム構造が形成されていることを証明できなければ嘘になる。化粧品メーカーは嘘を言えないため、リポソームを前面に押し出しているメーカーは、どこから指摘されても説明できる科学的根拠を持っているのだという。

実際、話者がこれまで紹介してきたオルビスの「ショットプラス」や、マツキヨ系の美容液など、リポソームに似た美容液はいくつもあるが、どれも「リポソーム」とは明言していない。「多重層カプセル」「ナノカプセル」といった、それらしい名称を付けているだけである。話者はその理由を、似た技術を使っていても、社内で「確実にリポソームだ」と公に証明できるとは判断されていないからだと見ている。

さらに難しいのが安定性の問題だ。処方中に入れればリポソーム化するという化粧品原料は存在するが、製造時に一時的にリポソームができていても、化粧品は販売までに数年間倉庫で眠ることもある。消費者が肌につける頃にリポソームでなくなっていれば、リポソーム配合とは言えない。だからリポソームをうたうには、実験などで十分な根拠を揃えておく必要があり、どのメーカーも容易にはうたえない、というのが話者の説明である。

コスメデコルテ以外にも、富士フイルムなどリポソームをうたう化粧品はいくつかあるが、どれも安価ではない。プチプラでリポソームを明言したものはほぼなかった。話者が調べたところ、ウテナからも9月1日にリポソームをうたうプチプラ製品が発売されており、大手メーカーなので同様に取り組んでいるのだろうと述べ、購入手続きをしたという。同時期に2つのプチプラリポソーム製品が出るのは異例の状況だと話者は捉えている。

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リポソーム表示には段階がある

話者は、リポソームを訴求する際の難しさを段階に分けて整理している。

  1. リン脂質カプセル成分を配合している段階。ショットプラスなどが該当し、比較的簡単で多くの化粧品が採用している。話者はこれを「雰囲気リポソーム」と呼び、これまでのプチプラ製品はほぼこの段階だったとする。
  2. リポソームを配合している段階。リポソーム構造ができていることが確認できていれば「リポソーム技術採用」と言える。初期のモイスチュアリポソームなどがこれに当たる。
  3. 特定の成分を「リポソーム化」している段階。例えばビタミンCをリポソーム化したと言うには、ビタミンCが本当にリポソーム内部に入っていることまで確認しなければならず、2よりさらに難しい。
  4. リポソームがその成分を角層深くまで届け、そこで徐放することまで検証している段階。

ファルテアはこの最後の段階まで踏み込んでいる、と話者は驚きを示す。リリースには「安定化:リポソームに発酵成分を内包することで安定化」「浸透力:リポソームが角層の最深部まで浸透し、狙った場所に成分を届ける」「持続性:リポソームが角層になじみ、閉じ込めていた成分を肌にじっくり届けることで潤いが持続」とまで書かれている。普通は相当のエビデンスを持っていなければここまで言い切らない、というのが話者の見方だ。

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「リポソーム発酵ドリップ」の研究内容

話者がさらに調べると、クラシエは6月1日に、独自成分リポソーム発酵ドリップの開発に関する研究リリースを発表していた。タイトルは、2種の発酵成分を内包した多層リポソームについてのものである。

発酵成分とは、何らかの素材を発酵させて作るエキスのことで、話者はSK-IIのガラクトミセス培養液や、ライスパワーエキスを類例として挙げる。リリースでは、発酵の過程で生まれるアミノ酸、ペプチド、有機酸などの多様な成分は肌を整える素材として期待される一方、水溶性・多成分系という性質上、機能を安定的に保ちながら効率よく角層へ届けることが課題だとしている。話者も、水溶性成分は浸透の仕組みを考えないと肌の内部に入っていきにくいと補足する。

そこでクラシエはリポソームに着目し、発酵成分を内部に封入することで成分を保持しつつ角層への浸透を高めることを目指した。さまざまな発酵素材を検討した結果、効果、肌との親和性、リポソームへの封入適性に優れたものとして、麹菌で発酵させた米麹発酵液と、乳酸菌で発酵させた豆乳発酵液の2種類を選んだ。話者はこれを、SK-IIのピテラのような成分を一から独自に開発したようなものだと表現している。

この2種の発酵成分を多層リポソームの内部に封入したものがリポソーム発酵ドリップである。多層リポソームが角層に浸透した後、外側のリン脂質膜が角層になじむことで、内包された成分が徐々に放出されると考えられる、とリリースは説明している。

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構造・浸透・肌効果のデータ

研究リリースには、具体的な検証結果も示されている。まず電子顕微鏡で構造を観察したところ、約100nmの多層リポソーム構造が形成されていることが確認された。これにより、水溶性の発酵成分が多層構造の内部空間に安定的に保持されていることが「示唆された」とされる。話者はこの「示唆」という表現に注目し、発酵成分が内部にあることまでは、まだ完全には確認されていないのかもしれないと留保を付けている。

次にラマン分光法で浸透挙動を評価したところ、1%の多層リポソームを塗布した皮膚では、角層内で深さ方向のラマンシグナルの変化が確認され、角層へ作用している可能性が示唆された。さらに0.1%の条件でも1%と同様の変化が認められ、低濃度でも同様の浸透挙動を示すことが示唆されたという。話者はこれを、これまで水溶性成分は1%以上の高濃度でなければまともに浸透しなかったが、カプセルに入れれば0.1%程度でも十分な効果を発揮できることまで評価したものだと解釈している。

肌への効果も検証されている。20〜60代の健康な日本人女性を対象に、発酵成分単独とリポソーム発酵ドリップを比較したところ、塗布30分後の角層水分量の変化率が有意に向上した。同じ条件で、皮膚から水分が逃げる量を示す経表皮水分蒸散量が低下した。話者は、バリア機能が上がれば水分が逃げにくくなるため、この値の低下はバリア機能が高まったことを意味すると説明する。リポソーム発酵ドリップを配合した試作品での評価でも、塗布前と比べて角層水分量の有意な上昇と水分蒸散量の有意な低下が認められた。

リリースは、発酵成分を多層リポソームに内包したことで角層への浸透効率が上がり高い保湿効果が得られたことに加え、リン脂質によるバリア機能のサポート効果が働いたと考えられる、とまとめている。

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公開されていないデータまで持っているはず、という見立て

話者は、データがまだすべては公開されていないのではないかと推測する。資料の小さな文字に「発酵成分を含んだナノカプセルが浸透」と書かれているためで、ここまで書く以上、発酵成分がカプセル内部に入っていることもおそらく確認済みだろうと話者は見る。

その根拠として話者が挙げるのは、大手メーカーの立場である。クラシエのような大きな化粧品メーカーがこうした表現をすれば、すぐに厚生労働省や保健所から「本当か」と問われる。それでも書いているのは、示せる根拠を持っているからだろう、というのが話者の考えだ。リポソームになる原料を入れただけでなく、内包成分や角層内での挙動、その後の肌効果まで検証して製品を作っている点について、話者は「ここまでは高級化粧品でもほとんどやっていない」と述べ、これまでの雰囲気リポソーム商品とは次元が違う完成度だと評価している。

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価格と、全品にリポソームが入っていること

話者がAmazonで購入した価格は、化粧水が180mlで1,650円、美容液が30mlで1,870円、クリームが50gで1,980円(いずれも税込)である。

話者が特に驚いているのは、3品すべてにリポソーム発酵ドリップが配合されている点だ。30mlの美容液だけならコスト面でもそこまで難しくないと思うが、180mlの化粧水にまで配合されていると記載されている。配合量はおそらく製品ごとにだいぶ違うだろうと話者は推測しつつ、0.1%程度でも効果を発揮することが分かっているため、技術自体を採用していることは間違いなく、それをプチプラ価格帯で実現したと評価している。

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成分解説:保湿ローション

化粧水のベースはBG、グリセリン、イソペンチルジオールで、いずれも低刺激な保湿成分だと話者は説明する。DPGも少量入っているが、この量ならほぼ刺激はないという。油分としてスクワランがわずかに入っている。

注目点は、リポソームを作るための重要なリン脂質成分である水添レシチンが全成分の上位6番目に入っており、かなり高濃度で配合されていることだ。アスペルギルス/米発酵液、乳酸桿菌/豆乳発酵液、ジグリセリン、水添レシチン、フィトステロールズがリポソーム発酵ドリップに当たると話者は見ている。米発酵液と豆乳発酵液は、機能としてはライスパワーエキスのように肌の水分保持機能を上げる印象だという。

ほかに、バリア機能のためのセラミド、ヌクレオチド系の成分、透明感のためのユキノシタエキスなどの植物エキス、ビタミンC誘導体のアスコルビルグルコシド、浸透促進として記載されているサッカロミセス/米発酵液が入っている。話者はこの発酵液について、SK-IIの成分に似たものではないかと述べている。そのほか、粘性をつけるビオサッカリドガム、保湿成分のプロパンジオールやジグリセリン、肌荒れ防止のグリチルリチン酸2Kが配合されている。

気になる点として話者が挙げるのは香料で、個人的には無香料の方がうれしかったという。アルコールは不使用、無着色で弱酸性。グリセリンもしっかり入っているので、気にする人はいるかもしれないとしている。全体として、保湿力とバリア機能を高め、リポソームによって浸透促進作用も期待できる化粧水だと話者はまとめる。

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成分解説:保湿セラムと保湿クリーム

美容液も基本構成は化粧水に近く、BG、グリセリン、プロパンジオールなどの低刺激な保湿成分がベースだ。植物油がやや多めに入っているため、少しオイリーな乳液状の美容液だろうと話者は推測している。リポソーム構造を作る水添レシチン、米発酵液、豆乳発酵液、フィトステロールズ、ジグリセリンがまとめてリポソーム発酵ドリップを構成し、擬似セラミドとしてラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)が配合されている。そのほかの美容成分も化粧水と同様のものが入っているという。

クリームはグリセリンとミネラルオイルがベースで、話者は成分上はかなりこってり系のクリームだと見ている。硬さを調整する高級アルコールのセテアリルアルコール、肌に柔軟感を与えるエステルのオリーブ油脂肪酸セテアリル、保湿成分のプロパンジオールが入り、水添レシチンを含むリポソーム発酵ドリップもクリームに配合されている。

話者は、化粧水にもクリームにもリポソーム発酵ドリップを入れている点を大きく評価する。コスメデコルテのリポソームシリーズも、美容液は長く販売されていたが、化粧水やクリームが追加されたのは近年になってからだったため、最初からそこまで揃えたことがすごいという。これにより、水性ベースでも油性ベースでも浸透促進ができる構成になっている。リポソーム発酵ドリップの濃度は、化粧水よりも美容液やクリームの方が高いのではないかと話者は推測している。

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実際の使用感

化粧水は、もっと保湿感のあるタイプを想像していたが、実際はかなりサラサラしていた。少し濁りがあり、話者はリン脂質やわずかな油分によるものだろうと見ている。グリセリンフリーかと思うほど軽い使用感だったという。一方で香りはかなりしっかりしており、ヘアケアメーカーらしくシャンプーのような香りに感じたと話者は述べている。

美容液は乳液状のテクスチャーである。話者は、リポソームの量はおそらく美容液が最も多いだろうと見ており、どれか一つを選ぶなら美容液を勧めるとする。ただし油分が少しでも入っているのが苦手な人には化粧水がよいという。これほどとろみがあれば肌の上に残りそうなものだが、すっと入っていき、肌と同化するような感覚だったと話者は語る。香りは化粧水より穏やかだった。

クリームはなめらかな使用感で、こってりと重いクリームを想像していたが、驚くほど早く肌になじみ、すぐになくなったという。香りはやはりシャンプーのような印象だったが、最も香りが気になったのは化粧水で、美容液とクリームは比較的控えめだったとしている。

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結論:プチプラリポソームの「最強格」

話者は、これまで国内のプチプラスキンケアで、リポソームを明確に訴求したものはほぼなかったと改めて述べる。ウテナの新製品もリポソームを扱っているが、30ml入りの製品だったと記憶しているとして、リポソームが入っているという点だけで比べても、180mlで1,650円のファルテア化粧水は並外れたコスパだと評価している。実際に使ってみても、化粧水だけで確かにリポソームが入っていそうな浸透力の高さを感じたという。

これまで話者は、リポソームに似たプチプラ化粧品を、高価なコスメデコルテの代用候補として紹介したことがあった。しかし、確実にリポソームが入っていると言えるレベルのプチプラ製品はなかった。その意味でファルテアは、これまでの雰囲気リポソームとは一線を画す、確かなリポソーム化粧品がプチプラから登場した例であり、化粧品の歴史の中でも画期的だと話者は評価する。

高価格帯のリポソーム化粧品の代わりを探すなら、ファルテアが最強格に躍り出たと言ってもよい、というのが話者の結論である。シリーズはまだ第1弾の3品だけで、話者は今後の展開や新作にも期待を寄せている。