ビタミンC内服とトラネキサム酸外用は併用でどこまで効くのか:第一三共ヘルスケアの新研究を読む

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概要

美容化学者のかずのすけ氏が、第一三共ヘルスケアの研究発表を解説した。発表は、ビタミンCなどを内服し、トラネキサム酸を肌に塗ると、紫外線による肌の黒ずみを単独使用よりも抑えられたというものだ。話者はこれまで、医薬品の内服とスキンケア化粧品をそれぞれ別の動画で紹介してきた。両者の組み合わせを、エビデンスを示しながら扱うのは今回が初めてだという。研究内容の紹介に加えて、実験方法への疑問、結果の中で話者が最も注目した点、具体的な医薬品と薬用化粧水、そして美容目的のトラネキサム酸内服に対する話者の考えを順に取り上げる。

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第一三共とトラネキサム酸の関係

研究を発表した第一三共ヘルスケアは、トランシーノや敏感肌向けブランドのミノンを手がけるメーカーである。話者の説明では、親会社の第一三共は第一製薬と三共が合併してできた会社で、旧第一製薬が1964年にトラネキサム酸を開発した。

トラネキサム酸は主に止血剤として使われ、たとえば手術時の激しい出血を抑える薬として用いられてきた。肌で炎症が起きるとプラスミンという物質が生じる。トラネキサム酸はこのプラスミンを抑えることで止血効果を発揮するが、同時にシミの元になるメラニンの発生も抑えることが分かった。そのため最近は肝斑を抑える薬としても使われ、トランシーノの第一類医薬品が肝斑治療薬として販売されている。話者によれば、トランシーノという名前はトラネキサム酸の「トラ」に由来する。一方で、一般に流通しているビタミンC系の「トランシーノ」医薬品にはトラネキサム酸が入っていないことも、よく知られた話だという。

トラネキサム酸は内服薬として使われてきたが、医薬部外品の化粧品にも配合されている。外用では、肌荒れ防止とシミ予防の両方の効能を持つ有効成分として認可されている。外用でも、プラスミンを抑えて炎症を鎮めつつシミの発生を防ぐ、という仕組みで承認されている。今回の研究で検証したのは、飲むトラネキサム酸ではなく、こうした外用のトラネキサム酸である。

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なぜ併用を検証したのか

発表によれば、紫外線によるシミなどの色素沈着に対しては、内服成分によるアプローチとスキンケアによるアプローチがそれぞれ検討されてきた。しかし、両者を併用した場合の効果は十分に確認されていなかった。

話者自身もこれまで、医薬品の内服にもシミへの効能があり、医薬部外品のスキンケアにも効果が期待できると説明してきた。両方を使えばそれなりの効果があるだろうと予想し、組み合わせを勧めてもいた。ただ、それは「たぶんそうなるだろう」という予想にすぎず、十分なエビデンスはなかったと話者は振り返る。今回の研究は、体の内側と外側の両面から取り組むシミケアについて新たな知見を得ることを目指したものだと紹介された。

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実験方法と、内服の再現性への疑問

研究では、ヒト摘出皮膚を用いた「内外適用モデル」が使われた。生きた人間の肌で試したわけではなく、摘出した人の皮膚をモデルにしたものだ。話者は「どうやったのか分からないが、うまく切り抜いた皮膚のモデルがあるのだと思う」と推測している。

手順は次のとおりだと説明された。摘出皮膚を培地の上に置き、培地にアスコルビン酸(ビタミンC)とL-システインを溶かして皮膚に染み込ませる。これを「内服」に見立てる。皮膚の角層側にはトラネキサム酸を塗布する。これを「外用」とする。そのうえでUVBを照射し、数日間培養した後に撮影した画像から皮膚の明度を測った。比較したのは、培地添加のみ、塗布のみ、両方を同時に行った場合の3条件である。

この方法について話者は、内外モデルにはなっているとしつつも疑問を示した。培地にビタミンCを染み込ませることが、実際に飲んで摂取した場合とどれだけ相関するのかについては、かなり議論の余地があるという。

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結果:併用群は照射前より明るくなった

発表では、内服成分の適用とトラネキサム酸塗布を同時に行った群は、それぞれ単独の群に比べて皮膚の明度が有意に高かったとされる。話者はグラフの数値(L値)を読み取りながら、各条件の違いを説明した。

  • 紫外線だけを照射した対照:明度が58近くから55程度に下がり、約3ポイント低下した
  • 内服成分のみ:56程度で、低下は約2ポイント。話者は「黒くなる量を3分の2ぐらいにした」と表現した
  • トラネキサム酸塗布のみ:低下は1ポイント未満で、話者の読み取りでは0.5ポイント程度。ほとんど下がっていない
  • 併用:何もしていない皮膚よりも明度が上がり、59程度になった。約1ポイントの上昇である

併用群については、紫外線を浴びたのに元より白くなったという結果になる。話者は、通常の状態より肌が白くなることは本来ほとんど考えにくいとしながらも、ビタミンCやL-システインには還元作用があるため、色を白く戻す可能性もないとは言えないと述べた。発表は、体の内側と外側から取り組むシミケア研究の可能性を示すものだ、と締めくくられている。話者は、文面に明記されてはいないものの、この結果は「抑制できる可能性が示唆された」という段階だと受け止めている。

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注目すべきは内服よりもトラネキサム酸外用の効果

話者がこのデータで最も重要だと考えたのは、内服成分の効果が意外に小さく、外用のトラネキサム酸の効果が大きかった点である。

話者の推測では、実際に飲んだビタミンCは一部が排出されるなどして、肌に届くころにはかなり薄まっている。それに比べれば、培地に直接染み込ませたほうが濃度は高いはずだ。それにもかかわらず、内服成分のみの群は対照と1ポイントほどしか差がなく(55が56になった程度)、黒くなるのをそれほど強く防いではいない。一方、トラネキサム酸を塗った群は明度の低下を大きく抑えていた。

この点から話者は、医薬品として使われる内服成分よりも、トラネキサム酸を塗るほうがだいぶ効果が高いのではないかと述べた。さらに、医薬部外品のスキンケアの効果がこのように定量的に示されることはこれまであまりなかったという。トラネキサム酸を内服薬として長く研究してきた第一三共が外用の試験結果を出した点も、興味深いと評価した。

研究全体から言えることとして話者がまとめたのは次の点である。ビタミンCなどの医薬品とトラネキサム酸の化粧品を併用すると、肌の明度低下をより強く防ぐ効果が期待できる。場合によっては、肌の白さを高めることにもつながるかもしれない。

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ビタミンC単独の効果は「優しい」

研究は「ビタミンCなどの内服成分」と書いているが、実際に使われたのはビタミンCとL-システインである。話者は以前の動画でも、どちらにも色素沈着を抑える効能があると説明してきた。

話者がずっと勧め、自身も長く飲み続けているのは「ビタミンC2000」(以前の名称は「ビタミンCタケダ」)である。ビタミンCの医薬品には、シミ、そばかす、日焼けやかぶれによる色素沈着の緩和という効能が記載されている。つまり医薬品として効能が認められており、飲む意味はあると話者は言う。

一方で、ビタミンC単独のシミ緩和効果はそれほど強くないという意見もある。話者は「その通りと言えばその通り」と認めた。根拠として挙げたのが、モルモットにビタミンC、L-システイン、ビタミンEを経口摂取させた研究である(話者は2002年頃の研究と紹介)。UVBを照射した際のメラノサイトの増加率を比べたもので、ビタミンC単独では対照よりわずかに減る程度だった。L-システインを併用すると効果が高まり、ビタミンEを加えるとさらに少し良くなったという。

美容の専門家の中にも「ビタミンCは飲んでも全く効果がない」と言う人がまれにいる。これに対して話者は、このデータを見れば効果がないのではなく「優しい」のだと説明した。単独でもある程度の効果は出ているが、穏やかだということである。

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L-システインを万人に勧めない理由

ビタミンC単独よりも、L-システインなどと一緒に飲むほうが効果が高いとされている。話者もそれを推奨することはできるとしつつ、自身の経験を語った。

話者が比較した製品の内容は次のとおりである。ビタミンC2000は1日6錠でビタミンC 2000mgを含み、成分はビタミンCのみ。トランシーノの青いパッケージの製品(ホワイトCクリア)は1日4錠でビタミンC 1000mg、L-システイン240mgに加え、天然型ビタミンEも含むが、ビタミンCはやや少ない。上位版(ホワイトCプレミアム)は1日6錠でビタミンC 2000mg、L-システイン240mg、天然型ビタミンE 50mgを含み、こちらのほうがパワーは高いという。

話者は以前トランシーノを飲んでいた時期がある。そのとき、飲み続けると肌がごわついて厚くなったように感じたという。L-システインはもともと皮膚のタンパク質の材料になる成分で、それが関係しているのかは分からないとしつつ、肌がごわつくのは困るので飲むのをやめた。また、L-システインは固まりやすい成分でもあるため、長期間飲み続けるとさまざまなリスクもあると考えた。現在はビタミンCだけを飲んでいる。L-システインは体質に合う・合わないがある、というのが話者の見方だ。それでも、より肌を白くしたい人、シミや黒ずみをより予防したい人には、L-システインとビタミンEを加えた製品を勧めてきたという。

今回の研究に限って言えば、内服の効果は正直よく分からず、話者は「培地に入れる方法で本当に効果が出ているのか微妙」だとしている。

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トラネキサム酸配合のおすすめ薬用化粧水

内服と組み合わせる外用品として、話者はトラネキサム酸配合の薬用化粧水を紹介した。いずれも美白の効能を取得したトラネキサム酸を含み、話者によれば、日本で使えるトラネキサム酸としては最高濃度が配合されているという。

トランシーノ 薬用ブライトニングクリアローション(第一三共ヘルスケア)は、トラネキサム酸とグリチルリチン酸2Kを有効成分とする。トラネキサム酸で美白、グリチルリチン酸2Kで肌荒れ防止の効能を持つ。エタノールが少し入っており、アルコールフリーではない。

白潤は話者が何度も紹介してきた製品で、トラネキサム酸とアラントインを有効成分とする。グリセリンフリーで、ビタミンC誘導体のリン酸アスコルビルMgなども含み、かなりさらっとした使用感である。さっぱりした使用感を好む人に向くという。

肌美精の薬用美白化粧水は、ビタミンC誘導体、グリチルリチン酸、トラネキサム酸を有効成分としている。製品上は美白をうたっていないが、話者がクラシエに聞いた話では、トラネキサム酸は美白の効能を取れるだけの量を配合している。ただ肌荒れ防止の効能を優先して取りたかったため、美白の効能はビタミンC誘導体で取得し、トラネキサム酸は抗炎症成分として記載しているという。アルコールフリー、無香料、無着色で、使いやすいと評価した。

ちふれ 美白化粧水TAは、トラネキサム酸単独の処方である。保湿成分はBGとグリセリンで、トレハロースも入ったシンプルな処方だ。トラネキサム酸だけを使いたい人に向く。ただしグリセリンが多めに入っているため、しっとり、べったりした使用感になる点には注意が必要だという。

イハダ 薬用クリアローションは美白タイプで、通常の保湿タイプとは別物なので注意してほしいと話者は述べた。トラネキサム酸とグリチルリチン酸2Kを有効成分とし、美白と肌荒れ防止の効能を持つ。

セラキュア ホワイトローションは、話者が手がけるブランド・セララボの新作薬用化粧水である。トラネキサム酸単独を有効成分とし、保湿成分はBGのみ。グリセリンフリー、アルコールフリー、無香料・無着色、ノンオイルで、さっぱりさらさらした使用感だという。ヒト型セラミドを3種類配合しており、セラミドとトラネキサム酸を同時に補給できる化粧水として開発した。トラネキサム酸で美白と肌荒れ防止の効能を取得している。

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価格の目安

話者が挙げた価格は次のとおりである。ちふれ 美白化粧水TAは180mlで1100円(定価)。白潤は定価が不明で、ドラッグストアでは170mlで販売されているという(字幕では「7800円ぐらい」と聞こえるが、聞き取り誤りの可能性がある)。肌美精は170mlで1540円(税込)。イハダ 薬用クリアローションは180mlで、話者の記憶では1980円(税抜)。トランシーノの化粧水は150mlで3630円。セラキュア ホワイトローションは150mlで3500円(税込)である。

医薬品については、ビタミンC2000が300錠で2521円。話者は、以前より値上がりが続いていると述べた。トランシーノ ホワイトCクリアは、話者がドラッグストアで買った小さいサイズ(120錠)が2000円強だった。Amazonでは120錠が2183円、ホワイトCプレミアムの270錠が3774円である。店舗によって価格はかなり違うので参考程度に、とのことだった。

話者は、ビタミンCやトランシーノなどの内服薬とトラネキサム酸のスキンケアを組み合わせれば、肌の白さを保ち、シミを緩和し、色素沈着も改善できるのではないか、という見方を示した。

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美容目的のトラネキサム酸内服への「アンサー」

最後に話者は、この研究について個人的に感じたことを語った。少し前に話者は、「トラネキサム酸は内服するより外用で使ったほうがいい」という趣旨の動画を出していた。

当時は、美容目的でクリニックがトラネキサム酸を処方するケースが増えすぎていたという。トラネキサム酸は喉の炎症を抑える飲み薬としても人気が高く、当時は喉風邪が流行っていた。そのため、喉の痛み止めとして処方できないことがあるという噂が出ていた時期だったと話者は振り返る。肝斑のない人にまで美容目的で処方する医師がいるのかいないのか、といった話も耳にしていた。インフルエンサーが「トラネキサム酸は内服しろ」と軽く発言し、深く考えずに処方を受ける人が増えすぎている状況もあったという。

しかし話者によれば、トラネキサム酸の内服薬はシミの中でも肝斑の治療薬としてしか認められていない。ビタミンCのように一般的なシミやニキビ跡の色素沈着を改善する効能は認められていない。添付文書の説明では、肝斑は女性の顔面に多く生じるシミで、女性ホルモンが関与して発症するとされる。紫外線で少し悪化し、薄い褐色でやや大きく、ほぼ頬骨に沿って左右対称にできるのが特徴で、高齢者にはほとんど見られないという。肝斑がないのに肌が白くなると思い込んで飲むのは違うのではないか、飲むくらいなら美白効能の認められた医薬部外品を外用したほうが、肝斑のない人には効果があるのではないか、というのが当時の動画の主張だった。

話者は、内服のリスクも指摘する。トラネキサム酸は止血剤なので、内服するとどうしても止血作用が出る。まれな症例ではあるが、血栓症のある人や、血栓症を起こすおそれのある人には使えないことになっている。血が固まりやすくなり、血管が詰まるリスクもゼロではない。むやみに飲むべきではないと発信している人は多く、話者自身もそう考えている。リスクをできるだけ下げるなら外用のほうがよい、というのが話者の立場だ。

今回の研究は、その主張に対する一つのアンサーではないかと話者は受け止めている。トラネキサム酸の内服薬を出しているメーカー自身が、外用でも効果がある可能性が高いと示した点に、大きな意義があるという評価である。

ただし、今回はあくまで摘出皮膚を使った試験管内の試験で、実際の人の体で試したものではない。話者は、今後ヒトを対象にした臨床試験も行われるだろうと見ており、その追加研究を待ちたいと述べて話を終えた。