5000万円を3億円に増やすには:「負けない投資」か「赤字企業の黒字転換狙い」か

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概要

マネープランニングバラエティ「どっちで増やしまショー」の後編には、YouTuberのカノックスターが出演した。投資で叶えたい目標は、東京を離れて地方に拠点を持つことだ。そのために5000万円を元手に、なるべく早く3億円、つまり6倍にしたいという。これに対して馬渕磨理子と渡部清二がそれぞれマネープランを提案した。馬渕は土台を手堅く固めたうえで国の重点分野に絞って攻めるプランを、渡部は「1年で株価が2倍になった企業」の傾向から銘柄を探し、自分のやりたいことと投資を結びつけるプランを示した。会長のテスタも、保有銘柄の評価や最終的な判断についてコメントしている。

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カノックスターの目標:地方でのセカンドハウスと新しい動画

カノックスターは現在東京に住んでいるが、地方での暮らしに惹かれているという。子どもがいると、東京では家の近くを自由に走り回らせることすら難しい。そう感じていることが理由の一つだ。「セカンドハウスじゃないけど移住」も含めていろいろ考えており、そのために3億円ほど欲しいと話した。

動画の方向性を変えることも視野に入れている。前編で話題になったバンの話に加えて、セカンドハウスでDIYをする動画にも興味があると語った。

ポートフォリオの中身:ロケットラボは7倍、宇宙関連の別銘柄は大幅下落

カノックスターのポートフォリオは投資信託が中心で、ほかにイーサリアムとビットコインが入っている。暗号資産を持っている点について、出演者は「若さを感じる」とコメントした。

米国株の保有銘柄には、テスラとロケットラボがあった。ロケットラボは10ドルで買ったものが73ドルになっており、約7倍だ。一方、同じく宇宙関連とみられる別の銘柄は、136ドルで買ったものが2ドルまで下がっていた。売ろうとしても価格が低すぎて買い手がつかない状態だという。出演者の一人は、宇宙関連はロケットの打ち上げや実験が成功するか失敗するかで株価が正反対に動き、失敗すれば極端に安くなると説明した。

ただし出演者は、損益は全体で見るべきだと強調した。仮に両方に100万円ずつ投資したとする。下がった銘柄がゼロになっても損失は100万円にとどまるが、7倍になった銘柄では100万円が700万円になる。株は最悪でも投資額がゼロになるだけで、上は7倍もありうる。極端に言えば、7銘柄のうち6銘柄が倒産しても、1銘柄が7倍になれば損益はトントンになる。全部に勝つ必要はなく、分散が大事だという話だった。

「なぜ上がったか」が分からなければ、それは予想ではなく希望

ロケットラボについて、カノックスターは「もっと上に行けるのでは」という感覚を持っていた。これに対して出演者は、なぜ7倍になったのかを本人が分かっていない以上、ここから上がるかどうかは希望的観測にすぎず、予想とは呼べないと指摘した。予想とは「こういう理由があるから、すでに7倍でもさらに上がるだろう」と説明できるものだという。

今からできることとして挙げられたのは、ロケットラボが何をしている会社で、何が成功すればさらに上がり、何が失敗すれば下がるのかを調べることだ。たとえば2か月後に大きな実験があり、成功すれば2倍、失敗すれば半分になりそうだと分かれば、事前に売るという判断もできる。調べるほど勝率は上がる。そこに面白さを見いだせれば上達するが、面倒だったり分からなかったりして手をつけていないなら成長しない、というのが出演者の見方だ。興味のない分野だから調べていないだけかもしれないので、どういう条件なら自分がもっと深く調べたくなるかを考えれば少しずつ変わるかもしれない、とも付け加えた。

馬渕の指摘:資源・地政学に左右されない銘柄も組み込む

馬渕は、ポートフォリオをもっと多様化してはどうかと提案した。馬渕の見立てでは、いま世界は資源の奪い合いになっており、原油などの資源関連銘柄は大きく動く。イラン情勢が緊迫すれば原油価格が上がって関連銘柄も上がり、「大丈夫だ」となれば原油価格も株も下がる。馬渕は、トランプ大統領が大統領である限りこうしたことが繰り返され、イラン情勢が落ち着いても来年また地政学を揺るがす何かが起きると考えている。

そのうえで、宇宙・防衛・地政学の影響を受けにくい医薬品や生活必需品のような分野も組み入れて多様化すると、より良いのではないかと述べた。

投資元本は5000万円、目標は6倍

本題に戻り、カノックスターが投資元本を発表した。5000万円である。3億円まで6倍にする計算になる。期間は「なるべく早く」なので、プランナー2人が自由に設定することになった。

馬渕プラン:「早めに負けないBEAR戦略」の土台部分

馬渕のプランは「早めに負けないBEAR戦略」だ。馬渕は最近、クマ(BEAR)をモチーフにしたドリンクを作っており、最初のロットは完売したという。これにかけて、弱気相場(ベア相場)でも資産形成ができる「負けない投資戦略」を早めに確立しようというのが提案の軸になっている。

土台は3つに分かれる。1つ目は、カノックスターがすでに行っているインデックス投資。2つ目は、高配当株・REIT・国債など、4〜5%程度のリターンが見込めるインカム系の資産。3つ目は、興味があればゴールドだ。

馬渕の試算は20年の期間を想定している。インデックス枠に1500万円を投じると約5800万円になる。4〜5%のインカム枠に1500万円を投じると2.4倍の約3600万円になる可能性がある。ゴールドに500万円を入れておくと、インフレに沿ったリターンで2.65倍の約1300万円になりうる。合計すると、20年後にまず1億円弱を確保できる計算だ。

馬渕は、この部分は今の延長線上で淡々と続ければよいと話す。大きく勝つことも大事だが、負けない投資をすることが鉄則であり、まず基礎を固めて20年後に1億円以上にするのが堅いという考えだ。

馬渕プランの攻めの部分:年14%前後を狙う個別株と「戦略17分野」

土台だけでは面白くないので、残りの1500万円を個別銘柄の枠に充てる。馬渕の計算では、この枠で年13〜14%程度のリターンが出る銘柄を見つけられれば、3億円を目指せる。まとめの段階では、年14〜15%で20年運用すれば個別株枠だけで約2億円になり、2倍・3倍を狙わなくても十分だと説明した。つまり、赤の個別株枠の目利きを磨くことが鍵になる。馬渕は、宇宙関連では結果的にロケットラボで成功しているので、一部は目利きができているとも評価した。

投資先を探す手がかりとして馬渕が挙げたのが、高市政権が打ち出した「戦略17分野」だ。国として今後投資していく分野を大々的に発表したもので、高市総理が主導する成長戦略会議の資料もある。馬渕によると、個人投資家はこれを隅から隅まで読み込んで投資先を検討している。資料は誰でも見られる公開情報だが、個人投資のために出ているのではなく、国としてどこへ向かい、どこを強くしていくのかを示したものだという。

資料では、中心はAI・半導体とされている。特にフィジカルAIへの投資が明示されていると馬渕は紹介した。頭脳の部分はアメリカに取られたが、ロボットアームのように動く部分は日本が強い。ただ、中国に追い抜かれかねない状況なので、国として投資していく。そういう流れだと馬渕は説明した。

ほかに紹介された分野は次のとおりだ。

  • 半導体、次世代セキュリティ、情報通信、量子コンピューター
  • 防衛産業、宇宙、海洋・造船
  • マテリアル(重要鉱物・資源。特に永久磁石に注目していると細かく書かれているという)
  • バイオ・創薬
  • 資源エネルギー(ビルの壁面などに貼って発電できるシート状のペロブスカイト太陽電池、核融合など)
  • フードテック、国土強靱化、港湾ロジスティクス、コンテンツ

馬渕は、17分野の中にも濃淡があると指摘した。AI・半導体、軍事、宇宙といった「硬い」分野を特に重点的にやると言っているので、高市政権が続く限りこうした分野にはお金が入りそうだという。長期的に資金が入りやすい分野を個別株枠の投資先にすれば、実現可能だという見立てだ。

該当企業の見つけ方について、馬渕はネット上の情報と照らし合わせれば「本当に17分野と連動して上がっている」と確認できると述べた。別の出演者は、ChatGPTに「この分野に属する上場銘柄を教えて」と聞けば一覧が出てくるので便利だと補足した。

渡部プラン:6倍を「2倍×3倍」か「2倍×3回」に分解する

渡部の提案は「やりたいことを投資に置き換える戦略」だ。まず、6倍という目標を分解する考え方を示した。

1つ目の道筋は、5000万円を2倍の1億円にし、その1億円を3倍の3億円にするものだ。2つ目は、5000万円を2倍の1億円、さらに2倍の2億円にした段階で、1億円分を安全資産に移すものだ。残りの1億円をもう一度2倍にすれば、合計3億円になる。このうち1億円は安全な場所に置かれていることになる。

安全資産として渡部が挙げたのは、国が発行する変動利付国債である。渡部の説明によると、固定金利の国債は利息がずっと変わらないため、インフレで金利が上がっていく局面では金利で負けてしまう。変動利付国債はその時々の金利に合わせて利率が変わるので、ほぼリスクゼロと考えてよいという。

72の法則と115の法則で見る「時間の壁」

次に渡部は、どれくらい時間がかかるかを計算する道具として「72の法則」と「115の法則」を紹介した。72を利回りで割ると元本が2倍になる年数、115を利回りで割ると3倍になる年数の目安が出る。

まず、リスクを全く取らない場合を計算した。渡部によると、日本のリスクフリー金利は約2.5%(正確には2.5%弱)だ。72÷2.5で2倍になるまで28.8年、115÷2.5で3倍になるまで46年かかり、合計で約75年になる。スタジオでは「全員死んでる」「子どもも75歳になっている」と笑いが起きた。

次に株式の場合だ。投資信託は基本的にS&P500、日経平均、TOPIXなどに連動するインデックスが中心で、渡部によると長期で見た株式の平均的な利回りは約7.7%である。72÷7.7で2倍になるまで9.4年、115÷7.7で3倍になるまで約15年かかる。合計すると、ざっくり24年でようやく6倍になる計算だ。インデックス投資でも24年かかる。これより期間を短くしたいなら個別株投資に行く必要がある、というのが渡部の出発点だった。

戦後の日米株価比較:渡部は「日本株優位」への転換を指摘

では日本とアメリカのどちらの株がよいのか。渡部は、戦後の株式市場が始まった1949年5月を起点に、日経平均とニューヨークダウの上昇率を比較したグラフを示した。現在までに日経平均は337倍、ダウは287倍で、日本が勝っているという。年率に直すと日本が7.8%、アメリカが7.6%になる。

渡部によれば、戦後は長く日本優位だった。しかし1989年のピーク以降、日本は徐々に低下し、2002年1月を境にアメリカ優位の時代が長く続いた。それが最近になって再び日本株優位に転換しているというのが渡部の読みであり、だから日本株がよいだろうという結論につなげた。

1年で2倍になった約300社、その45%は減益・赤字・黒字転換だった

渡部が次に示したのは、株式で2倍にすることは本当に難しいのかというデータだ。渡部によると、この1年間で株価が2倍になった銘柄は約300社ある。上場企業は約3900社なので、約8%が2倍になった計算になる。

渡部はさらに、2倍になった企業の1年前の業績予想を分類した。55%は増収増益だったが、渡部が「面白い」と注目したのは残りの45%だ。これらは減益、赤字、または黒字転換(前期が赤字だったということ)の企業だった。増益企業は数が多いが、減益・赤字側はそもそも該当企業が限られている。だからこの傾向を知っていれば、8%という確率をかなり引き上げられると渡部は説明した。

赤字なのに2倍になった理由として、渡部は株式市場の格言「赤字で買ってPER一桁で売れ」を紹介した。最悪の時期は株価が安く、そこから反転するからだという。

四季報オンラインでのスクリーニング実演:日産、マツダ、ホンダ、スバル

渡部は四季報オンラインのスクリーニング機能で、実際に条件を設定して絞り込んだ結果を見せた。条件は、時価総額5000億円以上、今期が営業減益または営業赤字、来期が増益または黒字転換予想というものだ。これだけで該当銘柄はかなり限られる。

前編でカノックスターが車好きだと話していたことを受けて、渡部は該当銘柄に日産、マツダ、ホンダ、スバルが入っていると指摘した。特にマツダが面白いという。売上も利益も減る減収減益から、売上も利益も増える増収増益に転じる見通しで、振れ幅が大きいからだ。こうした企業が2倍になる、と渡部は説明した。

「やりたいこと」と銘柄選びを結びつける3つの切り口

渡部が「一番大事」と位置づけたのは、やりたいことと投資を結びつける切り口だ。

1つ目は、本社が地方にある企業を買うことだ。株主総会に出席するためにその地域へ行けば、会社を知ったうえで地方も知ることができる。渡部自身もこれが好きで、大分、佐賀、岡山、鳥取などを回り、温泉に行ったりしながら企業を見てきたという。得るものはあるのかと聞かれると、渡部は「その地域だけで非常に愛されている」といった発見があると答えた。

例として挙げたのがアメイズという会社だ。田んぼの真ん中にホテルを建てるので、なぜこんな場所に作るのかと尋ねたところ、会社側は、工事などで日本全国どこにでも働く人はいるが、ホテルは駅のある場所にしかないので、そこに作るのだと説明したという。誰もやっていないので、むしろ独占で勝てるというのが渡部の紹介した話だ。

2つ目は、本気で地方創生をやっている会社だ。渡部が実際に体験した例として、徳島の人口千人ほどの限界集落で事業を行う企業を挙げた。その地域で世界に通用するゆずを作り、それを使ったお菓子が世界的なパティシエのコンクールで優勝したという。

3つ目は、自分が関心を持つ分野だ。カノックスターがやりたいと話していたDIYなら、ホームセンター各社や電動工具のマキタが上場している。DIYをしながら「これを作っている会社は上場しているのか」という視点で選ぶことができる。ここで四季報が生きてくると渡部は述べた。

関心分野の例として、渡部は自動運転や宇宙開発も挙げた。自動運転は大きな括りでは「フィジカルAI」の一つだという。かつて流行したIoTは、モノに半導体チップを載せようという考えだった。フィジカルAIは、世の中の動く機械すべてにAIを載せて自律的に動かそうという考えだと渡部は説明した。自動車、搬送ロボット、人型ロボット、医療用ロボット、ドローンなどが含まれ、非常に大きな領域だという。馬渕も指摘したように、この分野の「型」の部分は日本が強い。ここから銘柄を選べば、自分の関心と投資がつながって「一粒で三度おいしい」と渡部は語った。

四季報とは何か、どう読まれているのか

カノックスターから「四季報とは何か」と質問が出た。渡部は、四季報は株のカタログだと答えた。そもそも投資と普段の生活が切り離されているのが問題で、スーパーで買い物をするのと同じ感覚で見ればよいという。たとえばカレーのルウを作るエスビー食品やハウス食品は上場している。生活の延長線上で考えれば、遠いアメリカの知らない会社ではなく、身近に知っている会社の中からいくらでもよい銘柄を見つけられる、という趣旨だ。

別の出演者は、上場企業には年4回の決算発表が義務づけられており、四季報もそれに合わせて年4回発行されると補足した。四季報は会社の予想とは別に、独自に取材して業績を予想している。会社はこう言っているが実際はもっと儲かる、といった四季報の予想で株価が動くこともあるので、多くの人が注目しているという。

ただ、みんな全部読んでいるのかという問いには「みんな読んでない」と笑いが起きた。多くの人は自分の保有銘柄のページだけを読んだり、証券会社のツールやネット版で、買いたい銘柄や気になる銘柄の過去の利益などを確認したりしている。本で全部を読んでいるのは渡部だけだ、とスタジオでは冗談交じりに語られた。

決断は馬渕プラン:本業でリスクを取っているなら投資は手堅く

最終的にカノックスターが選んだのは馬渕プランだった。理由を聞かれると、ドリンクにかけたベア戦略を出してきたからという冗談に加えて、渡部プランは難しいと感じたと答えた。今の段階では理解できなかった部分が多かったかもしれない、という声も出た。

テスタは、前編でカノックスターが「今はインデックス的な投資をしているが面白みがない」と話していた点に触れた。面白みを感じることはとても大事だとしたうえで、YouTuberという仕事はすでにかなりのリスクを取っている、と指摘した。会社員のように、勤め続ければこれだけの給料が毎月入るという計算が立つ仕事ではない。本業でリスクを取っている間は、投資ではリスクを取らず、つまらなくてもインデックスで積み立てるほうがバランスとして良いのではないか、というのがテスタの考えだ。ストレスの面でもそのほうがよいという意見も出た。

馬渕もこれに同意した。まだ若いので攻めたい気持ちもあるだろうし、攻めるのもありだが、テスタの言うとおり本業で攻めて、投資では早めに「負けない」形を作ることが大事だと考えてこのプランを作ったと説明した。

カノックスターは、これまで本当に何も考えずに投資していたが、改めてちゃんと勉強しようという気持ちになったと振り返った。