AI変革の勝敗は技術ではなく「企業の脳」で決まる:BCG韓国のパートナーが見たAXの現実
EO Korea翻訳元 한국어
あらゆる企業がAIを語っているが、実際の成果につながっているケースは多くない。このドキュメンタリーでBCG韓国のパートナーたちは、その理由を技術ではなくアプローチの仕方に求める。彼らから見れば、AIは手段にすぎない。既存業務の合間にAIを差し込むだけでは不十分で、会社が市場で勝つ方法そのものをAIとともに設計し直さなければならない。パートナーたちは、こうした変化が顧客企業だけでなく、コンサルティング業そのものにも起きていると語る。
経営陣の問いが「何を・なぜ」から「どのように」へ変わった
あるパートナーは、最近の最も大きな変化として、トップマネジメントが投げかける問いの性質を挙げた。2022年末から2023年頃には、AIとはそもそも何なのか、なぜ経営にAIを取り入れるべきなのかが主に問われていた。今ではこうした質問をする経営陣はほとんどいないという。代わりに、AIを自分たちの経営環境、とりわけ自社にどう意味のある形で取り入れるかを問うようになった。パートナーはこれを、「アプライドAI」の観点からの問いや悩みがはるかに増えたのだと説明した。
CDOの時代と似ているが、決定的に違う点
別のパートナーは、現在の雰囲気をiPhoneが登場した頃と比較した。当時はモバイルが大きな話題で、すべての企業がプラットフォーム経営をしなければならないと言われていた。そこで各企業はCDO(Chief Digital Officer)という役員級の組織をつくり、それを中心に経営を進めた。パートナーによれば、この2〜3年のAIも最初は似ていた。AI担当役員を置き、その人物が変革を率いるというやり方だった。
ところが最近は、このやり方が大きく変わりつつあるという。CAIO(最高AI責任者)一人がすべてのAI変革を率いることができるのかという疑問が大きくなった。代わりに、CEOが「わが社の最も重要なアジェンダはAIだから、自分が直接見る」と乗り出すケースが増えている。パートナーは、CEOが自らAIを主導して強力に投資している会社、その重要度が中程度の会社、そうでない会社を比べると、ビジネス成果の差が極めてはっきり分かれると述べた。そして、会社全体の構造にAIを導入して生産性と収益を引き上げる会社と、そうできない会社との間で、勝者と敗者が明確に分かれるだろうと見通した。
ボトムアップとトップダウン、そして広がる格差
AIの導入方法も多様化しているとパートナーたちは見ている。ある会社はOpenAIやClaudeのようなサービスを全社員に提供し、生産性の改善を図る。別の会社は、AIによって自社の基本的な競争力や競争優位の要素をどう再定義し、再編するかを問うトップダウン型でアプローチする。あるパートナーはこれをボトムアップとトップダウンと整理した。そのうえで、トップダウン型をどう組み合わせて企業の競争力を再定義するかが、今の時代の最も核心的な課題だと語った。パートナーたちは、この二つのアプローチによる格差が今後さらに広がると判断している。
「AIは手段にすぎない」:DeployとReshapeの違い
あるパートナーは「冷静に申し上げると」と前置きし、多くの企業がAIを理解してはいるものの、成果を出す形でアプローチしている会社は多くないと指摘した。第一の理由は、AIトランスフォーメーションにおいて「トランスフォーメーション」ではなく「AI」に重点が置かれていることにある。変革そのものよりも、AI技術の導入に没頭するケースが多いというのだ。
彼はこれを新製品開発の事例で説明した。消費財メーカーは新製品の企画に短くて6カ月、長ければ1年ほどをかける。このプロセスに「デプロイ(Deploy)」型でアプローチすると、既存業務をタスク単位に分解したうえで、ところどころにAIを適当に差し込んで少しスピードを上げるだけで終わる。BCGが言う「リシェイプ(Reshape)」はこれとは異なる。出発点は「どこにAIを使えるか」ではない。「新製品をうまくつくるとは、そもそもどういうことか」「新製品が成功するには何が前提になるのか」という問いから始まる。
リシェイプ型では、市場を見渡して機会領域を探す作業にAIの助けを借りる。一つの新製品案ではなく複数の企画案を素早くつくり、その中から成功確率の高い案へと絞り込んでいく。パートナーは、こうすれば従来6カ月から1年かかっていたプロセスを1〜2カ月に短縮できると説明した。既存のプロセスにAIを差し込むのではなく、業務の順序そのものを新たに設計するアプローチだ。パートナーは、このようにAIを使ってこそ意味のある成果が出るが、現場の多くの企業はまだ単純なデプロイ型のアプローチにとどまっているため、成果に素早くつながらないのだと述べた。
エンタープライズIQ:手足ではなく脳
このリシェイプの核心としてパートナーが挙げたのは、「自分たちが市場を見てインサイトを引き出すロジックを、AIが理解していなければならない」という点だ。BCGはこれを「エンタープライズIQ」と呼ぶ。彼のたとえによれば、本当の価値は手足(エージェントやツール)を早くつくったり、たくさんつくったりすることから生まれるのではない。その手足が、自社ならではの市場での勝ち方が組み込まれた「脳」とともにつくられているかどうかが重要なのだ。パートナーは、このエンタープライズIQをどれだけうまくつくり出せるかが成否を左右すると見ている。
彼は、この部分は必ず内製化しなければならないと強調した。OpenAIやPalantirが代わりにつくってくれるものではない。会社のロジックを知っている会社自身がつくらなければならないというのだ。
コンサルティング業の不安と期待:「インパクト・カンパニー」への転換
話はコンサルティング業そのものの変化へと続いた。あるパートナーは、最近、世界中のBCGのパートナーが集まり、コンサルティングビジネスが今後どう進化すべきかを議論する場があったと紹介した。その場で参加者たちは、二つの感情を同時に抱いたという。一つは、AIのおかげでビジネスが進化し、事業機会が広がっているという期待と希望だった。もう一つは、コンサルティングがAIのせいで退化したり消えたりするのではないかという不安だった。彼はこの不安が「今も私たちの中にある」と打ち明けた。
彼が説明したBCGの変化はこうだ。かつてのBCGは、戦略的な方向性を定め、実行方法を助言する会社だった。今は、その後に必要な技術要素まで組み合わせて、実質的なインパクトと成果物を生み出す会社へと進化している。そのため社内では、自らをコンサルティング会社というより「インパクト・カンパニー」あるいは「インパクト・コア」と呼んでいるという。彼は、BCGがプロセス全体をオーケストレートする「調整役」へと進化していると定義した。
別のパートナーも同様の文脈で語った。コンサルティングの本業は顧客の問題を解決することだ。売上の増加、コストの効率化、働き方の進化といった明確なインパクトがなければ存在し得ない。だからこそ、AIを全社的に使うこと自体が重要なのではなく、AIを適切な場所でうまく使って効果を出せるかどうかが「唯一の尺度」だと強調した。
戦略とアプライドAIという二つの軸、そしてFDE組織
このパートナーは、最近のBCGの方向性が戦略とアプライドAIという二つの軸に再編されつつあると説明した。ここでいうAIとは、技術としてのAIではなく、企業に実際に適用されて変化を起こすAIを指す。企業にAIを適用してリシェイプするプロセスをともに進めることがBCGの方向性だというのだ。
そのために人員構成も変わりつつあるという。AIエンジニアやデータサイエンティストといった「ビルダー」を確保している。さらに、現場に派遣されて顧客の課題を深く把握し解決する「フォワード・デプロイド・エンジニア(FDE)」の組織も整えつつある。彼は、このFDE組織は新たに生まれている企業向けソフトウェア企業と比べても、幅と深さの面で見劣りしない水準だと自負した。戦略そのものを明確にAIの方向に定めたことも、スローガンにとどまらない深いレベルの変化だと語った。
「本質は変わっていない、オファリングが広がっただけ」
また別のパートナーは、少し異なる角度からこの変化を説明した。彼は、BCGの本質は何も変わっていないと見ている。成果を生み出すことが今も使命だというのだ。ただ、AIや技術が組み合わさることで、実行方法、組織の働き方、プロセスまでがともに変わらなければ成果が出なくなった。その結果、サービスの範囲が広がったと彼は説明した。戦略、技術と結びついた実行、そしてそれを企業内に定着させるためのチェンジマネジメントや運営方法の変革までを支援するようになったというのだ。
先に「AIに重点が置かれすぎている」と指摘したパートナーも、同じことを語った。AIトランスフォーメーションとは、新しい技術の導入を前提とした再設計だ。だからこそ、働き方やプロセス、必要であれば組織までがともに変わらなければ、どれほど優れたAIを入れても成果は出ない。彼は、組織への理解度が高く、組織との接点に慣れているコンサルティングファームのほうが、この領域をよりうまくこなせると見ている。
ゴールドマン・サックスの反省と「人が70%」
AI変革の成功と失敗について話す中で、あるパートナーはゴールドマン・サックスの事例を挙げた。彼の説明によれば、デビッド・ソロモンCEOは次のように明かしたという。2024年以前のゴールドマン・サックスは、100件ほどのPoCを同時多発的に進める方法で全社的なAI変革を推進した。しかしその過程でしっかりとした成功事例を生み出せず、ソロモンCEOはこれを失敗と認めた。2024年以降、ゴールドマン・サックスは最も本質的な領域を5〜6つ選び、その領域をAIで変革する方式へと、哲学を大きく転換した。
このパートナーは、AI変革において技術やデータ基盤よりも難しいのは、組織と人、そしてチェンジマネジメントだと語った。数字で表すなら、難しさ全体のうち人に関するものが70%というのが彼の考えだ。そのためBCGのチームは、AI戦略やプラットフォームを助言し、設計・開発するだけにとどまらない。人々がそれを使って現場でどう動き、どう変わっていくかにはるかに重点を置いて成果を生み出していると説明した。
求められる人材像の変化:問いを立てる人から変化を起こす人へ
人材についての話も出た。あるパートナーによれば、最近の企業は質問が上手な人材を求めていると言う。AIにうまくプロンプトを書き、うまく指示できてこそ問題を解けるからだという。彼は、BCGは1993年に始まった当初から、好奇心が旺盛で質問が上手な人材を求めてきたと述べた。うまく問いを立てて問題を定義し、解決し、わかりやすく伝えるところまでは、すでによくできているというのだ。
そのためBCGでは、むしろその次の段階がより重要になったという。うまく解いた問題をもとに心を通わせ、共感し、相手を説得する力、相手の理性と感性をつかむ力だ。さらに、実際にともに実行して結果を確かめ、価値を生み出す人材がはるかに重要になった。問題の構造化の結果を他者に納得させ、その人たちの変化を引き出せる人をより多く求めているというのだ。
別のパートナーは「人工知能」という言葉そのものに注目した。知能が普遍化し、推論能力や論理的思考、知識へのアクセスが誰にでも提供される世界が来つつあるというのだ。そのため、ほぼすべての職種で技術的な専門性だけを持つ人の居場所はしだいに狭まり、全体を設計し、企画し、推進できる人の価値が高まると彼は見通した。BCGも同じだという。彼は必要な人材を「統合型ビルダー兼思考者(integrated builder-thinker)」に近いものと表現した。自ら手を動かしてつくることも、考えることもでき、AIをはじめとするツールも使いこなせる総合的な力を持つ人だ。顧客の期待も、より明確に結果を出すほうへと変わっていくと彼は見ている。そのため、エンドツーエンドで結果まで出せるコンサルタントがはるかに大きな価値をもたらし、役割も大きくなるだろう、そしてそれこそがBCGの目指す核心的な方向だと語った。
仕事は消えるより再編される
あるパートナーは、BCGが最近発表したレポートを紹介した。タイトルは「AIは仕事をなくすよりも、より多くを再編する」という趣旨のものだ。彼は、このレポートは職業が消えることを示そうとしているのではないと説明した。世の中に存在する無数の業務の組み合わせが、AIによって新たに変わるという意味だというのだ。
そこで彼は、個人やリーダーに次のように勧めた。今やっている仕事がAIによってどう再定義・再編されるかを思い描き、それに合わせて働き方や組織の率い方を変えてみること。それが今の前例のない混乱を突破する助けになるヒントだという。別のパートナーも、AIがすべての仕事をなくすという不安を過度に抱く必要はないと述べた。その例としてコンサルティング業の変化を挙げた。コンサルティングが消えるのではなく、この時代に合わせて急激に変わりつつあるというのだ。
規模より姿勢:韓国企業に与えられたチャンス
AI変革のスピードは企業規模に比例しないという観察も示された。あるパートナーは、大企業が先行し中小・中堅企業が遅れるという構図ではまったくないと語った。むしろ大企業は巨大なシステムで運営されているため、AXでは後発組になることが多い。反対に、小さな企業のほうが先んじて飛び出していく事例も多く見られるという。
パートナーたちは、特にアジア企業、中でも韓国企業の積極性が際立っていると現場で感じていると語った。あるパートナーは、韓国企業が生成AIの登場を、欧米中心につくられてきたゲームのルールを構造的に覆すチャンスと見ているようだと解釈した。消費財がその例だ。消費財の核心はマーケティングだが、かつては資本力の大きい欧米企業が攻め込んでくると太刀打ちするのは難しかった。しかし、AIの力を借りてはるかに少ない資金で高効率のマーケティングができるなら、十分に戦えるゲームになる。むしろ彼らより優れたデジタルマーケティング力を持てるのではないかという希望を、韓国企業は抱いているというのだ。
別のパートナーは、巨大な変化のただ中にいることが面白いと語った。韓国が得意とする自動車、造船、そして最近の化粧品や食品は、ほとんどが規模と運営の大きい産業だ。だからこそAIの効果を大きく得られると彼は見ている。韓国人には保守的な面もあるが、変化が訪れれば素早く動く思い切りのよさと情熱があり、AI時代にうまくいく経済だというのが彼の考えだ。彼は、基盤モデルや中核技術を米国が主導しているのは確かだが、活用においても米国が最も先を行っているかどうかはまだはっきりしないと付け加えた。
さらに別のパートナーは、アプライドAIとは結局、AIを現場に取り入れたときにどんな効果を上げられるかの問題だと指摘した。韓国企業は変化の受容度が高く、さまざまな試みを行っている。そのため、企業の競争の源泉を再定義する成功事例が、他国よりも早く、より力強く出てくる可能性が非常に高いと彼は見ている。
「先を行っているところはない」:グローバル事例という枠組みから抜け出す
あるパートナーは、顧客によく伝えている言葉を紹介した。グローバル事例を尋ねたい気持ちはわかるが、その枠組みから抜け出してほしいというのだ。彼によれば、AI時代において先を行っているところはほとんどなく、あるはずもない。生まれて間もない技術で、誰もがともに模索している最中だからだ。だからこそ、自らが先頭ランナーであり、フロンティアであり、グローバル事例になるというマインドセットで臨むよう勧め、そうすることは可能だと語った。
正解はないが一歩は踏み出すべき、ただし「錯覚」には注意せよ
パートナーたちは、BCGもすべての答えを持っているわけではないと認めた。あるパートナーは、今はどんな未来が来るのか誰にも言えない、前例のない混乱の時期だと語った。BCGにも、あらゆる状況の解決策を鮮やかに示せる魔法の杖はないという。BCGもまた同じプロセスを経ながら、一歩先を行くために悩み、動いている段階にあるというのだ。だから企業に提案しているのは、まず一歩を踏み出すことだ。何かを試し、たとえ失敗してもその経験を積み重ねながら突破していかなければならないという。別のパートナーも、誰も正解を持っていない今は、学び続けるプロセスを身につけることが最も重要な美徳であり行動規範だと述べた。
同時に警告もあった。あるパートナーは、デプロイ型でAIを取り入れながら「自分はAIに非常に熱心に、積極的に取り組んでいる」と思い込む、一種の錯覚に注意するよう呼びかけた。1年以上AI導入を管理し、お金も多く費やしたのに、いざ振り返ってみると何が変わったのかわからないと言う企業が、そろそろ出始めているというのだ。彼は、AI技術を前提に、50年、100年近く続けてきた働き方をAI時代に合わせて設計し直さなければならないと語った。そうすることで、本来解決しようとしていたビジネスの本質的な成果を出すことに注目すべきだというのだ。
彼の結論はこうだ。トップマネジメントが覚悟を持ち、数年がかりの構造的な変革を行うと、多くの困難があっても乗り越えていくと決意しなければならない。こうしたトップダウン型の変革推進だけが成功を担保できるというのだ。
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