LVYUAN製3kWハイブリッドインバーターを分解して主回路を読む

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概要

太陽光パネルと蓄電池を組み合わせて使う「ハイブリッドインバーター」は、中身がどのような回路でできているのか。今回の動画では、自分で安く太陽光発電を組みたい人たちに人気のLVYUAN(リョクエン)製3000W単相二線式ハイブリッドインバーターを分解し、内部構造と主回路を読み解いている。動作検証は次回以降の予定で、今回扱うのは分解と回路解析、そしてハイブリッドインバーターの典型的な動作の説明である。話者は、完全オフグリッドで使うなら回路的には問題ないと見る。一方で、冷却構造の寿命と、系統に接続した場合の扱いには懸念が残ると評価している。

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パワーコンディショナーの役割と、売電から自家消費への変化

話者はまず、太陽光発電用パワーコンディショナー(パワコン)の役割を整理する。パワコンの基本的な役割は、太陽光パネルが出力する直流電力を交流電力に変換することだ。一般家庭では、発電した電力を売電して収入を得たり、分電盤からコンセントを引き出して自家消費に回したりする。日本で知られているメーカーとして、産業向けではHuawei、家庭用ではオムロン、ニチコン、テスラなどの名前が挙がった。

話者によれば、発電量が自家消費を上回る分は基本的に売電したほうが経済的だった。固定価格買取制度(FIT)の買取価格が1kWhあたり40円程度あった時代には、売電が有利だったからだ。しかし最近は買取価格が15円程度まで下がっている。一方で電気料金は、電力会社によっては1kWhあたり40円くらいになる。そのため話者は、発電した電気をすべて売電せず、蓄電池などに貯めて自分たちで使い切る運用が賢い使い方になりつつある、と説明する。

売電しない前提のハイブリッドインバーター

今回のハイブリッドインバーターは、基本的に売電をしない製品である。発電した電力はすべて自家消費するか、蓄電するという考え方だ。他社製品には例外もあるが、今回のように自分でシステムを組むタイプは基本的に売電しないようだ、と話者は述べる。ここ数年の電力価格の高騰やエネルギー情勢の不安定さから、自分で太陽光発電システムを作りたい人たちに受けが良い製品だという。

ただし、売電しない構成には弱点がある。昼間の発電量が自家消費を上回ると、パネルの発電能力をフルに生かせない。また夜間や早朝は発電できないので、結局は電力系統から買電する必要がある。これを解決するために、ほとんどの場合は蓄電池を併用する。昼間に発電した電力は蓄電池に貯めるか自家消費に回し、太陽が出ていない時間帯は蓄電池からの放電で自家消費をまかなう。蓄電池を使い切ったら、従来どおり系統から買電する。太陽光と蓄電池の両方を使うことから「ハイブリッド」インバーターと呼ばれる、というのが話者の説明である。

LVYUANの製品が実際にこのとおり動くかは、今回は検証していないので分からないと話者は断っている。また、ハイブリッドインバーターはLVYUANだけの製品ではない。最近は多くのパワコンメーカーが蓄電池とセットで使える製品を出しており、例えばテスラのPowerwallは「実質売電ができるハイブリッドインバーター」だと話者は位置づけている。

スペックから見える制約:3kW・100V出力・24Vバッテリー

本体側面のスペック表示を見ると、PSEは取得している。容量は3kWだ。話者は、この容量では自家消費時のピーク電力をまかなえそうになく、系統から買電する頻度が多くなりそうだと見る。

出力電圧は100Vのみで、200V出力はない。IHクッキングヒーター、エコキュート、大きめのルームエアコンは200Vで動くため、話者はこれを厳しい仕様だと評する。逆に、そうした消費電力の大きな機器を使わなければ問題はないという。

出力電圧が低い仕様に合わせて、太陽光パネルの開放電圧も最大108Vとなっている。一般的なパワコンでは500V程度まで許容するものが多いと話者は比較する。さらにバッテリー電圧は24Vと低い。回路全体に流れる電流が多くなりそうなので、全体の効率は高くなさそうだと話者は推測している。

分解:下向きに排気する冷却ファンとゴツめのACフィルター

なお、映像に映っている本体は、分解したものを撮影用に組み立て直したものである。そのため元の製品の状態とは少し異なる。絶縁用のプラスチックフィルムなどは、もともと入っていたものだという。内部は配線がかなり行ったり来たりしている。

冷却ファンは2基あり、本体の下から排気する方式になっている。熱は上にあがるので、上にファンを付けて上から排気したほうが排熱効率は良さそうなのに、なぜか下に付いている。話者はこの設計に疑問を呈している。

AC入力・出力の端子まわりには、かなりゴツいフィルター類が付いている。内部には大電力のパワーエレクトロニクス回路が入っているため、そのノイズが導線を伝って外部に出るのを防ぐためのものだ。話者自身は測定していないが、PSEを取得している以上、伝導ノイズと放射ノイズは規制値以下になっているはずだと述べる。

基板の構成と、ヒートシンクを端子にする設計

入力フィルターを外すと、その下にリレーが6個並んでいる。このリレーのオン・オフで、系統につなぐかどうかや自家消費に回すかどうかを決めている。近くには電流トランスもある。挿さっている1枚の基板は制御基板だ。

パワー半導体は用途ごとに分かれている。単相インバーターなどの電力変換回路のパワー半導体には、ゴツめのヒートシンクが付いている。別の一角はバッテリー入力の回路で、いちばん小さなヒートシンクが付いた部分は太陽光パネルにつながる回路である。

話者が面白いと指摘するのは、この太陽光パネル回路の配線だ。+極はプリント基板に入っていく。一方で−極は、パワー半導体を冷やすヒートシンクに接続されている。ヒートシンクそのものを端子として使う設計である。ヒートシンクからパワー半導体に電流を流すため、このパワー半導体にだけは絶縁シートが貼られていない。

電解コンデンサのメーカー

大電力回路でまず壊れるのは、おそらくパワー半導体か電解コンデンサのどちらかだろう、と話者は言う。そこで電解コンデンサのメーカーを確認したところ、AiSHiとJiangHaiの2社の製品が使われていた。話者によれば、どちらも非常にポピュラーなメーカーだ。AiSHiは電気自動車などでもよく使われている。JiangHaiは産業向けなどで非常によく使われており、中国国内でかなり強いポジションにいるという。

書き起こした主回路の構成

話者は主回路を回路図に書き起こしている。センサー、その他のトランジスター、電源などは省略している。各ノードの動作電圧が分かるように、コンデンサの定格電圧も書き込まれている。

回路図の中で「GRID & Filter」とある部分がACの入力である。そのすぐ近くの「AC-OUT-L」「AC-OUT-N」が、家の分電盤につなぐ出力だ。回路の右側に太陽光パネルの接続部、その下にバッテリーの接続端子がある。ハイブリッドインバーターは、インバーターの電流、太陽光パネルの電流、バッテリーの電流など、制御対象が多い回路だと話者は説明する。

構成要素は次のとおりである。

  • 単相インバーター
  • 双方向コンバーター
  • フルブリッジのプッシュプルコンバーターのような回路
  • 太陽光パネル用の降圧コンバーター

太陽光パネル側には逆流防止スイッチがあり、その「PV−」が先ほどのヒートシンクにつながる部分である。バッテリー側には150Aのヒューズも付いていた。

動作の説明には、この回路をさらに単純化した図が使われる。左から電力系統、家につながる線、「AC/DC」(単相インバーター)、「DC/DC」(双方向コンバーターとプッシュプルコンバーター)と並ぶ。その先にもう一つの「DC/DC」(降圧コンバーター)があり、太陽光パネルとバッテリーにつながる。以降の説明は、LVYUAN製品の実際の動作を確認したものではない。ハイブリッドインバーター一般の典型的な動作だと話者は断っている。

典型動作1:太陽光からのバッテリー充電とMPPT制御

最初に、いちばん理解しやすい太陽光発電とバッテリー充電の部分を説明する。太陽光パネルは、基本的に電力を引き出す方向にしか動作しない。パネルの電力は降圧コンバーターを経てプッシュプルコンバーター側にも行けるが、ここではプッシュプル側は止まっていると仮定し、バッテリーだけを充電するモードを考える。

このモードでは、降圧コンバーターのインダクターに流れる電流を制御して、バッテリーの充電電流を決める。このインダクター電流はパネルに流れる電流と比例しており、パネルのMPPT制御にも関わる。MPPT制御とは、パネルからできるだけ多くの電力を引き出す制御である。インダクター電流を増やしていくとパネル電圧は下がっていく。その中で最大電力が取れる点に常に追従するように、降圧コンバーターが電流を制御する。今回の製品もMPPT制御をしている、と話者は述べる。

この回路を正しく動かすには、パネルとバッテリーの両方の状態を見ている必要がある。一般的な充電動作では、バッテリーのSOCが低いうちは、バッテリーが過電流にならないよう電流制御しつつMPPT制御も行う。このときはバッテリー保護が優先されるので、パネルから最大電力を引き出せない場合もある。SOCが高くなると、一定電流での充電を終えて一定電圧での充電に移る。例えば、昼間に家で電力をまったく使っておらず、図の左側の回路が動いていない状態なら、パネルの電力はバッテリー充電に使われる。自家消費がある場合は中段の回路も動くので、動作は少し変わる。

典型動作2:中段のコンバーターと、昼夜での電力の配分

中段のプッシュプルコンバーター的な回路と双方向コンバーターの役割は、話者によれば2つある。1つは、左側の単相インバーターと協調して、家で使う電力を右側(パネル・バッテリー)から引き出すこと。もう1つは、同じく単相インバーターと協調して、系統から電力を引き込んでバッテリーを充電することだ。

話者は、太陽の有無で分けて考えると分かりやすいと言う。太陽が出ていて家で電力を使う場合は、パネルの電力でバッテリーを充電しつつ自家消費もまかなえる。消費が増えればパネルとバッテリーの両方から供給し、さらに増えれば系統からの買電も加える。

夜間は発電がないので、バッテリーをどう使うかが問題になる。残量が十分なら、放電して家の電力をまかなう。残量がなくなった場合は、太陽が出るまでバッテリーは何もせず、家で使う分だけ買電するのが一般的な動作だろう、と話者は見る。家の消費分に加えて買電でバッテリーを充電することもでき、深夜電力が割安な地域ではこのモードを使っても良いかもしれないという。ただし翌日が晴れで、パネルだけで家の消費とバッテリー充電をまかなえるなら、夜間に買電して充電するのはあまり経済的ではない。どう動かすかはバッテリーの使い方次第である。多くの場合は、昼間に太陽光で充電し、夜間にその電力を使うのが最も経済的だろう、というのが話者の考えだ。

典型動作3:単相インバーターと「逆潮流させない」制御

話者が特に重要だとするのが、単相インバーター部分の動作である。今回のLVYUAN製品はJET認証を受けていない。そのため系統に接続すること自体はできても、電力会社と系統連系の契約を結ぶことはできない。つまり逆潮流を起こしてはならず、家で使っている電力とインバーターが入出力する電力を常時監視する必要がある。

インバーターが動いていない状態として、話者は夜間で発電なし、バッテリー残量ゼロの場合を例に挙げる。このとき電力は系統から家へ流れ、ハイブリッドインバーターは電力をバイパスしているだけだ。

パネルやバッテリーから電力を出す場合は、単相インバーターと右側の回路が協調して動く。単相インバーターの出口にはインダクターがあるので、インバーターが出し入れする電流を制御できる。インバーターから出す電流を増やすと、家の消費の一部をインバーターがまかなうので、系統からの買電は減っていく。家の消費とインバーターの供給が完全に一致すれば、買電ゼロで完全に自給できている状態になる。

しかし実際の家の消費電力(ここでは電流)は常に変動している。逆潮流が許される通常のハイブリッドインバーターなら問題にならないが、今回の製品では逆潮流させてはいけない。そのため家の消費変動に対してマージンを持たせることになる。話者の図では、CT2に流れる電流がCT1に流れる電流より大きい状態、つまり少しだけ買電し続ける状態として示されている。LVYUAN製品がこのときどの程度買電しているかは、今回は検証していないので分からないという。

話者は、回路的には逆潮流ができてしまう構成であることも指摘する。だからこそ、リレーや単相インバーターを含めた制御が非常に重要になる。また、JET認証を受けた逆潮流可能なハイブリッドインバーターと比べると、売電ができないぶん、太陽光パネルのポテンシャルをすべて生かせないかもしれないとも述べている。

単独運転防止と自立運転は未確認

もう一つの論点は、単独運転防止機能の有無である。これは今回確認できておらず、後日確かめたいと話者は言う。単独運転とは、系統が停電しているのにインバーターが系統につながったまま電圧を出し続けている状態を指す。この状態で復旧作業に来た電力会社の作業員が電線に触れると感電する。そのため、停電を検出したら自動的に系統から切り離す機能が必須とされている。理想的には、停電を検出したら系統から切り離し、そのまま自立運転モードに入ってほしい、と話者は述べる。

回路上は該当箇所にリレーがあるので、単独運転防止も自立運転も可能な構成になっている。ただし、それが制御として実装されているかは不明だ。取扱説明書には、バッテリーから電力を供給するUPSモードがあると書かれている。そのため単独運転防止に近いものは実装されているようだが、実際に動作を確かめたわけではないので今回は分からない、と話者は留保している。そのうえで、系統に接続する場合は少しグレーゾーンな製品になりそうだ、と話者は見る。系統に一切接続しない完全オフグリッドで使うぶんには問題なさそうだという。

一方で、話者は動作検証の前に製品を完全に分解してしまったため、この個体では動作検証ができなくなった。動画内では、LVYUANやSNREの担当者に向けて連絡を呼びかけている。

話者の評価と今後の検証

締めくくりとして、話者は次のように評価している。太陽光パネルと蓄電池で電力を完全に自給自足したい人にとっては、回路的には問題ない製品だろう。ただし冷却構造には懸念がある。熱を下から上に逃がすのではなく、上から下に排気するエアフローになっているため、部品の寿命は短そうだという。

さらに、JET認証を受けておらず、回路的には逆潮流できてしまう構成であることから、系統保護の観点ではグレーゾーンな製品だと話者は考えている。逆潮流を防ぐ制御や単独運転防止が実際にどう働くかは、今回は未検証のまま残った。この点の動作検証は、今後の動画で扱う予定だとして動画は終わる。