シンガポールの商業施設で考えるFC選び:「映え」より味、採用の仕組み、出口の有無

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概要

フランチャイズ(FC)への加盟を検討する経営者向けコミュニティ「FC BANKサロン」を運営する島袋直樹氏と尾上彰氏が、シンガポールのショッピングモールを歩きながら話した回である。この回は第2期会員の募集告知を兼ねており、第1期で会員に何が起きたかの報告と、現地の飲食店を見ながらの「流行るブランドと消えるブランドの違い」の議論が交互に進む。後半では、地方でのCLUB PILATES(クラブピラティス)の運営モデルと、FC加盟店の出口戦略が語られる。

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メルボルン発「Yo-Chi」を試す

最初に訪れたのは、オーストラリア・メルボルン発のフローズンヨーグルトとスムージー、アサイーボウルの店「Yo-Chi」である。島袋氏によると普段は長い行列ができているが、この日は空いていたため2人はすぐに入店した。

店ではまず客が自分でカップを取り、ヨーグルトやトッピングを選ぶ。2人はこの仕組みを見て、オペレーションコストがかからない、よく考えられていると口をそろえた。価格は2つでシンガポールドル15ドル前後で、島袋氏は日本円で2,000円いかないくらいと換算している。

味については、アイスというよりジェラートに近く、甘すぎず、朝食の代わりにもなりそうだという感想だった。島袋氏は「これ絶対流行る日本で」と述べ、おそらくフランチャイズ展開もしているはずだと推測した。尾上氏によると、ウェブサイトには海外向けの問い合わせ窓口があったという。

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FC BANK第1期で起きたこと

この回の主題は、FC BANKサロン第2期会員の正式募集である。島袋氏は、正式募集に踏み切った理由を第1期会員の満足度を確認できたからだと説明する。

第1期には約18人が参加した。これまでに都内で懇親会を開き、次は大阪で懇親会を、11月にはシンガポール視察を予定している。会員へのヒアリングを担当した尾上氏によると、会員には「まだFCをやったことがない人」も「すでにFCを運営している人」もいる。多くの会員の主な目的は、コミュニティを通じて新しいFCブランドを探すことだった。

尾上氏の把握では、すでに会員が6社ほどに加盟している。サロンで限定公開で案内しているブランドや、M&A BANKで特集したブランドに加盟した人もいれば、それ以外のブランドに加盟した人もいるという。中には、本部と組んで本来のパッケージではない大型のフラッグシップ店のようなものを作ろうとしている会員もいるそうだ。尾上氏は、サロンを始めてまだ3か月ほどしか経っていない点を強調した。

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勉強会で扱っている内容

会員との連絡や企画を主に担う尾上氏が、勉強会の内容を説明した。

最初のテーマは「失敗しないフランチャイズの選び方」だった。尾上氏の言葉では、加盟希望者(フランチャイジー)側が、本部との面談で的確な質問ができるようになることが狙いである。具体的には、フランチャイズの法定開示書面が何なのかを理解し、それをもとに質問する力を上げる。そうすれば加盟希望者が自分でデューデリジェンスをしやすくなるという考え方である。

収録当日には、FCに強い弁護士を講師に招き、複数のブランドに加盟する「マルチフランチャイズ」を扱った。ここで重要になるのが競業避止義務である。例えば飲食店を運営している人が別の飲食ブランドにも加盟したいとき、それが契約上できるのかが問題になる。勉強会では、こうしたトラブルを未然に防ぐための交渉術を取り上げた。

尾上氏が特に反応が良かったと挙げたのは、すでにマルチフランチャイズで活躍している会員が講師を務めた回である。その会員がどのようにデューデリジェンスをしてブランドを選んでいるのか、加盟後に出てくる採用や物件選びの問題をどう乗り越えたのか、といった実体験を共有した。加盟店オーナーである会員によるノウハウ共有会も好評だったという。

尾上氏によると、運営側の知らないところでも、会員同士が「このブランドの情報を知ったけれどどう思う?」とやり取りしている。コミュニティが自走し始めているという報告である。

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「10年続くFC」を求める会員が多い

島袋氏が意外だったと話したのは、10年、20年続くFCビジネスを求める会員が多いことだった。短期で投資を回収したいというニーズが中心だと思っていたが、そうではなかったという。島袋氏は、5年はすぐに過ぎるのだから、と理由を推し量っている。

尾上氏によると、会員はブランドを見るときに、ターゲット層は実際どうなのか、その国だから流行っているだけではないのか、インバウンド客向けなのか地元客向けなのか、といった点を気にしている。インバウンド向けの良いブランドで早めに場所を押さえるのも一つの勝ち筋だと島袋氏は言う。一方で、すでに全国展開しているナショナルブランドに加盟するのは違うと考える人もいる。尾上氏は、早い段階で参入でき、かつ10年、20年続くビジネスモデルを探している人が多いとまとめた。

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第2期の定員と会費

第2期の定員について、島袋氏はおおむね20名を想定しつつ、最大30名まで受け入れる考えを示した。第1期の時点ですでに8人ほどがウェイティングリストで待っており、20人ではすぐに埋まってしまうためだ。それでも少人数のコミュニティで情報を共有する方針は変えず、年に何回かは全体で集まる機会も作りたいという。

会費は第1期から1万円値上げし、3万5,000円になる。加えて入会金が5万円かかる。尾上氏は、手探りだった第1期から改善が進んだことを値上げの理由に挙げた。初年度は1年分の一括払いで、2年目以降はクレジットカードで引き落とす。締め切りは2026年10月末ごろの予定である。島袋氏は、第3期を募集する際にはさらに値上げする可能性があるとも述べた。

7:56

「FC BANKに入って人生が変わった」という声

会員の反応として尾上氏が挙げたのは、「FC BANKに入って人生変わりました」と言われたことだった。発言した会員はすでに複数のFCを運営している。その会員によれば、「これだ」と思えるブランドに出会えるタイミングがあり、今回それに巡り会えた。この本部と一緒に一気に頑張りたいと思えた、という趣旨だったという。

これを受けて島袋氏は、本部に圧力をかけるような、嫌われる加盟店には絶対になってほしくないと話した。加盟店の中でも最も優秀な人たちを育てたい。そして本部側から「FC BANKのサロン会員が加盟してくれたら事業が大きくスケールする」と言われるような存在にしたい、というのが島袋氏の考えである。尾上氏は、フランチャイジーとしての心構えと「ビジネス戦闘力」の両方を育てたいと応じた。

そのため2人は、誰でも入れるコミュニティにはしたくないと言う。島袋氏は冗談めかして、ビジネス戦闘力が低い人には申し訳ないと述べた。尾上氏はこれに、今は低くてもここから上げようとしている人は歓迎だと付け加えている。大阪の懇親会では、限定公開しているブランドのうち、加盟開発の依頼を受けている本部の店舗を視察し、その後に飲み会を開く予定だという。

9:27

モール内で見えた立地と店の大きさ

モールを歩きながら、2人は周辺の店の混み具合を比べた。Yo-Chiの向かいにもオーストラリア系のヨーグルトドリンクの店があったが、こちらは行列のYo-Chiとは対照的に空いていた。島袋氏は、美味しそうなのに流行っていない理由として店のサイズが大事なのかもしれないと推測した。尾上氏はショッピングモールの動線の影響を挙げ、2人とも場所の重要性を確認し合っている。

ほかに目に留まったのは次のような店だった。

  • 「ナウピザ」という名前のピザ店
  • 夕食時の午後6時過ぎにもかかわらずガラガラだったラーメンバー
  • 中国で有名なマーラー(麻辣)の店。尾上氏によると、日本にも上陸している
  • 島袋氏がシンガポールでよく見かけるという、行列のできたタコス・ブリトー・ナチョスの店
  • フィンガーズ・クリスピーチキン
10:30

FC権利ではなく「レシピだけ買う」という方法

マーラーの店の前で、尾上氏はある会員の話を紹介した。その会員はメルカリの創業メンバーで、中国語のネイティブスピーカーでもある。会員の考えでは、中国で人気のブランドをマスターフランチャイズ権で日本に持ってくるのも一つの手だが、日本に来ていないブランドはまだたくさんあるはずだ。だから現地に直接行き、「レシピだけ買わせてくれ」と頼むのもありではないか、という。

島袋氏はそんなことができるのかと驚いたが、尾上氏は実例を挙げた。会員が加盟している日本のベーグル店がそれで、その会社の社長が韓国で行列のできているベーグル店を見てレシピを買い取り、日本で独自ブランドとして立ち上げたのだという。尾上氏は、FC権利を取得する以外にもこうしたやり方があると説明した。島袋氏は、このテーマを今後の勉強会で深掘りしたいと話している。

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一周回って地方のクラブピラティス

日本で次に何が流行るかという話題で、島袋氏は以前からお茶を推していると話した。最近面白いと思うブランドを尾上氏に尋ねられると、島袋氏は「一周回ってクラブピラティス」と答えた。2人が日本法人を運営するブランドであり、FC BANKでは基本的に紹介しない方針だったという前置き付きである。

きっかけは、島袋氏が広島の加盟店オーナーと会ったことだった。そのオーナーは2年間で6店舗を運営し、年間1億円以上のEBITDAを出していると聞いて衝撃を受けたという。島袋氏は、クラブピラティスの地方モデルが確立し始めたと見ている。

島袋氏の説明では、クラブピラティスのスタッフは通常、業務委託のインストラクターと正社員のセールススタッフで構成される。広島の加盟店は、これをほぼ正社員のインストラクターで回している。そうすると全員が同じ方向を向いて事業を進められるため、運営しやすいという。

地方でピラティススタジオを開こうとすると、インストラクターがいないという問題にぶつかる。そこで島袋氏が挙げるのが、インストラクター資格を発行する養成機関の活用である。2人の会社はこの養成事業もフランチャイズで販売している。手順は次のとおりだ。

  1. スタジオを出す前に、まずインストラクター養成を始める
  2. 養成の場には家賃月10万円程度で、1年ほどで撤退する前提の場所を借りる。機材は本部で余っているリフォーマーをレンタルする
  3. インストラクターになりたい人が応募してくるので、養成講座で売上を立てる
  4. 受講者の中から良い人材を正社員として採用し、スタジオを開業する

こうすれば、資格を持つ社員を育てながら出店でき、その過程で売上も作れるというのが島袋氏の見立てである。島袋氏はこのモデルが「めっちゃ熱い」のではないかと評価した。

採用こそがFC加盟の最大の壁

尾上氏はこの話を、FC BANKの会員の実情と結び付けた。会員の多くはFCの未経験者で、飲食やマシンピラティスの経験もない。どう採用すればいいのかが分からず、尾上氏によれば、採用コストはFCの初期費用以上に見通しが立ちにくい。

ビジネスモデルは良く、やりたい気持ちもあり、予算も足りている。それでも、どうやって採用するのか、その人たちをマネジメントできるのかというところで止まってしまう人が非常に多い。尾上氏は会員と接する中でそのことに気づいたという。その点で、養成スクールを運営し、受講生から売上を得ながら自前で採用まで進められるクラブピラティスの仕組みは、かなり珍しく優れていると尾上氏は評価した。

15:02

BLACK TREEの行列が消えた理由

次に訪れたのは、description で「BLACK TREE」と紹介されているブランドの店である。島袋氏によれば、以前は20分ほど並ぶほどの人気だったが、この日はほとんど客がいなかった。島袋氏はブームだったのかもしれないと推測し、以前飲んだときの感想として、自分には甘すぎてあまり美味しくなかったと話した。

尾上氏は、前回の動画で取り上げたCHAGEE(チャジー)などのお茶はさっぱりしたものが多いと指摘した。島袋氏も、先ほどのYo-Chiのフローズンヨーグルトもさっぱりしていて、もう一度食べたくなると応じている。

この店のオペレーションについても2人は気づいた点を挙げた。注文後、商品を受け取るためにもう一度並び直す仕組みになっている。さらに、客の目の前で最後のデコレーションをし、動画を撮ってもらう前提のパフォーマンス型の提供方法をとっている。島袋氏は、こうしたパフォーマンス型の店は行列がないと微妙に見えると指摘し、尾上氏も人気がなさそうに見えてしまうと同意した。立地の影響もあるのかもしれないと島袋氏は付け加えている。

島袋氏が調べたところ、このブランドの店舗数は意外にも数十店舗にとどまっていた。島袋氏は「映え」に特化しすぎていて、本質的ではないのかもしれないと見ている。やはり味が美味しく、ヘルシーでなければならない、というのが2人の結論だった。CHAGEEがもう一度飲みたくなる一番美味しいお茶だったという前回の感想も、この結論を裏付けるものとして挙げられた。そのうえで、オペレーションの重要性を示す例として、改めてYo-Chiを高く評価した。

17:56

FC加盟店の出口は限られている

最後に尾上氏が、会員から「FCの出口をどうすればいいのか」という相談が多いと明かした。島袋氏は以前、ある会員に自分なりの持論を答えたといい、その内容を紹介した。

島袋氏によれば、FC加盟店の出口はかなり限られている。多くの場合、本部が承認した相手にしか売却できないからだ。買い手の候補は主に次の3つになる。

  • 本部による買い取り
  • 他の加盟店による買い取り
  • 規模が大きく利益が出ている場合は、上場企業やファンドなどの第三者。ただし、本部が「この人がオーナーになってくれればいい」と認める相手に限られる

島袋氏は、店舗数が小さかったり少なかったりする本部の場合、買い手は基本的に見つからないと言う。買い手になる他のオーナーがそもそも少ないためである。そのため、島袋氏は50店舗以上の本部でなければ買い手はなかなか見つからないのではないかと見ている。

加盟店オーナーの「戦闘力」も重要になる。低資金で始められる本部の場合、他のオーナーも資金に余裕がないケースが多く、M&Aへの意欲もない。そのため加盟店を買ってもらうのは難しい。島袋氏の考えでは、出口が存在するのは次の条件がそろう場合である。

  • 法人が加盟店を運営するような本部である
  • 本部が伸びている
  • そのエリアが加盟店の間で取り合いになる場所である

尾上氏はこの話を「有料級」と評し、島袋氏はこうした話をサロンでしていると述べた。