Amazonで買った「グラウンドループアイソレーター」を分解したら中身はただの配線だった。自作して効果を測る
イチケン / ICHIKENこの動画では、Amazonで購入したオーディオ用の「グラウンドループアイソレーター」を検証している。グラウンドループによって乗るノイズをどの程度防げるのかを確かめる予定だったが、購入品はアイソレーターとして機能していなかった。そこで話者は回路を自作し、ノイズ除去の効果と周波数特性を測定した。
グラウンドループアイソレーターの構造
話者によると、冒頭で「ノイズフィルター」と呼んだこの部品は、フィルターというより信号を電気的に絶縁するアイソレーターとしての役割が大きい。中心となる部品は変圧器で、オーディオの交流信号を変圧器に通すことで入力側と出力側を電気的に切り離し、グラウンドのループをそこで断ち切る。
「変圧」とはいうものの、入出力で信号の振幅を変えないように、変圧比は1:1であることが多いだろうと話者は説明している。
グラウンドループでノイズが乗る仕組み
動作を説明するため、話者はまず変圧器を取り除き、単純な配線でつないだ回路を考える。信号を出す機材Aと、それを受け取る機材Bがあり、両者は配線でつながっている。どちらも接地されているが、説明を簡単にするため、接地箇所はそれぞれ別のGND-AとGND-Bとした。ここでグラウンド部分に原因不明のノイズ源がつながっていると、ノイズのループができ、ノイズ成分がB側へ伝わってしまう。
話者は、グラウンドループがあれば必ずこのループが原因のノイズが出るとは言い切れないと留保している。そのうえで、こうした現象は起こり得ると述べている。
ノイズを注入する実験
実験では機材Aを信号源、機材Bをスピーカーにして配線でつなぎ、GND-AとGND-Bの間に別途用意したノイズ源を接続した。今回の配線は数十センチと短いが、実際には数メートル程度に延びる場合も考えられると話者は補足している。
まず信号だけを流すと、440Hzの正弦波が聞こえる。次にグラウンド部分に2kHzのノイズ信号を注入すると、スピーカーからノイズ音が聞こえるようになった。
話者の説明はこうだ。ループに電圧が加わると電流が流れる。回路図には描かれていないが、実際の配線には抵抗成分があり、そこに電流が流れると電圧降下が起きる。その結果、スピーカーに加わる電圧が変わり、ノイズが聞こえる。変圧器を挟めば回路は電気的に絶縁されるので、このループに電流が流れなくなる、というのが本来の狙いである。
購入品は効かなかった
次に、購入したグラウンドループアイソレーターを入れて同じ実験をした。440Hzの信号に2kHzのノイズを加えると、本来は聞こえないはずのノイズがそのまま聞こえてしまった。
商品ページには変圧器を使っているという表記がある。変圧器を使っていれば、入力側と出力側の端子の間は基本的に絶縁されているはずだ。そこで話者が端子間の抵抗値を測ると、どの組み合わせも導通していた。
分解してみると、中には変圧器がなく、端子同士が銅線でつながっているだけだった。話者はこれを「ただの端子変換ボックス」であり、グラウンドループアイソレーターとしての機能はまったくないとして、「完全な詐欺商品」と評している。
回路の自作
それでもアイソレーターの効果は確かめる必要があるとして、話者は回路を自作した。プリント基板の製造はJLCPCBに依頼し、キャパシタ、抵抗、変圧器などは秋月電子やDigiKeyで購入している。
この回路には、アイソレーター機能とは別に、数十Hz以下の信号をカットするハイパスフィルターも入れた。話者が特に検討したのはキャパシタの選定で、ルビコンのPMLCAPを採用した。話者によれば、これはフィルムキャパシタの一種で、小型ながら静電容量が大きく、加わる電圧が変わっても静電容量がほとんど変化しない。オーディオ向けに使われることが多いとルビコンの担当者から聞いたという。
完成した基板は左が入力側、右が出力側で、グラウンドは入力側と出力側で分かれている。信号は2チャンネル分あり、それぞれに秋月電子で入手した山水製の変圧器を1個ずつ使っている。
自作品を耳で比較する
アイソレーターなしの状態では、信号にグラウンドループノイズを注入するとノイズが聞こえた。アイソレーターありでは、まず信号を入れた段階で音が少し小さくなった。話者はこれをアイソレーターを入れた影響としている。そのうえでノイズを注入すると、耳で聞く限りノイズ成分は聞こえなかった。
波形で見る効果と高周波での限界
続いて、オシロスコープで出力の信号波形を確認した。この測定用に、回路は効果の有無がわかりやすくなるよう修正してある。アイソレーターなしで50Hzのグラウンドループノイズを注入すると、元の信号に50Hzの成分が重なった波形になった。話者はこれを、ノイズ成分がそのまま出力に出ている状態だと説明している。アイソレーターありで同じノイズを注入すると、波形はほとんど変わらなかった。
ただし話者は、アイソレーターは万能ではないと続ける。約40kHzのグラウンドループノイズを注入すると、アイソレーターありでも元の信号に高周波成分が重なって現れた。話者の説明では、これは変圧器の巻線間の結合容量を通って抜けてくる成分である。
ノイズ除去性能の周波数特性
どの程度ノイズを除去できているかを定量的に見るため、話者はグラウンド間にノイズを注入し、チャンネル1で注入したノイズの振幅を、チャンネル2で出力側の振幅を測り、両者の周波数特性を比較した。
低い周波数では-100dB程度で、話者はノイズがかなりよく除去されている、つまりCMRRが高い状態だと述べている。だいたい100Hzを超えたあたりからノイズが出力に出始め、周波数が上がるにつれて漏れる成分が増えていく。原因は先ほどと同じく、変圧器の巻線間の静電容量だという。
100kHzでは-43dB程度だった。話者はこれを、グラウンドループノイズが1Vあれば0.01V程度が出力に乗ってくるイメージだと説明している。こうした特性は使う変圧器によってかなり変わる部分だとも付け加えている。
オーディオ信号の通り方
最後に、ノイズ除去とは別に、オーディオ信号がどれだけきれいに伝わるかという周波数特性も測定した。話者は、結果はおおむね想定どおりだったとしている。
低域はハイパスフィルターの影響で通りにくくなっており、カットオフ周波数は約120Hzだった。これについて話者は、少し高すぎる感じがあり、もう少し低くしたほうがよいかもしれないと述べている。その上ではしばらく平坦な特性が続く。やがて変圧器の特性によって位相が遅れ始め、ゲインも落ち始める。高域側のカットオフ周波数は47kHzで、話者はオーディオ用途なら問題なさそうだと評価した。それより上ではゲインが下がり続け、100kHzで-6dB程度になる。
以上から、話者は今回の自作品を音声信号に対しておよそ120Hz〜47kHzで使えるものと位置づけている。ハイパスフィルターのカットオフ周波数は好みに合わせて調整すればよいという。完成した回路は今後の利用に備えてアルミケースに収めた。XLR端子は、例の購入品のものを流用している。
結論と残った問い
話者のまとめによると、自作したグラウンドループアイソレーターには、ノイズ成分が聞こえなくなる程度の効果があった。ただしそれは数百Hzまでの低周波に限られ、それより高い周波数では変圧器の巻線間の静電容量を通って漏れる成分が出てくる。
一方で、話者自身はグラウンドループが原因のノイズに実際に遭遇したことがない。そのため、実環境でどれだけ効果があるかは未知数だと述べている。将来使うことになるかもしれないので、自作品は保管しておくという。
この動画はJLCPCBの提供でお送りします。こんにちは。今日はAmazonで手に入れたノイズフィルターを検証していきます。こちらの商品です。これはオーディオ用途のノイズフィルターであり、特にこちらのものについてはグラウンドループアイソレーターと呼ばれています。グラウンドループがある事によるノイズの影響を低減するためのフィルターです。これが一体どんなフィルターで、どのくらい効果があるのかを検証していきます。その前に今日のスポンサーの紹介です。どうぞ。
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まずグラウンドループアイソレーターがどのような構造をしているのか見ていきます。動画の冒頭でノイズフィルターと言っていましたが、どちらかというと信号を絶縁するためのアイソレーターとしての役割が大きいです。グラウンドループがある事によって乗ってしまうノイズを、この変圧器を使う事で信号を電気的に絶縁して、その影響をなくすというものです。
オーディオ用のグラウンドループアイソレーターとしては、このような構造があります。この部分が変圧器です。オーディオの交流信号の電圧を変圧するためのものです。変圧すると言っていますが、入出力で信号の振幅を変えないために、変圧比は1:1である事が多いかと思います。この変圧器がある事で、グラウンドのループをここで断ち切るような構成となっています。
次はグラウンドループアイソレーターの動作を見ていきます。ですが、その前に一旦変圧器を消してしまいます。変圧器を消して一旦配線で繋ぎました。例えばここに信号を出す機材Aがあって、その信号を受け取る機材Bがあるとします。AとBは配線で繋いでいます。今回機材A・Bは両方とも接地しています。ただ今回は簡単のために、接地している箇所がそれぞれ違うGND-AとGND-Bとしました。
そしてここに原因不明のノイズ源があったとします。こちらのグラウンドの部分に繋がっています。そうしますと、この部分に実はノイズのループが出来るのです。そうすると、このノイズの成分がBの方へ伝わっていってしまう事になります。このようにグラウンドループがあるからといって、必ずこのループが原因のノイズが出るとも言い切れないのですが、このような事が起こり得るということです。
ここで少し実験をしてみます。回路構成は変圧器がない状態でやります。今回は実験を分かりやすくするために、機材Aを信号源、機材Bをスピーカーにしています。信号源とスピーカーは配線で繋いでいます。ここのGND-AとGND-Bの間に、ノイズ源となる信号を入れます。今回は負荷がスピーカーで、しかも数十センチというかなり短い距離で繋いでいますが、この配線の長さが数メートル程度に延びる事も考えられます。ノイズ源についても別途用意しています。ここの2つのグラウンドの間に繋ぎます。
では実際どれくらいグラウンドループのノイズが聞こえるか試してみます。まずは信号だけです。このように正弦波440Hzの音が聞こえています。次にグラウンド部分にノイズの信号を注入します。いきます。ノイズの成分は今回2kHzにしています。聞こえていますでしょうか。
実際この回路で何が起きているかというと、この部分のループ、実際の回路ではこの部分のループです。ここに電圧が加わる事で電流が流れます。回路図には書いていませんが、実際の配線には抵抗成分があります。そこへ電流が流れる事で電圧降下が発生し、スピーカーに加わる電圧を変えてしまいます。結果としてノイズの音が聞こえるようになるというわけです。
ここにグラウンドループアイソレーターがあるとどうなるかというと、変圧器がある事によって電気的には絶縁されて、ここに電流が流れるループはなくなります。
では実際にグラウンドループアイソレーターを入れて、どれくらい効果があるのかを試してみます。まずはAから440Hzの正弦波だけを出します。このような音です。次はグラウンドループのノイズを入れてみます。このノイズ成分については、ループアイソレーターを入れているので聞こえないはずです。ではいきます。
聞こえていますね。何だろう。本当でしたら、この2kHzのノイズ成分は聞こえないはずですが、聞こえてしまっています。
こちらのグラウンドループアイソレーター、何かおかしいです。一応商品ページを見てみると、変圧器を使っている表記はあります。変圧器を使っていれば、こことここの端子の間は基本的に絶縁となっているはずです。実際に抵抗値を測ってみます。ここと、そしてここ。何か繋がってしまっています。他の穴も見ますか。ここと、そしてこちらも繋がっています。最後、こことここ。全部繋がっています。何か変だな、これ。
何かおかしいという事で、分解してみます。こちらです。何だ、これは。見えますか、これ。やばいですね。グラウンドループアイソレーターではないです。これ、ただ線が繋がっているだけです、中で。これひどいですね。これでは銅線で端子を繋げているだけなので、ただの端子変換ボックスです、これでは。グラウンドループアイソレーターとしての機能は全くありません。完全な詐欺商品です。
このように意味のない詐欺商品をつかまされてしまったわけですが、グラウンドループアイソレーターがどれくらい効果があるのかは確かめる必要があるので、このように回路を自作します。このような回路を設計して、プリント基板の製造委託はJLCPCBに依頼しました。その他、回路上のキャパシタ、抵抗、変圧器などは秋月やDigiKeyで購入しています。全部概要欄にはまとめていますので、気になる人はチェックしてみてください。
今回はグラウンドループアイソレーター機能とは別に、数十Hz以下の信号をカットするようなハイパスフィルターを入れています。特にキャパシタの部分をどうするかです。これについては、ルビコンのPMLCAPを使っています。これは一種のフィルムキャパシタで、小型かつ静電容量が大きく、加わる電圧の大きさが変わっても静電容量がほとんど変化しないという、聞いただけでもすごい特徴を持ったキャパシタです。実際、オーディオ向けで使われる事が多いとルビコンの人が言っていました。というわけで、回路を組み立てていきます。
こちらが完成品です。左が入力側、右側が出力側です。グラウンドは入力側と出力側で分かれています。信号は2チャンネル分あって、それぞれに対して変圧器を1個ずつ使っています。変圧器は秋月で手に入れた山水のものを使っています。
では実際グラウンドループアイソレーターのあり・なしで、どれくらい変わってくるのか聞いてみます。まずはループアイソレーターなしの方です。信号を入れます。その後グラウンドループのノイズを注入します。このように聞こえています。
次はグラウンドループアイソレーターありの場合です。まずは信号を入れます。このように音は聞こえていますが、グラウンドループアイソレーターを入れた影響で少し音が小さくなってしまいました。さらにグラウンドループのノイズを入れます。グラウンドループノイズの成分は、耳で聞く限りでは聞こえません。
実際の波形を見て、どれくらい効果があるのか見てみます。まずアイソレーターが入っていないものを見ています。この回路は効果のあり・なしが分かりやすくなるように修正しています。今ここに表示されている波形は、出力部分の信号波形を見ています。今はグラウンドループノイズは何も注入していません。ここに50Hzのグラウンドループノイズを注入します。そうすると、元の信号波形に50Hzの信号が重畳されたような波形となります。これはグラウンドループノイズの成分がそのまま出力信号に出てきているという事を意味しています。
次はグラウンドループアイソレーターありの方です。ここにグラウンドループノイズを注入していきます。そうすると、ほとんど影響ないです。波形では何も変わっていません。これがグラウンドループアイソレーターの威力なのです。
ただこれも万能かというとそうではなくて、高周波のグラウンドループノイズが入ってくるとどうなるのか見ていきます。このように、今40kHzくらいのグラウンドループノイズを注入しているのですが、元の信号波形に重畳するように高周波の信号が現れています。これは変圧器の巻線間の結合容量で抜けていく成分です。
では実際どれくらいグラウンドループノイズを除去できているかを確認します。このセットアップでは、今グラウンド間にループノイズを注入している状態です。チャンネル1でグラウンドループノイズの振幅を見ていて、チャンネル2では出力側の振幅を見る事で、どれくらいグラウンドループノイズを除去できているかを見ています。チャンネル1とチャンネル2の周波数特性を比較しているわけです。このまましばらく待機します。
周波数が低いときは-100dBぐらいですので、グラウンドループノイズはかなりよく除去できています。CMRRが高いという状態です。周波数が高くなってくると、だいたい100Hzを超えたくらいあたりから、グラウンドループノイズが出力に出てきています。これは先ほど話した通り、変圧器の巻線間の静電容量で抜けていく信号が出てくるのですね。それで、こうなっています。周波数が高くなってくると、だんだん変圧器の出力側に抜けていくグラウンドループノイズの成分が出てきています。
100kHzのときに-43dBぐらいなので、例えばグラウンドループノイズが1Vあったら、0.01Vぐらいは出力の信号に乗ってくる、そのようなイメージです。このような特性は使う変圧器によってかなり変わってくる部分です。
せっかくなので、自作したグラウンドループアイソレーターの周波数特性も見ていきます。先ほど測定したのはグラウンドループノイズをどれくらい除去出来るか、今見ているのはオーディオ信号がどれくらい特性よく伝わってくれるかを見ています。測定完了までしばらく放置します。
測定完了です。このような結果となりました。割と想定していた通りの周波数特性になっています。今回はハイパスフィルターを入れたので、低周波の成分はそこまで通らないようになっています。カットオフ周波数を見てみると、だいたい120Hzぐらいになっています。少し高すぎ感はありますかね。もう少し低いところにカットオフ周波数を持っていった方が良いかもしれません。
その後は、しばらくフラットな特性が続きます。この部分で位相が少し遅れ始めています。これは変圧器の特性によるものです。それと同時にゲインの方も少し落ち込み始めていると。高周波側のカットオフ周波数は47kHzとなりました。オーディオ用途で使う分には問題なさそうな感じはします。その後は、どんどんゲインが小さくなっています。100kHzで-6dB程度です。まあまあ良いのではないでしょうか。
そのため今回作ったグラウンドループアイソレーターは、音声信号については120Hz~47kHz程度で使えるものとなります。ハイパスフィルター部分については、好みに合わせてカットオフ周波数を少し調整すればOKです。
今後何かあったときに使う事も考えて、このようなアルミケースに収めました。中身もこのように接続しています。XLR端子については詐欺商品の使い回しです。このように見ると、なかなか見た目も良いですよね。
というわけで今日は、グラウンドループアイソレーターの構造と役割、そして実際どれくらい効果があるのかを検証してきました。Amazonで偽物のループアイソレーターをつかまされるというトラブルもありましたが、何とか自作して検証しました。肝心の効果はどうかというと、ノイズ分の成分が聞こえなくなるくらいの効果はあります。ただそれは数百Hzまでの低周波に対してであり、周波数がそれよりも高くなってくると、変圧器の巻線間の静電容量で抜けてくる成分も出てきます。
実際グラウンドループが原因のノイズにぶち当たった経験がないので、実際の環境でどれくらい効果があるのかは未知数ですが、将来的に使う事になるかもしれないので、こちらはしっかりと保管しておきます。
というわけで、もしこの動画が役に立ちましたら、高評価・チャンネル登録よろしくお願いします。何か気になる事がありましたら、コメントも残してみてください。それでは最後まで動画のご視聴ありがとうございました。
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