常温・無加圧でPETを原料に戻すDePolyの戦略 ― FoundX IdeaCastが読み解く「制約の排除」とドロップイン供給
東京大学FoundXFoundXのポッドキャスト「FoundX Review Startup IdeaCast」は、海外スタートアップの事例をAIで整理・分析して紹介する番組である。今回取り上げたのは、スイスのクリーンテック/ディープテック企業DePoly。紹介役がこの会社を選んだ理由は、PETをリサイクルする技術そのものよりも、既存のサプライチェーンにそのまま組み込める事業設計がうまいと感じたからだという。番組の冒頭では、情報はAIを使って整理しているため古かったり誤っていたりする可能性があり、事実を重視する場合は自分で一次情報を確認してほしいという断りがあった。
雑談:スタートアップの「数」と「成長」
本題の前に、紹介役は最近読んだ野村総合研究所(NRI)のマネジメントレビューのレポートを紹介した。レポート自体は、AIを活用したデータプラットフォームをスタートアップ支援に使ってはどうかという提案だった。紹介役が共感したのは冒頭の整理のほうで、日本成長戦略会議の資料をもとに、スタートアップが生む社会価値を「スタートアップの数×個社の成長力」と表していた点だという。アクセラレーターを運営していると採択数を伸ばしたくなりがちだが、採択後の事業成長まで見据えて選び、支援を続ける必要がある。紹介役はレポートを読んでその点を改めて意識したと話した。
DePolyとは:分子レベルまで分解して原料に戻す
DePolyは2020年創業のスイスのスタートアップで、PET(ポリエチレンテレフタレート)とポリエステル製品を対象にしたケミカルリサイクル技術を開発している。一般的な機械リサイクルは、プラスチックを溶かして型に入れ、もう一度成形する物理的な処理である。DePolyは化学反応でプラスチックを分子レベルまで分解し、純度の高いプラスチック原料に戻す。そのためバージン材と同じものを作れる、と紹介役は説明した。同社は世界経済フォーラムのテクノロジーパイオニアにも選ばれている。
同社が掲げる目標は、廃プラスチックをバージン同等の原料に戻して完全な循環を実現し、化石資源への依存を断つことだ。あらゆるPET・ポリエステルを品質低下なしに繰り返し循環させることを目指している。紹介役によれば、世界で生産されるプラスチックのうちリサイクルされているのは9%程度にとどまり、多くは焼却、埋め立て、ポイ捨てに回っている。追い風として挙げられたのは、EUの包装規制と、2025年に発効する廃棄物枠組み指令(Waste Framework Directive)による繊維のEPR(拡大生産者責任)である。EPRは、ブランドなどの生産者に使用済み製品の回収やリサイクル費用の負担を義務づける仕組みだ。これが導入されると大量の廃棄衣料が回収されるようになり、リサイクル技術への需要が増える。DePolyは自社を単なるリサイクル工場ではなく、廃棄物から基礎原料を作って既存のサプライチェーンを置き換える「サプライチェーン再設計」の担い手と位置づけているという。
聞き手が「以前紹介した企業もスイスだった」と指摘すると、紹介役は二つの背景を挙げた。CEOがスイスの大学出身であること、そして欧州で規制が強まっていることだ。聞き手は、スイスでは炭素価格が高いことも関係しているかもしれないと付け加えた。
PETとポリエステルに絞っている理由について、紹介役は次のように説明した。飲料ボトルや衣料品として世界で大量に消費されている。一方で、汚れを含むものや複合素材のものは既存手法ではリサイクルが難しい。だから解決できたときのインパクトが大きい、という見立てである。プラスチックのリサイクルが進まない理由としては、分別と洗浄のコストが高いこと、素材が混ざっていたり汚れや着色があったりすると既存手法では処理できないこと、処理できても品質が下がって新品と同じ用途には使えないことが挙がった。
課題:汚れ・混在・着色の壁と、高温高圧のコスト
DePolyが向き合う壁は「汚れ」「混在」「着色」の3点だと紹介役は整理した。主流の機械リサイクルは透明できれいなボトルには有効だが、色付きのプラスチック、異物や汚れが混じったもの、ポリエステル繊維には向かず、品質が下がるダウングレードを避けられない。衣料品が特に難しいのは、染料で着色されているうえ、綿やポリウレタンなど他の繊維と混紡されていることが多く、純粋なポリエステルだけを取り出しにくいからだという。
従来型のケミカルリサイクルにも限界がある。PETの強固な結合を分解するには、大きな熱エネルギーと圧力、あるいは特殊な触媒が必要になる。紹介役が示した例では、0.5トンのPETの分解に4万kJのエネルギーを消費し、バージン製造の6倍のコストがかかるという。
こうした背景から、DePolyは高品質な再生原料を必要とする包装材メーカーやアパレルブランドを顧客に据えている。食品や化粧品の容器は口や肌に触れるため安全基準が非常に厳しく、品質の劣る機械リサイクル材は使えない。アパレルはブランド価値の面でも繊維から繊維への循環を実現したいが、現状ではペットボトル由来の再生材に頼っている。この二つが解決すべきペインとして紹介された。
解決策:常温・無加圧で混合廃棄物をPTAとMEGへ
DePolyのコア技術は、PETを常温・無加圧で解重合し、PTA(テレフタル酸)とMEG(モノエチレングリコール)に直接分解するプロセスである。使う薬品は特殊で危険なものではなく、家庭用レベルの安全な市販品だという点も紹介役は強調した。条件が穏やかなため、未選別・未洗浄のごみや他のプラスチックが混ざった廃棄物をそのまま投入できる。その結果、選別・洗浄の前処理コストと加熱・加圧のエネルギーコストをともに下げられる。最終製品のCO2排出量は最大66%削減できると試算されている。バージン材と完全に同等のPTAとMEGを直接つくれることが最大の価値だと紹介役は述べた。
聞き手は「選別も洗浄もいらないのはすごい」と反応した。紹介役によれば、パイロットプラントでの実績はあるものの、どの程度の汚れまで許容できるかは分からなかった。混合物を扱える理由は、反応がPET・ポリエステルの結合にだけ選択的に作用するためだ。ポリエチレンやポリプロピレンなど他のプラスチックは分解されずに元の形のまま残るので、PETが溶けた後に分離すればよい。
使っている薬品について、紹介役は特許情報も読み込ませたうえで、水酸化ナトリウムのような一般的なアルカリなど身近な薬剤を使っているようだと答えた。ただし企業秘密・ノウハウにあたる部分で、詳細は分からなかったという。CO2削減の根拠は、化石燃料から新たにPTA・MEGを製造する工程の排出を回避できることと、常温無加圧でプロセス自体のエネルギー消費が少ないことを合わせて計算したものだと説明された。
市場:包装と繊維の二正面
対象市場として紹介役が挙げたのは、プラスチック市場全体で5000億ドル規模、年平均成長率はおよそ5%という数字である。そのうちDePolyが狙うSAMは、機械リサイクルが難しく現状は焼却・埋め立てに回っているペットボトル、包装材、ポリエステル繊維だ。当面の獲得対象は、厳しい基準が求められる食品・化粧品の包装材と、完全循環を目指すアパレルブランドの高品質再生材需要である。成長のドライバーとしては、消費者の環境意識に加えて、EUの規制と企業のスコープ3排出削減目標が強制力を持っている点が挙げられた。
衣料と包装材のどちらが魅力的かという質問に対し、紹介役は、現状は両方にアプローチしていると答えた。包装材は食品接触基準というハードルがあるが、クリアすれば高単価を狙える。繊維は未処理の廃棄量が多く、ブランド側の課題意識も強いためポテンシャルが大きいと見られている。聞き手も、繊維リサイクルのスタートアップがいくつか出てきていると応じた。PE・PPの市場を狙わないのは、技術のコアがPET・ポリエステルのエステル結合の分解にあるからだ。将来は他の樹脂への拡張も示唆されているが、まずは得意領域でスケールを狙う方針だという。
ビジネスモデル:バージン原料と価格で競うドロップイン供給
DePolyのビジネスモデルの中心は、再生モノマーのPTAとMEGを既存の化学メーカーや樹脂メーカーに販売するB2Bのドロップイン供給である。目指しているのは、石油由来のバージン原料と同じ価格帯で競争できる構造だ。常温無加圧プロセスによる運用コスト(OPEX)の低さと前処理コストの低さがそれを支える。特殊な高温高圧リアクターが不要で汎用設備を使えるため、設備投資(CAPEX)も抑えられる可能性がある。スケールするほど規模の経済が働き、バージン材に対する価格優位が高まる、と同社は主張しているという。
聞き手が本当にバージン原料と勝負できる価格になるのかと問うと、紹介役は、現状の規模では難しいかもしれないが、スケールした際にはバージン価格と競争できると同社が明言していると答えた。根拠は、原料が廃棄物なので安価か無料で調達でき、エネルギーコストも抑えられることだ。聞き手は、廃棄物を集める物流は大変そうだが、未洗浄・未選別で処理できるならそこのコストを減らせるかもしれないと述べた。紹介役は、回収ネットワークがあることが前提になるかもしれないと付け加えた。
収益源については、公開情報を見る限り、自社でプラントを建設・運営してモノマーを販売するモデルが主軸だという。将来の展開では技術ライセンスもありうる、というのが紹介役の見立てである。
ドロップイン戦略:既存インフラのボトルネックだけを置き換える
紹介役がDePolyの面白さとして挙げたのは、新しい環境対応型プラスチックを一から作って普及させるのではなく、既存素材であるPETの部品にあたるPTAとMEGを作っている点だ。抽出したモノマーは既存の化学工場や樹脂メーカーの設備にそのまま投入できるため、顧客は新たな設備投資やプロセス変更を一切必要としない。DePoly自身も、コストとノウハウが要る重合(モノマーからプラスチックを作る工程)や最終製品の成形には手を出さず、分解してモノマーを作る部分に特化している。エコシステム全体を変えるのではなく、既存インフラを活用しつつ、ボトルネックになっている「廃棄物から原料に戻す」工程だけを置き換える戦略である。
ドロップイン戦略の利点について紹介役は、顧客のスイッチングコストを下げられることを挙げた。既存の機械も製法も変えずに仕入れる原料を変えるだけでサステナビリティ目標を達成できるので、導入が進みやすい。既存の巨大化学メーカーは敵か味方かという問いには、むしろ強力なパートナーになると答えた。大手化学メーカーも化石燃料からの脱却を迫られており、実際にDePolyの出資者には世界最大の化学メーカーBASFの投資部門が入っているという。
ロードマップ:技術リスクと資本リスクを切り離す段階的スケール
ロードマップは段階的なスケールアップで、技術リスクと資本リスクを切り離していく典型的なモデルだと紹介役は評した。
- フェーズ1:1kgのラボ環境から年間50トンのパイロットプラントへ拡大。未選別のごみから本当に純粋なモノマーが作れるかという技術的な成立性を検証した。
- フェーズ2(2024〜2025年):年間500トン規模の小規模プラントを建設。技術の再現性に加え、ユニットエコノミクスが成り立つかも検証している。
- フェーズ3(2027年以降):本格的な商業プラントを稼働させ、グローバル展開を図る。
最初から大きな資金を集めて巨大工場を建てるのではない。マイルストーンごとに必要なデータを出し、それを使って次の資金と次の顧客を確実に取りに行く手堅いアプローチだという。
50トンから500トンへ移るときの壁について、紹介役はエンジニアリングの課題だろうと述べた。バッチ処理で済んでいたものを連続運転に移すには、不純物を継続的に分離する効率を高め、溶媒を回収・リサイクルする必要がある。そこでの化学的な課題が壁になったようだという。500トン規模のデモプラントは、次の大型プラント建設のためにプロジェクトファイナンスを提供する銀行・投資家と、数千トン単位で原料を購入するブランドや化学メーカーに対して、経済合理性を証明するためのものだった。最初の商業プラントは自社主導で計画しているようだ。規模拡大の段階では、大手化学会社とのジョイントベンチャーやライセンス供与も選択肢になりうると紹介役は見ている。
競争優位:最も扱いにくい原料を最も軽い条件で処理する
DePolyのモート(競争優位)について、紹介役は技術そのものより、その技術がもたらす「制約の排除」が特徴的だと述べた。前処理の必要性と、必要な設備・エネルギー負荷という2軸で見ると、DePolyは前処理がもっとも少なく、エネルギーもほとんど使わない位置にある。そこから、常温無加圧、未選別・未洗浄への対応、低いCAPEX、バージン材と同等の品質、ドロップインの互換性といった強みが生まれる。他のリサイクル技術企業との違いは、処理条件の穏やかさと、汚れや混在を受け入れる原料許容度の広さにあるという。聞き手は、日本のJEPLANも名前が挙がっていたと触れた。
酵素分解を使うCarbiosとの違いを問われると、紹介役はアプローチの違いだと答えた。DePolyは化学的に分解し、Carbiosは酵素を使うバイオ的なアプローチをとる。DePolyは酵素を使わないのでコストや反応時間の制約を受けず、より安価でシンプルな薬品で処理できると主張しているという。他社が真似できないのかという問いに対しては、特定の触媒配合と反応プロセスの制御について特許を取得しており、それが壁になっていると説明した。混合ごみから不純物を効率的に分離するシステムにもノウハウが詰まっているようだという。最大の脅威としては、Eastmanのような既存大手化学メーカーが資本力にものを言わせて高温高圧プラントを巨大化させ、規模の経済で価格競争を仕掛けてくる事態が挙がった。
初期市場:品質要求の最も高いアパレルと食品包装から
最初の入り方として、DePolyは品質要求が極めて高いアパレルと食品包装を突破口にした。初期のターゲットはスイスのスポーツアパレルブランドや包装材の開発企業だった。食品包装には厳しい安全基準があり、アパレルは品質低下による機能性の喪失を嫌う。どちらも機械リサイクルでは限界があり、バージン同等の品質がどうしても欲しいというペインを抱えていた。初期の実証では、服やボトルまで自社で作ることはしなかった。純粋なPTAを生成してパートナーに渡し、相手の既存ラインで製品化できるかという点に絞って証明したという。聞き手は、自国に最初の顧客・需要家がいるのは良いことだと評価した。
アパレルブランドとの実証では、生産工程で出るポリエステルの端材をDePolyの技術でモノマーに戻し、バージン同等の糸を作って製品化した。繊維から繊維への循環のコンセプト実証に成功したということだ。聞き手は、Redwoodも端材から始めていた記憶があると重ねた。食品接触基準については、過去のごみに含まれていた有害物質が新しい製品に移らないよう、それが一切残っていないことを証明する必要があり、非常に難しいという。DePolyは分子レベルまで分解して精製するため不純物を除去でき、基準をクリアできることが強みになっている。自動車部品や建材など他のPET用途も技術的には可能なようだが、高品質であることに最も高い対価を払ってくれるという理由で、まずアパレルと食品包装に集中しているという。
創業の経緯:マイクロプラスチックへの危機感と研究室からの社会実装
創業のきっかけは、CEOのサマンサ・アンダーソン博士がEPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)の博士課程在籍中に、マイクロプラスチックが人体に侵入しているという報告を読んで強い危機感を抱いたことだという。アンダーソン氏は単なる研究にとどめず社会実装を目指し、既存のリサイクル産業の構造を分析したうえで、根本的な解決には新しい化学的アプローチが必要だと考えた。その後ラボで何百回も反応テストを繰り返し、6〜9カ月かけて現在の技術のプロトタイプを見つけた。同じラボの研究者とチームを組み、有機化学とビジネス(アンダーソン氏)、プロセス工学とスケールアップ、材料の3分野で役割を分担したという。
アンダーソン氏にもともとビジネス経験はなく、純粋な研究者だった。コンペやアクセラレータープログラムを通じてビジネスプランの作成やピッチを特訓し、技術を投資家に伝える力を育てていったという。社会実装で直面した困難として紹介されたのは、ラボのサンプルはきれいなので、本当に汚れたごみでも使えることを証明しなければならなかったというエピソードだ。そのために廃棄物処理施設の敷地内にパイロット設備を建てるなど、現場での実証にこだわったという。
マイルストーンとしては、まず常温でPETを完全分解できるかという仮説を1kgバッチのテストで確かめ、特許を出願した。2019年には技術が機能することを示したうえでビジネスプランを書き、EPFL関連の起業コンペで優勝した。これが大きな転機になったという。2020年に会社を設立して年産50トンのパイロットプラントを立ち上げ、2024年には世界経済フォーラムのテクノロジーパイオニアに選ばれた。パイロットプラントの資金には、コンペの賞金、フランス語名の財団(紹介役は「ファンデーション・フォー・イノベーション・テクノロジー」と読んでいた)の資金、シードラウンド、スイスや欧州の初期支援プログラムの助成金が使われたという。聞き手は、コンペ優勝から会社設立までの流れを、ある意味理想的で着実な成長に見えると評した。
資金調達:希薄化を避けたグラント活用とバリューチェーン上のCVC
資金面では、技術リスクの高い初期に株式の希薄化を防ぐため、助成金・グラント・コンペ賞金を徹底的に活用して「死の谷」を越えたという。パイロット実証が進んだ2023年にシードラウンドで1380万ドルを調達し、2025年には同ラウンドのセカンドクローズとして総額2300万ドルまで拡大した。投資家には金融系VCに加え、BASFや、ニベアを展開するBeiersdorfのCVCなど、バリューチェーン上の戦略的プレイヤーが入っている。紹介役はこれを面白いポイントに挙げた。チームは創業時の3名から、CFOなどの専門人材を含む40名以上に拡大している。
BASFの狙いについて紹介役は、自社の化学品サプライチェーンをサステナブルにすることが大きかったようだと答えた。Beiersdorfには、自社の化粧品パッケージの100%リサイクル化を達成するという目標があったという。
日本に応用するなら:三つのシナリオ
最後に紹介役は、日本のインフラや規制に合わせた三つのシナリオを示した。一つ目はブランドとの共同で、アパレルブランドと組み、端材を起点に衣類から衣類へ戻す実証を行い、ブランドのESG発信と直結させる案である。二つ目は自治体との連携で、焼却率が高いという日本の特徴を逆手に取る。自治体のごみ処理施設に隣接してプラントを設け、原料を確保しやすくすると同時に、処理残渣の焼却やエネルギーの活用も一体化させる。三つ目は既存のプラントエンジニアリング大手とのジョイントベンチャーで、日本企業の設計・調達・建設の技術と資金力を活かし、資本集約型事業の壁を早く越えることを狙う。
紹介役は、日本の強みとして世界トップクラスの分別回収インフラを挙げた。きれいなごみが集まるので原料の質と量を確保しやすく、海外に対する強力な障壁になりうるという。聞き手は、日本はペットボトルのマテリアルリサイクル率がかなり高く、その回収の仕組みは使えそうだと応じた。そのうえで、マテリアルリサイクルが比較的うまくいっている日本でどこに需要があるのかと問うと、紹介役は、飲料ボトルのリサイクルは進んでいるが、色付きのプラスチック、食品トレー、ポリエステル衣料の多くは焼却されているので、そこを開拓する需要はあると答えた。聞き手は、「サーマルリサイクル」は和製英語とされ、欧州ではエネルギー回収(energy recovery)と呼ばれてリサイクルとはみなされない傾向があると指摘した。その基準に沿っていくなら需要が出てくるかもしれないという見方である。紹介役は、残渣はそのまま焼却して熱もエネルギーとして使えるので、エコシステム全体の効率を上げる形もありうると補った。
日本のスタートアップがDePolyに勝つにはどうすればよいかという問いに対しては、技術はもちろんだが、日本の緻密な静脈産業と結びつき、安定的かつ安価に原料を調達し続けられる仕組みを制度レベルで作っていくことが重要になるだろうと紹介役は答えた。
このケースから学べること
締めくくりに紹介役は学べるポイントを3点挙げた。1点目は制約からの逆算で、「高温が必要」「洗浄が必要」という既存技術の常識を疑い、それを排除したプロセスを設計したこと。2点目はグラントの活用で、希薄化しない資金によってアイデアをラボレベルから工業条件でのテストまで引き上げたこと。3点目は段階的なスケールで、いきなり巨大工場を目指さず、小規模な実証で確実にデータを出し、それで次の資金と顧客を呼び込むサイクルを作ったことである。
明日から実践できるアクションとして紹介役が勧めたのは、解決したい産業課題で「当然」とされている前提を列挙し、それを外したときにどんなボトルネックが残るか、それが本当のボトルネックなのかを考えることだった。聞き手は、サーキュラーエコノミーの実現に日本でもぜひ挑戦してほしいと述べた。紹介役は、制度などの前提が異なるので、調べていくとまた別の壁にぶつかる可能性はあると留保をつけたうえで、何かの参考になればと話を終えた。
皆さん、こんにちは。FoundXの田です。同じくFoundXの富田です。最近読んだ記事があるということで。
そうですね、NRIのマネジメントレビューが毎月ぐらいかな、出ていて、それで「スタートアップのイノベーション実装力向上に向けて」という記事というか、レポート・論文を読みまして。これ自体はAIを活用したデータのプラットフォームを作ってみてはいかがでしょうかというような内容だったんですが、その冒頭の内容がその通りだなっていうのがあったのでご紹介できたらと思います。
冒頭の方で、日本成長戦略会議の資料を整理しながら、スタートアップによる社会価値を最大化していかないといけないよねと言った時に、その社会価値っていうのはスタートアップの数かける個社の成長力だという風に整理をなさっていたんですね。ここで、なるほどなと思ったのが、数だけではなくて、その後の採択とかした後の事業の成長まで見据えて追っかけていくことが大事ですみたいなところを述べてらっしゃって、そうだなというところで。やっぱりアクセラレーターみたいなことをして、FoundXもそういうことをしていると、数をどうしても伸ばしたくなってしまうようなさががあるんですが、そこだけではなくて、その後の事業成長まで見据えて、採択もそうですし、その取った後の支援もやっていかないといけないなというのを改めて思ったので、というようなお話でした。
最近読んだ記事の紹介という雑談から入っていくという感じですね。その他にも、本当にポコアポケモンやってますとかもあるんですけど。
あ、やってるんですか?知らなかった。やってます。また次回の雑談もお楽しみにというところで、ここからアイデアキャストのコーナーに入っていきたいと思います。
FoundX Reviewのスタートアップアイデアキャストは、海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析して紹介する番組になっています。これからアイデアを考える方のご参考になればと思います。このポッドキャストはAIを活用して情報を整理しているので、一部の情報は古かったり間違っている場合もあります。重視される場合は必ずご自身で調べていただくようお願いいたします。
そして今日ご紹介するのはDePolyです。発音がデポリーなのか、デポリなのかそこまで分からなかったんですけど、デポリーです。
私もなんかDePolyよく見るとデプロイに見えちゃうんで、デプロイって言っちゃうんですが、このDePolyは何で選んだんでしょうか?
そうですね。PETをリサイクル、ポリエチレンテレフタレートという、ペットボトルのペットをリサイクルする会社なんですが、これはリサイクルするっていうだけではなく、既存のサプライチェーンにそのまま組み込めるようなやり方がうまいなと思ったので、ご紹介できたらと思います。楽しみです。というところで早速お話を始めていきたいと思います。
今回取り上げるのは、スイス発のクリーンテック・ディープテックスタートアップのDePolyです。2020年の創業で、PET、ポリエチレンテレフタレートやポリエステル製品の画期的なケミカルリサイクル技術を開発しているような会社になります。一般的に分かりやすいとか、よく考えられる機械リサイクルっていうところだと、プラスチックを溶かしてもう1回何か型に入れて再成形するっていうような物理的な処理を行うんですが、そうではなくて、化学反応を用いてプラスチックを分子レベルまで分解して、そうすると再び純度の高いプラスチック原料に戻るので、またバージン材と同様のものを作れるっていうようなものになります。このDePolyですが、世界経済フォーラムのテクノロジーパイオニアに選出されるなど、非常に注目されている企業となっているそうです。
では、続けて全体像についてお話しします。DePolyですが、廃プラスチックをバージン同等の原料に還元して完全な循環を実現するところを狙ったような企業になります。化石資源の依存を断ち切って、あらゆるPET・ポリエステルを品質低下なく無限に循環させるというところを目指している会社になります。現在、生産されるプラスチックが4億tほどあるそうなんですが、このうちリサイクルされているのが9%未満ぐらいにとどまっているそうで、多くは焼却とか埋め立てなどに回っている、またポイ捨てされてしまうものもあって、なかなかリサイクルが進んでいないという構造的な課題があります。そこの課題に対して、EUの包装規制とか、あとは2025年に発効されるようなWaste Framework Directiveによる繊維EPR、拡大生産者責任、原料とかその後のリサイクルにも責任を持ちましょうよというような制度自体が導入されていて、事業の強力な追い風になっているそうです。彼らは自らを単なるリサイクル工場ではなくて、廃棄物から基礎原料を作り出して既存のサプライチェーンを置き換える、再設計する、サプライチェーン再設計としてポジショニングを取っているようです。
なんかスイス発のクリーンテック多いですね。前もスイスだったし。
そうですね。後になるんですが、CEOの方が、出身が、すいません、スイスの大学というところもあったので、そこも関連するとは思うんですが、あとは欧州の規制がかなり強くなってるというか、そこの規制に沿ったようなトレンドというか流れがあって、というのがあるかなと思います。
なるほど。その規制で推されていて、確かにスイスでカーボンクレジットって言いますか、炭素の価格が高いしみたいなところもあるのかもしれないですね。そうですね。
あとなんかこのプラスチックリサイクルがなかなか進まなかった理由。日本は焼却の方が、サーマルリサイクル結構やってるとは思いますけれど、世界のこのプラスチックの実リサイクル率が9%と低い理由とかってなんかあるのか是非。
この後の課題のお話とも重なるんですが、分別とか洗浄のコストがすごく高いというところと、あとは複数の素材が混ざったりとか、汚れちゃったり着色されていたりすると既存のリサイクル方法では処理できないとか、あるいは品質自体が下がってしまうから、もう1回新品なものと同様には使えないっていうところがあったそうです。
あとは、このスタートアップがPETやポリエステルに特化してる理由とかはあるんでしょうか?
PETが飲料のボトルとか衣料品として世界ですごく大量に消費されている、かつ既存の手法では汚れを含むものとか複合素材のもののリサイクルがすごく難しいってところがあったので、課題解決のインパクトがすごく大きくなるっていうところがあるそうです。
またそういう意味だと、繊維のEPRってどういう規制なんですかね?
ブランドなどの生産者に使用済みの製品の回収やリサイクルの費用負担を義務付けるような仕組みになっているそうです。なので、これを導入すると大量の廃棄された衣料が回収されて、リサイクル技術をどんどん回していこうっていうような需要が増えることになります。
企業が向き合ってる課題についてですね。これは機械リサイクルでは処理できない汚れ・混在・着色の壁となります。リサイクル業界が直面している最大の壁が、汚れ・混在・着色の3点になります。既存の主流である機械リサイクルですが、これは透明で綺麗なボトルには有効なんですが、色付きのプラスチック、また異物や汚れが混ざったもの、ポリエステル繊維などのリサイクルには適していないと。品質が下がるようなダウングレードが避けられないというところになってしまいます。一方で、従来の化学リサイクル技術もあるんですが、ここだと非常に高温高圧の処理が必要になってしまう。そうするとエネルギー消費が膨大なものになってしまう。例えば0.5tのPETの分解に4万kJのエネルギーを消費する。そうなるとバージン製造の6倍のコストがかかってしまうんですね。こういった背景があって、高品質な再生原料を必要とするような包装材のメーカー、あるいはアパレルブランドの、品質とサステナビリティを両立できないペインをターゲットとして、彼らを対象の顧客としています。
なるほど。これ衣料品のリサイクルはなんで難しいんですかね?
そうですね。想像いただけると思うんですけど、衣料品って色がついている、染料で着色されている、またPETだけでなく綿とかポリウレタンとか他の繊維と混紡されているところが多い。そのため純粋なポリエステルだけを取り出すっていうのが難しいというのがあるようです。
あと従来のケミカルリサイクルの難しさってどういうところにあるんでしょう?そうですね。さっき高温高圧が必要と。そうです。
それはPETのような強固な化学結合なので、分解するのに非常に大きな熱エネルギーと圧力、あるいは特殊な触媒を使う必要があったからということのようです。
高品質な原材料、再生原料を必要とするブランドとかっていうところは、どういうペインがあったんですかね?
そうですね。食品とか化粧品の容器だと安全基準がすごく厳格になっているので、食品とか肌に触れるところに使うものですから基準が非常に厳しくなっていて、そうすると品質の劣る機械リサイクル材は使えないと。またアパレルは、品質を落とさずに繊維からそのまま繊維にっていう循環をブランド的な価値としても実現したいけれども、現状はそういうのができなくて、ペットボトル由来の再生材に依存しているところがペインというか、そこが解決したいポイントとしてあったようです。
それをどう解決するのか是非聞きたいですね。解決策としては技術がすごいなと思うんですが、常温無加圧で混合廃棄物をPTAとMEGに直接解重合するところになります。
DePolyのコア技術の最大のブレークスルーですが、この解重合プロセスを常温・無加圧で実現したというところになります。市販の安全な化学品、つまり特殊で危険な薬品ではなくて、家庭用レベルの安全で市販されている化学品を使用しているってところも画期的になります。なので緩い条件によって、未選別、未洗浄、また他のプラスチックが混在したような廃棄物をそのまま投入できる。その結果として、選別とか洗浄の前処理のコストを劇的に下げることができる。かつ加熱・加圧のためのエネルギーのコストも抑えられる。なので最終製品のCO2の排出量を最大66%削減できるという風に試算されています。そしてプロダクトとしては、バージン素材と完全に同等なPTA・MEGを直接生成できるっていうところが最大の価値になります。
なんかすごいですね。選別しなくてもいいし、洗浄もしなくてもいいしみたいな。これすごいですよね。
ここがすごい、結構、なんですかね、実際にパイロットプラントとかも作ってやってるそうなんですけど、どこまで汚れていいかとかちょっと分からないんですが、ただ混ざったものを入れてもできるそうで、というのが、その化学反応がPET・ポリエステルの結合にだけ特異的に作用するので、ポリエチレンとかポリプロピレンとか他のプラスチックは分解されない。そのままの形で残るので、溶けた後に分離すればいいっていうところで簡単に分離できるってことみたいですね。
他のプラスチックは分解されないんですね。そうですね。
あとは家庭用レベルの安全な化学品みたいな話がありましたけれど、これって具体的には何なんですかね?
いや、特許の情報とかも読み込ませてるんですけど、一般的なアルカリ、水酸化ナトリウムとか、光触媒、酸化チタンなどの身近なものを利用しているようなんですが、ここら辺は企業秘密というか、ノウハウになるところで、あんまり詳しくは分からなかったです。
あとCO2削減効果が最大66%ということですが、これの根拠は何なんでしょう?
そうですね。化石燃料から新しくPTA・MEGを製造する工程の排出が回避できる、プラス常温無加圧なのでプロセス自体のエネルギー消費が少ないっていうところ、そこを計算した結果のようです。
DePolyが向き合ってる市場についてです。これは包装・繊維の市場、また高度再生材といった潜在需要があります。対象とする市場が非常に大きくて、プラスチック市場全体ですが、これは数千億ドル、5000億ドル規模で、年平均の成長率も5%ほどでプラスに成長しているそうです。そのうちDePolyが狙うSAMについては、現状は焼却あるいは埋め立てに回っている、機械リサイクルが難しいペットボトル、包装材、ポリエステル繊維になります。SOMとしては、厳しい基準が求められる食品・化粧品の包装材、あるいは完全循環を目指すアパレルブランドからの高品質再生材の需要になります。そしてこの市場の成長のドライバーですが、消費者の環境意識もあるんですが、それに加えてEUの強力な規制、また企業のスコープ3排出量削減の目標が強制力を持っているというところになります。
その衣料と包装材、どっちの方がDePolyにとっては魅力的なんでしょうね。
そうですね。現状は両方にアプローチしているようです。包装材については食品に接触する基準っていうようなハードルがあるので、そこをクリアすれば高単価が狙えるようです。一方で繊維は未処理の廃棄量がすごく多くて、ブランドの課題感が強いのでポテンシャルが大きいという風に考えられているそうです。
確かに繊維系リサイクルのスタートアップいくつか出てきてますもんね。そうですね。
一方でなんかポリエチレンとかポリプロピレンとか、PEとかPPとかの市場は狙わないんですかね?
そうですね。技術のコアがPET・ポリエステルのエステル結合の分解にあるので、当面はそちらに特化するようです。もちろん将来的に他の樹脂への拡張の可能性も示唆されているようなんですが、まずは得意な領域でスケールを狙っているようです。
DePolyのビジネスモデルについてです。冒頭でも述べたように、バージン原料とコスト競争が可能なドロップイン供給モデルになります。このDePolyのビジネスモデルの核心ですが、再生モノマーPTA・MEGを既存の化学メーカーや樹脂メーカーに販売するB2Bのドロップイン供給になります。目指してるところとしては、石油由来のバージン原料と同等の価格帯で競争できるような構造を目指しているそうです。これを可能にするのが、先ほどから言ってるような常温無加圧プロセスによるOPEXが低くなること、プラス前処理のコストが低くなることになります。さらに特殊な高温高圧のリアクターもいらないので、汎用の設備を利用できるので、CAPEXも低く抑えられる可能性もあるとされます。スケールアップするほど規模の経済が働くので、バージン化石燃料に対する価格優位性も高まるような構造になっていると主張されています。
なんか本当に石油由来のバージン原料と勝負できる価格になっていくんですかね。
現状の規模では難しいかもしれません。ただ、スケールした時にはバージン価格と競争になるという風には明言しているそうです。理由としては、原料が廃棄物なので安価あるいは無料で調達できる、かつエネルギーコストを抑えられるっていうところから、そういうような発言に至っているようです。
結構廃棄物を集めるところの物流とかは大変そうな感じはしますが、一方で未洗浄とか未選別でもできるんであれば、そこのコストを減らして確かに行けるのかもしれないですね。
そうですね、ネットワークがあるようなところがもしかしたら前提になるかもしれないですね。
また収益源としては、モノマーの販売になるのか、ライセンス収入になるのか、どういったビジネスモデルになってくんでしょうか?
そうですね。今公開されてる情報では、自社でプラントの建設運営まで行ってモノマーを販売するっていうようなモデルが主軸には見えています。ただ、将来的に展開する時にはプラントの技術のライセンスになるような可能性もあり得るかなと思います。
DePolyの戦略ですが、これは既存のサプライチェーンに直接組み込むようなドロップイン戦略になります。DePolyの面白いところは、新しい環境対応型のプラスチックを0から作って普及させるんではなくて、既存の素材PETの部品、PTAとかMEGを作っている点にあります。抽出したモノマーは既存の化学工場や樹脂メーカーの設備にそのまま投入できるので、顧客側は新たな設備投資やプロセスの変更が一切いらないというような形になっています。また、DePoly自身も、コストとノウハウが必要な、モノマーからプラスチックを作るとか、最終製品の成形は行わないで、自社は分解してモノマーを作るっていうところに特化しているところになります。ですので、エコシステム全体を変えていくのではなくて、既存のインフラを活用して、ボトルネックになっている廃棄物から原料に戻すところだけを置き換えるっていうような戦略を取っているようです。
なんか最近もドロップインの、他のスタートアップの話をしましたが、やっぱドロップインの戦略を採用するメリットは大きそうですね。
そうですね。顧客がスイッチングコストを下げられるので、既存の機械も製法も変えずに、ただ仕入れる原料を変えるだけっていうような楽さがあるので、そうするとサステナビリティ目標が達成できるっていうのがプラスに働いて、導入しやすくなるのかなと思います。
そうすると巨大な化学メーカー、既存のところに関しては、敵か味方かで言うと味方の方なんでしょうか?
そうですね。むしろその強力な味方、パートナーになるようでして、大手の化学メーカーも化石燃料からの脱却っていうのは迫られています。実際にDePolyの出資者には、世界最大の化学メーカーであるBASFの投資部門も入ってるそうなので、むしろパートナーになるような立場なのかなと思います。
DePolyのロードマップです。段階的なスケールアップを行って、技術と資本リスクを切り離していっています。これはかなり典型的なモデルになるのかなと思います。フェーズ1ですが、ここでは1kgのラボ環境から年間50tのパイロットプラントへ拡大していって、未選別のゴミを使って本当に純粋なモノマーが作れるかというような技術的な成立性の実証を実施しました。次に2024年から2025年のフェーズ2。ここでは年間500tのものが作れるような実証プラントを作りました。ここでは技術の再現性だけではなくて、ユニットエコノミクスが取れてるかというところも検証しているそうです。次にフェーズ3として2027年以降ですが、本格的な商業プラントを稼働させてグローバルな展開を図っていくっていうところを狙っています。最初から大きな資金を集めて巨大な工場を建てるのではなくて、マイルストーンごとに必要なデータを出して、それを使って次の資金、次のお客さんを確実に取りに行くような手堅いアプローチになっています。
最初の50tを作った後の、その50tから500tへのステップ、この辺りで直面するハードルと言いますか、課題ってどういうところですかね?
そうですね、エンジニアリングのところかなとは思うんですが、バッチ処理で良かったところから連続的に処理していかなきゃいけないっていうので、不純物を継続的に分離するような効率を高めていかないといけない。また溶媒を回収したりリサイクルしたりするっていうところ、つまりバッチ処理から連続運転をしなければいけない、そこの時の化学的な課題っていうところが壁になったようです。
その500tの実証プラント、デモプラントって誰に見せるためのものなんでしたかね。
次の大きなプラントの建設に向けたプロジェクトファイナンスを提供してくれるような銀行・投資家、そして何千tというような単位で原料を購入するようなブランドあるいは化学メーカーに対して、経済合理性を証明するためのものとして使っていたようです。
そういう意味だと、商業プラントとか最後に来てると思いますが、これって自社で保有するのか、あるいはどこかとジョイントベンチャーとかするのか、どういう想定なんでしょう。
今の時点だと、最初の商業プラントは自社主導で計画しているようです。ただ今後規模を拡大するようなフェーズだと、大手の化学会社とのジョイントベンチャーとか、あるいはライセンスの供与も選択肢になり得るかと思います。
そしてこのDePolyのモートですね。これは最も扱いにくい原料を最も軽い条件で処理するといった点になります。DePolyの競争優位性は、技術そのものもそうなんですが、それよりも技術がどういうことを可能にしているか、制約の排除という点が特徴的になります。前処理の必要性と、必要な設備・エネルギーの負荷といった2軸で見ると、DePolyは1番前処理がいらなくて、かつエネルギーを使わないといったポジションになります。ここから出るような強みとしては、常温無加圧、また未選別・未洗浄でも大丈夫、CAPEXが低い、また品質もバージン材と同等になる、またドロップインの互換性があるところになります。情報としては、他の技術を使ってリサイクルするような企業さんがあるんですが、ここと違う点としては、処理条件の穏やかさと原料の許容度の広さ、汚れや混在、色々な材料が混ざっているという点が違いどころになります。
日本のJEPLANさんも名前挙がってますね。挙がってますね。
ちなみにこのCarbios、酵素分解のところとの違いっていうのは何なんでしょう?
そうですね。アプローチの違いというようなところのようでして、DePolyは化学的に分解するってアプローチで、Carbiosはバイオ的なアプローチで酵素を使って分解するっていうようなところになるそうです。ですので、DePolyは酵素を使わないので、コストとか反応時間っていったところの制約を受けない。またより安価でシンプルな化学薬品で処理できるってところを主張しているようです。
他社が同じような無加圧のプロセス、化学処理って真似できないんでしょうか?
ただその特許で守っているそうで、特定の触媒・溶媒の配合、また反応プロセスの制御に関して特許を取っているそうでして、これが壁になっているようです。また色々な材料が混ざった混合のゴミから効率的に不純物を分離するっていうシステムに関してもノウハウが詰まっているようです。
最大の競合と言いますか、脅威ってこのスタートアップにとっては何なんでしょう?
Eastmanのような既存の大手化学メーカーが、すごく大きな資本力に任せて高温高圧のプラントを巨大化させて、圧倒的な規模の経済で価格競争になってくると、それは大きな脅威になり得ると考えているようです。
このDePolyの最初の入り方ですが、これは品質要求が極限まで高いアパレルと食品包装を突破口にするというところでした。初期にアプローチしたターゲットの選定が非常に戦略的でした。最初のターゲットに、スイスのスポーツアパレルブランドや包装材の開発企業がありました。ここを狙った背景としては、食品包装は厳しい安全基準がある。またアパレルは品質が下がることによる機能性の喪失を嫌う。ですので、どちらも機械のリサイクルでは限界があって、バージン同等の質がどうしても欲しいというようなペインがありました。初期の実証としては、服やボトルまで自社で作るのではなくて、純粋なPTAを生成してパートナーに渡して、彼らの既存のラインで製品化できるのかというところに機能を絞って証明したそうです。
なんか自国のところにこういう最初の顧客、需要家がいるのはすごくいいですね。確かにそうですね。
このアパレルブランドとの実証というのは、どう成功させたんですかね?そうですね。生産工程で出るポリエステルの端材をDePolyの技術を使ってモノマーに戻して、最後にバージンの糸を作って製品化する。本当にまさに繊維から繊維への概念実証に成功したということのようです。
やっぱり端材から始めるんですね。なんかRedwoodとかも端材から始めてた記憶があるので。あとは食品接触基準、これをクリアするのって結構難しいんですかね?食品包装とかでも。
非常に難しいそうでして、過去のゴミに例えば有害物質が入ってると、それが新しいものに入ってしまったらいけないので、そういった物質が一切残ってないってことを証明する必要があるそうです。DePolyは分子レベルまで分解して精製するので、そういった不純物を除去できる、そのために基準もクリアできるというのが強みになっているそうです。
また改めてになっちゃいますけど、自動車部品とか建築の資材とか、他にもPETは色々とあると思いますが、やっぱりこのアパレルとか食品とかから始めてるっていう感じなんですね。
技術的には可能なようなんですが、まずは高品質であることに最も高い対価を払ってくれるという点で、アパレルと食品包装にフォーカスしているようです。
DePolyの始まりのストーリーみたいなところですが、これはマイクロプラスチックへの危機感から研究室で生まれたような解決策になります。創業の経緯としては、CEOのサマンサ・アンダーソン博士が、EPFLでの博士課程中に、マイクロプラスチックが人体に侵入することの報告を読んで強い危機感を抱いたっていうところがきっかけになっているそうです。そこで、単なる研究ではなくて、社会実装を目指して既存リサイクル産業の構造を分析したそうでして、根本の解決には新しい化学的なアプローチが必要だと考えたそうです。その後ラボで何百回も反応のテストを繰り返して、6から9ヶ月ほどかけて、今の技術のプロトタイプを発見したそうです。そして、同じラボで研究していた3名のPhDの方とチームを組んで、担当を分担してチームを作っていったそうです。この3人のPhDの方が、1人が有機化学とビジネスで、もう1人の方がプロセス工学とスケールアップ、3人目の方が材料だったそうでして、ここで分担をしていったということのようです。
このサマンサさん、有機化学とビジネスって今おっしゃいましたけれど、元々ビジネス経験があった方なんですかね?
サマンサさんはなかったそうでして、元々純粋な研究者だったそうです。ただ、コンペとかアクセラレーターのプログラムを通じて、ビジネスプランの作成、ピッチのスキルっていったところを特訓したそうでして、そこで技術を投資家に伝える能力っていうところを育てていったそうです。
PhDの方が、やっぱり実社会というか社会実装していく時に結構いろんな困難にぶち当たると思うんですけれど、その困難って、例えばこの場合だとどんなものだったんでしょうか?
そうですね、紹介されてるエピソードとして、ラボのサンプルは結構綺麗だから、そうじゃなくて本当の汚れたゴミでも使えますってところを証明しなければならなかったことがあるそうです。ですので、廃棄物処理施設の敷地内にパイロット設備を建てるなどして、本当に本物のゴミでも使えるんですっていう、現場での実証にこだわったということがあるそうですね。
DePolyのマイルストーンになりますが、起業コンペでの勝利を起点に、実験室から工業的な実証に大きくしていったというところになります。初期の仮説として、常温でPETを完全分解できるかという仮説のもと、1kgバッチでのテストを成功させて特許を出願しました。その途中に、先ほど言ったような本物のゴミで実証するような必要性もあって環境を作っていたそうですが、そこと並行してかな、マイルストーンとして2019年に技術が機能することを証明して、ビジネスプランを書いて、EPFL関連の起業コンペに出したそうで、これで優勝したそうで、ここが大きな転機になったそうです。その後2020年に会社を設立して、年産50tのパイロットプラントを立ち上げたそうです。そして2024年には世界経済フォーラムのテクノロジーパイオニアにも選出されて、グローバルな認知も獲得していったということのようです。
パイロットプラントの立ち上げの資金って、50tですかね、これどういう風に集めたんでしょう?なんだかんだお金がかかる気がしますけど。いや、そうですよね。
コンペの賞金も使ったそうなんですが、FIT、フランス語で書かれてて発音がちょっとわかんないんですけど、ファンデーション・フォー・イノベーション・テクノロジーっていうのかな、のシードローン、あるいはスイスとかヨーロッパの初期支援プログラムの助成金を使ったそうです。
でもすごいですね。2019年にビジネスプランコンテストで優勝してから会社を立てて、ある意味理想的な。いや、そうですよね。そうなんですよね。着実に成長していって、順調そうには見えますよね。
DePolyなんですが、資金調達としては、先ほども言ったような助成金を使っていって、希薄化しないような資金を活用していったところから、2300万ドルの大型の資金調達まで至っています。初期の技術リスクが高いフェーズでは、株式の希薄化を防ぐために、助成金やグラント、コンペの賞金を徹底的に活用したそうです。それで初期の死の谷を突破したと。そして、パイロット実証が進んだ2023年にシードラウンドで1380万ドルを調達したそうです。2025年には、同じラウンドのセカンドクローズとして、総額2300万ドルまで拡大したということのようです。投資家には、金融系のVC以外にも、世界最大の化学メーカーBASF、あるいはNIVEAなどを展開するようなBeiersdorfのCVCなど、バリューチェーン上にいる戦略的なプレイヤーを巻き込んでいるっていうところも面白いポイントだと思います。チームも、創業時は3名だったんですが、そこからCFOなどビジネスの専門家を含むような40名以上のチームに拡大をしていっているようです。
なんか初期からBASFのCVCが入ってるっていうのはなかなかすごいなと思うんですが、そうしたCVCとの関係性は、このクライメート領域で非常に重要性が高いと思うんですが、特にBASFはどういうところを狙って出資したんでしょうね。
自社の化学品のサプライチェーンをサステナブルにするところが大きかったようですね。Beiersdorfも、自社の化粧品のパッケージの100%リサイクル化を達成するっていうような背景があったそうです。
このアイデアを最後、日本に生かすならというところですが、日本のインフラ・規制に適応した3つのシナリオをご紹介したいと思います。まず1点目の案ですが、これはブランドと共創するようなものになります。アパレルのブランドと組んで、端材を起点として衣類から衣類にするっていう実証を行っていく。ここでブランドのESG発信と直結するようなものをやっていくっていうのが案の1点目です。案の2点目としては、自治体と連携するものになります。日本特有の、焼却率が高いっていうところを逆手にとって、自治体のゴミ処理施設に隣接してプラントを設けて、これによって原料の確保をしやすくする、あとは処理残渣の焼却エネルギーの活用も一体化するところを狙っていくようなところが案の2点目になります。案の3点目としては、既存のプラントエンジニアリング大手とのジョイントベンチャーになります。日本企業が持つような優れた設計・調達・建設の技術と資金力を生かして、ジョイントベンチャーを組むことで資本集約型の壁を早く突破するところを狙っていくようなものになります。
日本の強みとしては、世界トップクラスに分別収集インフラが整っているので、綺麗なゴミが集まるっていうところから、原料の品質・量が確保されるところは、海外に対しては強力な障壁になるかなと思います。
そうですよね。日本は特にペットボトルはマテリアルリサイクル率が結構高いなという風に思うんですけれど、その辺りの集める仕組みは使えそうですね。でも実際に、そうしたマテリアルリサイクルみたいなところが比較的うまくいっている日本の中で、こうした技術はどういったところに需要があると思ってますか?
そうですね、おっしゃっていただいたように飲み物のリサイクルは進んでいるんですが、色付きのプラとか食品トレーとか、またポリエステル衣料については多くは焼却されているので、ここを開拓するっていうところについては需要があるかなと思います。
サーマルリサイクル自体が和製英語だと言われてて、特に海外、欧州だとエネルギー回収、エナジーリカバリーって言われてて、割とリサイクルではないみたいな感じだったりしますもんね。そこの基準に沿っていくと、もしかしたら需要が出てくるかもしれないですね。
リサイクル過程のゴミも、そのまま焼却できるし、熱もエネルギーとして使えるっていうのなので、全体のエコシステムとしての効率を良くするみたいなところもあり得るかなと思います。
実際、DePolyに勝つにはどうしたらいいんでしょうね?日本のスタートアップは。
そうですね。技術はもちろんなんですが、日本の緻密な静脈産業と結びついて、安定的でかつ安価に原料を調達し続けることができるような仕組みっていうところを、制度レベルでも作っていくってところは重要になるかなと思います。
最後にまとめです。今日のケーススタディで学べるようなポイントを3点ご紹介したいと思います。1点目が制約からの逆算というところで、高温で、洗浄がいるっていうところの前提を排除したようなプロセスを設計するところになります。これは既存の技術の常識だったわけですが、それを疑って、それを排除するようなプロセスを設計したっていう点です。2点目がグラントの活用ですね。希薄化しないような資金を活用して、アイデアをラボレベルから工業条件でテストするまで引き上げたっていうところは重要なポイントだと思います。3点目ですが、段階的にスケールしていくところで、いきなり巨大工場を目指すのではなくて、小規模な実証を行って確実にデータを出していく、次の資金と顧客を呼ぶようなサイクルを作ったっていうところになります。というところで、明日から実践できるアクションとしては、解決したい産業の課題における当然となってる前提を列挙して、それを外した時にどういったボトルネックが残るか、それが真のボトルネックなのではないかっていうところを考えていただくというのが、少しのヒントになるかなと思います。
そうですね。本当にこのサーキュラーエコノミーをどう実現していくのか、是非日本でも挑戦して欲しいですね。
制度などで前提がなかなか違うので、調べていくとまた違う壁にぶち当たる可能性はあるとは思うんですが、何かのご参考になればと思います。以上、今日はDePolyをご紹介しました。
FoundX Review Startup IdeaCastでは、今後も皆さんの間のために最新のスタートアップを紹介していきます。ご興味のある方は是非チャンネル登録をお願いいたします。ではまた次回よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
ありがとうございました。
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