空気・水・電気で肥料をつくる:Plasma Leap Technologiesはハーバー・ボッシュ法の集中型産業をどう分散させようとしているか
東京大学FoundXFoundXの番組「FoundX Review Startup IdeaCast」は、海外スタートアップをAIで調べて分析し、起業を考える人向けに紹介している。今回取り上げたのは、オーストラリア・シドニー大学発のPlasma Leap Technologiesである。紹介役の富田氏は、100年以上続くハーバー・ボッシュ法による中央集権型の肥料産業を、農場の近くで肥料をつくる分散型に変えようとしている点に注目している。選んだ理由は二つあり、一つは富田氏が農学部出身で農業に関心があること、もう一つは食料生産に欠かせない肥料で発想を大きく転換しようとしている点を面白いと感じたことだという。
冒頭で番組は、AIで情報を整理しているため一部が古かったり誤っていたりする可能性があると断っている。以下の数値や評価も、番組内でそう紹介されたものである。
冒頭の雑談:研究者のキャリアと起業
本題の前に富田氏は、日本学術会議の若手アカデミーがまとめた、学術とスタートアップを両立させてイノベーションを生む仕組みに関する資料を読んだ感想を話した。富田氏が面白いと感じたのは、研究者のキャリアという観点から起業を扱っている点である。資料は、研究者が起業してもキャリアが途切れずに研究成果を社会実装につなげられるよう、キャリアの連続性を保つ仕組みが必要だと提言している。例として挙げられていたのは、研究室を離れて起業に専念できる「起業サバティカル」のような制度や、起業しても研究者としての評価で不利にならない施策である。富田氏は、研究者個人のキャリアに焦点を当てた議論はこれまであまりなかったと述べた。
全体像:非熱プラズマで常温常圧に近い条件からアンモニアをつくる
Plasma Leapは2019年にシドニー大学の研究室からスピンアウトして設立された。富田氏はこの会社を一言で「空気、水、再生可能エネルギーからオンサイトでゼロエミッション肥料を製造する分散型プラットフォーム」と表現する。化学反応だけを見ると単純で、空気中の窒素と水に電気を加えてアンモニアを生成する。その際に「非熱プラズマ」という技術を使い、常温常圧に近い環境で化学合成を行うという。
聞き手が既存のハーバー・ボッシュ法との違いを尋ねると、富田氏は次のように説明した。ハーバー・ボッシュ法は高温高圧の環境と化石燃料を必要とし、巨大なプラントを前提とする。Plasma Leapは常温常圧に近い環境で、現場で小規模に製造できる。
非熱プラズマの仕組みについて、富田氏は特許文書もAIに読み込ませたうえで説明した。水中に吹き込んだ空気の気泡に対して放電すると、「小さな稲妻のようなもの」と表現される非熱プラズマが生じる。これが窒素分子の結合を切り離し、水から取り出した水素と反応させることでアンモニアを生成するという。聞き手は、N2を分けてNH3に合成するということだと整理した。
「なぜ今か」について、富田氏は二つの背景を挙げた。一つは脱炭素化の圧力である。肥料産業は世界のCO2排出量の約2.5%を占めている。もう一つは地政学リスクである。肥料の産出国が偏っているため、価格高騰や食料安全保障の危機につながりうる。
課題:輸送コスト、価格高騰リスク、環境負荷
ターゲット顧客は、大規模農家、地域の肥料供給者、そしてスコープ3排出量の削減を目指す食品・飲料メーカーだという。富田氏は、同社が取り組む課題を三つに整理した。
一つ目は輸送コストの増大である。既存の肥料は長距離輸送を前提としており、物流費が利益を大きく圧迫している。
二つ目は価格高騰リスクである。肥料の生産は化石燃料に依存し、地政学リスクも抱えているため、調達価格が乱高下しやすい。原料の窒素や水素は本来どこにでもあるが、ハーバー・ボッシュ法には大規模な設備と化石燃料が必要なので、生産は中国、ロシア、インドなど少数の国に集中しているという。さらに、肥料の原料となるリン鉱石の埋蔵もモロッコ、中国、アメリカなど特定の国に偏っている。富田氏は、こうした資源と製造拠点の偏りが長期的な供給に懸念を生んでいると説明した。
三つ目は環境負荷の大きさである。肥料の製造と輸送だけで世界のCO2排出の約2.5%を占め、航空業界の排出量に匹敵する規模だという。
グリーンな代替手段として電気分解などもある。しかし富田氏によれば、設備投資(CAPEX)が非常に高く、設備も複雑になるため、分散化には向かない。聞き手が具体的な特徴を尋ねると、富田氏は、高圧の圧縮機や貯蔵施設が複雑になり、コストもサイズも顧客が自分で導入できる範囲に収まらないと答えた。
解決策:コンテナサイズの反応器「ENFIX」
同社の解決策は、モジュール式の非熱プラズマ反応器「ENFIX」である。空気、電気、水を反応させ、そのまま農地に散布できる液体窒素肥料を生成する。技術面の差別化としては、水から水素を取り出せる点と、常温常圧で動くため圧縮機が要らない点が挙げられた。反応器は標準的な40フィート輸送コンテナに収まるサイズで設計されており、現地の拠点にそのまま置いて使う想定だという。
番組で紹介された数値は次のとおりである。炭素排出量は最大88%削減できることが実証されているという。聞き手が比較対象を確認すると、富田氏は、化石燃料を使うハーバー・ボッシュ法で製造し、農場まで長距離輸送するサプライチェーン全体の排出量と比べた数字だと説明した。エネルギー効率の目標は1kgあたり20kWhで、これが実現すれば既存プロセスとも戦える水準になるという。製造コストは1kgあたり0.95〜1.442米ドル程度を目標にしているとされた。
聞き手は、20kWh/kgという目標は達成できそうなのかと尋ねた。富田氏によれば、同社は達成可能な目標として設定している。2020年時点では234kWh/kgだった消費電力が、2023年には42kWh/kgまで下がっており、この改善ペースを根拠にマイルストーンとして置いているという。
市場:アンモニア市場と、オーストラリアから始める理由
TAM(獲得可能な最大市場)として挙げられたのはアンモニア市場全体で、現在約690億ドル規模とされ、今後20年で3倍に成長するという予測もあるという。SAM(実際に狙える市場)にあたるグリーンアンモニア市場も、2036年に向けて大きく伸びると予測されている。ただし同社が初期市場として狙うのは、オーストラリア国内の農業、特に灌漑農業である。市場を押し上げる要因として、各国のネットゼロ政策、再生可能エネルギーの供給過剰を有効活用するニーズ、航空・海運業界でのSAF(持続可能な航空燃料)やe-fuelの需要増加が挙げられた。
アンモニア市場が20年で3倍になる理由を聞かれると、富田氏は楽観的な予測も含まれているだろうと留保したうえで、二つの背景を挙げた。従来の肥料用途に加えて、燃やしてもCO2が出ない次世代燃料として期待されていること、そして水素のキャリアとしての需要が見込まれていることである。
オーストラリアを初期市場にする理由について、富田氏はまずシドニー大学発であることが大きいだろうと述べた。そのうえで、オーストラリアの農場は規模が大きいこと、肥料の輸入依存度が高いこと、太陽光などの再生可能エネルギーを安く豊富に調達できることから、ユニットエコノミクスが成り立ちやすいのだという。
航空・海運の燃料とアンモニアの関係については、長期的な話だと前置きしたうえで二つの方向を紹介した。一つはアンモニア自体を燃料として使う動きである。もう一つは、プラズマ反応を応用してCO2と水から合成燃料をつくる計画で、これも長期ビジョンに入っているという。ただし富田氏は、プラズマ技術をそこにどう活用するのかは自分にも分からないと述べている。
ビジネスモデル:Nitrogen as a Service
富田氏が面白いポイントとして挙げたのがビジネスモデルである。従来なら、コンテナサイズの製造設備のような高額なハードウェアを売り切りで販売する形になるだろう。Plasma Leapはこれを変え、「Nitrogen as a Service(NaaS)」を採用しているという。製造はオンサイトで行うが、顧客は使った肥料の量に応じて料金を払う。そこにクラウドによる稼働データのモニタリングを組み合わせている。設備はPlasma Leapが保有・運用し、農家は使った肥料の分か、定額のサービス料を支払う形を想定しているという。
ユニットエコノミクスとしては、農家の肥料コストを約10%削減し、年間で3万豪ドルの節約をもたらすとされる。スケールした後の収益は、継続的な経常収益に加えて、製造プロセスで生まれるカーボンクレジットの販売も見込んでいる。化石燃料由来の肥料を再生可能エネルギー由来のゼロエミッション肥料に置き換えた分の排出削減量を算定し、クレジット化して市場で売るという考え方だ。
富田氏はオーストラリアなら顧客は小麦農家が中心かと考えていたが、調べてみると穀物だけでなく、ベリー類や露地栽培の野菜なども広く対象にしており、ターゲットの農家は幅広いという。
戦略:中央集権型から分散型のエッジ生産へ
戦略の核は、既存の中央集権型・輸出型のモデルを、需要地の近く(エッジ)で生産する分散型へ転換することだと富田氏は説明する。需要地の近くに地域ごとの製造ハブを多数配置していく。10〜20年後の理想像としては、農業用肥料にとどまらず、空気、水、バイオガスを使うSAFやe-fuelの地産地消インフラになることを目指しているという。
聞き手が地域ハブとはどういう形なのかを尋ねると、富田氏は次のように説明した。大規模農家には個別に設置するが、中小農家の場合は、自分の農場に置くより地域の拠点でまとめて製造し、短い距離を配送するほうが効率のバランスが良い。そのため地域の農家をまとめて対象にする拠点を置く形になるという。
既存のインフラ企業は脅威を感じるのではないかという問いに、富田氏は、Plasma Leapは既存の肥料ディストリビューターをパートナーとして巻き込んでいると答えた。ディストリビューター自身も中央集権型でCO2排出量が多いという問題を抱えているので、同社はその分散化と脱炭素化を支援する立場を取っているという。
ロードマップ:農業で実績をつくり、燃料市場へ広げる
ロードマップは3段階で紹介された。フェーズ1は現在で、PMF(プロダクトマーケットフィット)と技術実証の段階にある。大学からスピンアウトし、商業スケールへ拡張し、大手肥料メーカーのYaraとパイロット運用を行っている。フェーズ2は中期の商業展開とコスト最適化の段階で、地域製造ハブを確立し、液体肥料の分散型供給網を本格的に築く。フェーズ3は長期の拡張段階で、重工業、海運、航空向けのグリーン燃料生産に移り、次世代のエネルギー基盤になることを目指す。
つまり、痛みが深くオンサイト生産のメリットが直接効く農業で最初に収益と実績をつくり、その後に巨大な燃料市場へ広げる順序である。燃料市場から直接入らない理由について、富田氏は、燃料市場は価格競争が激しくインフラ要件も厳しいと説明した。一方、農業用肥料はすでに価格が高く、オンサイト製造で輸送コストが減るメリットが顧客の利益に直結しやすいという。
聞き手は、フェーズ2からフェーズ3へは窒素からCO2へと対象が変わり、技術的な飛躍が大きいのではないかと指摘した。富田氏はそれを技術的な課題だと認めつつ、プラズマで分子結合を切るというコア技術の反応器自体は横展開できると考えられているようだ、と補足した。
競争優位:特許、低CAPEX、既存大手のジレンマ
最大の強みは独自特許の「プラズマバブル反応器」だという。富田氏は特許もAIに読み込ませたが、技術的な詳細はあまり公開されていないようだと述べた。この反応器によって、常温常圧での稼働と高いエネルギー効率を実現しているとされる。ポジショニングとしては、既存メーカーに対しては輸送が要らないことでコスト面で勝ち、他のグリーン電気分解技術に対してはCAPEXの低さとモジュール性の高さで上回ることを狙っている。
他社のグリーン技術よりCAPEXを抑えられる理由について、富田氏は、他社方式では大規模な水素製造装置や高圧の圧縮機が必要になるのに対し、Plasma Leapは水と直接反応させるため、そうした高額な設備が要らないと説明した。
既存の大手メーカーが同様の技術を開発してくる可能性については、コア技術がシドニー大学などの長年の基礎研究と特許で守られている点を挙げた。加えて、既存大手はすでに巨大なプラントを抱えているため、イノベーションのジレンマのように新技術へ投資しづらい構造がある。富田氏は、どこまで守れるかは分からないとしつつ、同社はこれらを参入障壁(モート)と捉えているようだと述べた。
参入戦略:灌漑システムへの組み込みとABテスト
初期ターゲットは、オーストラリアの先進的な灌漑農家だった。富田氏がMVP(最小限の製品)と機能の選び方で戦略的だと評価するのは、完全な固形肥料の製造を目指さず、既存の灌漑システムやスプリンクラーに直接組み込める液体肥料の生成ユニットに絞った点である。灌漑の水に液体肥料を混ぜて散布する「ファーティゲーション」という手法がオーストラリアの先進的な農家ではすでに普及しており、導入のハードルは低かったという。聞き手が、固形にすると乾燥などの工程が必要になるので液体のほうが楽だろうと言うと、富田氏も、乾燥の工程を省いて液体にしたということのようだと応じた。
PMFの検証にはABテストを使ったという。既存の肥料とENFIXでつくった肥料を並行して使い、作物の成果データを集めて比較し、優位であること、少なくとも劣っていないことを示すアプローチである。このABテストが何のアピール材料になるのかと聞かれ、富田氏は、導入を検討する他の農家に加えて、融資する銀行、効果を気にする肥料ディストリビューター、投資家に対して、効果を証明するトラクションになるだろうと答えた。
創業の経緯:雷の再現から始まった研究とCERN出身CTO
創業の出発点は基礎研究である。自然界では、雷が落ちると空気中の窒素が固定され、それが地面に落ちて天然の肥料になる現象がある。シドニー大学のPJ・カレン教授がこの仕組みを模倣した研究が原点になっているという。富田氏自身、言い伝えとしては聞いていたが今回初めて仕組みを理解したと話し、次のように説明した。雷の強い放電エネルギーが空気中の窒素を分解し、それが雨に溶けて硝酸態窒素として地面に落ちる。この自然現象を反応器の中で人工的に再現したのだという。
2019年に研究室からスピンアウトし、科学者とビジネス系の経歴を持つ人がタッグを組んで会社を設立した。商業化の段階では、基礎研究とエンジニアリング・商業化を分けて回す体制をつくったという。
聞き手は、CERN出身のCTOが参加したことは大きかったのかと尋ねた。富田氏によれば、カレン教授は実験室レベルでプラズマの物理現象を扱ってきた。それを厳しい環境の農場でも壊れずに自律稼働するハードウェアに落とし込むところで、CERN出身のCTOが大きく貢献したようだという。
初期の壁とブレークスルー
触媒設計とプラズマバブル反応器の開発を組み合わせて、効率を大きく高めたという。トラクションとしては、実験室レベルの毎分1mgの生成量から、商用スケールの毎分200mg以上への拡張を証明したとされる。エネルギー効率も前述のとおり2020年の234kWh/kgから2023年の42kWh/kgまで下がり、商用目標の20kWh/kgが射程圏に入っているという。
20kWh/kgを達成した場合の意味について富田氏は、再生可能エネルギーの電力が安い地域では、化石燃料由来の肥料を輸入するよりオンサイトで自給するほうが安くなる損益分岐点を超えるとされている、と説明した。届かなかった場合については、コスト競争力は落ちると認めた。そのうえで、不透明な点だと断りつつ、炭素税の導入、カーボンクレジットの販売益、地政学リスクに左右されない安定供給という価値によって、特定のプレミアム市場では成り立つ可能性があると述べた。
ラボからのスケールアップで難しかった点としては、プラズマを大容量にすると不安定になりやすいことが挙げられた。電極の構造や泡の制御技術を工夫して乗り越えたという。
資金調達:ゲイツ財団のグラントとYaraのCVC
同社は直近のシリーズAで3,000万豪ドル(約30億円)を調達した。初期にはゲイツ財団のグラントを活用し、ディープテック特有の技術リスクを下げたという。シリーズAの主要投資家には、世界最大級の肥料メーカーであるYaraのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)が入っている。富田氏が面白いと指摘するのは、本来ディスラプトする相手である巨大肥料メーカーを敵に回さず、Yara自身の分散型へのシフトという文脈に合わせて戦略的パートナーとして取り込んだ点である。
両者の投資目的について、富田氏は次のように説明した。ゲイツ財団は、アフリカなどの途上国で安く小規模な肥料製造インフラを提供でき、食料危機を解決するポテンシャルがあると評価したとされる。Yaraについては、脱炭素の流れで自社の巨大プラントモデルが将来行き詰まると考え、次世代の分散型ビジネスへのヘッジとして先に投資したと見られているという。
日本で同様の事業をするなら
番組では、日本で同じようなアイデアで起業する場合もAIに考えさせている。日本はオーストラリアと同じく、化石燃料や肥料原料をほぼ100%輸入に頼っており、経済安全保障の文脈で補助金を活用しやすい環境にあるという。AIが挙げた方向性は三つだった。
- 案A:北海道などの大規模農業地帯で、既存のバイオガスプラントと統合し、肥料とエネルギーを地産地消するモデル
- 案B:僻地や離島で、送電網に流せない余剰の再生可能エネルギーを使い、アンモニアとしてエネルギーを貯蔵しつつ肥料にする自給モデル
- 案C:総合商社との合弁で、国内ではなく商社が持つアジアの農業ネットワークにこのインフラを輸出するアプローチ
聞き手は、日本の農家は一軒あたりの規模が小さく、オンサイト型が成り立つのかと疑問を示した。富田氏も同じ点が気になって調べたという。一戸あたりの農地面積は日本が約3ヘクタール、オーストラリアが約3,000ヘクタールで、1,000倍ほど違う。そのため個別農家への設置はコスト的に難しいだろうと富田氏は見る。現実的なのは、JAやより広域な単位で地域ハブを置くか、付加価値の高い園芸に特化する形ではないかと述べた。
法規制については、アンモニアが劇物や高圧ガスとして規制が厳しいため、分散型で運用するには安全規制のクリアが大きなハードルになるだろうと指摘した。
まとめと残る課題
富田氏はポイントを三つにまとめた。一つ目は技術とビジネスモデルの掛け算である。常温常圧のプラズマ技術という革新的な技術に、Nitrogen as a Serviceというビジネスモデルの革新を組み合わせて価値を生んでいる。二つ目はディスラプトの対象を巻き込む戦略である。既存の巨大プレイヤーを敵に回さず、相手の次世代戦略を見極めてCVCとして取り込んだ。三つ目は視聴者への問いかけで、自分の周りにある中央集権的で非効率なインフラを分散化できないかを考えると、何かのヒントになるかもしれないという。
感想を聞かれた聞き手は、技術が強いという印象を受けたと述べた。技術だけでなくサービス型のビジネスモデルもつくり、エッジ型という本来あるべき姿もしっかり描かれていて、要素がうまくそろったスタートアップだという評価である。そのうえで、残るのは技術の部分ではないかと話した。富田氏も、PJ・カレン教授はプラズマ分野で非常に有名な研究者らしいとしたうえで、その技術を実際の農場の環境でオンサイトで動かせるかどうかがこれからの課題になるかもしれないと述べ、番組を締めくくった。
皆さん、こんにちは。FoundXのです。
はい、同じく、のと富田です。今日は雑談というところで私からなんですが、また記事紹介にはなるんですが、日本学術会議の若手アカデミーから「学術とスタートアップを両輪としたイノベーション創出に向けて」という資料を、マ田さんがご紹介いただいたので、ちょっとパラパラと読んでましたというところです。
なんか面白かったところはありますか?
そうですね。面白かったのが、研究者のキャリアとしての起業家育成みたいな観点が入ってるのは面白いなと思っていて、この資料中ではですね、研究者が起業によってキャリアが断絶しないで、その研究成果を社会実装に結びつけられるような、キャリアの連続性を担保するような仕組みっていうのが必要だよねっていうのを提言して、例えば起業サバティカル制度って、研究室を離れて起業に専念できる環境があるというね。あとはスタートアップしても評価に不利にならないとかっていうような制度、施策が必要だよねっていうのがあって、なかなか個人の、特に研究者のキャリアに焦点を当てた考えっていうのがあまりなかったので、面白いなという風に感じました。というところです。
では、ここからIdeaCastのコーナーに移りたいと思います。
FoundX Review Startup IdeaCastは、海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析して紹介する番組になります。これからアイデアを考える方たちのご参考になればと思います。最初にディスクレーマーですが、AIを活用して情報を整理しているので、一部の情報は古かったり間違ったりしている場合もあります。ファクトを重視される場合は必ずご自身で調べていただくようお願いいたします。本キャストはあくまでそこからアイデアの参考情報や考え方を引き出すことを目的としております。今日ご紹介するスタートアップはPlasma Leap Technologiesです。
こちらは今日はなぜ選んだんでしょう?
はい。1点目がですね、まず私が農学部出身で、農業に関係するところに興味があってというところと、2点目がですね、食料品製造に欠かせない肥料について、それが今は中央集権的になってるんですが、それを分散して、農場の近くで肥料を作れるようにしようっていうような発想の転換というか、大きなことに挑もうとしてるなっていうところが面白くて選んだ次第です。はい。では、早速ご紹介に移れたらと思います。
このPlasma Leap Technologiesですが、オーストラリア発の企業になります。2019年にですね、シドニー大学のラボからスピンアウトするような形で設立されました。特にですね、今日は彼ら彼女らがどのように既存産業を変えようとしているかってところをお話しできたらと思います。
まず全体像です。この会社ですが、一言で言うならば、空気、水、再生可能エネルギーから、オンサイトでゼロエミッション肥料を製造する分散型プラットフォームになります。化学反応としては、化学反応だけ取るとすごくシンプルで、空気中の窒素と水に電気を掛け合わせてアンモニアを生成するという会社になります。この時に技術として、非熱プラズマと呼ばれる技術を用いて、常温常圧に近い環境で化学合成が行われるそうです。
なぜ今かという点においては、世界のCO2排出量の約2.5%をですね、肥料産業が占めていますと。そこの脱炭素化圧力があります。また、地政学リスクがあって、肥料を産出する国が偏っているので、そこによる肥料価格の高騰と食料安全保障の危機というのがWhy Nowに関わってきます。起業志望者への気づきというところですが、今まで100年変わらなかったハーバーボッシュ法による中央集権型の産業構造を、分散型で変えようとしている視点になります。
既存のハーバーボッシュ法との一番の違いっていうのはどこなんでしょうか?
そうですね、既存のハーバーボッシュ法だと高温高圧な環境と化石燃料を必要とする、かつすごく巨大なプラントが必要になってくる。それに対してPlasma Leap Technologiesは常温常圧に近い環境で、かつ現場で小型製造が可能になるっていう点になります。
この非熱プラズマを用いるみたいな話がありましたが、
うん。はい。
なんでしょう?これは具体的にこの後説明あるかもしれませんが、どういうことなんでしょう?
はい。そうですね。特許とかも読み込ませてたんですけど、どうやら水中に吹き込んだ空気の気泡に対して放電して、それで非熱プラズマって小さい稲妻のようなものという風に説明されるそうなんですが、それを発生させると、それによって窒素の結合を切り離すというようなことのようです。そこから、そこプラス水から抽出した水素とそれを反応させるってことで、アンモニアを生成するということのようです。
なるほど。N2を分けて、NをH3と合成するということですね。
そうですね。では課題をお話しできたらと思います。まず、ターゲット顧客ですが、大規模、そして地域の肥料供給、さらにスコープ3の排出削減を目指す食品飲料になります。
彼ら彼女らがですね、取り組む課題の1点目はですね、輸送コストの増大になります。既存の肥料はですね、長距離の輸送を前提としていて、物流費が大きくマージンを圧迫しています。課題の2点目ですが、価格高騰リスクになります。肥料の生成がですね、化石燃料への依存と地政学のリスクによって、調達の価格がですね、乱高下しやすい構造にあります。原料となる窒素とか水素とか本来どこにでもあるんですが、従来の製造方法、ハーバーボッシュ法だと設備と化石燃料が必要になるってところで、中国、ロシア、インドといった少数の国に生産が極端に集中しているそうです。さらに原料となるリン鉱石ですね、の主要な埋蔵量もですね、モロッコ、中国、アメリカなど特定の国に偏在しているっていうところで、こういったところが、資源の偏在とかですね、製造場所の偏在っていうのが長期的な供給価格に対して懸念を生んでいるところになります。
課題の3点目がですね、巨大な環境負荷になります。肥料の製造とか輸送だけで、世界のCO2排出の約2.5%を占めているそうで、これが航空機の業界が排出する量にも匹敵するぐらい大きな量になるそうです。
そして、既存の代替手段というか、既存の方法だとですね、グリーンな代替手段、電気分解などもあるんですが、これらはCAPEXが非常に高くなっていることに加えて複雑な設備が必要となって、分散化するには不向きというような限界があります。
具体的にはこの既存の電気分解とかの手法とかって、どういった特徴があるんでしょう?
そうですね、特徴というか、オンサイトで製造するのに向かないってところになるんですが、それだと高圧な圧縮機とか貯蔵施設が複雑になってくるところで、コスト感とかサイズ感が、顧客が直接導入できるってところに収まらないっていうところになるそうです。
そういった課題に対して、彼らが唱えている解決策ですが、ソリューションが、モジュール式非熱プラズマ反応器でENFIXと呼ばれるものになります。ここに空気と電気と水を反応させて、そのまま農地に散布できるような液体窒素肥料を生成するっていうところになります。技術的な差別化のポイントですが、水から水素を抽出するところと、常温常圧で稼働するために圧縮機が不要になる点になります。エビデンスとしてですね、炭素の排出量がですね、最大88%削減できることが実証されているそうです。また、エネルギー効率目標として、1kgあたり20kWhを掲げていて、これがもし実現すると、既存プロセスとも戦える水準になってくるそうです。製造コストもですね、USドルで0.95から1.44ドル/kgっていうところで、商業的に十分成立するような数値をターゲットにしているようです。
このモジュールってどれぐらいの大きさなんですかね?
そうですね。ウェブサイトとかでも載ってるんですが、標準的な40フィートの輸送コンテナの大きさに収まるようなサイズで設計されているそうで、なので、そのまま持ってきてハブにそのままポンと置くっていうような形で使うようです。
さっき88%削減って書いてましたが、これはハーバーボッシュ法との比較ですか?
あ、おっしゃる通りです。はい。
はい。
従来の化石燃料を用いたハーバーボッシュ法で製造して、農場まで長距離輸送するサプライチェーン全体の排出量との比較になるそうです。
あと技術的には、エネルギー効率目標20kWh/kgって達成できそうなんですかね?
そうですね。彼らとして達成できるという風に設定してるそうで、2020年時点では234kWh/kgだったのが、2023年には42kWh/kgまで急速に改善しているそうでして、この勢いでいくと達成できるマイルストーンとして設定されているそうです。
はい。
そして彼らが挑む市場についてです。TAMですが、アンモニア市場全体ですが、これが現在ですね、約690億米ドルという風に巨大な市場が見込まれています。さらにですね、この市場全体が今後20年で3倍に成長するとも予測されているそうです。SAMのグリーンアンモニア市場だけでもですね、2036年の予測では103183億ドル規模に到達する見込みです。ただ、彼らが初期の市場として狙うのは、オーストラリア国内の農業と灌漑の市場になります。
この市場を牽引するドライバーとしては、各国のネットゼロ政策、そして再生可能エネルギーの供給過剰による有効活用ニーズ、そして航空・海運業界によるSAFやe-fuelsの需要の増加っていうのがあります。
アンモニアの市場ってこんな20年で3倍になるっていうのは、多分知らない人も多いと思うんですけど、なんででしょう?
そうですね。これ多分、楽観的な予測もあるかとは思うんですが、従来の肥料の用途に加えてですね、燃やしてもCO2が出ないって点で次世代の燃料という風に見込まれていたり、あるいはまた水素のキャリアとして需要が見込まれているってところが背景としてある。
初期の市場がオーストラリアっていうことでしたが、これは何か理由があるんでしょうか?
そうですね。シドニー大学発っていうのが大きいのかなとは思うんですが、ただオーストラリアの農家がですね、巨大な農場を持ち、肥料の輸入依存度が高いこと、また太陽光などの再エネがですね、豊富で安価に調達できるっていう点からですね、ユニットエコノミクスが合いやすいのが背景としてあるようです。
なんか航空・海運の燃料みたいな話もありましたが、これはアンモニアとどう関係するのかっていうとどうでしょう?
そうですね、長期の話にはなってくるかとは思うんですが、アンモニア自体を燃料として使う動きとか、Plasma Leapのコア技術、プラズマ反応をですね、どう活用するかはちょっと私も分からないですが、応用して、CO2と水から合成燃料を作るっていう計画も長期ビジョンに含まれているそうです。
そして、このPlasma Leapのビジネスモデルですが、これ少し面白いポイントでして、従来のモデルだと高額のハードウェアを売り切りで販売する、つまりコンテナサイズの製造拠点みたいなものを売り切りで販売するモデルだったかと思うんですが、Plasma Leapはこれを転換してですね、Nitrogen as a Serviceというところのモデルを採用しているそうです。具体的には、オンサイトで作ります。ただ、顧客がですね、お金を払うのは使った量に対して、肥料を使った量に対してサブスクリプションで支払います。さらにクラウドによる稼働データのモニタリングを組み合わせているそうです。ユニットエコノミクスとしては、農家の肥料コストをですね、約10%削減して、年間で3万オーストラリアドルの節約の資産をもたらすようなところになっているそうです。スケールした時の収益の構造としては、継続的な経常収益に加えて、製造プロセスで生み出されるカーボンクレジットの生成・販売も織り込んでいるそうです。
顧客がですね、オーストラリアということなので小麦なのかなとも思ったんですが、それだけではなくて、穀物だけではなくて、ベリー類とか、あと露地栽培の作物、野菜とかですね、っていったところも広くターゲットにしているようで、なので幅広い農家さんもターゲットにされているそうです。
さっきのas a Serviceモデル非常に面白いなと思ったんですが、これはハードウェア費用は、このPlasma Leapが……
そうですね、Plasma Leap側が設備の保有・運用っていったところになり、農家さん側は使用した肥料の分、あるいは定額のサービス料っていうのを支払うモデルを想定しているそうです。
カーボンクレジットの生成っていうところも見込んでるということでしたけれど、どういう風に考えてるんですかね?この辺りは。
そうですね。従来の化石燃料由来の肥料を再エネ由来のゼロエミッション肥料に置き換える。それによって排出量が削減されるっていったところを算定して、それをクレジット化して市場で販売するっていうところを考えているそうです。
そして、彼らの戦略です。戦略の核はですね、先ほどから申し上げてるように、既存の中央集権型輸出モデルを分散型で、エッジで生産できるようなところにするというパラダイムシフトになります。Plasma Leapは需要地の近くに地域ごとの製造ハブをですね、無数に配置するっていった戦略を取っているそうです。10年、20年後の理想像としては、農業用肥料にとどまらず、空気、水、バイオガスを用いたSAFやe-fuelsの地産地消のインフラになることを狙っているそうです。
この地域ハブっていうのも、なんか今回初めて聞いたなと思うんですけど、このPlasma Leapに関してはこれってどういう形態なんですかね?
そうですね。先ほどお話ししてたのは、大規模な農家さん向けに個別に設置するってところもお話ししてたんですが、それだけではなくて、中小農家さん向けだと、自分のところに置くのではなくて、地域の拠点で作って短距離配送した方がいいというか、効率のバランスがいいというところで、その地域の人数をまとめて置くってな形になるそうです。
あと、この既存のインフラ企業は結構危機感を感じそうな気もするんですが、どうでしょう?
いや、そうなんですよね。ただ、後ほどお話しするんですが、Plasma Leapはですね、既存の肥料のディストリビューターをですね、パートナーとして巻き込んでいて、既存のディストリビューター自身も中央集権で二酸化炭素排出量が多いってところに問題を抱えているので、それを分散・脱炭素化するのを支援するっていうような立ち位置を取っているそうです。
では次に、ロードマップです。まず、フェーズ1、現在ですが、もうPMFと技術実証のフェーズに入っています。大学発のですね、スピンアウトから始まって、商業スケールの拡張、そして巨大企業Yaraとのパイロット運用を行っている段階になります。フェーズ2、中期的にはですね、商業展開とコスト最適化のフェーズを狙っている。ここで地域製造のハブを確立して、液体肥料の分散型供給網を本格的に構築するそうです。フェーズ3、長期的にはですね、拡張と多角化を狙っていって、重工業・海運・航空向けのグリーン燃料の生産へと移行して、次世代のエネルギー基盤となるような計画になっています。
こういう風にこのロードマップなんですが、まずは痛みが深くてオンサイトのメリットが直結するような農業領域で、最初に収益と実績を作って、その後に巨大な燃料市場に横展開するっていうところを狙っているそうです。
なんでこの燃料市場に直接参入しなくて、農業から始めるんですかね?
そうですね、燃料市場ですね、価格競争が激しいというところと、インフラの要件も厳しいというところがあるそうです。農業用肥料だと、肥料自身が高価格化していて、オンサイト製造によって輸送コストが削減されるっていうようなメリットがお客さんの利益に直結しやすいってあるようです。
とはいえ、フェーズ2からフェーズ3に技術的なジャンプが結構、窒素からCO2にみたいな感じになりそうなので、これって大丈夫なんですかね?
いやあ、そうなんですよね。そこはおっしゃるように技術的な課題でもあると思います。ただ、彼らのコア技術によるですね、プラズマによる分子結合の切断っていったところの反応器自体はですね、横展開が可能という風に考えられるそうです。
彼らのモート、競合についてです。Plasma Leapの最大のモートですが、独自特許であるプラズマバブル反応器にあるそうです。これもちょっと特許も読み込ませてるんですけど、あんまり技術的に出てないみたいで、ただこれによって常温常圧での稼働と圧倒的なエネルギー効率を実現しているそうです。優位性のポジショニングとして、既存メーカーには輸送網がいらないっていう点で、コスト面で勝つことを狙っていて、他のグリーン電気分解技術に関しては、CAPEXの低さとモジュール性の高さってところで勝つというか、上回るってところを狙っているそうです。
他社のグリーン技術よりもCAPEXが抑えられるみたいな話でしたけど、これってなぜなんでしょうか?
そうですね、他社のグリーン技術だと、大規模な水素製造装置とか高圧圧縮機っていうのが必要になってくるそうです。ただPlasma Leapだと水と直接反応を引き起こすことになるそうで、そういった高額な設備が不要になるらしいです。
あと既存の巨大メーカーが同じような技術を開発するような、そんなことってあるんですかね?
そうですね。Plasma Leapのコア技術がですね、シドニー大学などの長年の基礎研究と特許っていったところで守られているそうです。なので、それに加えて、既存の巨大メーカーですね、巨額のもう既存のプラントがあるので、ちょっとイノベーションのジレンマではないですけれども、新しい技術に投資しづらいっていうのは構造的なものとしてあるので、まあまあどこまで守れるかではあるんですが、一応そういったところをモートとして捉えているようです。
そして次ですね、彼らの参入戦略についてです。そうですね、初期のターゲットはオーストラリアの先進的な灌漑農家でした。MVPと機能選定はですね、戦略的でして、完全な固形肥料の製造を目指すのではなくて、既存の灌漑システム、スプリンクラーに直接組み込める液体肥料の生成ユニットに特化していたそうです。PMFの検証方法としてABテストを採用したそうで、既存の肥料とPlasma LeapのENFIXを使った肥料を並行使用して、実際の作物の成果データを収集・比較して、優位性と劣ってないよってところを示すようなアプローチを取っているそうです。
ちなみにその既存の灌漑システムにうまく組み込めたっていう話でしたけれど、これ割と多いんですかね?
そうですね。ファーティゲーションっていう、灌水施肥と呼ばれる水やりのシステムに液体肥料を混ぜて散布する手法らしいんですが、これがオーストラリアの先進農家ではすでに普及しているそうで、なので導入ハードルは低かったそうです。
固形肥料はそれで工程が必要になっちゃうので、液体でできると楽っちゃ楽ですよね。
そうみたいですね。おっしゃるように、固化の工程を除いて液体にしたってことのようです。
あとそのABテストっていうのも珍しいなと思ったんですけれど、このABテストってどうアピール材料になるんですかね?
うん。まあ、他の導入候補となる他の農家の方っていうところにはもちろんアピール材料になるんでしょうし、また融資を行う銀行とか、効果がどんなもんだかっていった肥料のディストリビューター、あとは投資家の方に対してはトラクションというか、効果がありますよってところを証明するような要素にはなるかと思います。
はい。次に創業プロセスですね。彼らの起業の着想ですね、基礎研究から始まっています。自然界の雷がですね、落ちると、それが空気中の窒素を固定して大地に落ちてきて、それが自然の肥料となるというかってところは現象としてあったそうなんですが、そのメカニズムをですね、PJ・カレン教授が模倣したっていう、そういった研究がありまして、それが原点になっているそうです。そこから2019年に大学のラボからスピンアウトして、科学者とビジネス系バックグラウンドのある方が一緒にタッグを組んで会社を設立したそうです。商業化のステップにおいては、基礎研究とエンジニアリング・商業化を分離して回す体制を作ったそうです。
なんか雷のメカニズム、多分知らない方も多いと思うんで、もしよければ。
いや、私もなんですかね、言い伝えでは聞いてたけど、今回聞いて、あ、そういうことだったのかと思ったんですが、雷が落ちると、その放電したエネルギーが、すごい強いエネルギーなので、それで空気中の窒素を分解して、その窒素はですね、雨に溶け込んで、硝酸態窒素として地面に落ちていく。そういった自然現象のことだそうで、それを反応器の中で人工的に再現したっていうことのようです。
CERN出身のCTOの方が参加したのって、結構やっぱ大きいことなんですかね。
そうですね。そうです。元々唱えたPJ・カレンっていったところがあったんですが、そういったプラズマの物理現象を実験室ってレベルでやっていたところから、実際の厳しい環境の農場で壊れずに自動稼働するハードウェアに落とし込むっていったところで、なんというか、CERN出身の方がすごく貢献したっていうところがあるようです。はい。
では、彼らの初期の歩みについてです。初期の壁とブレークスルーなんですが、彼らはですね、触媒設計とプラズマバブル反応器の開発を組み合わせることでですね、効率を非常に高くしたそうです。トラクションとしては、1分間に1mgの生成っていった実験室のレベルからですね、商用スケールである1分間200mg以上への拡張を証明したそうです。冒頭に申し上げたように、エネルギー効率の改善も大きくて、2020年時点では1kgあたり234kWhだったのが、2023年には42kWhまで落ちて、商用目標である20kWhまでもう射程圏内に入っていることのようです。
この20kWh/kg、これって達成すると既存の肥料と比べてコスト的にどうなるんでしょう?
そうですね。そこに達すると、再エネ電力が安価な地域だと、海外から化石燃料由来の肥料を輸入するよりも、オンサイトで自足する方が経済的に安くなるっていった損益分岐点を超えるという風にされているそうです。
もしこの20kWhに届かなかった場合って、ビジネスはちょっと難しくなるんですかね?
そうですね。コスト競争力という点では落ちると思います。ただ、ちょっとこれは不透明な点ではあるんですが、炭素税の導入とかカーボンクレジットの販売益、あるいは地政学リスクに左右されない安定供給っていった価値とプレミアムですね。特定のプレミアム市場では成立する可能性はあります。
あとは、ラボからスケールアップみたいなところで難しかったところって、どういったところなんでしょう?
そうですね、プラズマがですね、容量を大きくすると不安定になりやすいそうなんです。ただそこを、電極の構造とか泡の制御の技術をですね、工夫してなんとか乗り越えたということのようです。技術的な、そうですね、課題ってところですかね。
はい。
そして、彼らの資金調達についてです。彼らですね、直近のシリーズAのラウンドでですね、3000万オーストラリアドル、約30億円を調達しています。資金調達の工夫としてですね、初期フェーズではですね、ゲイツ財団からのグラントを活用したそうです。それでディープテック特有の技術リスクを低減したようです。シリーズAの主要投資家にはですね、世界最大の肥料メーカーの1つであるYaraのCVCが入っているそうです。ここ面白いのはですね、本来ディスラプトの対象であるYaraという巨大肥料メーカーを敵対させずに、彼ら自身の分散型にシフトするっていう文脈に合致させて、戦略的なパートナーとして取り込んだっていう点が面白いポイントだなと思います。
このゲイツ財団とYara両方が投資してるってなかなか面白いなと思うんですけど、それぞれどういう投資上の目的があって入ったんでしょうね。
そうですね。まずゲイツ財団については、アフリカなどの発展途上国において、安価で小規模な肥料製造インフラっていうのが提供できると、食料危機を解決するようなポテンシャルがあるという風に評価されたっていう点があるそうです。そして、Yaraがですね、投資家に入っている背景としてはですね、脱炭素の波で自社のですね、巨大なプラントモデルが将来行き詰まるだろうっていうところも考えていて、それで次世代の分散型ビジネスへのヘッジとして事前に投資したという風に考えられるそうです。はい。
次に、日本で同じようなアイデアで起業するならって点について、ちょっとAIにも考えていただいたんですが、日本の背景としてですね、オーストラリアと少し似ているんですが、化石燃料や肥料の原料をほぼ100%輸入に依存しています。ですので、そういった点で経済安全保障の文脈で、補助金は活用しやすいような環境にあります。広げる方向性として3つ挙げていて、案Aとしては、農林水産基盤ですね。北海道などの大規模農業エリアで既存のバイオガスプラントと統合して、地産地消の肥料・エネルギーのモデルを作るようなアプローチがあります。案Bとしては、再エネ・離島基盤ですね。僻地や離島において、送電網に流せない余剰再エネを活用して、アンモニアとしてエネルギー貯蔵・肥料化を行うような自給のモデルになります。3点目が案Cですね、総合商社のジョイントベンチャーとして、日本国内ではなくて、日本の総合商社が持つアジアの農業ネットワークへこのインフラを輸出するようなアプローチもあるんじゃないかということのようです。
日本の農業って結構規模、それぞれ一軒一軒小さい感じするんですが、なんかオンサイトのモデルとかって成立するんですかね?
おっしゃる通りですね。ちょっと私も気になって調べたんですけど、オーストラリアと日本で一軒あたりの農地の面積が1000倍ぐらい違うらしくて、なので、個別農家への設置っていうのはコスト的におそらく難しいだろうと思います。日本が確か1戸あたり3ヘクタールだったんですけど、オーストラリアが1戸あたり3000ヘクタールとからしくて、全然違ってくるので、ちょっとコスト的には難しくなってくる。なので、JAとか、あるいはもう少し広域なJA単位ぐらいの地域のハブの設置とか、あるいは高付加価値な園芸に特化するってところが現実的になってくるかもしれません。
あとは法的なところとかも関係しますかね。
そうですね。アンモニアが劇物・高圧ガスとしての規制が厳しいので、分散型で運用していくってなると、安全規制のクリアとかっていうのがハードになってくるかと思います。
最後にまとめになります。そうですね、このPlasma Leap Technologiesについて3点ポイントがありました。1点目がですね、技術とビジネスモデルの掛け算です。常温常圧のプラズマ技術っていった革新的な技術に、Nitrogen as a Serviceというビジネスモデルの革新を組み合わせることで、価値を創出しています。2点目が、ディスラプトの対象を巻き込むってことですね。既存の巨大なプレイヤーを敵対視せずに、相手の次世代への戦略を見極めて、CVCとして巻き込むっていう点になります。3点目がですね、これからできるところっていうところで、皆さんがご自身の業界にある中央集権的で非効率なインフラっていうのを、もうちょっと分散化できないかっていう点について少し考えていただくと、何かしらヒントになるかもしれません。
といったところで、ご紹介以上になります。そうですね、今日はPlasma Leap Technologiesをご紹介しました。マ田さん、今日はどうでしたか?このスタートアップは?
そうですね、やっぱ技術が強いなっていう感じはしましたね。
そう、そうですね。
はい。ただ技術が強いだけではなくって、SaaSのモデルというか、Nitrogen as a Serviceみたいなビジネスモデルもちゃんと作り、しかもエッジ型という、よくあるというか、あるべき姿みたいなところもしっかりしていて、なんかうまく揃ってるスタートアップで、あとは技術だけですかね。
そうですね。そこはあり得るかなと思いますね。そうですね。PJ・カレン教授っていうのが、プラズマ業界ではめちゃくちゃ有名な方らしくて、なので、それをいかにオンサイトで実際の環境で動くかっていうのは、これから課題になってくるところかもしれません。
では今日はこちらで終了します。FoundX Review Startup IdeaCastでは、今後皆さんのアイデアのために最新のスタートアップをご紹介していきます。ご興味のある方は是非チャンネル登録いただけたらと思います。ではまた次回よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
ありがとうございました。
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