ロボットではなく「完成した壁」を売る:Monumentalの小型ロボット群による建設自動化
東京大学FoundXFoundXのStartup IdeaCastは、海外スタートアップをAIで分析して紹介する番組である。番組冒頭で、AIで情報を整理しているため古い情報や誤りが含まれる可能性があると断っている。今回取り上げたのは、オランダ・アムステルダムを拠点とする建設ロボティクス企業Monumentalだ。レンガとモルタルの壁を小型ロボット群で施工し、機械を売るのではなく施工済みの壁に対して対価を受け取る。解説役はこのモデルを分析し、成果物課金、垂直統合、小型専用機の協調という三つの論点から、その強みとリスクを検討した。聞き手の富田氏が質問を重ねる形で議論は進んだ。
Monumentalの概要と選んだ理由
Monumentalは2021年創業である。創業者の2人は、以前にデータ可視化のスタートアップSilkを共同創業し、同社は後にPalantirに買収された。その2人がオランダで立ち上げたのが、小型の自律ロボットで建設現場の作業を担う会社だ。最近は「Behind the Build」という動画シリーズをYouTubeに公開し、開発の様子を発信している。
番組では少し前に、施工の成果を売る米国の建設ロボティクス企業(字幕では「テラファーマ」)を紹介していた。富田氏がその会社との違いを尋ねると、解説役は「提供するものが少し違う」と答えた。Monumentalは現時点ではレンガ積みを手がけている。ただし最終的には「ソフトウェア定義の建設」を目指しており、そこが入り方の違いだという。また解説役によれば、米国の事例とは対象とする工程が異なる。Monumentalは欧州で一般的なレンガとモルタルの壁から始めており、その土地の建築文化に合った工程から自動化に入った点が特徴だと述べた。社名には、長く残る建築物をつくるという意味が込められているという。
「ソフトウェア定義の建設」が意味するもの
解説役の説明では、ソフトウェア定義型とはロボットを遠隔操作することだけを指すのではない。現場、壁、材料、ロボットの状態をデジタルに表現する。それを使って作業を小さな単位に分けて処理する。現場の状況に応じて作業順序を組み替える。同じ機体のソフトウェアを更新して、新しい作業ができるようにする。これらをまとめた考え方だという。
富田氏が「具体的に何が変わるのか」と尋ねると、解説役は二つの点を挙げた。一つは、作業計画、ロボット間の役割分担、現状把握をソフトウェアで行うことで、よりリアルタイムに情報を得てロボットの動きに反映できる点である。建設現場は予定どおりに進まず、イレギュラーが起きて計画変更や一時停止が必要になることが多い。そうした場面でも、デジタルであれば別の手順へ素早く切り替えやすいと解説役は見る。もう一つは、ハードウェアを作り直さなくても、新しい形状や材料に対応できる範囲を広げられる点である。
課題:巨大な市場と低い生産性、職人不足
建設は、住宅、物流施設、データセンター、産業インフラなど、他の産業の基盤となる巨大な産業で、GDPの10〜15%を占めると言われる。解説役は2023年の世界の建設総産出の推計も引用した(字幕では「約13兆」とされ、単位ははっきりしない)。一方で、現場ごとに条件が違うため、製造業のような自動化を持ち込みにくい領域だとされる。
解説役は、生産性の問題を職人の非効率に帰するのではなく、構造的な要因として説明した。建設は一品生産であり、屋外で雨風の影響を受ける。多数の専門工事会社が順番に入るため、プロジェクト管理が複雑になる。前工程の誤差が後工程に影響し、設計も動線も材料も現場ごとに違う。技術以外にも、契約、責任分担、安全規制が変えにくい。こうした理由から、建設は過去1世紀で唯一生産性が低下した産業だと言われているという。富田氏は「毎回違う、一品に近いというのはその通りだ」と応じた。
人手不足も深刻である。英国のHome Builders Federationは、年間30万戸を建設するには約2万人の追加のレンガ職人が必要だと試算している。これに対して、新規の見習いは年間約2,000人程度だという。Monumentalは住宅を買う側ではなく、ゼネコンからレンガ工事を請け負う大規模なサブコントラクターとして入ろうとしている。解説役は、同社が売っているのは人件費の削減だけではないと見る。予定した日に壁の工程を確実に終えられるという、納期どおりの価値を売っているというのが解説役の解釈だ。
職を奪うのではないかという懸念について、富田氏が質問した。解説役によれば、現時点では確保できない施工能力を補う位置づけである。材料補給、安全監督、品質確認、例外対応はまだ人が担う必要がある。ただし長期的にロボットの性能が上がれば必要人数が変わり、一部で代替が起こる可能性はあると留保をつけた。職人は柔軟だが数が足りず、プレハブは工場生産に向くが現場での接合が課題になる。その隙間にある、職人ほどの柔軟性がなくても担える工程が、Monumentalの入りやすい領域だと解説役は整理した。
解決策:3種類の小型ロボットとAtrium OS
Monumentalは、役割の異なる3種類のロボットで作業を分担する。字幕上の名称では、レンガとモルタルを積んで配置するロボットが「ピサ」、必要なレンガを運んでピサに供給するのが「ペトラ」、モルタルを調合して供給するのが「パダマ」である。これらを「Atrium OS」と呼ばれるソフトウェアで連携させる。
すべての機能を1台に詰め込まず、各機体を小型化している点が設計の核心だ。小型化すれば製造コストが下がるが、解説役は建設現場ならではの利点も挙げた。ドアを通れる。足場や狭い動線に入れる。バンで運べる。故障した1台だけを交換できる。現場規模に応じて台数を増減できる。小型の自律分散型ロボットは、建設現場という制約の多い環境に適しているのではないか、という仮説で同社は進んでいるという。一方、小型化すると積載量、電池容量、アームの到達範囲、単体の速度に制約が出る。これを群制御と材料補給で補う設計だと解説役は説明した。
Atrium OSは、個々のロボットを動かすだけでなく、どの壁のどの部分をどの順番でどの機体が処理するかを管理する。設計データだけを信じるのではなく、現場の最新状態を確認しながら作業を進めるという。公式発表では、100戸規模の住宅のほか、学校、コミュニティセンター、ホテルの施工に関わった実績がある。解説役は、用途の多様性は示されているものの、案件ごとの採算性はまだ分からないと付け加えた。
富田氏は、1台ですべてをこなす方式を取らなかった理由を尋ねた。解説役は、狭い場所に入れること、軽くて交換可能なことに加え、次の点を挙げた。機能ごとに独立して改善できる(積む部分だけを交換・更新できる)。現場のボトルネックに応じて特定の機体を増減できる。1台の故障で全工程が止まるリスクを避けられる。
自律化の範囲については、積む、運ぶ、モルタルを扱うといった作業はある程度自動化されているという。一方で、現場投入前の計画、搬入、補給、安全管理にはおそらく人が関与していると解説役は推測した。
初期市場:オランダと英国のレンガ積み
建設市場全体は巨大だが、Monumentalがいま売れるのは、英国とオランダのレンガ積み市場という限られた範囲である。解説役はこれを初期の「ウェッジ(くさび)」と位置づけた。その先の市場として、壁、躯体、外装など、現在の技術に隣接する工程が欧米圏で広がっていると見る。どこまで狙えるかは技術の発展次第だという。
オランダを選んだ理由として、解説役は次の点を推測した。創業地に近い。レンガ施工が一般的で、現場に繰り返し通える。現地にいることで法制度や顧客ネットワークを理解しやすい。さらに、ロボットを現場間で使い回すには、ある程度の密度で案件がある地域に集中する必要がある。英国については、レンガ職人不足と住宅供給目標が同時に存在するため、支払い意思のある顧客を見つけやすいと見られている。英国政府は150万戸という目標を掲げ、年間37万戸を目指しているが、供給が追いついていないという。
入り口を選ぶ基準としては、次の点を挙げた。人手不足が大きく、納期遅延が起きていてニーズが切迫している。レンガ積みは作業単価が比較的明確である。成果物の品質を測りやすい。同じ顧客から複数案件が出やすい。規制や材料を大きく変えずに導入できる。建設は一品生産だとしても、レンガ積みだけを切り出せばそれほど差がない、という判断があったのではないかと解説役は述べた。
ビジネスモデル:完成した壁に対して支払ってもらう
Monumentalはハードウェアを販売していない。従来の設備販売では、顧客が初期投資をし、オペレーターを採用・育成し、故障や陳腐化のリスクを負っていた。Monumentalの顧客が発注するのは成果物、つまり壁の工事である。顧客は機械を買わず、Monumentalを独立したサブコントラクターとして雇い、完成した壁に対して支払う。既存のサブコン発注の予算項目を取りにいく形だ。
顧客にとっては導入の摩擦が下がる。Monumentalは機体の製造、故障対応、現場間輸送をすべて自社で抱えるが、成果物を約束しやすいという面もあると解説役は見る。仮にロボットがうまく動かなくても、最後は人間がレンガを積めば壁は完成するからだ。
ユニットエコノミクスが実際に成り立っているかは「正直分からない」と解説役は言う。それでも、壁の受注単価に対してロボットと人を動かすコストを十分に下げられれば、採算は合っていくと考えられる。自律性が上がるほど監督者1人が扱える台数が増え、利益率が改善する。製品性能の改善がそのまま自社の原価低下につながるため、顧客価格を下げても利益を増やせる構造だと解説役は整理した。
富田氏は、このモデルの難しい点を尋ねた。解説役はまず弱みとして、SaaSより資本集約的な重いビジネスであることを挙げた。売上を増やすほど、機体、保守部品、現場チーム、運転資金が必要になる。そのうえで、リスクを次のように列挙した。受注価格は基本的に市場価格に収れんする。ロボットの性能が不十分だと、現場ごとの例外対応費が膨らむ。機体の現場間移動が長いと稼働率が下がる。故障時に人間が代わりに施工すると粗利を削る。顧客の工程変更で待機させられても、費用を請求できない可能性がある。
戦略:ソフトウェアから施工までの垂直統合
Monumentalは、Atrium OS、ロボットのハードウェア、施工サービスまでを自社で持つ。解説役によれば、これは技術リスクを顧客に負わせないための判断である。初期のロボティクスでは、問題がソフトウェア、センサー、機構、材料、現場のどこにあるのかを切り分けにくい。外部ベンダー間の責任分担をなくし、現場で起きた問題を一つのチームで直せるようにする。それが垂直統合を選んだ理由だと解説役は見る。成果を顧客に保証する以上、主要技術と現場運用を自社で制御する必要もある。
拡張の方向として、解説役は外壁の範囲を段階的に広げる道筋を想定した。まずブロックのような材料、さらに断熱、窓枠、ドアへと進む。ただしこれは単なる機能追加ではない。材料の保持方法、品質検査、他工種との責任分担が変わり、防水や断熱といった性能責任も加わる。この点が今後の戦略上の論点になるという。外壁全体を請け負えれば、一工程あたりの小さな売上から大きな契約へと拡張できる。同じ現場に長く滞在できるため、搬入や設営の費用を複数工程に分散できる可能性もある。ただ、どこまでできるかは技術の発展次第だと解説役は留保した。
どの工程に広げやすいかについては、同じ認識機構や位置合わせを再利用できる工程、同じ運搬の仕組みが使える工程、同じ顧客・同じ現場・同じ契約に追加できる工程を挙げた。ブロック施工のように壁の積み作業に近いものは比較的拡張しやすい。窓やドアの取り付けは単価が大きいかもしれないが、品質責任が重く難しいと見る。また、案件を積み重ねることで、ハードウェアの優位性だけでなく運用データが蓄積される。どの現場条件なら、どの機体構成と作業計画で納期を守れるか、というデータだ。これを早く取りにいくことが、長期的な学習上の優位につながりうると解説役は述べた。
富田氏が「垂直統合は重くないか」と問うと、解説役は「重いですよね」と認めた。製造、施工、保守、ソフトウェアを同時に拡張する必要がある。製造業と違い、建設では地域ごとの拠点や現場チームが要る。学習しやすいという利点はあるが、成熟後にこれをどう回すか、あるいはパートナーシップで一部を任せるかを考える必要があるかもしれないという。
ロードマップ:技術ではなく「有料で再発注されるか」から検証する
解説役はロードマップを三つのフェーズに分けて整理した。
- フェーズ1(PMF・局所的検証):オランダ国内でレンガ積みのMVPとして、局所的なプロトタイプと実用テストを行う。ここで検証するのはロボットが動くかどうかではない。顧客が市場価格で発注し、完成物を受け入れるかどうかである。
- フェーズ2:曲線や窓など複雑なデザインへの対応、稼働台数の拡大(現在150台規模とも言われる)、少数の熟練エンジニアに依存しない運用への移行、英国展開。
- フェーズ3:米国などへの海外展開と材料の拡張。技術リスクだけでなく、営業、契約、現地作業、規制を含めたリスクを検証する。
解説役が面白いと評価したのは、技術的に最も難しいところから検証を始めていない点だ。最も単純な成果物を有料で納品し、繰り返し受注できるかどうかから始めている。今後見るべき指標として、次の点を挙げた。同じ顧客から品質を評価されて再発注が来るか。現場の立ち上げにどれだけ時間がかかるか。自律稼働がどこまでできるか。監督者1人あたり何台を扱えるか。
海外展開の難しさについて富田氏が尋ねると、解説役は技術よりも地域の建築法規や規制が難しいのではないかと答えた。米国ではテキサスやフロリダのような暑い地域が候補に挙がっているという。そもそもレンガが主流ではない可能性、労働組合、州ごとの基準の違い、保険や安全基準も課題になる。欧州で動いた機体が米国で動くかどうかより、米国でその現場の経済性が成り立つかが分からないという見方である。
競合と堀:大型機械、職人、ヒューマノイド
競合として、解説役はまず大型ロボットを使う建設自動化を挙げた。Monumentalは狭い既存現場に複数の小型機で入る。最高速度では劣るかもしれないが、柔軟性や可用性が高く、搬入、配置変更、複数現場への展開がしやすい。機材ではなく成果物を提供する点でも、大型機械とは異なる。
人間の職人も競合になる。人間は柔軟で例外処理能力も高い。Monumentalが勝つには、人間より万能になるのではなく、人が確保できない反復工程で速く安定的に供給することが必要だと解説役は見る。
技術的な堀については、コンピュータービジョンや自己位置推定は汎用技術に近づきつつあり、長期的な堀にはならないだろうと解説役は述べた。本当の堀は、高い精度で見積もりを出し、施工し、期日に引き渡す組織能力をいかに早く作るかにある。加えて現場データ、特に失敗パターンや、地面の傾き、材料のばらつき、他業者との干渉といった例外データを早く蓄積できれば、それが堀になる可能性は十分にあるという。
大手企業が同じような小型ロボットを作る可能性について、解説役は、ハードウェアだけなら模倣可能だと認めた。一方で、現場運用、見積もり、故障対応、顧客との信頼関係、安全実績は積み上げに時間がかかる。そこで先に実績を積むことが勝ち筋の一つだという。ただし蓄積したデータが本当に使えるものでなければ、大企業に負ける可能性は十分にあると留保した。
汎用ヒューマノイドについては、すでに200万円程度で買えるものもあり、価格、耐久性、安全性、作業速度が大きく改善すれば競合になりうるとした。ただ、重いものを動かす、精度が重要、保守性や原価を考えると、建設には専用機のほうが向いているのではないかというのが解説役の見方だ。
参入戦略:職人不足で工期が遅れている現場にサブコンとして入る
新技術の初期顧客は技術好きの会社になりがちだ。これに対しMonumentalは、職人不足で工期が延びている会社にサブコンとして入った。痛みが強いほど、未完成の新技術を試す動機が顧客側に生まれる。最初のMVPは直線かつ平面の壁に限定した。複雑な装飾の依頼は断り、確実に成功できる作業にスコープを絞って納品したという。
ロボットが止まっても人間が補って納品する設計にしているため、初期は粗利を犠牲にしてでも顧客の導入不安を下げられる。解説役はこれを、摩擦の少ない進め方だと評価した。今後の成否を見るうえでは、市場価格で契約できたか、利益が出たか、完成品が受け入れられたか、次の現場の発注が続いたかを確認する必要があるという。
富田氏は、最初の顧客がよく受け入れたものだと感想を述べた。解説役の推測はこうだ。職人を確保できず、何もしなければ工期が遅れることが分かっている状況なら、ロボットでもいいから欲しいという切迫したニーズになる。最後は人間が責任を持って仕上げるなら、ロボットが積もうが人が積もうが構わない。機械を買う必要もないため、機械のことを知らなくても壁が納品されればよい。こうした条件がそろって受け入れられたのではないかという。
創業チーム:建設の素人がソフトウェアの流儀で入った
共同創業者のサラー氏とセバスティアン氏は、SilkをPalantirに2016年に売却した2人で、どちらも建設業の出身ではない。ソフトウェア、データ、AIのバックグラウンドから参入した。解説役は、ドメイン知識がないことはリスクだったとしつつ、既存の大型機を自動化する以外の設計を素人の発想で考えやすかった可能性もあると述べた。2人は、自動運転で発展した認識技術と位置推定技術が建設現場で使える段階に来たと考えて、Monumentalを始めたという。データ製品の市場はGDPで見れば比較的小さく、現実世界の大きな物理的課題を求めて建設に入ったとも説明された。
採用を促すため、同社は一部だけを最先端にし、それ以外は保守的にする考え方を取った。既存のレンガ、既存のモルタル、既存のサブコン契約を使い、顧客の設計や材料を極力変えない。解説役は、最後に人が入って完成させるやり方を、PalantirのForward Deployed Engineering(FDE)的だとも表現した。完成品を遠隔で提供するのではなく、技術者が顧客の現場に入って実際の問題を解決するという意味である。一方で建設には、ロボティクスだけでなく機械、電気、製造、現場施工の専門家が必要になる。そうした人材を集めつつ、ソフトウェア出身チームならではの反復速度で進めてきたという。
富田氏は、FDEはカスタマーサクセスとどう違うのかと尋ねた。解説役によれば、一般的なSaaSのカスタマーサクセスは顧客に使い方を教える仕事だ。FDEは、技術者が現場の業務やデータ構造に入り込み、自ら手を動かして製品を修正・追加しながら問題を解決する。初期は個別対応でコンサルに近いが、そこから共通課題を抽出してプロダクト化し、ロボットやソフトウェア本体の改善につなげる点に肝があるという。
建設の経験がないのにうまくいきつつある理由について、解説役は二つを挙げた。一つはソフトウェア業界流の反復と学習である。もう一つは、既存の材料を維持してスコープを解決可能な範囲に絞り、早く実績を集めたことである。ただし、建設や製造の専門人材は早い段階で加える必要があったのではないかとも述べた。
開発手法:ソフトウェアの反復速度をハードウェアに持ち込む
ハードウェア開発では、設計、部品発注、加工を経ると1回の反復に数カ月かかりやすい。Monumentalは、ダクトテープ、結束バンド、3Dプリント部品を使い、粗いプロトタイプを1週間で作って現場に投入し、分かっていなかった課題を発見しては修正するというサイクルを回したという。試作品を売ることはロボット企業としてはできないが、自社で施工に使う分にはそれが可能になる。これも自社施工モデルの利点である。
解説役は具体例を二つ紹介した。一つは、レンガの縦積みの要望があったときにモデルが機能しなかった事例である。同社は物理的なスロープを自作し、1〜2週間で現場に適用させたという。もう一つは初期の3Dプリント部品で、当初は成功率が50%程度しかなかったが、形状を修正して現場対応につなげたという。完璧な万能機を先に作るのではなく、案件を回しながら必要な機能を追加して学習していったという見方だ。
ただし、案件ごとに専用の仕組みを作り続けるだけでは受託開発会社になってしまう。解説役は、同社がモジュール化、3Dプリンティング、シミュレーション、ログ収集、交換しやすい部品などを通じて標準機能を作ることを考えながら進めてきたのだろうと推測した。顧客の前で失敗しながらも、納期は人間が担保して守っていたのではないかという。
富田氏は、粗く作ってよい部分と最初から品質を確保すべき部分の線引きを尋ねた。解説役は、安全停止、構造の品質、法令に関わる部分は粗くできないと答えた。治具、UI、作業順序、内部部品は粗くてもよい。顧客が求めるのは成果物なので、成果物に大きく影響しない部分から粗く始めているのだろうという。
資金調達と商用スケールへの移行
Monumentalは2024年に2,500万ドルを調達した。2026年7月にはKhosla Venturesが主導する3,200万ドルのシリーズBを発表している。最新の公式情報では従業員は約130人で、研究開発だけでなく、オペレーション、工場の技術者、ロボットオペレーター、配備チームを抱えている。ロボットは100台を超え、外部では150台超とも報じられている。住宅も100戸を超える実績があるという。レンガを正しく置けるか、自律で動けるか、モルタルを扱えるかといった研究開発の課題に取り組むチームと、商用スケールの課題を解くチームが並存しているのが現状だと解説役は説明した。
今回の調達の前に何が証明されたのかについて、解説役は、デモにとどまらず実際の建設現場で施工実績が出たことだろうと答えた。配備台数などのデータも出てきており、成果物課金で売上が見えやすいことも寄与したのではないかという。今後はプロジェクトファイナンス、リース、設備金融といった手段も使っていく可能性がある。フリートが増えるほど、ソフトウェア企業というより航空会社のような資産を抱えるビジネスに近づいていくかもしれないと解説役は述べた。
日本への応用:AIが挙げた三つの案
日本ではレンガ積みは一般的ではないため、番組ではAIに日本での応用案を考えさせた。AIが挙げたのは次の三つである。
案Aは、木造の軸組やプレカット材の現場組み立てである。建て方職人の人手不足を背景にした提案だ。
案Bは、基礎工事の鉄筋結束の自動化である。解説役は、日本でもこの領域でロボットを手がける企業が出てきていると触れた。基礎の配筋は比較的平面的で、位置が図面化されており、品質検査基準も明確なので入りやすい。反復作業で身体的な負荷も大きいため、事業化の価値を説明しやすい。一方で、地形や高低差などの現場差があり、それを吸収できるかが課題になる。
案Cは、狭小地向けに特化した群ロボットによる外壁施工である。東京のように狭小住宅が多く大型機械を入れにくい現場で、小型分散という設計思想を活かす。外壁ボードやサイディングの運搬、位置合わせといった作業を専用機に分ける構想だ。顧客にはロボットを売らず、外壁の施工会社として平方メートル単価で受注するサブコンとして入るのがよいというのがAIの提案である。
日本の建設業就業者は55歳以上が36.7%、29歳以下が11.7%で、高齢化が強く表れている。技能継承の問題も含めて自動化の余地はあると解説役は述べた。顧客としては、専門工事を発注する会社や地域の工務店に対するサブコン、あるいは外壁や基礎を請け負う中堅サブコンが想定される。建材メーカーなどと連携し、材料データと施工をつなぐ方法もありうるという。一方、日本の新築住宅着工は前年比で3年連続減少している。改修や非住宅に展開できるかどうかは、顧客と技術の選択次第だと解説役は付け加えた。
まとめとして示された三つの示唆
番組の最後に、AIがまとめた三つの示唆が紹介された。第一に、ツールではなく成果物を売ること。顧客が欲しいのはロボットではなく壁であり、新技術を買ってもらうのではなく、既存の予算、契約、評価方法に合わせて納品する。第二に、ソフトウェアの反復速度をハードウェアに持ち込むこと。完成度の高い機械を長期間かけて作るより、早く現場に投入し、ダクトテープを使ってでも学習サイクルを回し、現実世界で失敗しながらグラウンドトゥルースを得る。第三に、制約の多い現場では、巨大な万能機より小型の専用機を組み合わせるほうが適用しやすい場合があること。台数を増減でき、故障機の交換や機能ごとの改善がしやすい。そのうえで、協調させるOSと現場運用を作り込む。
解説役はさらに、小型ロボットという技術面の堀だけでなく、成果物課金によって事業面の堀も作っている点を指摘した。難しいことではあるが、模倣を難しくする一つの方法ではないかという。
富田氏は、小型ロボットを複数種類持つことで汎用性と拡張性を確保しつつ成果物を提供する組み合わせが上手だという印象を述べた。顧客はロボットが欲しいのではなく、壁ができればよいからだ。解説役は、レンガ積みロボットにとどまらない方向に進んでいる点が面白いと応じ、日本でもフィジカルAIを人手不足の現場にうまく使うスタートアップが出てくればよいと述べて番組を締めくくった。
皆さん、こんにちは。FoundXの田です。
同じくFoundXの富田です。
8月に入って、いよいよ夏らしいという感じもしますね。そうですね。夏真っ盛りというところですよね。
はい。そんな中、授業も終わり、私は先週と言いますか、道場ですね、アントレプレナー道場というアントレプレナーシップの授業の振り返りブログを書きました。
どうでしたか?反響などは。反響は特にはないですね。はい。[笑い]
まあまあなトピックなので、今年は大きく変えましたみたいなところを皆さんに共有しようかなと思って書いているので、もしよければ、AIを使ってどういう風に大きな構想を描いていく練習をしたのかというところで、記事をご覧いただければと思います。
はい。そうですね、大学生向けの授業で、アイデアをある程度提供した上で、AIを使ってどういう風に大きくできるかっていうのを試してみたっていうようなところだったと思います。
是非。来年は変わってる可能性も結構あると思いますが、色々と試していきたいなと思ってます。
はい、ではここからアイデアキャストのコーナーに入りたいと思います。FoundX Review Startup IdeaCastでは、海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析して紹介していく番組です。これからアイデアを考える人たちの参考になればと思います。
最初にディスクレイマーですが、AIを活用して情報を整理しているので、一部情報が古かったり間違ってる場合もあります。ファクトを重視される場合は、必ずご自身で調べるようお願いいたします。
本ポッドキャストはあくまで、アイデアの参考情報とか考え方を引き出すことを目的としている番組です。では今日紹介するスタートアップですが、Monumentalというスタートアップです。
これはどうして選んだんでしょうか?
そうですね、建設系が割とまた増えてきちゃってますが、前回と言いますか、前々回ぐらいのところと少し似てますが、建設の成果を売るというところ、建設ロボティクス企業になっています。
ただ前回はアメリカで、名前何でしたっけ?
2単語だった覚えがありますか?
はい。2単語だったところがありますが、ゼネコンを請け負うみたいなアメリカのスタートアップだったんですが、今回はオランダ・アムステルダムを拠点とする建設ロボティクス企業で、2021年創業のところでした。
元々Silkという、また後ほどお話ししますが、データ化を行っていたスタートアップの共同創業者らが立ち上げています。PalantirにそのSilkというスタートアップは買収されたんですが、そうした2人がオランダで作っている、小型の自律ロボットのスタートアップになってます。
最近割と動画を出していて、ビハインド・ザ・ビルド、ビハインド・ザ・シーンじゃなくて、ビハインド・ザ・ビルドっていう感じで、どんな感じで作ってるのかみたいなのをYouTubeにあげてるので、ご興味あればご覧いただければと思いますが、こうした自律型のフィジカルAIが建設系で色々出てきていいなということで、今回Monumentalを取り上げたいと思っています。
前回はテラファーマだったんですけど、テラファーマとの違いっていうのは、提供するものが違うってことでしょうか?
そうですね。少し提供するものが違うところになるので、この後説明していければと思います。
では続いて、全体像をまずお話ししたいと思いますが、彼らは、端的に言うとレンガ積みの機械を今は提供していますが、最終的にはソフトウェア・デファインドな建設業界を作っていきたいということで、少し入り方が違うのかなという風には思っています。
元々このスタートアップ自体は、労働力不足とか住宅価格の上昇、住宅の供給能力の不足という社会課題に向けて、まず現場で必要な施工能力を確保できない、特にレンガ積みのような欧州でありがちな建設のところに目をつけて、まずロボットを導入していこうというところをスタートアップとしてやろうとしています。
で、ソフトウェア・デファインド、ソフトウェア定義型と言っているのは何かと言うと、ロボットを遠隔操作するだけではなくて、現場とか壁とか材料、ロボットの状態をデジタルに表現していくこととか、それを用いて作業を小さな単位で処理していくであるとか、現場の状態に応じて作業順序を変更していったりとか、同じ機体に対してソフトウェアを更新していくことで新しいことができるようにしていくみたいな、そうしたことをやっています。
ただ、現在の提供範囲に関しては、レンガとかモルタルを中心とした壁の施工にまずは注目してやっているみたいですので、これはもしかしたらアメリカとは違う、アメリカのところはどちらかというと土工と言いますか、というところでしたが、今回はそのレンガ・モルタルみたいなところで、その土地の文化にあった自動化から始めてきているというところは若干違うのかなと思っています。
で、Monumentalという言葉にも、社名にも、長期間残る建築物を作っていくみたいな意味合いが含まれているということだそうです。
ソフトウェア・デファインドの建設っていうのは、具体的にどういうところが変わっていくんでしょうか?そうですね。まず作業計画であるとか、自律ロボット間の役割分担とか現状の把握っていったところをソフトウェアで行うことによって、よりリアルタイムにいろんな情報を手に入れて、それを実際のロボットに反映していくということができるのかなと。
特に今、建設現場は色々と、予定調和的ではないと言いますか、現場ならではのいろんなイレギュラーとかも発生してきて、そのためにいろんな計画を変えていかなければいけないとか、一時停止しなきゃいけないとかいう時にも、別のルートに切り替えていったりすることが、デジタルだと迅速にやりやすいというところなのかなと思っています。
あとは、ハードウェアとしてロボットを彼らは作って使っているところがありますが、そのハードウェアを作り直さずに新しい形状とか材料とか、対応できるところを増やしていくというのが、ソフトウェアでできることなのかなと思います。
では、より具体的にどういった課題があるのかというところをお話ししていければと思います。建設市場は非常に大きいところです。大きいだけではなくて、住宅とか物流施設とかデータセンター、工業インフラとか、他の産業の基盤となるような産業です。GDPの10%から15%を占めるみたいなことが言われている産業になっています。金税の2023年の世界の建設総産出みたいなところを見ても、約13兆と推計しています。
一方で、現場ごとに条件が違うので、製造業と同じような自動化はなかなか持ち込みづらい領域だと言われています。なので、単に職人の皆さんが非効率だからというわけではなくて、一品生産でやることが多いとか、屋外で環境が雨風とかでも変わってきますし、あるいは多数の専門工事会社が順番に入っていくので、そのプロジェクトマネジメントをしなきゃいけないとか、前工程の誤差が後工程にもどんどんと影響していくであるとか、現場ごとに設計も動線も材料も違うみたいな、本当にそうした様々な非効率があるというところは、テラファーマと同じようなところです。
かつ、人材不足も非常に激しい業界で、人件費が上昇しているだけではなくて、着工の延期とか工程の変更、他業種の待機とか、そうした問題が多かったりします。
今回はオランダとかヨーロッパでの話になりますが、イギリスのHome Builders Federationによりますと、年間30万戸の住宅を建設するために約2万人の追加のレンガ職人が必要と試算していて、結構ここは足りてないというのが、イギリスと言いますか、EUでは結構問題になっていて、そこに対して彼らは、住宅購入者ではなくて、ゼネコンの方にレンガ工事を請け負うような大規模なサブコントラクター、サブコンとして入っていこうとしてるのが、今回のこのMonumentalです。
彼らは人件費削減っていうのを売っているだけではなくて、予定した日に壁の工程をちゃんと終えられるような、タイム・トゥ・バリューと言いますか、というところを売っているのかなと思ってます。
人間の職人を完全に置き換えるというよりは代替手段として、職人さんは柔軟な対応はできますが不足していて、プレハブは工場生産に適するけれども実際の現場での接続が問題になってきていて、みたいなところをうまく、職人さんほどではないがやりやすいみたいなところに関しては、このMonumentalが入っていきやすい領域・課題っていう風に言ってるのかなと思ってます。
その課題で生産性が低下してるっていうところもあったんですけれども、もう少し具体的に教えていただいてもよろしいでしょうか?
そうですね。先ほど少し言いましたが、工場のように環境を固定化できないとか、各現場がプロトタイプに近い状況であったりとか、前工程の誤差とか、あるいは天候の影響とかが入ってきて、それによって人の入りがどうなるのかと、そうしたところも結構問題としてあります。
あと技術以外にも、契約とか責任分担、安全規制とかも変えづらくて、そうしたところがあって、生産性として、過去1世紀で唯一生産性が低下した産業って言われているみたいですね。
いや、それもびっくりですけど、確かに一品に近いというか、毎回違うっていうのはおっしゃる通りだな。こういう系のロボットでよく言われるところですけど、職を奪うんじゃないかみたいな恐れもあるんですが、そこは今は代替手段というか、補完し合うような関係を考えてるんでしょうか?
そうですね。今は本当に人が足りていないという状況で、確保できない施工能力を補うみたいなところで入っていこうとしてるのかなと。材料補給とか安全監督とか品質確認、あるいは例外対応っていったところは、多分人がまだ担わなきゃいけないところです。
一方で、長期的には彼らのロボットも性能が良くなってくると、もしかしたら必要人数とかが変わってくるかもしれないので、その場合は一部代替が起こるみたいなことがあり得るかもしれないと思います。
ちなみに、2万人のレンガ職人の話をしましたが、新規の見習いは年間約2000人ぐらいで、本当に足りないみたいなことみたいですね。
そうか。職人になるにも研修というか、何か受けないといけないんですね、きっとね。
みたいですね。はい。
では解決策です。彼らはどうやってその課題を解決しようとしているかというと、3種類のロボットが分担しながら、この問題を解決しようとしているみたいです。1つ目がピサと言われている、レンガとモルタルを積んでいく、配置していくロボットです。2つ目のロボットがペトラです。必要なレンガを運んでピサに供給します。なので、ピサは積んでいく、ペトラはそこに供給するロボットです。で、パダマというのがモルタルを調合して供給する。この3つのロボットがいて、それをAtrium OSというもので連携していくみたいです。全ての機能を1台に詰め込まないようにしていて、各機体を小型化しているということだそうです。
小型であることのメリットは、製造コストが安くなるというところもあるんですが、建設現場ならではというところもいくつかあって、小型であればドアを通れたりとか、足場とか狭い動線に入れたりとか、バンで運べたりとか、故障した1台だけを交換しやすいとか、あと現場規模に応じて台数を増減できるということで、この小型の自律分散型ロボットっていうのは、実は建設現場という制約環境において適合してるんじゃないかという仮説で進んでるみたいです。
もちろん小型化すると積載量が減ったりとか、電池容量とかアームの到達範囲、あるいは単体の速度には制約が出てしまうので、これをうまく群制御していく、あるいは材料補給で補っていくというような設計みたいです。
そうした群制御とかしていくっていう観点でAtrium OSというものを用意していて、これは個々のロボットを動かすだけではなくて、壁のどの部分をどういった順番で、どの機体が処理していくのか、これを管理していったりするみたいですね。Atriumはまさにこの現場の最新状況を確認しながら作業を進めていく、設計データだけを信じずに現場の状態を確認していくみたいなこともやっているみたいです。
実際、既に公式発表だと、住宅100戸とか、学校とかコミュニティセンターとかホテルとかで施工を手伝ったとか、用途の多様性は示されているという状況なのかなと。もちろん案件の採算性とかはまだ分かんないと思いますが。そうした形で、自律分散型ロボットっていうのを人間と協業しながらやってるみたいですね。
なるほど。3種類もあるんだなっていうのはちょっと意外というか、そういう風に分けるんだと思ったんですけど、1台でこう全部やるっていう手を取らなかった理由ってどういうところにあるんでしょうか?
そうですね。先ほども少しお話ししたところでありますが、1台を小さくして、ドアを通れるとか、足場とか狭い動線に入れるみたいなところに加えて、軽くて交換可能みたいなところもあるのかなと。
あと、各機能を独立して改善していけるっていうのも、機能を分散させている1つのメリットかなと。積むところだけを交換していくとか、アップデートするってのもできるのかなと思います。あと、現場のボトルネックがどこにあるのかに応じて、機体を増やしたり減らしたりということもしやすいのかなと思います。あと、1台の故障で全工程が止まってしまうというリスクを回避するというメリットもあるんじゃないかなと思いました。
交換できるっていうのは大きなメリットだなと思いました。自律型ロボットってことなんですけども、どこまで自律化されていて、どこからは人が関与するように今のところなってるんでしょうか?
そうですね。今のところ、言った積む、運ぶ、モルタルみたいなところは、ある程度自動化・自律化されていると。
ただ、現場投入前の計画とか搬入とか補給、あるいは安全管理みたいなところは、おそらく人が関与しているのかなと思います。
では市場規模です。先ほども少しお話ししましたが、建設業界というのは非常に大きな市場になっています。とはいえ、巨大であっても、Monumentalが現在売れるのはその中の特定の、本当にレンガ積み市場、イギリスとオランダのレンガ積み市場が初期のウェッジ、くさびとして働いているというところです。多分TAMは建設全体、あるいは自動化可能な工事全体で、SAMに関しては壁とか躯体、あるいは外装みたいな、現在の技術に隣接する工程があるのかなと。特に欧米圏ですかね。SOMに関しては英国・オランダのレンガ積みになっているという状況です。全体としては、先ほど言った通り年間13兆規模とかあったりするかもしれませんが、実際に狙えるのはどこまでかなってのは、彼らの技術がどこまで発展するかというところです。
最初の市場としてオランダを選んでいる理由は、創業地に近くて、かつレンガの施工というものが一般的で、反復的に現場に行けることが多分1つのメリットとして、そこを選んでるのかなと。あとイギリスは、イギリスでレンガ職人不足というところが存在していて、かつ住宅の供給目標っていうところもあって、そこで支払い意思のある顧客を探しやすいんじゃないかと思われてるみたいですね。
イギリス政府は実際に150万戸っていうような目標で、年間目標37万戸みたいな感じにしているみたいです。ただ、そこに対して供給不足が出てきているということで、そこに対してスタートアップとして挑んでいこうみたいなことをやろうとしてるんですね。
最初オランダから始めた理由についても少しあったんですけれども、他にも理由はあるんでしょうか?
そうですね。開発拠点から近いので現場と往復できるっていうところとか、あとその現地に住んでいるっていうこともあって、法制度とか顧客のネットワークを作りやすい、理解しやすいというところもあるかもしれません。
あと、やっぱりロボットを使うとなると、ロボットを使い回すとか、終わったら次に持っていくことを考えると、やはりある程度その密度が高いところでやっていく必要があるのかなと思っていて、そうした観点で、まずは特定の地域から集中してやっていくっていうことをやろうとしてるのかなと思います。
今の話とも重なるんですけど、最初のウェッジというか入り口を選ぶ時には、結果としてどういう点を踏まえたのかっていうとどうでしょうか?
そうですね。おそらく人手不足っていうところが大きいんだろうなと思います。特に納期遅延とかが起こっていればなおさら、ニーズがバーニングニーズになっている可能性が高いと。あとは、このレンガ積みっていうところは作業単価が比較的明確なのかなと思っていて、これをいつまでに終わらせればいいとかいう、そうした分かりやすいところから入っていってる。あとは成果物の品質も測定しやすいとか、あと同じ顧客から複数の案件が発生するのではないかとか、あと規制とか材料とかを大きく変えずに導入できるというところは、確かに一品ものなんですが、レンガだけを捉えれば、そんなに変わんないかもなみたいなところから入っていってるんじゃないかなと思いますね。
ではビジネスモデルです。彼らはハードウェアの販売をしてるわけではないというところです。従来型の設備販売は、ハードウェアを販売して、顧客側で初期投資をしてとか、操作員の採用とか育成をしてとか、あるいは故障とか陳腐化とか遊休のリスクを取ってとか、そうしたことをやっていましたが、Monumentalとかテラファーマとか、他のところもそうかもしれませんけれども、顧客が発注するのは成果物です。今回、Monumentalは壁、壁の工事です。なので、既存のサブコントラクターへの発注予算項目で取りに行くっていうことをやろうとしていると。なので、顧客は機械を購入せずに、Monumentalを独立的なサブコントラクターとして雇って、完成した壁に対して支払うというようなビジネスモデルを取っています。
顧客にとっては摩擦が下がるような感じになります。Monumental側には、機体の製造費とか故障とか現場間輸送とか、その辺を全てお願いしているものの、実際にちゃんと使えるかどうかっていうところは保証しなきゃいけない。ただ、Monumental側にとっても、ちゃんとそこを請け負えば、仮にロボットがうまく動かなかったとしても、人間が後でちょっとレンガを積めばいいので、そこは成果物を約束しやすいというところはあるのかもしれないなと思いますね。
はい。ロボットの仕様書を向こうからもらって作ったとしても、本当にその仕様が合ってるのかどうか分かんないけれども、ロボットの成果物としてのレンガ積みってところは、多分成果物はある程度一定していくんじゃないかみたいなところはあったりするのかなと思います。
なので、ユニットエコノミクスと言いますか、実際にこの採算が合ってるのかは正直分からないところではありますが、壁の受注単価に対して十分にコストを下げて、ロボットとコアを動かすことができれば、多分採算が合っていくみたいなことなのかなと。なので、自律性が上がるほど、監督者1人で扱える台数が増えて利益率が改善する。そうしたビジネスモデルです。
なので、このモデルの強みは、製品の性能の改善がそのまま自社の原価の低下になっていくので、顧客価格を下げていくということをしたとしても、利益を増やすことができるみたいなことなのかなと思います。
顧客にとってもお願いしやすいし、自身にとってもうまくどんどん良くなっていけば利益率が高くなるっていうのは分かったんですけど、逆に失敗するというか、リスクとして難しいとか怖い部分ってどういったところでしょうか?
そうですね。リスクの手前で弱みから言うと、まずSaaSよりも資本集約的ではあるので、結構重いビジネスです。あと、売上を増やせば増やすほど、機体とか保守部品とか現場チーム、運転資金っていうのが必要になってくるビジネスモデルっていうところは弱みとしてあります。
その上でリスクですけれども、受注価格は基本的には市場価格になっていきます。その際に、彼らのリスクとして、ロボットの性能が十分ではないから現場ごとの例外対応費用が膨らんでいくリスクはあると思いますし、機体が現場間を移動している時間が長いと稼働率が下がってしまって、その分利益率が下がってしまうとか、故障時の人間による代替の施工というものが粗利を減らしていく可能性もあります。あと、顧客の工程変更で待機させられても費用を請求できないみたいな、そういう顧客側のリスクもあるのかもしれないなと思いますね。
では戦略です。垂直統合ですというところですね。はい。相変わらず垂直統合ですねっていう感じですが、
Monumentalに関しては、垂直統合をすることによって、技術リスクを顧客に背負わせないという判断をしたみたいです。ソフトウェアからハードウェアまで自社で完全に制御して、施工サービスとして提供しています。Atriumからロボットハード、施工サービスまで自社で持っていると。
初期のロボティクスの状況、今の状況だと、やっぱり問題がソフトウェアにあるのか、センサーにあるのか、機構にあるのか、あるいは材料なのか、現場なのか、どこにあるのか切り分けづらくて、そこを何とかしたいというところで、外部ベンダー間の責任分界をなくして、現場で起きた問題を1つのチームで修正できるような垂直統合のメリットを、今回は採用したということなのかなと思います。ただもちろん、顧客に成果を保証するという形になるので、主要な技術とか現場の運用とかを自社で全て制御していく必要があるというのがあります。
今回やってるのは、レンガとかモルタルをやってみます。次の隣接領域で、多分ブロックとか石灰岩とか、さらに断熱とか窓枠とかドアとか、そうしたところをやっていくっていうような、徐々に外壁のところを増やしていくということかと思います。
ただ、この拡張は単なる機能追加ではなくて、材料の保持の方法が変わったりとか、品質検査が変わったりとか、他の工種との責任分界が変わったり、あるいは防水とか断熱とか耐火とか、性能責任も変わったり加わったりするので、この辺りは結構どうなっていくのかというのは、今後の戦略次第なのかなと思います。
ファサード全体ですね、請け負えば、1工程あたりの小さな売上から、建物の外壁みたいな大きな契約単位に拡張できるというメリットはあるんですが、どこまでできるのかっていうところは今後の技術の発展次第なのかなと思います。
あと、もう少し大きな受注をすれば、同じ現場で長く滞在すると言いますか、稼働することができるので、もしかしたら搬入とか設営費とかを複数工程に分散できる可能性もあるかもしれないなとは思います。
その次にどんどんコンクリートブロックとか断熱材に広げていきたいっていうところなんですけど、ロボットが自動化するような工程としては、どういったところに伸ばしていくことを考えてるんでしょうか?
そうですね。同じ認識機構が使えるとか、位置合わせを再利用できるとか、そういう工程が1つあるかなとか、移動とか、持っていく、運ぶことができるものとか、あとは同じ顧客、同じ現場で同じ契約に追加できるみたいな、そうした工程だと契約範囲が広がるだけなので、いいのかなと思います。
あとはそうですね、ブロック施工みたいな感じで、壁の積み作業に近いものは比較的拡張しやすいところかなと。ただ一方で、窓の取り付けとかドアの取り付けっていうところは、単価は大きいかもしれませんが、品質責任は結構大きくなると思うので、そこは難しいのかなと。
ただ一方で、彼らはこうしたところを積み重ねていくことによって、ハードウェアそのものの優位性だけではなくて、どういった現場条件だったら、どういった機体の構成と作業計画で納期を守れるのかみたいな運用データを蓄積していくことができるので、それを早く取りに行くために、こうしたところを伸ばしていって、長期的な優位性、データとしての優位性、学習の優位性というところにつなげていくのはあり得るのかもなと思います。
垂直統合って重くないですかっていうところって、どうコメントというか、反論なのかな?どうなんですかね?
重いですよね。これは。[笑い]重いですよね。
そうですね。特に製造、施工、保守、ソフトウェア、これを同時に拡張していく必要があるというところと、やっぱり建設系は製造とちょっと違って、その地域ごとに拠点を持っていたりとか、現場チームが必要だったりするのかなと思っていて、もちろんそれを1つにまとめることで、いろんな学習をしやすいみたいなメリットは出てくるかもしれませんが、成熟後は、これをどううまく回していくのかということを考えていかなければいけない。もしくはパートナーシップとかで他のところに任せていくみたいなことも必要なのかもしれないなと思います。
ではロードマップです。少し話してきてますが、今回は3つのフェーズで分けています。フェーズ1は、PMF・局所的検証という形ですが、レンガを積んでいくMVPみたいな、オランダ国内での局所的なプロトタイプと実用テストをしましたというのが、1つ目のフェーズになります。ここではロボットが動いたかどうかではなくて、顧客が市場価格で発注して、その完成物をちゃんと受け入れてくれたかどうかっていうところが、フェーズ1で検証していったところかなと思います。
フェーズ2は、曲線とか窓とか、複雑なデザインに対応していくみたいなことが1つあるかもしれません。あと、今150台規模ぐらい回してるみたいな話ですけれども、同時稼働の台数を増やしていって、少数の熟練エンジニアに依存しないような運用に変えていき、そしてイギリス展開みたいなところも含めて考えているっていうのがフェーズ2です。
フェーズ3は海外展開と材料拡張ということで、アメリカの市場とかを見据えて、技術リスクだけではなく、営業とか契約とか、そうした現地作業とか規制とかを含めて、そうしたところのリスクを検証しにいくみたいなことかなと思います。
本当に技術の最難関のところから検証を始めるのではなくて、有料で反復受注できるかどうか、最も単純な成果物を納品できるかどうかっていうところから、彼らは割と検証し始めているというのが面白い。技術じゃなくて、本当にその成果物の検証をしているというところが面白いのかなと思っています。
今後どうなっていくのかはちょっと分かりませんけれども、本当に同一顧客から、品質を高く評価してくれて再発注が来るのかどうかとか、現場の立ち上げ時間がどこまで必要なのかとか、自律稼働がどこまでできるのかみたいなところとか、監督1人あたりの台数がどれぐらいなのかみたいなところを見ておく必要があるのかもしれないなと思いますね。
今後、海外にも展開していくというところもあるんですけれども、難しくなってくるのっていうのは技術面なのか、それとも他の別の面なのかっていうとどうでしょうか?
そうですね。おそらくですけれども、地域の工法とか、あるいは規制とか、その辺りが結構難しいんじゃないかなと。
特にイギリスとかオランダに比べて、アメリカのどこの地域なのかっていうところはあるとは思うんですけど、テキサスとかフロリダみたいなことが言われてますが、結構暑い地域だと思うので、そこにあったものをどうやっていくのかとか、あとはレンガだっけみたいなところとかもあるかもしれませんし、労働組合とか州ごとの基準がアメリカはちょっと違ったりするので、その辺りも結構変わってくる可能性はあるなと。技術というよりはそうした現場対応、それも技術の一部かもしれませんが、現場対応とか、あるいは契約とか安全基準、あと保険とか規制とか、そうしたところを検証していく必要があるかなと。
欧州で動いた機体であっても、動くかどうかというよりは、その現場の経済性、アメリカでの経済性があるのかどうかは分からないっていうところかなと思いますね。
では、彼らのモートと競合に関して確認していきたいと思います。まず、巨大ロボットを使っているみたいな、Hadrianはちょっと違うなっていう感じはしますけれども、大型のロボットを使ってるところ、Hadrian Xとはちょっと違うのかな。はい。
大きなロボットを使っていくっていうところとは違っていて、狭い既存現場に入っていくのがMonumentalです。複数の小型機で作業していくみたいなところです。小型機は最高速度では劣るかもしれませんが、その分、柔軟性とか可用性みたいなところが高かったりすると。搬入とか配置変更とか、複数の現場でも展開できるっていうメリットがあるのかなと思います。
もう一方で、人間の職人は、大きな機械とは違って、また1つの競合で、そこに比べると人間の方はやっぱり柔軟で、例外処理能力も高いので、Monumentalが勝つには、人間より万能になるというよりは、人が確保できない反復工程で早く安定的に供給していくみたいなことを言っていくみたいな感じになるのかなと思います。
あとは、小型機で、機材ではなくて成果物を提供しているという観点に関しては、大型機械のところとはちょっと違うのかもしれないなと思います。
あとはそうですね、コンピュータービジョンとか自己位置推定とか、もちろんそうしたところも技術的なモートにはなるかもしれませんが、汎用技術に近くなりつつあるので、おそらく長期的なモートにはならずに、本当のモートというところは、高い成功率で見積もりを出して施工して、期日通りにちゃんと引き渡すような、そうした組織能力をいかに早い段階で作っていくのか。これがモートなのかなと思います。
あと現場データですね。量だけではなくて、失敗したパターンであるとか、地面の傾きとか材料差とか他業者の干渉みたいな例外データを早めに取っておくことで、それがモートになっていく可能性は十分にあるんじゃないかなと思います。
先ほどの、技術的なコンピュータービジョンとか自己位置推定だけだとモートになりづらいっていうところと関連するんですけど、大手の企業が同じような小型のロボットを作るっていう可能性もあるかと思うんですけど、それにはどうやって先に行くようなことを考えてるんでしょうか?
そうですね。機体だけであれば模倣可能性はあるとは思ってます。ただ、現場の運用とか見積もりとか故障の対応とか、そうしたところと、あと信頼ですかね、顧客との信頼関係とか安全実績というところに関しては時間がかかるので、そこに対して早めに実績を積んでおくってのは、Monumentalの勝ち筋の1つなのかなと。あとはデータですかね。その辺りを蓄積して、それが本当に使えるものであれば強くなっていくし、それがなければ、大企業が同じ小型ロボットを作ってきて負けてしまう可能性は十分にあると思ってます。
逆に汎用ヒューマノイドが来る可能性もあるんでしょうか?
そうですね。汎用ヒューマノイドが、価格が下がって、今でも結構安く200万円ぐらいで買えちゃいますけれども、価格が安くて、耐久性とか安全性とか作業速度が大きく改善すれば競合になっていく可能性はありますが、ただおそらく、こうした建設系とかは、ヒューマノイドみたいなものよりは、もうちょっと重いものを動かせるとか、精度が大事とか、保守性とか原価とかを考えると、専用機の方がいいんじゃないかなという風には思いますね。
ではGo-to-Market、参入戦略の話です。初期の顧客は、こうしたスタートアップに関しては技術好きの会社になっちゃいがちだったところを、彼らは成果を納品するので、職人不足によって工期が延びている会社というところをやったと。つまり、サブコンとして入ったみたいなところが彼らのGo-to-Marketでした。
特に困り具合というか、ペインが強いほど、未完成な新技術を試してくれる動機というものがお客様側にあるので、そこを試していったというのが非常に大きいのかなと。
最初のMVPは、直線かつ平面の壁に限定してやっていったと。複雑な装飾の依頼に関しては断って、確実に成功できる作業にスコープを絞って、MVPを作って納品していったみたいです。
本当に今後うまくいけるかっていうところに関しては、市場価格で契約できたか、そしてそこに対して利益が出たかとか、完成品が受け入れられたかとか、次の現場で連続発注があったかどうかっていうところは、今後見ていかなければいけない。あとは、本当にロボットが止まったら人間が納品すればいいというか、補完するみたいな、オズの魔法使い型MVPではないですが、そうした設計にしているので、初期は粗利を犠牲にしても顧客の導入不安を下げて、このロボットを使っていく、作っていくための、非常に摩擦が少ない最初の進め方なのかなと思いました。
最初の顧客が受け入れたのもなかなかすごいなと思ってて、よっぽど困ってたのかなと思うんですけど、どういう風に、なぜ受け入れたんですかね。
おそらくですが、職人が確保できなくて、何もしない場合は工期が遅れることが分かっているみたいな状況であれば、まさにバーニングニーズなので、ロボットでも欲しいみたいな感じになるのかもしれないなと思いますし、実際成果物として、はい。人間が最後やりますって言うのであれば、別にロボットがやろうが人間がやろうが、最後人間がちゃんと責任を持ってくれるんだったら、みたいなことなのかなと思います。
あと、顧客は機械を購入する必要もないので、機械のことを知らなくても、納品された壁が来ればいいとかいうところがあって、受け入れてくれたのかなと思っています。
では、創業のプロセスについて話したいと思います。サラーさんとセバスティアンさんっていうお2人が共同創業者です。冒頭に申し上げた通り、データ活用のSilkというところを共同創業して、2016年にPalantirに買収されたお2人がやっています。2人とも建設業出身ではなかったそうです。ソフトウェアとかデータとかAIといったバックグラウンドから参入していったと。
ドメイン知識がなかったことはリスクではありましたが、逆に言うと、既存の大型機を自動化する以外の設計を、素人の発想で考えやすかったという可能性はあるのかなと思います。創業者のお2人は、自動運転で発展した認識とか位置推定技術が建設現場に使える段階に来たんじゃないかという風なことで、今回このMonumentalというのを作ったみたいです。
採用を促すために、一部だけを最先端技術にして、それ以外は保守的にするみたいな考え方を取ったみたいで、既存のレンガを使ったりとか、既存のモルタルを使ったりとか、既存のサブコン契約を使ったり
とか、お客様も設計・資材料を極力変えないということをやっていたと。先ほど、最後に人が入るという話をしていましたが、これもパランティア的なフォワードデプロイドエンジニアリング、FDEって最近日本でも色々と話題になっていますが、まさに完成品を遠隔提供するのではなくて、技術者が顧客の現場に入って実際の問題を解決していくということをやったという風にも言えなくはないかなと。
あとは、もう1個、アプデータだけだと、GDPとしては比較的小さい産業だったので、本当に大きな産業として現実世界の物理的な大きな課題というところを考えて、この建設というところに入っていったみたいです。ただ、建設に関しては、ロボティクスの技術だけではなくて、機械とか電気とか製造とか現場の施工といったような専門家が必要で、ここをうまく集めつつ、ソフトウェア出身のチームならではの反復、イテレーションの速度というところをやって、どんどんと進めていったということだそうです。
なるほど。そのFDEの話もちょっと聞きたいんですけど、先ほどの説明だけだとカスタマーサクセスとも近いなと思ったんですけど、どういう風に違ってくるんでしょうか?
そうですね。多分一般的なSaaSのカスタマーサクセスは、顧客の方々に使い方を教えるというカスタマーサクセスだと思うんですが、今回のパランティア的なFDEとは、本当に技術者が現場の業務とかデータ構造に入り込んで、製品自体を自分たちのプラットフォームにプラスアルファして修正していくような、自分たちが手を動かして解決するというところが、一般的なカスタマーサクセスとは違うのか。初期は個別対応で、コンサルに近い形になっていると思いますが、それをいかに共通課題を抽出してプロダクト化していくのかというところに肝があるのかなと思いますね。それをちゃんとMonumentalの本体に関して、ロボットとかソフトをどうやって改善していくのかをちゃんと考えていくというのが、FDEなのかなと思いました。今回の文脈のFDEですね。
このお2人が建設業界の知識と経験がなかったというところなんですけど、そういう経験がないところでも成功しつつあるという背景は、どういったところにあるんでしょうか?
そうですね、先ほどもちょっと言いましたが、反復してイテレーションを回して学習していくという、ソフトウェア業界ならではの考え方を導入したというところに加えて、既存の材料などを維持して、いわゆるスコープを結構限定して、ちゃんと解決できるところに限定してやっていったから、早く実績が集められたというところはあるのかなと。とはいえ、早い段階で建設とか製造とかの専門人材を加える必要はあったんじゃないかなと思います。
では、先ほどの高速な反復サイクルという話に近いところですが、彼らの学びについても話していきたいと思います。ハードウェア開発では、いかに早く回すかというのが非常に難しいと。設計から部品発注とか加工とかやっていくと、1回の反復に数ヶ月かかりやすいんですが、彼らがやったのは、ダクトテープとか結束バンドとか3Dプリント部品とか、そうしたものをなるべく使って、まず現場で自分たちの分かっていなかった未知というところを発見していく。そしてそれを修正していくということをやって、荒削りなプロトタイプを1週間で作成して投入して、そして学んでいくということをやっていたみたいです。それで学びを繰り返していったと。
なので、試作品を売るというのは、もちろんロボット企業としてはできないんですが、自分たちが使う分には、多分それをやってまんでやっていくということができるというところなのかなと思います。あとは、現場での困難が出てきた時にも、例えば縦積みレンガの要請でモデルが機能しなかった際にも、物理的なスロープを自作して、1、2週間で現場に適用させたという初期の事例もあったりして、そうしたことをやっていく中で工夫も見つけられるという点がいいのかなと思います。
あとは、初期の3Dプリントの作品なんかも使っていたみたいですが、初期は50%ぐらいしか成功率がなくて、そこから形状を修正して現場対応につなげていったということを言っていて、本当に万能で完璧な機構というものを先に作るわけではなくて、案件を回していって、その必要な最初の追加機能をどんどん作っていって学習していったというところなのかなと。もちろん案件ごとに専用のものを作り続けるだけでは受託開発会社になっちゃうので、その標準機能をどう作っていくのかというのを考えながらやっていたとは思いますが、ソフトウェア的なモジュール化とか3Dプリンティングとか、シミュレーションとかログの収集、あるいは交換しやすい部品ということを考えながら、こうしたところをやっていって、顧客の前で失敗するということをやっていったのかなと。その時も、納期を守って人間がなんとか担保して守っていくということをしていたんじゃないかなと思います。
逆に、荒く作っていいところと、なんて言うか、荒く作ったらダメというか、最初から品質を高くするべきポイントって、どういう風に分かれていたんでしょうか?
まず荒くできないものは、安全停止とか構造の品質、あるいは法令に関するところは荒くはできないと。一方、荒くできるものは、ジグとかUIとか、作業の順序とか内部の部品とかに関しては、荒くしてもいいのかなと思います。顧客が求めているのは成果なので、その成果に大きくヒットしないようなところから始めているということなのかなと思いますね。
では、彼らの今の資源の集まり状況です。彼らは2024年に2500万ドルを調達して、2026年7月にKhosla Ventures主導で3200万ドルのシリーズBを発表しているという状況です。最新の公式ページだと従業員130人ぐらいで、R&Dだけではなくて、オペレーションとか工場、技術者であるとかロボットオペレーター、あとは配備チームというものを抱えているみたいです。今ロボットとしては100台を超えていて、外部で150台超となっているみたいです。住宅も100個を超えるような実績を報じているという状況です。いろんな研究開発もしつつ、レンガを正しく置けるかとか、自律できるか、モルタルを扱えるかといったような研究開発の課題を解決しているチームもあれば、商業スケールの課題を解決するような現場チームというところも行ったりというのが今なのかなと思いますね。
この3200万ドルの調達の前で、何が証明されて可能になったんでしょう。
デモで止まらず、ちゃんと実際の建設現場で施工の実績が出たというところじゃないかなと思います。あとは、配備ベースも色々と情報が出てきている、データが出てきている状況なので、という感じかなと。あとは、導入モデルとして成果物課金ということをしていて、そこで売上も見えやすいということが一部あるんじゃないかなとは思います。おそらく今後はプロジェクトファイナンスとか、リースとか設備金融とか、そういうところもやっていくのかもしれないなと、リソース面では思いますね。なので、フリートが増えるほど、ソフトウェア企業というよりは、航空会社とか研とか、そういう感じにも近くなっていくのかもしれないと思いますね。
では、日本への応用に関してAIに考えてもらいました。日本だとちょっとレンガは積まないと思うので、どうやっていくのかというところですね。AIが案を3つ考えてくれました。1つが、木造の軸組であったりとか、プレカット材の現場組み立てというところはいいんじゃないかというところが言われています。現場の建て方職人が人手不足なので、この辺りをやっていくのが1つじゃないかと言われています。
もう1個が、案Bが基礎工事・鉄筋結束の自動化ということで、ここはいくつかスタートアップと言いますか、日本でもロボットをやっているところが出てきているなと思いますが、こうした基礎の配筋というものは比較的平面的で、位置も図面化されていて、品質検査基準も明確なので、非常に入りやすいんじゃないかと。特に反復作業は身体的な負荷も大きいので、自動化の価値を説明しやすいと。ただ一方で、ここに関しては色々と敵のであったりとか高さとかドローとか色々あって現場差があるので、ここを回収できるかというところなのかなと思います。
案Cに関しては、狭小地向けの特化型群ロボットによる外壁施工ということで、東京とかではもう本当に狭小住宅はそれでいいのかって感じはしますけれども、狭小地が多くて大型を入れづらい現場というものが多くなってきているので、この小型分散という設計思想を額生化してやっていく、外壁を作っていく、外壁ボードとかサイディングの運搬とか位置合わせというところを専用機に分けて構想していくのがいいんじゃないかということが、AIが提案してきていると。顧客にはロボットを売らずに、外壁の施工会社として平方メートル単価で受注していくのがいいのではないか、サブコンとして入るといいんじゃないかということが言われています。
日本の文化に合わせたところ、日本でも実際、今建設就業者の55歳以上が36.7%、29歳以下が11.7%というような、少子高齢化をむちゃくちゃ反映している、高齢者が多い業界ではあるので、技能継承とかの問題も含めて自動化していくというのは、1つあるのではないかなとは思います。
その日本でお客さんになり得るのって、ABCで違うかもしれないんですけど、どういう方たちになるんでしょうか?
いずれにせよ、やはり実際に専門の工事を発注する会社とか、地域工務店に対してのサブコンとして入っていく、もしくは外壁とかキストとかを請け負っている中堅サブコンが顧客になっていくのかなと思います。もしくは、建材メーカーと連携して在動データと施工をつなぐという方法もあるかもしれないなと。一方で、日本に関しては、住宅をどんどん建てていくというよりは、新築着工住宅に関しては前年比で3年連続減少しているという状況もあったりはするので、ここに対して、改修とか非住宅の展開を狙えるかどうかというところは、また顧客とか技術の選択になってくるのかもしれないなと思います。
では最後のまとめです。起業家への3つの示唆ということですが、ツールではなく成果物を売れというのが1つ目です。これまでも色々ありましたが、お客様が欲しいのはロボットではなくて壁なので、成果を売っていくのが入りやすいんじゃないかということが1つあります。新技術を買ってもらうんじゃなくて、既存の予算とか契約とか評価方法に合わせて納品をしていくというのが、今回のスタートアップなのかなという風に思います。
2つ目が、ソフトウェアの反復速度というものをハードウェアに持ち込むことです。完成度の高い機械を長期間かけて作っていくというよりは、早く投入してどんどん現場で試して、ラーニングカーブを回していくということです。現場ではダクトテープとかを使ってなんとかやっていくというような、早く回す方法を考えていくと。グラウンドトゥルースと書いていますが、現実世界で失敗して学んでいくというのが大事ではないかというところです。
3つ目が、巨大な万能機よりも特化型。これが効く領域もあるんじゃないかということで、制約の多い現場では1台の万能機を作るよりも、小型の専用機を組み合わせていく方が適用しやすいのかもしれない。そして台数を冗長化させることで、故障機を交換したりとか、機能ごとに改善したりするメリットも出てきますので、こうしたところを作りつつ、協調させるOSと現場運用というものをやっていくのがいいのではないかということが、今回のまとめとして、AIにまとめてもらった内容になっています。技術のモートと事業のモート両方を作っていくという観点でも、小型のロボットだけではなくて、成果課金ということで事業側のモートを作っていくというのも、難しいところではありますが、模倣を難しくしていく1つの方法ではないかなと思います。
はい。ということで、今回いかがだったでしょうか?
そうですね、重なっちゃうんですけど、小型のロボットを複数種類持つことで、可用性だったり拡張性を担保しつつ、成果物を提供するというところで、顧客は別にロボットが欲しいわけじゃないから、壁ができればいいので、その組み合わせがすごく上手だなという風な印象を受けました。
そうですよね。本当、レンガ積みロボットだけではないところに行っているのは面白いなという風に思います。日本でもぜひこうした、うまくフィジカルAIと言いますか、その波を人手不足のところに使っていくようなスタートアップが出てくるといいなと個人的には思います。
それでは今日はこちらで終了です。FoundX Review Startup IdeaCastでは、今後も皆さんのアイデアの種となるスタートアップを紹介していきたいと思います。ご興味のある方はぜひチャンネル登録、いいねをお願いいたします。またFoundXの各種プログラムでも応募者を募集しています。周りに起業を考えている方がいれば、ぜひFoundXをご紹介いただければと思います。ではまた次回よろしくお願いします。ありがとうございました。
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