大人の靴は5足でいい:石川俊介が選ぶ365日対応の「大基本」

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概要

InstagramやYouTubeで話題の靴につい手を出し、結局すぐ履かなくなる。ファッションデザイナーの石川俊介は、そうした買い方の前に「まずこの5足を揃えるべきだ」と提案する。大人の男性の生活シーンを7つに分け、それを5足でまかなうという考え方だ。動画では5足と言いながら多数の候補を紹介し、最後に改めて5足へ絞り込み、高価な組み合わせと手頃な組み合わせの両方を示している。

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7つの生活シーンを5つのカテゴリーにまとめる

石川はまず、大人の男性が靴を必要とする場面を7つ想定した。シーン1は普段の仕事で、スーツやジャケットでのオフィスワークを指す。シーン2は改まった仕事で、目上の人に会う、きちんとした場所に行くといったカッチリしたスーツが必要な場面である。シーン3はビジネスカジュアルだが、許される範囲は会社によって大きく違う。ジャケパンが最低ラインの職場もあれば、襟付きならよい職場、Tシャツやスニーカーでも問題ない職場もあると石川は言う。シーン4は冠婚葬祭で、年齢とともに結婚式や葬儀に出る機会が増える。シーン5は休日のお出かけで、映画、美術館、ライブなど少し遠出する場面。シーン6は国内外の旅行やレジャー。シーン7はご近所で、半径1〜2km程度をぶらつく、子どもを公園に連れて行くといった場面だ。

これを5足に収める理由について、石川は「片手で5本だからちょうどいい」と冗談めかして説明する。兼用できる場面があるので、次の5カテゴリーに整理した。

  1. ガチガチのビジネスと冠婚葬祭用
  2. きちんと目のビジネスとお出かけ用
  3. 春夏のゆるめのビジネスカジュアルとお出かけ用
  4. その秋冬版
  5. 休日の楽ちんスタイル用

この5足があればほぼ365日をカバーでき、あとはご近所用のサンダルがあれば十分だという。気になる1足はその後に足していけばいい、というのが動画全体の立場である。

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1足目:フォーマルの答えはストレートチップしかない

最初のカテゴリーは、仕事にもよるが年間多くて30日程度と石川は見積もる。こうした場面では相手への礼儀が求められるため、履くべき靴は「1足しかない」と断言する。それがストレートチップだ。

石川の説明では、フォーマルな靴には内羽根が必要である。内羽根とは、靴紐まわりのパーツがアッパーの下に入り込み、紐を締めるとキュッと閉じる構造を指し、外羽根はその上に乗る構造だ。そのうえでつま先にキャップが被さったストレートチップが最もフォーマルだという。礼服からビジネススーツまで対応できるので、まずこれを用意すべきだとしている。

手にしていたのはジョン・ロブの「CITY II」で、21万5600円(価格は変わっているかもしれないと注記)。イギリスの高級靴メーカーで、現在はエルメスグループに入っていると説明した。予算をかけられるならこれか、エドワード・グリーンの「CHELSEA」を選べば間違いないという。ほとんどのドレスシューズメーカーがストレートチップを出しているので、選択肢は多い。

ほかに、少し遊びがあってカジュアルにも履けるジャコメッティのストレートチップも紹介した。オブリークラストで内側にキュッと入った形である。さらに安い選択肢として、インドネシアで作られているジャラン・スリワヤの、やや尖った形のストレートチップを挙げた。ハンドソーンウェルト、つまりグッドイヤーよりも手間のかかる手縫いで底付けしている良い靴だと石川は評価する。

聞き手は、このカテゴリーの靴がない時がいちばん困ると相槌を打つ。法事や式典で合わせる靴がなく、「この靴では失礼かな」と不安になる。その心配をなくすための1足だというのが石川の説明だ。

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2足目:黒の紐靴、プレーントゥ

2つ目のカテゴリーは、年間90日程度、普段からそうした服装の人なら100日以上になると石川は見る。ストレートチップが必須なほどではないが、靴は黒い革靴でなければまずい、という場面だ。黒い紐付きの革靴ならたいてい対応でき、週末のカジュアルにも使える。そこで勧めるのがプレーントゥである。

プレーントゥのアッパーの作り方は大きく2種類あると石川は言う。一つはクリッパーオックスと呼ばれるもので、アッパー全体が1枚でくるまれ、羽根のパーツが上に乗った外羽根の靴だ。レジメンタルタイにブレザーといったアメトラ的なスタイルに合う。名品としてオールデンの990やチャーチの「Shannon」を挙げた。

その中で石川が今いちばん気に入っているのが、ジャコメッティのFG173(アニロー・ネロ、クリッパーオックス、6アイレット、マッシモラスト)で10万7800円。ラストの形状が特殊でアメトラっぽさが少し抜けるため、モダンなスーツややや イタリア的な服、ワイドパンツにも合わせられる汎用性の高さを評価している。黒の紐靴なので仕事でも「きちんとしている」と見てもらえ、ファッション的にも使えるという。

続いて、このチャンネルで紹介しないわけにはいかないとして、ロリス・ローゼンミュラーの「Julius」オブシディアン(ボックスカーフ)を挙げた。石川の個体は左右で革の質が違い、右の方がシワが出やすいという。大きく張り出したコバとラバーソールにより、先のジャコメッティよりさらにカジュアルで、少しぼってりして見える。クラシックな服にも合い、ビジネスやビジネスカジュアル、本当のカジュアルまで使えると話す。価格は16万5100円で、100円を先に払って連絡を入れ、残りの16万5000円を出来上がり時に支払うオーダー方式だという。石川はこれをD2C的なやり方と捉え、卸売されていれば少なくとも25万円以上はする靴が、この価格で買えるのは今の時代ありがたいと述べた。動画の途中では、スタッフに「月3万円ずつ貯金すれば買える」と購入を勧める冗談のやりとりもあった。

オールデンのA8403プレーンブルーチャーも紹介した。クリッパーオックスと違い、靴の前半分と後ろ半分が別パーツで切り替えられている形をブルーチャーと呼ぶと説明する。オールデンの定番に少しアレンジを加えた靴で、アンラインド、つまり裏地がなくコードバン1枚で作られているため、シワの入り方が変わり、履き心地も柔らかい。ガチガチすぎない点に「時代感」も取り入れられると石川は言う。

もっと安い選択肢として、R.C.A.Fの6アイレット・プレーントゥ(6万4900円)を挙げた。石川によれば浅草で作られているようで、黒はドイツのタンナー、ワインハイマーのボックスカーフ、茶色はイタリアのイルチアのボックスカーフを使っている。米海軍のサービスシューズをベースにした形で、非常に履きやすいという。最近は高いスニーカーが4万円ほどするので、もう少し出せばこの靴をスニーカー感覚で履ける、と石川は位置づける。実際、海外出張の際にこの1足だけを4日間履き続けたという。今まともな靴を買うにはこの程度の価格は必要で、そうでなければジャラン・スリワヤのように海外生産で価格を抑えた靴になる、というのが石川の見方である。購入順については、ストレートチップより先にプレーントゥを買ってもいいと話している。

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最初の1足に茶色を選ばない理由

聞き手が「最初は茶色に行かない方がいいのか」と尋ねると、石川は「行かない方がいい」と答えた。会社にもよるが、ビジネスでは黒の革靴でなければならないという職場がまだ残っているからだ。石川自身は入社面接に茶色の革靴を履いて行き、それでも受かったという話が出たが、それでも黒が安心だという。さらに、ブラウンは色の幅が広く、服によってどのブラウンを合わせるかを考え始めると、足数を揃えなければならなくなる。だからまず黒を持つべきだ、というのが石川の理由である。

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3足目:春夏はローファー、または軽めの選択肢

3つ目は春夏のゆるめのビジネスカジュアルとお出かけ用で、春夏3〜4か月のうち半分程度を担う靴と石川は考える。カジュアルな靴ほど季節感を出した方がいいとし、春夏らしい靴の筆頭としてローファーを挙げた。素足でも履ける。

よりオリジナルなローファーとしてはバスのウィージャンズのようなものもあるが、ファッション好きの間の王道として紹介したのが、オールデンのペニーローファー、シェルコードバンの99362で、現在24万900円。アメリカンなローファーの代表であり、コードバンならなお良いという。ただし石川は、現行モデルではヴァンプのモカ縫いが手縫いでなくなっていると残念がる。シルエットは同じなので、これを選ぶか、もう少し洗練された方がよければJ.M.ウエストンのローファーやジョン・ロブの「LOPEZ」が候補になる。いずれも20万円前後になっているという。

上品さや知的な印象を足したいならタッセルローファーもありだとして、クロケット&ジョーンズの「CAVENDISH 3」のコードバンモデルを紹介した。当時19万8000円ほどで、今も20万円前後と石川は見ている。ボックスカーフならもう少し安く、どちらでもいいという。ローファーについては過去にこのチャンネルで扱った回が約45万回再生の人気動画になっているとして、そちらも参照するよう勧めた。

もっとカジュアルにしたい人にはボートシューズを提案する。石川によれば、ボートシューズは今またトレンドとして盛り上がっている。ティンバーランドの「スリーアイ クラシックラグ」は2万5300円。本来のボートシューズは薄く、波状の溝が入ったソールだが、このモデルはアウトドアやキャンプでも履けるようラグソールになっている。石川はボートシューズのデザイン上の特徴として、靴紐が後ろまでぐるりと回っていて締めると履き口までしまること、水が抜けやすい作りであること、デッキ上で脱ぎ履きしやすいヒールキッカーがあること、モカ縫いを挙げた。ブラウンはかなりカジュアルだが、オールブラックのモデルならモード系の服にも合わせられるという。

より本格的なボートシューズとしてはスペリーの「オーセンティックオリジナル ツーアイ」(2万4200円)、パラブーツの「BARTH」(フランス製で5万5000円前後、黒を持っているが見つからず写真で紹介)を挙げた。エレガントさが欲しい人にはJ.M.ウエストンの「ヨッティングダービー」(17万6000円)。石川はこれを名作「ゴルフ」に近く、ラグソールを持ちつつボートシューズ系のコードが後ろまで回っている(おそらく飾り)モデルと説明し、山のゴルフに対して海のシーンを意識した靴と表現した。フレンチな服装に合うという。さらに遊びのある1足として、以前購入してかなり履いているというディオールのボートシューズも紹介している。

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ローファーの代わりにスニーカーという選択肢

職場の許容範囲がもう少しカジュアルなら、高いローファーの代わりにスニーカーで代用してもいいと石川は提案する。アディダスの「STAN SMITH LUX」は1万9800円で、ビジネスカジュアルにも休日のお出かけにも使えるという。同じ系統で石川が好きなのがビルケンシュトックの「Bend Low」(2万8600円)で、フットベッドが付き、革の質感もまずまずで、似た見た目ながら特徴が違って面白いと評している。

ただし、スタンスミスを一生履くのは無理で、ガンガン履けば消耗品だと石川は認める。一生ものの5足として考えるなら、やはりローファーがいい。この枠は生涯にわたってローテーションし、買い替えながら履いていくものだと位置づけた。

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4足目:秋冬はチャッカブーツかサイドゴアブーツ

4つ目は秋冬のゆるめのビジネスカジュアルとお出かけ用で、春夏と同じく年間60日程度と石川は見る。秋冬ならブーツだと言い、男性が最近あまりブーツを履かなくなっていることにも触れたうえで、定番中の定番のチャッカブーツを勧めた。ワーク系のブーツはビジネスカジュアルにはカジュアルすぎ、アメカジ色も強くなりすぎるが、チャッカならすっきり履けるという理由だ。

紹介したのはオールデンの1494 アンラインドチャッカブーツ(スエード、タン、18万8100円)。イギリス系メーカーのチャッカはもっとエレガントになるが、ほどほどのカジュアル感があるのはこれだという。アンラインドでソールの返りが非常によく、履くと驚くほど柔らかいと石川は話す。最近は各メーカーが柔らかい革靴を出しているが、これはその流れとトラッドの中間を狙える靴だという。ラストはレイドンラストで、かなり細身でつま先がやや長めのため、太めのパンツやデニム、チノパンに合う。一方で細いパンツと合わせると「気持ち悪い感じ」になるので避け、レギュラーからやや太めのパンツを合わせるべきだと注意した。

もう少しカッチリさせたいなら、オールデンの1339 コードバン・チャッカ(24万2000円)。こちらはバリーラストで丸みがあり、コードバンの光沢と深いシワによって、あまり固くないビジネスにも合わせやすいという。さらに石川が気に入っているものとして、オールデンのN5706 ゴアチャッカ(スナッフスエード)も挙げ、くるぶし丈ほどのブーツを1足持っておくと便利だと話した。

オールデンばかりで高いという批判を想定し、定番のクラークス「デザートブーツ」(2万5300円)も紹介した。昔はスムースレザー版も出ていたそうで、石川はそれが再び出ればコーディネートしやすくなると話す。クレープソールとスエードの組み合わせではカジュアルに見えすぎるからだという。

チャッカよりも洗練させたい人には、メンズブーツのもう一つの定番としてサイドゴアブーツ(あるいはサイドジップ)を挙げ、ジャコメッティのFG373(14万5200円)を見せた。チャッカにするかサイドゴアにするかは徹底的に悩んで決めればいい、というのが石川の勧めである。

聞き手からレッドウィングについて問われると、石川はワーク系はやはりカジュアルすぎると答えた。アメカジが好きならそれでいいが、ビジネスカジュアルにも使うことを考えると、もう少し洗練されたものの方が場面に合わせやすい。チャッカをチノパンやデニムに合わせると少しペコスっぽく見えるので、レッドウィング好きにも満足してもらえるはずだという。レッドウィングは6足目以降に置いておこう、というのが石川の結論だった。

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5足目:休日のスニーカーはニューバランス

最後は休日の楽ちんスタイルで、年間120日ほどと石川は見積もる。近所の散歩から少しのお出かけ、職場が許すならビジネスカジュアルまで広く使えるものとして挙げたのが、ニューバランスの993 Made in USA(グレー、4万2900円)である。

石川がニューバランスを推す理由は、流行の周期にある。ほかのスニーカーブランドはたいてい数年でピークアウトして履かなくなる。ニューバランスにもトレンドの波があり、まったく履かなくなる時期もあるが、どこかで復活するので、また出して履こうと思える魅力がある。トレンドから外れている時期でも「自分はずっとニューバランスだ」という顔ができ、そういう通し方も不自然ではなくなる、と石川は話す。993は現在色やサイズが揃っていて買いやすいという。

ご近所用や夏場のサンダルもこの枠に入ってくるが、今回は靴がテーマなので扱わないとした。

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改めて5足に絞る:79万円の組み合わせ

5足と言いながら大量に紹介したことを自ら認め、石川は改めて「ゼロから選ぶなら」という前提で5足に絞った。

ストレートチップはジョン・ロブの「CITY II」。礼儀の靴なのでジョン・ロブくらいがいいと言い、そのときは時計もパテック フィリップを着けるような感覚だと冗談を交えた。プレーントゥは「めちゃくちゃ難しい」と悩みつつ、合わせられる幅が非常に広く仕事でも履けるジャコメッティを選んだ。ロリス・ローゼンミュラーもラグソールで楽だと迷いを見せている。春夏はオールデンのペニーローファー。本当はもう1足あってローテーションしたいとも漏らした。秋冬はオールデンのチャッカで、これによってブラウンが加わり秋らしい色が入る。プレーントゥとローテーションしながら履けるという。スニーカーはニューバランスである。合計額は79万5300円になる。

聞き手が「高い」と言うと、石川は「高いけど一生いける」と応じた。

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約17万円で揃える手頃な組み合わせ

いきなり80万円を握りしめて買いに行くのは難しいとして、石川は価格を抑えた組み合わせも示した。ストレートチップはジャラン・スリワヤ、プレーントゥはR.C.A.F(6万4900円)、ローファーの代わりにスタンスミス(1万9800円)、チャッカはクラークスのデザートブーツ(2万5300円)。スニーカーはニューバランスのままにしつつ、雨の日にも履けることを考えてM2002R(2万7940円)を選んだ。合計は17万7540円である。

石川は、今は普通に買えばスニーカー5足でも1足3万円ちょっとは平気でかかると指摘し、ほとんど一生使える靴が20万円でそろうと話す。20万円持って行けば帰りに寿司も食べられる、と聞き手と笑い合った。まず自分の人生で起こりうるシーンを考え、ないと困るものを計算していけば5足に落ち着く、というのが今回の提案である。

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靴は楽しく、服は楽しくない

締めくくりで、石川は「5足あればいい」と言いながら自分には説得力がないと笑った。断捨離はしないし、減らしてもその分加速して増えていて、毎月3〜4足は増えているのではないかという。まとめとして「真の男は靴5足」と言いつつ、画面に映る自分の靴の山とは合っていないと苦笑し、靴に埋もれて暮らさないよう視聴者に呼びかけた。

最後に石川は、最近は服を買いに行っても楽しく買えないと打ち明けた。多くの服を見てきたため、単純に「かっこいい」と思える服がなくなり、素材や縫製、パターンといったマニアックな部分を見なければ感動できなくなっているという。一方で靴やバッグは楽しく、すぐに欲しくなって買ってしまう。服についても、もう一度新鮮な目で向き合いたいと話して動画は終わる。