買い損ねたエクスプローラーIIと、ガイマンのアフタヌーンティーでの「戦い」――石川俊介「月刊〇〇〇」9月号

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概要

ファッションデザイナーの石川俊介が、ひと月の買い物を紹介する「月刊〇〇〇」の9月号である。進行役のエディとの掛け合いで進む。今回は久しぶりに靴を3足紹介し、以前の時計特集で「買い忘れた」と話していたロレックスを買いに戻った顚末、工場を撮るためのフィルムカメラ機材、自社ブランドの新作カシミヤアウターを取り上げた。後半ではチャンネル登録者10万人達成を記念した初のゲスト回を発表し、南米旅シリーズの第3話としてアルゼンチン・パタゴニアの町を訪ねている。どの品についても、石川は値段や性能だけでなく、今の気分や自分の仕事とどう結びつくかを語っている。

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手で曲がるオールデンのアンラインド・チャッカ

1足目はオールデンの「1494 アンラインドチャッカブーツ」、スエードのタン。国内価格は18万8100円だが、石川は海外で少し安く買ったという。別注ではないが、オーダーを入れてオールデンに作ってもらったものだと説明する。秋なのでスエードのチャッカが欲しかったこと、「レイドンラスト」と呼ばれるやや細身で少し長めのラストの雰囲気が気に入ったことが購入の理由だ。

一番の特徴は名前のとおり裏地がないことである。アッパーは裏が貼られていないのでペコペコしており、「フレックスインソール」と呼ばれる柔らかいソールのおかげで手で曲げるとぐにゃりと曲がる。履くとスニーカーのように屈曲するので「なんじゃこれ」と驚くほどだという。石川はオールデンの良さを、最初は硬く感じても少し歩くとすぐ足に馴染むところだと見ている。シングルソールのチャッカで、デニムやチノに合わせやすい。

石川はこの靴を今のトレンドと結びつけて語った。以前の2026年トレンド予測の回で、プレッピーやアメリカントラッドが復活するという話をしたが、この靴はその流れにぴったり合う。ただし肝心なのは、それをどうモダンにアレンジするかだと石川は言う。今はプラダのシャーリングを入れた革靴のように、見て柔らかさが分かる革靴が出てきており、アンラインドはその気分に合っているという見立てだ。石川にとってアンラインドのオールデンは、以前のコードバンに続いて2足目になる。いわゆるアメトラに寄りすぎないよう、他のアイテムでどうアレンジを加えるかが今のコーディネートの面白いところだと話す。防水スプレーをしっかりかければ雨にも強く、いつでも履けるという。

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出張用のアルトラ・オリンパス7 ミッド GTX

2足目はアルトラの「オリンパス7 ミッド GTX」で、国内価格は3万7400円。石川はヨーロッパの靴店に注文していたが、届くのを待つあいだに国内でも発売されてしまった。撮影で見せた個体はサイズが大きい。間違えたわけではなく、ジャストサイズの一足を海外の拠点に置いてきたためだという。

気に入っていたオリンパス6の後継モデルで、今回はくるぶしまで覆うミッドカットのゴアテックス版だ。前作との一番大きな違いは、見た目に反してかなり軽くなったことだと石川は言う。前作のアッパーはレザーのような素材だったが、今回はアッパーの素材が変わっており、それも軽さにつながっているのではないかと推測している。ソールの形状も変わり、ヒール周りの凝った造りは前作のほうが強かった印象だという。つま先のビブラムのロゴは黄色から黒になった。石川は黄色が嫌だったので、落ち着いたのは歓迎している。一方でアッパーのデザインは前作のほうが面白かったと感じている。靴紐をテープのループに通す仕組みについては、説明を受けたはずだが目的を忘れてしまったと認め、「ここにBOAを積んでも面白い」とも話した。

用途ははっきりしていて、完全に出張用である。石川たちは湿地や泥だらけの場所、畑、家畜のふんだらけの草原へ行くことがある。天候に関係なくそういう場所へ行かなければならないとき、厚いソールのクッション性と、ゼロドロップで膝に負担をかけにくい点が役に立つ。山に登るわけではないが、高さがあれば水も入りにくいのでミッドを選んだ。パンツの裾を留めるフックや、かかと側の面ファスナーでゲイターのようにガードできる点も、アウトドア用に作られていて良いと評価する。飛行機では邪魔になるので、スーツケースに入れるか括りつけて持っていく。これまでは復刻された「トール ウルトラ」ばかり履いていてボロボロになったので、新調したという位置づけだ。

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チャーム付きスニーカー、Pane「Light Training Nogi」

3足目はPaneの「Light Training Nogi Men's Shoes – Ripe」、3万400円。「ペイン」と読むのか「パネ」と読むのかは番組内でもまだ決着していない。購入は3足目だが、2足目は間違えて大きいサイズを買ったので、実質2足目になる。

スエードのスニーカーを探していたところに出てきたこと、そして最初からチャームが3つ付いていることが決め手だった。ビーズのもの、レザーを巻いたものなどがあり、カラーリングの調和も取れているという。石川は、アメトラやアメリカンカジュアル的なシンプルな格好に足元で遊びを加えてくれる点を評価する。チノパンにスエードスニーカーを履くだけでは面白くない。そこにアクセサリーが付くと雰囲気が変わる。ミュウミュウあたりがやりそうな、デザイナー的な遊びだという。

ここから石川は日本のブランドへの注文を口にした。中国のスニーカーブランドはこういうことが上手になってきている。一方で日本のスニーカーブランドや革靴ブランドは真面目で本当に良いものを作るが、デザインの遊びが足りない。財布や小物も同じで、最後に手が出ないのは硬すぎ、真面目すぎるところだと石川は感じている。結局、面白さを求めて海外ブランドを買ってしまう。この靴の感覚を日本のブランドも参考にできればいい、というのが石川の考えだ。

以前のコメントで質問があった身長の話にも答えた。インソールに厚みがあり、ソールと合わせて3cm強から4cm弱は高さが出る。ロープロファイルな見た目のわりに背が高くなる点でも履きやすいという。

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買い忘れていたロレックス・エクスプローラーII 16570

大物は、ロレックスの「エクスプローラーII」Ref.16570、2000年代前半のモデルだ。価格は100万円を少し超えた。以前の時計特集で「買い忘れた」と話していた一本で、石川は同じ場所を再訪して買ってきた。時計特集で時計の話をしたら火がつき、それまでのようにアップルウォッチで十分という暮らしができなくなったという。

石川は、エクスプローラーIIはいわゆるスポーツロレックスの中で一番人気がないのではないかと見ている。それでも自分にとっては最高の時計だと言い、理由を三つ挙げた。一つ目は、自分の「プロフェッショナル」は世界中に素材を探しに行く素材ハンターだという自己認識である。二つ目は、子どものころ冒険家に強く憧れていて、「エクスプローラー」という名前に惹かれることだ。三つ目がGMT機能である。常に二つ以上の時刻を表示できるので、各地を飛び回るときにひと目で分かる。iPhoneは現地の電波をつかむまで時刻が変わらないのが嫌で、到着前に目的地の時刻に合わせておきたい。GMTなら目的地の時刻と、ベースになる日本の時刻の両方が分かる。GMTで冒険家なら「この時計しかない」と石川は言う。

少し前に日本の時計店で見たときには、値段が倍近くになっていた。それでもスポーツロレックスの中ではかなり安い部類だという。今回は海外の、時計店が集まる一角で買った。最初に見たとき、その店には4、5本並んでいた。再訪すると2本しか残っておらず、8本入荷して売れてしまったと聞き、意外と人気なのかと思ったという。

購入の経緯には曲折があった。石川が一本を選ぶと、店はブレスレットを外してシリアル番号を、裏蓋を開けてムーブメントの番号を写真に撮り、全体を点検した。清掃にもう少し時間がかかると言われて近くのカフェで待っていると、店から電話が来た。5気圧の防水テストに通らなかったので売れないという。エディはこれを良心的だと評した。石川が店に戻り、少し安かったもう一本を選ぶと、同じ点検を経てこれも5気圧が出なかった。ついでに買うつもりだった少し高いカメラも、見に行くと直前に売れていた。石川は「なんて買い物運がないんだ」と落ち込んだという。

その土地に滞在して2日ほど経ったころ、同じ時計店から一本入荷したと連絡が来た。先に検査を済ませて問題がなかったので買いに来てくれ、という話で、それが今回の一本だ。年式も前の2本より少し新しく、時間も非常に正確だと石川は言う。人気が高く値段も上がる白文字盤ではなく黒を選んだ。白はややリゾート感が出るので、黒のほうがエクスプローラーらしいという判断だ。サブマリーナーなどは今では平気で200万円を超える。エクスプローラーIは持っているが、古い4桁リファレンスなので海外に着けていくのは怖い。このモデルならもう少し新しく安心だという。ちなみにアップルウォッチは海外から持ち帰ったどこかのバッグに入ったままで、所在が分からないそうだ。

18:13

ザ・ロウのVネックと、予告されたカシミヤ特集

ファッションからは、ザ・ロウの「Thamm」セーター(22万円)を一つだけ紹介した。石川によれば、自分たちが作るニットとはまったく違う。自分たちなら度目を詰めがちだが、これは詰めずにふわっと柔らかく編んでいる。そのぶん耐久性はやや低そうだという。長くVネックを着ていなかったが、Vの開きと全体のシルエットがよく、黒いTシャツの上に着ると可愛いと思って買った。糸自体はかなり良さそうで、これくらい薄いものもありだと判断した。色はチャコールグレーだ。

これに合わせて、近くカシミヤニットの特集回をやると予告した。「カシミヤといえばあの国」と思われているトップランクの産地のニットから、国産ならこれがいいというメイド・イン・ジャパンのものまでを揃えて伝える予定で、10月ごろの公開を目指して準備しているという。

20:12

MARKAWAREのカシミヤダブルフェイス

続いて石川は自社ブランドMARKAWAREの新作を紹介した。カシミヤのダブルフェイスクロスで、毛並みに方向性がある。上から下に撫でるとつるりと滑り、逆に撫でると毛が引っかかる。石川は、生地の艶と仕上げは「深喜さん」ならではだと強調する。以前のメルトンより柔らかく、着やすいという。

「ワーカージャケット」は19万8000円。石川は、本来ならレザーで作るようなアイテムだと説明する。今はレザーのブルゾンでも20万円を超えるものが多いので、同じくらいの価格でこの肉厚なカシミヤが買えるならこちらを勧めたいという。レザーにはレザーの良さがあるとしたうえで、カシミヤのほうが特別感があるという立場だ。

「ダッフルコート」は37万4000円。昨年、少量のスペシャル版として作ったものの流れで、カシミヤ100%、フードは取り外し可能、トグルのループと三角の当て布はレザー、トグルはホーンだ。石川は、かつてのエルメスのオレンジのダッフルが中古でもかなり高くなっていること、しかもあれはウールであることを引き合いに出し、このカシミヤの重さを考えればこの値段では買えないかもしれないと話した。手に持つと腕が疲れる重さだが、着るとそれほど重く感じないという。どちらも10月8日の夜に発売される。

24:13

インドネシアから届いた白いスピーカー

ここからは石川自身が「皆さんは興味ないかもしれない」と前置きした品が続く。一つ目は、インドネシアのスピーカーメーカー、Main Audioの「MA-PT 1.0 Special Edition」。実物は海外の拠点にあるので写真での紹介だ。石川は「こないだBRUTUSで紹介された某スピーカーのコピーみたいな」ものだと言う。本体は10万円ほどだが、国際配送などを含めると15万円ほどかかった。

メーカーは、インドネシアのJBL代理店で働いていた人たちが立ち上げたという。受注生産で、2〜3週間で作ると言われたが、実際は届くまで2か月ほどかかった。出会いは偶然だった。石川たちがレザーを作ってもらっている工場の近くにアトリエがあるとネットで知り、連絡して訪ねたという。そこにはアルテックのユニットで組んだスピーカーがあってとてもかっこよかったが、売ってはもらえなかった。そこでオリジナルを組んでもらい、ホーンまで真っ白にした。

苦労したのは開梱である。スピーカーはかなり大きな木枠の箱二つで届いた。釘抜き付きのハンマーでは歯が立たず、現地のホームセンターでノコギリ、ハンマー、大きなバール、釘抜きを買い揃えて剥がした。取り出すとホーン部分の脚が折れていた。組み上げてみると音は悪くなかった。12インチのウーファーにホーン型のツイーターという構成で、楽器の音がよく鳴り、女性ボーカルもきれいに聴けるという。ユニットもインドネシアのメーカー製らしいが、十分聴ける音だと石川は評価する。日本からも注文でき、日本人の注文も何件かあったと聞いたそうだ。ただし木枠で届くので、その処分は考えておく必要がある。石川が借りている場所の管理会社に相談すると、そのままでは捨てられず、配送会社に証明してもらう必要があると言われた。腹が立った石川は、3時間ほどかけて木枠を全部ばらし、小分けにして捨てたという。

写真では、新しいスピーカーが古いスピーカーの上に載っている。部屋にはソファのセットがあり、その後ろに仕事用のデスクと椅子がある。床に置くと家具に音が吸われると考え、高さを出すために古いスピーカーの上に載せたところ、ちょうど作業デスクで聴きやすい高さになった。付属のステンレス板を十字に組むスタンドは、差し込みのスリットが大きすぎてぐらぐらするので使っていない。いずれ台を作るつもりだという。

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マミヤ7で「手」と「工場」をフィルムに残す

二つ目はカメラ機材だ。石川はもともとマミヤ7IIを持っている。このカメラは今、海外で人気が高く値段がかなり上がっている。そこに標準の80mmレンズを付け、さらに「クローズアップアダプターキット NK701」を装着して見せた。中古でも今は数万円するという。

マミヤ7は最短撮影距離が1mで、それより近くは撮れない。先端にクローズアップレンズを付けると(80mm専用)、20数cmまで寄れる。ただしレンジファインダーなので、一眼レフのようにファインダーでピントを確認できず、このレンズの距離もファインダーと連動しない。そこで最短距離で撮ることを前提に、その距離を示すガイド棒が付いている。被写体に棒を当てれば、ピント合わせなしで撮れるという仕組みだ。

目的は、人の手を撮る写真のプロジェクトである。デジタルカメラなら圧倒的に楽だが、中判フィルムで残したい。大きく写すには近くに寄る必要があるが、中判カメラはたいてい最短撮影距離が遠い。それでこの純正キットを買った。昭和から平成初期を思わせる箱も気に入っているという。

もう一つ、同じく値上がりしている「N 43mm F4.5」も買った。6×7判で、35mm換算で21mmほどの広角レンズだ。レンジファインダーのフレームは固定なので、専用のビューファインダーがセットになっている。石川は、今も残っている工場の姿をフィルムで記録していきたいと考えている。中判で撮ると、日本の工場では引きの距離が取れない場面が多い。たとえば食器を撮ろうとしても手前に全然スペースがない。そのための広角だという。このレンズがない状態で、すでにいくつかの工場を撮り始めている。ライフワークとして、迷惑をかけると思いながらも好きな工場を巡って撮っていきたいと話した。

33:45

仕事の合間のマッサージボール

最後の買い物は、トリガーポイントの「ハンドヘルド マッサージボール」(2750円)。前回紹介したヘッドマッサージャーに続く健康グッズだ。頭だけでなく顔周りやリンパのあたりもほぐす必要があると言い、実演しながら、腕から手の先までびりびりと効く感覚があると話した。仕事の合間に使っているという。エディは、グレーにグリーンという配色が、ひと昔前のアメリカのガジェット、たとえばトラックボールのようだと指摘した。石川によれば、これ以外にもまだ買ったものはあり、追って紹介していくという。

35:17

登録者10万人と、初のゲスト回

チャンネルは8月26日に登録者10万人を達成した。記念として、10月7日(水)に初めてゲストを迎えた特別回を公開すると発表した。ゲストは、M-1で2度優勝した令和ロマンの髙比良くるまだ。「どこがファッションチャンネルなのか」というツッコミが来るかもしれないと石川自身が先回りしつつ、くるまさんはファッション好きなので、その話もたっぷり聞きたいと話した。

今後もゲスト回は続けたいという。ファッション関係者を招くのもいいが、内輪のノリになりすぎては面白くない。石川は、異種格闘技のように別の分野の人とファッションの話ができるチャンネルにしていきたいと語った。石川もエディも、しゃべりのプロが来ることにかなり緊張している。普段はホームグラウンドなので饒舌だが、当日はしゅんとしてしまうかもしれないので許してほしい、とも言った。くるまさんが出演を引き受けてくれたのも、視聴者がたくさん見てくれたおかげだと感謝を述べ、プレゼント企画も用意していると話した。ただ、10万人記念の銀の盾はまだ届いておらず、連絡も来ていないという。

39:36

視聴者コメント紹介

恒例のコメント紹介では、次のようなコメントを読み上げた。ニューバランスの回には、「NB公式も舌を巻く購買促進動画では」という声が寄せられた。二人は、ニューバランスからは一円ももらっておらず、全部自腹で買って作ったと改めて強調した。トートバッグの回には、妻にトートを替えるよう言われて困っていたが解決しそうだ、という声があった。新企画「ファッションじじニュース」には感想抜きの「俺は石川さんが大好きだ」の一言が届き、パーカーの回には「10万人のおじさんの味方」というコメントが来た。石川は、10万人ならどこかを占領できる軍勢だと冗談で返した。8月号については、エディに痛いグッズを試させるコーナーを期待する声があり、石川はシャクティマットや足裏マッサージを用意すると乗り気な様子を見せた。

46:44

南米旅 第3話(1):トレレウの「ホテル・ツーリング・クラブ」

南米旅シリーズの第3話は、アルゼンチン、パタゴニアの東側から始まる。舞台はブルース・チャトウィンの『パタゴニア』にも登場するトレレウだ。石川によれば、アルゼンチンはスペイン系やイタリア系の住民が多いが、近くのガイマンはウェールズから来た人々が開いた町だという。背後の建物は当時の名残りで、国立銀行だと説明した。午後7時45分でもまだ夕方の明るさだ。石川は、緯度が高く夏に向かう時期なので一番日が長いころかもしれないと話した。

夕食に向かったのは「ホテル・ツーリング・クラブ」。サン=テグジュペリや、ワイルドバンチのブッチ・キャシディゆかりのホテルだ。古いエスプレッソマシン、サン=テグジュペリとブッチ・キャシディのマグカップ、ツーリングクラブのマークらしきものがあり、石川は70〜80年代で時間が止まったような場所だと言って大好きな場所だと話した。ブッチ・キャシディが南米に逃げてきたときに泊まった部屋も見せてもらった。

料理は、ポテトチップス、サンドイッチ、そしてミラネサ(ミラノ風カツレツ)。店の人の説明を受けて二人は、日本のナポリタンがナポリにないように、ミラノにはない料理だと理解した。意外にも評判が良かったのはポテトチップスで、厚みがあって芋の味が明らかに違うと二人とも絶賛した。石川が先に食べ始めていたので、エディに「ポテチ泥棒」と言われる場面もあった。ミラネサにはレモンをたっぷり搾った。石川はずっとレモンをかけない派だったが、最近覚えたという。石川はコカ・コーラとミリンダ、エディはビール。コーラは瓶が可愛く、少し味が違う気がしたという。

石川の採点「石ナビ」は3.7。エディも同じ3.7だった。料理が特別おいしいというより、雰囲気全体と店主の人柄を含めた総合評価だという。

55:38

南米旅 第3話(2):ガイマンの紅茶店でのアフタヌーンティー

翌日、トレレウから車で30分弱のガイマンへ移動した。ここではウェールズ式のアフタヌーンティーが楽しめる。石川は、イギリス本国ではもう失われたかもしれない古いウェールズの姿が残っているのではないかと話す。作り込まれたきれいさではなく、少し雑な部分が残っている建物が良いという。石川は前回の旅でもこの店を訪れており、エディにも味わってほしくて再訪した。店でガイマンのキャップを見つけ、二人からのお土産として知人に買うことにした。

紅茶に10種類ほどの菓子が並んだ。家庭でおばあちゃんが作ってくれるような素朴さがありながら、品数が多く豪華で、日本のホテルで最近よく見るアフタヌーンティーとは違う、と二人は話す。ところが途中から食べることが「戦い」になった。最後に残ったのは、中にジャムがたっぷり入り粉砂糖がかかったパイ、二人が言う「ラスボス」だ。口に入れるとジャムが8割という感覚だという。石川は端から正攻法で食べ進めた。一方エディは、ジャムの入っていないパイ生地の端だけを食べて頑張っている顔をしていた、と石川に指摘され、石川はこれを「パイ逃げ」と名付けた。エディは自然な流れだと反論した。二人は、南米ではお互いに牽制し合う流れが多いと振り返り、「我々は何の勝負をしているのか」と自問しながら食べ進めた。石川は全種類を制覇して涙目になった。隣の4人組は食べきれずに持ち帰りの菓子を譲り合って帰っていったという。石川は、エディは逃げてポイントで勝とうとするタイプ、自分は一本を取りに行くタイプだと柔道にたとえた。

採点は3.33。石川は、ここは食べ物より雰囲気を楽しむ場所で、おいしかったが全種類制覇の戦いで疲れたぶん点が下がったと説明した。本当は3.8くらいを付けたいという。訪れるなら、先にチャトウィンの『パタゴニア』を読んでくると一層楽しめる、と勧めている。

1:10:10

撮らなかったペルーでの負傷、そして次回へ

旅はこれで完結なのかと問われ、石川は「もっと感動的な映像はないのか」とエディに求めた。そこでエディが、使わなかった映像として、ペルーで石川が救急車で運ばれた場面があると明かした。石川は足のけががひどく、足がパンパンに腫れていた。医師に「これはダメだ」と言われ、ブーツ型の装具を渡され、日本に帰ったらすぐMRIを撮るよう言われた。それでも旅を続けるしかないと伝えると、医師はこの人に旅を続けさせてほしいという趣旨の診断書を書いてくれた。以後の飛行機ではカウンターでそれを見せ、車いすで運んでもらった。本来は動かしてはいけないと言われていたのを押して旅を続けたという。標高4000mのペルーもサポーターだけで歩き、重い荷物も自分で運んだ。帰国後は1か月ほど療養したと振り返った。

アルゼンチン編はまだ素材があり、もう1回あるかもしれないとして、判断は編集側に任された。旅シリーズが終わった後の企画として、視聴者から上がっている石川の日常を撮った動画を望む声に応えることも話し合った。海外に限らず、吉野家のような日常の場面でもいいのではないかという話になり、石川は撮っておくと約束した。

締めくくりは、再び10月7日のゲスト回の告知である。エディはお笑いが一番好きと言っていいほどなので、一番緊張するのではないかと石川がからかう。焼肉とお笑いのどちらが好きかと問われたエディは、焼肉を食べられなくてもお笑いを見ているかもしれない、と認めかけたところで番組は終わった。