令和ロマン・髙比良くるまと石川俊介が語る、漫才の衣装と「邪魔にならない服」の考え方

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概要

ファッションデザイナーの石川俊介のYouTubeチャンネルが登録者10万人に達し、初めてのゲストとして、M-1グランプリで史上初の2連覇を果たした令和ロマンの髙比良くるまが出演した。冒頭、くるまはサングラス姿で「お笑いデザイナーの髙比良です」と名乗り、石川の普段の登場の仕方をまねて場を和ませる。

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この回の話題は三つある。くるまが石川のチャンネルに惹かれた理由、くるまが漫才の衣装をどう考えてきたか、そして二人が最近買ったものの見せ合いである。くるまの服への関わり方は、おしゃれが好きだったことから始まったものではない。服が「ノイズにならない」ようにしたいという消極的な動機から出発している。この点を軸に話が進んでいく。

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出演までの経緯:正月特番のホワイトボードとおにぎり屋

初ゲストがくるまになったきっかけは、今年の初めにスタッフのエディさんから送られてきたXの画像だった。令和ロマンの正月特番で、メンバーがホワイトボードにお気に入りのものを書き出す場面があり、そこに「石川俊介」の名前があったという。ただ、石川俊介という名前の人物は複数いる。X上で最も知られているのは聖飢魔IIのベーシストで、ほかに元プロ野球選手やアニメ関係の監督にも同じ名前の人がいる。石川側は、自分のことなのかどうか分からなかった。

番組を見ても、その部分は放送されていなかった。石川たちは番組スタッフまでたどって調べ、最終の編集段階までは残っていたが、最後の最後でカットされたことを突き止めたという。くるまは、自分に連絡を取ろうとしてくれた話だと思って聞いていたら、なぜカットされたのかを掘っていた話だったのかと驚いた。カットされた理由については、YouTubeチャンネルを勧める企画で紹介したものの、ほかの出演者にファッションの話があまり伝わらず、自分のプレゼンが至らなかったと説明している。何を話したかは覚えていないという。

実際に二人をつないだのは、くるまが以前一緒に仕事をしたおにぎり屋だった。このおにぎり屋はエディさんの隣人だった。くるまは、東京にはおしゃれな人やテレビディレクターがたくさんいるのに、よりによっておにぎり屋から連絡が来たことを面白がった。新作のおにぎりの案内かと思ったら石川の話だった、とも語っている。石川側は、Instagramでメッセージを送っても返事をもらえないかもしれないと考え、誰か共通の知り合いがいないかを探したのだという。くるまは、仕事関係の連絡に気づけないことが多く、後でさかのぼったら無視していたと気づくこともあると明かしている。

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くるまが石川のチャンネルにはまった理由

くるまが石川のチャンネルを見始めたのは、およそ1年前だという。きっかけはおそらく洗濯の動画だった。くるまは今年32歳で、最近になって少しずつ服に興味を持ち、いろいろ買うようになった。服のケア方法をネットで調べても分かりやすい説明が見つからず、家電系のサイトよりアパレルの人が話す情報のほうが信用できる気がした、と素人としての感覚を語っている。

見てみると、情報は分かりやすく編集もきれいなのに、サングラスのおじさんが当然のように洗剤の説明を長々としている。短い動画やショート動画が主流の今、洗剤の説明だけで長尺の動画が何本もあることに「なんだこの人は」と思ったという。天の声のように聞こえるエディさんもかなり自我を出して喋っている。テレビ的に整った編集と、石川本人のスタンスとの「いい意味でのアンマッチ」が、動画として面白かったとくるまは分析した。

さらにくるまは、石川の喋り方の変化も細かく観察していた。初期の動画では、きちんと始めなければという使命感から、カンペを見ていないふりをしてゆらゆら揺れながら話していた。しかし台本を見ているのはばれていた。最近はそれを諦めて堂々と見るようになり、アドリブでもよく喋るようになった、という指摘である。くるまはこれを、自分のような視聴者を引きつける要素だと評した。

石川には、YouTubeのコメント欄で芸人の永野に似ていると書かれていた経緯がある。くるまは永野と番組「ひっかかりニーチェ」で共演しているため、ショートボブのおじさんが自分の中で「面白い人」の典型として結びついているのかもしれない、と冗談を言った。石川とエディさんも、くるまが出演する「ひっかかりニーチェ」をよく見ていると話している。

くるまは実際に石川のブランドの服も買っていた。この夏いちばん着た服かもしれないという。番組や自分たちのYouTubeでも着ており、エディさんはすぐに石川の服だと気づいたそうだ。くるまはセットアップをおとなしく着るのが好きだと話している。

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芸人の服の派閥と、どこにも属さないくるまの好み

くるまが石川の動画をありがたいと感じた理由は、ファッションの用語や分類、素材の違いを教えてもらえることにあった。くるまの同世代では古着が流行っている。芸人の世界ではアメカジが圧倒的に強く、服の話といえば、どのジーンズ、どのブーツ、革ジャンやMA-1といった話題になるという。そのほかにスニーカー派、ストリート派がいる。芸人は出張が多いためジャージが好まれ、アディダスのトラックパンツに大きめのスニーカーという格好が「10人中9人」だった時期もあったそうだ。

くるま自身はどの派閥にも入らない。少しモード寄りで、テック系のものが好きなため、話の合う相手がいなかった。上の世代の芸人はラグジュアリー寄りに行くことが多い。そのため、石川の服や話から知らなかった知識を得られるのが嬉しく、知的好奇心をくすぐられるという。

石川はこれを聞いて、YouTubeを始めた動機と重なると応じた。かつては雑誌やセレクトショップが、服の背景にある物語や素材の話、つまり服の文脈を伝えていた。しかし今は情報源がほぼInstagramになり、そうした話が伝わりにくくなった。それを伝えたいという思いがチャンネルを始めた大きな理由だと石川は語る。くるまは、自分はまんまとその狙いにはまっていると笑った。

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M-1の衣装は「情報の消費」を凝縮していた:石川の評価

石川は、くるまにはおしゃれなイメージがあり、とくにM-1の衣装が印象に残っていると話した。ステージに立つ自分を悪役に見立てたり、そこに別の文脈をつなげたりしながら、衣装に落とし込んでいたという見立てである。石川はファッションをある意味で文化であり、情報の消費でもあると考えている。くるまの格好にはその要素が凝縮されているように見えた、と述べた。

石川によれば、お笑いの中にこうした形でファッションを取り入れた例はあまりない。スタイリストに「あなたはスーツ」「あなたはアメカジ」と割り当てられることはあっても、自己プロデュースでここまでやる人は少なかったのではないか、という。好きなブランドやハイブランドを着ている芸人はいる。しかし、ハイブランドをネタとして取り入れることや、相方の松井さんに茶色いスーツを着せることは、それとは違う種類の取り組みだと石川は評価した。くるまは「初めて受ける評価だ」と喜んだ。

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「変じゃない格好」から始まった服との付き合い

石川の評価に対し、くるまは自分の出発点を説明した。くるまは、おしゃれが好きだったというより、むしろ苦手だったからこそ服が気になったのだという。中高は男子校で、大学に入ってからも恐る恐るネットで服を買うような学生だった。最初に服を買い始めたころは、悪目立ちしたくない、大学生として安っぽすぎていじられたくない、この素材ならこの場に馴染む、という見方で服を選んでいた。

くるまは、この消極的な考え方が漫才では意外と大事だと話す。変わった衣装を着るのは応用編である。その前提として、変ではない格好をすることが必要になる。たとえば高校生がしわしわのシャツを着てネタをすると、観客はそちらが気になって話が入ってこない。だから、最低限ノイズにならない程度には服を整える。それがくるまの服に対する基本的な見方だった。

具体例として挙げたのが相方の衣装である。相方は服にまったく興味がなく、大学の入学式で買ったようなグレーのスーツを、ケアもせずにくしゅっとしたまま着ていた。くるまはせっかく面白いのにもったいないと感じた。そこで、茶色や青でしっかりして見え、少し雑に扱ってもしわが目立ちにくい生地のスーツを買うよう勧めた。くるまの説明では、そのスーツを着たからウケたわけではない。スーツが邪魔をしなくなったから減点されなくなった、という捉え方である。

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「俯瞰」ではなく「複眼」:映画を撮る視点について

この話を聞いた石川は、だからくるまは映画を撮れるのだと感じたと述べた。くるまは映画監督としても活動し、海外の映画祭で賞を受けている。石川は映画を総合芸術だと考えており、視野が狭いと撮れないものだと見ている。くるまは全体を俯瞰して見ているのではないか、と石川は言った。

くるまはこれを少し訂正した。自分はミーハーで、上から見る余裕はない。自分も中に入って遊びたくなってしまうので、中に入ってから周りを見回している。主観が多く、虫のような「複眼」でたくさん見ているだけだ、という説明だった。石川はそれを、性格的に主人公気質で、常に参加者でいたいタイプだと受け取った。スポーツも観戦より自分でプレイしたいのではないかと聞くと、くるまはそうかもしれないと認めた。

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今の好み:テック系とナチュラル素材のミックス

現在の服の好みを聞かれたくるまは、少し前までモード寄りだったと答えた。30歳を過ぎて、ようやくナチュラルな雰囲気や天然素材にも興味が出てきたという。以前は、つるつるした素材やシャカシャカした素材が大好きだった。アクロニウムをよく着ていて、「ゴアテックス」や「パーテックス」のように名前に「テックス」がついていると嬉しくなるほどだったそうだ。今は、ナチュラルな要素に、もともと好きだったテック系やギア的なものを組み合わせたいと考えている。くるまは機能的なものが好きで、機能的でありたいという気持ちもあるという。自分の自意識を表現するにはそのバランスが合う、と話した。

石川は天然素材の良さを伝えようと、自身のブランドcash&barbaの既に完売した製品を見せた。13.5マイクロンという、ベビーカシミヤと同等の細さのウールを使ったもので、いわゆる「スーパー200」にあたる。くるまは動画で覚えた単語だと反応し、触って「めっちゃ気持ちいい」と言った。石川は天然素材の話なら永遠に語れると応じている。

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古着を着ない理由:「自分からスタートを切りたい」

くるまは、自分にはどれも自分だと感じられるような感覚があり、それを表現しやすい服を選ぼうとしている、と話した。一方で、古着はまだ苦手だという。他人のストーリーが乗った服よりも、自分からスタートを切りたいからだ。立派なストーリーとしてお下がりをもらったなら別だが、それ以外は新品を買いたい気持ちが強い、と説明した。

石川はこれを「根っからの主人公」と表現した。くるまはそれを自我が強いという意味に受け取って笑った。石川は、自分も年を重ねてもプレイヤーでいたいと思い続けているので、その感覚は分かると応じた。

くるまは、石川のように自分の服を自分で作ることに強く憧れていると語った。好きな生地をわざわざ地球の裏側まで探しに行き、無印良品のケースに詰めて海外に持っていく。そうして自分で服を作れたらどれだけ幸せだろう、と言う。くるまはキャリア的に同じだけの時間は割けないとしつつ、人生で一度くらいはやってみたいと話した。

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バングラデシュで見た、服の産業のエネルギー

くるまは最近海外によく行くようになり、バングラデシュでのエピソードを紹介した。テック系素材の工場、具体的にはザ・ノース・フェイスの工場を見に行こうと考えたのだという。くるまの話によれば、バングラデシュには中国などから縫製業が移ってきて、この5年ほどで賃金が一気に上がった。しかしインフラなどが追いついておらず、人々は現金を持ち、バイクに冷蔵庫を担いで運んでいた。くるまはこの状況をバブルのようだと表現した。

くるまはこの光景を見て「服のエネルギーってやっぱすっげえな」と感じたという。石川も、国の発展はまず縫製産業から始まると応じた。ただ、工場の取材は予定が合わず、放送でも使われていないという。くるまはいつか見に行きたいと話している。

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買ったもの見せ合い①:カルティエのタンク ディヴァンとロレックスのエクスプローラーII

後半は、二人が最近買ったものを見せ合う企画になった。くるまが最初に出したのはカルティエのタンク ディヴァンである。たまたまネットで見つけたと言いながら、実は石川の時計の動画を見て買ったと白状した。新品ではあまり売っておらず、先ほど中古は買わないと言ったばかりなのに、かっこよすぎて中古で買ったという。石川は、カルティエは普通に着けると上品すぎたり寂しく見えたりすることがあるが、このモデルはファッションとして成立すると評価した。石川自身も小さいサイズの自動巻きを持っており、二人は互いの時計を着け比べた。くるまは別のサイズも欲しくなったと話していた。

石川が出したのはロレックスのエクスプローラーIIだった。24時間針がついたGMT機能を持ち、日本と海外の二つの時刻を表示できる。以前の動画で「買い忘れた」と話していたものを買ったのだという。石川は、両手に時計を着けた人物の写真をイメージとして見せた。左手に革ベルトの時計、右手にステンレスの時計という組み合わせで、それを自分でもやりたいと考えている。エディさんは二人の買い物ぶりに驚いていた。くるまは、石川のYouTubeに出るからこそ買わなければと思ったと話している。

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買ったもの見せ合い②:「石川セット」のバッグと「00」になったバッグ

くるまの2つ目もバッグで、これも石川のチャンネルで紹介されていたものだった。以前の動画で見て欲しいと思ったものの、値段が高いので迷っていた。再び紹介されたのを見て「分かったよ」と買ったという。マグネットの留め具やファスナーを閉じても使える構造など、機能性と作りのきれいさを近くで見て、こういう職人がいるのかと感じたそうだ。iPadなど自分の持ち物がぴったり入り、一生使おうと思っているという。くるまはこれを、時計と合わせて「石川セット」と呼んだ。

石川が出したのは、アメリカのブランドのバッグだった。字幕では「アレックス」と聞こえる。このブランドではバッグに3文字のステンシルを入れられる。石川は「〇〇〇」と入れるつもりで「O」を指定したが、思ったより縦長に仕上がり、「00」のように見えるバッグになってしまった。スタジオは微妙な空気になり、くるまは「恥ずかしがるなら攻めないでください」と突っ込んだ。それでもバッグ自体は使いやすい。サイズ感がよく、畳んで収納でき、手持ちでも肩掛けでも使え、硬さもちょうどいいと石川は説明した。くるまは、微妙な空気になったのは石川のせいでバッグのせいではないと念を押した。

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買ったもの見せ合い③:度なしのリムレス眼鏡と、その由来

くるまの3つ目は、今年いちばんはまっているリムレスの眼鏡である。昨年スコットランドを訪れた際、エディンバラの店舗で買ったという。ブランドは字幕では「キュービッツ」と聞こえるが、ロンドンにも店舗がある英国のアイウェアブランド、キュービッツ(Cubitts)とみられる。くるまの説明では、自社工場で製造から一貫して手がけているためコストが抑えられており、価格は4〜5万円ほどで10万円には届かなかった。レンズの色や濃さを何パーセント入れるかといった細かいカスタマイズもできる。ヨーロッパの店はサポートが日本よりラフなことが多いが、この店は付きっきりで対応してくれたそうだ。薄いリムレスに合わせた専用の薄いケースや、小さなクリーナーとクロスも付いてくる。日本では一度だけポップアップがあったといい、くるまは日本でも販売してほしいと話した。

石川が、眼鏡はすべて伊達なのかと尋ねたことで、話は眼鏡の由来に移った。くるまは家では度入りの眼鏡を使い、外では度なしの眼鏡をかけている。外で十分使った度なしの眼鏡を、後で度入りに変えることもあるという。

眼鏡をかけ始めたのはキャラクターづくりのためだった。くるまによれば、自分の顔は目も鼻も極端に大きくも小さくもなく、特徴的なパーツがない。周りの芸人には特殊な顔の人が多いため、個性がないと考えて眼鏡をかけ始め、最初は度入りの眼鏡を使っていた。

度なしに変えたのはM-1の予選中だった。3回戦が終わって準々決勝まで1か月ほど空いたとき、ネタは十分に作り終えていたが、何かできることはないかとそわそわしたという。石川も、展示会の前は同じように「まだ足りない、まだ何かできる」と落ち着かなくなると共感した。くるまは、漫才は二人でやるだけなので、服のように並べて変えられるものが少ないと話す。そこで、度の強い眼鏡のレンズを度なしに替えた。度が強いレンズは目を小さく見せるので、度なしにすれば目が大きく見える。「3回戦より覇気がある」「目が開いている」と思われたかった、とくるまは振り返った。その時間でもっと面白いことを考えろという話だと自分で突っ込みつつ、考え尽くした後の悪あがきだったと語っている。それ以来、度なしの眼鏡をいろいろかけるようになり、今は舞台用というより気分で選んでいるという。石川は、買い物対決よりもこういう話を聞きたいと笑った。

41:34

買ったもの見せ合い④:ラルフローレンのダブルブレザーと、漫才師のブレザー

石川の3つ目は、ラルフローレンのダブルのブレザーである。長くラルフローレンを買っていなかったが、今の気分に合うと感じたという。ブルゾン感覚でカジュアルに着たいと考えており、Tシャツに合わせてポケットに物を詰め込んだり、上からニットを巻いたりするクラシックな着方が、そろそろ面白いと見ている。自分のブランドでも作りたいと考えていて、ボタンのバランスなどが難しいため、研究用も兼ねて買ったそうだ。

くるまはブレザーを漫才の衣装の歴史と結びつけて話した。くるまの見立てでは、スーツという定番から少し崩そうとした時期がおそらくあり、漫才ブームのころの師匠たちがジーンズやシングルのブレザーを取り入れ始めた。その例としてザ・ぼんちを挙げ、今もかっこよく、あれほどピアスを開けているおじいちゃんはいないと語った。

くるまも6年ほど前、それに憧れてJ.PRESSのブレザーを衣装にしていた時期がある。しかし当時はまだ20代半ばで、着られている印象になってしまった。ボタンを金から銀に替えたり、ジーンズやA.P.C.のものと合わせたりと抵抗したが、何をしても幼く見えたという。石川は、くるまの本にある「早く年齢を重ねたい」という話につながると指摘した。くるまは芸としてもそう見られたい気持ちがあり、そこから衣装がまた変わっていったと振り返っている。

くるまはさらに、ブレザーを私服で着ているマセキ芸能社の先輩漫才コンビを紹介した。30代半ばから40歳近い二人で、若手芸人界のファッションリーダーだという。芸人の間でバブアーを流行らせたのもこの二人で、くるまも真似して服を買ったことがある。くるまは石川に、いつか会ってほしいと話した。

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締めくくり:任せるのが苦手だから漫才をやってきた

最後に石川が何か持ってきたものはないかと促すと、くるまは考えた末にたどり着いた話として語り始めた。お笑いにも総合芸術的な要素はあるが、自分は人に任せるのが苦手なので、少人数で自分が責任を取れる範囲である漫才ばかりやってきた、という内容である。収録はこの話の途中で前編の区切りとなる。

石川が「総合芸術」と評した映画制作の視点を、くるま自身は任せることが苦手な性分の側から語り直そうとしていた。ただ、この話がどこに着地するのかは前編の範囲では示されていない。