元Tesla Energy責任者のLunar Energyは、蓄電池とVPPソフトで家庭を「発電所」にできるか
東京大学FoundXFoundXの「Startup IdeaCast」は、海外スタートアップのアイデアをAIで整理・分析して紹介する番組である。今回取り上げたのは、元Tesla Energy責任者のKunal Girotra氏が創業したLunar Energyだ。住宅用蓄電池や分電機能などのハードウェアと、AIによる充放電の最適化、仮想発電所(VPP)を運用するソフトウェアを一体で提供し、各家庭を分散型の発電所に変えようとしている。
番組では、紹介役を務めるFoundXのメンバーがLunar Energyの事業を順に説明し、もう一人が質問を挟む形で進んだ。紹介役がこの会社を選んだのは、電力の課題にソフトウェアだけでなくハードウェアまで含めて全部取り組むという、非常にハードルの高い挑戦をしているように見えたからだという。なお番組は冒頭で、AIを使って情報を整理しているため一部の情報が古かったり誤っていたりする可能性があると断っている。
本編の前に:ChatGPT・Claude・Geminiの企業利用
本題に入る前の雑談で、ChatGPT、Claude、Geminiの利用割合を調べた話があった。ニュース記事ベースで調査の信頼性は留保するとしたうえで、紹介されたのは次の数字である。シンガポールのフィンテックSaaS企業Aspireの調査では、1年前はOpenAIがAnthropicの4倍以上だったが、現在は1.5倍まで差が縮んでおり、Claudeがかなり伸びているという。
日本については、東京新聞に掲載された別の調査を引いている。全社標準のツールではChatGPTが45%、Geminiが30%弱だった。会社標準以外のツールを個人で併用している人に聞くと、ChatGPTが約50%、Claudeが約20%、Geminiが約40%だった。日本ではまだChatGPTが多く、Claudeはそこまで広がっていない。Geminiは手軽に併用するツールとして扱われているのかもしれない、というのが話者の見立てだ。
なぜ今、住宅用蓄電池なのか
Lunar Energyのビジョンは、住宅を電化し、各家庭を小さな発電所に変えることだ。紹介役は、アメリカでこの事業がいま成り立つ背景として三つの事情を挙げた。
一つ目は電気代が年々上がっていること。二つ目は規制の変化である。以前は太陽光発電の余剰電力を高く買い取ってもらえたが、現在は高値では売れない。そのため、余った電気を売るより蓄えて、電気代の高い時間帯に使うほうが相対的に価値を持つようになった。三つ目は、気候変動に伴う山火事対策の計画停電で、これに備える目的でも蓄電池の需要が増えているという。
聞き手は、ネットメータリングからネットビリングタリフ(NBT)への移行が消費者の行動をどう変えるのかを尋ねた。紹介役によれば、移行前は昼間に発電した電気をそのまま売っていた。移行後は、昼間の太陽光発電を系統に流しても安い価格にしかならず、蓄電池を併設しないと経済的なメリットが出にくい。その結果、太陽光単体ではなく太陽光と蓄電池をセットで導入する流れに変わったという。補足として、移行後に住宅用太陽光の蓄電池併設率が10%から60%に急上昇したという話も紹介された。
停電の深刻さについても質問があった。紹介役によると、特にカリフォルニア州では、山火事を防ぐため電力会社が事前に決めて意図的に送電を止める計画停電が制度化されており、数日間の停電が起こりうる。これが毎年起こると考えると影響は大きいという。聞き手は、日本のようにインフラが整った国では考えにくい事態だと応じ、紹介役も、日本は停電率が非常に低いがカリフォルニアでは事情が違うと述べた。
「フランケンシュタイン型」システムの二重のペイン
Lunar Energyは、既存の住宅エネルギー市場を「フランケンシュタイン」のような継ぎはぎのシステムと呼んでいる。太陽光パネル、蓄電池、EV充電器、分電盤がそれぞれ別のメーカーで、アプリもメーカーごとに分かれている。住宅の所有者は太陽光は太陽光のアプリ、蓄電池は蓄電池のアプリ、EV充電はまた別のアプリと、ばらばらに管理しなければならない。見づらくスマートではないというのが、利用者側のペインである。
このフランケンシュタイン状態は施工業者にもペインを生んでいる。別々のメーカーの機器をつなぎ合わせるための複雑な配線、分電盤の改修工事、許認可の手間が利益を圧迫しているという。紹介役は、エンドユーザーだけでなく、実際に商品を勧める施工業者のペインにも焦点を当てている点を面白いと評価した。
分電盤改修の負担について聞かれると、紹介役は日米の違いを挙げた。アメリカでは住宅設備が古いことが多く、蓄電池を追加する際に分電盤ごと交換しなければならないケースが多い。これだけで数千単位のコストがかかり、工期も長くなり、追加の許認可も必要になる。ここが大きなボトルネックになっているそうだ。
聞き手は、機器の統合なら他社もやっているのではないかと問うた。紹介役によれば、Teslaも自社製品での統合を進めている。一方Lunar Energyは後発であることを逆に強みとし、最初から太陽光、蓄電池、分電機能を一体化したアーキテクチャを採用しているという。またTeslaは自社製品で統合を閉じているため、他のさまざまなメーカーの機器を組み合わせる構成は作りにくい。そこで住み分けて勝負できると考えているようだ、と紹介役は説明した。
解決策:統合ハード、一つのアプリ、年約800ドルの経済価値
Lunar Energyの解決策は、ハードウェアを統合して施工を簡略化し、エンドユーザーにはアプリ一つで完結する体験を提供することだ。紹介役が「言われたら確かに買ってしまうかもしれない」と感じたのは、経済価値を明確に示している点だった。
同社は、Lunar AIによる最適化で年平均338ドルを節約できるとしている。AIが天候、料金、消費パターンを学習し、最適な充放電を全自動で実行するためだという。さらにVPPに参加すると年平均464ドルの報酬が得られるとうたっている。合計で年間約800ドルの価値が生まれる計算で、「何もしなくてもAIが稼いでくれる家電」という位置付けになっている。
ただし464ドルという数字はどこでも得られるわけではない。紹介役によれば、現時点ではVPPプログラムが充実した特定の地域や、特定の電力会社との契約における平均であり、地域によって条件はかなり異なるようだ。
聞き手はAIによる最適化は真似できそうだと指摘した。紹介役は、仕組みやロジック自体はある程度模倣可能だと言われていると認めた。そのうえで同社が強みとして挙げるのは、家のメインメーターのデータと、インバーターや蓄電池の制御権を握っていることだ。スマート家電しか制御できない他社より多くの情報を使えるため精度が高い、と同社はうたっているという。
ソフトウェアの基盤は、Lunar Energyが買収したイギリスのMoixaが開発していたGridshareである。Moixaは伊藤忠の蓄電池を通じて日本ですでに数万規模の運用実績を積んでおり、最適化についての学習も進んでいる。その強みがそのまま生きている、と紹介役は説明した。
市場規模と需要を押し上げる三つのドライバー
TAMとしてはアメリカの全7,500万世帯が想定されている。初期のターゲットは、電気代の変動が激しく停電リスクも高いカリフォルニア州やテキサス州だ。
市場拡大のドライバーとしては三点が挙げられた。一点目は規制の変化で、自家消費や蓄電へのインセンティブが高まっていること。二点目はグリッドの不安定化で、異常気象や山火事によって停電リスクが常態化していること。三点目はVPPの政策的推進で、インフレ抑制法などを通じて系統負荷を減らすための投資が拡大していることだ。
このトレンドが中長期的に続くのかという質問に対し、紹介役は続くと言われていると答えた。AIデータセンターの増加で電力不足は全米で続き、むしろ深刻化するとみられている。そのため各家庭のバッテリーを束ねてピーク需要を抑えるVPPの必要性は今後さらに高まると考えられているという。
聞き手はBase Powerもテキサス州を狙っていることに触れ、テキサスは特殊なのかと尋ねた。紹介役によれば、テキサス州は電力市場が完全に自由化されており、猛暑の日や寒波のときには電力価格が極端に高くなる。非常に極端なダイナミックプライシングがあるため、AIで充放電を最適化したときの効果が大きくなるようだ。
ビジネスモデル:ハード販売とSaaS・VPP収益の組み合わせ
Lunar Energyは、ハードウェア販売とSaaS・VPP収益を組み合わせたハイブリッドモデルを取っている。ハードウェアは施工業者を通じてLunarのシステムとして販売し、初期の大きな売上をつくる。ただし長期的にはハードウェアがコモディティ化してマージンが圧縮されやすいというリスクがある。
そこで、売り切りにせず、販売したハードウェアを自社OSであるGridshareに接続させる。VPPアグリゲーターとしての運用手数料やソフトウェアの利用料で粗利を継続的に積み上げる。紹介役はこれをSaaS企業のように収益が積み上がるユニットエコノミクスだと説明した。
ハードウェア単体で儲けるつもりはないのかという質問には、ハードウェア単体で利益を出さないわけではないようだと答えた。ただ創業者自身が、最終的な価値はハードウェアではなくソフトウェアによる制御とオーケストレーションにあると話している。ハードウェアは良いデータと制御権を得るための入り口という側面が強い、というのが紹介役の説明だ。
製品戦略:Apple型のUXとAndroid型のオープンOS
紹介役が特に面白いとしたのが製品戦略だ。自社ブランドの蓄電池を売るときは、Appleのようにハードからソフトまで完全に統合された、ノイズのない最高のUXを提供する。一方、VPPソフトウェアのGridshareはAndroid的で、施工業者のSunrunなどが扱う他社製の蓄電池やEV充電器も裏側で束ね、VPPとして制御できるオープンなOSとして機能している。自社ハードでUXの水準を上げつつ、プラットフォームとしては他社デバイスも取り込み、家庭のエネルギーを面で押さえていく作戦だという。
他社製デバイスに簡単にアクセスできるのかという問いには、API連携やオープンプロトコルを通じて接続していると紹介役は答えた。Moixaは過去8年間、欧州や日本でさまざまなメーカーと接続してきた実績があり、それが生きているようだ。
10年後、20年後の理想像として同社が描くのは、全米の家庭がネットワーク化された仮想発電所となり、大規模な化石燃料のピーク対応発電所が不要になって、グリッドの調整力を家庭が担う姿である。
ロードマップとSunrun・Octopus Energyとの連携
ロードマップは、カリフォルニアから始めて最終的にはグローバル展開を目指すものだ。フェーズ1では、全米で最も規制が厳しく市場も熱いカリフォルニアで、プロダクトマーケットフィットの証明に注力した。そのために最新の火災安全規格をいち早くクリアしたという。
現在のフェーズ2は拡販の段階で、自社で営業担当者を雇うのではなく、全米最大の施工会社Sunrunや電力小売のOctopus Energyと組んでチャネルを広げている。将来的には、ソフトウェア基盤であるGridshareのグローバル展開を狙っている。日本ではすでにエコキュートなど、蓄電池以外の電力負荷の制御にまで領域を広げているそうだ。
Octopus Energyと組むメリットは営業だけなのかという質問に、紹介役は、Octopusは高度なダイナミックプライシングの仕組みを持つテック色の強い電力会社だと説明した。これをLunarのAIと連携させることで、初期費用ゼロ・月額固定といった、業界にとって画期的な電力とハードウェアのバンドル商品を共同開発することを狙っているという。
競争優位とポジショニング
同社が挙げる強みは五つある。一つ目は5kW単位のモジュール設計で容量を柔軟に変えられること。二つ目はAIが毎日最適化を行うアルゴリズム。三つ目は分電盤の改修を回避でき、施工が簡略化されること。四つ目はGridshareがこれまで蓄積してきたデータ資産。五つ目はアメリカ国内での組み立てによる税制優遇である。
ポジショニングマップでは、横軸にソフトウェア・VPPの開放性、縦軸にUXの統合度を取り、Lunar Energyは開放性も統合度も高い位置にあるとしている。TeslaはUXの統合度は高いが自社製品に閉じている。他のエナジーハブ系はオープンだがソフトに特化し、自社ハードを持たない。Lunarはそのいいとこ取りを狙うポジションだという。
モジュール設計のメリットについて問われると、紹介役は、家の広さ、消費電力、居住人数、停電時にどれだけの家電をバックアップしたいかが家庭ごとに大きく異なる点を挙げた。たとえば30kWの大きな単一バッテリーだけを用意するのではなく、小さな単位でモジュール化すれば顧客ごとに容量を調整できる。そうした設計が好まれ、強みになっているという。
GTM戦略:直販せずパートナー経由で広げる
参入戦略の特徴は、直販をせず、施工会社や電力小売をパートナーとして市場に入る点にある。紹介役によれば、ハードウェア系スタートアップは営業担当者を大量に雇い、自社でトラックを走らせて施工までやろうとして資金を消耗することがよくある。Lunarはそれを避け、全米最大手の太陽光施工会社Sunrunを販売・設置のチャネルとし、自社はハードとソフトの提供に徹している。電力契約の獲得もOctopus Energyに任せている。
ターゲットは比較的わかりやすい。NBTへの移行で太陽光パネル単体では経済性が悪化したユーザーに対し、節約でき、電力も売れるというメリットを武器に、パートナー経由でアプローチしている。
聞き手は、パートナーが本当に担いでくれるのかを疑問視した。Tesla製品なども扱うSunrunが、なぜLunarを推すのか。紹介役は、SunrunがLunar Energyに出資していることが大きく、それが一番の理由だろうと述べた。ただ、施工が早く簡単であることや、VPPソフトとしてのGridshareの優秀さといった実利もあって支持されているのではないかという。こうしたパートナー戦略の背景として紹介役は、CEOがTesla Energy時代に直販・直施工の大変さを味わったため、エコシステムのパートナーを活用する方向に舵を切ったのではないか、という推測も示した。
創業経緯:元Tesla Energy責任者と2年間のステルス開発
CEOのKunal Girotra氏は、2015年から2020年までTesla Energyのトップとして市場を牽引していたという。その中で、ハードとソフトが分断された住宅エネルギー市場の構造的な課題に着目し、それを一から再構築するために独立した。
2020年にステルスで起業した時点で、ハードとソフトの両方を作るという難度の高い計画だったにもかかわらず、Sunrunなどから3億ドルのシード資金を集めていた。そこからTeslaなどのエンジニアを引き抜いて2年間潜り、2022年に完成した製品とともに表に出てきた。
聞き手は、製品がない段階でSunrunのような大企業が出資したことに驚いた。紹介役は、施工が難しくソフトの統合も不十分な蓄電池システムにSunrun自身がペインを抱えており、自社ビジネスの効率化のためにも欲しかったのだろうと推測した。
2年間ステルスを続けた意図については、紹介役が動画で確認した内容を紹介した。早すぎる発表は期待値のコントロールを難しくする。その段階で出せるものでは期待に届かない。だからプロダクトが顧客の手元に届くレベルに達し、目処が立ってから出そうとした、と説明されていたという。
Moixa買収で「時間を買う」
紹介役がLunar Energyの一番大きな転機としたのがMoixaの買収だ。同社はソフトウェアをゼロから開発することを捨て、M&Aで開発期間を買った。複雑な電力データ、VPPのアルゴリズム、多数のデバイスを制御するバックエンドを自前で作れば数年はかかる。その間にバグのあるプロダクトを出せば、顧客の信頼を失うリスクもある。そこで、すでに欧州や日本で実証を重ね、13万規模の運用実績を持っていたMoixaを買収した。ハードウェアのアーキテクチャ設計はコアコンピタンスとして自社に残して磨き、時間のかかるアルゴリズムの学習データと知見は買収で取り込むことでスピードを上げた、という整理だ。
初期から買収するという手段は他でも使えるのか。聞き手の問いに、紹介役は「使えるかどうか」と「実行できるかどうか」は別だと答えた。使えるかという点では、データの蓄積がないとAIの精度が上がらない領域、たとえば自動運転や今回のエネルギー制御では、アルゴリズム以上に学習済みデータと運用実績が有効になるので、使えると思うという。
実行できるかについては、Moixa側の事情を推測として挙げた。Moixaはソフトウェアは優れていたが、ハードウェアを自社展開する資金力がなく、北米市場へのアクセスも難しかったようだ。Lunarの大きな資本とビジョンに合流したほうがソフトウェアプラットフォームの覇権を握れると判断したのではないか、と紹介役は見ている。買われる側にも明確なメリットがあれば買収は成立しうる、というのが紹介役の整理だった。
資金調達と保有リソース
資金調達の規模はかなり大きい。シードの3億ドルに加え、シリーズCで1億3,000万ドル、ちょうど発表されたシリーズDで1億200万ドルを調達し、累計5.3億ドル、日本円で約800億円規模になるという。資金以外にも、13万台のデバイス、管理下にあるストレージ容量1.2GWh、インバーター容量650MWを持ち、かなりの規模の発電所に匹敵するリソースをすでに持っている、と紹介役は述べた。
これほどの資金の使い道を問われ、紹介役は、ハードウェアの量産体制の構築、R&Dラボの維持、MoixaなどのM&A資金、ソフトウェア開発チームの人件費に使われていると説明した。
日本で起業するなら:エコキュート連携と制度の行方
最後に、このアイデアで日本で起業する場合についてAIに考えさせた内容が紹介された。アメリカ型の大型ハードウェアをそのまま持ち込むのは難しいとされた。狭小住宅、複雑な配電盤、異なる系統規制、すでにエコキュートなどが普及している点など、条件が違うからだ。
AIが勧めた案Aは、エコキュート連携型である。ダイキンのエコキュートなど、日本の家庭にすでに普及しているお湯を沸かす機器を「バッテリー」としてVPPに組み込み、自社ハードウェアを持たずソフトウェアで攻めるというものだ。ただ紹介役は、Lunar Energy自身がGridshareを通じてすでにダイキンと組み、太陽光の余剰吸収をAIで制御するアプリを展開しているため、今から参入してどう勝つかはかなりの課題だと指摘した。そのうえで、国内にはさまざまなメーカーがあるので、それらのAPIを束ねる裏側のOSを取るのはありではないか、というのがAIの意見だったという。
聞き手は、日本でVPPがビジネスとして本格的に成立するかは制度次第ではないかと尋ねた。紹介役によれば、容量市場や需給調整市場といった制度設計は進んでいる。2026年以降、低圧の家庭用リソースのアグリゲーションに関するルールが整備されるにつれてVPPのマネタイズが可能になっていくだろう、という過渡期にあるようだ。
番組の結論:統合UX、時間を買うM&A、政策とパートナーの取り込み
まとめとして紹介役は四つのポイントを挙げた。第一に、ハードとソフトの融合による「経済的なUX」。顧客にエコ意識や専門知識を求めず、AIが裏側で自動的に稼いでくれる体験を作った点だ。第二に、VPPのアルゴリズムや実績をゼロから作らず、M&Aで時間を資本で買った決断。第三に、インフレ抑制法の補助金、NBTへの規制変化、施工業者のペインといったマクロの変化を自社のビジネスモデルに組み込んだこと。第四に、エンドユーザーだけでなく商品を売ってくれるパートナーのペインも取り除くことで、販売を促進できた点である。
聞き手は感想として、政策や規制が変わって需要が動いたタイミングで一気に資金を集め、これだけ大きな勝負ができるのはアメリカらしいと述べた。紹介役もそれに同意しつつ、規制の変化を事業に取り入れることは日本でもできると応じた。特にエネルギー分野はその側面が強いので、規制の変化を見ながらビジネスを考える必要がある、というのが番組の締めくくりだった。
皆さん、こんにちは。FoundXの村田です。
ちょっと雑談です。ちょっと前も話したんですけど、イブル使いなくなった関係でですね、AnthropicのClaudeとChatGPTって今どんな割合なんだろうというのでちょっと調べたので、お話しできたらと思います。
ちょっとニュース記事なので、調査がどれくらい信用できるかっていうのは置いといてなんですけど、シンガポールのフィンテックSaaSのAspireさんの調査だと、1年前はOpenAIのChatGPTの方がAnthropicの4倍以上だったけど、今はそれが1.5倍までに減ってるっていうことだったので、かなりClaudeが伸びてるらしいのがシンガポールの状況です。一方、じゃあ日本はどうなのかっていうのを、今度は別のSDパートナーさんの調査が東京新聞さんに載ってたので、それを見てみると、全社標準だとChatGPTが45%らしいと。ただ、その会社の標準じゃないものを個人で併用してるっていう人について何使ってますかって聞くと、ChatGPTが50%ぐらいで、Claudeが20%ぐらいだったということで、いずれにせよやっぱ日本だとまだまだChatGPTが多くて、まだClaudeはそこまでという状況みたいです。
そうなんですね。Geminiが結構追いついてきてるという話を聞きましたが、日本は結構多いですね。
そうですね。全社標準だとGeminiが30%弱ぐらいで、併用してる人は40%ぐらいっていうことなので、なんていうか、手軽というか、使いやすいとか、併用するのにいいツールみたいな扱いなのかもしれないですね。またこれは様変わりしてくると思うので、どう変わってくるかというところですが、今のところそんな感じです。
では、IdeaCastのコーナーに移りたいと思います。FoundX Review スタートアップ IdeaCastですが、海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析して紹介する番組になります。これからアイデアを考える方のご参考になればと思います。最初にディスクレーマーですが、この番組はAIを活用して情報を整理しているので、一部の情報は古かったり間違ったりしている場合もあります。ファクトを重視される場合は、必ずご自身で調べていただくようお願いいたします。この番組はですね、あくまでそこからアイデアの参考情報や考え方を引き出すことを主な目的としています。そして今日ご紹介するスタートアップですが、Lunar Energyというものになります。今回これを何で選んだんでしょうか?
そうですね。なんていうか、トップの人物がTesla Energyの方で、その方が電力の問題に取り組むんですけど、お家の電力のソフトウェアだけではなくて、ハードウェアも全部取り組むみたいなところで、すごく大きなハードルの高いことをなさってるように見えるので、そういった点が面白いなと思って選びました。
このLunar Energyですが、どういったことをしている会社かと言うと、住宅用の蓄電池や分電盤といったハードウェアと、それに加えてAIによる充放電の最適化や、仮想発電所、VPPのソフトウェアを統合して提供して、その結果、家庭を分散型発電所に変えていこうとする、エネルギー系のスタートアップになります。
では続けて、Lunar Energyの全体像についてです。ここではですね、Lunar Energyがどういうことを目指しているかというのと、なぜ今この事業が成立するかについてお話ししたいと思います。Lunar Energyのビジョンですが、住宅を電化して、家庭を分散型発電所へ変えるということになります。ですので、各家庭が小さな発電所になっていくような世界観を目指してやっている会社になります。
なぜ今かというところについては、まず、アメリカの会社、アメリカの状況なんですが、電気代が年々上がっているそうです。それに加えて、規制が変化したということです。これによってですね、太陽光の発電で余った電気を、前は高く買い取ってもらってたそうなんですけど、それが高く買い取ってもらえなくなったので、であれば売るのではなくて蓄えて、電気代が高い時間帯に使うというのが、その価値が相対的に上がったそうです。加えて、気候変動によって山火事対策でですね、計画停電が起こっているそうでして、その計画停電に備えるといった意味でも蓄電池の需要が増えているそうです。
このネットビリングタリフみたいなことが言われてたりしますが、この移行というのは具体的に、消費者の行動をどう変えていくっていう感じなんですかね。
そうですね。その移行の前だと、昼間に発電してそれをそのまま売るってことをしてたみたいなんですけど、ネットビリングタリフに移行したことによって、昼間に太陽光で発電した電気をグリッドに流しても安くしかならないので、蓄電池を併設しないと経済的なメリットが出にくくなったそうです。なので、太陽光発電単体から、太陽光プラス蓄電池のセットの導入になるように変わったそうです。
あと停電への不安、山火事とか、やっぱりそれってかなり深刻な問題なんですかね。
そうですね。深刻だそうですね。特にこのカリフォルニア州だと、その山火事を回避するために、電力会社が意図的に事前に決めて送電を止めるような計画停電がですね、制度化しているそうでして、そうすると数日間の停電が起こりうるそうなんですね。なので、そういうのが毎年起こると考えると、なかなか大きな影響だなと思います。
日本みたいなインフラ整った国だとあんまり考えられないような感じのことですね。
そうですね。停電率は日本はすごい低いんですけれども、カリフォルニアだとまた事情が違っているみたいです。
補足でですね、さっき規制の変化で、太陽光パネルから太陽光パネルプラス蓄電池になるってことをお話ししたんですが、実際に移行した後、住宅太陽光の蓄電池併設率っていうのが10%から60%に急上昇したっていう話もあるそうで、かなりここが大きな転換点になっているかなと思います。
では次はですね、顧客の抱える課題についてお話ししたいと思います。既存の住宅エネルギーシステムだと、彼らはですね、フランケンシュタイン問題と言っているような状態が起こっていて、それはターゲット顧客の方にも施工業者にも、どちらにもペインがあるというような状況になっているということです。
まず、Lunar Energyですが、既存の市場をフランケンシュタインのような継ぎはぎのシステムと呼んでいます。というのは、メーカーごとにそれぞれアプリが必要で、かつ分電盤はこれとか蓄電池はこれみたいな感じで、メーカーも異なってくるので、アプリがたくさんあると。なので、太陽光のパネルは太陽光のアプリ、蓄電池は蓄電池のアプリ、EVに充電する時はそのアプリみたいな感じで、別々に管理しなければならないので、見づらい、スマートじゃないというのが、住宅を持っている方のペインになります。
一方で、このフランケンシュタイン状態っていうのは、施工業者の方にもペインを生じさせています。彼らは別々の機器、別々のメーカーの機器を繋ぎ合わせるための複雑な配線とか、分電盤の改修工事とか、許認可の手間っていうのが、かなり利益を圧迫しているそうです。なので、Lunar Energyの面白い点としては、住宅を持っているエンドユーザーだけではなくて、実際に商品を勧める施工業者の方のペインにもフォーカスしているというのが、ちょっと面白い点になります。
分電盤の改修工事とかっていうのは、施工業者にとってどれぐらい負担があるんでしょうか?
そうですね。これも多分日本とアメリカで違う点だとは思いますが、アメリカだと家の設備が古いそうでして、蓄電池を追加する際に分電盤ごと交換しなければいけないケースが多いそうなんですね。そうすると、これだけでコストとして数千ドルほどかかるそうで、工期も長くなりますし、許認可も追加で必要になってくるということで、ここが大きなボトルネックになっているそうです。
これから話されるかもしれませんが、割と他社も同じようなことやってるのかなと。機器の統合とかやってるかなと思うんですが、どうなんでしょう?
そうなんですよね。Teslaも自社製品での統合を進めてはいるんですが、Lunar Energyは後発なので、逆にその強みを生かして、最初から太陽光とか蓄電池とか分電盤、分電機能とかを一体化したアーキテクチャーを使っているそうです。あとは、Teslaとかが自社製品で統合しちゃうので、他の色々なメーカーを組み合わせたものを作りづらいっていうようになるので、そこでうまく住み分けというか、そっちで勝っていけるんじゃないかってことみたいです。
では続いて、解決策についてお話ししたいと思います。すいません。Lunar Energyの解決策ですが、ハードウェアを統合して施工を簡略化することと、プラスエンドユーザーにとってはアプリが1つで完結するというのが、ソフトウェアの対応になっています。
あとこれは、こう言われたら確かに買っちゃうかもなと思ったんですけど、経済価値を明確にしている点が面白い点で、Lunar AIというので最適化をすると、年平均で338ドル節約がまずできますよと。これは天候とか料金とか消費パターンをAIが学習して、充放電を最適なように常時自動で実行するから節約できますよってことで、それが338ドル。プラス、そのVPPに参加することで収益を得られて、それが年間平均464ドルの報酬が得られるというふうに謳っていると。ですので、合計で年間800ドルほどの追加の利益を生み出す。節約もあるので生んでるのかちょっとわかんないですけど、出てくると。つまり、何もしなくてもAIが稼いでくれる家電っていうような位置付けで見られるようになっています。
この464ドル儲かるとかっていうのは、どこでもそうなんですかね。
これはですね、今のところは特定の地域限定で、VPPのプログラムが充実しているような地域とか、あとは特定の電力会社との契約での平均っていうことになるみたいなので、地域によってかなりこの条件は異なってくるようです。
このAIによる最適化って、真似できそうな気がするんですが、どうなんでしょう?
そうですね、その仕組みとかロジック自体は、ある程度模倣可能だと言われています。一方で、強みとして彼らが言ってるところとしては、家のメインメーターのデータと、インバーターや蓄電池の制御権っていうのを握っているので、スマート家電しか制御できない他社よりは、もう少し情報量も含めてできるので、精度が高いというふうには謳っているそうです。
このソフトウェアについては、この後もちょっと話すんですけど、イギリスのMoixa社っていうのを彼らは買収していて、そのMoixa社が作っていたGridshareというソフトウェアプラットフォームがベースになっていますと。このMoixa社がですね、伊藤忠の蓄電池で、日本でもすでに数万規模の運用実績を積んでいるので、そこの最適化についても学習しているということのようで、なのでその分の強みがそのまま生きてきてるってことになっているそうです。
では市場についてです。TAMとしては、一旦アメリカの全世帯の7500万世帯が当たりますと。一方で初期のターゲットとしては、先ほど触れました、カリフォルニア州とかテキサス州とか、電気代の変動が激しくて、かつ停電のリスクが高い州にフォーカスしているそうです。この市場が大きくなるドライバーとして3点挙げていて、1点目が規制の変化でですね、自家消費とか蓄電のインセンティブが高まっていること。2点目がグリッドの不安定化ですね。異常気象とか山火事によって停電リスクが常態化していることです。3点目がですね、VPPの政策的な推進っていうので、インフレ抑制法などで、系統への負荷を減らすように投資が拡大しているということのようです。
これは中長期的に続くトレンドに乗ってるっていう感じなんでしょうか?
そうですね。続くだろうと言われているようです。AIデータセンターが増えていったようなことで、電力不足自体は全米で続くだろうと、続くどころか深刻化するだろうというところでして、なので、各家庭のバッテリーを束ねてピーク需要を抑えるVPPの需要自体は、今後高まるだろうと考えられているそうです。
あとはBase Powerとかもテキサス州を狙ってるっていう話ですが、テキサスって特殊なんですかね。
特殊みたいですね。テキサス州は電力市場が完全に自由化されているらしくて、そうすると、とっても暑い猛暑の日とか寒波の時には電力価格がものすごく高くなってしまう、すごい極端なダイナミックプライシングになっているので、そうするとAIで充放電を最適化すると、効果が大きくなるってことのようです。
では、彼らの取っているビジネスモデルについてです。そうですね、彼らはハイブリッドのモデルを取っています。ハードウェアの販売と、SaaS・VPPの収益の2つになっています。ハードウェアの収益については、施工業者を通じてLunarのシステムを販売していきます。ここで初期の大きな売上高を作っていきますが、一方で長期的には、結局ハードウェアがコモディティ化してしまって、マージンが圧縮されやすいっていうリスクもあります。ですので、売るだけではなくて、売り切りではなくて、その売ったハードウェアをGridshareという自社のOSに接続させて、VPPのアグリゲーターとしての運用の手数料とか、ソフトウェアのSaaSの利用料で粗利を継続的に積んでいくっていうようなモデルを取っているそうです。なので彼らとしては、SaaS企業のようにですね、収益も積み上がるというようなユニットエコノミクスを取っているってことになります。
じゃあハードウェア単体で儲けるつもりはあまりないんでしょうかね。
そうですね。ハードウェア単体で利益を出さないというわけではないみたいなんですが、ただ創業者自身が話してるところでも、最終的な価値としては、ハードウェアではなくて、ソフトウェアによる制御とオーケストレーションにあるっていうふうに言っているので、ハードウェアはあくまで、いいデータと制御権を取るための入り口というような側面が強くなっているそうです。
では、彼らの取っている戦略についてです。ここは少し面白いところで、自社ブランドの蓄電池を売る時には、Appleのようにですね、ハードからソフトまで完全に統合された、とってもノイズのない最高のUXを提供しているそうです。一方で、彼らが使ってるVPPのソフトウェア自体はAndroid的です。なので、施工業者のSunrunさんとかが扱ってるような他社製の蓄電池とか、EVの充電器も裏側で束ねて、VPPとして制御できるオープンなOSとして機能しているそうです。なので、自社のハードでUXのレベルも上げつつ、プラットフォームとしては他社のデバイスも取り込んで、家庭の電力を面で全部取っていこうというような作戦を取っているそうです。
その他社製のデバイスを制御する権利とかで、Lunar Energyのソフトウェアが簡単にアクセスできるもんなんですかね。
そうですね。APIの連携とかオープンプロトコルを通じて接続しているそうです。そのソフトウェアを作っていた、買収したMoixa社がですね、過去8年間に、欧州であったり日本でも、色々なメーカーと繋ぎ込んできたっていうことのようで、その実績が生きてくるようですね。
彼らの10年後、20年後の理想像としては、全米の家庭がネットワーク化された仮想発電所となって、大規模な化石燃料のピーク対応発電所が不要になって、グリッドの調整力を家庭が担うっていうようなところを狙っているそうです。
では、彼らのロードマップについてです。そうですね、カリフォルニアから始まって、最終的にはグローバルに至りたいというようなところで、だんだん事業を拡大していくステップを彼らは踏んでいます。まずフェーズ1ですが、初期については、全米で最も規制が厳しくて、市場が熱い状況にあるカリフォルニアで、プロダクトマーケットフィットを証明することに注力したそうです。そのためにですね、最新の火災の安全規格をいち早くクリアしているそうです。現在、フェーズ2としては拡販を行っていくんですが、そこでは自社で営業マンを雇うのではなくて、全米最大の施工会社Sunrunさんや、電力の小売事業者Octopus Energyと組んで、チャネルを拡大しているっていう状況のようです。将来的にはですね、ソフトウェアの基盤であるGridshareのグローバル展開を狙っていきたいと考えているそうです。実は日本だと、すでにエコキュートとか、蓄電池以外の電力負荷の制御にまで領域を広げているそうです。
Octopus Energyみたいな電力会社と組むメリットっていうのは、営業だけなんですかね。
そうですね。Octopusがですね、すごい高度なダイナミックプライシングの仕組みを持っている、テックの強い電力会社になっているそうです。ですので、これをLunar EnergyのAIとも連携させることで、初期費用0で月額固定っていったような、業界にとってとても画期的な電力プラスハードウェアのバンドルの商品を共同開発できるっていうのを狙って組んでいるそうです。
では、彼らの強みと競合についてです。彼らは強みを5つ挙げていますが、1点目がですね、5kWhでモジュール設計をしているので、容量を柔軟に変えることができます。2点目としては、AIによってですね、毎日最適化を行うようなアルゴリズムがあるので、そういったものが強みになっています。3点目がですね、分電盤の改修を回避するようなことができて、施工が簡略化されることになるそうです。4点目が、Gridshareのこれまでのデータの資産があるというところと、そして、アメリカ国内の組み立てなので、税制で優遇されるっていうことがあるようです。
彼らの競合というか、マップのどういった位置に属するかというところについては、そうですね、横軸がソフトウェア・VPPの開放性、縦軸がUXの統合といったところで、彼らは開放しているし、UXは統合しているってようなポジションを取っているとしています。競合としてTeslaもありますが、TeslaだとUXの統合度は高いけれども自社製品で閉じている。他のエナジーハブなどはオープンではあるけど、ソフトに特化して自社のハードを持たないっていうところになっているので、いいとこ取りを狙っているポジションになっているようです。
モジュールで柔軟に容量を変えられるっていうのは、どういうところがメリットになってくるんでしょうか?
そうですね。日本でもそうだと思うんですが、家の広さとか消費電力、何人住んでるかでも変わりますし、あとは停電した時にどれぐらいの家電の量をバックアップしたいかっていうのが家庭ごとに全然異なるので、大きな単一のバッテリーで、例えば30kWhだけですよっていうのではなくて、もう少し小さい単位でモジュール化することによって、お客さんごとに容量調整できるので、そういった設計が好まれるというので、強みになっています。
では、彼らの参入戦略についてです。先ほども少しお話ししたんですが、彼らはですね、自社で直販するのではなくて、施工会社であったり電力の小売とパートナーを組んで、そこからマーケットに入っていこうとしている状況です。ハードウェア系のスタートアップだと、直販する営業のセールスパーソンを大量に雇って、自社でトラックも走らせて施工までやろうっていうことをよくやって、それで資金ショートすることがあるんですが、それを避けましたと。Sunrunという全米最大手の太陽光の施工会社を販売と設置のチャネルとして使っていて、自分たちはハードとソフトの提供に徹しているそうです。また同様にですね、電力契約の獲得はOctopus Energyに任せているそうです。なので、ターゲットとしては割と分かりやすくて、規制が変わってNBTに移行して、太陽光のパネル単体だと経済性が悪化したユーザーに対して、節約もできてかつ電力も売れますよっていうメリットを武器にして、パートナーを経由してアプローチしている状況になります。
パートナーを使って売っていくのが効率的ではあると思いつつ、ただ担いでくれるかどうかって結構あれかなと思ってて、例えばSunrunから見た時に、Teslaとかの他社製品も扱ってる中で、なんでLunar Energyを推すのかっていうと、どういう仕組みなんでしょう?
そうですね、Sunrunの投資先にLunar Energyが入ってるっていうのが大きいそうで、そこが1番だろうなと思うんですが、ただLunar Energyがすごく尖った製品というとそういうわけではなくて、施工が早くて簡単だったり、VPPのソフトウェアとしてGridshareが優秀っていったような実利もあるので、支持されてるようになるのかなと思います。
こういったパートナーを組むに至った背景としてはですね、Lunar EnergyのCEOの方がですね、Tesla Energy時代に、直販・施工の大変さっていうのをすごく味わったそうで、であればエコシステムのパートナーシップを組んでそっちを活用しようっていうふうに舵を切ったという背景があるんじゃないかと考えられますね。
では、起業のプロセスについてです。まず代表がKunalさんという方なんですが、この方ですね、2015年から2020年まで、Tesla Energyのトップとして市場を牽引していたそうです。その中でですね、ハードとソフトが分断されている住宅エネルギー市場の構造的な課題に着目して、それを1から再構築するということで独立をしたそうです。当初はですね、2020年にステルスで起業したそうです。この時に、ハードとソフトどっちも作るっていう、とっても難易度の高い計画だったんですが、この時点でSunrunなどから3億ドルというシードの資金を集めていたそうです。そこからですね、TeslaやLyftなどからエンジニアを引き抜いて、2年間潜って、2022年に完成された製品と共に世に出てきたっていうことになるそうです。
まだ製品がない段階で、Sunrunみたいな大きな企業が出資したってのはすごいですね。
そうですよね。よっぽどニーズがあったんだろうなとは思います。施工も難しいし、ソフトウェアの統合も不十分だっていうような蓄電池のシステムに、すごくペインを抱えていて、自社のビジネスを効率化するためにも欲しいというふうに思ったので、調達できたのかなとは思います。
ステルスで2年っていうのは、どういう意図だったんでしょうか?
そうですね。私も気になって動画見てみたんですが、早すぎる発表をしてしまうと、期待値のコントロールがしにくくなる。発表して、実際その段階であるものを言っても、全然多分期待値に届かないものになってしまうので、それではなく、プロダクトが実際に顧客の手元に届くようなレベルに達して目処がついてから出そうということで、そういった意味でステルスを貫いたというふうに言われていました。
では次に、学びと初期の歩みについてです。ここがですね、Lunar Energyの1番大きな転機としてあるだろうというところで、Moixa社の買収についてお話ししたいと思います。彼らはですね、ソフトウェアを0から開発するということを捨てて、M&Aでですね、その開発する時間を買うということをやっていったそうです。彼らがやりたいようなシステム、複雑な電力のデータとかVPPのアルゴリズム、そして多数のデバイスを制御するようなバックエンドを自前で作ると、数年ぐらいはかかるだろうと。かつ、その間にプロダクトを出してると、バグもあるので、顧客の信頼を失ってしまうリスクもあると。なので、すでにヨーロッパであったり日本でですね、実証を重ねていて、13万台規模で運用の実績を持っていたMoixa社を買収したそうです。なので、コアコンピタンスとしては、ハードウェアのアーキテクチャー設計とかっていうのは残して自社で磨いて、ただ、その時間のかかるようなアルゴリズムの学習データと知識については、もう買収して自分のものにしていくというところで、スピードをアップしていって、早めることができたということみたいです。
初期から買収するってすごいなと思うんですけれど、他にも使えますかね?この手段は。
使えるとは思うんですが、できるかという話はまた別かもしれないなとは思います。まず使えるかというところだと、多分使えると思います。特に、データの蓄積がないとAIの精度が上がらないといったような領域で、自動運転とか、今回のエネルギー制御とかにおいては、アルゴリズムもそうなんですけど、それ以上に学習済みのデータと運用の実績っていうのが有効になってくると思いますと。
できるかというところについて、今回Moixa社が買収を受け入れた背景としてはですね、Moixa社自体はソフトウェアはとっても優れていたんですが、ただハードウェアを自社で展開するような資金力もなかったりとか、北米市場へのアクセスが難しかったりしたそうで、なので、そういった意味でLunar Energyの大きな資本とビジョンに合流した方が、ソフトウェアのプラットフォームの覇権を握れるっていうふうに判断されたんじゃないかと考えられますと。なので、まあ、そうですね。買われる側にとっても何か明確なメリットがあれば買えるかも、というところかなと思います。
買収で資源があるねっていう話もしたんですが、彼らが持っている資源についてです。資金調達の規模がかなり大きくなっています。シードがですね、3億ドルだったんですが、直近ではですね、シリーズCとして130ミリオンに加えて、シリーズDで102ミリオンがちょうど発表されていて、なので累計5.3億ドルになっていて、日本円で約800億円規模の資本を獲得しています。それに加えてですね、資金だけではなく、13万台のデバイス、それから管理下にあるストレージの量が1.2GWh、そしてインバーターの容量としては650MWというところで、かなりの規模の発電所に匹敵するようなリソースをすでに持っているということになります。
これぐらいの巨額の資金は何に使うんですかね?
そうですね、ハードもあるので、どっちにも使っているということになるんですが、ハードウェアの量産体制の構築というのと、あとはR&Dのラボを維持すること、そしてMoixa社などのM&Aの資金と、あとはソフトウェアを開発するチームの人件費っていったところに使われているそうです。
では、このアイデアで日本で起業するならというところで、いくつかAIにも考えてもらいました。ただ、日本でこのアイデアを実行していくなら、アメリカの大型のハードウェアになるので、それは結構難しいというふうに考えられます。日本の市場の制約としては、狭小住宅とか、配電盤が複雑だったり、系統の規制が異なっていたり、すでにエコキュートなども普及していたりするので、ちょっと条件が変わってくるだろうということになっています。
AIがお勧めしている案Aとしては、エコキュート連携型になります。これは、ダイキンのエコキュートなど、日本の家庭にすでに普及している、お湯を沸かすようなバッテリーをVPPに組み込んでいくような、自社のハードウェアのアセットを持たないような、ソフトウェアで攻めていくってようなものになっています。ただですね、もうLunar Energy自身がですね、Gridshareで、すでにダイキンと組んで、太陽光の余剰の吸収をAI制御するようなアプリを展開しているそうなので、今から入ってもどうやって勝っていくのかというのは、かなり課題になりそうだなとは思います。ただ、日本でもしこのアイデアで起業するのであったら、国内メーカーが様々あるので、そこのAPIを束ねていくような裏側のOSを取るというのはありか、というのがAIの意見ですね。
日本でこのVPPがビジネスとして本格的に成立するっていうのは、多分制度依存だと思うんですけど、この辺りってどうでしょう?
そうですね、制度設計自体は今進んでいるところになっているそうです。容量市場であったり、需給調整市場っていったような制度設計は進んでいて、2026年、今年以降ですね、低圧の家庭用のリソースのアグリゲーションに関するルールが整備されていくにつれて、このVPP自体もですね、マネタイズが可能になっていくだろうという、今過渡期にある状況のようです。
では最後にまとめになります。今回お話しした内容のハイライトですが、1点目がですね、ハードとソフトの融合がもたらすような経済的なUXというところです。顧客にですね、エコ意識とか専門知識っていうのを求めずに、AIが裏側で自動的に稼いでくれるというように、顧客にとって経済的なUXを作った点が、面白いというか、特徴的な点になります。2点目が、買収をすることによってスピードアップを図ったことになります。VPPのアルゴリズムとか実績を0から作るのではなくて、M&Aによって時間を資本で買ったっていうような決断も、起業する方にとっては何かヒントになるかと思います。3点目としては、政策をビジネスモデルに組み込むということですね。インフレ抑制法の補助金であったり、NBTの規制の変化、それから施工業者のペインの解消っていったようなマクロの変化をですね、自社のビジネスモデルに取り込んでいったっていう点は、参考になるかと思います。あとはですね、エンドユーザーだけではなくて、商品を売ってくれるパートナーのペインも取り除くことで、販売も促進できる面があったので、そういった側面もですね、ビジネスを考える上では取り込んでいく必要があるかなと思います。以上です。
今日はLunar Energyをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
そうですね、政策や規制が変わった、需要が変わったタイミングで、ちょっと前からかもですけど、お金を一気に集めて、こんだけ大きな勝負ができるって、アメリカすごいなって思いましたね。
そうですね。大きな勝負ができるのはアメリカっぽいなとは思います。ただ、規制の変化を取り入れるという点では日本でもできることもありますし、なので規制の変化も見つつビジネスを考えていく必要があるなと。特にエネルギー系は一層その側面が強いと思います。
では今日はこちらで終了となります。FoundX Review スタートアップ IdeaCastですが、今後も皆さんのアイデアのためにですね、最新のスタートアップをご紹介していきたいと思います。ご興味のある方はですね、是非チャンネル登録や高評価をお願いいたします。またFoundXですが、各種プログラムで応募者の方を募集していますので、周りに起業を考えている方がいらっしゃったらですね、是非ご紹介いただけるとありがたいです。ではまた次回よろしくお願いいたします。ありがとうございました。ありがとうございました。
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