成田空港「第2の開港」は何を変えるのか 滑走路・物流・ターミナル統合から地域づくりまで
PIVOT 公式チャンネル成田空港は、拡張ではなく「第2の開港」という言葉で大規模な機能強化を進めている。この番組では、成田国際空港株式会社社長の藤井直樹氏と、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏が、なぜ今成田が変わるのか、何がどう変わるのかを語った。藤井氏は計画の中身と狙いを具体的に説明し、入山氏は人流と物流の結節点としての空港の戦略的な意味を強調した。聞き手は柴田彩氏である。
成田空港を運営する会社と、羽田との違い
議論の前提として、藤井氏は空港の運営形態を説明した。成田空港は、成田国際空港株式会社という1つの会社が空港全体の運営と将来の整備を担っている。これに対して羽田空港には運営を一手に担う会社がない。ビルを運営する会社があり、それも旅客と貨物で別々になっているなど、複数の会社が関わっている。空港全体の面倒を見ているのは国、つまり国土交通省だという。
なぜ「拡張」ではなく「第2の開港」なのか
成田空港が開港したのは1978年である。当時は4000mのA滑走路が1本と、第1ターミナルだけがあった。そこから段階的に大きくなってきた空港を、今回は大幅に作り変える。C滑走路を新設し、B滑走路を延伸し、第1・第2ターミナルや貨物施設も新しくする。藤井氏は、これは「もう1回開港するような」規模の話だという意味で「第2の開港」と呼んでいると説明した。
入山氏はこのプロジェクトに強い期待を示した。入山氏によれば、空港は国家戦略そのものである。韓国の仁川やシンガポールのチャンギのように国際的なハブ空港が次々と作られるなかで、日本は航空量などの面で劣勢だった時期がある。羽田が強化され、次に成田が強化される今、一気に変えることで、これからの時代に合った国際的な戦略空港になれると入山氏は見る。
入山氏は、その理由をAIの時代と結びつけた。AIが出てきたからこそ、より重要になるのはリアルなビジネスであり、それを動かすのは人流と物流だ。海に囲まれた日本では、その要は港湾か、圧倒的に空港になる、というのが入山氏の主張である。また入山氏は、自身が成田を使う実感として、昔より行くまでの時間が短くなり、かなり便利になったと述べた。羽田とは違う形で差別化された「全く新しい空港」になるという理解を示した。
急増するインバウンドと、逆転した旅客構成
なぜ今成田が変わるのか。藤井氏がまず挙げたのは訪日客の急増である。10年前はまだ1000万人程度だった訪日客が、昨年1年間で4000万人を超えた。日本は海に囲まれているため、一部の船を除けば飛行機で来るしかない。空港がいっぱいで来られないという事態は絶対に避けなければならない、と藤井氏は述べた。
入山氏は旅客構成の変化も指摘した。成田ができてしばらくは、利用者は日本人3に対して外国人1くらいだったが、今は逆に日本人1、外国人3になっているという。さらに入山氏は、中長期的には年間1億人ほどが訪れる観光大国にならなければならず、その受け皿は当然成田だと主張した。
世界的な貨物拠点としての成田と滑走路の役割
入山氏は、成田は人流も重要だが、何より物流の拠点だと強調した。これを受けて藤井氏は滑走路の意味を説明した。成田に来ると大きな飛行機が飛んでいるのが分かるが、その多くはフェデックスやUPSといった物流会社が自前で飛ばす貨物専用機である。こうした大型機は長い滑走路でなければ飛べず、現在はA滑走路だけで受けている。B滑走路を2500mから3500mに延ばすことで、AとBの両方で受けられるようになり、物流面での安定につながる。中期的にはC滑走路も3500m級で整備される。
入山氏はさらに、今世界中のIT企業が最も投資している場所は千葉だと述べた。成田近辺にデータセンターなどが作られるようになっており、地盤が安定していることがその理由だという。IT拠点になる地域に空港があり、そこが物流の拠点になるという意味でも重要なプロジェクトだと入山氏は位置づけた。
また入山氏は、世界の主要空港の役割が変わってきていると語った。人が来る、物が集まるに加えて、人がそこに「とどまる」ことが重要になっている。仁川にはIR施設があり、エンターテインメントの拠点のようになっている。羽田も医療施設を作るなど新しい拠点づくりを進めているが、場所的に物理的な制約があり、拡張余地があまりない。成田にはその点で拡張可能性があり、思い切った施設を作れる可能性がある、というのが入山氏の見方である。
道路網と新貨物地区、自動化で効率を上げる
藤井氏は、空港周辺の高速道路網から物流の構想を説明した。空港には東関東自動車道から分岐する道路が入り、圏央道と接続している。圏央道は西へ向かえばつくば方面から茨城、栃木、群馬を経て東名まで繋がり、東へ向かえば九十九里方面を経てアクアラインで羽田に繋がる。さらに東北道や中央道など主要な高速道路とも繋がる。藤井氏によれば、日本の航空輸出の7割は成田で扱っている。東関道で東京に繋がるだけでなく、圏央道経由でアクアラインから東京に向かうルートができることは、物流面で大きな意味を持つという。
この道路のすぐ横に貨物ターミナルを作るのが「新貨物地区」の計画である。入山氏は、フォワーダーなどの物流事業者が現在は空港周辺にばらばらに立地しており、ここに集約されれば効率が一気に上がるのではないかと述べた。藤井氏も、空港内の貨物ターミナル施設が現在は東西の2か所に分かれており、その間をトラックが行き来するための輸送ロスが馬鹿にならないと認めた。人手不足で運ぶこと自体も難しくなっているため、新貨物地区には自動物流の仕組みを入れ、人がいなくても効率的に処理できるようにすることを考えているという。
計画では、年間発着容量を50万回、旅客数を7500万人に増やす。空港で働く従業員も現在の約4万人から7万人に増えると見込んでいる。藤井氏は、面積が増えるためこの程度の人員が必要になるという見込みだと説明した。入山氏は、今の時代に3万人も雇用を増やす場所はなかなかないと評価したうえで、成田の強みはマルチモーダル、つまり空路で入ったものを道路へ効率よく回し、日本中に人や物を送れる点にあると述べ、成田が日本のある意味での中心になっていくと個人的に考えていると語った。
4万人から7万人への増員をどう抑えるか
一方で藤井氏は、従業員を4万人から7万人に増やすのは容易ではなく、なるべく減らさなければならないと述べた。その手段の1つが自動化である。旅客の手続きについても、自分でチェックインし、自分で荷物を預け、検査にはカメラなどを使うことで人手を減らす。人が少なくても同じサービスを提供できるようにするという意味で、空港は先端的な場所になっていくと藤井氏は語った。
3つのターミナルを1つに統合する
現在、成田には第1、第2、第3の3つのターミナルがある。入山氏によれば、日本の航空会社では第1ターミナルにANA、第2ターミナルにJALが多い。藤井氏は、第1ターミナルは開港時からあり50年近く経っていること、内部は随分改装しているがいつまでも使い続けるわけにはいかないことを説明した。計画では、ステップ1で新ターミナルの一部を作り、そこから徐々に拡張していき、ステップ2で最終的に大きなターミナル1つにまとめる。
入山氏はこれを「めちゃくちゃすごい」と評価し、柴田氏も、第1と第2のどちらかを気にしながら行く必要がなくなるのはうれしいと話した。入山氏は、アメリカの空港などで乗り継ぎの際に突然別のターミナルへ行けと言われて「絶望感に襲われる」経験を挙げ、集約の利点を強調した。
柴田氏が1つにすると混雑しないのかと尋ねると、藤井氏は、施設が大きくなるため端から端まで1km弱になる可能性もあると答えた。そのため、海外の空港にあるような構内シャトルを導入し、ターミナルだけでなく周辺施設まで延ばすことが必要ではないかと考えているという。入口も、現在は3つのターミナルそれぞれにあるものを、まず新ターミナルと第2ターミナルの2か所に集約し、ステップ2では新ターミナル1か所にする。ゲートをまとめることで、どこへ行けばいいか分からなくなる問題と人手不足の両方に対応しようとしている。
鉄道の分離とスカイライナーの延伸構想
鉄道についても新しい構想がある。現在の線路は京成とJRが共用しており、混雑が生じている。そこで京成の駅を別に作り、既存の線はJRだけにすることで駅を分散させる。スカイライナーの線と在来線を分けることでも混雑を減らせるのではないかと藤井氏は述べた。新しい駅から新ターミナルまでは200mほどの距離でアクセスできるようにすることを考えているという。
都心からの距離は、羽田が15kmであるのに対し成田は60kmある。この差を鉄道のスピードで埋めており、現在はスカイライナーが36分で結んでいると藤井氏は説明した。入山氏も、昔は時間を考えて羽田を選んでいたが、今はスカイライナーの方が早いくらいだと話した。
藤井氏はさらに、将来的な構想を紹介した。現在スカイライナーは上野・日暮里から来ているが、途中の青砥駅から押上(スカイツリーのある場所)へ分岐する線があり、そこから都営地下鉄、品川、京急へと繋がっている。実は今でも普通の電車は成田から羽田空港まで走っている。これを最終的にはスカイライナーで全部走らせたいという構想があり、鉄道会社が協力して一歩一歩実現に向けて動いているという。品川はリニア中央新幹線の始発駅になるため、リニアの始発駅と直結する形ができることにはインパクトがあると藤井氏は期待を示した。
完成時期の見通し
全体の完成時期について、藤井氏はまだ明確には示せていないと述べた。そのうえで、B滑走路の3500mへの延伸は2030年3月までの予定で、工事は現在進んでいる。成田国際空港会社とは別の事業である道路プロジェクトは、来年には全線開通する予定である。新貨物地区の一連の施設は2030年代初頭の開業を目標としており、柴田氏はこれを6〜7年後くらいと受け止めた。統合ターミナルの全容はその貨物施設の少し後に見えてくる、というのが藤井氏の説明である。
地域との共生:空港を街づくりの拠点に
2つ目のテーマは地域との共生である。藤井氏は、これまで空港があることで道路が途中で分断されるなど、マイナス面が語られることが多かったと認めた。むしろ空港に人や物が集まることを生かし、街づくりの拠点にしていけるのではないかという。そのためのエアポートシティ構想が「SORATO NRT(ソラトナリタ)」である。藤井氏は、地域と共に歩むことが成田空港の長い歴史の中で大事にしてきたコンセプトであり、空港があって良かったと具体的に思ってもらえることをどれだけできるかが重要だと述べた。
入山氏は、空港で働く人は周辺に住居を持って通勤するため、空港周辺の市町村にとっては人口が増えるチャンスだと指摘した。日本中で人口減少が叫ばれる中、他の地域にはない大きなチャンスであり、そうした人々を念頭に置いた街づくりや住宅計画が進むことを強く期待していると語った。
入山氏は歴史的な例も挙げた。古代から交通のハブには人や物が集積する。中国で黄河文明が生まれたのは、北が寒く南が温暖なため、南の農作物と北の羊毛などを交換する場所が黄河周辺だったからだという。交通のハブは常に産業クラスターの中心であり、人や物が多い場所にはさらに人が集まり、情報も人も物も手に入るからまた集まる。ある閾値を超えると雪だるま式に増えていく。入山氏は、成田周辺はこれまで戦略的に生かしきれていなかった面が正直あったと思うが、この改革で新しい産業都市になると述べた。
観光面では、藤井氏によれば成田の周辺にはホテルが多く、インバウンドの旅行者が多数宿泊している。彼らはホテルにいるだけでなくいろいろな場所に行きたいと考えている。最も強い観光資源は成田山新勝寺だが、それ以外にも魅力のある場所が多く、地域の観光とのタイアップが大事だという。入山氏は外房なども挙げた。藤井氏は、来年高速道路が完成すれば、これまで内陸の緑の空港という位置づけだった成田を、海も含めて売り出せるのではないかと期待を示した。
新たな滞在価値:通過点から目的地へ
3つ目のテーマは滞在価値である。藤井氏は、飛行機に乗る人が搭乗までの時間を楽しく過ごせること、さらに飛行機に乗らない人にとっても楽しい場所にすることが、第2の開港の中で非常に大事な部分だと述べた。成田にはまだないものが多いという。例えば空港内にはまだホテルがなく、店舗はあってもエンターテインメント施設はそれほど整備されていない。これをどう作るかは、これから知恵の絞りどころだと藤井氏は語った。入山氏は、成田空港に行くこと自体が目的になるのが究極の姿だと述べた。
具体例として、第1ターミナルの4階・5階のリニューアルが紹介された。5階の展望デッキの手前には、畳の上で寝転がれる場所や、ゆったり一休みできる空間が作られた。展望デッキには足湯が整備され、子ども連れ向けに滑り台なども使える場所が新たに設けられたという。藤井氏は、ショッピングモールに遊びに行くような感覚で来られる場所にする「第1弾」だと位置づけた。4月のリニューアルオープン後に実際に訪れた柴田氏は、日本らしさが感じられる空間で、畳のスペースで仕事をしたり休んだりする人が多くいたと話した。
入山氏は国内で「行く目的」になっている空港として新千歳空港を挙げた。北海道の物産が非常に多く、何より温泉がある。札幌出張の際には早めに新千歳に行き、温泉に入ってから寿司屋でビールを飲んで帰るという。入山氏は、新千歳が国内でこうした取り組みを最も進めている空港だと評価した。
地域とのコラボレーションと日本らしさの演出
成田でも地域とのコラボレーションが進んでいる。藤井氏が紹介したのは、銚子の醸造所とタイアップして作った地ビールで、日本のフードグランプリで大手ビールメーカーと並んで最高賞を受賞したという。入山氏は、このビールを飲みたくて行く、という動機が生まれることが大事だと応じた。
ほかにも、成田山新勝寺の周辺で有名なうなぎを、空港では並ばずに食べられることが評判になっているという。和食は外国人にも人気が高く、こうしたものを積極的に取り上げたいと藤井氏は語った。障害のある作家の芸術作品を扱うヘラルボニーとの取り組みやストリートピアノの設置、ポケモンやスーパーマリオといった日本のキャラクターの活用も紹介された。飛行機を降りてすぐにマリオがいると「日本に来た」と感じられる、そうした演出をどう出せるかを工夫していかなければならないと藤井氏は述べた。
乗り継ぎ需要を巡る競争と、成田の地理的な強み
藤井氏は、成田の利用者には日本を訪れる人だけでなく、アジアとアメリカの間を行き来する人も多いと指摘した。彼らは乗り継ぎの際に、仁川でも台湾の桃園でもよいという選択肢を持っている。航空会社で選ぶことももちろんあるが、途中の空港でどれだけ楽しめるかは大きな要素であり、その点でも負けないようにしたいという。
藤井氏は社長に就任した昨年以来、国内外の空港を見て回っており、自社も頑張らなければならないと感じることが多々あると語った。シンガポールには本物ではないが滝のような映像を使った空間があり、映像の力は大きい。一方でヨーロッパには、施設がそれほど新しくなくても魅力的な空間を作れている空港もあるという。
入山氏は、乗り継ぎがシームレスになってきたことで、空港という空間をいかに楽しめるかに価値が移っていると述べ、シンガポールのチャンギや、自身が「すごい」と感じたトルコのイスタンブール空港を例に挙げた。イスタンブール空港は、トルコをヨーロッパとアジアの間の乗り継ぎハブにするための国家プロジェクトだという。
藤井氏は、成田も同じようなメリットを持っていると語った。成田はアメリカから見てアジアで最も近い空港であり、隣の仁川まで飛ぶと1時間余計にかかる。手前にあるということは、例えば貨物便なら燃料を少なく積んで済み、その分貨物を多く積める。そこから乗り継いでいけるため、アジアの最も東にあることは乗り継ぎ需要に対して大きな強みになる。藤井氏によれば、かつて成田は世界一だったこともある。現在は成田も羽田もまずは大きなインバウンド需要に応えることが先だが、将来的にはアジアとアメリカの発展に伴う需要も取り込んでいく空間にする必要があると述べた。
企業・大学との共創:空飛ぶクルマとインキュベーション
柴田氏が、多くの外国人が訪れる場所として自社商品やブランドを世界に見せる場にもなりうるのではないかと尋ねると、藤井氏はそれがこれからの大きな課題だと答えた。
成田にまだないものの1つとして、藤井氏は空飛ぶクルマを挙げた。日本の多くの企業が本格的な取り組みを始めており、使い道はこれからだという。成田は都心から60km離れ、車では空いていても1時間かかるが、空飛ぶクルマが実用化されれば15分ほどで都心のビルの上から成田まで来られるかもしれない。その可能性が現実に近づいているため、成田のどこで受け入れるのかといったことも含めて検討しているという。
アカデミアとの連携も進んでいる。東京大学や東京科学大学などと連携協定を結び、空港にインキュベーションセンターのようなものを大学とのコラボレーションの中で作れないかと考えていると藤井氏は語った。
入山氏は、これを経営学の観点から説明した。イノベーションとは新しいものを生み出すことであり、ゼロからではなく、離れた何かと何かの組み合わせで生まれる。これまでは人間の知識の組み合わせが中心だったため、都心で良かった。スタートアップの集積地が渋谷なのはそのためだ。しかし入山氏によれば、これからは頭脳の部分をAIが担うようになり、物理的なもの、フィジカルの方が重要になる。高市政権の方針でも注目されているフィジカルAIの時代には、物理的なものを集められない東京の都心には限界がある。東京から少し離れた場所に集まることが重要になり、その最有力地は空港であって、成田周辺にはまだそれだけの余裕がある、と入山氏は主張した。加えて、空港の利用は人にとって特別な体験であり、マリオやポケモンが出迎え、イノベーションも生まれる場所になる可能性が最も高いのが成田だと述べた。
今後の展望:久々の大型プロジェクトと若い世代への期待
最後に藤井氏は、第2の開港は非常に大きなプロジェクトであり、多くの関係者と連携して進めなければならないと語った。日本は長年にわたり交通をはじめとする基幹インフラを整備してきたが、空港の分野ではそれがかなり進んできた中で、成田のプロジェクトは久々の大型案件になるという。これだけの面積でこれだけのことをやる機会はなかなかなく、大変だがチャレンジングな部分があると述べた。
さらに、旅客機だけでなくビジネスジェットの需要も高まっており、さまざまな点に目を配りながら、今の感性で素敵なものをどう取り入れていくかが必要だと藤井氏は強調した。そのためには若い人にぜひ参加してほしいと語り、社内でも社員が盛り上がってきていると紹介した。多くの人に関心を持ってもらい、このプロジェクトをみんなで盛り上げていきたいというのが、藤井氏の締めくくりの言葉だった。全体の完成時期はまだ明確に示されておらず、空港内のホテルやエンターテインメント施設、空飛ぶクルマの受け入れ方などは、これから検討を詰めていく段階にある。
これはもう1回開港するようなもんだよねって意味で、第2の開港って。貨物の施設とか全体を新しくしていく。
言うまでもなく、空港っていうのはもう国家戦略なんですよ。全く新しい空港になる、本当に重要なプロジェクトだと思います。
年間発着容量が50万回に、空港で働く従業員の方も7万人に。
もうこれからの時代、絶対に人流と物流なんで。でも、そのハブ中のハブは成田空港なんですよ。
ターミナルが今あると思うんですが、こちらもいずれは統合される。
最終的に大きなターミナル1つにしていく。これ、めちゃくちゃすごくないですか?
上に上がると、畳に寝転がれる場所とかですね。地域とコラボしたいろんなものを作ってます。
空港っていう空間をいかに楽しめるかの方に価値が出ていて。
企業との共創みたいなこともあったりしますか?
そうですね。いろんなところに目を配りながら、今の感性で素敵なものをどう入れていくかっていう。これはやっぱり若い人に参加してほしいと思ってます。
新しい挑戦ができる、もう実験の場という考え方なんですね。
皆さん、こんにちは。柴田彩です。今回の「& questions」は、「第2の開港 成田空港はどう変わるのか?」をテーマに、成田国際空港の提供でお送りします。それではゲストです。成田国際空港社長の藤井直樹さんです。藤井さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
そして続いて、早稲田大学ビジネススクール教授の入山さんです。入山さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。ちょうど昨日、成田空港を使って帰ってきたばっかりです。
お帰りなさい。もう直近ですね。
はい。もう今、現場の空気を感じてきたんです。成田空港を感じてやってまいりました。
たくさんお話を聞かせてください。そして、成田国際空港と成田国際空港会社の違いも伺っていいですか?
そうですよね。空港っていうのは実はいろんな形で運営をされていて、成田空港は成田国際空港株式会社っていう会社が運営をしてるんですね。例えば、お隣の羽田空港っていうのが、これも東京のメインの空港ですけど、運営を全部やる会社っていうのはなくて、空港のビルをやる会社、それも旅客と貨物が別だったりね。そういういくつかの会社があって、空港全体の面倒を見るっていうことをしてるのは、実は国土交通省、国なんですね。そういうパターンがあります。
そういう意味で、成田は、成田っていう空港全体を運営してるのが、あるいは将来の整備をするのが成田国際空港会社だと思っていただければいいと思います。
ありがとうございます。理解できました。それでは今日、3つのキーワードをご用意しました。
それでは1つ目のキーワードに行きましょう。「成田空港 第2の開港」ということですが、拡張ではなく第2の開港というのはどういうことでしょうか?
成田空港が、いわゆるオープンしたのは1978年。その時はAという4000mの滑走路が1本できて、上に羽が2枚あるような第1ターミナルだけができて、そこからだんだん大きくなってきたんですね。今、それを大幅に拡張する計画をしていて、C滑走路っていうのを作って、その図にあるように全体が大きく広がっていきます。
今の第1ターミナルとか第2ターミナルとか、あと貨物の施設とかですね、新しくしていく全体的なプロジェクトを今考えてますので、それを何て言うかといって、これはもう1回開港するようなもんだよねっていう意味で、第2の開港って言ってる。
入山さん、こちらのプロジェクトはどう見ますか?
もうね、めちゃくちゃ期待してます。大国家プロジェクトだし、本当に日本にとって重要なプロジェクトだと思ってまして。言うまでもなく、空港っていうのはもう国家戦略なんですよ。例えば韓国の仁川とか、それからシンガポールのチャンギとかですね、結構もう国際的なハブ空港が作られて、一時期なんですけど、ちょっと航空量とかで劣勢だった時期があるんですよね。
ただ、それを今、羽田が強化されて、今度、成田が強化されるっていうことで。これからの時代、もうAIが出てきてるじゃないですか。より重要なのはリアルなビジネスなんですよ。そのリアルなビジネスを動かしていく時には、もう完全に人流と物流なので。とすると、重要なのは海に面した港湾と、圧倒的に空港なんですよ。
逆にここで一気に変えて、本当の意味でのこれからの時代に合った国際的な戦略空港になるんだと思うんですね。そうなってくると、最近私も成田を使うけれども、昔と比べて正直、行く時間も短くなってるし、めちゃくちゃ便利になってきてるんですよね。ここで羽田とはまた違った形の差別化の空港になるはずなんで、だからまさに開港ですよね。全く新しい空港になるっていうふうに私は理解してるんですけど。そうですよね。
はい。ありがとうございます。今ここで一気にとお話がありましたが、やっぱり今なぜ成田空港が変わるのかっていう疑問があると思うんですが、改めて藤井さん、教えてください。
今、日本っていう国がどんどん変わってきてるというところもあると思いますけど、1つは外国からのお客様がものすごく増えてるわけですね。これは本当にものすごい勢いで、10年前、まだ1000万ぐらいであった。これが去年1年間で4000万人を超えるような人数まで来ています。
日本は海に囲まれてますから、来ようと思ったら飛行機で来るしかないわけですね。一部、船。だから、空港がいっぱいだから来れませんよっていうことでは、やっぱり絶対に困るっていうのがまずあります。
多分、成田空港ができてしばらくの間って、成田を使う日本人と外国人の数って、日本人3に対して外国人1ぐらいだったんですよ。今、逆なんですよ。日本人1で外国人3なんです。多分これから日本はもっとインバウンド需要が増える中で、今4000万とおっしゃいましたけど、本当に中長期的には1億人ぐらいの方が来るぐらいの観光大国にならなければいけないっていう時には、当然その受け皿は成田なんですよ。
なので、ここの拡張がものすごく重要だっていうことと、成田っていうのは人流も大事なんだけれど、物流なんですよ。世界的な貨物拠点なんですね。滑走路も今Aがあって、Bもこれ2500から3500に伸ばすだけで、かなり違うサイズの飛行機が飛ばせるっていう感じになって。
はい、その通りですね。成田に来てくださると分かりますけれど、大きい飛行機が飛んでます。この多くは、いわゆる貨物専用機。特にアメリカなどで、FedExだとかUPSだとか、そういった大きな物流会社が自分で飛行機を持って飛ばしてきてます。
そういった大きい飛行機は、やっぱり滑走路が長くないと飛べないので、今はもうA滑走路だけでやってるんですけど、BができることでAとBで両方で受けるようになるということが、そういう物流の面ではすごく安定する1つの効果があると。
中期的にはC滑走路もできて、これも3500m級だから、どこでも貨物用の巨大な飛行機が。だから、もう完全に日本の物流のハブ中のハブになるんですよ。しかも今、世界中のIT企業が1番投資してるのって千葉なんですよ。
つまり成田の近辺にデータセンターとか、そういったものが今作られるようになってきていて、結構地盤が安定してるんで。だからそういう意味でも、ITの集積地になるところに、しかも成田空港があり、そこが物流になっていくっていう意味では、本当に重要なプロジェクトだと思います。
空港っていうと、私これまでは何となく交通インフラのイメージがやっぱり強かったんですが、もう世界の主要空港っていうのは変わってきているんですかね、入山さん。
そうですね。交通インフラではあるんだけれども、そこはまず人が来る。それからもう1つは物が集まってくる。もう1個は、そこに人が泊まるっていうことが、おそらく重要になってきていて。韓国の仁川なんかは、日本がやるかどうかは別にして、IR施設みたいなものがあって、そこでいろいろエンタメ拠点みたいになってくるんですよね。例えば羽田も今だと医療施設を作ったりとか、それから新しいそういう拠点が作られてるんですけど、やっぱり物理的に制約があるんで、羽田は場所的に。
そうですね。もう拡張余地があんまりないんですよ。
そうなんですよ。成田はその点で、ある意味で拡張可能性がすごくあるんで、ここに本当にフリーハンドで思い切った施設みたいなのを作れる可能性があるんじゃないかなって、ちょっと今日、藤井さんに伺いたいなと。
藤井さん、いかがですか、今のお話。
そうですね。まず物流から話をすると、空港の周りに書いてある線は、これは高速道路です。東関道っていう道路で分岐して空港の中に入ってくる道がちょっと出てますけど、圏央道とぶつかってます。
圏央道って、これ左側に行くとつくばの方に行って、さらに茨城から栃木、群馬、最後は東名までつながってる道路ですけど、点々ってあるところが右へ行くと九十九里浜の方に行って、アクアラインのところで羽田につながってきます。
なるほど。
日本の航空の輸出の7割は成田でやってます。入山先生がおっしゃるように、物流の本当に中核なんですね。インバウンドは3割です。だからやっぱり貨物の効果がすごく大事なので、東関道で東京につながってるけれども、圏央道がつながってアクアラインからまた東京に向けるっていうことは、ものすごく物流の面で大きいし、あとは、その圏央道を行くとですね、関越道、東北道、中央道、みんなつながってるわけですね。
そこに、この図でいくと真ん中の上の方に新貨物地区っていうのがありますけど、道路のすぐ横に貨物ターミナルを作っちゃおうっていう、そういった計画なんですね。
だからフォワーダーとか、ああいう物流を管理する、外注するところがありますよね。ああいうの、ここにかなり。
そう、今、空港の周りにいっぱい、それぞれバラバラにあるんですけど、こういうところにぜひ集約をされると、効率が一気に上がるんじゃないかと。
今、やっぱりまだバラバラなんですね。
バラバラです。もともと空港の中でも、青に白抜きの貨物ターミナル施設っていうのが、これがいわゆる地図でいうと左側と右側に2つ分かれてるんですね。その間をトラックで行ったり来たりっていうので、結構そこの輸送のロスっていうのが馬鹿にならないです。あと人手も今ありませんから、なかなか運べないので、新貨物地区はそういうのを全部、自動物流の仕組みを入れて、人がいなくてもそういったことは効率的にできるようにということを今考えてます。
それがもう年間発着容量が50万回に増えて、そして旅客数も7500万人。さらにこの空港で働く従業員の方も7万人に増える。
はい。これはやっぱり面積も増えるので、このぐらい人が必要になるんじゃないかという見込みをしてます。
まさに空港中心に雇用と経済圏が生まれるイメージですが、この効果を改めてどう見ますか?
もう本当に、期待しかないですよ。もちろん雇用っていう意味でも、このご時世、3万人雇用を増やすところってあんまりないんで、もうそれ自体もすごいですけど、やっぱりこれからの時代、絶対に人流と物流なんで。でもそのハブ中のハブは成田空港なんですよ。
成田空港の強みっていうのは、実はここからまさに道路が延伸するので、結局マルチモーダルって言いますけど、飛行機の空輸で入るけど、そこからいかに効率的に物流を道路の方にうまく回して、効率的に日本中に物とか人を送っていくかっていうことなんで。そこ全体の整備をされてるので、本当にここは日本の、ある意味中心になっていくんだろうなっていうふうに個人的には思ってます。
これほどの利用拡大ですので、それに対応するために考えていることはあったりしますか?
そうですね。1つは4万人から7万人っていうのは、なかなか大変だと思ってます。だから、なるべく減らさないといけない。そのための1つの手段は自動化ですよね。先ほど物流のトラックのことで例を申し上げましたけど、お客さんが乗る時の手続きですね。
これも最近、国際線に乗られるとすごく変わったって、先生なんかも思われるかもしれませんけど、要するに自分でチェックインして、自分で荷物をポンとドロップインして、検査なんかもカメラなどを使って、そういう要員をなるべく減らすっていうことで。人が少なくても同じサービスが提供できるようにということをですね、ある意味でのすごく先端的な場所になっていくというのが、空港には1つあると思います。
あとはターミナルが今あると思うんですが、こちらもいずれは統合されるんですね。
その図にステップ1、2って書いてますけど、今ターミナルって、T1、T3って真ん中に書いてある、その3つあるんですね。
T1はね、僕もよく乗りますけど、いわゆる日本だとANAが止まって、2はどっちかというとJALさんが多いですよね。
はい。T1は本当に開港時からあるので、もう50年弱経っていて、中は随分改装してますけど、やっぱりいつまでもっていうわけにいかないので。そのステップ2っていうところにあるように、最終的にこの緑色にあるような形で大きなターミナル1つにしていく。その過程で、ステップ1のところの緑色、新ターミナルってありますけど、それの一部分を作ってるんですね。
このステップ1のところの右にある緑色のターミナルが、だんだん右側のように足を伸ばしていくような感じで、旅客ターミナルの容量アップっていうのを。
これ、本当にむちゃくちゃすごいですよね。超ビッグプロジェクトで、ターミナル1、2、3って分かれてたのを1個に集約させちゃうっていう。これ、めちゃくちゃすごくないですかね。
私はいつも、今日は第1ターミナルだろうか、第2ターミナルだろうか、ドキドキしながら行くじゃないですか。あれがなくなるのはとっても嬉しい。
そうそう。絶望して走るみたいなのが。
絶望して走るってあるんですけど、私、逆に1つにすると混んだりしないのかなって今思ったんですが。
1つは施設がすごく大きくなるので、要するに端から端まで行くと、場合によって本当にもう1km弱になっちゃうとかですね、そういったことがあり得ると思います。ですから、海外の空港でありますけど、中を走るシャトルみたいな感じですね。ああいうものをやっぱり入れていく。それを空港のターミナルだけじゃなくて、周辺の施設まで伸ばしていくような、そういったものを今回新しく入れていく必要はあるんじゃないかなと思って。
でも、僕は集約、本当にいいと思ってて。海外で、アメリカの空港とか行くと、やっぱり乗り換えで突如違うターミナルに行けとか言って、さっきの柴田さんじゃないけど、絶望感に襲われるわけですよ。
海外は特に絶望しますね。30分しかない、みたいな。
それがやっぱりなくなるのはでかいですよね。
まず、いずれはこの集約されたところに行って、そこから搭乗口に向かうみたいなイメージになる。
そうですね。星印がついてますけど、今1と2と3と、それぞれ入っていく場所があるわけですけど、これを新ターミナルの中にある星1つとT2のところにある星1つ、この2つに集約しようとしています。さらにステップ2になると、最初はもう新ターミナルのところ1つになるわけですけど、いわゆるゲートをなるべくまとめていくことで、先ほどおっしゃったように、どこへ行ったらいいのか分からなくならないようにっていうことと、あと人手不足っていうことにも対応できるようにしようとしてます。
そのために新しい構想を書いてるんですけど、赤い線、見えますか? これが今ある鉄道なんですね。この線を京成とJRさんと両方で使ってるので、混んじゃってるので、京成の駅を別に作って、赤いやつはもうJRだけにしましょうということで、駅を分散させて混雑を解消しよう。スカイライナーの線と在来線と別々にすることで、また混雑は解消できるんじゃないかなと。こういった駅から、1番右側にある新しいターミナルに200mぐらいの距離で、新ターミナルにアクセスできるようにっていうことを今考えてます。
全部コンプリートして完成するのは、展望としてはいつぐらいのイメージですか?
ちょっとまだ時期を明確には示せてないんですけれど、まずB滑走路を3500mに伸ばす。これは2030年の3月までっていうことなので。
もうあとあれですね、3年半ぐらいの感じですね。
それはもう工事を今どんどんやってますので。それから道路のプロジェクトは私らとは別ですけど、その道路は来年には全部あそこを通ることになってます。それを踏まえて、新貨物地区の一連の施設は、一応2030年代の初頭って言ってますけど。
だから2030年に入ってしばらくしたら、それがオープンする。そう、本当に6、7年ぐらいっていうことですね。
その貨物の少し後に、さっき申し上げた旅客のターミナルの全貌が見えてくる。
やっぱり成田って羽田に比べて都心からちょっと遠いイメージがあったと思うんですが、鉄道が開通することによって、かなり利便性、アクセスは良くなりますか?
そうですね。まず距離でいうと、都心からの距離は羽田15kmですけど、成田60kmありますので、その差はあります。それを鉄道がスピードを上げることで解決してるわけですけど、今スカイライナーが36分で。
スカイライナー、本当に早くなりましたよね。
なりましたね。
僕、ずっと乗ってるんで。昔は正直、時間がかかるのを考えたらやっぱり羽田かなと思ってたんですけど、今、正直スカイライナーの方が早いぐらい。
今は上野、日暮里から来てるんですけど、途中、青砥っていう駅がありまして、そこから押上に分岐してる。押上っていうのはスカイツリーがあるところです。
なるほど。
実はその線路はどんどん伸びていて、都の地下鉄っていうのがずっとつながっていて、それが品川へ出てきて、最後それは京浜急行につながってるので、今実は普通の電車は羽田空港まで、成田から電車が走ってます。とことことですね。これをやっぱり最後、スカイライナーを全部走らせたいねっていうことで、鉄道会社の方が協力をして、実現に向けて今、一歩一歩動いてます。
そんな構想があるんですね。空港だけじゃなくって、もう鉄道網も変わる。
そうですね。鉄道のアクセスっていうのは本当に成田にとって生命線なので、特にこれが品川につながるというのはですね、品川は実はリニア新幹線の今度、始発駅になるんですね。そういうタイミングで、まさにリニアの始発駅とも直結してるぞっていう形ができるっていうのは、すごくインパクトがあるんじゃないかなと期待してます。
第2の開港というのは、物が集まる巨大な交通・経済拠点として、そもそも作り替えるプロジェクトだということがよく分かりました。では続いてのキーワードに行きたいと思います。
第2の開港で周辺地域に相当なインパクトがあるのではないかと思いましたが、いかがでしょうか?
そうですね。街づくりっていうのは、すごく大事なことだと思います。やっぱり空港があることで、道路が途中で分断されたり、そういったマイナス面が語られることが多かったんですけど、むしろそうやって空港に人、物が集まるっていうことを生かして、街づくりの拠点をこれから作っていけるんじゃないかなと。
こちらの名前がSORATO NRT。
はい。これは空港づくりや地域づくりっていうのが、成田空港の長い歴史の中で、地域と一緒に歩むっていうところがすごく大事な私らのコンセプトなんですけど、それを本当に具体的に、空港があって良かったなと思ってもらえることが、これからどれだけできるのかっていうのが、すごく大事なことだと思います。
まさに働く人っていうのは、空港の周りにお住まいを持って、日々通勤されてっていうことになるので、空港の周辺の市町っていうのは、ある意味で人口が増えていくチャンスなんですね。日本中、人口減少っていうのが非常に叫ばれてる中で、これはなかなか他の地域にはないビッグチャンスを今持っているっていうことだと思うので、そういった方々を念頭に置いた街づくり、住宅、そういった計画がこれから進むことをすごく強く期待しています。
古代からこういう交通のハブっていうのが1番集積するんですよ。例えば中国だって、中国で1番経済発展したのは黄河のそばじゃないですか。最初、黄河文明。何で黄河文明が生まれたかっていったら、北が寒くて南が温暖なんで、ちょうど南で取れた農作物と、北で取れた例えば羊の毛皮とかを交換するわけですよ。その交換する場所が黄河の周辺だから、黄河文明が生まれるわけです。
だからそういうふうに、やっぱり常に交通のハブっていうのは産業クラスターの中心で。しかもこれ、集積の効果っていうのがあって、何で人は都市に集まるかっていうと、そこに人と物がいっぱいあるからなんですよ。
本当におっしゃる通りですね。
いっぱいあるから集まるでしょと。またそこにいっぱい集まってるといって、いろんな人と物が集まる。またいっぱい集まってるから、ここに来ると便利だよね。いろんな情報も取れるし、いろんな人に会えるし、いろんな物がうまくここで手に入るよねってなるんで、また集まるっていうふうになっていくので、ティッピングポイントを超えると、もう雪だるま式に増えていくんですよね。
今までこの辺、十分に戦略的に生かしきれてなかったところが正直あったと思うんですけど、この改革で本当にそういう新しい産業都市になる。間違いなくなると思いますし、日本のためにもぜひなっていただきたいなっていう。
その周辺の観光産業を利用していこうっていうのもあるのでしょうか?
成田は、実は結構周りにホテルがたくさんあります。すごくいっぱいインバウンドの人は泊まっておられるんですよね。そういう人はやっぱりホテルにいるだけじゃなくて、いろんなところに行ってみたいなと。そういう意味で、1番成田に強い観光資源っていうのは新勝寺、成田山新勝寺。これ、千年の歴史なので、皆さん喜ばれますけれど、やっぱりそれ以外にもすごく魅力あるところがたくさんあるので、空港として盛り立てるという点では、そういった地域の観光とのタイアップっていうのもすごく大事だと思います。
外房側とかね、九十九里とか、あの辺とかもっといい感じに、さらに。
そうですね。先ほどの高速道路の点々っていう部分が来年にも完成すると、割と今まで内陸にある緑の空港っていうことだったんですけど、海も含めて売り出せるんじゃないかなっていう、そこもすごく期待してます。
だからもう空港だけではなく、その成長を地域の仕事とか暮らし、観光、産業に広げていくっていうのがゴールだということですね。
成田空港の新たな滞在価値とは、どういう意味でしょうか?
飛行機に乗る方だけじゃなくてですね、あるいはその人がさっと行ってしまうだけじゃなくて、ここにいても楽しい。あるいは飛行機に乗る人が、乗るまでの間、非常に楽しい時間を過ごせるような、そういった場所にどう変えていけるかというのは、第2の開港の中で非常に大事な部分だと思います。
成田空港は、まだまだそういう、こういうのはそういえばないよねっていうものは多いんですよね。例えば空港の中にまだホテルがありません。お店はあるんですけれど、他のエンターテインメントのような施設っていうのも、まだそんなに整備されてるわけではないので、そういったものをどういうふうに作っていけるのかということですね。それは、かなりいろいろこれから知恵の絞りどころだと思っています。
まさにおっしゃるように、通過点じゃなくて、成田空港に行くこと自体が目的になるっていうのが多分究極だと思うんですよね。それができるポテンシャルがある場所なので。楽しみです、本当に。
飛行機を利用しない方も改めて楽しめる場所を教えてください。
はい。これ、第1ターミナルの、昔からあるターミナルの4階、5階のところを今リニューアルしたんですけど。
こんなになるんですか?
これ、4階から5階に上がっていくエスカレーター。上に上がると、展望デッキの手前にこうやって畳に寝転がれる場所とかですね。あとは結構ゆったりひと休みできるような、そういったいろんな場所を作っています。
昔から展望デッキってあると思うんですけど、展望デッキは、この足湯が今整備されていて。これ、子供連れで、お子さんはこの中で遊んで、滑り台とも使えるようになってるんですけど、こういったものも新しく作りました。いわゆるモールに来るような感じで、ちょっと遊びに行こうかなっていう感じの場所にうまくできないかなっていう、その第1段階みたいな感じです。
こちら、私、行きました。4月にリニューアルオープンしたばかりだと思うんですが、足を踏み入れた瞬間から、すごく日本らしさが感じられる空間で素敵で。本当に待ち時間がすごく心地よく過ごせる空間だなと思って。仕事をされたり、お子さんと畳のスペースで休んでる方がたくさんいらっしゃいましたね。すごく素敵でした。
国内でまさにもう行く目的になってるなって思う空港が、新千歳なんですよ。新千歳、僕、仕事でよく行くんですけど。
確かに楽しいですね。
北海道の物産が異常にあって、何より温泉がある。だから僕は実は札幌に出張すると、早めに新千歳に行って、温泉に入って、その後そこの下の寿司屋でビールを飲みながら寿司を食って、それで気持ちよくなって帰るっていう。
そういうふうになるというのは、すごくよく分かります。新千歳はやっぱりそういうことを日本の中で多分最も進めてる空港だと思います。
やはり成田空港をある意味で拠点として、その周りの地域なども含めて盛り上がっていこうっていう動きが今すごくあるんですけど、地域とコラボしたいろんなものを作ってます。これは銚子にある醸造所とタイアップして作った地ビールなんですけど、この間、いわゆる日本のフードグランプリというところで、3ビールメーカーとともに最高賞を受賞して、手前味噌ですけど、結構おいしいと思います。
そういう、このビールを飲みたくて行くみたいな。それはすごく大事ですよね。
例えば成田は、先ほど言った新勝寺、成田の辺りはすごくウナギが有名で、空港だと並ばないで食べられるっていうのが評判になったりしてですね。
確かに、ウナギ屋さんがありますね。
そうなんですか。
和食っていうのは、外国の人にもすごく人気があるので、そういったものをどんどん取り上げていって、成田空港を訪れる方々にも楽しんでいただきたいと思いますね。これはヘラルボニー。障害を持った方々の芸術作品ですけど、そういったストリートピアノを置いたり。
あと、やっぱり日本は非常にキャラクターで強みがあるので、ポケモンとかスーパーマリオとか、結構飛行機で降りてくると。
そう、いきなりマリオが。あれ、テンションが上がりますよね。
マリオ、ああいう、日本に来たねっていう、そういう感じがどう出せるかっていう。こういった工夫っていうのは、やっぱりすごくやっていかないといけないと。
成田空港を使う方っていうのは、日本を訪れるだけじゃなくて、アジアとアメリカの間を行き来する人が多く使うんですね。そういった方はまさに乗り継ぎをするんですけど、こういう時に、お隣の韓国の仁川を乗り継いでもいいし、台湾の桃園空港で乗り継いでもいいし、どれにしようかなっていう時に、当然エアラインを選ぶっていうのはありますけど、やっぱり途中の空港でどれだけ楽しめるかっていうのは、すごく大きいファクターだと思う。そういう点でも負けないようにしたいと思ってますね。
分かります。
こういった素敵な滞在のための空間づくりっていうのは、成田空港独自の施策なのでしょうか?
やっぱりいろんな努力は、日本の各地もそうですし、世界中であると思います。ですから、私も社長に着任した昨年以来、いろんなところを割と見に行ってます。
行かれたんですね、やっぱり。
はい。うちも頑張らないと駄目だなと思うことは多々ありますね。やっぱり映像を使ったり、そういった。これは施設の関係もあるんですけど、シンガポールなんかにありますけど、本物の滝じゃないんですけど、本当に滝のような、そういう映像の力ってすごくあると思うんですけれど。逆に施設がそんなに新しくなくても、ヨーロッパの空港などで、やっぱり非常に魅力がある空間って作れてるところもあるので。
ちょっといい空港って、エンタメ空間みたいになってきてますよね。今までは乗り継ぎに間に合わないから、走って並んで大変みたいな。でも、あれがだんだんシームレス、スムーズになってきてるので、空港っていう空間をいかに楽しめるかの方に価値が出ていて。まさにシンガポールのチャンギがそうだし、あと僕がすごいと思ったのはイスタンブールの、トルコの。あそこもめちゃくちゃゴージャス。
ゴージャスなんですか。
ですよね。もう本当に立ち止まる理由がいっぱいあるみたいな。
やっぱりイスタンブールの空港なんかは、空港自体が国家プロジェクトなんですよね。つまりトルコ、イスタンブールを、ある意味でヨーロッパとアジアの間の乗り継ぎのハブにする。
私、実際、乗り継ぎでイスタンブールで、乗り継ぎでいろんなところにヨーロッパで行けるっていう、そういう空港として。
空港があるわけですけど、イスタンブールがやっぱり今、割って入ってきてるわけです。
そうなんですね。
それは逆に、同じようなメリットを成田は持ってるんです。成田はアメリカから見ると1番近いんですね。仁川ってお隣ですけど、ソウルまでアメリカから飛ぶと1時間余計にかかります。ですから、手前にあるっていうことは、例えば貨物なんかだったら、その分だけ燃料を積まなくても来れるんですね。
なるほど。
その分だけ貨物がたくさん積める。そこからまた乗り継いでいくっていうことで、1番アジアの東にあるっていうことは、そういった乗り継ぎの需要に対してはものすごく強みがある。
なるほど。
かつて成田は世界一だったこともあるんですけど、今は日本の成田、羽田もそうですけど、どっちかというとインバウンドがものすごく大きいから、それにまず応えるっていうのがあるんですけど。やっぱり将来的にいうと、そういったアジア、アメリカの発展っていうことの需要もちゃんと取り込んでいくんだぞっていう空間にしていく必要は、すごく大きいと思います。
より多くの海外の方が遊びに来るとなると、自社商品とかブランドを世界の人に見てもらえる場所としても使えるんじゃないのかなと思ったりもしたんですが、企業との共創みたいなこともあったりしますか?
はい、そうですね。それはこれからすごく課題だと思います。
空飛ぶ車の運用に向けた実験などもされている。
そうですね。これは、まだ成田にはないよねっていうものの1ジャンルですけど、かなり今、日本の多くの企業が本格的にやろうという取り組みを始めています。どんな使い道があるかはこれからだと思いますけど、例えば成田っていうのは、さっき言った60km離れていて、車だと空いていても、やっぱり都心から1時間の距離ですね。空飛ぶ車がもし実用化されると、多分15分で成田まで来ちゃう。
要するに都心のビルの上からぴょんと飛んできてしまうみたいな、やれるんじゃないのっていう可能性がかなり現実のものに近くなってきてるので。そういったものをどうやって、成田でじゃあどこで受けるんですかみたいな、そういったことも含めて今検討をしています。
いわゆるアカデミックの世界っていうのは、こういった集積っていうことに注目をいただいていて、東京大学あるいは東京科学大学、そういった大学と連携協定みたいなのも結んで、ある意味で空港にいろんなインキュベーションのセンターみたいなものをうまく作れないか。大学とのコラボレーションの中で、ぜひできたらなと思ってます。
こういうのは全部、第2の開港プロジェクトの重要なパーツですよね。
やっぱり今、航空業界ともしかしたら関係ないかなと思ってらっしゃる企業さんも、成田空港と一緒に何かできる可能性もありそうだなと私は感じましたね。
そうですね。
入山さんは、企業などとの共創についてはどうご覧になりますか?
そうですね。まさに離れた企業と企業が組み合わさるのが、イノベーションの源泉なんですよね。イノベーションって新しいものを生み出すことで、新しいものを生み出すっていうのは結局ゼロから生み出せないんで、離れた何かと何かが組み合わさることで、常に新しいものって生まれるわけですよ。
それが今までは比較的、いわゆる人間の知識の組み合わせが多かったんで、そうすると例えば都心でいいんですよ。だから日本だとスタートアップの集積地って渋谷じゃないですか。だけどこれからの時代は、頭脳の部分は逆に全部AIがやっちゃうんで、実はフィジカルの方が重要なんですよね。物理的なもの。
なので、フィジカルAIっていうのも、今、高市政権の方の方針でも注目されてますけど、フィジカルAIの時代で物理的なものが重要なんですよ。でもそうすると、東京の都心は限界があるんですよ。物理的なものが集められないから。そうすると、やっぱりちょっと東京から離れてるところで集まるのが重要で、どう見ても1番の有力地は空港なんですよ。そういうのがリアルで集まるだけの余裕が、まだ成田の周辺にはあるので。
だからまさに、これからのフィジカルAIの時代の物のところのイノベーション。そして何より空港を使うっていうのは、人にとって特別な体験なんで、ゴージャスにするかどうかは別に、特別な場所に日本のマリオでもいいし、ポケモンでもいいし、いろいろ出てきて。そこにさらに、さっき言ったようなイノベーションができるような場所になっていく可能性が1番ある場所では。本当に楽しみな場所ですよ。
まさに新しい挑戦ができる、実験の場という考え方なんですね。今後の展望を最後に伺えればと思います。
今申し上げた第2の開港プロジェクトっていうのは、非常にビッグプロジェクトだと思っています。まず、非常に多くの方々と連携して進めないといけません。あとはやはり、日本はずっと国土の基幹インフラというのは、交通だけではありませんけども、整備をしてきてるわけですけど。空港の世界でいうと、かなりそれをずっと進めてきたところがあって、その中でこの成田のプロジェクトは、かなり久々の大型のプロジェクトだと思います。なかなかこれだけのことを、これだけの面積でやるっていうことはないので、非常にそこは大変ですけど、チャレンジングな部分があります。
飛行機も旅客機だけじゃなくて、ビジネスジェットとかですね、そういった需要もすごく高まってるので。そういったことをいろんなところに目を配りながら、やっぱり今の感性で素敵なものをどう入れていくかっていうことがすごく必要だと思っていて、これはやっぱり若い人にすごく参加してほしいと思ってます。ですから今、うちの会社の社員も結構盛り上がってます。頑張るぞっていう感じになってきてるので、ぜひそういったことに多くの方に関心を持って、ぜひこのプロジェクトをみんなと盛り上げていけたらいいと思ってます。
本当に地域、産業、大学など、さまざまなプレイヤーとともに次の成田空港を作るプロジェクトであるということがよく分かりました。成田空港第2の開港についてさらに詳しく知りたい方は、概要欄にあるURLからチェックしてみてください。今日は貴重なお話をありがとうございました。
ありがとうございました。
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