売上6億円の低迷企業をM&A11件で再建したfonfun・水口翼氏が語る、次の3年で時価総額300億円を目指す方法

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概要

M&A BANKの島袋直樹氏が、fonfun代表取締役社長の水口翼氏に、同社が新たに発表した中期経営計画「プロジェクトフェニックス2」について聞いた回である。水口氏はグロース市場上場のPostPrimeで取締役会長も務めており、冒頭では2社のリリースを1本の動画で扱うと予告された。字幕の大半はfonfunの話である。中心となる問いは、前回の中期計画を達成した会社が、次に売上100億円、時価総額300億円という目標を本当に実現できるのか、その根拠は何か、という点である。

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ガラケーのサービスから始まった低迷銘柄をTOBで取得

fonfunは2002年に上場した会社で、元々はガラケー向けの「リモートメール」というサービスを手がけていた。水口氏によれば、時価総額も業績もここ10数年はずっと低迷していた。水口氏がもともと経営するソフトウェア開発会社サイブリッジが、約3年前にTOBで同社を買収し、株式の約65%を保有した。それから3年ほど、経営改革を続けてきたという。

現在のfonfunは、SaaSなどのプロダクト事業と、SESなどのエンジニア事業を営んでいる。TOBの時点では売上6億円、時価総額10億円だった。島袋氏は、ベンチャーを創業し、そこから上場企業を買って株価を上げてきた水口氏を「叩き上げのプロ経営者」と紹介している。

第1次中期計画はすべて達成したと報告

TOBの際に水口氏が掲げたのが「プロジェクトフェニックス」第1次中期計画である。目標は時価総額100億円、連結売上20億円、エンジニア100名、EBITDA4億円の4つだった。約2年半の経営を経て、2026年3月期の段階でこれらをすべて達成したと水口氏は報告する。連結売上は21億円、EBITDAは4.5億円程度になった。エンジニアは、合計11件のM&Aを経て200名前後まで増えたという。

時価総額は直近では80億〜90億円で推移している。ただし一度は100億円に届いたため、目標は達成できたと水口氏は説明する。収録当日の時価総額について島袋氏は約84億円と紹介し、1年で株価が4.5〜5倍ほどになったと述べた。これに対し水口氏は、2〜3年かけて上がってきたものだと補足している。

プロジェクトフェニックス2の数値目標

前回の目標を達成したことを受けて、次の3年間でfonfunが目指す姿を示すために出したのがプロジェクトフェニックス2である。今期の業績予想は売上35億円、利益4億円だ。これに対し、3年後の2029年3月期に売上高100億円、EBITDA20億円、時価総額300億円を目指す。島袋氏が確認したとおり、時価総額は現在の約3倍にあたる。

島袋氏は、視聴者の中には「本当にできるのか」と疑う人もいるはずだとして、どうやって実現するのかを尋ねた。

「ストック型」の事業だけを買ってきた

水口氏はまず、これまでの実績の中身を説明した。売上6億円で利益がほぼなかった会社で、3年間にM&Aを11件実行した。その際、「適当な買い方は一切してない」という。対象は、売上と利益がストック型で積み上がるSaaSやSESの事業に絞り、比較的丁寧に買収してきた。その積み重ねで、売上は6億円から21億円になり、今期予想は35億円に達した。売上で見ると3年で約5倍である。

資金面では、元の会社は規模が小さく手元資金も多くなかった。そのため3年間で合計約21億円を調達し、そのうち20億円は銀行借入だったという。毎月お金が入るストック型のビジネスを買っているので、銀行からも「その事業なら貸せる」と信用を得て調達できた、と水口氏は説明する。

次の3年で必要な資金は約50億円、増資より借入を中心に

今期のEBITDA予想は約7億円である。目標の20億円まで、残り約13億円分をM&Aとオーガニック成長で積み上げる必要がある。そのためのM&A資金として、水口氏はおおよそ50億円を想定している。買う対象はこれまでと同じく、ストック収入が積み上がる事業だ。ただし目利きが正しかったかどうかは、これから世間に評価されることになるとも述べている。

調達方法について水口氏は、上場会社では増資が一般的だと認める。そのうえで、増資をすると1株あたり利益が下がり、理論株価も下がるため、既存株主にとって不利益になる面があると指摘する。そのためこれまでと同様に、銀行借入を中心に調達する方針だという。

一方で水口氏は、エクイティファイナンスができることは上場している意味の大部分を占めているとも考えている。エクイティファイナンスも活用はするが、既存株主にとって有利な方法を選ぶという。自身が6割以上を持つ大株主であり、会社の価値が下がっては意味がない、という立場からの説明である。

島袋氏はこれを受けて、一か八かの投資ではなく、返済可能で安定した事業のロールアップだと整理した。Jカーブを描くような先の見えない事業ではなく、先行きが見えるものを買うということかと確認し、水口氏も同意した。

ロールアップ競争の中での優位性

上場・非上場を問わず、ロールアップを掲げる会社は増えている。島袋氏は、なぜfonfunは良い会社を買えるのかと問うた。

水口氏は、今後は買い慣れた「ストロングバイヤー」が増え、その間での競争になるとの見方を示した。一方で、M&Aをしなければと考えているがまだ経験のない会社と比べれば、fonfunには強みがあるという。これまでのM&Aの経験や知見に加え、買収後に一緒に事業を伸ばせるメンバーが社内で増えているからだ。

M&A仲介会社を兼務することの意味と線引き

島袋氏が差別化要因として挙げたのが、M&ADXという仲介会社である。同社はfonfunグループの持分法適用会社で、水口氏が代表を兼務している。島袋氏は、事業に細かく入り込む水口氏のことだから、どんな会社がどんな理由で売りに出ているか、どこを押せば交渉がうまくいくかといった理解が、前回出演時よりさらに上がっているのではないかと述べた。

水口氏も、売り手や買い手の事情、M&A仲介業界の思惑の変化を感じ取れる点で、fonfunの強みや自身の知見のプラスになっている部分は多いと認めた。ただし、仲介会社として持つネットワークをfonfunに優先的に回そうとは考えていないという。線引きをして情報もきちんと管理しており、混同はしていないと強調した。

買収対象の規模を「同規模」まで広げる

買収対象の規模や業種について、水口氏は、fonfunの方針はすべて情報開示していると述べる。これまで自社が売上数億〜10億円強の規模だったため、自社より大きな会社は買わず、売上数億円で利益1億円程度の会社をこつこつ買ってきた。この路線は再現性があり、コンフォートゾーンとして手堅くできるので今後も続けるという。

加えて、規模が大きくなった今は、売上20億〜30億円といった自社と同規模の会社を買い、きちんとマネジメントする体制を作れれば、さらに飛躍できると考えている。ただし知見のない領域ではうまくいくか分からないため、IT、プロダクト、SESといった同じ領域に絞って大きな会社を買いたいという。

「SaaS is dead」はM&Aの機会になる

島袋氏は、今年2月頃にAIに関連して「SaaS is dead」という話が広がり、SaaS企業の株価が下がったことに触れた。上場している会社はまだよいが、上場準備中の会社は大きなダメージを受けたという。ベンチャーキャピタルから高いバリュエーションで出資を受けた会社の出口が見えなくなっているのではないか、と島袋氏は指摘する。そのうえで、サービスは良いが現在の評価はそこまで高くない、といった複雑な案件が来たら、どう口説くのかと尋ねた。

水口氏は、そうした案件こそ積極的に見ていくつもりだと答えた。M&AとSaaS is deadの話は、今回の中期計画のプレゼン資料にも盛り込んでいるという。これまでfonfunが対象にしてきたSaaS企業は、AIの登場でM&A市場で値がつきにくくなっている。IPOを目指していた会社も、市場再編の影響を含めて評価がつきにくくなっている。それでも出口戦略が必要だったり期限があったりと、さまざまな事情がある。fonfunは上場していることを生かし、株式交換などの手法も組み合わせられるので、「適切なバリュエーション」で積極的に相談を受けたい、と水口氏は述べた。

株式交換を使うための条件

島袋氏は視聴者向けに株式交換を解説した。未上場の会社が上場企業に入る際、現金ではなく株式を対価に買収できる仕組みで、全部を交換するのか、一部を株式交付にするのかなど形態には幅がある。上場株が上がれば、売り手が受け取った株の価値も上がる。だからこそ、株価が上がっていく会社と株式交換することが大事だという。

島袋氏は、株価の実績がない人が株式交換を持ちかけても疑わしく見えるとして、誰が言うかが重要だと述べた。そして、11件の買収と株価上昇の実績を持つ水口氏の今回のリリースは「積極的にやろう」というメッセージだと解釈し、水口氏もこれを肯定した。島袋氏がYahoo!ファイナンスで確認したところ、時価総額は約84億円、1日の出来高は約4700万円だった。

流動性について水口氏は、まだ小さく、もっと上げていく必要があると認めた。また、大規模な株式交換を行うと、将来の売り圧力になると市場に懸念され、株価が上がらなくなる可能性にも言及した。これについて水口氏は、自身も元々投資家のようなことをしていたので、投資家目線で他の株主が不安にならないような設計にするという。売り手には市場で早く売りたいニーズがあるかもしれないが、株価が上がることでリターンを得られるのだから、こういう設計でやろうと交渉できると考えている。

島袋氏は、ベンチャーキャピタルから出資を受けているSaaS事業者はまず水口氏に相談してほしいと呼びかけた。自身には手数料は入らないとも断っている。

断片的に残る「9億円」の話

字幕の終盤には、別の話題が短く残っているだけである。島袋氏が「9億円」は救済のためか攻めのための予算かと尋ね、水口氏は攻めるための資金だと答えている。ユーザー層やネットワークを生かしてマネタイズできる事業をM&Aし、拡大に使うという。対象ジャンルについては、YouTuberなどのインフルエンサーがファンを集めてマネタイズするようなものを挙げたところで字幕は途切れている。冒頭で予告されたPostPrimeに関する解説の詳細は、この字幕の範囲には含まれていない。