展示会にギャルの営業スタッフを送るCharmap三田理紗子氏が語る、仲介なしのM&Aと130人の女性チームの動かし方

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概要

M&A BANKのMC・島袋直樹氏は、ピラティスブランド「CLUB PILATES」を直営とフランチャイズで展開している。働く人の大半が女性で、女性のマネジメントの難しさを感じているという。今回のゲストは、Charmap株式会社代表の三田理紗子氏だ。25歳で起業し、28歳でM&Aを発表した。約130人の女性営業スタッフを束ねている。前半では仲介を入れずに進めたM&Aの経緯を、後半では女性スタッフを動かすための具体的な接し方を語った。

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会社員をやめて25歳で起業するまで

三田氏は新卒でフリーランスになり、半年から1年ほどSNS運用やライティングを請け負っていた。Instagramの運用が得意だったため、その分野の会社(広告関連)に入社した。しかし半年でうつ病になり、25歳で退社する。島袋氏が「人にマネジメントされるのは違ったのか」と聞くと、三田氏は「違いました」と答えた。同じ25歳でCharmapを立ち上げ、収録時点で3期目に入っている。

コンパニオンの位置に「ガチのギャル」を置く営業代行

Charmapの主な事業は、展示会やイベントへのスタッフ派遣だ。三田氏は、従来のコンパニオンの立ち位置に「めちゃくちゃガチのギャルバイブスが上がった女性」を送り込むのだと説明した。

ただし、コンパニオンのような衣装は絶対にNGにしている。スタッフはスーツやクライアントのシャツを着て、社員と同じくらいの製品知識を持つ。そのうえで、会場を歩く来場者に声をかけ、ブースへ積極的に引き込む。三田氏はこれを「ビジネスのナンパ」と表現した。女性スタッフが展示会に来た「おじ様」に声をかけているのだという。

効果について三田氏は、きれいに立っている従来型のスタッフより「ガッツがある」ので断りきれない、と話した。三田氏によると、コンパニオンと比べたリード獲得率は1.5〜2倍程度で、顧客の大半がリピートしている。最大の顧客は代理店経由のビズリーチで、ビズリーチが外注するスタッフはほぼ全員がCharmapの人材だという。東京から地方へ出張する案件も含まれる。ほかにハーモスやログラスの案件も手がけた。三田氏は、多くのスタッフを出している会社にはかなりの割合でCharmapが入っていると語った。

売り抜けではなく、株を一緒に持つパートナーを探した

売却先は株式会社CockPitホールディングスだ。リファラル型の人材紹介や営業人材の派遣を手がけている。

自分で経営を続ける選択肢もあったはずだ、と島袋氏が問うと、三田氏はこう説明した。事業を始めて1年ちょっとが経ち、人材派遣は事故が起きやすいと感じていた。知識がないまま個人情報の漏洩などが起きれば会社が終わる、という危機感も強かった。誰かを経営に迎えたかったが、同じ熱量の人がなかなか見つからない。それなら株を一緒に持つほどの相手でなければ無理だと考え、M&Aを検討した。島袋氏の「売り抜けるより資本提携のパートナー探しに近いのか」という確認にも、三田氏は同意している。

仲介会社を通さず、自分で候補企業に連絡した

相手探しは、仲介会社を使わずにすべて自分で直接行った。まず自社でリストを作り、フロント営業に女性スタッフが欲しそうな会社を調べる。その会社が抱えていそうな課題と、Charmapとのシナジーを整理する。そしてメールなどで「一度お会いできませんか」と送った。面談では「一緒にやりませんか」「グループインやM&Aを考えていませんか」「事業計画はありませんか」とストレートに切り出したという。こうして3社から反応があった。島袋氏は、その時点で営業力の強さが伝わってくると評した。

アドバイザーを外した理由と、約1か月での成約

途中でアドバイザーを入れたこともあったが、うまくいかないと感じてやめた。理由は二つある。一つは手数料で、まだ1期目だったためお金がもったいないと感じた。もう一つは相手の態度で、やや上から入ってこられたように感じた。自分のプランがあるのに、という違和感もあったという。結局契約はせず、最終的には先輩経営者たちに相談しながら弁護士を入れて進めた。

成約した現在の親会社は、三田氏から当たった相手ではない。向こうからリファラル経由で「一緒にやりたい」と声がかかった。決め手はスピードだった。オファーから実際の合意まで約1か月だったという。三田氏は誕生日の6月10日にリリースを出したかった。先方に「あと1か月しかないが、いいか」と頼み、「頑張ります」という返事を得て合意したという。クロージングは6月1日で、収録時点ではまだ直後だった。リリース後には「28歳 Charmap代表」がXのトレンドに入り、大きなPR効果があったと三田氏は振り返る。

一部の株を残し、M&A後に感じたギャップ

株式は100%を売却したわけではない。第三者割当増資でもなく、持ち株の一部を売った。残りは今も三田氏が保有している。将来、CockPitが別の会社に売却する可能性もある。三田氏は、それがお互いにとって良いこともありうるという想定で株を残したと説明した。ただし、きちんと合意形成したわけではなく、選択肢としてありうる程度の認識だという。

M&Aをやってみた感想として、三田氏は戸惑いを口にした。仲介を入れず、親会社の自己資本もおそらく20億円程度の規模だったため、手続きは比較的ウェットに進んだ。自分では意外と簡単だったのに、世間からの評価が高い。そのギャップに戸惑っているという。島袋氏はこれをM&Aあるあるだと受け止めた。何十億円で売ったと言われても、数年後には手元に残っていないこともある。「M&A」というバズワードが一人歩きして苦しむ人は実は多いので、そうならないよう気をつけるべきだと話した。

「見てるよ」を伝え続ける

後半のテーマは女性のマネジメントだ。Charmapの女性スタッフは現在約130人いる。

三田氏がまず挙げたのは、自分がいちばん頑張っている背中を見せることだ。女性は憧れや「この人のようになりたい」という気持ちが強い、というのが三田氏の見方である。そのうえで、全員に気を配る点でも自分がいちばんだと言い切る。スタッフ全員に日報を出してもらい、「いいね」とコメントを欠かさない。それによって「ちゃんとあなたを見ている」と伝えることが大事だという。

結果より、頑張っていることを褒める

どこを褒めるのかという質問に、三田氏はまず「女性あるある」として「今日も可愛いね」を挙げた。島袋氏は、男性が言うとセクハラになりかねないと応じている。

プロセスの評価については、自社の事業の性質から説明した。一般的な営業代行のように厳しい目標を課すものではなく、頑張ること自体がいちばん大事な仕事だという。だから結果ではなく、結果に向けて頑張っている部分を評価する。例として挙がったのは、雨の日に出勤してくれたことへの「来てくれてありがとう」や、昼休みを過ぎても頑張っている姿への声かけだ。島袋氏は、上の立場ほど実績だけで評価しがちな男性の感覚とは頭のネジを替える必要がある、と受け止めた。三田氏自身は、男性に「可愛いね」と言っても響かないのに対し、女性はネイルや見た目を褒めれば素直に喜ぶので、むしろ男性より簡単だと考えている。

男性の管理者が踏みやすい地雷

では男性が同じことをするとき、何に気をつけるべきか。三田氏は、容姿を褒めすぎるのは地雷だと答えた。女性同士なら問題ないが、男性なら3日に1回、あるいは1週間に1回程度の頻度がよいという。

島袋氏が「髪型を変えた」「初めてワンピース姿を見た」といった声かけは自分には言えないと言うと、三田氏は、そこから雑談が広がるとも返した。ただし二人とも、人やキャラクターによると認めている。容姿に触れない代わりの褒め方として、三田氏は「レスが早い」「確認ありがとう」「すごく丁寧に教えてくれている」を挙げた。島袋氏も、これなら使えそうだと反応した。

「感謝教」とクレーム・離脱への対応

三田氏の現在の主な業務はマネジメントで、その下には複数のリーダーがいる。全員に「見ているよ」と伝えるため、「こんなことを言ってくれてありがとう」というメッセージを大量に送っている。本人はこれを「感謝教に入信している」と表現した。別の経営者から教わった方法で、どんなに理不尽なことや腹の立つことがあっても、まず感謝から入るのだという。

スタッフから不満を聞いたときは、「言ってくれてありがとう。確かにそうだよね、そういう気持ちにさせちゃったよね、ごめんね」から始める。クライアントからの理不尽なクレームにも、まず「ありがとうございます」と返す。島袋氏は、それは営業の基本と同じだと述べた。いったん話を聞き切って礼を言い、相手が落ち着いてから詰めていく。頭ごなしに言い返せばヒートアップするだけだ、という見方である。

アルバイト感覚のスタッフもいるため、急に「行きたくない」「やめたい」と言われることもある。そうしたときは、わざわざ電話に切り替えて話す。あるいは3時間ほど時間を置き、冷静になる時間をつくるという。

全員を精鋭にはしない:上位2割への報酬設計

戦闘力の高い組織に仕上げる方法を問われると、三田氏は、130人全員を戦闘力の高い人材にするのは無理だと思っていると答えた。上位の20%ほどがそうであればよい、という考え方だ。

その層には、面談を経て「Sクラス」の待遇を与え、日給を3,000円ほど上げる。展示会でアポイント獲得まで担うスタッフには日給3万円を出しており、3日間で10万円を稼げる計算になる。三田氏は、プレッシャーはあっても頑張ろうと思える額だとし、数字への責任はこの層に持たせて実績で還元していると説明した。

料金体系と、発注前の設計

料金についても具体的な話があった。スタッフ1人1日(主に10時〜17時)で3.5万円。交通費は別だ。三田氏によると、コンパニオンの相場は2万〜2.5万円で、Charmapの料金はコンパニオン以上、営業代行未満のちょうど中間にあたる。

1回の展示会で派遣するのは3人程度が多い。当日の欠席に備えた待機スタッフもおり、管理費が20%ほどかかる。3名ならおおむね30万円程度になるという。

受注が決まると、三田氏自身が30分ほど顧客にヒアリングし、目標設計やマインドをすり合わせる。その内容を三田氏がメンバーに教え、当日は別のメンバーが現場に入る。三田氏は、展示会の設計そのものがうまくいっていなければスタッフが来ても成果は出ないので、この工程は必ず一緒に考えていると語った。

サバサバした性格と「りっちゃま」という人格

三田氏は、自分の特性がこの事業に合っていると考えている。自身はサバサバした性格で、スタッフからは「あっさりしたカリスマ」と見られているという。一方、クライアントはBtoB企業の「おじ様」や「お兄様」が中心だ。持ち前の気さくさで相手の懐に入れるので、そこでも自分の特性を生かしているという。

三田氏は男女の双子で、友人は男性が多い。親友は「おじさん」が多いと笑う。幼少期はクリエイティブなことが好きで、女優を目指していた。オーディションを受け、一人で演劇の脚本を書き、ダンスの振り付けを作っていたという。双子の兄は内向的で、自分も社会人になるまでは素の自分をかなり抑えていた気がすると振り返る。

転機は大学2年生のときだ。Twitterで発信を始め、「りっちゃま」というビジネスネームができた。りっちゃまは元気で無邪気な「ありたい姿」であり、それに自分が飲み込まれるようにして本来の自分が出てきたのではないか、と三田氏は話す。島袋氏はこれを、理想像として発信していた人格に本人が寄っていき、マインドセットが形づくられたのだとまとめた。三田氏は、この「りっちゃま」という存在が自分にとっての一つの成功法則だったと語った。

今後:地方拠点、スタッフのキャリア、女性向け研修

今後の事業については、地方の展示会が盛り上がっていることを挙げた。地方に出展する顧客も多いため、現地スタッフを増やしたいという。福岡、名古屋、大阪、札幌にはすでに数人ずついるが、これを強化していく考えだ。展示会だけではスタッフが飽きるので、イベント案件も増やしたい。さらに、スタッフのキャリアアップにつながる研修や、他社への転職支援も考えている。単発バイトという「点」の仕事をどう「線」にして女性のキャリアをつくるか、を検討しているという。

島袋氏が女性向け研修の可能性を挙げると、三田氏は「それやりたい」と応じた。教えられることは多いという。その一例として、「感謝教」と並んでよく使う「もったいないよ手法」を紹介した。スタッフに足りない点があるとき、普通は「もっとこうした方がいい」とフィードバックする。三田氏はそうではなく、「ここが伸びたら、もっと素敵な女の子になるのにもったいないよ」と伝える。島袋氏は、「もったいない」と言われると土台は良いという前提になるので、言われた側も悪い気がしないと評した。三田氏も先輩から教わった方法で、今も多用していると話した。