ヒューマノイドは物流現場で使えるか 国際物流総合展で見たフィジカルAI実装の現在地
PIVOT 公式チャンネルフィジカルAIの実装はどこまで進んでいるのか。PIVOTの取材班は、この問いを確かめるために国際物流総合展を訪れた。会場を一緒に回ったのは、早稲田大学教授でAIロボット協会(AIRoA)理事長の尾形哲也氏である。尾形氏は「フィジカルAI」という言葉が広まる前からロボットとAIを研究してきた。Mujin、Geek+、川崎重工業の展示を見た尾形氏は、物流がフィジカルAIを試す場として重要だと評価した。一方で、人型ロボットが現場で本格的に使われるまでにはまだ距離があるとも語った。
なぜ物流が「最初の業界」なのか
最初に話を聞いたのはMujinの担当者である。担当者は、Mujinを「ロボット界の共通OSを作っている会社」と紹介した。展示では、上部のカメラ(ビジョンシステム)と手元の多数のセンサーで、ロボットが周囲の状況を認識していた。1個20〜30kgある重い箱を前に、ロボットは1個ずつ取るか、2個まとめて取るか、3個いけるかを自分で判断し、どう積み込むかも考え続けている。置いた後も、どこに何をどれだけ置いたかを把握している。
担当者によれば、従来のロボットは「鉄の塊」であり、動作を一つずつ教え込み、教え終わったらそれを繰り返すだけだった。工場は大量生産で同じものが流れてくるので、それで対応できる。しかし物流では、毎日何万種類もの荷物が届く。教えた動作だけでは足りない。周囲には何百台ものAGV(床を走る搬送ロボット)があり、どの荷物をどのタイミングで運ぶかもソフトウェアで制御しなければならない。展示されていたアーム自体は安川電機やファナックなどのメーカー製で、Mujinはそれらを統合するソフトウェアを担っている。
担当者の見方では、物流は品種が非常に多いため、ティーチング型のロボットではそもそも入れない業界である。だからこそ、フィジカルAIを最初に導入する業界として物流を選んだのだという。
Geek+の物流向けヒューマノイド
尾形氏が合流して最初に足を止めたのは、Geek+のヒューマノイドだった。尾形氏は、実際の製品を並べる物流展でヒューマノイドが展示されるのは日本ではかなり珍しく、少し驚いたと話した。
Geek+のCEO加藤氏によれば、同社はもともと床を走るAGVを作る会社で、中国で創業して10年になる。AGVは世界で約6万6000台を供給しており、その発展形としてヒューマノイドを今年から生産している。日本では取材前日に販売を始めたばかりだった。年内に全世界で100台を生産して売り切り、その後に大量生産へ移る計画だという。
デモでは、ワーキングステーションから出てくるコンテナの中から、ヒューマノイドが受信したデータに従って該当の商品をつかみ、バスケットに入れていた。ピッキングと仕分けの作業である。バスケットにはそれぞれAさん、Bさん、Cさんといった注文が割り当てられており、必要な商品をそこに入れていく。タオルを両手で一つずつ取る場面もあった。商品を入れ終えたバスケットはAGVが受け取って運んでいく。ヒューマノイドは単独で動くのではなく、周囲のロボットと組み合わせて使う設計になっている。
汎用グリッパーとリトライ、尾形氏の評価
尾形氏は、仕分けの最後の工程はこれまでどうしても人間が担ってきた部分だと指摘した。そのうえで、この機体がかなり汎用的なグリッパーでさまざまな商品をつかもうとしている点を独特だと評価した。通常の産業ロボットは、つかむ対象に合わせて専用のグリッパーを作る。このヒューマノイドは明らかに多様な商品を扱うことを意識しており、ヒューマノイドの理想的な使い方の一つではないかと述べた。
加藤氏によれば、人の形をしているのは、人間が作業している現場にそのまま入るためである。人間が5本の指でつかむ動きを覚えさせ、指先には圧力センサー、手先にはカメラを付けて、どの程度の力でどこを持てば落ちないかを学びながらピッキングする。落とした場合はリトライしてもう一度取る。なぜつかめなかったのか、どうすればつかめたのかというデータが溜まり、システムが改良されていく仕組みだという。
尾形氏が特に注目したのは動きの速さだった。人型のような複雑なロボットを入れると、その部分が全体のボトルネックになりやすい。尾形氏は、失敗しても自分でリカバリーできるリトライこそフィジカルAIで最も面白い点だと述べた。リトライを含めても、このロボットはおそらくボトルネックにならない速度を保っていると見ていた。
車輪を選んだ理由と「そもそも人がいない」という導入動機
このヒューマノイドの足元は二足ではなく車輪である。加藤氏は、倉庫は比較的平らな床が多く、二足歩行にするとバッテリー消費が非常に大きくなると説明した。24時間365日稼働させるには消費エネルギーを抑える必要があり、この設計にしたという。二足歩行のヒューマノイドとは用途が違うという位置づけである。
聞き手が「人間がやった方が早いのでは」と尋ねると、加藤氏は人手不足の深刻さを挙げた。年末に派遣スタッフを100人発注しても、実際に来るのは10人程度だという。出荷が最も増える時期に作業員がいなくて出荷できない状態は最悪であり、もはやお金の問題ではなく、事業を伸ばすために不可欠になっていると語った。人の半分の速度でも24時間動くので、結果として3倍程度の作業量になるという話も出た。
日本での反応について、加藤氏は前日からすでに注文が入っていると述べた。先進的な企業は費用対効果よりも、導入すると現場がどう変わるのか、自分たちが何を変えなければならないのかを学ぶPOC(概念実証)に積極的だという。物流に特化したヒューマノイドは他にないため、引き合いは強いとした。学習データについては、世界各地で1日に数十万から数百万のピックがあり、中国ではすでに100台規模のPOCを実際の顧客のもとで行っている。現場のデータが常に入ってくる状態だと説明した。
ヒューマノイド以外の自動化:シャトルと高層保管
Geek+のブースでは、パレットを動かす新型のシャトルシステムも動いていた。加藤氏の説明では、従来の大型自動倉庫はスタッカークレーンが大きく動く方式で、1台が止まると全体が止まる設計だった。新システムは各パレットの下をRGV(四角いAGVのような搬送機)がレール上で走るため、1台が止まっても全体は止まらず、停止リスクが分散される。ジャングルジムのような構造で縦揺れにも横揺れにも強く、地震の多い日本に合った耐震設計だという。
コンテナ単位で高い位置まで保管できる設備もあった。こうした設備がない倉庫では、ドライバーがフォークリフトで荷物を差して上げ下ろししているが、属人性が高く、フォークリフトのドライバーも今は雇えないと加藤氏は話す。設備は1時間に数百の荷物を出し、1〜2人では対応できない量になるという。加藤氏は、人がボトルネックになるという尾形氏の指摘が、まさにこうした技術の進化に欠かせないポイントだと応じた。
残る課題は「箱に入れる」部分とハンド
懸念点を問われた尾形氏は、全体のシステムは完成度が非常に高いとしたうえで、人型ロボットの部分にはまだチャレンジングな要素が残ると答えた。いろいろなものを扱えるということは、裏を返せばいろいろなものを扱わなければならないということでもある。物がきれいに箱に入っていれば完成度の高いシステムが作れるが、箱に入れる工程そのものが難しい。今後、非常に重い商品や複雑な形状の商品が出てきたときにどうするかという問題は出てくるだろう、と尾形氏は見ている。
加藤氏も、現在3本指のハンドについて、中国側の開発陣と、人間の手に近づけた方が動作の再現性が高まるため改良が必要だと話していると明かした。尾形氏は、ハンドが一番難しい部分だと強調した。学習するロボットの売りは、同じハンドでも学習によってさまざまな物に対応できるはずだという点にある。その究極の形は人間の手になる。ただし非常に難しいので、現実的な落としどころをどこに置くかはこれから議論が分かれるところだという。
尾形氏は人間の5本指について、進化がたどり着いた一つの過程であり最適ではないと考えている。それでも、とても柔らかいものをつかめる一方で、指で懸垂ができるほどの力も出せる。そのうえ一番壊れやすい部位でもある。そうした難しい部位が実際に使われる段階に来たことは、昔から研究してきた者として驚きであり、感慨深いと語った。
ロボットの定義から見た物流と、屋外への広がり
物流展に来たのは初めてだという尾形氏は、活気のある非常にアクティブな領域だと改めて感じたと話した。会場でヒューマノイドがまだ少ない点については、箱の中身を出し入れする工程で、さまざまな形の物を扱うために人型が入ってくるのではないかという見方を示した。
尾形氏によれば、ロボットの定義で最も大事なのは「現実世界を物理的に変える」ことである。情報を伝え合うだけでなく、物理世界に存在し、動くことで世界に影響を与える。組み立てや操作もそれに当たるが、物を物理的に動かす物流はその定義に非常によく当てはまる分野だという。
扱う物が箱で、床が平らな屋内という点で、物流はフィジカルAIの試金石ではないかという聞き手の問いに、尾形氏は同意した。そのうえで、扱う物の形は今後変わるだろうし、平らな場所だけでよいのかという問題もあると付け加えた。人間の生活空間はある程度バリアフリーだと期待できるが、屋外はそうはいかない。屋外配送ではドローンを使うのか、脚が必要なのかという選択が出てくる。脚はバッテリーを大量に消費するため重い物の運搬には向かないと考えられてきたが、この1年で急速に進歩しているので、届けるのが大変な場所に脚のあるロボットが物を届けるという展開も十分あり得る、と尾形氏は述べた。
中国は「使う側」として強い
中国語の説明が並ぶブースの前で、尾形氏は中国が「ものすごく強い」と話した。産業ロボットを作る面では日本もまだ頑張っているが、ユーザー、つまり使う側としては中国が圧倒的に強いという。ロボットの活用量が大きく増えており、産業ロボットでは技術的にも日本とほとんど遜色がなく、人型ロボットの活用では明らかに中国が先行していると言わざるを得ない、というのが尾形氏の見方である。
会場にはパレットを運ぶ人型ロボットの展示もあった。聞き手が「人がやった方が早そう」と率直に言うと、尾形氏は、中のパンフレットを取れたらすごいと応じ、将来はそうした動作も見せられるのではないかと話した。
なぜ展示会にヒューマノイドが少ないのか
テレビでは運動会で走るヒューマノイドなども目にするのに、なぜこうした場には少ないのか。尾形氏は、24時間動き続けられるか、どれだけ信頼できるかという水準まで持っていくには、まだ少し距離があるからだと答えた。ただしポテンシャルはすでにそれなりに示されている。1年で非常に進化しており、今がピークではなくまだ伸びる、と尾形氏は見ている。今後必要になるのは、実装に向かう「思い切りの良さ」と、この技術をどう使うかを考えることであり、それが進めばこうした場でももっと見られるようになるだろうと述べた。
日本の勝ち筋は「環境に合わせる」側への転換
日本の勝ち筋を問われた尾形氏は、勝てるかどうかは分からないと前置きした。フィジカルAIの文脈で中国が強いのは分かっていることだが、産業ロボットや物流用ロボットについては日本がずっと強みを持ってきたという事実がある。それをどうAIと組み合わせるかがポイントだという。
尾形氏の説明では、従来の産業ロボットは同じことを正確に速く繰り返すものであり、日本はロボットに合わせて工場や物流の現場を作ること、つまりロボットと環境をインテグレートし、「ロボットフレンドリーな環境」を作ることに長けていた。一方のフィジカルAIは、データを大量に集めればロボット向けに設計されていない環境でも、人のすぐ近くでも、屋外でも動けることが売りになる。方向性は逆だが、使う部品は同じであり、ロボットがぶつかる問題もおそらく似ている。産業ロボットで強い会社がAIという技術を手に入れ、うまく融合できるかどうかが、米国と中国にキャッチアップするうえで大事なポイントになると尾形氏は述べた。
人用の環境に人型ロボットを入れてAIで学習させるというストーリーが、速さと正確さを要求される世界にどこまで入れるのか。それが一つの関心事だと尾形氏は付け加えた。
川崎重工業の「模倣学習」デモ
続いて訪れたのは川崎重工業のブースである。尾形氏は川崎重工業を、産業ロボットと人型ロボットという2つの柱を長く手がけてきた会社だと紹介した。人型ロボットは今回展示されていなかった。
産業ロボットの技術責任者である吉川氏によれば、展示は物流倉庫の入り口と出口を担うソリューションである。パレットで入荷した荷物を降ろし(デパレタイズ)、仕分けたうえで、スーパーやドラッグストアに配送する6輪台車に店舗ごとに積み付ける。上部の3台のカメラが各パレットを見ている。物流倉庫ではSKU(品目)が何万種類もあり、AIを使わない従来方式では認識しきれない。AIで学習させたビジョンで箱を認識し、どう運ぶかの指示までロボットに与えているという。
難しいのは、箱の中身を一つずつ取り出すピッキングである。従来は対象物を撮影し、どこをつまむかを人がパソコン上で指定するアノテーションが必要だった。吉川氏によれば、これは画像1枚につき少なくとも1〜2分かかり、膨大な種類と枚数が必要になる。今回のデモでは、ロボットのハンドと同じ形をした手持ちの器具で人が実際につまむ。その様子を画像として記録し、そのまま学習データにする。1回のつまみ動作は2〜3秒で終わるため、吉川氏はこれまでの学習作業に比べて30〜40倍の効率になるとみている。1つの対象物につき約100回データを取れば、これまでの実績ではロボットがつかめるようになるという。器具と学習ソフトはいずれも同社が自作したものである。
学習後のロボットは、人が端の物を斜めに取りに行けば、アームを斜めにして同じように動く。人が真ん中や先端などいろいろなつまみ方をしておけば、ロボットもそれに応じてつまむ。デモ中に透明な物をつかみ損ねる場面もあったが、ロボットはいったん戻ってやり直した。同じ箱の中に、ペットボトルのような硬い物から歯磨き粉のような柔らかい物までが入っていた。
尾形氏が「がっつりのフィジカルAI」と評した理由
尾形氏はこのデモを「がっつりのフィジカルAI」と評した。この種のデバイスはもともと米国で作られたもので、尾形氏は後に、よく「UMI」と呼ばれるデバイスの発展版だと説明している。人がアノテーションをしても、それで本当につかめる保証はない。人が実際につかんだデータなら、つかめるデータを確実に集められる。
ポイントは手先の接触にあると尾形氏は言う。物体をどうつかんでいるのか、摩擦はどうか、その場所を持って転ばないかずれないかは分からず、シミュレーションで再現するのも非常に難しい。そこでリアルなデータを集め、手先の位置と方向だけをしっかり記録しておけば、その再現は産業ロボットの小手森のものである。箱の中身を扱う部分こそフィジカルAIで一番面白いところだと尾形氏は強調した。こうしたデバイスは尾形氏自身の研究室も含めて世界中でさまざまなバージョンが作られ、データ収集の競争が起きている。遠隔操作で教える方法などもあるが、数秒で1つのデータが取れる速さが、この手法が世界中で流行している理由だという。尾形氏は、川崎重工業が独自に取り組んでいることは知らなかったと話し、実用レベルにだいぶ近いと改めて感じたと述べた。
人型を出さない理由と、指先の難しさ
なぜ物流展では人型ロボットを出さないのか。吉川氏は、人型はソーシャル系の用途を中心に開発しており、物流分野ではまだ自動化の余地が大きいため、今売れるものを出していると説明した。人型が実用として売れる段階にはもう少し時間がかかり、その段階が来たら出展するという。
他社が人型を出していることについて問われると、吉川氏は、実用化には壊れないことも必要だとしたうえで、人型を使う意味として指が非常に重要だと考えていると答えた。箱を運ぶような手のひらでできる作業は、人型でなくても自動化できる。指先を使う作業はもう一段難しく、そこまで自動化できれば世の中の自動化は何倍も進むだろう。ただし、そこにはまだ時間がかかるというのが吉川氏の現状認識である。
尾形氏は、このデモを産業ロボットと人型を「つなぐ」技術だと見ている。模倣学習は人間を模倣するものなので、究極的には人型ロボットに行き着き得る。模倣学習は尾形氏自身の専門でもあり、両方の技術を持つ川崎重工業が将来それらを統合することに期待を示した。一見してこれがフィジカルAIだと分かる人はほとんどいないだろうが、専門家なら一目で意味が分かる展示だとも語った。
箱から「箱の中身」へ
取材の最後に尾形氏は、来場前後で印象がどう変わったかを語った。物流展といえば、大きく重い箱を速く正確に回していくイメージだった。実際には、その箱にも多くのバリエーションがあって学習が必要だった。さらに、箱の中身に手を出すという段階が出てきた点が大きいと尾形氏は述べ、この領域にはまだ多くの余地があると改めて感じたと締めくくった。人型ロボットが物流現場で24時間の稼働と信頼性を満たせるのか、ハンドの現実的な形をどこに定めるのかは、会場で見えた次の課題として残されている。
皆さん、こんにちは。PIVOTの小手森です。今回は、フィジカルAIの実装はどこまで進んでいるのかということで、こちら国際物流総合展にやってきました。なんでフィジカルAIで物流なのと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この辺りも含めて、中で専門家の方と途中で合流して深掘りしていきたいと思います。それでは行ってみましょう。
入って早速、フィジカルAI実装って書いてありますね。すいません。ただけのさんの小手森です。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
Mujinさんは、どういう会社なんですか?
ロボット界の共通OSを作ってる会社ですね。
プラットフォームが分かるような、このスクリーンを見ながらいいですか?
はい。どうぞ、どうぞ。
はい。これですか?
はい。この構成を見ていただくと、これ、ロボットが自分で考えてるようにして、ほら、取っていきますよね。これ、どうやって考えてるのか。上にビジョンシステムがあるんですよ。あのオレンジのものを見ていただくと、あれにカメラがあります。手元にもたくさんセンサーが付いてます。こちらを見ていただくと、カメラで見てるものが全部、認識されてますね。
ああ。
はい。ロボットが見えてるわけです。さらに、置いた後もどこにどれだけ置いたか見えてますね。これを毎回自分で考えて、これは1個当たり20kg、30kgある重たい箱じゃないですか。それを1個だけ取るのか、2個だけいけるのか、3個一緒にいけるのかっていうのを全部自分で考えて、どうやって積み込むかも考えてるんですよ、ずっと。
逆に、これがないとどういう動きになっちゃうんですか?
これがないと、ロボットってこれ、鉄の塊ですから、ロボットの動作を1個1個教えて、決まった動きを教え終わったら、それをただリピートするだけ。特に物流っていうのは、多品種を相手にしなきゃいけませんので、毎回毎回、教えたものだけじゃ全く足らないですね。毎日何万種も来ますから。ほら、また違う箱が来るわけです。
うん。
周りにもまた違うロボットの友達がいるわけですね。これ、AGVっていう、ルンバみたいなやつですけど、これが何百とあるわけです。それをソフトウェアで全部制御して、どうやって動かせばいいか、どういうものをどのタイミングで持ってくればいいか。これはすさまじい、あのソがそうなるんですよ。
ハードは、ここに展示してあるロボットはどこのやつなんですか?
これは例えば、安川さんに作ってもらったりとか、ファナックさんに作ってもらったりとか、AGVメーカーも私たちが作らせてるメーカーさんですね。
じゃあ、いろんなメーカーのここを今、統合してってことですが、そもそもフィジカルAIにおいて物流ってどういう立ち位置にあるんですかね?
この物流っていう世界には、なかなかロボットが入っていけなかったんですよ。これ、なぜかというと、工場だったら毎回ずっと同じものが来るじゃないですか。大量生産してるので。でも物流っていうのは超多変なんですよ。
そうですよね。この段ボールもビールから水から。
そう。一番最初のフィジカルを入れる業界っていう意味で選んだのが物流だったんですよ。これ、祖業なんですよ、実は。Mujinの物流っていうのは、もう超多品種だから、そこにはティーチングのロボットでは無理。フィジカルAIロボットじゃないと、そもそも入らないっていう業界です。
ここから専門家の方と一緒に見ていきたいと思います。ロボットとAIが専門の尾形先生です。よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
今回会場を一緒に巡るのは、ロボット研究の第一人者、尾形哲也さん。フィジカルAIという概念が浸透する前から長年この分野を見てきた彼に、実装のリアルはどう映るのか。
早速ここにヒューマノイドがありますけど、どうです? ご覧になって。ここだけ全体の中でも未来感がすごいですよね。
こういう物流の、かなり実際の製品を展示するっていう中で、ヒューマノイドが展示されてるっていうケースは、かなり日本では珍しいんじゃないかなと思います。ちょっと驚いて見てます。
本当です。会社の方に聞いていけたらなと思って。Geek+のCEOの加藤さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。ようこそお越しいただきまして、ありがとうございます。こちらは新型の物流、もしくは工場向けのヒューマノイドです。我々は元々、AGVといって、この床の上を走っている、こういった搬送ロボットを作っている会社でして、中国で創業して、今ちょうど10年たったところです。世界各地に今、6万6000台ほどこのAGVを供給しておりまして、そこから進化系として、こういったヒューマノイドも今年から生産開始しております。
元々はこのAGV、このルンバみたいな、このロボットみたいなやつがあって、そのデータもある上で、今回このヒューマノイド。これ、すごい新しいやつですか?
そうですね。これ、もう本当に昨日から販売開始、日本ではですね。
そうですか。
そうなんです。年内、全世界で一応100台生産をして、売り切る予定でして、そこから大量生産に入っていくっていう、そういう予定で今動いております。
これ、どういう作業を今してるのか、見ながらいいですか?
5000。
はい。このワーキングステーションと呼ばれるものからコンテナが吐き出されてくるんで、このロボットが、どの商品をピックしなさいというデータを受信しておりますので、そのデータに基づいて該当の商品をコンテナからピックして、こちらのかごに入れる。なので、ピッキングと仕分けという作業を今ここでヒューマノイドが行っております。
どうですか? このピッキング。
この一番最後の、こういう仕分けで入れるところっていうのが、どうしても人間がやらないといけなかったところだったと思うんですが、それをまさに今ご紹介いただいたように分析して、こういうヒューマノイドで、しかもかなり汎用的なグリッパーを使って、いろんなものを取れるようにされてる。これもなかなか独特で、普通は専用のグリッパーを作ったりするんですよね。これだけをつかむためのものって。でもこれは明らかに、いろんな商品をつかもうということを意識されて作られてるので、まさに理想とするヒューマノイドの使い方の一つじゃないかと思ってますけど。
ありがとうございます。
やっぱり、この汎用性っていうのが重要になってくるんですかね。
はい、そうですね。やはり今、人間が物流環境であったり、工場の中では作業してるので、こういった形をしてることによって、その現場にすっと入っていける。入っていった手前、やっぱり人間がつかんでいるものっていうのは5本の指でつかむので、それをまねて、指の動きを覚えさせてですね。指の先にもプレッシャーセンサーが付いていたり、あとカメラも手の先に付いているんで、それを使いながら、どれぐらいの強さで持ったらいいかですとか、どのポジションをつかむと落ちないのかとか、そういうものを見ながら、学びながらピックしていく。
ただ、これ、失敗して落としてしまったりするんですよ。それをまたリトライっていって、再度もう1回取るんですね。そのデータがどんどんたまっていくんで、なぜつかめなかったか、どうしたらつかめたのか、そういうイエス&ノーの結果を踏まえて、どんどんアップグレードされていくって感じですね。
今あれは?
今まさにピッキングをしていて、タオルを両手で1つずつピッキングしてます。それをこちらのバスケットに仕分けしていく。バスケットがいくつかあったとすると、Aさん、Bさん、Cさんっていうオーダーが割り当てられていて、そのオーダーに必要な商品を、この割り当てられたバスケットに入れていくって感じですね。
なるほど。なかなか、こういう形でヒューマノイドが仕分けるっていうのは、もう他ではないんですか?
まだなかなかないですね。これは倉庫であったり工場の中で専用的に動くものなので、二足歩行のヒューマノイドとちょっと用途が違うんですね。例えば見ていただくと分かるとおり、足元に車輪が付いていて、二足ではないんですね。こうしている理由としては、やはり倉庫の中っていうのは比較的平らな面が多いので、二足歩行にしてしまうとバッテリーの消費っていうのはものすごく高いので、こういうふうにしていた方がバッテリーの持ちがよくて。結局、24時間365日稼働させようとすると、なるべく消費燃料を抑えるっていうことが必要になってくるんで、こういう設計にしてますね。
このAGVがバスケットをあそこでキャッチすると、こっちに来るんですか? これが。
はい。
おお。このバスケットをここにセットすると。なんかかわいいですね。
そうですね。ロボットたちが協働して作業してる感じですね。
もうこのヒューマノイドばっかり目がいっちゃってましたけど、セットってことですね。
そうですね。セットですね。
尾形先生、気になるところとかあります?
やっぱり動きが速いですよね。普通、人型の、人間のところのロボットがボトルネックになるんですよ。他のロボットはみんな速いですよね。でも、どうしてもこういう複雑なものを入れちゃうと、ここの動きが遅くなっちゃう。さっきのハンドの話もそうですし、あとリトライ。リトライはものすごく象徴的なんですけど、自分で失敗してもリカバリーできるっていうのがフィジカルAIの一番面白いところですが、そういうところも含めて実験された上で、このスピードをキープされてる。ボトルネックに多分ならないスピードになってますよね。これは実は動いちゃってるものなんですけど、速いなと思って見てます。
でも、素人目線だと、これって人間がやった方が速いんじゃないかと思っちゃうんですけど、ちょっと水を差すようですけど、ここをこのヒューマノイドにさせる意味って何なんですか?
そうですね。やはり24時間365日働けるっていうところと、あとやっぱり今、物流業界っていうのは人手不足でして、年末に例えば100人、派遣さんを発注したとき、実際に来るのって10人とかなんですよ。そうすると、もう年末でいっぱい出さなきゃいけない、ビジネスを加速させなきゃいけないっていうときに、作業員がいなくて出荷できないとか、もう最悪な状態なので、もうお金の問題ではなく、こういうものを入れて自社のビジネスを加速させるために、必要不可欠になってきてますね。
なるほど。人より速いかというより、もうそもそも人がいないっていうところですね。
人より例えば半分のスピードだったとしても、24時間動きますから、結果、3倍ぐらいの作業量ができるっていう。
そうですね。
どうですか? これ、日本で売れると思いますか?
もうすでに昨日からオーダーを頂いていたりとかして。やはり先進的な企業って、これが費用対効果としてどうなるかっていうより、これを使ったときに現場がどう変わるのかとか、これを使ったときにどういうところを自分たちが変えなきゃいけないかとかっていうことを学ぶ、PoCって呼ばれることを非常に積極的にやられるところが多くて。それに対して、こういった物流に特化したヒューマノイドは他にないので、非常に引き合いは高いですね。
学習させてると思うんですけど、どのくらいのデータとか、そういうのって言っても大丈夫なんですか?
1日にもう世界各地で今、何十万ピック、何百万ってあるので、すでに中国内では100台単位でPoCを、実際のお客様でやらせていただいてるんですね。なので、ものすごいピックと仕分け数が、もう常に入ってきてる状態です。
現場のデータが。
おっしゃるとおりです。
なるほど。この後ろもすごい動いてて気になるので、見せてもらってもいいですか?
はい。これは新しい4シャトルという、荷物がパレットっていう座布団みたいなものに乗っているものを移動させるものなんですけれども、従来の自動倉庫って呼ばれる、ものすごい大きな倉庫ですと、スタッカークレーンっていうクレーンがものすごく大きく動くんですけれど、それが1個止まってしまうと全て止まってしまうっていう設計だったんですね。これは各パレットの下に、ああいうRGVっていう、AGVの四角いようなものがレールの上を走っていくんで、あれ1台が止まっても全体が止まるってことはないんですよ。なので、停止リスクの分散がされてたりだとか、あと日本って地震が多いんで、構造物として耐震設計になっているというか、地震に強い設計になっている。こういうふうにジャングルジムみたいになってると、当然、横揺れ、縦揺れにも強いですし、倒れにくいってことですね。
すごく高いところまで保管できるっていうのが一つの売りでして、これに関しては、先ほど見ていただいたパレットとは違って、ケースですね。コンテナ単位で保管されている。
ああ、はい。これって、こういう形じゃないところでは、普通はどうやってやってるんですか? 人が?
普通はフォークリフトとかでドライバーさんが運転して、フォークリフトで差して、それを上に上げていくとか。なので、結構属人性が高いっていうのと、フォークリフトのドライバーさんも今もう雇えないので、非常に大変ですね。
確かに。そうしたら、これ、すっごい動きますし、左右にも上下にも。人より速いって感じですかね。
間違いなく速いですね。もう1時間に何百っていうのが出てきて、1人とか2人では対応ができないぐらい出てくるんで、先ほど先生がおっしゃったとおり、大体、人がボトルネックになるっていうのは、まさにこういったテクノロジーの進化に欠かせないポイントだと思いますね。
先生、この辺りのGeek+の展示を見てて、逆に気になる、大丈夫かな、懸念、課題みたいに思ったところ、ちょっと突っ込みたいところはありますか?
この辺のところは、多分ものすごい完成度が高くて。でもやはり、人型ロボットのところはまだまだ少しチャレンジングなところもあるかなとは思って、いろんなものを扱えるんだけど、扱わなきゃいけないとも言えますね。ここは箱にいったん入ってくれると、ものすごく完成度の高いシステムができるんですが、まさに箱に入れるところがやっぱりすごく難しいところなので、これからいろんな商品のバラエティ、すごい重たいものがあったらどうしようとか、複雑な形状があったらどうしようとかいうことは出てくるかなと思いつつも、安定してますよね。大変素晴らしいデモだったと思います。
ヒューマノイドでいくと、今これ3本なんですけど、中国側と話していると、やはり2本か4本にした方がいいんじゃないかと。それっていうのは、人間の手になるべく近い方が再現性が高くなってくるんで、3本指だとなかなかその再現性、人間でなかなか再現できないので、これはちょっと改良だよねって話はしてます。
このハンド部分がやっぱり一番難しくて、普通の産業ロボットは、これからいろいろあるかもしれませんが、先ほど申し上げたとおり、専用のここを作り直すんですね。何をつかむのかっていうターゲットに合わせて作り直すんだけど、学習してできるロボットの売りは、同じハンドでも学習によっていろんなものに適用できるはずである。でも究極はこれになるんですよね。これはすごく難しいので、じゃあ現実的な解をどこに求めるかっていうのは、これからいろんな議論があるところだと思いますね。
本当にこの人間の5本指って、考えられたものなんですね。
これは進化の過程でたどり着いた、あくまで一つの過程だと思って、これ、最適じゃないと思うんですが、でもそれにしても本当によく動くし、何でもできちゃうんですよね。
いかに本当に汎用的な手になっているのか。
すごい柔らかいものをつかめるかと思うと、その視聴者差使って、これも超入ってましたけどね。そうかと思うと、指で懸垂ができたりするぐらい力も出せますね。一番壊れやすい場所でもあるんですよね。そういう意味ではすごくチャレンジングな場所で、でもそれが本当に使われる段階に来たっていうのは、僕ら昔からやってる研究者として、ちょっと驚きというか、面白い、大変感慨深いところではあります。
どうですか、ご覧になってて。
そうですね。物流展自体、僕は初めて来たので、そういう意味では活気があって素晴らしいというか、日本のすごくアクティブな領域なんだなと、改めて認識してるところではあります。
まだあんまりヒューマノイドみたいなのは見かけないですね。
そうですね。ヒューマノイドが出てきてるシーンというのは、やはり箱の中身を出したり、もしくは入れたりっていうシーンが出てくるときに、いろんな形の部品を扱えるようにっていうところで。今は人がやってる作業ですけど、そこをヒューマノイドのようなものがある程度助けることができるのかっていう思想で入ってくるのかなというイメージで思っています。
そもそも、フィジカルAIとかロボットの文脈において、物流ってどういう位置付けなんですかね。
やはり、ロボットの定義の中で一番大事なことは、現実世界を物理的に変えるっていうことなんですね。もちろん、いろんな種類のロボットは定義されていて、例えばコミュニケーションロボットもロボットではありますけれど、ただ情報を伝達し合うというのではなくて、物理世界に存在して、しかもロボットが動くことによって影響する。そういうものを考えたときに、もちろんそれは物の組み立てだったり、操作だったりもあるんですけど、物を物理的に動かすっていうのは、すごく分かりやすいですよね。そういう意味では、ロボットに限りませんけど、でもロボットの定義というものを考えたとき、非常にフィットした分野なんだろうと思ってます。
じゃあ、そういう意味では、ちょうどここに今ありますけど、扱うものもこういうものじゃなくて箱ですし、この場所も平らな床で、かつ屋内でっていう意味では、フィジカルAIがどう実装されていくかっていうのの試金石みたいな感じなんですかね。
そうですね。おっしゃったとおりで、扱うものの形が変わるだろうということ、あと動く場所が平らでいいかっていうのもありますよね。基本的に人間と同じ場所で生活するという前提で考えればいいのであれば、大体バリアフリーになってるだろうと期待できるんですが、ちょっと外に出ると、いきなりそうはいかないですね。物流ももちろん、外で運ぶっていうケースも出てくると思うんですけど、そうすると、これはドローンで飛ばすのか、もしくは足がいるのか。足というのは基本的にはバッテリーをものすごく食うので、なかなかこういう重たいものを運ぶというのには向かないと考えられてはいますけれど、とはいっても、この1年で急激に進歩してますので。そういうような使われ方をする、物を届けるのが大変な場所に、人型というか、足のあるロボットが物を届けるみたいな、そういうストーリーも全然起こるんじゃないかっていうのは思いますね。
これは中国語の説明もありますね。やっぱり中国は強いんですか?
ものすごく強いです。
どうですか、このラインナップ。人型もありますけど。
はい。産業ロボットは日本が強いって申し上げましたけど、中国はそれを作るのはまだちょっと頑張ってるんですが、ユーザーはもう圧倒的に中国の方が強い。
どういうことですか、ユーザーは?
つまり、使う側です。
ああ、使う側が。
ロボットを活用している量っていうのが、もう全然多くなってきていて、技術的にも日本とほとんど遜色ないというか。産業ロボットについてはそうですし、こういう人型ロボットの活用という点では、明らかに中国っていうのは先行していると言わざるを得ないかなと思いますね。
あそこにありますね、実際に展示が。ちょっと見てきましょうか。
気付いてなかった。あった。
おお、ありましたね。
運ぶ。
そうですね。これ、パレットを運ぶということですね。ごめんね。
これも、人がやった方が速いかなっていう感じですけど、でもやっぱりすごいですか、これは。中のパンフレットを取ってほしいんですけど。
そうですね。パンフレットを取ったらすごいですよね。これ、今2本指というところですか? これはグリッパーっていう言い方をします。
グリッパーっていうんですかね。
おお。でもそういうことも将来、見せられるんじゃないですかね。
そうですね。さっき、数少ないヒューマノイドを一緒に見ましたけど、ヒューマノイドっていうと、結構、開発とかの現場では、もっといろんな優れた、例えば運動会で走ったりみたいなのもテレビとかでは目にしてますけど、どうしてこういう場にはヒューマノイドがないんですかね?
そうですね。やはりこういうところですと、先ほど少しお話にもありましたけど、24時間ずっと動けますかとか、どれだけ信頼できますかというところまで持っていこうとすると、まだ少し距離があるっていうことだと思います。ただ、ポテンシャルとしてはもうそれなりに見せているということですし、また、この伸び方ですよね。1年でものすごく進化しているんですね。これは全然、今がピークではなくて、まだまだ伸びるということなので、どれだけそういった実装のところに向かっていけるかという、ある種、思い切りのよさみたいなのがこれから必要で。こういう技術をどう使おうかみたいな、そういうところに出てくると、こういうところでももっと見られるようになるかなと思いますね。
いろいろ見てきましたけど、日本は元々ロボットの技術があるわけじゃないですか。先生もAIっていう言葉が出てくる前からロボットを研究されてて、そういう意味では、日本の勝ち筋みたいなのってどこにあるんですかね?
勝つというかは分からないですけれど、今のフィジカルAIの文脈だと中国が強いのは、もう分かっていることではあるんですが、でも、ことロボットだけにフォーカスするのであれば、やはり産業ロボット、もしくはこういう物流で使われてるようなロボットっていうのは、日本はずっと強みを持ってきたっていう事実はありますので、これをいかにAIと組み合わせていけるか。そもそもちょっと方向性が違うんですけど、普通の産業ロボットっていうのは、同じことをひたすら繰り返す、正確に速く繰り返すっていうものなんですけど、それに合わせて、工場の現場、もしくは物流の作業の現場をどう作るかっていう。
じゃあ、環境をロボットに合わせてたんですか?
まさに、ロボットと環境をインテグレートするっていう言い方をするんですが、もしくはロボットフレンドリーな環境を作るみたいな言い方をするんですけど、そういうようなところが日本の強みだったんです。ところがフィジカルAIは、どちらかというと、データをいっぱい集めてくれば、ロボットにとってデザインされた環境でなくても動けますよ、人のすぐ近くで動けますとか、もしくは屋外でも動けますとか、そういうところが一番の売りなので。そういう意味では方向性は違うんですけど、でも作る部品とかは全部一緒ですし、ロボットが持つであろう問題点っていうのも、おそらく似ているんですね。なので、いかに今、産業ロボットで強い会社がAIという技術を手に入れられるか、うまく融合できるかっていうのは、これからアメリカ、中国にキャッチアップしていく大事なポイントになるんじゃないかと思います。
じゃあ、技術はあるから、ロボットに環境を合わせるのと、また逆ですよね。環境に合わせるっていう、そこに転換できるかっていうところですね。
そうです。先ほどの、人の代わりに入れちゃえるっていうのは、やはりそういう独特さですよね。もうロボットのためにはデザインされてないわけですね。明らかに人用のあれに対して、合わせるために人型ロボットをそこに、さらにAIで学習させてっていう、そういうストーリー。これがどこまで、こういうスピードと正確さを要求される世界にフィジカルAIが入ってこられるのかっていうのは、一つ興味があるところではあります。
まさに今、目の前にちょうどあるのが川崎さん。もう本当に何十年も前からロボットをやってきた会社ですよね。
そうですね。川崎さんの場合、すごく面白いのは人型ロボット。今回、展示されてないとお伺いしてますが、ロボットにもすごい長いこと取り組んでいらっしゃって。そういう意味では、産業ロボットの得意とするところと、人型ロボットのような先進的な技術を、両方、二つの柱でやってらっしゃる、そういうイメージを持ってます。
じゃあ、担当者の方に話を聞きながら見ていきましょうか。産業ロボットの技術の責任者の吉川さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
これ、今どういうデモなのか教えてもらっていいですか?
はい。こちら、物流倉庫に対するソリューションになってまして、物流倉庫って、小売業とかドラッグストアとか、いろんなところがございますけど、箱でいろいろな物がパレットに乗って入ってきます。それが最初に入ってきたのを、荷下ろし、デパレタイズっていうんですけど、デパレタイズをして、それが仕分けられて、店舗ごとに、ああいう6輪台車とか。スーパーマーケットとかドラッグストアとかで、よく店の係の方が品出しされてると思うんですが、あれが6輪台車なんですけど、あそこに乗っけて店舗ごとに配送する。物流の入り口と出口みたいなところのソリューションになっています。
これって見た感じは、いわゆる産業ロボットっていう感じに素人目だと見えるんですけど、AIは使われてるんですか?
はい、AIを使ってまして、こちらのロボットにAIを使ってます。上にビジョンが3つありますけど、各パレットを上からビジョンで見てます。物流倉庫っていうのは、箱の数、1種類で1SKUというんですけど、何万ってあるんですよね。それを認識しなければいけないので、これまでの従来のAIを使わない方式だと、もう無理な量なんですね。今、AIで学習することによって、そういうものが扱えるようになってる。なので、AIで学習させたビジョンで箱を認識して、どういうふうに運びなさいっていう指示をロボットの方に与えてる。
ピッキングといいまして、箱の中に入ってるものを1個1個小分けして配送するときに、ピッキングって必要になります。このピッキングっていうのが、またものすごい数の種類が中にあります。それを、やっぱりこれもAIで学習させたデータでロボットが自動的に動いてるんですけども、これを学習させるっていうのが非常に大変なんですね。
ああ。
例えば、これを一つ学習させるのに撮影します。これを切り取って、どこをつまみますということを、パソコン上で人が、アノテーションっていうんですけど、しなければいけない。少なくとも画像があったとしても1分とか2分かかる。それがものすごい種類、ものすごい枚数いるということで、そこにすごく手間がかかります。それを今回、模倣学習という形で。ちょっとやってみます。
人がこうやってつまんで、もうこれで学習してます。一つまみ2、3秒で終わるので、今までの学習のための作業の30倍とか40倍の能力になると思うんですけども。ここが向こうのハンドと同じ形をしてまして、ここで認識してるんですけども、どこをつまんで、どうすればいいかということを画像で撮ってます。それを学習させると、あの動きに自動的になる。
うん。
まさにこれもロボットが自動的に動いてるので、全てAI学習で自動で動いてるので、これは本当にフィジカルAIに近い形ですね。
どうです?
これ、もうがっつりフィジカルAIだと思います。このUMIっていうデバイスが元々アメリカで作られていて、データを集める。例えば先ほどご説明いただいたように、人間がアノテーションしたとしても、それで本当につかめるという保証はないですね。でもこれだったら、つかめるデータを確実に集めてこられます。ポイントは、先ほどハンドの話がちょっとありましたけど、ここが一番難しいんです。物体をどうつかんでるのか、摩擦とかも分からないですし、本当にその場所を持って転ばないのか、ずれないのかも分からないですけど、シミュレーションで再現するのもすごい難しいところなんです、この接触の部分っていうのは。
となると、このリアルなデータを集めてくる。この部分、手先の部分ですね。手先の位置、方向っていうところだけをしっかりデータを取っておけば、そこを再現するのは産業ロボットは小手森のものなので、そこの部分を教えてしまえば、そのとおりに動くだろう。まさに先ほど申し上げた、箱の中身を扱うっていうところが、フィジカルAIの一番、多分面白いところで。このデバイスっていうのは今、世界中で、私たちも実は作ってますが、いろんなバージョンが作られていて、データを集める競争がされてるという、そういう状況にあります。
これ、取得データ数が書いてあるじゃないですか。これってどのくらい取ったらいいんですか?
一つのワーク、品種に対して大体100回ぐらいデータを取れば、今までの実績では、もう大丈夫です。
やっぱりこのスピードで、100回とかのデータが取れるっていうのは、この方法ならではなんですか?
そうですね。他にも産業ロボットを遠隔操縦して教えるとか、いろんな技はあるんですけれど、3秒に一つ、1個のAIデータができるので、今、大体一つの種類のワークを教えようと思ったら、100回つまめば、もうAIロボットがつまめるようになりますという、そんなイメージです。
スピードっていうのは。
はい。まさにそれが、これが世界中で今、大流行になってる理由になっています。
一応、我々は模倣学習と呼んでおります。
このデバイス自体は、どこかから買ってるんですか?
これは作り物です。
多分、川崎さんのオリジナル。でも、オリジナルがいろんなところに今、出来上がっているところで。
自社でこれもやってるっていう。
そうですね。これと、こういう学習のソフトですね。やってる。
じゃあ、これで学習したものが、この後ろ。
これは完全にこのグリッパーの再現ではないんですね。先だけ近い形にしてます。
でも大体、このぐらいでも、もうほぼほぼ再現する、そういうことですよね。
はい。今、斜めにいきましたよね。人が端っこだと斜めに取りにいってるので、それでそういう動きをする。
アームがちょっと斜めになってる。
はい。あとは、このつまむ場所も、ちょっと今、空振りましたけど、真ん中をつまんだり、先っぽをつまんだり、そのつまめる状態で、人もいろいろなつまみ方をしておけば、そういうふうになります。
今、つまめなかったりすることもあって、いったん戻るんですね。そうすると。
透明のものはやっぱり、ロボットには難しいところがあるので。でも、そういう意味では確かに、やり直せるっていうのが最大の売り。
そう、リトライが入って。
そうすると、このペットボトルみたいな少し硬いものから、歯磨き粉みたいな柔らかいものまで、同じ箱から。
そうですね。いろんな種類が。
この手法は、だいぶいろんなところで普通に使われるようになってきてはいるんですが、僕は川崎さんがオリジナルでやってるのを知らなかったので。そういう意味では、こういうのを使うと、例えば双腕でやるような作業も含めて、いろんな教え方ができるということで、本当にいろんなところで試されてるんですけど、とはいっても、これは本当に実用レベルにだいぶ近いのかなというふうに、改めて思っています。
川崎重工さんって、人型のロボットとかもあるじゃないですか。でも、ここはこの腕、こっちも大きい腕っていう形で、どうしてこの物流展っていう場では、人型のロボットを出してないんですか?
今、ヒューマノイドとか、ソーシャル系を中心にやってます。物流関係はまだまだ自動化がこれからという面があるので、実際に使っていただけるもの、もう今売れるものを我々は出してるんですね。という意味で、人型みたいなものは、まだ実用に、売れる段階まではもう少し時間がかかると思いますので、そういうのが来たら、また出展していくことになります。
やっぱり本当に、今日、明日の人手不足を解消するっていう意味では、この形かなと。
そう。はい。現状、こういうのをご提供している。
すごい失礼なことを聞いちゃうんですけど、他の企業だと人型を出してるところもあるじゃないですか。やっぱりそこは、さらにクオリティとか安全性とかっていうところってことですかね。
そうですね。壊れないっていうことも必要になりますし、実用していくためにはっていうことと、あともう一つは、本当に人型を使っていくときの意味として、指が非常に大事だと思ってまして。人型でなくても、ああいう箱を運んだりとか、手のひらで作業できるものはできるんですね。だから、それでどんどん自動化していく。指先を使うものっていうのは、さらにもう1個難しくて、人が器用なんですよね。そこが出てくると、世の中の自動化がもっと何倍も進むと思います。まだそこには、ちょっと時間がかかるというのが現状かと思ってます。
そういう意味では、これはすごくいい、つなぐものかなと思ってます。まさに模倣っていうのは、人間を模倣しているというところを考えると、究極的には人間型のロボットで模倣学習って、自分の専門はそれなんですが、そういう方向性にいけるかなと。川崎さんはまさに両方の技術を持ってらっしゃるっていうことですので、ぜひ将来インテグレートしていただいて、というのを期待しています。
これがフィジカルAIだって、ぱっとこれを見て分かる人ってほとんどいないですよね。でも、玄人は一発で、ああ、ああいう意味だと思うわけですよ。そういう意味では、もしもここに来られる方があったら、ぜひ見ていただきたいなと思います。
なるほど。ヒューマノイドだけじゃない。
ヒューマノイドに実はつながる技術ではあると思っています。
ありがとうございました。どうでした、先生、ご覧になって。
物流展なので、基本的には箱を扱うものが多いっていう中で、今日お話しした、箱の中を扱うっていうのは大事だよということで、最初のヒューマノイドの事例もありましたけど、最後に川崎重工さんが見せていただいた、よくUMIっていわれてるデバイスの発展版だと思うんですが、あれはまさに箱の中身をつかむ技術を学習させる。あれを見たときに、これが物流に関係あるって気付いて寄ってくる人って、あんまりいないんじゃないかと思うんですけど、かなり玄人向けの展示だったと思います。とはいっても、まさにこれが物流の世界の結構キーになるんじゃないかっていうテクノロジーだと個人的には思っていて。しかも、この現場でかなりの精度で、実用性も期待できるようなデモンストレーションを見せてらっしゃったので、まさにあれはAIで人間の動きを学習させる、模倣学習という言い方をしますが、人間の動きを学習させるという技術を本当にうまく使った例の一つではないか。
結構今回、いろいろ見ながら先生ご自身も所々興奮して、いろいろ見てこられたと思うんですけど、ここに来る前と来た後で、印象が変わったところとかありますか?
そうですね。やはり物流展というと、大きい箱、重い箱をすごいスピードで精度よく回していくっていう、そういうイメージだったんですが、その箱についても実はいろんなバラエティがあって、学習しなきゃいけないというところから始まって、申し上げたように、その箱の中身に手を出すっていうところが出てきたっていうのは、やはりすごく大きいポイントですし、これからの余地がたくさんあるんだなということを改めて思いました。
この先も注目していきたいと思います。ありがとうございました。
はい。
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