ニデック岸田社長退任、戒田新体制で上場を維持できるか
PIVOT 公式チャンネルニデックの岸田光哉社長が退任し、戒田理夫氏が新社長に就いた。PIVOTの速報解説では、ニデックを継続して取材してきた経済ジャーナリストの井上久男氏が、退任の理由、新しい取締役会の働き、新社長の人物像、監査法人による意見不表明、そして再建の道筋について語った。収録は記者会見の翌日である。井上氏の立場は、戒田氏は「ベストではなくベター」な人選であり、改革には期待しているというものだ。同時に、不正の責任をすべて永守重信氏個人に帰して済ませる見方には疑問を示している。
後継者探しは「万が一」の備えだった
岸田社長の退任について、井上氏は「少し驚いた」と言う。8月末の取材で、指名委員会が岸田氏に代わるCEOを探しているという情報はつかんでいた。ただ、その理由までは分からなかった。
前日の会見で取締役会議長が説明したところでは、8月の動きは想定外の事態に備えた後継者プランの一環だった。今回のような事態を見越していたわけではないらしい。井上氏も会見を聞いた印象として、クーデターのようなものではなかったと受け止めている。
議長は取締役会の内部のやり取りを細かくは語らなかったが、経緯の大枠は説明した。9月中旬、当初2,500億円程度とみられていた減損処理が6,000億円を超える見込みだと報告された。これについて社長としての責任があること、さらに財務報告に関して岸田氏に「不適切な言動」があったことの2点を理由に、9月25日の取締役会で岸田氏に辞任を迫った。会社側はこの判断を全会一致だったと説明している。
「財務報告に関する不適切な言動」は明かされなかった
不適切な言動の中身について、会見で記者は繰り返し質問したが、会社側ははぐらかして答えなかった。井上氏も「本当に分からない」と言う。
そのうえで井上氏は、「全くの推測」と断ったうえで一つの見立てを示した。岸田氏は社長に就く前、車載事業本部長を長く務めていた。関潤氏が社長を辞めた後、関氏が兼任していたこのポストを引き継いでいる。第三者委員会の報告書によれば、車載事業本部などでは本来行うべき減損処理ができていなかった。今回の減損が膨らんだのも関連事業の比重が大きいためだ。そうした事情から、岸田氏が何らかの形で関わり、それをめぐって不適切な動きを見せたのではないか、というのが井上氏の推測である。井上氏は、会見では詳細が一切語られておらず、あくまで推測にすぎないと重ねて述べている。
社内は岸田体制でまとまっていた
岸田氏に社内で反発する勢力があったのかという問いに、井上氏は否定的だった。井上氏の見る限り、社内はおおむね岸田体制でまとまっていた。岸田氏は年内(12月ごろ)に新しい中期計画を出すと表明していた。上場維持にかかわる内部統制の最終確認書のような書類を10月末までに東京証券取引所へ出す作業も、岸田氏が主導して進めていた。これをやり遂げるために、岸田体制でやっていこうという空気が社内にはあったという。
今年の株主総会でも、岸田氏は90%以上の信任を得ていた。井上氏は、こうした流れの中に急に「不適切な言動」が生じ、事実上の解任に至ったのだろうとみている。
入れ替わった取締役会
今回の判断は、今年の定時株主総会で大きく入れ替わった新しい取締役会によるものだ。社外取締役が増え、社内出身の取締役は3人になった。
井上氏によれば、永守氏時代の旧体制でも社外取締役は過半数を占めていた。ただし官僚出身者、大学教員、弁護士など、企業での実務経験がない人が多かった。新体制では財務省OBの1人だけが留任し、ほかは企業経営の経験者やゴールドマン・サックス出身者などに替わった。井上氏はこの顔ぶれを、市場との対話ができる知見を持つ人材を選んだものと受け止めている。
井上氏はこの構成をバランスの面でも評価する。会見に出た取締役会議長は日本製鉄の元副社長で、法務部門が長い。新日鉄時代に韓国ポスコを知的財産の問題で訴えた際の中心人物とされ、評判はかなり良いという。会見でははぐらかす場面もあったが、井上氏は「まともな感覚の方」と評している。
戒田新社長は生え抜き「最後のエース」
新社長の戒田氏について、井上氏は以前からその評判をよく聞いていたという。岸田氏が社長に選ばれた永守氏時代にも、戒田氏がよいのではないかという声が社内にあった。社内の多くの人は今回の事態をまだ想定していなかったとみられる。それでも、万一岸田体制が倒れるようなことがあれば次は戒田氏しかいない、という声が社内やニデックをよく知る役員OBから出ていたのは事実だと井上氏は言う。
「生え抜きで最後のエース」と呼ばれる理由について、井上氏はこう説明する。戒田氏はニデック本体に入社したわけではない。新卒で入ったのは、半導体関連の事業を手がけ、のちに永守氏が買収した会社だった。買収後もその事業を育ててきたので、ニデックの生え抜きと言ってよいという。
正式に社長候補に挙がったかどうかは別として、戒田氏を推す声は以前からあった。特に仕入れ先にファンが多いと井上氏は言う。ニデックといえば、永守氏のイメージからコストに厳しく、仕入れ先にとっては難しい取引相手という印象がある。戒田氏は仕入れ先の話をよく聞き、技術に詳しいこともあってウィンウィンの関係を意識していた。サプライチェーンの頂点という立場を使って「この価格で入れないと取引しない」と迫るような人ではなかった、という声を井上氏は仕入れ先から聞いている。
永守氏が一目置いた存在、不正への非関与
戒田氏をよく知る人物から井上氏が聞いた話がある。永守氏は役員会議で高い目標を掲げ、達成できない役員を罵倒することもあった。しかし戒田氏が計画も含めて「これはできません」と言うと、永守氏は「戒田君ができないんやったらできへんのや」と言い、その言い分を認めたという。役員に手厳しい永守氏が一目置いていた理由について、井上氏は、買収した会社の生え抜きのエースとして、創業メンバーに準じる扱いをしていたのではないかとみている。
井上氏が大きいと考えるのは、戒田氏が会計不正にも品質不正にも関与していないことだ。会見で第三者委員会のヒアリングを受けたかと問われ、戒田氏は一度も受けていないと答えた。多くの関係者に聞いても、戒田氏はどちらの不正とも関係がないという。井上氏は「半分冗談で、裏は完全には取れていない」と断ったうえで、社内でこれだけヒアリングが行われているのに自分のところには何もなくて寂しい、と戒田氏が漏らしていたという噂も紹介した。
半導体・AIの知見と、70歳という年齢
戒田氏はすでに経営の側に回っているが、最近まで自分でシステムのプログラムを書くような根っからの技術者だという。これまで関わった事業の関係で半導体やAIの領域にも強い。井上氏は、これからのニデックの事業の中心になる分野に知見を持つ社長だと評価する。現場の情報を大事にする人柄でもあり、仕入れ先の役員でなくても、面白い話を持っている人には「直接俺のところに報告してこい、時間は取る」と言って信頼関係を築いてきたという。
一方で、井上氏は戒田氏を「ベストではなくベター」と表現する。理由は年齢だ。戒田氏は70歳で、これからのニデックの社長業は肉体的にも精神的にも過酷な激務が続くと井上氏は予想する。本人は元気だが、外から見ると年齢が高すぎるのではないかという印象は拭えないという。井上氏は長期政権にはならないとみている。戒田氏自身も会見で、指名委員会と相談しながら後継者を育てることが新社長の大きな役割の一つだと述べていた。
3回連続の意見不表明、今回の方が重い
当面の最大の問題は、監査法人PwC Japanによる意見不表明である。PwC Japanは理由として、虚偽の説明を行った役職員の一部が財務報告プロセスで責任ある立場を担当している、と説明した。井上氏はこれを、不正会計に関わってきた社員が今も会計作業に携わっており、その人たちが出すデータには信頼性がないので「お墨付き」は与えられない、という意味だと解釈する。
意見不表明はこれで3回連続となる。対象は2025年3月期、2025年4〜9月期の中間決算、2026年3月期だ。前の2回は第三者委員会の結論が出ていないことが理由だった。今回は、内部統制がまだ整っておらず、不正に関わった役職員が重要な仕事を続けていることが理由とされた。理由の質が違うため、井上氏は今回の方が事態として重いとみる。不正に関わった人物が誰かは第三者委員会の調査などで分かっていたはずで、それでも関与させていた点に内部統制の問題があったという見方だ。
ニデック側は、不正に関わった人には支援的な業務はさせても、責任ある業務はさせないようにしていたと説明している。しかし監査法人から見ればそうなっていなかった、と井上氏は言う。そうした役職員を外さなければ監査法人は適正意見を出せないだろう、というのが井上氏の見立てだ。会見で戒田社長は、10月中に適正意見を得られるのではないかとの見通しを示した。人事の是正をどう進めるのかという質問には、代表取締役専務が、20人ほどの配置換えが必要ではないかとの見立てを示している。
監査法人にも責任の一端がある
監査法人の姿勢は以前より厳しくなっている。ただ井上氏は、過去の監査のあり方そのものも問われるべきだと考えている。PwC Japanは、PwCあらたとPwC京都が統合してできた監査法人だ。ニデックを担当していたのはPwC京都だった。井上氏は第三者委員会の結果が出る前からニデックを取材しており、PwC京都の監査が甘いのではないか、担当の公認会計士が永守氏の言いなりなのではないか、といった証言を幹部やOBから得て記事にしてきた。第三者委員会の報告書にも、ニデック側が監査法人を「組みしやすい相手」と判断していたという趣旨の記述があり、井上氏の取材の感覚と大きくは違わなかったという。
井上氏は、監査法人にもかなりの責任の一端があると見てよいと語る。過去の例として、オリンパスの粉飾決算では金融庁が監査法人に業務改善命令を出した。ニデックの会計不正には金融庁や証券取引等監視委員会が関心を持っていると言われている。井上氏は、金融庁がPwC Japanに何らかの措置を講じる可能性もあるとみている。
さらに井上氏は、永守氏の独裁と、永守氏がつくった企業風土・組織風土が不正を招いたという説明について、分かりやすい一方で、それだけで済ませてよいのかと問題提起する。「組織風土」という曖昧で抽象的な言葉で片づけず、監査法人がどう機能していたのかもきちんと調べるべきだという。永守氏の責任が大きいことは大前提だが、すべてを永守氏のせいにして問題の解決やニデックの再生につながるのか、という疑問を井上氏は持っている。
分配可能額を超えた配当と自己株取得
今回あらたに開示された問題もある。2021年から2025年にかけて、分配可能額を超える配当や自己株式の取得を行っていたというものだ。井上氏は、法当局の判断次第ではあるが会社法に触れる可能性があり、影響は大きいとみる。
この件ではすでに今年9月、2022年度の配当と自己株取得が分配可能額を超えていて株主に損害を与えたとして、永守氏や永守氏の側近だった元会長に対する株主代表訴訟が起こされている。ニデックは2023年にもこの件を発表しており、外部の調査委員会は悪意はなく単純な計算ミスだったと結論づけていた。当時ニデックは、取締役会で中間配当などを決議した際に監査法人が分配可能額の超過を見落としていた、と説明していた。
これに対し井上氏は、ほかの公認会計士に聞くと分配可能額は監査の対象ではないという話だったと指摘する。どれだけ配当し、どれだけ自己株を取得するかを決めるのは取締役である。会社の資産を不適切に流出させた一義的な責任は当時の取締役にある、というのが井上氏の考えだ。
事業再編は避けられない
今後の事業について、会見では、収益性が低い事業や課題の多い事業、家電関連の事業を再編・売却し、利益の出るところに経営資源を集中させるという方針が示された。すでにニデックコンポーネンツをファンドに売却すると発表している。井上氏は、子会社の売却はこれからも続き、ニデックが適正に収益を上げられる会社に戻るには事業再編は避けられないと述べる。
背景として井上氏が挙げるのは、永守氏時代の経営のやり方だ。「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」という経営理念を実践すれば、リストラをしなくても業績は必ず復活する。そうした考えでグループ経営が行われてきた。しかし中には時代の流れについていけない事業や、中国勢に到底勝てない事業もあった。それを無理に続け、永守氏が求める高い利益目標を達成するために不正が行われた面がある。同じことを繰り返さないためにも、儲からない事業はあっさり再編していくことになるだろうと井上氏はみている。
日産との共通点
自動車産業を長く取材してきた井上氏は、ニデックと日産には重なる部分がかなりあると言う。一つは拡大路線である。カルロス・ゴーン氏は日産・ルノー・三菱で1,000万台超を目指して過剰な投資をした。攻めの投資として評価できる面もあるが、商品力が伴わなければ生産能力は過剰設備になる。井上氏は、その無謀な拡大戦略が今の日産の停滞を招いたと見る。ニデックでも、永守氏はM&Aと買収後の再生に長けていたが、経営者としての晩年のM&Aはうまくいかなかった。言葉を選ばずに言えば「ババをつかまされた」ような買収があり、買収先が業績の足を引っ張っている。その意味で永守氏の拡大戦略が今のニデックの足かせになっている面があるという。
もう一つはガバナンス改革後の問題だ。日産はゴーン事件の後、社外取締役中心の指名委員会等設置会社になった。その後、社外取締役があらゆる執行に関与し、社外取締役同士の縄張り争いや内紛が起き、改革がかなり遅れた面は否めないと井上氏は言う。ニデックで今そうした事態が起きているわけではない。しかし社外取締役はいま肩に力が入っているはずだ、と井上氏は見る。会社あっての社外取締役であって、社外取締役あっての会社ではない。ニデックが本当に再生するにはどうすればよいかという視点を社外取締役がもう少し持たなければ、「仏作って魂入れず」になるリスクがあると井上氏は指摘した。
ブレーキ役のいない独裁者:豊臣秀吉の例え
カリスマ経営者が全盛期を過ぎて拡大に走ったとき、ブレーキをかける役がいないとこうなる。佐々木氏のこのまとめに井上氏は同意し、豊臣秀吉を例に挙げた。豊臣兄弟を描く大河ドラマが放映されていることにも触れつつ、秀吉は権力を極め、弟の秀長が亡くなった後、甥の秀次を死に追いやり、自分をいさめる千利休も死なせて「裸の王様」になった。その結果、豊臣政権は事実上一代で滅びた。独裁者をいさめる人がいなければ組織は衰退し、最後には滅びる。井上氏はこれを歴史が示していることだと述べた。
戒田改革への期待
最後に、戒田氏による改革に期待できるかと問われ、井上氏は「期待している」と答えた。戒田氏は70歳で、長く務めるつもりはないという趣旨の発言をし、「最後のご奉公」のつもりで臨むとも表明している。50年近くニデックに関わってきた戒田氏には、永守氏並みのニデック愛があると井上氏は見る。最後の務めとしてニデックを再生させることに力を尽くしたいという思いがあるはずだという。
私心なく再生に全力を尽くすという意味で、良い方向に向かうのではないか。井上氏はそう述べたうえで、そうならなければニデックは会社として危機に陥るだろうと付け加えた。
皆さん、こんにちは。PIVOTの佐々木です。今回の速報解説はニデック社長交代をテーマにお話を伺います。ゲストにお迎えしましたのは経済ジャーナリストの井上久男さんです。井上さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
井上さんにはずっとニデックについてお伺いしてきて、岸田社長のもとで再建に向かうのかなと思ったんですけども、この岸田社長が退任ということで、これは井上さんにとっても驚きでしたでしょうか?
少し驚きましたね。ただ、8月の終わりに私が取材してましたら、ニデックの指名委員会が岸田さんに代わるCEOを探しているという情報はキャッチしてたんですね。ただ、それがなぜなのかっていうのが、ちょっと分からなかったんです。
ただ、昨日の記者会見の説明では、取締役会議長が会見に出てきて説明したんですが、8月に、もし万が一何か想定外のことが起きた時とかに、岸田さんに代わる社長を誰か探しておかないといけないねっていうことで、これは万が一の対応として、後継者プランに対しての動きをしてたらしくて、今回のような事態を想定しての動きではどうもなかったみたいですね。
何かのちょっと策みたいなのもあったんですかね。
これ、クーデターというよりも、昨日の会見を聞いてると、取締役会議長がその取締役会の中でどういう動きがあったのかっていうのは、細かくは説明しなかったんですけど、ざっくりは説明しまして、9月の中旬頃に、当初は2500億円ぐらいだろうと見られていた減損処理が6000億を超えるようなものになるということが報告されたと。それに対して社長として責任があるんじゃないかということと、財務報告に関して岸田社長に不適切な言動があったということで、9月25日の取締役会で、岸田さんにやめた方がいいんじゃないのという、辞任を迫ったわけですね。
これ、全会一致だった、取締役会で全会一致だったというような言い方をしてましたけど、この2つが岸田社長辞任の大きな理由だという説明がなされてます。
これ、詳細は明らかにされてませんけど、財務報告に関する不適切な言動って、例えばどんなものが考えられるんでしょうかね?
これは分からないんですよ。不適切な言動っていうのが、この詳細について聞こうとする質問が記者会見で出るんですけど、ここがかなりかわされて、答えなかったわけですね。だからここは本当に分からないですね。
ただ、これは全くの推測ですよ。岸田さんっていうのは、車載事業本部長も社長になる前ずっとやってたわけですよね。それは関氏が社長をやめた後、関さんは車載事業本部長も兼任してたわけですけど、岸田氏がその後を継いでるわけですね。第三者委員会の報告書を見ると、車載事業本部などで、かなり本来なら処理すべき減損処理ができていなかったというようなこともありますし、今回の減損処理が積み上がったのも関連の事業のウエートが高いわけですから、岸田さんがそこに何らかの関与があって、それに関して何か不適切な動きを見せたんではないかなというような推測ができるんですけどね。これ、あくまでも推測です。昨日の会見では一切詳細は明かさなかったので。
そもそも岸田社長というのは、社内でもいろんな人がいると思うんですけど、そこでの求心力っていうのは上がってたんでしょうか? 結構反発する勢力みたいなものも強かったんでしょうか?
私が見る限り、社内は大まかに岸田体制でまとまっていたと。それは例えば中期計画について、新しい中期計画を今年の12月ぐらいまでに出すというようなことを言ってたわけであって、あと、その後で言いますけど、上場維持がどうなるかということも含めて、10月末までに東京証券取引所に内部統制の最終確認書みたいなやつを出さないといけなかったと。それを岸田さん主導でやってたわけですから、それをやり遂げるために、ニデックの中では岸田体制でちゃんとやっていこうというような雰囲気はありましたね。
分かりました。今回、事実上の解任ということで、新取締役会が機能したと見られるということですけれども、今年の定時株主総会後には、この取締役会がかなり大きく入れ替わったということですね。
これ、大きく入れ替わりまして、社外取締役の人数も増えましたし、この木さん、美さん、三宅さんっていうこの3人は社内からの取締役ですよね。それで、その吉井さん以下が社外取締役ですね。
次の資料に行ってほしいんですが、これ、ご参考で旧体制、永守時代の取締役会っていうのは、社外がやっぱり過半数を占めてたんですけど、役人出身者や大学の先生や弁護士で、企業の実務経験がない人が多かったわけですよね。
また前のページに戻ってもらうと、今回のポイントは、吉井さんって財務省のOBだけが留任しまして、あとは企業経営の経験がある方や、ゴールドマン・サックスの出身者だとか、市場関係に強いと言いますか、市場との対話がうまくできそうな、その辺の知見がありそうな方々を選んでるのかなというふうに私は見てます。
この新しい取締役会の構成メンバーは、バランスとしても評価できるものなんですかね?
バランスとして評価できるものですし、例えば昨日の記者会見にも出てた磨さんっていう取締役会議長は、日本製鉄の元副社長であるし、法務部門が長くて、日本製鉄、新日鉄時代に、韓国のポスコを知的財産の問題で訴えたりした時の中心人物であったっていうことで、この磨さんの評判なんかはかなりいいんですね。いわゆるまともな感覚の方だと。昨日の会見ではのらりくらりとかわされましたけども、評判はいい方です。
そして、この新しい取締役会からして、岸田さんはその任にふさわしくないという判断がされたということですね。
されたということですね。ですから、その理由が財務報告に関して不適切な言動があったと。でも、ここは何なのかっていうのは、私は開示しないとですね。その新体制、岸田体制で頑張っていこうっていうことで、実は岸田さん、今年の株主総会では株主さんから90%以上の信任率を得てたわけですよ。かつ社内でも、岸田体制でまとまっていこうっていう大きな方向性はできてたわけであって、そこに急な発言というか不適切な言動があって、事実上の解任に至ったということなんだと思うんですね。
分かりました。ここでちょっと飛んで、この新社長の戒田さんですね。なぜ彼が選ばれたのか、彼はどういう方なのかというところは、井上さんも昔からお知り合いということですけれども。
昔から知り合いというわけでもないんですけど、評判はよく聞いてまして、岸田社長が社長になった時に、これは永守時代ではあったんですが、戒田さんがいいんじゃないかっていう人も中にはいて、今日のようなことが起こるとは、多分ニデックの中でもまだ想定していなかった人たちが多いと思うんですけど、万が一岸田政権が、岸田体制が倒れるようなことがあれば、もう次は戒田さんしかいないねという声が、ニデックの内部や役員OBの人たち、ニデックの中をよく知る役員のOBの人たちから出ていたことは事実です。
分かりました。生え抜きで最後のエースって言われてるんですね。
そうですね。生え抜きっていうか、ニデック本体に入社したわけじゃないんですけど、ニデックが買収した、半導体関連の事業をやってた会社に新卒で入って、そこが永守氏に買収されて、そこの生え抜き社員として、その事業を成長させてきたということで、ニデックの生え抜きって言ってもいいんじゃないかと思うんですね。その最後のエースということですね。
これまでも社長候補に上がったことはあったんでしょうか?
社長候補に正式に上がったかどうかは別にして、戒田さんが社長になればいいねという声があったことは事実ですね。特に仕入れ先、だからニデックの調達先なんかに、やっぱりファンが多いわけですね。技術が分かってるし、経営もできるし、ニデックっていうと、永守氏のイメージでケチケチ系というか、コストにうるさいとかですね。仕入れ先から見たらかなり難敵ではあるんですけども、この戒田さんっていうのは仕入れ先の話をよく聞いて、その技術に詳しいもんだから、仕入れ先とちゃんとウィンウィンの関係になるような取引を意識されてたという。サプライチェーンの頂点にいるから、この価格で入れないと取引しないぞとか、ニデックではありがちなそういうことをする人ではなかったという声を、私は仕入れ先の方から聞きましたね。
やっぱり永守さんにも物が言えるっていうのはすごいですね。言えたというのは。
そうですね。これは永守氏が社内の役員が集まる会議なんかで、これは皆さんご承知のように、永守氏は高い目標を掲げて、それができなかったら罵倒するようなこともあったわけなんですけど、これは戒田氏をよく知る人から聞いた話なんですが、戒田さんが、こういうことはできませんと、こういう計画も含めてできませんと言うと、永守氏は「戒田君ができないんやったらできへんのや」っていうことを言って、戒田氏の言い分を認めるということで、ニデックの中では永守氏が一目置いていた存在だというふうに見られてますね。
これはなぜなのかと。永守氏っていうのは本当に手厳しいわけですよね、役員に関しては。これはやっぱり生え抜きの1人、エースであり、その会社を買収した後、その買収された会社っていうのは上場したりしてるんですけど、要は創業メンバーに準じるような扱いを、永守氏は戒田氏にしてたんじゃないかなというふうに私は見ています。
しかも、今回の不正に関与してないっていうのも大きいですね。
これは会計不正や品質不正に関与してなくて、昨日、記者会見の質問で、その会計不正の第三者委員会のヒアリングを受けたんですかという質問が出たら、「私は1度も受けてません」という言い方をしてたし、これはいろんな人に聞いても、会計不正や品質不正には戒田さんは関係してないし、これは半分冗談で、完全に裏は取ってないんですけど、戒田さんが、これだけ社内が品質不正、会計不正でいろいろヒアリングされてるのに、俺のところに何もヒアリングがないのはちょっと寂しいな、みたいなことを言ってたとかいう噂は聞いたことあるんですね。そういった意味でクリーンな人なんだと思いますね。ホワイトな人っていうんですか。
しかも、今から一番大事な分野で、半導体、AI領域周辺にも強いっていうのも武器にはなりますね。
そうですね。これは戒田さんはもうマネジメントの世界に入っちゃった人なんですけど、最近まで自分自身で、いわゆるいろんなシステムのプログラムを作ったりとか、本当に根っからの技術者で、そういうことが好きな人らしいんですね。それと、自分が関わってきた事業の関連で半導体とかAI領域に強くて、ニデックはこれからどういう会社になっていくのかっていう時に、この半導体、AI領域っていうのは中心の分野ですから、事業の中心に知見のある社長だと言ってもいいと思いますね。
人望も厚いタイプなんですね。
そうですね。戒田さんは永守さんみたいに厳しかったっていう人もいるんですけど、仕入れ先の方なんかに聞くと、仕入れ先の立場も分かってくれて、ウィンウィンの関係が築けるような人であるとかですね。それなりの地位になっていくと、現場情報っていうのがなかなか入りにくくなるんですけど、戒田さんっていうのは、現場情報ですとか、面白い役に立つような情報を持ってる人と直接会いたがって、仕入れ先でも役員ではなくても、「お前の話は面白いから、直接俺のところに言ってこい、報告してこいと。俺は時間を取るから」ということで、信頼関係を築いてたような面がありますね。
分かりました。その意味では、今のニデックにとってベストな社長と言いますか、取締役指名委員会も機能したと考えていいんですかね。
機能したと考えていいと思いますし、そのベストかと、私はベターなんだと思うんですね。それはやはり、これ最初に書いたんですけど、戒田さん、今70歳なんですね。そうすると、これからのニデックの社長業務っていうのは激務だと思いますし、肉体的にも精神的にも辛い仕事が続くんではないかなということが推測されるわけですけど、あと10歳ぐらい若かったらバリバリやれるんでしょうけど、もちろん戒田さんはお元気なんですけど、やっぱり70歳というのは、外から見てもちょっと年齢が高すぎないかなっていう感じはするんですね。
そういう意味で、もう次期社長まで視野に入れとかなきゃいけないですね。誰にするかも含めて。
おそらく戒田社長は長期政権にはならないと思いますし、昨日の記者会見でも、自分の仕事の役割の1つとして、指名委員会と相談しながら後継者を育成していくことも、新社長としての大きな役割の1つであるというような説明もしてました。
そして、直近の一番大事な問題がこの意見不表明ですけれども、この理由も含めて、今どういう状況なんでしょうか?
これはPwC Japanが不表明の理由について、虚偽の説明を行った役職員の一部が、財務報告プロセスにおいて責任ある立場を担当しているっていうような表現になってましたけど、これは簡潔に言うと、これまで不正会計に関わってきたような社員らが、今も会計作業に関わってるから、そういう人が提出してくるデータに対しては信頼性がないから、お墨付きは与えられませんっていう意味ですよね。
それと、やっぱりこれ、ポイントがあると思うんですけど、意見不表明って3回連続でして、その25年3月期の財務諸表に対してと、26年4月から9月までの、いわゆる中間決算に対しての意見不表明と、26年3月期に対しての意見不表明なんですね。ちょっと順番逆になりましたけど、25年3月期、26年3月期、26年4月9月期の3回連続なんですね。
過去2回については、第三者委員会の結論が出ていないからという説明だったわけですよね。説明だったわけですから、25年3月期と25年4月9月期については、第三者委員会の結論が出てなかったからっていう理由なんですけど、今回の26年3月期の説明については、要は内部統制がまだしっかりしてない。だから、その不正に関わったような職員がまだ重要な仕事をしてるじゃないかというようなことを指摘されたわけですから、意見不表明の理由がちょっと違うわけですね。ですから、今回の不表明の方が、事態としてはより重いんじゃないかなと思うんですね。
これ、今後どうなっていくんでしょうかね。この不表明をクリアするためにも。
これは今後の展望について昨日の記者会見で出たんですけども、戒田社長は、この10月中に適正意見が得られるのではないかというような見通しは示してましたと。
そのために今、過去にさかのぼって、25年3月期と25年4月9月期については、第三者委員会の報告書が出てないから意見不表明ですということだったんですけど、今回の26年3月期については、不正に関わったような人がまだ重要なポストにいるじゃないかというようなことで、内部統制がまだ不備ですよねと、人事の是正ができてないというようなことが意見不表明の大きな理由になったわけですから、理由の質が違うわけですね。より今回の方が私は重い。それはすなわち、内部統制がまだ不備じゃないかというようなことを監査法人から指摘されたわけですよね。
かつ、不正に関わったような役職員が誰かっていうのは、おそらく第三者調査委員会の調査などで分かってたはずですから、そういう人たちを関与させていたという意味で、ニデックの内部統制に問題があったということなんだと思うんですね。ニデック側は、不正に関わったような人に直接業務はさせない。その支援的な業務はさせるかもしれないけど、責任ある業務はさせないようにしてたみたいな説明はしてるんですが、監査法人からしてみるとそうなってないわけですよね。
不正に関わったような役職員を排除しないと、多分、監査法人としては適正意見っていうのは出せないと思うんですよね。そのために人事の是正をどうするんですかっていう質問が出たんですけど、美さんっていう代表取締役専務が、人事是正に関しては20人ほどの配置替えが必要なのではないかという見立てを示しましたね。
監査法人のスタンスは以前とはかなり変わってるんですが、これまでやっぱり監査法人が甘すぎたという指摘がありますよね。そこは厳格化してやるという形に、しっかり変わってきてるんですね。
だから、今非常に厳しい対応になってますね。これは今、PwC Japanが監査法人ですけども、PwC Japanというのは、PwCあらたとPwC京都が統合してできた監査法人なんですよ。ニデックはPwC京都が担当しておりまして、この第三者委員会の調査結果が出る前から、私はかなりニデックをウォッチしてて、PwC京都の監査が甘いんではないかとか、その担当の公認会計士が永守氏の言いなりなんではないかというような、幹部や元幹部からいろんな証言が出て、それは私、いろいろ記事で書いても来たわけですよね。
第三者委員会は、その監査法人について、ニデック側が組みしやすい相手と判断してたというような表現をしておりまして、私が聞いてた話と、取材してた話と、そんなに感覚的には違わなかったわけで、そうすると私はやっぱり、監査法人、PwC京都がやってきた監査のあり方が本当に適切だったかということはあるんだと思うんですね。ですから、今の新体制のPwC Japanだって、そういう過去のことはおそらく調べてるとは思うんですけども、監査法人にも私は責任の一端はかなりあるというふうに見てもいいんじゃないかなと思います。
過去の事件っていうか、過去の例では、オリンパスの粉飾決算の時には、監査法人に対して金融庁が業務改善命令を出してるわけですよね。今回も、そのニデックの会計不正については、金融庁や証券取引等監視委員会が興味を持っているというようなことが言われてますから、もしかすると金融庁が今回の件に対して、PwC Japanに対して何らかの措置を講じる可能性は私はあると思います。
永守さんの独裁企業で、永守氏が作った企業風土や組織風土が今回の不正を招いたっていうのは、非常に分かりやすい説明であると同時に、深く考えていくと、それだけで済ましていいのかと。組織風土っていう曖昧かつ定性的な表現で済ましていいのかなっていう感じも、今私はしてるんですね。監査法人がどういう機能を果たしてたのか、しっかりしてたかっていうことも、ちゃんと私は調べないといけないんだと思いますね。
全てを永守さんのせいにするのも違うということですよね。
そうですね。永守さんの責任というのは大きいということは大前提にあるんですけど、それを全て永守さんのせいにして、問題の解決につながるのか、ニデックの再生につながるのかっていう問題意識は私は持ってます。
その問題の中で、例えばこの会社法違反の疑いのところは、どういうふうに判断されるんでしょうか?
これは実は今回開示されたんですけど、過去21年、22年、23年、24年、25年で、分配可能額を超えた配当、自己株取得をしてたということで、これ、会社法に本当に触れる可能性、もちろん司法当局がどう判断するかですけど、触れる可能性があって、結構でかいでしょう。
実際、今年の9月に、これに関して株主代表訴訟が起こされてまして、22年度の配当と自己株取得に関して、分配可能額を超えてたので、これは株主に損害を与えたっていうことで、永守氏や永守氏の側近だった元会長に対しての株主代表訴訟が起きてるんですね。
実はこれ、23年6月2日、ニデックがこの件について発表してるんです。ニデックは外部の調査委員会でこの件を調べてもらったりしてるんですけど、調査委員会の結論は、悪意はなかったと、単純な計算ミスだったっていうような結論をつけてるんですが、その時にニデックは取締役会で中間配当なんかを決議したんですけども、監査法人が分配可能額の超過を見落としてたっていうようなことを言ったんです。
私は他の公認会計士に聞くと、分配可能額っていうのは監査の対象ではないっていうようなことを聞きますし、そもそもどれだけ配当するかとか、どれくらい自己株取得をするかっていうのは取締役ですから、私は当時の取締役に一義的な責任、その会社の資産を不適切に流出させたという一義的な責任が、取締役にあるんだと思いますね。
これまでの問題点を伺いましたけど、今後の展望の中で、この意見不表明のところがどうなるかもあるんですけど、ニデックの事業自体がどうなっていくのかっていうところでは、どう考えればいいんでしょうか? 会社の売却が行われたり、かなり再編が行われる可能性が高いんでしょうか?
そうですね。これは昨日の記者会見でも、例えば収益性が低かったり、様々な課題を多く抱えてる事業や家電関連の事業は、いろいろ再編や事業売却をやって、リソースをいわゆる儲かるところに集中させていくと。いわゆる企業が行う選択と集中をやっていきますっていうようなことは言ってましたから、子会社の売却などはこれから起こってくるでしょうし、すでに発表しましたけど、ニデックコンポーネンツっていう子会社をファンドに売却するというようなことを実行するということを発表しましたし、これからニデックが再び適正に収益を上げられる会社になるためには、この事業再編っていうのは避けられないと思います。
その理由は、繰り返しになるんですが、永守氏がトップだった頃には、「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」などの永守氏の経営理念を実践していれば、リストラしないと。その通りやってれば絶対業績は復活するんだというようなもので、ニデックのグループ経営っていうのはやってきたんですが、中にはもう時代の流れについていけないものだとか、中国勢には逆立ちしても勝てないような事業だとか、いろいろある中で、無理にそれをやると、無理にやったからそこで永守氏が求める高い利益目標を達成するために、不正をやってたっていう部分があるわけですよね。そうすると、そういうことが起こらないようにするためにも、儲からない事業はもうあっさり再編していくということに、私はなってくるんだと思いますね。
井上さんは自動車分野のプロでもありますけど、ゴーンCEOのもとでの拡大路線で、イケイケどんどんになりすぎて起きたそういった問題と、今回のニデックもどんどん拡大していってましたよね。そこって重なる部分ってあるんですか?
これ、日産と重なる部分っていうのは、実は今、佐々木さんが指摘された部分でかなりあるんですね。ゴーン氏がやっぱり日産とルノー、三菱で、1000万台以上を目指して世界最大の自動車グループになるんだっていうことで、過剰な投資をしたと。だから、その攻めの投資っていう部分では評価される部分もあるんですが、生産能力を拡大しても、やっぱり商品力が良くないと過剰設備になるわけじゃないですか。そこに対してゴーン氏はちゃんとやってなかったので、結局これはゴーン氏の無謀な拡大戦略が今の日産の停滞を招いてるということになったわけですよね。
ニデックについても、永守氏はM&Aが非常にうまい人で、買収した後の、その買収した企業を再生していくのがうまかったわけなんですけど、経営者としての晩年の永守氏のM&Aっていうのはあんまりうまくいってないし、これは言葉を選ばずに言うと、ババをつかまされたようなM&Aをやってて、買収した会社が業績の足を引っ張ったりしてる部分っていうのがあるわけで、それをもって永守氏の拡大戦略が今のニデックの業績の足を引っ張ってると言える部分もあります。そういった意味で日産と似てるということなんですね。
これ、もう1つ日産と似てることがあって、ゴーン事件に懲りて日産もガバナンス強化をして、社外取締役中心の指名委員会等設置会社になったわけです。その後、日産では何が起きたかっていうと、社外取締役がもうあらゆる執行に関与してきて、かつその社外取締役同士での縄張り争いみたいなものが起きて、いわゆる社外取締役の中で内紛が起きたわけですよね。その結果、日産の改革っていうのはかなり遅れた部分っていうのは否めないわけですね。
ニデックで今そういうことが起きてるというわけではないんですが、社外取締役体制が前向きな意味で強化されたと。でも、やっぱりこの社外取締役は今、肩に力が入ってると思いますし、自分たちの役割を果たさないといけないというふうには思ってると思うんですが、ただ、あんまり肩に力が入りすぎたり、会社あっての社外取締役ですから、社外取締役あっての会社では私はないと思うんで、その辺を考えて、ニデックが本当にどうしたら再生するのかという視点を、ニデックの社外取締役が持ってないと、これは「仏作って魂入れず」っていうような事態になるリスクを、私は抱えてると思います。
分かりました。カリスマなトップがちょっと全盛期を過ぎた時に、拡大路線に行った時、攻めた時、そこにちゃんとブレーキをかけられる役割がいないと、こうなっちゃうってことなんですね。
そういうことですね。これは歴史の話で言うと、豊臣秀吉。今、『豊臣兄弟』が大河ドラマで放映されて、いろいろ物議を醸してますけど、豊臣秀吉が権力を極めて、その弟の豊臣秀長が死んだ後、その甥の秀次を殺したりとか、秀頼かわいさに昔の家臣たちを殺したりとか、自分を諫めてくれる人、例えば千利休を殺したりとかですね。そういうことをやって、いわば裸の王様になって、結局、豊臣政権っていうのは事実上1代で滅びたわけですよね。それはそういう歴史的にも、やっぱり独裁者を諫める人がいなければ、組織は衰退するし、状況によっては滅びるんだということだと思いますね。
これ、最後の質問なんですけれども、戒田さんによる改革はある程度期待できるんでしょうか?
私は期待してます。これは戒田さんも覚悟を持って臨んでると思うんですよね。70歳ですし、ご自身が長くやるつもりはないという趣旨のことも言ってましたし、かつ最後のご奉公のつもりでやるといったような表明もされてましたから、これまでニデックに50年近く、多分ニデックを愛してると思いますので、これは永守さん並みにニデック愛っていうのはあると思うんですね。それを自分が最後のお勤めとして、ニデックを反転させる、再生させることに対して尽力したい、死力を尽くしたいという思いはあると思います。
最後のご奉公っていう場合は、私利私欲がなくなって、このために全力を尽くすっていう意味で、いい面もあるかもしれませんね。
そうですね。私利なくニデックの再生のために全力を尽くすという意味で、いい方向に私はなるんじゃないかなと思いますし、ならないとニデックは会社の危機になると思います。
そういうことですね。分かりました。今後また動きがございましたら、井上さんにまた続報していただければと思います。本日はありがとうございました。
ありがとうございます。
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