日本人の英語はなぜ伝わらないのか ショーン川上が説く「論理の転換」とLAARモデル
PIVOT 公式チャンネル経営コンサルタントのショーン川上は、30年以上にわたり英語を使う商談や交渉の場で企業に助言してきた。その傍ら、クライアント企業の社員に英語を教えてきた。著書『英語力の核心「なぜ伝わらないのか?」を根本から解決する』を出版した川上は、PIVOTの番組で、日本人の英語が伝わらない最大の原因は語彙や文法ではなく「論理の転換のミス」だと語った。本稿では、その理由、日本人が直面する「4つの壁」、伝わる英語のための「LAARモデル」、AIを使った訓練法を順に紹介する。
コンサルティングの延長で始まった英語指導
川上に声がかかる企業は、海外事業の立ち上げや海外市場への上場といった課題を抱えていることが多かった。川上は契約に関わる場面で助言してきたが、どうしても英語の問題に突き当たる。そこで企業から、朝活や夕活、週末の時間に英語を見てもらえないかと頼まれた。本人に英語を教えるつもりはなかったが、こうしてコンサルティングの延長として指導が始まり、気づけば30年ほど続いているという。
指導の形はさまざまだった。グループで受けるケースもあれば、担当部長が個人的にこっそり習いたいというケースもあった。昔は横浜や栃木まで出向いていたが、最近はオンラインで対応できるようになり、ずいぶん楽になったと振り返る。川上はこの経験を、日本人が英語に向き合うときの悩みやストレスに長く寄り添ってきたものだと表現している。
最大の原因は「論理の転換のミス」
日本人の英語が伝わらない最大の理由について、川上は自分が「1番口酸っぱく言い続けてきた」のが論理の転換のミスだと答えた。日本語は意思疎通において文脈を重んじ、相手の文脈を理解しようとする意識が強い。川上は、これは日本語の悪口ではないと断ったうえで、核心を言わずに何となく伝えることが癖になり、それが英語では足かせになっていると指摘する。
川上はこれを英語の「beat around the bush」にたとえた。藪の周りを叩いて鳥を追い出すように、本題に直接行かず周辺から攻める話し方のことだ。
番組の収録中にも、ちょうどよい例が起きた。川上のグラスに水が入っていなかったのである。日本人なら「水が入っていないんですけど」と言えば十分に伝わる。しかし川上によれば、英語圏で「I don't have a glass of water」と言うと「So what?(だから何?)」と返されてしまう。日本人の感覚では、それくらい気づくでしょう、社会人でしょう、サービス業でしょう、となる。一方、相手からすれば、なぜそんなシンプルなことを言えないのか、となる。海外で5年、10年暮らせば、日本でのコミュニケーションとは切り替えが必要だと気づく人もいる。だが日本にいたまま英語を勉強してきた人は、この足かせに気づかないまま苦戦を続けることが多い、と川上は言う。
「英語1を英語2に訳す」場面と、京都のことわざの翻訳
ロジックの問題を抜きにすると、英語学習は語彙を増やす、正しい文法を使う、正しく発音する、という方向に向かう。川上は「怒られるかもしれませんが」と前置きしつつ、その結果「英語オタク」が増えていると述べた。
川上がよく出くわす場面がある。外国人との会議で、川上がクライアント側のエージェントとして同席する。代表者が話し、その隣で社内の通訳担当者が英語に訳す。すると外国人は、通訳の英語を聞いたあとで川上に「What is he saying?」と尋ねるのだという。川上は「What he's saying is…」と、英語を英語に翻訳し直すことになる。日本語の論理のまま英語に置き換えた「英語1」を、伝わる「英語2」に直す作業だ。こうした場面がどんどん増えている、と川上は話す。
川上はさらに、京都の「娘さん、ピアノ上手ですなあ」という言い回しを例に挙げた。これをそのままChatGPTに入れれば「Your daughter plays the piano well」のような答えが返ってくる。しかし、この言葉の本当の意味はそうではない。「ええ時計してはりますなあ」も同じである。文脈や文化を抜きに記号のまま翻訳すると、相手には何を言いたいのかが分からなくなる。
「He talks English but never speaks English」
川上の友人が、ある会議のあとで慌てた様子でやってきて、ある人物についてこう言った。「He talks English but never speaks English.」
「〜について話す」なら「talk about」だし、言語を話すなら普通は「speak English」と言う。川上はこの言い方に一瞬引っかかったが、すぐに意図を理解した。ここでのtalkはベイビートークに近く、英語のような音は出しているが意味が伴っていない、という意味だと川上は解釈した。その人物の英語は流暢で語彙も豊かだったが、何を言っているのか分からなかった。慌てて話しかけてきた割に考え抜かれた言葉だったので、驚いて本にも書いたという。トークしているのか、スピークしているのかは、英語に限らず大事な区別だと川上は述べる。
では「スピーク」とは何か。川上は交渉の場で見た例を紹介した。英語力の高い若い社員が延々と話していたが、議論は1ミリも進まなかった。業を煮やした社長が机を叩き、「Price expensive. You partner long term. Risk big, you small」と話し始めた。すると相手側が身を乗り出し、「それを聞きたかったんだ」と反応した。相手も「Risk fifty-fifty, no no. Your company big, my company small. Venture, venture」と返し、交渉が動き出した。
川上は、この社長の英語は文法的には崩れていたが、交渉を動かしたのだから「上手な英語」と呼ぶべきではないかと考えたという。
同意と合意、そして「機能する英語」
川上は、コミュニケーションを段階で捉えている。何かを発信し、相手が理解する。それに対して「よかろう」と同意する。だが同意と合意は違う。川上の定義では、合意とは相手が自分ごととして納得し、腹落ちした状態を指す。本人は、この定義には異論もあるかもしれないと留保している。
同意と合意の間を埋めるのは、心理的な理解と論理的な理解だと川上は考える。言っていることは分かるが、この人の言い方や話し方がどうも腹に落ちない。そういうときは同意はしていても合意には至らない。合意すれば相手は一緒に動いてくれ、成果につながる。
川上によれば、コミュニケーションはどれほど拙くても、矢印が右に動いていればそれでいい。1センチでも10センチでも1メートルでも、動いたならそれは機能したということだ。これが川上の言う「機能する英語」である。聞き手は、きれいに整えた日本語の文章より、腹落ちした人の端的な言葉のほうが人を動かす、ということに近いのではないかと応じた。
川上は2つの理解を英語で「cognitive trust(論理的な信頼)」と「emotional trust(感情的な信頼)」と言い換えた。両輪がそろったときに、人は「よし、分かりました」と握手するのだろうという。逆に、論理が多少破綻していても、この人は面白いからやってみようと思わせる人もいる。川上が会う起業家はほとんどがこのタイプで、コンサルタントとしては大丈夫かと思うビジネスでもぐいぐい進めていく。それでも右に動いているなら、それは機能していると川上は見ている。
日本人が直面する4つの壁
機能する英語に近づくために、川上は日本人の前にある「4つの壁」を挙げた。
1つ目は先に述べたロジックの転換である。
2つ目は、良くも悪くも奥ゆかしく、「私は」「私の企業は」と自分のことを語らない傾向だ。日本人は自分の国の文化や歴史を学んではいるが、他国の人に向けて語る機会がほとんどない。その結果、そもそも言いたいことがない状態になっている、と川上は言う。英会話学校で定番の「What's your hobby?」という質問を例に挙げると、「reading books」と答える人が多い。しかし川上によれば、読書は趣味に入らない。英語圏でのホビーとは、誰でもできることではなく、バイオリンやピアノが弾ける、サーフィンをする、といった特技に近いものを指す。「reading」と答えると、相手は「それがあなたのコンテンツなのね」と少し思ってしまう。中身が足りていないということだ。
3つ目は完璧主義である。川上は、これを日本人の美徳でもあると認めている。いま多くの外国人観光客が日本を訪れるのは、街がきれいで、食べ物がおいしく、衛生管理が行き届き、建築の細部まで完璧だからだ。しかし英語では、相手はこちらが第二言語の話者だと分かっている。第二言語で完璧な人などいないのに完璧になろうとすると「変な人」に見えてしまう。しかも、日本人が目指す完璧が米東海岸なのか西海岸なのか、シカゴなのか、カナダなのかイギリスなのか、それすら定まっていない。ふわっとした完璧を追い求めるから永遠にたどり着かず、たどり着いていないからまだ話さない。その結果、ただ意見のない人と見られてしまう。
川上は対照的な例として、シンガポール人のシングリッシュや、Rの発音を気にしないフランス人を挙げた。彼らは自国へのプライドを持って堂々と話し、それで通じているし、機能している。
完璧主義は反応速度にも影響する。川上は、大阪や関西の人はテンポが速いので、本気で学べば英語が上手になるだろうと話す。英語圏では黙っていることは美徳ではなく、黙っていることは考えていない、意見がないことと同じに見なされる。
4つ目は「ネイティブ信仰」だ。そもそもどこの国の英語をネイティブとするのか、という問題である。これについては後述の単語学習の話で詳しく扱う。
川上は、日本人の「beat around the bush」の典型として「検討します」を挙げた。たいていは実行されず、事実上の断りである。「一応確認ですが」も、「一応」と言いながら実は極めて重要なことだったり、相手のメンツを潰さないためだけの言葉だったりする。これをそのまま通訳すると誤解が生まれる。
壁の背後にあるもの 危機感、教育、文化
川上は視点を一段引いて、背景にある構造も論じた。日本の英語学習市場は7900億円規模で、多くの人が長年勉強し、市場はいまも伸びている。それなのにTOEICやTOEFLのスコアでは韓国に負けており、一部の試験では北朝鮮にも負けているという。受験者数の母数の違いはあると川上は断っている。
川上が最も大きいと考える理由は、経済力による安心感だ。日本の経済力は弱まっているとはいえ、これだけの人口と経済規模があれば海外に出なくても生きていける。川上は「Not in my backyard」という言葉を引き、少子高齢化も、自分が解雇されることも、自分の身には起きないだろうと思える状態にまだ守られていると指摘する。
対照的に、シンガポールの人口は約590万人で、川上いわく千葉と兵庫の間くらいの規模だ。そうした規模の国では、外に出て外貨を稼がなければ経済が持たない。韓国も同様で、アーティスト1人を育てるにも国内だけでは採算が取れない。だから日本、インドネシア、シンガポールなどを最初から視野に入れ、ビジネス計画書のパワーポイントの最初のページが「グローバルビジネスディベロップメント」になる。日本では逆に最後のページで、日本でうまくいったら海外もあったらいいね、という程度だ。この切迫感や危機感の差が最も大きいと川上は感じている。
2つ目の背景は教育制度である。日本の英語教育は「英語について」学ぶものになっており、英語の使い方を学ぶものになっていない。
3つ目は文化的な思考様式だ。川上は人類学者エドワード・T・ホールの高コンテクスト文化と低コンテクスト文化の区別を紹介した。日本は文脈を重んじる側に属し、「好き」と言わなくても分かってほしい、という文化がある。川上は、日本語や日本文化、日本的なコミュニケーションが悪いという意図はまったくないと繰り返した。コミュニケーションはその民族の文化に最適化されるものであり、そうした思いやりのホスピタリティこそ外国人が驚いて帰っていく理由でもある。ただ、外に出たときにはそうではないと自覚していないと、英語を使うときに大きな足かせになる、というのが川上の主張だ。
「不偏」という考え方 訛りのある英語で堂々と話す
日本では日本人としてのアイデンティティを教わる機会が少ない、という話から、川上は尊敬する人物として明石康氏の『独裁者との交渉術』を紹介した。数々の和平交渉に関わった明石氏が、その経験をまとめた本である。
川上によれば、明石氏は本の中で「不偏」という言葉を使っている。偏らないという意味だ。たとえば国連でアメリカ英語を話すことは大きなリスクになる。アメリカの政治や歴史、文化、法律をよく知っているのだろうという責任を背負うことになるからだ。明石氏は生まれ故郷の秋田の訛りで、と述べていたという。自分の訛りでしっかり意見を述べ、異なる意見を乗り越えて1つの合意点に導く。それが国際舞台での自分の立ち位置だと語っていたと川上は紹介する。
川上はこれを、中立(neutrality)ではなく不偏(impartiality)として理解している。流暢な英語でその国に溶け込み、何者でもなくなるのではない。誰にも寄らないが、自分の原理原則とアイデンティティには地に足をつけている、という姿勢だ。シンガポール人がシングリッシュを直さず、フランス人も直さず堂々とプレゼンテーションするように、日本人も日本人らしい英語でしっかり話し、通用すればいい。川上は「ちょっと開き直りかな」と笑いながらも、この考え方は自分にとって大事なものの1つだと述べた。
単語を一対一で覚える弊害 haveとdog
ネイティブ信仰とも関わる問題として、川上は日本の単語学習のやり方を取り上げた。haveには「持っている」「(兄弟が)いる」「食べる」、さらに現在完了と、多くの意味がある。日本の学習者はそれを1つずつ別のフォルダーとして記憶している。しかしネイティブの頭の中には、haveに対応する概念が「with(一緒にある)」の1つしかないと川上は説明する。
たとえば「I lost my wallet」は、財布をなくしたという過去の事実を述べるだけだ。聞いた側は「それで今は?」と尋ねたくなる。一方「I have lost my wallet」は、なくした状態とまだ一緒にいる、つまり見つかっておらず悔しいということを表す。「I have a brother」も、兄弟が物理的にここにいる必要はなく、実家にいても北海道にいても「with」の関係にある。川上は、受験のためにこれを別々のフォルダーに分けて覚えさせることに、ずっと疑問を感じていたという。
さらに川上は、英語と日本語の単語が完全に一致することはほとんどないと思ったほうがいい、と強調した。その例として出したのがdogである。さすがに犬は同じだろうと思うかもしれない。しかし干支の話をしようとして「You are dog」と言うと、相手はすごく怒ると川上は言う。英語のdogには、貧乏、ケチ、ひどい、ダメなやつといった意味があるからだ。一対一で覚えると、知らないうちに相手の気分を害することがある。もっと「もわっと」覚えるべきだが、そのためにはどんどん話すしかない。それなのに日本の教育ではアウトプットがあまり求められない、と川上は指摘する。
伝わる英語のLAARモデル
これらを踏まえて川上が提唱するのが「LAARモデル」である。
1つ目のL(ロジック)については後で詳しく述べる。
2つ目のA(アサーション)は、伝えるべき中身のことだ。自分は何者か、自分の会社、自分のミッションやパッション、家族など、言うべきことを言語化して準備しておく。「What do you do for fun?」「What is your dream?」と突然聞かれても、日本ではあまり聞かれないため答えが出てこない。日本でこうしたことを語ると「よう喋りはりますな」と思われ、政治思想を語れば面倒な人だと思われるかもしれない。しかし川上によれば、日本の外では誰も英語の上手さを期待していない。「how you speak(どう話すか)」より「what you speak(何を話すか)」のほうが面白がられる。英語が上手な人はたくさんいるので、それだけでは人を引きつけない。
そのため川上のクラスでは、川上自身が受講者にインタビューしてまとめ、それを本人のコンテンツとして「弾丸のように」ストックさせ、いつでも取り出せるようにしているという。思わぬところでは、天皇とはどういう存在なのかといった質問も普通に飛んでくる。日本の良さを聞かれると、日本人の謙遜が発動して「少子高齢化で経済も沈んでいて」と自国を卑下し、笑ってしまう。相手にはそれが「自分の国を卑下して笑う変な人」に見える。他国の人々は「I'm proud of my country」と誇りを持って主張してくるので、その中で日本人は聞き役に回ってしまう。
3つ目のR(レスポンシブネス)は反応速度で、それを上げる訓練をする。
4つ目のA(アーティキュレーション)は、一般には発音と訳されるが、川上の意味では「明瞭に発音すること」である。Rが多少巻けていなくても、Tがなくても、明瞭に伝わっていればそれでいい。
英語話者の頭にある3つの型と「見出し」
Lのロジックについて、川上は難しいことを言っているわけではないと前置きし、英語を母国語とする人々の思考には3つの型があると説明した。
1つ目はロジックツリーである。小さな子どもでも「I don't want to go to school today because of the following three reasons」と言い、体育が嫌い、Bobが嫌い、ちょっと具合が悪い、と理由を並べる。母親は「そんなのは選択肢に入りません。私が行けと言っているんだから行きなさい」と返す。日本の子どもが「以下の3つの理由により」とは言わないだろう、と川上は笑う。演繹法や帰納法という言葉を知らなくても、要素を階層に分けて考える型が幼いころから身についている。そこには定量的な発想も含まれる。「今日の営業、よかったな、お疲れ」では会話が成り立たず、「成約確度は50〜60%」「残りの40%は何か」「意思決定者に会えていないからだ」という議論になる。
2つ目はマトリックス、つまり組み合わせで考える型だ。
3つ目はギャップである。コンサルタントは現状とありたい姿を明確にし、その間を埋めるために何をすべきかを考える。現状とありたい姿が明確でなければギャップはなく、ギャップがなければ悩みもない。足りないのは人なのか、物、金、情報、技術、時間なのか。自分で制御できるものとできないものは何か。そう考える癖がついている人と話すとなると、もはや英語の問題ではないと川上は言う。この型をインストールせずにやみくもに勉強しても成果は出にくく、英語と一緒に身につけるべきものだという。
日本人は起承転結で話しがちだが、相手は「Your point?」と思う。英語では、まず見出し(ヘッドライン)を求められる。川上自身、その癖は身についているつもりだった。ところがラジオ番組を始めたころ、ディレクターから「まず見出しを出せ」とよく叱られた。英語では見出しから話せているのに、日本語だと起承転結で美しく着地させようとしてしまうと気づいたという。英語は、全部が全部ではないものの、まず結論、次にその理由、そして行動という順に話すのが基本だと川上は説明した。
訓練法1 プレッシャーの中での瞬間即訳
具体的な訓練として、川上がまず挙げたのが即訳である。日本語の文章を渡し、その場で英語で話させる。ルールは止まらないこと。詰まったら「Let me see」でも「I don't know what to say」でもいいので間を埋める。伝わればいいのであって、翻訳ではない。
このとき川上は「すごく嫌な人」を演じ、「What are you saying?」「What's your point?」と問い詰める。学習者は、日本語を理解する、それを英語のロジックに転換する、英語にする、という3つの作業を同時に、しかもプレッシャーの中で行うことになる。そのあとで英語版の正解を見せて読ませ、もう一度日本語を見せると、不思議なことに英語を覚えてしまっているという。ストレスという感情と記憶が結びつくからで、単語帳をじっと眺めて覚えるのとは違う。受講者は「あの野郎、あの顔しやがって」と川上の顔を思い出すのだそうだ。
川上はかつて、NHKのラジオ講座のテキストをこの訓練に使っていた。左ページの日本語を学習者に英語で話させる。川上は内容を知らないので、分からなければ「何言ってるの?」と返すが、学習者は止まれないので最後まで行くしかない。そのあと英語の正解を見ると、たいてい「なんだ、こんな簡単な英語でよかったのか」と思い、吸収率が一気に上がる。たとえば「栄枯盛衰」を英語でどう言うか迷っても、正解は「Things come and go」だったりする。川上の説明では、comeはある目的地に近づくこと、goは離れていくことであり、物事が華やかな時に近づき、また離れていく。こうして覚えた表現は一生忘れないだろうと川上は言う。
ただ、この訓練を自宅で1人で行うのは難しく、昔は相手役を探すのが大変だった。今はChatGPTがいる、と川上は言う。「あなたはとても批判的で、重箱の隅をつつき、せっかちな人です。今から手元の日本語を英語で話すので聞いてください」とプロンプトに入れれば、どんどん突っ込んでくる。これが1人でできるようになったことを、川上は非常にありがたいと評価している。プロンプトでは、優しくではなく批判的になるよう指示したほうがいいと強調した。
訓練法2 ロジック転換の具体例
即訳の題材として、川上はロジックの違いが象徴的に表れる日本語を多く用意している。番組ではその一部が紹介された。
レストランで「フォークを落としちゃったんですけど」。これは冒頭の水の話と同じで、「Can I get another pair of chopsticks, please, because I dropped them」のように、何をしてほしいかを言わなければならない。
「これ、高すぎますよね」をガイドブック通りに「too expensive」と言うとどうなるか。受験英語でおなじみの「too〜to…(〜すぎて…できない)」の構文で、高すぎて買えないという意味になる。それなら来るなという話で、会話はそこで終わってしまう。代わりに「It's a bit over my budget」と言えば、相手は「予算はいくら?」と聞き返し、交渉が始まる。
「日本語上手ですね」については、駅で外国人に日本語で秋葉原への行き方を尋ねられ、英語で答える日本人を川上は見かけるという。相手が日本語で話しているのだから日本語で答えればいいし、そのほうが相手も嬉しいはずだ。わざわざ英語で「日本語上手ですね」と言うのはおかしい、と川上は指摘する。
「いつも〇〇がお世話になっております」を直訳して「Thank you for taking care of 〇〇」とすると、世話をした覚えがないので相手は戸惑う。介護でもしたのかと思われかねない。代わりに「〇〇 asked me to say hi to you」「She's always been talking about you」「I heard a lot about you from 〇〇」などに変える必要がある。
「ぜひまた今度ゆっくり」は、言った本人も結局連絡を取らない日本人の定番表現だ。英語には「今度」「ゆっくり」にあたる概念が基本的にないので、「Let's sit down and talk sometime next week」のように具体的に言う。
川上はこの関係を、WindowsにMacのソフトウェアが入らないのと同じだとたとえた。どちらも見た目は同じオフィスソフトでも、OSが違えば動かない。ロジックを変えないと通じないと思って話したほうがいい。こうした日本語をたくさん英語にするうちに、日本国内にいても自分でロジック転換ができるようになる、と川上は考えている。
逆に、うまく転換できている例として川上は「Good morning」を「おはよう」と訳したことを挙げた。「良い朝」ではなく、英語にはない「早い」という言葉で訳した点が見事だという。転換が難しい例は「ASAP」だ。番組のプロデューサーに「大至急、台本をチェックしてコメントをもらえますか」と頼まれた聞き手は、5分後にはやりたくなると答えた。川上の経験では、アメリカ人のASAPは2日、イタリア人では2カ月だった。間にバケーションが入っていたので、本人の感覚ではバケーションを除けばASAPだったのだという。日本人はASAPという言葉を好むが国際的には通用しにくいので、「within 24 hours」「within 10 hours」と定量的に言う必要がある。
訓練法3 定義の練習
川上がもう1つ重視するのが定義の練習だ。たとえば「山とは何か」を英語で言わせる。アメリカの小学3年生にやらせたところ、さらりと答えたという。日本語でも難しい、と聞き手は認めた。日本人はたいてい「木がある、動物がたくさんいる、森がある」といった特徴の列挙から始めてしまう。その小学3年生の答えは「A mountain is an elevated part of the earth. It's higher than a hill」、つまり「地表の隆起した部分で、丘より高い」というものだった。
「本とは何か」なら、日本人は教養や知識、視野を広げるものといった答えから始めがちだ。しかし世の中にはいかがわしい本もあり、すべてが視野を広げるわけではない。特殊性を取り除いて一般化すると「印刷物で、連続した紙がまとめられたもの」となり、いかがわしい本も含めて説明できる。
川上は受講者に、椅子やコンピューター、マイクなど身近なものから200問ほど定義をさせてきた。続けるうちに定義する力がつき、何を聞かれても定義しようとする姿勢が身につく。やがて対象は教育、仕事、政治といった抽象的な概念に移り、最終的には「あなたとは」「あなたの会社とは」にたどり着く。定義を繰り返すことで、先に述べたロジックツリーを自分で組み立てる力が身につくと川上は言う。昔は英英辞典で答えを確認し、誰かに聞いてもらう必要があったが、これもAIが相手になってくれる。
この流れで、川上は番組のテーマである英語力そのものも定義した。「English proficiency is the ability to achieve goals through English」。英語を通じて目標を達成できれば、それが英語力だ。単語をいくつ知っているか、どの資格を持っているかではない。冒頭の社長の「Expensive」「small company」のように、矢印が右に動いていればいい。
聞き手は、こうした訓練をすれば、勉強してきた白黒の語彙に血が通いそうだと感想を述べた。川上はそれに同意し、特に勉強を重ねてきた人ほど、海面の下に沈んでいた知識が活性化して浮かび上がってくると語った。
結び まずは身近なものの定義から
最後に、真面目に学んでいるが自信がないという人へのメッセージを求められ、川上は「ぜひやってみてください」と答えた。昔は練習相手を見つけるのが難しく、無責任にそう言うことはできなかった。しかし今はAIがいる。番組が終わった直後からでも、「テレビとは」「ディスプレイとは」と身近なものの定義から始め、少しずつ概念へと進んでいけばいい。ChatGPTから「それでは分からない」といろいろ言われるだろう。それでも続けるうちに、自分なりのコツが少しずつ見えてくるのではないか、と川上は締めくくった。
ズバリ、日本人の英語が伝わらない理由。論理の転換のミス。「すいません、お水が入って……」「I don't have a glass of water.」「So what?」核心的なことを言わないで、なんとなくお伝えするのが癖になっている。そこが足かせになってる。
伝わる英語って何なのかっていうところ。合意っていうのは、自分事として納得して腑に落ちた。コミュニケーションっていうのは、どんなに……なくても右に動いていればそれでいいの。
じゃあ、どうしていけばいいのか。4つの壁。日本人の方、「私は、私の企業は」ってあんまり言わないですよね。そもそも言いたいことがないというのがあるのと、どうしても完璧主義。第2言語の人に完璧を誰も……いないのに、完璧になろうとしてる変な人っていうふうになっちゃう。日本人らしくしっかりお話をされて、通用すればいいんだ。定義練習というのはとても大事で、「山って何?」って英語で言ってって。
これ、日本語でも厳しいですね。やってみていくと、だんだん自分の勘所みたいなものが見えてくるんじゃないかなって。
こんにちは。PIVOTの磯貝です。今回のテーマは「日本人の英語はなぜ伝わらないのか」です。ゲストにお迎えしたのは、経営コンサルタントのショーン川上さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。お招きいただきありがとうございます。
ショーンさん、長年経営コンサルタントとして、英語を使って様々なビジネスの現場に立っていらっしゃるということで、3月に『英語力の核心』を出版なさいました。日本人の英語はなぜ伝わらないのかという問題、言われることも多いかと思うんですが、ショーンさんの中でその問題意識ってずっとあったものなんですか?
そうですね。長らく企業の、いわゆる経営の助言っていう作業をずっとやってますと、おそらくそういう企業様って、私どもにお声がけいただくところっていうのは、海外事業に関心がおあり、あるいは海外の市場に上場するであるとかってことが多かったんですけども。そこに行きますと、やっぱり契約に絡むところで私たちがご助言をさせていただいてたりしていたわけですけど、どうしても英語の問題に引っかかるので、「じゃあ、せっかくなんで、ショーンさん、できれば朝活とか夕活とか、週末とかでやってもらえませんか」っていうのが、なんとなくのきっかけで始まって。かれこれ30年ぐらい、なんとなく英語を教えるつもりはなかったんですけども、英語をコンサルティングの延長で、そういうことになっていたということでしたね。なんか思い返すと。
実際その需要があり、朝活、夕活、週末活みたいなのはされてた。
されてました。だから私が、ご要望があればということで、もちろんグループでっていうのもありますし、担当部長の方がこっそりやりたいからっていうのもあるし。最近になると、やっぱりオンラインでそういったことが可能になったので、よりやりやすくなって。昔は本当にオフラインで、ちゃんと出かけてって、横浜に行ったりとか、栃木に行ったりとか。うちのお客さんも全国いろんなところにいらっしゃるので。だから本当に最近は楽になりましたけど。
そういう意味では、日本人の英語力にお付き合いしてきたっていうとちょっと大げさですけど、長年の間の日本人の英語との向き合い方、あるいは時にストレスと言いますかね。皆さん感じてらっしゃる悩みみたいなのには、なんか寄り添えてきたかなという感じはしますね。
本当に色々なリアルな悩みをご覧になっての、そういう問題意識というか、じゃあどうすればいいのかというところも含めてお伺いできればと思います。大きく2つテーマをご用意してまして、1つ目が「なぜ日本人の英語は伝わらないのか」で、2つ目が「伝わる英語を身につけるLAARモデルとは」というところですね。まず早速、ズバリ日本人の英語が伝わらない理由、何だと思われますか?
今日、多分この後色々とお話をすることになるんですけども、その中でも一番私が口酸っぱく言い続けてきたのが、ロジックっていう、論理の転換のミスっていうのが一番大きいかなと思っています。
論理の転換のミス。
この後、少し詳しくお話をしてみたいと思うんですけども、どうしても日本語っていうのは、これは日本語の悪口ではなくて、やっぱり意思疎通をする時にっていうものにすごく重きを置いてくれたり、文脈を理解してあげようっていう意識が非常に強いじゃないですか。皆まで言うなというか。
察する美徳みたいなものはありますよね。
そうですね。英語で言うと「beat around the bush」っていう言葉があるんですけども、元々はブッシュなので竹やぶですよね。その前をbeatとして叩いていくと、中にいた鳥がパタパタパタと飛び出してきてっていう。要するに、本当は鳥を取りに行けばいいんだけど、その竹やぶを叩いて。つまり、核心的なことを言わないで、なんとなくお伝えするっていうのが、どうしてもやっぱり癖になっているっていうんですかね。っていうのがあって、やっぱりそこが足かせになってるっていう感じがしますよね。
その足かせになってることって、気づいてらっしゃる方が多くはあるんですか?
やっぱり海外に少し行って、例えば5年、10年行ってみると、「自分のコミュニケーションの日本での仕方はちょっと違ったんだな」って。それは日本のコミュニケーションは良くないってことではなくて、「こっちに来たら変えなきゃいけないんだな」っていう意識、スイッチができる人たちっていうのはもちろんいるんですけど、長らく日本にずっといたまんま英語を勉強した人っていうのは、やっぱり「すいません、お水入ってないんですけど」って言います。
ですね。「すいません、お水が入って……」「I don't have a glass of water.」で。
なるほど。
これ、皆さん、これ見てらっしゃる方、海外に行ってちょっとドキドキするかもしれませんが、やってみてください。「So what?」って言われるんですよね。日本人の感覚は「そのぐらい気づくでしょう。社会人でしょ。サービス業でしょ」っていうのが日本人の心理。向こうからすると「なんでそんなシンプルなことを言えないの?」っていう、その構造があるんですよね。
それが体感して気づければいいですけど、無意識のうちにその足かせがあって、気づかずに苦戦だけしていくっていう人も結構多いんですね。
多いですね。だから英語の勉強が、ロジックの話を抜きに、ボキャブラリーを増やすとか、正しい文法を使おうとか、正しい発音をしようっていう方に向いていくじゃないですか。そうすると、怒られるかもしれませんが、英語オタの方がどんどん増えてきてですね。
よくあるシーンでは、ここに外国人がいらっしゃる。外国人といってもいろんな外国人がいらっしゃるので、英語を使う方がいらっしゃる。私、大体お客様側の一人のエージェントとしてここにいる。代表の方がおられる。その隣に、その代表の方のお付きの方、社内の通訳の方がおられる。代表の方がお話になる。通訳をされる。そうすると、この外国人の方が「What is he saying?」って私に聞くんですよ。
英語を、私が今度は「What he is saying is…」、彼が言いたいのはって、私が英語を英語で翻訳しなきゃいけないシーンが、どんどん増えてくるんですよ。英語1、英語2になってるんです。英語1、英語2になって。だから翻訳っていうのは、ロジックの翻訳前の英語がそのまま出てきてしまうんですよね。
だから、これ京都の方に怒られるかもしれませんけども、「娘さん、ピアノ上手ですなあ」。これ多分、英語で訳したら、皆さんが例えばChatGPTにこれをこのまま入れたら、「Your daughter plays well.」って返ってきますよね。でもそれって、そうじゃないですよね。
そうじゃないですね、きっと。
「ええ時計してはりますなあ」って、違いますよね。
違いますね。
だから、この文脈とかカルチャーを抜きにして、記号のまんま翻訳されてしまうと、それが何を言いたいんだろうっていうものが多くて。だから先ほどの冒頭の質問に答えると、私は色々な、LAARっていうのを後ほどお話しするんですが、その中でも一番重要なのは論理の転換かなと思っています。
そこですね。だから本の中でも、英語の勉強はたくさんしてきたし、英語力としては高いはずなのに、なかなか伝えられない方の例もあったと思うんですけど、そういうところが根本的な。
そうですね。そうなんですよ。ここに今、talkとspeakとか出てますけども、ここの下に「He talks English but never speaks English.」って書いてあるんですけど、これ、私の友人がある会議に行って、私のところに来て言った言葉で、私一瞬ふっと思ったんですよね。「He talks English」って変ですよね。
speakですよね。
そうですよね。彼が言いたかったのは、talkっていうのは要するにベビートークですから、まあまあまあ……。これ、ベビートークなんですよね。英語のような音を出しているが、意味が伴っていないという意味だったと思うんですよね。
だから彼の英語はとてもfluentで、流暢で素晴らしかったし、ボキャブラリーも豊かだし素晴らしかったんだけど、何を言ってるかわからなくて。なので「He never speaks.」って彼が言ったのがとても印象的だなと思って、本の中でも書いたんですけども。慌てて来て私にしゃべった割には、すごい考えられた言葉だなと思って、私驚きまして。
なんとかだと、なんとかについてお話をするって言うんですけど、「He talks English.」って変ですよね。つまり彼が話したのは「SNG English」。つまり英語のような記号のようなものをしゃべったけど、僕には何を言ってるか伝わらなかったよって言ったのかなって。
中身がないって書いてありますね。切ない。
そうですね。なので、talkしてるのかspeakしてるのかって、これ英語に関わらず大事ですよね。
そうですね。だから学んだ音を出していても、伝わらなかったら意味……。
そうなんですよね。だから私、今日せっかくお招きいただいて、talkしないように、ちゃんとspeakしてから帰らないといけないなと思って。
今までもちゃんとspeakしていただいてありがとうございます。
そうですね。本当に、じゃあspeakって何だろうなっていう時、きっとその人っていうのはとっても流暢なのかなと思いきや、これも私の交渉のシーンであったんですけど、やっぱり素晴らしい若手社員さん、英語力が高い社員さんがいらっしゃって、ずっと話をしてるんだけれども、話が一歩も前に進まないこと。業を煮やしたっていうんでしょうかね、ある社長が叩いて、「Price expensive.」って始めたんですよ。「We partner long term. Long term partner. Risk big, you small.」って始まったんですね。
すっごい。
その瞬間に、グーッと向こうの社長が入ってくるわけですよ。「それを聞きたかったんだよ」って。その瞬間に「Risk fifty.」「No, no. Your company big. My company small. Venture, venture.」って始まったんですよね。彼の英語はダメな英語かっていうと、動き出したんですよね。
ってことは、彼は英語が上手だって言わなきゃいけないんじゃないのと思ったんですよ。だから上手な英語って何だろうなっていうのを、すごく考えるんですけど。これは英語に関わらずってことかもしれませんが、コミュニケーションって何だろうっていうことを言う時に、いつも別の文脈でもお話ししてたりするんですけど、何かものを発信する。それで相手が理解をすると。それに対して同意をする、よかろうと思うと。「いいでしょう」と。
じゃあ同意と合意って何が違うかって、私は、これもしかすると異論があるかもしれませんが、合意っていうのは自分事として納得して腑に落ちたっていう意味です。この同意と合意の間にっていうのは、よく心理的な理解と論理的な理解っていうのがあると思うんですけど。この人の言ってることはわかると。でもこの人の言い方、話し方、顔がどうもなんか、心理的理解っていうのが追いついてなくて。言ってることはわかるんだけど、なんか腑に落ちないんだよねっていうのは、同意してるんだけど合意に行けないっていう。
同意して合意をしたらば、一緒に動いてくれますよね。そして何かの成果につながるってことは、別にこれ「機能する英語」って書きましたけども、コミュニケーションっていうのは、どんなに……なくても右に動いていればそれでいいんでしょと思うんですよね。矢印がずっと右に動いてさえいれば、それが1cmでも10cmでも1mでも、動いたならばそれは機能したと。だったら機能する英語って何だろうって、これもしかすると日本語でもそうですよね。
そう。さっきの流暢な英語と、ブロークンイングリッシュと言われる。AIで作った日本語の文章って綺麗な感じするけど、使われるし、わからなくはないけど。でも実際、腹落ちした人が話してくれる端的な言葉の方が、「それで動こう」ってなるみたいな。そういうことにも近いのかなと思いながら伺ってました。
そう。さっき言った心理的理解と論理的理解っていうのは、やっぱり2つあるんでしょうね。Cognitive trust、どっちかっていうと論理的によくわかったっていうことと、エモーションの方のtrustで、この両輪が揃ってると人間って腑に落ちて、「よし、わかりました」って握手するんでしょうね、きっとね。
だから、なんとなくわかったけど、なんかこの人の……。逆に論理がちょっと破綻していても、なんかこの人面白いからやっちゃおうかなっていうことありますよね。私がお会いする起業家の方は、ほとんどこの方が多いんですけど。
ほとんどですか。
「大丈夫かな、このビジネス」って思うんだけれども、コンサルタント的にはうーんと思うけれども、グイグイ行っちゃうっていうパターンもあって。要するに、右側にどんどん動いていさえすれば、それは機能してるのかなって私は思ってますと。
それはもう英語を学ばれる方、皆さん機能する英語の方に行き着きたいと思うんですけど、じゃあどうしていけばいいのかっていうところで。
そうですね。4つの壁って言ってみたんですけども、さっき申し上げた1つ目はロジックの変換。これは先ほどお話ししましたので割愛しますが。2つ目が、日本人の方、これはいい意味でも悪い意味でも奥ゆかしいと言いますか、自分のことをあんまり、「僕は、僕は、私は、私の企業は」ってあんまり言わないですよね。
そうですね。
やっぱり小さい頃から、自分のアイデンティティや自分の国や文化や歴史やって学んでくるんだけども、他の国の方に向かって、あんまりないですよね。
ないですね。
だからそもそも言いたいことがないっていう。結構ショックなのは、これ英会話学校の関連の方が見てらっしゃったら大変申し訳ないですけども、「What is your hobby?」、趣味って何ですか、みたいなね。「あれ、まだやりますか」っていう。とか言いますけど、読書はhobbyに入らないですね。
そうなんですか。
入らないですね。
hobbyなんですか、例えば。Reading booksって言ってました。
言ってました。hobbyは基本的に、誰でもできることじゃダメなんですよ。ある少数、少数というか、自分かと言うと変ですけど、ある程度の特技に近いところじゃないと。バイオリン弾けるとか、ピアノが弾けるだとか、サーフィンをするだとか。皆さんが全員できるようなものはhobbyじゃないので、readingって聞いた方は、「それがあなたのコンテンツなのね」ってちょっと思っちゃう。
なるほど。
そうなんですよね。だからこれも1つ、コンテンツがっていうのがあるのと、どうしても完璧主義だっていうのが、やっぱり日本人のいいところでもあり、悪いところでもある。
自覚あります。
ただ、これは私、壁って言いましたけど、今外国人がこれだけ4000万人近く日本に来てる理由っていうのは、この完璧主義が好きなんですよね。街は綺麗だし、食べ物は美味しいし、衛生管理は素晴らしい。建物の隅々まで、建築の完璧さが行き届いているし、全てに対して細心の注意を払うっていうのは、日本人の素晴らしさでもあり美徳なんだけれども。これがこと英語っていうことになってきたりすると、第2言語の人ですよねってわかってるんですよ、こっちは。
だから第2言語の人に完璧を誰も……いないのに、完璧になろうとしてる変な人っていうふうになっちゃう。日本人が思う完璧ってどこなんだろうって言うと、アメリカ、東海岸、西海岸、シカゴ、カナダ、イギリス、どこが完璧なのかわからないですよね。ある1つのふわっとした完璧を求めて、Rで舌を巻くっていう。
切ない。
そうですよね。だからこれもちょっとシンガポールの人に怒られちゃうかもしれないけど、「アチオフレコミュニケーションカオケラ」って言われても、日本人ちょっとニヤッとして笑っちゃうじゃないですか。「訛ってる」って。通じてますよね。シンガポール、シングリッシュって通じてますし、さっきのように機能してますよね。機能してる英語に対して、彼らは全く自分たちの国のプライドを持ってしゃべってるので。
そうですよね。
「ベンentなけ」って言われて、Rが巻けないフランス人も、「いや、何が悪いの? セカンドランゲージだし、別に」って。完璧ってどこなんだろうなっていうのは、ある種のふわっとした……。
ふわっとしてるから永遠に行き着かない完璧を求めて、たどり着いてないからまだ言いませんって言うと、ただただ意見がない人ってなっちゃうってことですね。
そうですね。あと、やっぱり大阪の人は本当に英語を学ぶのが早いなと思うんですけども、テンポが早いんですよ、関西の方は。本気で英語を学ぼうとすると、すごく上手なんだろうなって思います。反応速度が遅いと、やっぱり黙ってることは……ではないので、黙ってることは考えてないってことと一緒なので、意見がない、考えてないってことと一緒なので。「木」っていう考え方、あんまりないんですよね。だからそういうことが、この4つ、大きな壁というか、ちょっと考えてみたいこととしてあるかなっていうのを思ってますと。
ここにも書きましたけど、危険なというか、よく日本人のbeat around the bushですけども、「検討します」。これやらないですね、大体ね。
やらないですね。「難しいですね」。大体これも断りですよね。
これも「一応確認ですが」とかいうのも、実は一応って言ったり、ものすごい重要なことだったりするし。
ただただ相手のメンツを潰さないためだけの。
そうそう。こういうのがすごく多くて、これをこのまま通訳してしまうものなので、勘違いをしちゃう。
流されちゃう、それね。
そう。ここで言ってるのは、もうちょっとカメラをわーっと上に引いて、ちょっと俯瞰的に、なぜなんだろうって。さっきの壁よりも少し壁の上に引いて見てた時に、何なんだろうなって。この7900億円っていう英語学習市場があり、これだけの人たちが長年かかって勉強していて、それでも市場は伸びてる。だけどTOEICだとかTOEFLっていうのは、もう韓国にも負けてしまっているし。もちろん受けてる人の分母もありますが、一部の試験では北朝鮮にも負けているって、どうしてなんだろうって。
やっぱり明らかに思うのは、経済力ですね。日本の経済力、弱くなってるとはいえ、200万人、これだけの人口がいて、これだけの経済力があると。「Not in my backyard」っていう言葉があるんですけど、訳して、「まさかうちで少子高齢化、今日起きないでしょう。まさか自分がクビになることないでしょう。まさか自分が道で『食事をください』とか『お金を』って、なんてことはない」。まさかのように、やっぱりある種の経済力にまだ守られていると思ってるっていうのはあると思うんですよね。
そうですね。
生きていけます、海外に行かなくても。ただ韓国であったりだとか、590万人ぐらいかな、シンガポール。590万人って言うと、多分千葉と兵庫の間ぐらいの大きさですよ。その規模の国になると、外に出ないと、外貨を稼がないと経済力は持たない。
だからアーティスト1人育てるのにも、韓国の中だけでは採算が取れないので、常に日本、インドネシア、シンガポール、グローバルに考えないといけないので。そのビジネス計画書のPowerPointの最初のページが、グローバルビジネスデベロップメントになるんですね。日本は最後のページじゃないですか。「日本でうまくいったら、海外もあったらいいね」ぐらいの。だからそこの切迫感とか危機感みたいなものが、やっぱり一番大きいような気がしてますね。
あとは教育制度っていうのは、やっぱりどうしても英語について勉強するっていうのか。
先ほどのフランスの話も。
そうね。Englishで、how to useじゃないので、どうしてもそういう英語教育制度というか、英語の勉強の仕方になってしまう。
あとは文化的な思考様式って言いましたけども、高コンテクスト文化って、これはエドワード・T・ホールさんという人類学者がしゃべった言葉で、世界を2つの社会に分けられる。1つはハイコンテクスト、つまり文脈に対しての重きが高い。一方、文脈に対しての重きが低い国って、2つに分けたんですよね。日本はどうしても文脈に対しての重きが多いので、「好きだよ」って言わないでも「わかってよ」っていうのがあるし。
「月が綺麗ですね」みたいな。
そうです。それが悪いってことじゃないんですけども。
それはそれで。
いいんです。これ、勘違いしないでいただきたいのは、日本語がダメだとか、日本の文化がダメだとか、コミュニケーションがダメだっていうつもりは一切なくて。これは日本の民族としての文化に対して、コミュニケーションっていうのも最適化されていくわけですから、それはそれで全然いい。逆に言うと、そういうおもんぱかりのホスピタリティに、今外国人がびっくりして驚いて帰っていくわけですから。それはいいんだけど、出た時にはそうじゃないんだなって考えないといけないと。
それが当たり前で見えてないと、英語をいざ使おうって時にすごい足かせになってしまうよ。見えてないと良くないですね。
そうですね。逆に磯貝さん、学校の時にたくさん勉強されたと思うんですけど、あんまり日本人としてのアイデンティティ教育って、日本はそんなにやらないですよね。
記憶にないですね。
そうですね。アイデンティティというよりも自分らしさ。私が非常に尊敬する方で、明石さんという方がいらっしゃいまして、彼が書いた『独裁者との交渉術』という本がありまして。様々な和平交渉に入ってらっしゃったと。その中で彼が感じたものを本にまとめられているものなんですけれども、「不偏」っていう言葉を書いてらっしゃって。あれは偏っていないっていう、不安の不に、偏るっていう偏。
例えば、アメリカ英語を話すということは、国連においては非常にリスクだと。例えばそれは、「アメリカの政治や歴史や文化や法律について、さぞよくご存じなんでしょうね」というリスポンシビリティを背負ってるということになるので。
なるほど。
思いっきり彼は「秋田弁で」って言ってましたけど、生まれ故郷の自分の訛りでしっかりと意見をし、機能する言語を発信し、国際舞台の中で様々な異なる意見を乗り越えて、ある1つの合意点に至る。Unity over diversityって言ったらいいのかな。いろんな多様性を乗り越えた1つのunity、1つの考え方に対して導くというのが、国連の中で求められている自分の立ち位置なんだってお話をされてたんですけど。
これ、非常になるほどねと。中立で、自分は何者でもなくなってしまって、流暢な言葉をしゃべって、その国の中に溶け込む誰かっていうのは、もしかすると彼の言う中立に近いことなのかもしれなくて。それよりも、シングリッシュが決して自分のシングリッシュを直さないように、フランス人が直さないように、ましてやその他の国の人たちが堂々と訛ってしゃべってきて、堂々とプレゼンテーションをして、「別に、それが何か」っていうのは、彼が言ってる不偏っていう、偏らず。
だけど自分の原理原則は地に足をつけて、自分らしさっていうのは持って、「誰にも偏りをしません」っていう考え方っていうのは、ニュートラリティというよりも、インパーシャルではない、impartialityって、誰にも寄らない。だけど自分の足、そのアイデンティティはしっかりと地に足をつけているっていう考え方というのは、なんか好きでして。私にとっても大事な考え方の1つなので、皆さんにも共有させていただいて、少しためになるお話かなと思いまして。
そうですし、だから例えば堂々と日本語訛りの英語で話す上では、じゃあ日本のことは語れないと、とか。そうなって、その責任というか。
そうなんです。だからそれを自分は背負ってるってことだとすれば、それは日本語らしい英語で全然いいですよねって。日本人らしく、日本人のようにしっかりお話をされて、通用すればいいんだと。ちょっと開き直りかな、もしかするとね。
必要かもしれないですね。だから思考の枠組みもそうだし、そこの考え方もちゃんと変えていくというか、そういうものだっていうのは認識としてあった方がいいですね。
そうですね。4番目は、ネイティブ信仰って、さっき申し上げた、どこの国を指してネイティブなんだっていう話ですよね。さっき日本の英語教育制度っていうので、私も日本の英語をもちろん見てるわけですけど。これ、意味ももちろんおわかりだと思いますけど、なんでhaveがそもそも入るんですかね。
入った方が、どんなふうに……今もなさそうな感じがします。
磯貝さんとしては、どんなふうに自分の中で落とし込んで、haveっていうのは。
haveはなんか近い感じがするというか。
近い感じが。いや、もうそんなので全然良くて。いろんな意味があるって覚えますよね。こうやって、2っていうのがあるよねと。「I have a brother.」それから食べるのもhaveだし、presentというより現在完了形にも使う。実はこれ、みんなすごいなと思うんですけど、これ1個ずつ覚えるわけですよね。
頭の中に1個ずつメモリーが、ここで言うとできるわけですよね。でも実際問題、英語をネイティブとして話してる人たちの頭の中は、1個しかなくて、withだけなんですよ。じゃあさっきのこれどうなるのってことなんですけど、「I lost my wallet.」っていうのは、「私は財布をなくしました」。だから?って、なんかすごい聞きたくなりません? 現在は、とか、最後のコメントがない。でもhaveっていうのはwithなので、その状態と私、まだ一緒にいるので、見つかってないんですよ。悔しいんですよ。ただそれだけです。
わかりやすい。
「I have a brother.」って言ったら、お兄さんがここに今いるわけないじゃないですか。いるって言っても、物理的にここにいなくても、お家にいたり実家にいたり北海道にいても、withでいいじゃないですか。withしかないんですよね。それを個別々にメモリーを作って、1個ずつフォルダー作って入れさせて、受験の時にって言って、フォルダーを思い……。それがどうしてなんだろうっていうのは、すごく思ってましたね。
だから、驚かれたというフラッシュカード、見てらっしゃるベテランの方も、これだとそれはカードの数も増えますよね。
増えますよね。増えますね。だから1個しかないんですよね。そう考えると、全部の単語がそうで。逆に言うと、1つの単語と1つの日本語の意味が全く同じものは、ほとんどないと思った方がいいです。
一対一だと思うからおかしくなる。
この英語とこの日本語の翻訳版が同じものはないと思った方がいいです。なんで2回言ったかって言うと、ちょっとクイズを出そうと思ってまして。さすがにdogは一緒だろうと思いません?
思いますね。さすがにそれは、日本語と英語違うって言っても。
dogはいいでしょうと思うじゃないですか。
appleとかdogとか、初めに習うやつですよね。
dogは一緒だろう、一緒だろう、いくらなんでもって。じゃあこれ、番組をご覧になってる皆さんも磯貝さんも、日本に干支っていうのがあって、「You are a dog.」って言ってみてください。すっごい怒りますよ。犬っていうのは日本では……。
戌年だよってしたくて。
そうそう。こうやって浮かぶじゃないですか。英語でdogって言うと、貧乏、ケチ、ひどい、ダメなって意味があるんですよね。「You are a dog.」って言われたら多分怒ります。だから同じじゃないんですよ。
同じじゃない。
同じじゃないのに、1個ずつ同じものを対にして覚えちゃうっていうのが、悪い癖になってしまっていて。
だから当然そうって思ってしまうと、知らず知らずのうちに人の気分を害してしまうことがある。
そうです。それが、どうしてもワード・フォー・ワードで覚えていく日本の教育の難しいところだなって。もうちょっともわっと覚えた方がいい。ただ、もわっと覚えるには、どんどんしゃべっていくしかないんだろうなと思うんですけども、しゃべることはあんまり、アウトプットはあまり要求されないので。
さっき言ったのは、ここで察する文化と言葉にする文化っていう、やっぱりきちんと表現しないとわからないですよっていう、そのハイコンテクスチュアルな文化とローコンテクスチュアルな文化っていうのがありますっていう話ですね。
私がLAARって言って、1つはロジックだよねっていうことと、あとは大事なのはアサーションっていう、伝えるべきもの。私は誰なのかっていうことをちゃんと伝える、言うべきこと。私もそうだし、私の会社もそうだし、マイミッションもそうだし、パスもそうだし、ファミリーでもいいし、マイカンパニーでもいいんですけど。それをちゃんと言語化して伝えるっていうことを準備しておかないと、突然言われてもわからないですよね。「Wdoinfure」って言われても、「いや」って。コンテンツ不足です。
だからこれ、多分日本だとあんまり言わなくてもいいからなんですよね。そんなに聞かないじゃないですか。「What is your dream?」って。
そうですね。なんだったら「あの人ようしゃべりはりますな」ってなってしまうかもしれないですね。
そうですよね。だからあんまり政治の思想なんか語ろうものなら、なんかちょっと面倒くさい人だなって思う人もいるかもしれない。そこは特に日本を飛び出すと、英語が上手っていうのは誰も期待していなくて、how you speakじゃなくて、what you speakの方が面白がられる。面白い人だな、面白いこと考えてるなっていう方が、グローバルは大好きで。上手だなは、別にそういう人はたくさんいるので。
英語が上手だなっていう人には、グローバルはあまり引きつけられないんじゃないかなって思うので、とにかく自分が何者かもそうだし、自分は何ができるのか、何をしたいのかっていう、自分なりの主義主張っていうのをちゃんと自分でストックで、引き出しにずっと入れて、いつ何時言われても出せるような状態にしておいてあげなきゃいけないなって。クラスの中では私が逆にインタビューして、私がまとめてあげて、それをコンテンツとして持っておきなさいと。ストックとして弾丸のように貯めておいて、いつでもいいような状態にしてあげるっていうのは、アサーションの方で。
だから思考の枠組みも違うよっていうのは知らなきゃいけないし、揃えておくべき品数というか種類も違うよっていうのも知っておかなきゃいけない。
そうですね。思わぬところで、やっぱり興味を持たれるわけですよね。「天皇の存在っていうのは何なんだ」っていうのは普通に聞いてくるわけじゃないですか。日本人としてそれ、きちっと答えてあげなきゃいけないなとか。「日本の国としての良さは何なんだ」って言うと、さっきの日本人の良さが発動してしまって、「いや、大したことないんですよ、日本なんて。最近本当に高齢化で少子化で、もう本当に経済も沈んでるし、ああでこうで」って、ははって笑うんで。自分の国を卑下しておきながら笑う変な人っていう。
そう見えちゃうっていうことですよね。
逆に言うと、他の国の人たちっていうのはものすごく「I am proud of my country. Proud of my culture, history.」じゃないですか。そうすると、ものすごく自分の国に対して、いい意味でも悪い意味でも誇りを持っていて、ものすごくたくさん主張してくる時に、日本人、聞きに回っちゃうんですよね、やっぱりね。だからみんなそういう前提だよっていうところですね。
そうですね。あとはレスポンシブネスっていう、とにかく反応速度が遅いので、反応速度を上げるための訓練をしますと。あとはアーティキュレーションって言ってるのは、pronunciation、発音というふうに訳されてますけども、例えば赤ちゃんが……もpronunciationなんですよね。別にどんな発音でも。アーティキュレーションっていうのは明瞭に発音することなので、例えばRが多少舌を巻けてなくても、Tがなくても、きちんとそれが明瞭に伝わってれば、それでいいっていうことじゃないですか。
だからその発音っていうことに近づけていきましょうね。ロジックの話もあんまり難しい話をしてなくて、基本、頭の中ってアングロサクソン系と言ったらいいんでしょうかね、英語を母国語としてしゃべる人たちって、3つの型でできてるんですよ。1つはもうロジックツリーができてると。ちっちゃな子が「Mom, I don't want to go to school today because of the reasons following. Number one…」「お母さん、今日学校に行きたくないの、以下の3つの理由により」。
その年齢で。「I hate PE.」体育が嫌いだから。「I hate Bob.」「I feel…」ちょっとsickな感じがすると。そうするとお母さんが「No」。そんなの全然選択肢に入りませんよ、だって私があなたに学校に行けって言ってるんだから行きなさいっていう、こういう会話があるんですよ。
子供が「学校に行きたくないの、以下の理由3つです」と言わないですもんね。大学生でようやく出会う感じですね。
そうですね。だからロジックツリーっていう、1つの要素があった時に、それはどういう要素ででき上がっていって、それが第1階層、第2階層、第3階層で。それが演繹法、帰納法っていう言葉を使わなくても、小さい頃からそれができ上がっていて。それが定量的に言う。綺麗だね、美しいね、素晴らしいねじゃなくて、「今日はおそらくこの営業の成約確度っていうのは50、maybe 60%」って言うんですよね。
そして、じゃあrest、40%は何だっていう議論が始まって、「意思決定者に会えてないからです」とかいう議論なんですけど。「良かったです、営業」「そうか、良かったな、お疲れ」っていうのは、あんまり成り立たないんですよ。日本では成り立つんですけど。
あとはマトリックスっていう、組み合わせが必ずありますねっていうやつですね。あとはギャップっていう、我々コンサルタントってギャップ追求するんですけども、お客様に「どうされたいですか」っていう質問をするのと、「今どんな状態ですか」。今どんな状態ですかっていうことと、どうしたいですかっていうことが明瞭になってないと、ギャップがないわけですね。
ギャップがないってことは悩みがないので、「来ないでください」ってなっちゃうんですけど。我々は、今の状態っていうのとどうありたいかっていうことを常に考えて、その間に何をすべきか、実は人生もそうやって考えていく癖を持ってるので。「今、私はこうで、こうなりたいんだよね。それに足りないのがABCDEFGですね」って考えていく。人のリソースなのか、物、金、情報、技術、時間、何なのか。自分で制御できるものはこれ、制御できないものはこれって、なんとなく考えていくのが癖になってる人たちとお話をしなきゃいけないのは、もうもはや英語の問題じゃちょっとないよねっていう。
これがない時に、インストールする前に闇雲に勉強してもっていうことになってしまいますよね。
そうですね。これ一緒にってことなんでしょうね、きっとね。あとは日本人の起承転結があるんですけども、ドラマチックにして、「あのさ、昨日ね、こうでこうでこうで」。「Your point?」って思うんですよね。ヘッドラインファースト、まずヘッドライン、見出しをちょうだいって。私これ、人に言ってますけど。
相当そういう癖のついてる人間だと思ったんですけど、やっぱりラジオの番組を始めた頃に、「見出し出せよ、ちゃんと」ってディレクターによく怒られて。「まず見出し」って。「あれ、俺、見出し力、英語話す時はできてるんだけど、日本語の時はダメなのかな」って思ったぐらいに。
見出し、英語では使ってらっしゃるとしても。
やっぱり日本語になっちゃうと、起承転結が、まず起こして、展開を作って、見事に美しくランディングさせるみたいなこと、ちょっと考えちゃうんですよね。
そう、さりげなく始めたいみたいなところありますよね。「家出たんだけどさ」とか。
そうそう。でもやっぱり英語っていうものっていうのは、全部が全部じゃないんですけど、ここでご覧になってる皆さん、大体ビジネスに関わってらっしゃる皆さんのところでは、まず結論は何かっていうのがあって、それはなんでなのか。だからヘッドラインファーストで、ilピッドidクションで話してねっていうのが基本的な考え方ですっていうことで、訓練としてこういう3つのことを。
どうやっていけばいいのかっていうところですね。
たのがこれでして、3分超訳っていうのは、皆さんいろんな日本語がここにあるじゃないですか。今ここに台本がありますけど、これを全部英語でしゃべって、今やってって言うんですよ。それでルールがあって、止まらない。止まるんだったら「Let me see」とか、「I don't know what to say」。何でもいいから、つなぎを埋めてって。とにかくこれが伝わればいいんだから、翻訳じゃないですよ。
そして私はプレイをするんですけど、すごい嫌な人になるんですよ。「What are you saying?」「What's your point?」って聞くんですよ。そうすると実はこれ、頭にものすごい汗をかきます。なぜかと言うと、パラレルタスクなんですよね。マルチタスクで、まず理解するじゃないですか。1、2、これを英語のロジックに転換する。3、英語にするっていうのが同時に動いて、プレッシャーかけられるんですよ。そう。
すると、その後に不思議なことに、これの英語版を見せるじゃないですか。もう1回英語で読むんですよね。もう1回日本語を見せるじゃないですか。覚えちゃってるんですよね。すごいストレスを受けたから。ストレスっていう感情と記憶が一緒になって覚えちゃってるので、なんとなく単語帳をじっと見て覚えたのとは違って、みんなショーンの顔を思い出すんですよ。「あの野郎、あの顔しやがって」っていう感情とくっついて記憶が起こっているので。
これ、でも家に帰ってやるのは無理じゃないですか。しかもネイティブスピーカーがいるの、大変じゃないですか。昔は大変だったんですよ。私がやってあげなきゃいけなかったり、「そういう人を探してください」ってあったんですけど。「頼む人いないな」みたいな。今、いるじゃないですか、チャットさんが。
プロンプトを入れてください。「あなたはとてもクリティカルな人です。批判的です。とてもニットピッキングします。重箱の隅をつつきます。あなたはものすごく重要なところ、せっかちです。そして今から私は手元にある日本語を英語でお話ししますので、聞いてください」って言うと、どんどん突っ込んできます。これが1人でできちゃうんですよね。
それはありがたいですね。
ありがたいです。これ、昔は本当に大変だったんですよ。1人でやってくださいって言ってたんですね。NHKのラジオ講座のテキストがとっても良くて、左に書いてる日本語を読んでやる。私に言うんですね。私はその内容を知らないです。分からなければ「何言ってんの?」。でもあなたは止まれないので、最後まで行かなきゃいけないですよ。最後の行まで行くと、もう本当にこういう状態なんですよね。
そして英語を見て、今度は英語を私に話すんですよ。「なんだ、こんな簡単な英語だったんだ」って大概思うんですよね。吸収率がわーって。「なんだ、こんな簡単な言葉で言えば良かったんだ」って思うわけですよ。
だから、さっき言ったhaveの時みたいな、「haveってこんなふうに使えるんだっけ?」。「栄枯盛衰、プロスペリティ……」ってなるじゃないですか。Things come and go。comeっていうのは近づいてくる、goは離れていく場所なんですね。ある目的地に近づくのがcomeで、離れていくのがgoなんですよ。物事はある場所に近づいて、ある場所って華やかな時ですよ。Things come and goで十分伝わるし。
すごい。
「なんだ、こう言えばいいんだ」って。多分もうThings come and goは一生忘れないですよね。っていうふうに、その訳をやらせるっていうのをやってましたと。
その訓練をやってるかどうかって大きいですね。
大きい。これはもう今日から皆さん全然やれるので。あと、定義練習とかとても大事で、定義をさせるんですよね。「山って何?」っていうのを英語で言ってって、実際に私、アメリカ人のグレード3、3年生の子にやらせてみたんですよね。さらっと答えるんですよ。
私、今これ、日本語でも厳しいです。「山って何?」。
そうなんです。「本って何?」って。大体、日本は「教養が」って始まってるんですよ。山って言うと、「woods、woods、animal、many animals」って、絶対「forest」って始まってしまうんですけど。英語でさっき、ピラミッドっていうツリー構造って言ったじゃないですか。山っていうものはどんな構造でっていうのが、自分でそれをやればやるほどロジック力がすごくついてくるんですよね。
これ、訓練ですね。普段使わない筋肉。
chairでもいいんですよ。tableでもいいんですよ。deskでもいいんですよ。これが一昔は英英辞典を使って、「答えを見てやってごらん」ってやると、「なるほど、こう言えばいいんだ」って。1つのことを一般化していくっていうことですよね。これをやって、やがてはちょっと概念的なこと。「教育とは」とか「仕事とは」とか、あるいは「政治とは」。最後の終着点は「あなたとは」っていうところに行くじゃないですか。「あなたの会社とは」っていうところに。
結局、それができると、さっきのロジック力を自分で作れるんですけど、これまた昔は英英辞典がいて、誰かに聞いてもらわなきゃいけない。
そうですね。
これ、大変だった。またいますね、あの人はね。
いますね。聞いてくれますね。
いますね。聞いてくれますよね。「今からあのことについて、僕はdefinitionをするので、let me try」でやってみる。例えば「山って何?」って言って、これは本当に小学3年生が答えた言葉だったんですけども、「Mountain is a large elevation of the earth's surface」。実際には「Mountain is an elevated part of the earth」って答えたんです。「It's higher than a hill」。山というのは地表が隆起した部分であります。丘より高い。以上。
確かに。
volcanoとか山とか、そんなことはないっていう。じゃあ「本って何?」。いろいろ出てくる。いかがわしい本もありますよね。
確かにそうですね。全てが……じゃないですよね。
Broaden your horizons。自分の視野を広げるだけじゃないやつも結構あったりしますもんね。っていうふうに、特殊性を排除しながら、ある種の一般化をしていかなきゃいけないっていう作業が伴ってくるんですよね。そうすると、本っていうのはprinted work。基本的に印刷物ですよね。連続した紙がまとめられた、bound together。
そうですね。
ってことは、いかがわしい本も入ってきますよね。
説明できますね。
考えていくと、自分の定義したいものを、より誰にも分かるように一般化していくっていうことをどんどんやって。私がこれを、定義っていうのを200問ぐらい、皆さんにchairから始まって、computerから始まって、何でもいいです。microphoneでも何でもいい。やっていくと、どんどん定義する力がついてきて、やがて何を聞かれても定義しよう、というのが定着してきて、やがて仕事とか。
じゃあ「英語力って何?」っていうのが今回のテーマですけども、ここで言ってるのは「English proficiency is the ability to achieve goals through English」。基本的には、あなたの目標を達成できれば、別にそれは英語として、それが英語力じゃないですか。単語を何単語知ってようが、どこの資格試験を持っていようが、何しようが、さっき言ったように機能していれば。「Expensive、small company、same royalty、no, no, no, no」って機能してればいいですもんね。
そうですよね。今の訓練をしてると、そのロジックツリーとかも頭に入るというか、もう機能するようになりそうですし、勉強しただけでモノクロだったボキャブラリーに血が通いそうだなって。
いいですね。もう血が通って。特に勉強してらっしゃる方であればあるほど、血が通るっていうのはまさに本当にそうで、アクティベートする、活性化する。非活性化していた、死んでいたとは言いませんが、本当に海水の下にあったものが上に上がってくるっていうのはありますね。定義をするとか、さっきの超早く即訳するっていうのはやった方がいい。最近のAIの登場は、もう先生の役割をものすごくやってくれますね。
そうですよね。
びっくりするぐらい。特にプロンプトで、「とにかく批判的になってください」って言ってあげた方がいいです。優しいじゃなくて。
入れます。
例えばさっきのロジックを転換していくっていう話。「ぶぶ漬け食べていかはりませんか?」「ええ時計してはりますな」とか、「お宅のお嬢さん、ピアノ上手ですな」っていうのを訳しなさいのと一緒で、こういうのをたくさんやらせて、ロジック転換っていうのをやってもらうんですよね。例えばレストランです。「フォーク落としちゃったんですけど」っていうのは、もう大体この流れなので、お分かりだと思うんですけど。
そうですね。だからですよね。
そうです。
そう言わないといけないですよね。
「これ、高すぎますよね」。ガイドブックに載ってます、ちゃんと。「Too expensive」。確かに高すぎますよ。Too expensive。
受験英語でおなじみのtooのあれね。too、形容詞、to、動詞で、「何々すぎて何々できない」。
できない。つまりtoo expensiveって言ってるのは、「高すぎて買えない」って言ったんですね。じゃあ来るなってことですよ。
何の報告ってなっちゃいますね。
じゃあ来ないでっていうことになるので、どういうふうに言ったらいいんだろうねと。あとは「あなた、日本語上手ですね」っていう。
言っちゃいますよね。
「私はとても日本好きです。ウナギがとても大好きです」。「日本語上手ですね」って言ってるわけですよね。これはどうするか。それから。
どうする?
どうするか。あとは「いつも、お世話になっておりまして」。
言いますよね。
って言いますよね。これ、外国人だったらどうするんでしょうか。「Thank you for taking care of……」なのか。「I……」なのか。お世話になっております、だからね、お世話してくれてありがとう。
直訳したらそうなる。
あと日本人が一番大好きな、「ぜひまた今度ね、ゆっくり、お願いしましょう。ぜひぜひ、じゃあまた」。
全然連絡取り合わないっていう。
これがロジックをするために必要な、外国人にこれって通用しないっていうことで、よくやってる1つの例なんですよね。もちろん、さっき言っちゃったように、箸を落としたんだったら、「Can I get another pair of chopsticks, please? Because I dropped them」。落としちゃったからですよね。それから高いんだったら来るなってことですよね。
買えないんだったら終了ですね。
終了。
終了ですね。報告いらないよ。
報告いらない。じゃあ会話にするためには、「It's a bit over my budget」。ちょっと予算よりオーバーなんだよね。「じゃあいくらよ、バジェットは。教えなさいよ。バジェットいくらなの?」「バジェットはね、そうだな、10ドルかな」。こう、ちゃんと交渉が始まりますよね。
交渉のスタートになれるのはこっちってことですね。
だからやっぱり、ここは日本人の大好きな学校英語が悪い意味で効いてきてるってことですよね。「あなた、日本語上手ですね」って、よく私、駅とかで、一生懸命外国人が「秋葉原行きたい。チケットはここで……」。秋葉原……。「I will tell you」って言って教えてる人がいるんですけど、おかしくないですか。日本語で喋ってるんですよね。実は日本語で良くない?
確かに。その方が嬉しいですよね。
なんでわざわざ「日本語上手ですね」って英語で言うんですか、こっちが。おかしなことじゃないですか。それから「お世話になっております」ってやつ。いろんな言い方があると思うんですけども。「He asked me to say hi to you」。「よろしくって言ってたよ」とか。「She's always been talking about you」。「あなたのこと、ずっとよく話してましたよ」って。「I heard a lot about you from……さん」っていうふうに変えないと。「お世話」って言うと、してないようになっちゃう。
介護になる。
介護。介護はちょっと極端かもしれないですけど、「世話したかな? 何したかな? もしかしてしなきゃいけなかった?」ってなる。
そっか。だからこれ、もう1対1だと思うとおかしいことになっちゃうね。
そうね。それから今度は「ぜひね、またゆっくり」っていうやつ。「ゆっくり」とか「今度」っていうのは出てこないので。基本的にはないので、概念として。「Let's sit down and talk sometime next week」っていう話で、これ、本当にごくごく一部の象徴的なロジックの違いの部分を、ちょっと変換しないと通じませんよっていう話でした。
面白い。
なので、直訳ではなくて、とにかく1つ、英語になるためのロジックを変えるっていうことをしないと。WindowsにMacのソフトウェアは入らないのと同じことで、MicrosoftのOfficeも同じものですよね。だからOSが違うという考え方の方が良くて、そこでロジックを変えないと通じないんだなと思って喋った方がいいってことです。
それを思えって言われてもなかなか難しいので、今みたいなロジックの違いが象徴的に発生するような日本語をたくさんお渡しして、英語にしてもらって、「こう言わなきゃ駄目なんだ」「こう言わなきゃいけないんだ」って慣れてもらっていくうちに、いよいよ日本国内にいても、ご自身でロジック転換ができるようになるのかなって思いますと。
ロジック変換がすごくうまくできて、素晴らしいなと思ったのは、good morningを「おはよう」って言ったことじゃないですか。なんで「いい朝」って言わなかったんですかね。「いい朝」でいいじゃないですか。「おはよう」って訳したのって素敵なことだ。Earlyじゃないですよ、英語は。でも、それはうまくできてるじゃないですか。
あと、転換が難しかったりするのは、このASAP、as soon as possible。「エイサップ」って言ったりしますけど、「please」とかって言ったりします。これは国柄によって、このASAPがだいぶ違いますよ。例えばこの番組のことでも、プロデューサーから「ちょっと大至急で今日の台本チェックしてもらって、コメントもらっていい?」って言ったら、どのぐらい後ですか、大至急。
私、5分後とかにやりたくなります。大至急ですよね。
大至急。
すぐやります。
すごい日本人ですよね。これがアメリカ人だったら2日か。イタリア人に怒られるかもしれませんけど、実際に私に起こったことなんで、2か月でした。なぜかというと、「どうしたの、あの件」って言ったのに、そのASAPの間に彼、バケーションが入っちゃったんで。一応バケーションを抜くと、これASAPなんですよ、くっつけると。
すごい。
いやいや、そういうことなのね。だから定量的って言ったのは、ASAPっていうのは日本人大好きで、as soon as possible大好きなんですけど、あんまり多用しなくて、「within 24 hours」「within 10 hours」って言ってあげないと分からない。それがグローバルなんですって話でした。
要は、日本人の、あるいは日本語、あるいは日本文化がいいとか悪いということではないですと。それはそれで日本の文化として、ちゃんと尊ばれるべきものだし、それはいいと思います。ただ一歩出ていく時に、そうじゃないんだなってことを持っていただきたいってことでお話をしたっていうふうに、ご理解いただければなと思います。
ありがとうございます。こうやっていいんだなっていうのは、すごく実感が湧いてきたんですけれども、真面目に学んでるけどちょっと自信がないよっていう方に向けて、最後に何かショーンさんからメッセージがあればいただければなと。
ぜひやってみてください。やってみてくださいっていうのは、昔は無責任に言えなかったんですけど、今は生成AIがいるじゃないですか。その定義っていうことも、本当に小さいところから。今この番組が終わってからでも、「テレビって何?」「ディスプレイって何?」から始まって、身近なものから始まって、どんどん概念に行っていって。多分やっていくうちに、チャットさんからいろいろ言われますよ。「それじゃ分かんない」って。ぜひやってみていくと、だんだん自分の感度みたいなものが見えてくるんじゃないかなって思います。
ありがとうございます。本日は貴重なお話、どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
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