「手元で曲がる変化球は存在しない」――打者の視点から見た球の軌道と、山本由伸が打たれにくい理由
PIVOT 公式チャンネルPIVOT BASEBALLのこの回では、セイバーメトリクスを専門とするDELTA社長の岡田友輔が「手元で曲がるボールは存在しない」というテーマでデータを紹介した。元ヤクルト監督の高津臣吾、スポーツライターの西尾典文、元NHKアナウンサーの西川典孝が議論に加わった。岡田は、物理的には変化球は投げた瞬間から曲がり始めていると説明する。そのうえで、それでも「手元で曲がった」と感じるのはなぜかを、打者の視点から解き明かそうとした。
変化球は最初から曲がっている
テーマを聞いた西川は、自分は実況で「手元で曲がった」と何度も言ってきたが、それは間違いだったのかと反応した。
岡田が根拠として挙げたのは、メジャーリーグの分析の土台を築いた物理学者アラン・ネイサンの知見である。ボールは投げた瞬間から曲がっており、変化量は少しずつ大きくなっていく。曲がり方は途中で多少変わるものの、ある地点で急に「グッ」と曲がることはない。グラフにすれば、途中で折れ曲がるような軌道にはならないという。
出演者の一人は、フォークは途中から急に落ちるように見えると疑問を出した。これに対し、横から見れば急な変化にはなっていないことが分かるが、打者からはそう見えていないのだろう、というやり取りがあった。
「手元で曲がる」と感じる理由① 遠近感
岡田は、打者が手元での変化を感じる理由を二つ挙げた。一つ目は遠近感である。ボールが投手の近くにある段階では変化量が小さく、しかも遠くに見えるので変化が分かりにくい。ボールが打者に近づくにつれて実際の変化を感じ取れるようになるため、急に大きく曲がったように見える。
「手元で曲がる」と感じる理由② 斜めの視点
二つ目は、斜めの視点が軌道の見え方を変えることだ。中継のセンターカメラは投球をほぼ真正面から映している。一方で打者は、打席から斜め上の角度でボールを見なければならない。そのため、視聴者が感じる軌道と打者が感じる軌道はまったく違う、と岡田は説明する。
真正面から見れば、スライダーやスイーパーは横へスライドしていくように見える。しかし右打者の視点では、外へ逃げていく横の変化が「奥行き」の変化に変わってしまう。曲がっていても、ストレートと同じ線上で前後に位置がずれているだけのように見え、両者の軌道が重なってしまうのである。
具体例として、岡田は大谷翔平のストレート(赤)とスイーパー(薄い黄色)の軌道を右打者の視点で示した。軌道の途中には、打者が振るかどうかを決めるポイントが点で示されている。ここで振り始めないとバットが間に合わないという地点だ。捕手の後方から見れば両球種の違いは明らかだが、右打者の視点では、この時点でストレートかスイーパーかを見分けられない。視点を片側から手元に近づけていくと、横の曲がりが奥行き方向に圧縮され、本来は曲がっている球がストレートと同じような位置に収まって見える様子が示された。
打者の構えの高さ、つまり背の低い打者や低く構える打者なら違うのかという質問も出た。岡田は、打者はホームベースの片側から斜めに見るしかないので、高さはあまり関係ないと答えている。比較対象として、正面から見る球審との違いにも触れられた。
左打者には同じ球がまったく違って見える
視点を左打者に移すと、見え方は大きく変わる。同じ大谷のスイーパーでも、左打者からは投げられた直後から曲がる球だと分かる。出演者からは「さっきとデータをいじっていないのか」と確認が入るほどの違いだった。岡田は、左打者が「見やすい」と言うのはまさにこの軌道の差によるもので、球種を判別しやすくなるためだと説明する。
出演者の一人は、右のサイドスロー投手は左打者に打たれやすく、左打者を抑えるにはスライダーだけでは厳しく逆方向に曲がる球が必要だ、とよく言われる話を持ち出した。岡田はこれに応じて、シンカー(オレンジ系の軌道)を示した。左打者から見るとストレートとほぼ同じ軌道に見えるが、到達点は違う。軌道の面から見れば、左打者にとってはこの球の方が見分けにくく厄介だという。岡田は、投手が右打者と左打者で球種の割合を変えるのは、こうした見え方の差も一因だろうと述べた。
投手は打者から見た自分の球を知らない
高津の反応は、投手ならではのものだった。投手側から見た「曲がった」「落ちた」という軌道はよくイメージできる。しかし審判や打者の視点からの軌道は見たことがなく、まったく分からなかったという。現役中はずっと自分のシンカーを見てみたい、捕手として受けてみたいと思っていたそうだ。投手にはそう言う人が多いという話も出た。
岡田は、それが今はできるようになっていると説明する。打者にとってどう見えているか、どんな変化なら見えにくいか、どの球があると打者が苦しくなるかを可視化できる。そうした機能を持つマシンもあるという。高津は、打者にこう見えていると分かるだけでも大きいと話した。そうすれば「もう少し腕を下げたらどうなるか」といった発想が生まれ、納得して取り組めるので「多分うまくなる」と述べている。
岡田によれば、現在は投手が裏方のアナリストと相談しながら、変化をこうした方がよいという方向で改善を重ねている。山本由伸がシンカーやカッターを加えたのも、その改善の一環だろうと岡田は見ている。
軌道以外の情報――癖とリリースポイント
一方で、手元で曲がるように見える投手もいれば、早く分かってしまう投手もいる。これについて岡田は、軌道が最初から違うことに加えて、別の要素もあるとした。リリース前の手の出方、リリースポイント、癖といった情報である。プロの打者はこれらから「この球が来るのではないか」と予測している。今回のデータは投げられたボールだけのものだが、投げる前の情報はスコアラーやスカウトが目を凝らして違いを見る部分だ。それが軌道の情報と組み合わされば、打者は球種を確信して打てる可能性が高まる。岡田は、シーズンを通じてこうした駆け引きが続いていたのだろうと述べた。
山本由伸の球種は打者からほぼ区別できない
続いて、山本由伸の全球種を打者視点で表示した。球種は4シーム、スプリット、カッター、シンカー、スライダー、カーブである。画面を見た出演者から「何これ」と声が上がった。カーブ以外は、打者からはほとんど見分けがつかない。
カーブだけは判別しやすいが、岡田はこれをタイミングをずらすための球と位置づけている。カーブ以外の球種は、どこで、どちらに曲がるかが分からない。
捕手視点に切り替えると、各球種がストレートに対してどれだけ変化しているかがはっきりする。打者視点ではほぼ同じ軌道に見えていた球が、ストレートのつもりで振ると大きくずれる位置に到達している。岡田はコースにも注目を促した。4シームは真ん中のやや高めに集まり、変化球はゾーンの中の良いところに投げ分けられている。右打者がストレートだと思って振れば、実際には別の球種が来ているという状態になる。出演者は、あの位置からアウトローに来るスライダーや、カーブの落差の大きさにも驚いていた。
左打者にとっても見にくさは同じだという。カーブは比較的分かりやすいものの、それ以外の球種はストレートと非常によく似た軌道をたどる。岡田は、判別しようとしても非常に難しい投手であることがこのデータから感じ取れるはずだと述べた。
これを受けて西川は、野球をやったことがない人は「なんで打てないんだ」「なんであんなワンバウンドの球を振るんだ」と思うかもしれないと話した。しかしこれを見れば仕方ないと分かるはずだという。高津は「あと30年早く出してくれたら、もっとうまくなれたと思う」と笑った。
高津と潮崎のシンカー、そして「威力型」の投手
話題は高津自身のシンカーに移った。出演者の一人は、当時の高津のシンカーと潮崎哲也のシンカーは非常に特殊だったと振り返る。潮崎のシンカーは一度浮き上がってから落ちる昔のドロップのような変化で、高津のものは変化が比較的小さかったという。高津は、自分の球はオフスピードの性質が強く、「来そうで来ない」球だったと述べる。打者がストレートだと思っていると、ボールが来ずに落ちるという性質である。
岡田は、抑え方はこれだけではないとも指摘した。ボールの威力だけで、同じコースに投げ続ければ抑えられる投手もいる。スキーンズらがその例として名前が挙がった。コントロールがそれほど良くなくても威力で抑えられる投手もいれば、山本のような抑え方もある。出演者からは、江川卓が高校・大学時代に全力で投げればバットに当てられなかったと語っていた話も紹介された。そうした投手はこうしたことをあまり考えないのでは、という問いに、岡田は威力だけで勝負するタイプも十分いると応じた。
ナックルは「別次元」
ナックルはどうなるのかという問いに対し、岡田はナックルは絶滅しかけていると前置きしたうえで、軌道で勝負する球ではないと説明した。無回転のボールを状況に合わせて投げるもので、来た球がどう変化するかは投手自身にも分からない。コントロールできないことで勝負しているような球なので、今回の議論とは別次元の話になるという。
データ野球の時代だからこそ、データが当てはまらない投手が無双するのではないか、という声も出た。これに対し岡田は、ナックルは投げてみないと分からない球だと述べる。むしろ今の投手は、自分の投球の再現性が比較的高い。どういう球をどの程度コントロールして投げられるかを把握する方向に、どんどんシフトしているという。
岡田はさらに、指導の変化にも触れた。以前は「ストレートは外角低めに」と一律に言われていた。今はボールの特性によっては高めに投げた方がよい場合もある。自分の武器をどこに投げれば最も打者を抑えられるかという研究が広まり、投手それぞれの持ち球に応じた使い方や育成ができる時代になっている、と岡田は述べた。
「手元で曲がる」という感覚は間違いではない
改めて「手元で曲がる球は存在しない」と言われても、出演者たちは「でもそう見える」と食い下がった。スカウトもよく「変化が早い」と言うし、「キュッと曲がるスライダー」「ドローンと曲がるスライダー」という表現もある。
岡田はその感覚は間違いなく正しいと認めた。打者は途中まで同じ軌道として認識しているため、突然変化したように感じる。それを実現できていることこそが投手の技量だ、というのが岡田の整理である。ただし物理的に見れば、急に曲がっているわけではない。
ABSの判定精度は誰が高いか
最後に岡田は、視点に関わる話題としてABS(自動ボール・ストライク判定)の成功率を紹介した。最も確率が高いのはボールに一番近い捕手だった。打者は斜め上からの視点なので確率が下がり、投手は距離が遠いため最も低い。岡田は、ストライクゾーンの判定に関しては、フロントは投手になるべく任せたくないと考えているだろうと推測した。
一方で、捕手でも数字は58%程度にとどまり、出演者からは思ったほど高くないという反応が出た。投手側の話としては39%という数字も挙げられた。高津は、投げる側は「今のはストライクだったのでは」と思うものだと話し、自分に有利なように、ボール半個ほど広いゾーンで見ていたと笑った。
ボールカウントによる判定の偏りも話題になった。3ボールからはゾーンが広がり、2ストライクからは狭くなる傾向がデータにも表れていたという。岡田によれば、これは審判の評価システムが整うにつれて減ってきており、ロボット審判の割合が高まればさらになくなっていくだろうとする。
高津はプレー経験のある韓国の例を挙げた。韓国では判定がすべてABSなので、審判は機械の判定をそのままコールするだけだ。フレーミングが意味を持たないため、「今のがストライクなのか」と思うような捕球でもストライクになる。打者は文句を言えず、ロボットがストライクと言っているのだから自分の見方が間違っている、と受け止めるしかないという。
番組の最後に岡田は、今シーズンの日本人選手は歴代でもトップクラスの活躍を見せたとして、日本の野球界にとって非常に良いシーズンだったと述べた。
手元で曲がるボールは存在しない。手元で曲がったとかって実況コメントでめちゃくちゃ言ってましたよ。これ変化早いなとかよく言ってますよ、スカウトの人とかも。
解説中だな。そうですね。皆さんがなんでそれを感じるのかっていうところが、斜めの視点ですね。
山本投手とかが出せますかね。ちょっとでいいと思う。うわ、何これ? 野球やったことない人が、なんで打たないんだよとか、打てないんだよって。そうですよね。こんなボール球、なんでワンバンするんだよとか思いますけど、これ見たら、それはしょうがないよねっていう形になると思うんですよね。
なんだよ。新常識です。俺の今までは。これABSの成功率だと、やっぱり近くにいるキャッチャーが一番確実ですね。野球面白いですね。うまくなるな、これは。
岡田さんからまた新しく、これはPIVOTのデータ、野球らしいデータを持ってきていただきました。岡田さん、まずテーマは何でしょうか?
手元で曲がるボールは存在しない。だって手元で曲がったとか、僕、実況コメントでめちゃくちゃ言ってましたよ。これ間違いだったんですね。解説中だな。そうですね。ちょっとこれ見ていきましょうか。お願いします。
これ、物理学者のアラン・ネイサンっていう、すごい有名なメジャーリーグの根本になるような分析をやってる方なんですけど、物理的なボールの軌道っていうのは、基本的にボールを投げた瞬間から曲がってますよと。変化球っていうのは、だんだん徐々に変化量が大きくなってきて、突然手元で曲がってるように感じるんですけど、物理的な現象で言うと最初から曲がってて、その曲がり方が若干変わってるんですけど、少なくともいきなりグッと曲がることはないですよっていうところが。グラフで言うと、こう来てカクッみたいなのはない。
そうなんですよ。あれ、フォークってなんかこんな感じじゃないですか? でも横から見てるとこれ分かるんです。結構、ボールはこうはなってないんで。でも多分、バッターからはそう見えてないような気がしますね。
皆さんがなんでそれを感じるのかっていうところが、打者の視点なんですね。一つは遠近感ですね。基本的に変化量っていうのは、ピッチャーが手を離れたあたりは変化量が小さい。あとは遠くに見えてるんで、その変化が分かりづらいですよっていうところになるかと思うんですね。逆に手元に来れば来るほど、先ほど話した変化量を実際感じることができるんで、急に大きく変化したように見えるというところです。結果として、その変化球が手元で曲がったように感じるっていうところは一つです。
それに加えて、斜めの視点が軌道を変えて見せると。僕ら、中継を見てると、センターカメラを見て、真正面から見てるわけですよね。ただバッターは、言ったら斜め上からボールを見なきゃいけないんで、僕らが感じてる視点とバッターが感じてる視点っていうのは全然違いますよっていうところになるかと思うんですね。球審の正面から見ると、そのまま横にスライドして見えるんですけど、右打者の視点からすると、外へ逃げるスライダーとかスイーパーみたいな球っていうのは、これ奥行きに変わっちゃうんですね。先ほどの軌道で言うと、ストレートの軌道と同じように、前にあるか後ろにあるかっていうところで、同じような軌道に見えてしまって。
そうか。だから軌道的には早めに曲がってるのが、奥にボールがあるように。そうです。審判さんはもう正面に来るからというのと、ちょっと斜め上から見てるバッターとの違い。そうですね。こう見てくれば違うってことです。違いますよね、確かに。
右打者の視点から見ると、速球に近かったりとか、直進する軌道にすごくスライダーとかスイーパーは似てまして、これが球審の視点だと普通に曲がってますよ。二つの球種を判別できるかと思うんですけど、これちょっと右側にしていただくと、こう重なると思うんですよ。こういったところで、ストレートとスライダーとかスイーパーが見づらくなってるっていうところなんですね。
それを実際に、次のスライドで右打者の視点ではどうやって見えてるのっていうのが、こちらになります。なるほど。赤がですね、薄い黄色がスイーパー、大谷選手のスイーパーになってるんですね。ここの真ん中に、ちょっと点々があると思うんですけど、あそこがバッターが振るかどうか決めるポイントなんです。この時点で振らないと、もうバットが間に合いませんっていうところで。こうやって見ると、右の正面だと軌道が違うのは分かるんですけど、右バッターの視点から見ると、大谷選手のこれ、ストレートかスライダー、スイーパーか分かんないですね。
肩口から手元へ近づいて、斜めの視点、まさに右バッターからの視点になると、やっぱり横の曲がりが奥行きに圧縮されちゃうんですね。こう曲がってるはずなんですけど見えない。それがストレートと同じところの奥行きのところに。本当は曲がってきてるんですけど、でも同じに見えちゃう。真正面だったら、もう明らかに曲がってるなっていうのが分かるってことですね。
そうですね。球審もある程度腰をかがめてるから、この高さで見えるっていうことですね。バッターも結構低い人がいたじゃないですか。ああいうのはあんまり関係ないですか?
あんまり関係なくて、ここはやっぱり斜めから、どうしてもホームベースのこっち側から見なきゃいけない。こっちから見るわけじゃないからね。こっちからですからね。そうですね。マジ違う。
ただこれが、視点が変わると本当に見え方が劇的に変わる。左バッターだとどうなるかっていうと。あ、見えるんだ。左だと、このスイーパーの軌道が全然違う視点で見えちゃうんで。面白い。一緒ですか? さっきの、ちょっといじってない? 同じです。ちょっと違うやつじゃないですか、本当に。
左だと、もうスイーパーは投げられた瞬間に理解ができるわけですね。やっぱり見やすいって皆さんおっしゃるのは、まさにこういうボールの軌道で球種をより判別しやすくなるっていうところは一つあって、大谷選手のスライダーでも、やっぱり右打者と左打者だと、どうしても見え方が全然違いますよっていうところにはなると思うんですね。
よく僕が聞くのは、高津さん、まさに右のサイドです。左バッターには、やっぱりスライダーだけだと厳しいみたいなこと、絶対言いますよね。左の方が見やすいってよく言われる。だから逆方向がないと。結構、右のサイドのピッチャーは左バッターには打たれるみたいなこと言われるんですけど、やっぱりこれが。
そうですね。これ逆に、これシンカーになるんですけど。ちょっとオレンジっぽいやつ。そうです。これがまさに左バッターに対して有効に。そうですね。これ、軌道はほぼ同じように見えて、到達点を見ていただくと違うってことです。こっちに来てるわけですね、左から見ると。左バッターに関して言うと、軌道面から見るとシンカーの方がより厄介、判断が難しいっていう。同じに見えやすいのが、こっちのボールってことですね。
やっぱりそうなんだ。ピッチャーが右バッターと左バッターで球種の割合を変えるのは、まさにこういったところも一つ影響してるんだろうなっていうところにはなると思います。
でも僕、ピッチャーじゃないですか。だから今、審判さんの目線とバッターの目線の軌道を見たじゃないですか。全く分かんないんですよ。見たことない。こっちから、ピッチャーサイドから、こう曲がったとかっていう軌道はすごくイメージできるんですけど、こっちの球を見たことがないので。だからずっと、自分のシンカーをキャッチャーで捕りたかったなと思って。どういう変化した?
ピッチャーの方、そうやっておっしゃいますよね。自分の球を一回受けてみたい。それができたら、もっと、もうちょっとこうした方がいいんじゃないかとかっていう。あれが今、もうできるんじゃないですか?
できる。まさにそれでできて、バッターにとってどういう球が来て、このピッチャーが来てるから、ピッチャー側にこれがあるとさらにいいよとか、こういう変化したらより難しいよって。これが見えやすいよ、見えにくいよとか、こういう変化で見えてるよ。しかもこれが来たら、バッターちょっと厳しいよねっていうのが、より可視化できる。実際にできるマシンとかもあるんですよね。そうですね。なんかありますね。
投げてた側からすると、さっきの軌道っていうのは新鮮な感じなんですか? そうですね。バッターってこういうふうに見えてるのかって分かっただけでも大きいですよね。じゃあもうちょっとこうしてみようかとか、もうちょっと、なんていうんかな、腕を下げた方がどうなのかとかっていう発想になるかもしれないですね。より納得を持って自分で取り組めますよね、その方がね。そうですね。多分うまくなるな、これは。本当に。
今これをまさにピッチャーたちが自分で、裏方のアナリストさんたちと話してるんで、劇的にボールの変化だったりとかを、こうやった方が絶対いいっていうような形で、どんどん改善をしていくんですよ。その改善の一環で、多分山本投手とかも、先ほどのシンカーだったりとかカッターを加えたりっていうところですかね。
でも、どう見ても手元で曲がってるように見える人と、もう早く分かるみたいなのがいるんですけど、やっぱりそこはもう軌道が最初から全然違うってこと?
これは、あとはこの軌道だけじゃなくて、おそらく事前の手の出方だったりとか、位置だったりとか、あとは癖だったりとかは、多分プロの方の視点はプラスであって。分かって、これが来るんじゃないかっていう予測をしながら、投げられて、やっぱりそうだって打たれるっていう形はあると思うんで。ここはあくまで投げられたボールのデータでしかないんですけど、その前の、ボールを投げる前までの癖だったりとか、リリースポイントだったりとかっていうところはある。そこはもうスカウトさんたちが、すごく目を凝らして違いを見るところだと思いますんで。
しかもその情報がこれと合わさると、よりバッターはこのボールだって確信して打てる可能性が高まりますんで。こういった戦いが、おそらくずっと高津さんも含めて、シーズンでずっとやられてたんだろうなっていうところにはなるんですね。
フォークボールとか、明らかに途中から落ちてるようにバッター目線から見えますけどね。そうですね。山本投手とかが出せますかね。ちょっと線でいいと思う。何これ?
これ見ていただくと分かるんですけど、カーブ以外の山本投手の投球って分かんないですよね、これ。これ何種類あるんですか、ちなみに? これですね、フォーシーム、スプリット、カッター、シンカー、スライダーですね。考えると、やっぱりカーブが一番判別しやすいですね。カーブはもうそういうボールですよね。これは逆にタイミングをずらすボールなんですけど、軌道に関して言うと、どこでどういう軌道で来てるか。どっちに曲がるか分からない。
これキャッチャー視点にしていただくと、より分かるんですけど。これがストレートに対して、ボールがあんだけ変化してるんですよ。ストレートで振ろうと思ったら、あんなに変化してるんですね。なるほど、結果的にこんだけ。そうですよ。フォーシームが赤ですよ、真ん中の高めです。だから下の五球種については、さっきのバッター視点だとほぼ同じ軌道に見えてたって。バットを振るとこんなにずれてる。
しかもコースを見ていただきたいんですけど、フォーシームはちょっと高めに来てるんです。言ったら、バッターが打とうって思った時に、変化球がそのゾーンのいいところに行ってるんですね。全体の平均ぐらいになってるんで、こうやってロケーションされてるんで、本当に相手バッターからすると、右バッターに関しては、もうストレートで振ったら全然他の四球種、五球種が来てますよっていうところになっちゃうんですね。
スライダーとか、あんなアウトローに来るんですね、あの場所から。そうなんですよ。カーブの落差もすごいですね。そうですね。カーブは本当に、そういう意味ではタイミングをずらすっていうところも含めて、そういったボールも一個ありますよっていうところで。これ右バッターに対して厳しいなっていうところと、左も見にくいんですね、これ。
左もですね。カーブは比較的まだ分かりやすいかなって思うんですけど、ただそれ以外の球種に関しては、ストレートとすごく似通ってたりするんで、やっぱりそのボールを判別しようとすると、なかなか難しいボールなんだろうな、ピッチャーなんだろうなっていうのは、こういったところから感じていただけるんじゃないかなっていうふうに思います。
うわあ、これ野球やったことない人が、なんで打たないんだよとか、打てないんだよって。そうですよね。こんなボール球、なんでワンバンするんだよとか思いますけど、これ見たら、それはしょうがないよねっていう形になると思うんですよね。野球面白いですね。あと三十年早く出してくれたら、僕もうちょっといけたかな。もっとすごいうまくなれたと思いますよね。そうそう。
自分のあれも見たいな、シンカーも。高津さんのシンカーでも、本当に特殊だったと思う。当時の高津さんのシンカーと潮崎さんのシンカー、めちゃくちゃ特殊だった。でもね、潮崎のシンカーは本当に一回上がってたみたいな。ピンって上がって、こう。本当に昔のドロップのような変化して。高津さんのは割とちっちゃかったじゃないですか。
僕のはね、どっちかっていうとオフスピードが強かったと思うので、来てそうで来てないボールだった。多分バッターからしたら、ストレートだと思ってたら、ボールも来ないし落ちるみたいな。そうですよね。
あくまで抑える一つの方法で言ったら、ボールの威力だけで同じコースにずっと投げ続けるだけでいいピッチャー。確かにそうか。スキーンズとかミジオロウスキーみたいなのは、多分それだけですね。そうなんですよ。コントロールが良くなくても、もうボールの威力だけで大丈夫、いいよっていうピッチャーもいれば、こういう山本投手みたいな抑え方もあったりするんで。
でも江川さんとか、高校の時とか大学の時とか、自分が十の力で投げたらバットに当てられなかったみたいなことをおっしゃってたんで。でもそういう選手は、あんまりこういうこと考えないんでしょう。そうですね。ボールの威力だけっていう選手も全然いると思いますんで。
これナックルはどうなるんですか? ナックルはですね、もう絶滅で。ああ、いいね。これは軌道とかじゃなくて、それこそボールの威力で勝負するタイプっていうふうに思っていただいた方がいいと思うんですね。
威力なんですか? その時の風とか湿度とかいう。もちろんそういうことでも、言ったら無回転のボールをその状況に合わせて投げるんで、もうこの軌道とかじゃなくって、来たボールがどう変化するかって、本当に分からないですよね。コントロールできないところで勝負してるぐらいのボールなんで、もうナックルとか、ちょっとここだと別次元の話になっちゃうだろうなと思います。これには当てはまらない。
今、ナックルボーラーってもういないですよね。そうですね。なんでなくなっちゃうんですかね。難しいんじゃないか。投げるの難しいですけどね。でも、これだけデータ野球になっていったら、むしろ無双する人も一人ぐらい出てこない? 当てはまらないというデータ。俺のデータはないぞ、みたいな。
ナックルだったら、投げてみないと分かんないよじゃないですか。逆に言うと、ピッチャーは比較的自分の投球に関して再現性があるんで、こういうボールを投げて、こういうボールはある程度自分でコントロールして投げられて、このぐらいの投球はできるっていう方に、どんどん今シフトしてる感じ。そういうことね。そういう教えもいいかもな。結局はいいところに投げなさいと。
そうですね。しかもボールの質に関しても、データで出るようになってますんで。確率を上げなさいって感じですね。昔だと、いいコースに投げなさいっていうのも、外角低めに投げなさいってストレートでは言われてましたけど、ボールの特性によっては高めに投げた方がいいですよとか、バッターを抑えるための自分の武器が、どこに投げたら一番いいかみたいなところの研究もかなり広まってきてるんで。ピッチャーそれぞれの持ち球によって、最適な抑え方だったりとか、育成の仕方が今できてる時代になってると思うんですね。すごい時代ですね。
手元で曲がる球は存在しないというお題で見てきたんですけど。新常識です。俺の今までは。でもそう見えますけどね。そうですよね。変化早いなとかよく言ってますよ、スカウトの人。スライダーに角がねえな、みたいな。キュッて曲がるスライダーとか、ドローンと曲がるスライダーとか、そう見えますけどね。
そこは間違いなく、その感覚は絶対正しくて。ただそれは、途中まで同じ軌道で認識してるから、突然ボールの変化っていうふうに感じてるだけで。それは逆にピッチャーの技量として、まさに実現できてるっていうところですよね。ただ物理的に見るとそうじゃないってことですよね。そうですね。
あと視点で面白いところで言うと、このABSの成功率を見ていただくと、やっぱり近くにいるキャッチャーが一番、確率が高いですね、これ。そりゃそうだよね。バッターもやっぱり斜め上からの視点なんで、どうしても確率は下がっちゃいますし。これピッチャーが一番。ピッチャーはやっぱり遠いんで、ストライクゾーンに関しては基本的にメジャーのフロントの人は、ピッチャーになるべくそこはやらせたくないっていうふうに思ってるんだろうなって思いますね。
面白いですね。でもやっぱり、それでもキャッチャー58なんだ。受け止めとしてはそんなに高くないですか? そうですね。もっと確率高いのかなと思いましたけどね。
昔、なんかのデータで、ノーストライク、三ボールからになるとストライクゾーンが広がって、もうツーストライクになると狭くなるっていうのも、データであるみたいな部分ですよね。やっぱりあるんですよね。あります。あれはもう本当に、このABSとか、球審の評価システムが確立されて、どんどんなくなって。昔あったんですよ。
今でも現場で見てても、やっぱり三ボールからだと、ちょっとボール臭くてもストライクって取るし、逆にツーストライクで三球目、いいところに行っても、なかなかストライクにならないなっていうのは、心理的にだったんですけど。多分ABSではなくなっていく。おそらくABSとかのロボット審判の割合が、どんどん高まっていくと思いますんで。
韓国は全部ABSなんで。だから審判さんは、なんかよく分かんない、ピッてストライクって言われたらストライクって言うだけなので。そうか。結構、今のがストライクっていうような捕り方もあるんですよ。フレーミングがないから。どこで捕ってもストライクはストライク、ボールはボールなので、バッターも文句言えないんですよね。こんな捕り方してストライクって言われても、今のストライク?って、もうロボットがストライクなんだから、お前が間違えてるんだよっていう捉え方をするしかないんですよ。
最近も日本で、捕り方で、絶対ボールっていうのがあった。実際データ的にはストライク。やっぱり捕り方でみんな。
39%、ABSの成功率の数字ですけれど、投げてる側としては、あれ、今のストライクだったんじゃないかなとか。これありますよ。それは自分にひいき目で見てますね。もう俺、半個ぐらい広いストライクゾーンで見てますから。でもいいところ行ったら、全部ストライクに見えちゃうのか。取ってくれよねって思いますよね。面白い。
ということで、今日は岡田さんにデータも含めていろいろ見てまいりましたけれども、日本人の今シーズンの活躍含め、ワールドシリーズに向けてというところ、どうですか?
今年は日本人選手に関しては、多分過去歴代でもトップクラスの活躍をしたシーズンだったんじゃないかなって思いますんで、日本の野球界にとってすごくいいシーズンだったんじゃないかなっていうふうに思いますね。
今日はお三方に聞いてまいりました。貴重なお時間、ありがとうございました。ありがとうございました。
おら。
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