Rapidusの短TAT生産とスピントロニクスMRAMは、AIエージェント時代の半導体需要に応えられるか
ものづくり太郎チャンネルものづくり太郎チャンネルが、Rapidus会長の東哲郎氏と東北大学の遠藤哲郎教授を招いた特別対談の前半である。AIの進化で半導体に求められる性能がどう変わるのか、そのなかでRapidusの2nm半導体と、遠藤教授が研究するスピントロニクス(MRAM)がどんな位置を占めるのかが話題になった。東氏と遠藤教授は、GPUと広帯域メモリー(HBM)だけに注目していると次の変化を見落とす、という立場で語っている。
登壇者の経歴
東氏は1977年に東京エレクトロンに入社し、今年77歳になる。本人は「77」が自分がレジェンドと呼ばれる理由だろうと冗談めかして語った。司会のものづくり太郎氏は、東京エレクトロンが海外から装置を輸入する商社から装置メーカーへ転換した点に触れた。東氏によれば、転換を進めたのは前任者で、それを世界に広めたのが自分だという。現在はRapidusの会長として、日本が一度脱落した最先端ロジック半導体の復活に取り組んでいる。
遠藤教授は東北大学で主に3つのテーマを手がけている。1つ目はスピントロニクスを使った低電力・高速のメモリーであるMRAM、2つ目は窒化ガリウム(GaN)や炭化ケイ素(SiC)を使った電源エレクトロニクス、3つ目はこの2つを使ったAIプロセッサーやAIハードウェアのアプリケーション開発である。共通の目的は電力を下げることだと遠藤教授は説明した。司会者は、AIサーバーでは電力供給が追いつかないと言われている状況に触れ、MRAMがGoogleのFitbitに採用されていることも紹介した。なお、2人は下の名前が同じ「哲郎」で、遠藤教授は今回を「鉄コンビ」と呼んでいる。
「AIがAIを直す」段階に入ったという見方
司会者は、NVIDIAのGTCで1兆ドル(司会者の換算で161兆円)規模という話が出たこと、AIエージェントの登場でCPUの需要も見直されていることを挙げ、2人に現状の見方を尋ねた。
東氏は2週間ほど前に欧州と米国を回ったといい、どこでもAIエージェントやAIロボティクス、フィジカルAIが話題で、AI一色だったと報告した。東氏の見立てでは、AIがAIを生み、自分の弱点を修正しながら成長する時代に入った。人間が反省して次に生かすように、AIが自分のミスを踏まえて自らプログラムを直していく。この循環が無限ループに近づいており、危うさを指摘する声がある一方で、AIの進化のスピードを加速させているという。
日本のDRAMの教訓とGPUの変化
遠藤教授は、日本のDRAMが強かった時代を振り返った。当時もコンピューターの成長という大きな流れは同じだったが、市場が大型計算機からパソコンに移ると、ハードウェアに求められる条件が「高い信頼性」から「安く大量に作れること」に変わった。日本はこの変化についていけず失敗した、というのが遠藤教授の整理である。
これを踏まえ、遠藤教授はAI向け半導体の需要そのものは止まらないとしながらも、中身には注意が必要だと述べた。AIは機械学習の時代から生成AIの時代に移り、さらにエージェントAIという第3期を迎えている。細かく見ると、各段階で半導体への要求はかなり違うという。
遠藤教授の説明によれば、GPUはもともと画像処理用のプロセッサーで、隣り合う画素の情報を比べて輪郭を強調し、絵をきれいに見せるためのものだった。隣接するデータを比べて学習する機械学習とこの仕組みがうまく合ったことが、NVIDIAの成功につながった。ところが生成AIでは、隣接する要素だけでなく全体を総当たりで比較する必要がある。そのため、NVIDIAのGPUと呼ばれている製品でも、実際にGPUタイルが占めるのは半分ほどで、残りはニューラルネットワーク用の回路になっていると遠藤教授は述べた。ハードウェアの中身はすでに変わっている、という主張である。
エージェントAIと専用チップ、Rapidusの位置
エージェントAIでは推論(インファレンス)を速く処理することが重要になり、要求はまた変わる。さらに産業ごとにAIエージェントが必要になれば、領域ごとに違う能力が求められる。そうなると、用途に最適化した個別のASICが必要になり、それはRapidusの出番ではないか、と司会者と遠藤教授は話を進めた。東氏も「我々が狙っているところ」と応じた。
司会者は、Rapidusの立ち上げ当初は厳しい声が多かったと振り返った。自分は国がようやく資金をつけたのだから応援しようという立場だったが、ふたを開けてみると、個別に最適化したチップを短いサイクルで回す必要が出てきており、短TATを掲げるRapidusのポジショニングは巧みだったのではないか、と評価した。
東氏も同意しつつ当時を説明した。2nm世代のGAA(ゲート・オール・アラウンド)で始めると言った当時、日本の業界や顧客にあたる市場からは、そこまでの性能は要らないのではないかという反応だった。その後、AIの専用化が進み、エッジ側にも専用AIが必要になってきた。Rapidusが進める短TAT方式の生産が注目され、日本でも世界でも市場があるのではないかと見られるようになった、という。東氏は、米国がこうした市場が生まれると予測して動き始めたことも強く感じていると語った。加えて、AIそのものの技術革新が非常に速くなり、それに合わせた半導体も速く作る必要が出てきた。その競争が激しくなったことで、短TATの生産方式が改めて注目されているというのが東氏の見方である。
Rapidusの現在地と量産までの道筋
司会者は、昨年12月に社長がガッツポーズを見せたこと、試作で回路が機能したと報道されたことに触れ、進捗を尋ねた。
東氏によれば、Rapidusは今年末までに、顧客にサンプルとして出せる製品を完成させることを目指している。そのための課題は、歩留まり(良品率)を上げることと、性能をさらに引き上げることの2つである。年末までにこれを達成して顧客に届けるフェーズに入っており、顧客が待っている状態だという。
ただし東氏は、量産につながるかどうかは、そのサンプルを使った顧客の製品が売れるかどうかにかかっていると率直に述べた。今年の暮れにその段階を迎え、顧客の製品が売れていけば、来年末ごろまでには量産を行う、というのが東氏の示した見通しである。
MRAMの第1段階:マイコン用フラッシュの置き換え
話題はスピントロニクスに移った。前回の動画は100万回再生を超えたという。
遠藤教授が最近の動きとして挙げたのは、SoCのロジックに組み込まれた埋め込み型フラッシュメモリーを置き換える事業が、ほぼ始まっていることだ。フラッシュマイコンからMRAMマイコンへの移行が、MRAMの第1期の成長にあたるという。このメモリーには、たとえばエンジン制御用マイコンなら、エンジンをどう動かすかというパラメーターなどのプログラムやデータが格納されている。
遠藤教授の説明では、現在のフラッシュは85℃までしかもたないため、エアコンや水冷で冷やす工夫が必要だった。MRAMマイコンなら175℃、現在量産されている品でも150℃まで耐えられる。そのためハイブリッド車のように、モーターと制御ボードを一体化できる。遠藤教授は、これは自動車メーカーにとって部品が変わるだけの話ではないと強調した。これまではエンジンと制御ボードを別々に作ってチェックし、組み立ててまたチェックしていた。一体化すれば一度の試験で合格したものをそのまま車に載せられるため、製造工程も変わるという。遠藤教授は、顧客がいるからこそTSMCやSamsungのファウンドリーが製造を始めていると付け加えた。
宇宙での耐放射線性の実験
司会者は、SpaceXのように宇宙でAIの推論を行う構想では、高温や宇宙線への耐性が求められるので、スピントロニクスが向いているのではないかと尋ねた。遠藤教授は、150℃まで耐えられれば、ヒートシンクではなく放射熱で冷却できると応じた。
米国もこの分野に取り組んでいるが、軍事用途のためデータがまったく出てこない。そこで遠藤教授らは自分たちで調べる必要があると考え、JAXAと共同で実験を続けてきた。その結果として、現在のシリコン半導体と比べて100倍以上の放射線を浴びても誤動作しないと報告した。そうであれば放射線を防ぐ鉛の遮蔽を薄くでき、機体が軽くなる。ロケットの打ち上げは重さでほぼ決まるので、ここに利点があるという。
遠藤教授らのチップはすでに米国で打ち上げられており、これから1年間宇宙空間を漂いながら、本当に壊れないかのデータを取る。遠藤教授は「今のところたぶんOK」と述べ、1年たてば技術認証が取れ、安心して使ってもらえるようになると語った。これを受けて東氏は、それならRapidusの半導体も頑張らなければと応じた。遠藤教授も、MRAMだけでは動かないので、ロジックと手を結ばなければならないと答えた。
第2段階:TSMCのSRAM置き換え用MRAM
遠藤教授がもう1つ挙げたのは、TSMCが昨年、5nm世代でSRAM置き換え用のMRAM(RAMライクなMRAM)を始めると発表したことだ。これまではフラッシュの代替だったMRAMを、高速に動くSRAMの代替として製品化していく動きだという。
遠藤教授によると、MRAMのセルサイズはSRAMの10分の1以下で、同じ面積ならキャッシュ容量を10倍以上に広げられる。現在チップレットのキャッシュは数百MB程度だが、MRAMを使えば4GBクラスのキャッシュも可能になるという。遠藤教授は、AIの分野ではキャッシュのメモリー空間が非常に重要だと述べた。司会者も、HBMとのやり取りが遅延の原因になっていること、キャッシュを上に積む工夫がされていることを挙げ、その文脈でGroqが出てきたと付け加えた。
遠藤教授はさらに、これまでのMRAMはマイコン市場向けで、日本では「事業になっても所詮マイコン」と批判されてきたと振り返った。MRAMがSoCに入ってくることの意味について、遠藤教授は言葉を選びながらこう説明した。ファウンドリーは顧客に求められなければ絶対に動かない。TSMCがやるということは、どこかの顧客が求めたということで、それは頭文字でいえばGかAかNかといった4社程度しかない。司会者に、それは遠藤教授にとってライセンス収入の面でうれしい話なのかと問われると、遠藤教授は「それは収録の後で話します」とかわした。
TSMCがなぜ5nm世代に載せたのかについて、遠藤教授は業界の「マナー」から説明した。シリコンの製造技術と、MRAMのような新しいスペシャリティ技術を同時に変えるのはリスクが大きい。そのため、CMOSが完成したところに新技術を追加し、新技術が載ったらその上でCMOSを前進させる、という順序を踏む。これはシーソーモデル、あるいはIntelのチクタクモデルと呼ばれる。TSMCにとっては、最先端のCMOSはまだ開発中で事業化を始めた段階なので、量産が安定している5nmや3nmにMRAMを入れるのはマナー通りだという。ただし、マナー通りのことを実行させるには、発注する顧客が必ずいる、と遠藤教授は念を押した。
東北大学CIESとMRAMの原点
司会者は、MRAMを救ったのは東氏だと紹介した。遠藤教授によれば、MRAMの構想を持ち込んだ当初は周囲が乗り気でなく、東京エレクトロンの役員会でも前向きではなかった。そのとき東氏が「こういうことをやらないと将来がない」と押し切って了承してくれたので、東氏は命の恩人だという。
東氏の説明では、2011年の東日本大震災の後、東京エレクトロンは東北大学の国際集積エレクトロニクス研究開発センター(CIES)に、建物からクリーンルームまで現物出資の形で寄付した。これがMRAMの研究拠点になった。東氏はその理由を2つ挙げた。1つは震災後の東北に求心力を作りたいという思い。もう1つは日本の半導体の歴史である。日本はDRAMで一度は大きく広がったがだめになり、フラッシュでも遅れ、SRAMでも同じことを繰り返した。DRAMでもSRAMでもフラッシュでもなく、それらのよいところを併せ持つ新しいメモリーがMRAMであり、これをやらないでどうするのか、と考えたという。
東氏は、日本の半導体メーカーだけでなく、IntelやQualcommなど世界から研究者を集めて始めた点も先進的だったと振り返り、それを実現できたのは遠藤教授の力だと述べた。
分からないうちに始める
終盤、遠藤教授は、日本では市場ができた後に「なぜやっておかなかったのか」と批判する人が多いと指摘した。そのうえで、パラダイムが変わり進化が非常に速い時代には、どこが正解か分からないうちに、歩きながら考えて始めるしかないと語った。千に三つ当たればよい世界だとも言う。東氏は、成功の反対は失敗ではなく「やらないこと」だとよく話していると述べ、失敗すればそれを乗り越えようという動きにつながると付け加えた。
最後に遠藤教授は、AIが圧倒的に電力を消費する時代がすぐ目の前に来ていると述べ、このままでは「ご飯を炊くエネルギーも残らない」と冗談交じりに警告した。どれほど消費電力を減らせるのかという司会者の問いに、遠藤教授が「DRAMと比べると……」と答えかけたところで前半は終わり、具体的な数字は語られなかった。
どうもこんにちは。ものづくり太郎チャンネルのものづくり太郎です。本日は後ろにあるように来ましたね。ラピダス特別対談の前半になっておりまして、ラピダスのレジェンドであり、キーマンである東会長。そしてなんと2025年ものづくり太郎チャンネル・オブ・ザ・イヤー、スピントロニクスの遠藤教授も生出演ということで、帰ってきたスピントロニクス遠藤教授を交えた特別対談でございます。
ラピダスとの関係を皆さん気になると思います。ということでラピダスがどうなんだというお話をしてきたので、是非お届けさせていただきたいと思います。
こんなスペシャル回にスポンサードいただいたのがJASIS2026ということで、皆さん9月2日から4日、幕張メッセで開催されるJASIS2026に僕も参加すると。今回2日目の9月3日木曜日の午前に1時間の講演をさせていただきますが、正直かなり現力く内容になっていますね。
分析機器や科学機器が集まる展示会なんですね。ものづくりの出発点、半導体とか材料とか医薬品と食品など、ほぼ全てのものづくりに関わる裏側の技術が一気に見れる展示会になってます。
生成AIの波は製造業にもすでに来てるので、それがどのように製造業に統合されるのか、AIの本質的な変化点を交差しながら語っていきたいと思い、例えばですけど分析とかマテリアルみたいなところ、開発スピードを上げたい人とか品質で差をつけたい人にはかなりヒントになると思います。
特に今回注目なのがLabDXゾーンということで、AIによるデータ解析やロボットによる自動実験なんかも見れちゃいますと。これからの研究開発のやり方が一気に見えちゃうので、正直この辺り知らないとR&Dにいる人はちょっと遅れちゃうかなみたいな、人の価値下がっちゃうなみたいな感じですね。もうここまで来てるんだというのは是非現場で実感していただきたいと。
最新動向をキャッチしたい方、是非9月2日から4日まで幕張メッセに是非いらしていただきたいと思います。ということで僕は2日目に登壇しますので是非してください。概要欄。それでは長くなりましたが、ラピダスの対談行きまっしゃい。
どうもこんにちは。ものづくり太郎チャンネルのものづくり太郎です。今年で38歳です。
え、38歳でこれやるの大変な。すごいね。すごいね。
一応後半ならいいじゃないですか。30歳ぐらいから僕やってるんですけど、YouTubeという仕事もう最近きつくなってきまして、それはいいとして、今日はレジェンド2人でございまして。
レジェンド、レジェンドって。
すごい豪華で、1番チャージ費用がおそらく高い2人です。1時間1万とかじゃなくて1時間数十万、数百万かもしれませんが、お時間をいただいてラピダスの話もありますし、遠藤教授とは雑談はしてますね。1年ぶりぐらいで、なんとスピントロニクスの動画が100万再生を。
はい。すごいですね。すごいです。ありがとうございます。
1円ももらってないですからね、僕。
僕も1円ももらってませんけど。
下世話な話をしてしまいましたが、そのスピンの話と、ラピダスの話も含めてしていきたいと思ってますが、まずはレジェンドと言っても知らない方もいらっしゃると思いますから、自己紹介をお願いしたいと思ってます。東さん、行きますか?
はい。僕はなんでレジェンドって言われてるかというところから話すと、77っていうのがキーワードでね、僕は今年で77歳な。
77歳じゃ僕より40歳上ですね。
そう、そう。この仕事を始めたのが1977年に東京エレクトロンに入った。だからまあ、77がキー、それがレジェンドと言われる理由かなという感じですね。
素晴らしい。東京エレクトロンで、元々僕の記憶では外から装置を入れる商社だったんですけど、今もうメーカーじゃないですか?
そうですね。
その転換もされたみたいな。
そうですね。転換をしたのは僕の前の世代、それを世界に広めたのは私というところですね。
すげえ金持ちです。[笑い]じゃあそういった意味でもレジェンドということで、今は何をやられてるんです?
今ラピダス会長で、日本がやらずに終わってた最先端のロジックの半導体。
1回脱落しちゃったところの復活ですね。
そう。それをやってる。
ゴリゴリやってると。素晴らしい。そして遠藤教授にも自己紹介お願いしたいんですがいかがでしょうか?
皆さんお久しぶりです。東北大学の遠藤です。実は東さんのお名前、哲郎さんなんですよ。僕、遠藤哲郎で、今日は哲コンビでやります。
実は漢字で書くと全く同じ名前ですか?
そうなんですよ。そうなんですよ。
遠藤さんはどんなことやられてるんですか?
今は3つぐらいやってるんですけども、1つはスピントロニクスを使ったMRAMっていう低電力で高速なメモリー。2つ目は、窒化ガリウム(ガリウムナイトライド)かSiCを使ったパワーエレクトロニクスの電源をやってると。結局ワードは、とにかく電力下げたい。
そう。今もうAIサーバーなんかも電力が供給できないとか言っていますね。
そうそうそう。その2つを使ってAIのプロセッサーとかAIのハードウェア関係のアプリケーション開発をしてる。
スピンも性能も高くて記憶が消えないですもんね。だからアシさんのマシンインターフェースすぐに立ち上がりますもんね。
そうなんですよ。
で、なんとGoogleのFitbitでしたっけ?そこにも採用されたっていう。
ええ、そうですね。使われてますね。
ということでお2人のお金持ちですね。
いやいやいや、[笑い]
お金持ちというか、素晴らしいレジェンドをお迎えして、いろんなトピックスを用意してきましたから、僕が合いの手を入れながらモデレーティングさせていただきたいと思います。まずは最近の半導体業界の動きということで、すごいじゃないですか。僕もNVIDIAのGTCっていうイベントに行って、NVIDIAの中山が1兆ドルって。
そうですね。161兆円みたいな。
なんでこれだった?これは、ただAIエージェントが出てきてCPUが必要なんじゃないかとか言われてますけども、この動きをどう見られてるかっていうのをちょっと教えていただきたいんですけども。
僕は2週間ぐらい前にヨーロッパとアメリカとね、回ってきて、2週間ぐらいかかって。
本当に長いじゃないですか?[笑い]
どこもかしこもAI、特にAIエージェントとかね、あとAIロボティクスとかそういう言葉がもうどこでも出てきてる。
フィジカルAI。
フィジカルAIってところで、AI一色でした。AIがAIを産んでいくと。それからAIが自分で自分の弱点を修正しながら成長していってると、そういう時代に入っちゃった。
AIがAIを修正するっていうのはどういう。
はい。人間で言えば反省しながらまた次をやりますよね。そういうことをAIができるようになってきた。
AIが自分でミスったところを次はミスらないように自分でプログラミングして。
そうだ。そこがね、だんだん無限のループに入りつつあるじゃないですか。やばいっていう面もあるんだけど、それがその今のAIのスピードと革新をどんどんどんどん加速させてると。そういう時代に入ったと。小池さんが言われてるようなシンギュラリティの入り口に近づいてきてる。
すごいです。やっぱAIの動きを支える半導体の注目度も年々高くなってるみたいです。
そうですね。急に高くなりましたね。記憶者さんもね、来ましたもんね。
記憶がさ、この話はちょっと置いといて。[笑い]この記憶者とか言い出すと話しにくくなりますから。これをじゃあ遠藤教授はどう見られてますか?
昔を振り返るとね、日本はDRAM強かったじゃないですか。あれもずっとコンピューターの成長って意味では同じトレンドだったんですよ。でもそれが大型計算機からパソコンっていう市場に移った時に、信頼性よりも安くて大量に作るDRAMの方がいいっていうところで、コンピューターというキーワードは同じなんだけども、変わることによってハードウェアに対する要件が変わったことについていけなくて、日本はちょっと失敗したっていう過去があるじゃないですか。
そうですね。
それを踏まえて考えると、今言われたようにね、AIは止まらないですよ。だからAI向けの半導体は必要。ただし問題は、今東さんもおっしゃったように、機械学習系のAIの時代から今生成AI系の時代で、さらにはエージェントAIって第3期を迎えると、細かく見ると実は半導体に対する要求って随分変わってるんですよ。
あ、そうなんですか。
だからみんながGPUとHBMだけやってればAIが発展すると思うと失敗するかもしれないので、逆についていけないかもしれない。だからこそ今日本は、まさに生成からエージェントAIに変わる時に、いいキラーパスがバンと出せると、日本もそのグループの中に入って、AIバブルの中でエンジョイできるかもしれないと。
なるほど。視聴者も気になってると思うんですけども、GPUとハイバンド幅メモリーですかね、やってちゃダメっていうのは、どういう風にAIがこれ変わってきてるんですか?
例えば、ここ授業じゃないですからね。[笑い]元々はNVIDIAはだってGPUだったわけですよ。GPUってその名の通りグラフィックスのプロセッサーで、隣接画素間の情報を比較してエッジ強調して絵を綺麗に見せるっていうプロセッサーだった。
それがちょうど機械学習の時には、隣のデータ同士の比較をして学習していくっていう機械学習にちょうどぴったりの仕組みだったから、GPUがAIに使えるよねっていうので今のNVIDIAの大成功だったんですけども、今の生成AIっていうのは実は隣接じゃなくて総当たりしなきゃいけない。隣接だけじゃなく全部比較検討しなきゃいけないんで、実は皆さんNVIDIAのGPUって言ってるけど、実際の台の中のGPUタイルって半分ぐらいしかなく、残り半分ぐらいはニューラルネットワークの回路だったりするので、実は中のハードウェアってもう変わってきて。
そうか。じゃ時代に即して、AIエージェントになると推論、インファレンスを早くやらないといけないとかいうことで、要求がまた変わってくるわけですね。
はい。
最近はニュース出てますけど、やっぱCPUの時代がっていう風に言われてるじゃないですか。
そうですね。さらにAIエージェントも産業向けに必要になってくると、かつ違う領域で違う能力が求められ始めるんですよね。
なので個別のここに適したASICが必要になってきて、これラピダスの時代も来るんじゃない?
おっしゃる通り、我々が狙ってるところ。
ちょっとね、本当はスピンの話したかったんですけど、[笑い]これさ、狙ってやってたんですか?というのもラピダスやる時はみんな応援してなかったと思うね。
うん。
結構厳しい声が多かったと思ってて、僕はさ、やっと計算やる気になってお金つけてくれたんだからいいじゃないか応援しようぜっていうスタンスだったんだけど、結構厳しめの声も多かったじゃないですか。だけど蓋を開けてみると、今時代がAIエージェントになってきて、個別最適されたASICみたいなのが必要になってくるということは、このサイクルを早く回していかないといけないから、短TATのラピダス。
いや、ありがとうございます。
になってくるんじゃないかなっていうことで。いや、わかんないですけど、ラピダスのポジショニングがすごいうまかったなっていう風に。
いや、僕もおっしゃる通りだと思ってるんですけども、以前これ始めた時は、2nmのGAAって言ってる。
あ、ゲートオールアラウンド。
ゲートオールアラウンド。それでまあ先端。その時にいわゆる業界とか、我々のお客さんにあたるマーケットですね。そこはまだ必要ないんじゃないか。性能高いものはいらないんじゃないかってのが日本の反応だった。
で、それがAIがより専用化してくる、エッジの部分にも降りてくるし、そういうようになっていわゆる専用AIというものが必要になってくることになって、この我々がやろうとしている枚葉で短TATという方式がもうすぐ脚光を浴びるようになって、これがまあ日本でも世界でもこれ行けるんじゃないか、マーケットもあるんじゃないかと思われてきたっていうのが。
そうですね。それは言い方よくないですけど、会長ですから応援の声しか届かないのかなと思ってて、[笑い]でもそれを感じるのかなっていう。こんなこと言えるの僕ぐらいしかいないんだけど、[笑い]
そこら辺のね、式はアメリカなんかがね、結構そういうようなマーケットになるというような予測の元に動き始めたってのがあるんです。そこら辺はもうすごい感じるような。
で、それが最近もう1つ日本で注目されてきたのは、専用化もあるんだけども、AIそのものの技術革新がもうすごい早くなっちゃった。で、それ用の半導体も早く作んなきゃいけないことになって、その競争が激烈になって、今の我々がやるような生産方式、短TATのね、これがまた注目浴びてると、そういうような流れかなと思いますね。
なるほど。で、さらにラピダスの現在地点っていうことで、昨年の12月に小池社長がポーザって腕で100回しましたって、すげえなと思ったんですけど、インターポーザーもできました。試作もうまくいって回路も機能するみたいな話はニュースで出てるんです。ラピダスの進捗なんかも伺いたいところなんですけど。
我々は今年の末までにお客さんにサンプルとして出せるような製品をね、完成させたいと思ってるわけで、それは何かっていうと歩留まり、よく良品率って言いますよね。歩留まりを上げるということと、性能をもっとアップするという、この2つなんですね。それを年末までにやってお客さんに届けるというフェーズに入って。
ということはそのフェーズが見えてるっていう。
そうですね。お客さん待ってる状態。
なるほど。今年以内に届けられれば、あと量産に持ってけば本当に作れると。
そうね。正直言うと、その製品を使ったお客さんのその製品が売れるということが量産につながるわけ。今年の暮れにそういう段階が来て、今度お客さんの製品が売れていくというところがあって、ですから我々来年の末ぐらいまでには量産やりますよって。
なるほど。で、その半導体が、AIがAIを直すみたいなところの基盤に入れば、全部プラスにポジティブに、いわゆるアカデミアの方もそうなると無限ループに入ってくるなと言われてますね。
うん。
本当にワクワクが止まらないところであるんですけども、遠藤教授の話にもフォーカス当てていきたいと思うんですけども、スピントロニクスも前回すごい人気だったんですよ。
ええ、ありがとうございます。
100万回は再生されて。
そんなことないすよ。普通こんなディープな世界でね。
そう、ディープな世界で、この採用が増えたりとか、AI時代が来ることによって、例えばSpaceXなんかは宇宙にあげてそこでAIを育てるみたいな話をしてるじゃないですか。しかも熱、温度が高いような半導体で宇宙線にも強いっつったら、これスピントロニクスじゃねえかと。
そうですね。
僕は思ってたんですけど、あれからさらに進化した話とか。
そうですね。最近新しいのは、組み込みフラッシュの置き換えがほぼ事業的にはスタートしてる。
組み込みフラッシュってなんすか?
このSoCのロジックの中に入れてる混載型のフラッシュメモリー、フラッシュマイコン。フラッシュマイコンからMRAMマイコンへっていう流れが第1期成長なんですね。
村の、これキャッシュのことを指して。
プログラミングとか、データコードが格納されてるものなんです。
そもそもその半導体がどう動くかとか、特定の機器がどう動くかっていうことがそこに入ってるっていう。
例えばエンジンコントロールをするためのマイコンだと、エンジンをどうやって動かしましょうかっていうパラメーターが格納されてるやつ。
で、それが今度MRAMになると、消えないでずっと使えるし、今フラッシュですと85度しか持たないので、特別にエアコン引いてきたり冷やす工夫したり、水冷で冷やしたりとかいうことでやんなきゃいけなかったのが、MRAMマイコンにすると175℃とか、今量産されてるベースでも150℃まで持つので、ハイブリッド車みたいに機体モーターとその制御ボードが一体化できるとか。
すごいじゃないですか。
それは自動車メーカーさんから見ると、部品が変わるだけじゃなくて製造工程っていうか、今まではエンジンだけ作って、制御ボード作ってチェックして、組み立ててまたチェックしてってやってたのが、一体化すると一発試験してオッケーならそのまま車にドンと載せればいいって、作り方も変わってくる。
パラダイムシフトじゃないですか、これ。
そうですよ。そうですよ。[笑い]
すごいじゃないですか。
僕が言ったんじゃなくて、お客さんがいるからTSMCとかSamsungファウンドリは作り出してるんですよ。
すごいよ。だってマスクもSpaceXで宇宙の中でAIの推論するって言ってて、ここがダメだとダメじゃないですか?
違うんですよ。150℃まで行けばヒートシンクっていうか放射熱で行けるじゃないですか。で、アメリカもかなりやってるんですけど、あれはもう軍事用なので全然データ出てこないんですよ。
なので自分たちでやんなきゃいけないと思って、僕たちは今JAXAさんと一緒にずっと実験していて、今のシリコンの半導体と比べると100倍以上放射線浴びても誤動作しませんね。
それはすごいね。
つまりそれ、鉛をですね、薄くできる。それは軽くなる。で、ロケットの打ち上げもほぼ重さですから、なのでそれがいいですよっていうことで、今実は僕たちのチップも、アメリカからもう打ち上げられてるんです。[笑い]もう打ち上げて、これから1年間宇宙空間を漂いながら、本当に壊れるの壊れないのってデータ取るんです。多分今のところオッケーです。
すごいことになってきたぞ、これ。
1年間になると技術認証が取れると、皆さんに安心して使っていただけます。
だからそういう意味じゃ、ラピダスの半導体も頑張んなくちゃいけないね。
そうですよ。MRAMだけあっても動きませんから。ここが手を結ばないとダメなんです。そういうこと。
で、あともう1個はね、TSMCになっちゃうんですけど、昨年TSMCが5nmのRAMライク、つまりSRAMリプレイスメント用のMRAMをスタートしますってアナウンスメントされた。
はい。これはどういうことなんですか?
今まではフラッシュメモリーの代替としてやっていたのを、今度は高速に動くSRAMの方もMRAMで製品として置き換えていきますと。SRAMよりもMRAMってセルサイズが1/10以下なので、同じ面積だったらキャッシュ容量を10倍以上に広げられるわけですよ。
すごいじゃん。これってごめんなさい、興奮してきて。[笑い]今のAIってHBMに情報渡してるから遅くなるとか、キャッシュを上に乗せようとかってしてるじゃないですか。
そうです。そう。チップレットのキャッシュも今数100MBですけども、いわゆるスタートでも4GBとか、まあキャッシュがMRAMを使うとできる。
すごい。
やっぱりAIの分野ですね、キャッシュのメモリー空間ってものすごい大事。
超重要ですよね。これ早く処理する。だからGroqとかも出てきたっていう。
だから今までのMRAMはマイコン市場で、日本ってこう批判的じゃないですか?MRAMやってようやく事業できてもね、所詮マイコンだって言われるわけですよ。でもこれが、今何が言いたいかっていうと、SoCに入ってくると、こっからはちょっと言い方が難しいけど、少なくともTSMCがやるってことは、TSMCがお客さんにやれと言われてやり始めるって言ったら、GかAかNかって4社ぐらいしかないじゃないですか。
あ、ないないないない。
その4社ぐらいの誰かがSoC向けにMRAMを用意しろって言わないと、ファウンドリーは絶対動かないんだから。
やばいな。それは遠藤教授としては美味しい話なんですか?嬉しい話なんですか?
それはいいですよ。
ライセンス料が入ってくるっていうイメージ。
それは収録の後で話します。[笑い]
でもさ、皆さんね、MRAMすごいってなってるかもしんないです。これを救ったのが実は東さんなんですよね。
そう。東さんっていうか東京エレクトロンで。[笑い]
東京エレクトロンで。いや、僕が話しますよ。恥ずかしくなっちゃうから。遠藤さんが最初MRAMの構想をやりたいって言った時ね、なんだけどもお払い箱だったんですかね。あんまり皆さん乗り気じゃない。
乗り気じゃなかったんだけども、東京エレクトロンの東さんに持ってった時に、役員会でみんな乗り気じゃなかったんだけど、東さんがこんなんやらねえと将来がねえじゃねえかって、ご了承してくれたっていう。だからもう僕の命の恩人なんですみたいな話を聞いて。[笑い]
いや、あれはね、2011年にね、東北の大震災ってあったじゃないですか。あの後に国際集積エレクトロニクス研究開発センターを寄付していただきましたね。
それ、MRAMを作る拠点ですよ。
コンソーシアム的な。
じゃなくて、建物からクリーンルームから全て現物出資で。
現物出資。
寄付をしていただきました。東北大学に。
を作ってくれたってことですか?
そう、そうです。そういう何か求心力を作りたいという思いが1つと、もう1つは、その前に日本はDRAMやりました。ダメになりました。フラッシュもね、遅れました。SRAMもある時点というところで一旦はわーって広がるんだけど、ダメになってるっていう歴史を繰り返したわけですよ。
なるほど。
その中でDRAMでもない、SRAMでもない、フラッシュでもない。そのいいとこ取りをやるのがMRAMというので、全く新しいのが、これをやんないとどうすんだっていうところがあったんで。
もう足向けて寝れないです。
寝れない。
いやいや、そんなこと。すごい。[笑い]
あん時驚いたのは、単に日本の半導体メーカーだけじゃなくて、世界から研究者を集めてやり始めたっていうのがまたすごい。最先端行ってますよね、やり方を。
そう。当時Intelさんとかクアルコムさんとか。
あ、もうこれはまあ、遠藤教授のなせる技だし。
そうそうそう。そこまでぐっとね、持っていく力ってのもある。
すげえな。じゃあそこで東さんのお声がけもあって、今花開きそうで、なんとGAFAMかどうかわかんないけど、MRAMの可能性に気がついて。
そうは言ってもMRAMって新しい技術なので、多分業界どこもそうなんですけど、シリコンのテクノロジーと、MRAMを中心としたキラーアプリケーション、スペシャリティっての同時に変えるってのは皆さんリスクだと思っているので、必ずCMOSが出来上がったら、そこにニューテクノロジーをアドオンしていく。
これいわゆるシーソーモデルだとかチクタクモデルって言い方するんですけど、新しい技術が乗っかったら、その技術の上で動かすCMOSを前進させるっていう。これもう業界ではマナーで。
Intelみたいなもん。
そうです。今TSMCさんもみんな同じやり方なので、そういう意味ではTSMCからすれば、今の最先端はCMOSを開発してる最中で事業化始まりましたけども、今1番ボリュームゾーンで落ち着いてる完成した5nm、3nmのセットのところにMRAMのテクノロジーを入れていきましたら、これマナー通りなんです。
そういうことね。
でもマナー通りのことをやらせるには、絶対誰かがいるんです。それ[笑い]
ことは誰かが発注したってことね。
そうですね。
日本人って、市場ができたから、これをやっとけばよかったのに、なんでやってなかったんだって批判する人はいっぱいいるんですけど、先生方言いにくいから僕は言うけど、時代がでも変わっちゃったんですよ。パラダイムシフトが起こってて、進化すごい早いじゃない。だからどこが正解なのかっていうことを、歩きながら、やりながら考えるしかないですよ。
そうなんですよ。だから分からない時に始めなきゃいけないです。
でも分からないうちに始めてるけど、結果的にそれで合ってる人がレジェンド。普通の人は勝手にやったら、やっぱし来なかったねっていうのが。だって千三つの世界ですから。千に3つ当たればいいっていう時代ですから。
だから僕時々言ってんだけど、成功の反対は何ですか?みんな失敗って言うわけですよ。成功の反対はやらないこと。失敗すればね、まあそれを乗り越えてやろうってこと。
そう。うまくいかない方法が分かっただけですもんね。
そういう。だから哲コンビ、あ、哲コンビ、俺マジで欲しいなと。もう本当に楽しみになってきたし、[笑い]AI時代のラピダスっていうところも本当にワクワクが止まらない。
圧倒的に電力を消費する時代がすぐ目の前に。そん時ね、僕たちね、ご飯炊くエネルギー残ってないです。
残ってないの?
どれぐらい消費電力減るんですか?
対DRAMに比べると1/
ええ、[笑い]全部持ってかれた感じがするな。
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