介入と利上げでも円安が止まらない理由 加藤出氏が語る日銀、ベッセント発言、長期金利
楽待 RAKUMACHI今年は日米協調介入、レートチェック、日銀による2度の利上げがあった。先日の日米首脳会談ではトランプ大統領も円安への懸念を示している。円高につながりそうな出来事が続いたにもかかわらず、為替市場は再び円安に戻りつつある。何が起きているのかを、MCのDJ Nobby氏が東短リサーチのチーフエコノミスト、加藤出氏に聞いた。加藤氏は現状を「通貨危機と言ってもいいぐらい」円が弱い状況だとみる。そのうえで、円安が止まらない構造的な要因と金融政策上の要因、米国側の事情、そして個人がとるべき備えについて説明した。
短期金融市場を見てきたエコノミスト
加藤氏は日銀ウォッチャーとして約38年、金融政策を見てきた。所属する東短リサーチのグループは短資市場、つまり短期金融市場(海外でいうマネーマーケット)で取引の仲介をしている。短期金融市場は金融機関どうしが短い期間でお金を貸し借りする市場で、最も取引が多いのは今日から明日までの1日だけ貸し借りするオーバーナイト物だという。グループには為替取引の仲介、国債売買の仲介、金利デリバティブの仲介を手がける会社もある。
東短リサーチはその調査部門にあたり、金融機関や機関投資家など市場のプロに情報を提供している。最も多い問い合わせは日銀の今後の動きについてだ。ロンドンやニューヨークの同業ネットワークも使い、FRBやECBの動向も分析している。レポートのほか、地方の金融機関を回って勉強会や講演会も行っているという。
「通貨危機的」と言える理由
加藤氏が現状を通貨危機的と表現する根拠は、介入しても円安が止まらないことだ。政府がこの春以降に行った介入の額は非常に大きい。米国に協調介入してもらい、そのイメージでなんとか支えているのが実情だと加藤氏は述べる。円安圧力の背景には、長期的で構造的な要因と、近年加わった金融政策由来の要因が重なっているという。
加藤氏は2020年初めを100とした名目実効為替レートのグラフを示した。主要通貨のうち100を下回って推移しているのは円だけで、3割ほど下落している。比較のために挙げたのが英ポンドだ。2022年のいわゆるトラス・ショックでは、財源なき減税策を発表した英国の財政が疑われ、ポンドが大きく売られた。ただし減税策は数週間で撤回され、ポンドは元に戻った。これに対して円は持続的に下がり続けており、加藤氏は円の中期的な下落と比べると「トラス・ショックも可愛く見えちゃう」と話した。
円相場の流れについて、加藤氏は次のように整理した。2024年7月には利上げ前倒し観測と介入が重なり、米国の景気不安も出て急に円高が進んだ。2024年夏から2025年夏まではトレンドがはっきりしないボックス的な動きだった。昨年秋ごろから再び円安がはっきりしてきた。これは高市政権の財政政策や、政府側に日銀の利上げをけん制するムードがあることを、市場が円安材料として評価した結果だという。
1ドル158円で換算した日米の価格比較も示された。東京ドームの生ビールは900円だが、ロサンゼルスのドジャー・スタジアムでは3,000円台になる。加藤氏は観戦した日に大谷選手がホームランを打ったので2杯目を頼みたかったが、合計6,000円台になるので思いとどまったという。周りの米国人は平気で何杯も飲んでいたそうだ。
マイナスの実質金利がお金を円から押し出す
円安の背景として、加藤氏は長期的には日本の競争力低下があると指摘する。それに加えて近年大きいのが、日銀の金融緩和からの修正が遅く慎重すぎることだという。
加藤氏は主要中央銀行の政策金利、インフレ率、両者の差である実質政策金利を並べたグラフを示した。日本の政策金利は1.25%。インフレ率は2種類載せている。昨年末のガソリン暫定税率廃止や各種補助金が表面上のインフレを抑えているため、日銀が特殊要因を除いて計算した数値も示しており、こちらは2.6%だ。ちょっと前までデフレと言われていた日本も、いつの間にかそこそこのインフレになっている。政策金利からインフレ率を引いた実質政策金利は、日本はまだマイナスだ。
預金金利も政策金利に連動するため、預金の実質金利もマイナスになる。元本が実質的に目減りするので、お金は株式市場や外貨建て金融商品に流れやすい。加藤氏は、実質金利が低い状態が続く限り円安は止まりにくいと述べた。
本来、円安がここまで続いているなら実質金利をプラス方向に持っていく必要がある。しかし日本の政策金利は過去約30年間0.5%以下が続いてきたため、急に上げるとあちこちでトラブルが起きそうだと慎重に進めてきた。加藤氏はその慎重さが行き過ぎたとみている。最近はFRBもECBも利上げを再開したため、日銀が9月に利上げしても金利差がなかなか縮まらない。さらに日銀が利上げすると国債金利も上がるため、政府との関係が難しくなる。そこでためらうと実質金利のマイナスが縮まらず、円安基調が止まりにくいという構図だ。
OIS市場が織り込む「来年半ばに2%」
今後の利上げについて、加藤氏は円OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場の織り込み度を示した。OIS市場は、事実上日銀の政策金利の先行きを予想する市場だ。日銀が0.25%ずつ利上げする前提で、収録前日時点の数字は次のとおり。
- 1.5%への利上げ:10月会合で41%。9月18日の決定会合直後は20%もなかった。12月では100%を超える。
- 1.75%への利上げ:12月で11%、来年3月で112%。
- 2%への利上げ:来年6月で94%、7月ならほぼ完全に織り込み。
- 来年12月までには2.25%も織り込んでいる。
つまり市場は来年半ばに政策金利が2%に達すると見ている。加藤氏によれば、織り込みはこの1週間でかなり前倒しされ、7月末と比べると相当進んだ。
加藤氏は前倒しの理由として、まず米国が協調介入という珍しい行動に出たことを挙げる。米国のベッセント財務長官は円安の原因を日銀の金利が低すぎることだと見ており、実際にそうした発言を繰り返している。一方で加藤氏は、日銀は言われたから利上げするわけではないとも述べた。日銀は7月の段階から物価の上振れリスクをはっきり心配し始めていたという。
日銀が挙げる要因は三つある。一つ目はイラン戦争以降の中東要因による価格上昇だ。卸売・企業部門の川上ではすでにはっきり起きており、川下の消費者物価にも転嫁が始まった。この秋以降さらに強まりそうだと日銀は見ている。二つ目は世界的なAI関連投資ブームで、当面は需要を押し上げて物価を上げそうだ。三つ目は円安で、日本企業は数年前と違い、仕入れコストの上昇を我慢せずすぐに価格転嫁する傾向がある。
こうした説明は以前からやんわりとされていた。ただ7月下旬の市場では、高市政権が利上げをけん制しそうななかで日銀が本当に利上げできるのかと疑われていた。協調介入で米国が実際に口を出してきたことで、日銀は思い通りに、あるいは思っている以上に利上げしなければならなくなるのではないかと受け止められ、織り込みが前倒しになったと加藤氏は説明する。
MCが米国のイラン戦争の長期化を指摘すると、加藤氏も同意した。ここ数週間で戦争がこじれそうだという見方が強まり、物価上昇懸念とFRBの利上げがさらに続くかもしれないという観測が出てきた。それに押される形で、日銀も利上げを迫られるという織り込みが強まったという。
金利差は縮まらない 「数カ月前なら140円台もあった」
MCは、このペースで利上げが進めば日米金利差はかなり縮まるのではないかと尋ねた。加藤氏の答えは否定的だった。米国も来年にかけて3回ほどの利上げが織り込まれており、日銀が2%まで上げても並行して動くだけだという。
加藤氏は、数カ月前に日銀が利上げ姿勢を明確に打ち出し、市場がこの程度の利上げを予想していれば、かなり円高に戻っていただろうと述べた。そのときなら140円台に行っていたかもしれないという。実際には追い込まれる形の利上げになっており、市場はそれをあまり評価しない。利上げの終着点(ターミナルレート)は少なくとも2.25%、2.5%に届くかどうかという織り込みだ。以前なら日銀がそこまで上げる姿勢を見せれば十分円高になったはずだが、今は2.25〜2.5%でどれほど円高になるのかという見方をされているという。
一方で、欧米が利上げするなかで日銀が上げなければ金利差は開いてしまう。加藤氏は、FRBが10月に利上げする可能性が高まるほど、日銀も追随せざるを得なくなると見る。
日銀自身の温度感について、加藤氏は9月18日の決定会合直後の情報発信は10月利上げを匂わせるものではなかったと振り返る。「柔軟に」という言い方で10月を否定はしなかったが、市場に織り込ませるほど踏み込んだ発言でもなかった。今後のカギは10月14日の米国消費者物価指数の発表だ。それを経て米国の利上げが確定的になればECBもおそらく利上げする。そのとき日銀が10月に動かなければ、11月に入ってから円安が進みやすい。日銀は10月利上げという選択肢を残しておきたいはずなので、10月初めに予定される植田総裁の講演で、9月18日の会見より踏み込み、「決まってはいないがあり得る」程度のニュアンスを出す可能性があると加藤氏は述べた。
行き過ぎた円安の痛み:中小企業と家計
円安そのものは悪いことなのか、とMCは問う。加藤氏は、ある程度の円安は輸出大手の収益にプラスで、訪日観光客の増加も国内観光業のメリットになると認める。ただ、行き過ぎると別の問題が出る。
中小製造業は海外から資材を輸入し、国内の大手企業に納品していることが多い。大手がコスト上昇を受け入れて値上げに応じてくれればよいが、現実にはそうとは限らず、中小企業は板挟みになりやすい。家計にとっても、食料自給率とエネルギー自給率が世界的に低い日本では、円安が進みすぎると生活コストが上がる。それを上回る賃上げがあればよいが、急には難しい。さらに日本は年金受給世帯が4割近くある。年金は事後的にはインフレに応じて増えるはずだが、タイムラグがあるため不安は大きいだろうと加藤氏は話した。
具体例として、2020年初めから最近までのトウモロコシ先物価格の変化率を通貨建てごとに比べたグラフが示された。日本円建てが圧倒的に上がっている。トウモロコシは主に飼料に使われるため、上昇はさまざまな食品価格に波及しやすい。米WTI原油を通貨建て別に見ても、円建てが突出して上昇していた。
MCは、数字のわりに実感としてはそこまで上がっていないようにも見え、中間の企業が吸収しているのではないかと問うた。これに対し加藤氏は、帝国データバンクによる主要食品メーカーの値上げ品目数の調査を示した。3カ月ごとの集計で、2026年7〜9月は1万品目近くまで急増している。中東要因や円安を背景に、企業が苦しみながらも価格転嫁を進めている表れだという。10月は下期入りで値上げが多い時期でもあり、今年の10月も値上げは多そうだと加藤氏は見る。
補助金で抑えたガソリン価格の裏側
ガソリン1リットルあたりの小売価格を円換算した国際比較では、日本はレギュラー約170円と最低水準だった。中東で何が起きても170円に上限をはめたような状態で、そのために膨大な補助金が使われている。産油国でもなく円安でもあるのに一番安いのは、それだけ財政資金を投入して抑え込んでいるからだと加藤氏は指摘する。裏返せば、財政状況がじわじわ悪化していくことになる。
MCが10月以降の電気・ガス代補助の終了にも触れると、加藤氏は物価がさらに上がりそうだと応じた。日銀が算出する特殊要因除きのインフレ率は現在2.6%だが、遠からず3%に乗ると見る。年が明ければ昨年末のガソリン暫定税率廃止の効果もはげ落ちるため、特殊要因を除かない素のインフレ率も3%を超えるだろう。インフレであることが数字の上でもはっきり見えてくると加藤氏は述べた。
利上げを控えると長期金利はかえって上がる
政府の財政を考えれば急激な利上げはよくない、という意見もある。加藤氏は難しい問題だとしたうえで、二つの金利を分けて説明した。日銀が利上げすれば短い年限の国債金利は連動して上がり、政府の利払いは増える。一方、20年・30年といった長い年限の金利は、市場が見る経済や財政の先行きで決まる。日銀が政府に言われて適切な利上げをしないと市場が考えれば、インフレ率が目標の2%を超えていくという予想が織り込まれる。その結果、利上げしないことでかえって長期金利が上がってしまう。だから結局はインフレに応じた金利運営をせざるを得ない、というのが加藤氏の見方だ。
加藤氏は各国のイールドカーブ(金利曲線)を示した。日本は翌日物金利が先日の利上げで1.2%台なのに対し、30年国債利回りは4.2%近い。翌日物と30年物の金利差は、日本が主要国で最も大きい。日本に匹敵するのはフランスだ。フランスでは極右政権が勝てば財政をばらまくのではないかという懸念から、長期国債金利が上がっている。加藤氏によれば、イールドカーブの傾斜は先行きのインフレが収まりにくいと見られるときと、財政への信認が低下したときにつきやすく、日本では両方が重なっているという。
スイスとの対比:財政ルールと中銀の独立性
対照的な例として加藤氏が挙げたのがスイスだ。翌日物金利はほぼゼロ、30年金利は0.6%程度で、長い年限ほど日本との差が圧倒的に大きい。加藤氏は、これはスイスの財政への信認が極めて高いからだと説明する。スイスには原則として財政赤字を禁じるような仕組みがある。景気が悪いときや経済危機のときは国債を発行して赤字にしてもよいが、経済が回復したら前に作った借金を返済し、国の借金を極力減らすよう求められる。中央銀行の独立性も非常に高く、利上げに政府が口を出すことはないという。
インフレ率も低いため、スイスフランは上昇してきた。かつてスイスフランと日本円は二大安全通貨と呼ばれ、危機のときは「有事のスイスフラン、日本円」だった。今ではすっかり明暗が分かれたと加藤氏は述べた。
各国の最低賃金を円換算した比較も示された。日本は東京都が約1,200円、全国平均が約1,100円。スイスの都市は東京の4倍近い。スイスは時給が突出して高く、スイスフラン高の影響もある。ロサンゼルスも業種によっては最低賃金が高い。これだけ差があれば国内物価の水準も違ってくる。外国人観光客は日本に来て安いと楽しむ一方、日本では円安で生活コストが上がり、給料が追いつかず苦しい人も出てくる。加藤氏は、ここまで円安が進むとさすがにバランスを欠いていると評した。
ベッセント財務長官の発言はどう強まったか
加藤氏は、ベッセント財務長官が昨年夏から日銀に遠回しに利上げを求めてきたと指摘し、その発言を時系列で示した。
昨年8月13日には、日銀は「ビハインド・ザ・カーブ」(対応が遅れている)に陥っており、利上げでインフレを制御する必要があると述べた。金融政策の話だが、真意は利上げで円安を止めろということだったと加藤氏は読む。当時はまだ直接「円安を止めろ」とは言っていなかった。昨年10月29日の発言は、日本政府が日銀に政策余地を与える意思を持つことが、インフレを抑え、為替の過度なボラティリティを避けるうえで鍵になる、という趣旨だった。加藤氏によれば、これは日本政府が日銀の利上げを許さないからインフレかつ円安になっている、という意味だ。この頃はまだ円安や水準には触れず、「過度なボラティリティ」とオブラートに包んでいた。
その後、いら立ちが強まるにつれて発言は直接的になった。9月1日にはリフレ政策をやめるべきだと述べた。9月8日には「私が胴元だ」と発言した。私は日本が何をしようとしているかをよく知っている、君たちが望むなら俺に対抗して賭けてみろ、という趣旨だ。加藤氏は、特別な情報を持っていると言うカジノの胴元とは取引したくないと冗談を交えつつ、ほとんど内政干渉ではないかという言い方で、本来は大変な発言だと評した。ただし、言っている内容は意外に正しい、日銀はもう少し利上げしたほうがよいとも付け加えた。
ベッセント氏の焦りの背景
ベッセント氏がここまで言うのは、政権内でトランプ大統領に相当追い詰められているからではないか、と加藤氏は推測する。最大の要因は米国の長期金利上昇で、トランプ大統領がこれに怒り、ベッセント氏になんとかしろと言っているのだろうという。
加藤氏はつながりを次のように説明する。円安が進むと日本政府は巨額の円買い介入をする。実際には介入の後で米国債を売却して資金を手当てすることになり、円安が進むと米国債に売り圧力、つまり金利上昇圧力がかかる。米国としてはそれを止めたい。もう一つは貿易面だ。トランプ政権は関税を引き上げて貿易収支を改善しようとしているのに、日本だけが突出して通貨安になれば抜け道になってしまう。この二つが合わさって、日銀にはもっと利上げを、高市政権にはリフレ的な政策をやめて日銀が利上げしやすくするよう求めている、というのが加藤氏の見立てだ。こう考えると、直近の協調介入やその後も続く日米当局者の円安けん制発言とも辻褄が合う。
世界的な長期金利上昇とAI投資、「責任ある積極財政」
長期金利の上昇は世界的な現象で、加藤氏はその一因としてAI関連投資の規模を挙げる。テック企業の社債発行額が非常に大きく、それが米国債を押し出している。教科書的なクラウディングアウトは、政府が国債を大量発行すると民間の社債が押し出されて金利が上がるというものだ。今起きているのはその逆で、信用力の高いテック企業が大規模に社債を発行するため、米国債の金利を高くしないと買い手がつかない。そうした環境では、米国債より信用度の低い日本国債にはなおさら上昇圧力がかかりやすいという。
加えて高市政権は「責任ある積極財政」を掲げている。加藤氏によれば、実際には支出の抑制も効いているが、あえて積極財政というキャッチフレーズをつけているため長期金利が上がりやすくなる。今さらそれを撤回することもできない。加藤氏は、積極財政の基本方針は変えないにしても、長期的な財政の健全性に配慮する姿勢を見せたり、これまで日銀の利上げにかけてきたけん制を見直したりすれば、円安一辺倒ではなく円高方向への修正が効く可能性もあると述べた。
先日の内閣改造では経済分野の主要メンバーは変わらなかった。ただ最近になって、高市政権はリフレ政策をやっているわけではないという説明が出てきた。加藤氏は、これはベッセント氏に水面下で言われたのかもしれないと推測する。その説明を受けて、円相場は一時156円台をつけた。言葉だけでなく実際にインフレ抑制の方向へ向かい、高市政権では激しい緊縮は考えにくいにしても財政を多少健全化の方向に舵を切れば、円安トレンドがしばらく止まる可能性はあると加藤氏は見ている。
160円を超えると米国にも打つ手は少ない
加藤氏が危ういと見ているのは、再び160円を超えるような円安になった場合だ。ベッセント氏は「胴元」などと強い言葉を使っているが、実は打てる手はそれほど多くないという。
7月末の協調介入は、ふたを開けてみればわずか5億ユーロほどだった。しかも米国が持っていたユーロを売って円を買うという変則的な形だった。通常、米国がドル売り介入をするときは短期国債を発行してドルを調達するが、そうすると議会から、なぜ円のためにやるのかと突っ込まれる。後で面倒なことになるため、手持ちのユーロを円に替えることでお茶を濁した、と加藤氏は説明する。
ベッセント氏が言及したFRBのFIMAレポも、加藤氏は使いにくいと見る。日本政府が保有する米国債をFRBに差し出してドルを借り、それで介入する仕組みだが、これまで使われたことがない。金利を払う必要があるうえ、借りたドルはいずれ返さなければならない。返すにはドル買い・円売り介入が必要になり、それはいつやるのかという問題が出てくる。
こうした事情から、大幅な円安局面が来ると当局にできることは少ない。だから米国はその手前でなるべく円安を抑えたい。トランプ大統領に円安はけしからんと言わせるのも、市場を警戒させておくためだと加藤氏は見る。FRBが10月に利上げし、日銀が動かず円安が進みそうな状況になれば、ベッセント氏はまた強く日銀に利上げを迫るだろうという。
個人はどう備えるか:預金の目減りと変動金利型住宅ローン
MCは最後に、米国の中間選挙も控えるなかで今の金利・為替の状況をひっくり返すのは難しそうだとして、住宅や株を買う個人はどう考えるべきかを尋ねた。
加藤氏はまず、普通預金はこの5年で実質的に元本が十数%目減りしている状況だと指摘した。それは当面続きそうなので、預金からリスク性資産への資金シフトはまだ続き得るという。注目点は政府の金利に対するスタンスだ。政府がけん制して日銀に利上げさせたくないという姿勢が続けば、一時的に円高に振れても、またじわじわ円安が進むかもしれないという視点が必要だと述べた。インフレが目標の2%前後で止まればよいが、円安が止まらなければ上振れする恐れもあり、インフレヘッジとして株を持とうとする人も出てくるだろうという。
長い目で見ると、アルゼンチン、ベネズエラ、トルコのように激しいインフレに見舞われた国でも株価はとりあえず上がっている、と加藤氏は述べた。インフレを差し引くと実際にどれだけ上がったかは別問題だが、インフレ下ではリスク資産の価格が上がりやすい面はある。ただし短期的には変動するので、そこは各自の判断だとした。
住宅ローンについては、日本の政策金利の推移が示された。日本は長く0.5%以下が続き、ゼロやマイナスの時期もあったが、昨年末にかけて上がり始め、今ようやく1.25%まで来た。海外ではこの間、金利が上がったり下がったりしていた。住宅ローン利用者の実態調査では、変動型の比率が2006年7月には十数%しかなかった。当時はゼロ金利時代だったが、1991年頃には8%といった金利もあり、高金利の記憶が残っていたため、変動金利を怖がって固定期間のあるローンが選ばれていたのだろうと加藤氏は推測する。低金利が長く続くうちに金利は動かないような気がしてしまい、変動型の比率が大変高くなった。
しかし加藤氏は、日銀はインフレに応じて金利を上げていかなければ円安が止まらなくなるので、今後も上がっていくと見る。少なくとも2%に行く可能性があり、それでも円安が止まりにくい場合は2.5%程度もあり得るという。MCが、変動金利で借りている人はヘッジとして株を持つなどの備えを考えるべきかと確認すると、加藤氏はいろいろ考えていく必要があると答えた。そして、円安によるインフレで実質金利がマイナスになっていることが、さまざまな地殻変動を起こしていると述べて話を締めくくった。
不動産投資を学ぶなら楽待。
楽待チャンネルをご覧の皆さん、こんにちは。MCのDJ Nobbyです。今年は日米協調介入、そしてレートチェック、さらに2度にわたる日銀の利上げ。さらに先日の日米首脳会談ではトランプ大統領も円安への懸念を表明するなど、円高になりそうなイベントが続いていたにもかかわらず、足元の為替市場を見ますと、少しまた円安に戻りつつあるという状況かなと思います。現在の為替市場では一体何が起きているのかというところを、より深く知っていくために、今日はこの方にお話を伺いたいと思います。東短リサーチ、チーフエコノミストの加藤さんです。どうぞよろしくお願いいたします。よろしくお願いします。
加藤さんは日銀ウォッチャーとしておよそ38年、金融政策を見てこられたというプロフェッショナルでいらっしゃるんですけども、中でも東短が専門とされている短資市場というところですね。これ、一般の方にはあまり馴染みがないのかなというところもありまして、少しこの短資市場、そしてどんな調査を普段されているのか、教えていただいてもよろしいでしょうか?
はい。短資市場、あるいは短期金融市場と言いますけども、海外ではマネーマーケットと言ったりもしますけれども、金融機関が非常に期間が短いお金を貸し合っている市場がありまして、一番取引が多い期間だとオーバーナイトもの、わずか期間1日、今日から明日までの1日間、金融機関同士がお金を貸し合っている市場があるんですね。
はい。そういった市場の取引をやっているのが、東短リサーチの本社である東京短資でして。あと、グループ内としては、為替の取引の仲介をしている会社とか、あるいは国債の売買の仲介をしていたり、金利のデリバティブ関係の仲介をしていたりと、グループ内にいろいろあるんですけども、そこで調査部門としてやっているのが、私が所属しています東短リサーチと。基本的に金融機関とか機関投資家など、マーケットのプロの方々に情報提供をするというような仕事をしております。
調査というと、具体的にどんなものをご覧になって、どんなレポートを書かれたりするんでしょうか?
そうですね。一番我々に問い合わせが来るのは、日本銀行の今後の動きはどうなるのかというようなことですけれどもね。あと、我々、同業のネットワークがロンドンとかニューヨークとかありますので、そちらも使いながら、FRBがどうなるのかとか、ECBがどうなるのかみたいなことを、いろいろ考えながら、レポートなり、あるいは金融機関のところに行って、勉強会、講演会みたいなこともしますので。地方の金融機関にもよく行きますのでね、しょっちゅう、あまり東京にいなかったり。
はい。じゃあ、日本を含めた各主要国の中央銀行の動向みたいなところを。そうですね、メインとしてはですね。ウォッチしていらっしゃるというところかと思いますけれども、そうするとやはり気になってくるのが今、足元の為替市場。特にずっと言われていますが、円安というところかと思いますが、傾向としてはちょっと円安にはなっていますけども、どこと比べるかによって円安、円高というのは、なかなか基準がそもそも難しいのかなというふうに思いますが、足元の環境、あえて円安か円高か言わずに言うと、どうご覧になっていますか。
そうですね。一種、通貨危機と言ってもいいぐらい、円が弱い状況だろうなと。円の通貨危機。ええ。結局、介入しても介入しても止まらなくて、アメリカに協調介入してもらって、そのイメージでもって何とか支えているというような状況ですのでね。
実際、この春以降、政府が実施した介入の額、すさまじいものがあるわけですけれども、それでもなかなか円安圧力が止まらないということですので、そこには構造的、長期的な要因と、あと近年、新たに加わってきた金融政策から来る要因、これらが合わさってということだろうとは思います。
その巨額の、円高に戻そうとする力を加えたにもかかわらず、それでもまだまだ円安への圧力が強いということ。相当な圧力が続いているということだと思うんですけれども、この中身、なぜ介入が効かないのかというところを伺う。
そうですね。最初に今の為替の状況をちょっと見てみますと、ここに出ているグラフ、名目実効為替レートというもので、2020年の最初から最近までの様子です。2020年の最初を100としていますけれども、赤い線のこの円だけが下落していると。他の主要通貨は100より上で推移していますが。はい。これ3割ぐらい下げているということですね。
ええ。水色の線がイギリスのポンドなんですが、2022年のところでちょっと下に下がっているんですけども、あれはいわゆるトラスショックという、財源なき減税策を発表したら、その財政、イギリスは大丈夫かということでポンドがわっと売られたわけですけども。ただ今、この円の中期的な下落と比べますと、何かトラスショックもかわいく見えちゃう。ほとんど下げていない。そうですね。トラスショックはほんの数週間で減税策を撤回するということで、ポンドも元に戻っていったわけですけれどもね。日本の場合は、もう持続的に下落が止まらないと。時々、大規模介入をやっているわけですけれども、それでもトレンドを変えることはできていないと。
特に24年7月は、利上げを早めるのかなみたいな、そういう見方も加わって、介入もありましたけれども、両方相まって。しかもアメリカで景気がこの先大丈夫かなという、24年夏頃、そういう不安も出たりして、もろもろあって急に円高に行ったわけですけれども。しばらく24年の夏から25年の夏場にかけては、ボックス的な、ちょっとトレンドがはっきりしない動きでしたが、去年の秋ぐらいからまた円安が鮮明になってきてと。これ結局、高市政権になってきてからの財政政策であるとか、それから日銀の利上げを牽制する政府サイドのムードとか、そういうものがマーケットで、その評価が円安につながってきたということではありますね。
はい。そうすると、150円前後ぐらいというのが続いているイメージかなと思ったら、結構ずっと下落してきている。相対的に見るとということですよね。
個別例として、日本とアメリカの価格比較と、1ドル158円で計算すると載せていますが、野球場の生ビール、東京ドームだと900円ですけど、ロサンゼルスのドジャー・スタジアムだと3300円近くだったりとか。もうとても何杯も飲めないですね。900円でもちょっと高いなと思いますが、3200円。そうですね。私、これ見に行った時、大谷選手が見事ホームランを打ったので、2杯目行きたかったんですけども、さすがに6000何百円かとなるとちょっと止まりましたが。ただ周りのアメリカ人のおじさんたちは、平気で何杯も飲んでいますね。格差がありますね、そこに。ありますね。その他いろいろ載せておりますが、やっぱりこの円安だと、相当その価格差が広がるなということではありますね。
その背景ですけれどもね。長期的、構造的には、やっぱり日本の競争力低下による円安というのがベースには横たわっていますけれども、それ以外に、やっぱり近年の日銀の金融緩和からの修正が非常にペースが遅いと、すごく慎重であると。実質金利という点で見ると、日本はまだまだ金利が低いという話なんですが、一番左の青い縦棒は主要中央銀行の政策金利。今、日本は1.25ですね。そうですね。真ん中がインフレ率、それぞれの国のインフレ率。
日本は2種類載せておりますのは、去年の暮れのガソリンの暫定税率の廃止とか、あといろんな補助金で、インフレを表面的に抑え込んでいる面があるので、そういう要因を除いたインフレというのは、日銀が計算して出しているのが日本2なんですけれども。いずれにしろ、いつの間にか日本もそこそこのインフレにはなっているわけですね。かつてはデフレと、ちょっと前まで言われていたのに。そうですね。2.6ですね。はい。
政策金利からインフレ率を引いたもの、一番右のピンクの縦棒で、実質の政策金利ということになると、日本はまだマイナスと。なるほど。一般の方々の銀行への預金金利も、およそ日銀の政策金利に連動するわけですので、そうすると預金金利もインフレに負けて、実質金利がマイナス。つまり元本が目減りしていると。実質目減りするということですね。
はい。そういう環境では、やっぱりどうしてもお金は、例えば株式市場に行ったりとか、あるいは外貨の金融商品に流れたりするわけですので、やっぱりこういう実質金利が低い状態を維持していると、なかなか円安は止まりにくいということは言えると思いますね。
なるほど。これもだから円の価値が下がる方向に力が働きやすい状態が続いていると。そうですね。いうことだと思うんですけど。
本当は最初に見ていただいたグラフのように、円安があれだけ続いているのであれば、実質金利をむしろプラスの方に持ってこないと、円安は止まりにくいわけですが。ただ何分、去年まで過去30年、日本の政策金利って0.5%以下という低金利が長く長く続いていましたので、急に金利を上げるとあちこちでトラブルが起きそうだなということで、慎重にやってきたわけですが、その慎重すぎちゃって、最近はFRBもECBも利上げを再開するようになっちゃいましたから。9月に日銀は利上げしたわけですけれども、海外中銀も利上げしちゃうと、なかなか金利が追いつかないということも起きちゃっていますね。
そうですね。その実質、ピンクのグラフが、まだ利上げ余地があるというふうに見てもいい幅ということですね。
そう。本来はもっとマイナスを縮めなきゃいけないんだけど、そこであと、日銀が金利を上げると国債の金利が上がる面もあるということで、その政府との関係もいろいろ難しく、問題があって。そこで躊躇していると、日本の実質金利のマイナスがなかなか縮まらず、そうすると円安も基調として止まりにくいということですね。
はい、なるほど。じゃあ、この圧力がやはり続いてしまっているということは、円安の方向への、円を売ってドルを買うという動きがどうしても止まりづらいということだと思うんですが、それはどうなんでしょう。この先も続いていくのかというところで考えると、いかがですか?
そうですね。一方で、日銀はだんだん金利を上げていかざるを得ないなとはなってきているわけですが、円OIS市場というものがありまして、オーバーナイト・インデックス・スワップ市場というのですが、日銀の政策金利の先行きを予想する、事実上そういう市場なのですけれども。この表の左の方の1.5%へ利上げ、今1.25%ですけどもね。0.25ずつ日銀が上げていくということを前提にした場合の市場の織り込み度、昨日時点ですけれども、10月時点で41%。こないだ日銀の決定会合の後、9月18日ですと20%もないぐらいでしたので、結構上がってきていますね。
12月だと100%を超えていると。これ100%を超えると次の右の列に移るんですけれども、次の1.75%への織り込みは、12月は11%ですけども、来年3月だと100%を超えて112%と。それから2%への利上げの織り込みは、来年6月で94%ですから、ほぼ6月、7月なら完全にと、結構織り込んでいるんですよね。
じゃあ、1年以内に2%に上がる確率がかなり高いという。そうですね。来年の半ばということですね。さらに来年の12月まで行くと、2.25というところも織り込んでいますね。相当ペース早いですね、これ。
これでも本当にここ1週間で随分早い。あるいはさらに言うと、7月末に比べたら相当進みましたですね。やっぱり日米介入以降、アメリカが介入してくるという珍しいことまでするということは、アメリカは、ベッセント側は、円安の原因として日銀の金利が低すぎるというふうに見ているので、日銀に金利を上げろと言ってくるなと。実際、ベッセント財務長官はそういうことをたびたび発言していると。
日本銀行自身は、単に言われたから利上げするというわけではなくて、7月の段階から物価の上振れリスクというのを明確に心配し始めていまして。これは一つには、イラン戦争以降の中東要因での価格上昇というのが、卸売市場、企業部門の川上ではもう明確に起きているので。企業ですね。そうですね。しかし川下の消費者物価の方は、今、転嫁が始まってきたと。新たな価格転嫁が乗っかってきたということで、これがこの秋以降、より強まりそうだということを、日銀が一つ心配しているというのと。
それからAI関連の、今、世界中で大変な投資ブームですが、これが当面はいろんな需要を強めるので、物の値段を押し上げそうだと。さらには円安が進むと、日本企業は数年前と違って、円安による仕入れの上昇を割とすぐ、前よりも我慢せず転嫁する傾向もあるというので、それらも加わってくると、この秋以降の物価上昇率が高まってくる恐れがあるということで、利上げペースを早めねばという説明はやんわりとはしてきていたんですけども。
ただ、従来ですと高市政権、日銀の利上げを牽制しそうな感じがあるなということで、日銀がそう思っても本当に利上げできるのかなというのが、7月の下旬ぐらいのマーケットの見方だったんですけれども。しかし協調介入で、これはアメリカがいろいろうるさく言ってくるぞと。実際言ってきたぞということになると、そうすると日銀の思う通りの利上げができる、あるいは日銀が思っている以上の利上げをしなきゃならなくなるんじゃないかということで、この織り込み度がどんどん前倒しになってきたという感じですね。
政権側としては通常、支持率のことを考えると、あまり急激な利上げというのはしにくい。むしろ利下げをしてほしいということかと思いますけども、アメリカの圧力なんかも考えた、あと企業物価が大きく上がってきていると。イラン戦争がやはり長引きそうだということが、利上げの先行きをどんどん早めていっている、予想をね。
そうですね。アメリカのイラン戦争がどうも長期化しそうだということで、ここ数週間でやっぱり急激に、それによる物価上昇懸念、及びFRBの利上げが1、2回じゃ収まらず、もっと続くかもみたいな予想が入ってきたわけですけども。そうなると、それに先行き引きずられる形で、日銀も利上げしなきゃならなくなるんじゃないかと、OISの織り込み度が高まったという感じですね。
本当にでもこのペースで、今これ予想ですけれども、進むとしたら日米の金利差は相当縮まってきそうですね。
そうですね。ただ、アメリカも今、3回ぐらいは来年にかけて利上げする織り込みになってきていますのでね、ここから先ですね。そうすると日銀も2%まで上げても、実はこう平行移動していくだけと。実は例えば数か月前に、もし日銀の利上げスタンスが明確に打ち出されて、このぐらいの利上げをマーケットが予想するような感じだったら、数か月前だったらかなり円高方向に戻ったでしょうね。その時はもう140円台に行っていたかもしれませんけれども。ちょっと遅かった。遅かったですね。
結局、追い込まれる形で利上げだと、どうしてもマーケットの方はあまりそれを評価しないというか。なので、利上げの終着点、ターミナルレートと言いますけれども、もうこれだと少なくとも2.25、下の方、まだ先の方はここには載っていませんが、ぎりぎり2.5に行くかどうかぐらいの織り込みだと思うんですが。従来であれば、そこまで利上げすると日銀が姿勢を見せていたら、もう十分円高だったんでしょうけども、こう追い込まれる形だと、2.25、2.5ぐらいでも、どのぐらい円高に行くのかなみたいな見方をされちゃっていますね。
じゃあ、アメリカも利上げをしていくので、結局スライドしていって差はあまり縮まらないということだと、円高圧力にはなりにくいということだと思います。
ただ、かといって利上げしないと。そうですね。欧米が利上げしていく中では金利差が開いてしまいますからね。なので利上げせざるを得ないと。実際、10月の利上げの可能性というのも、FRBの10月利上げの可能性が高まれば高まるほど、日銀も追随してやらざるを得ないということにはなると思います。
はい。日銀の温度感はいかがですか、今、足元は。
9月18日の決定会合の直後の情報発信のムードからすると、10月に利上げする雰囲気は決して見せていなかったんですけどもね。柔軟にやっていくという言い方で、10月を否定しているわけではないんですけれども、しかし決して10月をマーケットに織り込ませるような、踏み込んだ発言ではなかったんですが。
ただ、ここに来て今、FRBが10月に利上げしそうだなと。10月14日のアメリカの消費者物価指数の発表はすごく大事ですけどもね。それを経て、もうアメリカの利上げが確定的になったりすると、ECBも多分利上げするでしょうし、そういう時に日銀が10月に利上げしないと、11月に入ってから相当円安が進みやすいでしょうから。また差が開きますもんね。そうですね。
選択できるような布石は打ちたいということになるでしょうから、10月の最初に植田総裁の講演があるだろうと思うんですけれども、そこで9月18日の記者会見よりはちょっと踏み込んで、10月、決して決まっているわけじゃないけど、あり得るかもよぐらいのニュアンスは出してくる可能性はありますね。なるほど。
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いずれにしても、日本が積極的にもっとペースを早く利上げをしていくということでないと、なかなか円安が収まらなさそうなんですが。そもそも円安というのは悪いことなのかということと、どれぐらいであれば許容範囲なのかというところで言うと、その辺りの見方は。
そうですね。もちろん、ある程度の円安の場合、特に日本の輸出大手企業にとっては収益にプラスになるわけですしね。あと、海外から観光客がたくさん日本に来るということでの、日本の国内観光業にとってのメリットというのもあるんですが。ただ円安が行きすぎてくると、今度は日本の中小製造業の方々は資材を海外から輸入して、国内の大手企業に納品していますので、その国内の大手企業がそういうコスト上昇を許容して、たっぷり値上げを受け入れてくれればいいんですけれども、現実はなかなかそうでもないので、中小企業の場合は得てして板挟みになりますよね。
また家計部門は、やっぱり円安になると、日本は食料自給率とエネルギー自給率が世界的に見ても低い国ですから、円安が進みすぎると生活コストの上昇ということになってきますので、それを上回る給料の増加というのがあればいいんですが、なかなか急には難しい。何といっても、今や年金受給の世帯が4割近くあるというのが日本ですので、年金生活の方は、事後的にはインフレに応じて年金が増えるはずではあるんですが、どうしてもタイムラグがありますからね。相当不安になられるでしょうしね。
先ほどの2020年からの為替レートのグラフとほぼ同じ期間なのですけれども、左側はトウモロコシの先物価格の、通貨ごとに計算した変化率。2020年の最初から最近までと。日本が圧倒的に上がっているわけですね。これ、要は円安ということなんですけどもね。トウモロコシは食用というよりも飼料に使われていますからね。仕入れる物がこんなに上がるというのは、いろんな食品の価格を押し上げやすいと。
それから右側は、やはり同じ期間、2020年からの原油価格の、アメリカのWTIを使っていますけども、これを通貨建て別に見てみると、これも円安ゆえに日本が突出して上がっているということですから、これもいろんな意味で生活コストの上昇につながりやすいと。
なるほど。これ、数字で見ると、そこまでは上がっていないかなと感じると思う。そう考えると、やっぱり中間である程度飲んでいる企業が多いということなのかと思うんです。
そうですね。ただ、これ、帝国データバンクさんがアンケートしている、主要食品メーカーへの食品値上げ品数なのですけども、3か月ごとにくくっていますけれども、一昨年、昨年、今年と。今年はピンクですが、この7~9月のピンク色の2026年の値上げ品目数、1万品目に近いところで急に増えてきているというのは、これやっぱり中東要因、あるいは円安もあって、価格転嫁がだいぶ、苦しみながらも転嫁しているということで。そうですね。この10月以降、10月は下期入りということもあって、割と値上げの多いタイミングでもありますが、この10月も結構値上げが多そうですね。
これはまたちょっと別の話で、ガソリンの1リットル当たりの小売価格を円換算したものなんですけども、日本は今、レギュラーガソリン1リットル170円ぐらいですよね。中東で何があっても170円にキャップをはめたような状態になっていますね。それだけ膨大な補助金を散布しているわけなんですが、海外を見ると結構高いんですよね。そう、日本は最低水準ですね。ええ。石油の産油国でもないのに、しかも円安なのに一番安いというのは、いかに財政資金を投入して抑え込んでいるかと。でもこれは裏返すと、やっぱり財政状況がじわじわ悪化していくことにもなりますね。
はい。そうすると川上ではやはり、もうどんどん値段は上がっていっている。日本は特にガソリンに関しては、かなり異常な状態になっている。今後やはり10月以降、例えば電気代、ガス代の補助がなくなったりとかというので、ちょっとずつまた物価も。そうですね。上昇に転じていきそう、もっと上がってきそう。
はい。日銀の特殊要因を除いたインフレ率、今2.6%ですけども、遠からず3%に乗ってくると思いますし、あと年が明けると、去年の暮れにガソリンの暫定税率を廃止した分の効果が剥がれますので。特殊要因を除いた数字だけじゃなくて、素のインフレの数字も、年が明けると3%を超えてくるだろう。インフレだなというのが、数字の上でもこれから見えてくるとは思います。
やはり我々が感じている以上に、円安の影響、特に川上では今、圧力が強まっているということだと思うんですが。やはり一部には、政府の、先ほどおっしゃった財政のことも考えると、急激な利上げはあまり良くないんじゃないかという意見も聞かれたりはするんですが、その辺りのご意見、どう思いますか?
これは非常に難しい話で、確かに日銀が利上げすると、期間が短い方の国債の金利はだいぶ連動して上がりますのでね、政府の利息の支払い額が増えちゃうということがありますが。一方で期間が長い方、20年とか30年という方は、市場の先行きの経済の見方、あるいは財政の見方で金利が決まってきますので、日本銀行が政府に言われて、適切な利上げが行えないのではないかと市場が思ってしまうと、日本のインフレ率というのは目標の2%を超えて行ってしまうんじゃないかという予想が織り込まれる。かえって利上げしないことで、長い国債の金利というのは上がってしまうと。結局はインフレに応じた金利の運営というのをやらざるを得ないところがあると思うんですけども。
これは金利曲線、イールドカーブと言われるものですが、翌日物金利から10年、20年、30年国債の金利を表していて、赤い太い線が日本の金利の状況です。翌日物金利は、こないだ日銀が利上げしましたが、1.2%台ですが、30年国債になると4.2%近いわけです。この翌日物金利から30年金利にかけての傾斜が、日本は非常にきつい状況にありまして。翌日物金利から30年金利までの間の金利差を表しています。
これ、日本が主要国で今一番大きいんですけども、今ちょっとフランスの財政が危ないんじゃないかと。極右政権が勝ったりすると、財政をだいぶばらまいて、まずいんじゃないかという心配で、今フランスの長い国債の金利が上がってきているんですけれども。日本はそのフランスに匹敵するぐらい、イールドカーブの傾斜がついていて、これはやっぱり先行きインフレが収まりにくいんじゃないかと見られると、この金利曲線の傾斜がつきやすいですね。あとはもう一つ、財政の信認が低下すると、やはり傾斜がつきやすいと。その二つは相まって起きますけれどもね。
対照的にスイスですけれども、こちらは翌日物金利はゼロですね。30年金利は0.6ぐらいですので、日本との差が、翌日物金利と30年金利の差を見ると、もう圧倒的にスイスは長く行けば行くほど低いわけですね。これ、信認が極めて高いと。
原則的に財政赤字を禁止するぐらいの、景気が悪い時とか経済危機の時は国債を発行して財政赤字にしてもいいんですけども、経済が回復してきたら、その前に作った国の借金を返済して、また極力、国の借金を減らしなさいという仕組みになっていまして。またスイスは中央銀行の独立性も非常に高くて、中央銀行が利上げする時に政府が牽制するとかいうことは全然ないんですね。へえ。そうすると、やっぱり財政の信認が高いと。極めて健全になって。実際インフレ率も低いので、そうなると、こんなに低いと。
このグラフの上の方、ピンク色の線がスイスフランですけども、スイスフランはどんどん上がってきていたと。もうかつては、ご存じのように、スイスフランと日本円といえば2大安全通貨で、危機の時は、有事のスイスフラン、有事の日本円だったのが、もう今やすっかり明暗が分かれてしまっているということではありますね。
ちょっとそこ、頭の中でアップデートできていなかったり、それほどスイスとの違いが出てきてしまったんですね。
各国の最低賃金を換算したものなのですが、日本は下の方の東京都1200円ぐらい、全国平均1100円ぐらいですけども。悲しいですね、これを見ると。このスイス、ジュネーブ州とか、もうすごい差になっていますね。4倍近いということですね、東京都の。はい。ちょっとスイスは突出して時給が高いんですけど、スイスフランが高いこともあってですけどもね。ただ、アメリカのロサンゼルスなんかも、結構、業種によっては最低賃金が高いですしね。そうですね。
こんなに違いがあれば、それは国内の物価水準も差が出るわけですから。ですから、外国の観光客がわんさか日本にやってきて、安いと、皆さんエンジョイしていると。一方、円安により我々は生活コストが上がって、給料がなかなか追いついていないので、生活が苦しい方々も出てくるという状況ではあるので。やっぱりここまで円安が来ますと、さすがにバランスを欠いているということではあると思います。
なるほど。そうすると、これだけ長期金利も押し上がってきているし、財政に対しての信認がやっぱりなかなかついてこないという中で、相当、円高に戻すというのは大きな障害がありそうですね。
そうですね。ベッセント財務長官の発言なんですが、去年の夏場から、結構、日銀に利上げしろということを遠回しに言っていたんですけどもね。本当に去年からこういうのがあったんですね。去年の8月13日も、日銀はビハインド・ザ・カーブに陥っている。これ、出遅れているという意味で、日銀は利上げを行い、インフレを制御する必要があると。これ、金融政策の話をしていますが、彼が言いたかったことは、利上げすることで円安を止めろということ。
その頃は直接、円安を止めろというのは、ちょっと控えて言っていなかったんですが、だんだん言い方が直接的になっていくんですけど。だんだん我慢できなくなって、いらついて直接的に言うようになっているんですが、例えば上から三つ目の去年の10月29日、日本政府が日銀に政策余地を与える意思を持つことは、インフレを抑え、為替レートの過剰なボラティリティを避ける上での鍵となる。つまり日本政府が日銀の利上げを許さないから、インフレかつ円安になっちゃっているでしょうということを言っているわけです。そういう意味なんですね。なるほど。
まだこの頃は円安とか水準の話には触れないようにしていて、過剰なボラティリティという、ちょっとオブラートに包んだ言い方だったんですが、もうだんだんいらつきが激しくなっていきますと、例えば9月1日とかですか、リフレ政策はやめるべきだとか。あと一番下ですかね、9月8日、私が胴元だ。これ強烈ですね。はい。私は日本が何をしようとしているのかを大変よく知っている。君たちが望むなら俺に対抗してみろと。
でも、何か私は特別な情報を持っているぞなんていうカジノの胴元がいたら、そこで取引はしたくないですけども。そのぐらい脅しをかけてきているわけですが、でもこれ、何なんだと、ここまで言うというのはと。これ、ほとんど内政干渉ではないかというぐらいの、ちょっと言い方だと思うんですけどね。本来、大変な発言をしていると思うんですが、悲しいかな、言っている話は意外に正しいと。やっぱり日銀はもうちょっと利上げする方がいいし、ということではあるんですけどもね。
ベッセントがここまで言うというのは、やっぱり相当、政権内でトランプ大統領に追い詰められているのかなと。一番は長期金利上昇、アメリカの長期金利上昇。これにトランプ大統領がかなり怒っていて、いらついていて、ベッセント財務長官に対して、何とかしろと言っているんだろうと推測します。
はい。そうすると、一つは円安が進むと日本政府はそれを止めようとして巨額の介入をするので、そうすると日本政府が持っている国債、米国債ですね、売却してキャッシュを手に入れ、それで介入することになりますので。実際は順番が逆で、介入した後に米国債を売却していくということになるんですが、そうすると円安が進むとアメリカ国債の金利上昇圧力が加わっちゃうと。やっぱりそれを止めたいということが、まず一つと。
それから、そもそもトランプ政権は関税を引き上げて、アメリカの貿易収支を改善させようとしてきているわけですので。しかし日本だけが突出して通貨安となると、ある種、抜け道になっちゃっているわけですよね。はい。維持になるので、そっちの観点からけしからんというのが相まって、円安を止めるように、日銀はもっと金利を上げろと。金利を上げやすいように、高市政権もリフレ的な政策はやめてくれということを言っているわけですね。
なるほど。そうすると直近の日米の協調介入もそうですし、その後も続いている日米間の円安に対する牽制発言というのも、整合性が出てくると、辻褄が合ってくるということなんですけども。やはりまだまだ今後も、長期金利の上昇だとか円安というのは、ちょっと抑えは難しそうなんでしょうか?
そうですね。一つ、やっぱり長期金利の上昇は今、世界的なものになっていますのでね。これは一つには、AI関連の投資の規模がすさまじくて、ハイテク企業の社債の発行額が大きくて、それによって米国債がクラウディングアウト、押し出されてしまうと。本来、教科書的にはクラウディングアウトというのは、政府が国債をいっぱい発行すると、民間企業の社債が押し出されて金利が上がっちゃう。教科書的にはクラウディングアウト。
今は逆で、民間部門の信用力が高いハイテク企業が大規模に社債を発行すると、米国債の金利を高くしないと買う人が出てこないと。でも、そういう環境下というのは、ましてや日本国債はもっと信用度が低いですから、日本国債にも押し上げ圧力は加わりやすいですよね。
日本の政権は、責任ある積極財政と言っていますが、積極的に財政支出を行うと。実際はそこは抑制も利いているんですけれども、ただ、あえて積極財政というキャッチフレーズまでつけちゃっているので、これ、やっぱり長期金利が上がりやすくなっちゃうわけですよね。それは撤回できないですよね。はい。その点で、そういう積極財政という基本方針は変えないと思いますが、もうちょっと長期的な財政の健全性に配慮しますよというスタンスを見せていく。
あるいは、今までは日本銀行に利上げをするなということで、いろんな牽制を発していましたが、その辺も見直していくとか。そういうスタンスの変更があれば、円安一辺倒ではなくて、もうちょっと円高方向に修正が利いてくる可能性もあり得るんですけれども。
はい。この間の内閣改造においては、経済の主要メンバーは変わっていないということなんですけども。ただ、多分またベッセント財務長官に水面下で言われたのかもしれませんけれども、ここ最近になって、高市政権は決してリフレ政策をやっているわけじゃないという説明が出てきたことで、為替が一時156円台に行ったりもしましたけどもね。
あれが言葉だけじゃなくて、本当にリフレ政策ではなくて、インフレをしっかり抑えると、こういう方向。あるいは財政、ある程度の、激しい緊縮政策をすることは高市政権の場合は考えにくいですが、多少は健全方向に舵を切るということがあったりすると、円安トレンドがしばらく止まるという可能性はあるんですが。
ただ今、危ないのが、仮にもう一度また160円を超えるような円安になると、ベッセントはいろいろ言っていますが、俺が胴元だとか、かかってみろとかいろいろ言っていますが、実は打てる手はそんなになくてですね。こないだの協調介入も、言われていますように、蓋を開けてみたら、たった5億ユーロ、ちょこっとしかやっていなかったと。そうですね、大きくなかったですよね。
しかもユーロを売って円を買うという、変則的な。なぜなら、ドル売り介入というのをやる場合、通常はアメリカ政府が短期国債を発行してドルを調達して、それでドル売り介入を行うんですが、ドル売り介入をやると、議会から政府がいろいろ突っ込まれるんですね。そうですね。ましてや、何で円のためにやるんだという突っ込みが来るので。はい。
そうすると、やっぱりやりにくい。後で面倒なことになるので、7月末の時は面倒くさいので、持っているユーロを円に換えるというのでお茶を濁したわけなんですが。なので、その次、160円を超えるような円安になってきちゃった場合、アメリカにできることは実はあまりなくてですね。
それから、FRBが、FIMAレポと言うんですけども、例えば日本政府が持っている国債をFRBに差し出すと、ドルが借りられますと。それで介入したらいいじゃないかとベッセントが言うんですけども、これも今まで全然使われていなくてですね。これ、金利を払わなきゃならないし、かつ一度使うと、どこかで借りたドルをFRBに日本政府が返さなきゃならないので。返すためにはドル買い、円売り介入をしなきゃならないので、それって一体何のことかということになっちゃうので。
いずれにしろ、次、大幅な円安局面が来ると、あまり当局にできることがないので、そういう意味では、その手前でできるだけアメリカとしては円安が進まないように抑えておきたいということもあって、トランプ大統領にも円安はけしからんと言わせたりとか。一応マーケット側を警戒させておくということなんだと思うんですが。それは逆に、FRBが10月に利上げとなって、日銀が利上げしないと円安が進みそうなんて時は。はい。
ベッセントはまたかなり強く、日銀もやれと言うだろうとは思いますね。
そうですね。なるほど。そうすると、打つ手がだいぶ限られてきているという状況、そして金利が高い状況が今後も続くだろうというところも、なんとなく理解ができたところではあるんですけども。最後に、今アメリカは中間選挙を控えているという状況でもありますが、やはり今のマーケットの金利状況、為替状況をひっくり返すっていうのは、なかなか難しそう。
そうすると、例えば今後家を買おうであるとか、あるいは株を買っていこうとか、いずれにしても金利上昇のリスクというのは受けてくるのかなと思うんですが、個人の投資家もですね。そうなると、個人レベル、個人投資家レベルで今後の投資戦略と言いますか、方向性というのをどのように組み立てていけばいいのか、その辺りを教えていただけますでしょうか?
そうですね。中長期的な視点でいくと、冒頭の方で申し上げた、預金をしていると実質の金利がマイナスで元本が目減りしてしまうと。普通預金をしていますと、この5年で10数%、元本が目減りしている状況かと思いますので。それは今後も当面続きそうということですので、そういう意味では預金からリスク性資産への資金のシフトというのは、まだまだ続き得るということかとは思います。
国の利払いを政府が懸念して、できればあんまり日銀に利上げさせたくないみたいなことが続いてしまうと、やっぱり円安トレンドがまた復活してしまうということはあり得ますので。ですので、政府のそういう金利に対するスタンスが変わったら話は別なんですが、そこは注目すべきなんですが、変わらないようだと、円高に来てもまたじわじわっと円安に行っちゃうかもという視点は必要でしょうね。
あと、インフレが目標の2%あたりで止まってくれればいいんですけれども、円安が止まりにくくなると、インフレ率がより上振れする恐れもあるので。そうなってきますと、やっぱりインフレヘッジとして株を買っておこうかという人も出てくるということだとは思います。
これ、長い目で見ると、例えばアルゼンチンとかベネズエラ、トルコとか、ああいう激しいインフレになった国も、とりあえず株価は上がっていたりするんですよね。ただ、インフレを差し引くと、果たしてどれだけ上がっているかなっていうのはあるんですけども。なんですが、インフレ下ではやっぱりリスク資産の価格は上がりやすい面はありますね。
ただ、もちろん短期的には変動しますので、そこはご判断ですが。あとは、やっぱり日銀の金利が上がってくると、長い目で見て住宅ローンも難しい面も出てくるわけですが、中央銀行の政策金利である翌日物金利、金融市場で金融機関が期間1日のお金の貸し借りをしている金利ですけれども。赤い線の日本の政策金利は0.5%に下がって、それ以降、去年まで30年間0.5%以下と、ゼロあるいはマイナスの時期もありましたが。それが今ようやく1.25までは来たという状況ですが、海外はこの間、結構上がったり下がったりしていたわけですね。
ところが日本はずっと上がっていなかったので、これ、住宅ローンの利用者の実態調査というものですが、赤いのが変動型、変動型住宅ローンですね。
だいぶ増えてますね。
2006年の7月は10数%しかなかったんですが、2006年はもうゼロ金利時代ですけれども。ただ、まだ金利が高かった頃の記憶が皆さんあったんでしょうね。91年ぐらいだと8%とか金利がついていたりもしていましたから。だから、変動金利だと金利が上がったら怖いなということもあって、もうちょっと固定期間がある住宅ローンが選ばれたりしていたんでしょうけども。それが低金利が長く続くと、金利って動かないような気がしてしまい、変動型の比率が大変高くなっていたわけですけれども。
ただ、これはしかし、インフレの状況に応じて日銀は金利を上げていかないと円安が止まらなくなるということがあるので、やっぱりこの先も日銀の金利は上がっていくでしょうから。少なくとも2%には行く可能性はあるし、円安がそれでも止まりにくい場合は2.5%ぐらいまでも可能性が出てくると思いますので。その辺も考えて、いろいろやっていくということが大事にはなっていきますね。
変動金利の方も、もう少しヘッジとして株を持っておくとか、そういうところは考えておくっていうのは、備えておかなければいけない。
いろいろ考えていく必要はあります。やっぱり円安によるインフレで実質金利がマイナスというのは、いろいろ地殻変動を起こしているということだとは思います。
ありがとうございます。
本日は東短リサーチ、エコノミストの加藤さんにお話を伺ってまいりました。本当に今、地殻変動が起こっているというところもお話を伺ったところでもありますけれども、金利が本格的な上昇局面、そして今後も円安がなかなか止まらない圧力が続くという可能性が高そうだというところの見通しも含めて、今後の投資、不動産の購入戦略など考えていただければと思います。
動画が面白いというふうに思ってくださった方は、チャンネル登録、高評価をどうぞよろしくお願いいたします。加藤さん、本日はありがとうございました。
どうもありがとうございました。
楽待チャンネル、IRニュースコーナー。
さあ、このコーナーでは楽待チャンネルを運営する楽待株式会社の投資家、株主の皆様向けの情報を1分でお伝えします。今回は東証スタンダード市場に上場する楽待株式会社の2026年7月期通期の決算発表についてお知らせします。
売上は36億1700万円で前期比14.5%増。営業利益は18億9900万円で23%増となり、通期の業績予想を売上、利益ともに上回りました。営業利益率は52.5%と高い水準を保ちながら、売上はこの5年で2倍になっています。
27年7月期は売上40億円と5期連続の2桁成長を見込み、年間配当は13円から16円へを予定しています。詳しくは概要欄、コメント欄のIR情報のリンクからご覧ください。
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不動産は楽待。
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