睡眠は「質」より「量」:柳沢正史教授が語る日本人の睡眠不足、ショートスリーパー、不眠症の実態
楽待 RAKUMACHI日本人の睡眠時間は先進国の中でも短く、経済にも損失を与えているというデータがある。私たちの睡眠についての常識は何が正しく、何が間違っているのか。この回の楽待チャンネルでは、覚醒物質オレキシンの発見で知られ、今年アメリカのラスカー賞を受賞した睡眠研究者・柳沢正史教授を招き、MCの森本しんたろうと、医師で芸人の井たくまが話を聞いた。柳沢教授の立場ははっきりしている。多くの日本人は自覚がないまま睡眠が足りておらず、睡眠の「質」を高めても「量」の不足は補えない。とにかく寝るべきだ、というものである。
オレキシンの発見とは何だったのか
冒頭、医師である井たくまが柳沢教授の業績を説明した。柳沢教授の研究チームが発見したオレキシンは脳内の物質で、ごく簡単に言うと受容体に結合すると覚醒状態を引き起こす。この物質は、突然強い眠気に襲われて寝てしまうナルコレプシーの原因に関わるものとして位置づけられた。さらに、現在精神科などで使われている睡眠薬「デエビゴ」や「ベルソムラ」は、オレキシンが受容体に結合するのをブロックして眠りを促す「オレキシン受容体拮抗薬」であり、柳沢教授の発見はこうした薬の元になったと井たくまは説明する。
井たくまは当初「日本でそれを発見した」と紹介したが、後に柳沢教授本人が訂正している。オレキシンを見つけたのはアメリカ時代で、場所はテキサスだった。柳沢教授はアメリカに24年間住んでいた。
ラスカー賞と「ジャパンイヤー」
柳沢教授が受賞したラスカー賞について、本人は「アメリカで一番権威のある医学賞」と説明する。今年は基礎医学研究、臨床医学研究、社会貢献の3部門があり、柳沢教授によれば今年は「ジャパンイヤー」だった。基礎研究部門は、同じく睡眠を研究するスタンフォード大学のエマニュエル・ミニョー教授と柳沢教授の共同受賞である。臨床部門は、中外製薬の研究者3名が、血が固まらなくなる血友病に対してまったく新しいタイプの治療薬を作ったことで受賞した。
社会貢献部門の受賞者は俳優のマイケル・J・フォックスだった。柳沢教授によれば、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で人気絶頂だった29歳ごろにパーキンソン病と診断され、その研究のために財団が支援した総額は50億ドル、日本円で8000億円を超える。自分の知名度を使って患者のために財団を作ったことが評価された。これだけの資金が一つの病気の研究に投じられれば研究は大きく進むはずで、パーキンソン病の研究者が羨ましいほどだと柳沢教授は語った。
また、柳沢教授が最近知ったところでは、1960年代以降、ラスカー賞の基礎研究部門の受賞者の2人に1人以上が後にノーベル賞を受賞しているという。
国民の睡眠時間とGDP:日本は「外れ値」
番組は「日本は寝ないから貧しくなったのか」という問いを投げかけた。柳沢教授は、因果関係まで厳密に証明するのは極めて難しいと前置きしたうえで、さまざまな状況証拠を合わせると「そう言いたくなる」と答えた。
その根拠の一つとして示したのが、ワールド・エコノミック・フォーラムが発表した調査である。縦軸に各国の国民の平均睡眠時間、横軸に国民1人当たりGDPをとったもので、睡眠時間はアンケートではなく活動量計(加速度計)で客観的に測っている。約100カ国を調べたところ、豊かな国ほどよく眠っているという強い相関が出たという。地域差もあり、ヨーロッパやアメリカの人はよく眠り、アジアの国々は短い傾向にある。
その中でも日本は「ほとんど外れ値」だと柳沢教授は言う。1人当たりGDPではもはや先端ではなく中間あたりだが、平均睡眠時間は全世界で最も短く、欧米の平均と比べると丸々1時間近く短い。
なぜ日本だけがこれほど短いのかは、柳沢教授にもわからないという。ネットやスマホ、夜の明るさがよく理由に挙げられるが、それは世界中どこでも同じである。日本と並んで短いのは韓国くらいで、両国に共通することを考えていくと、中高生のほとんどが塾に通っているという点に行き着く。これが効いているのかもしれない、というのが柳沢教授の見立てだ。
日本の子どもは9割が睡眠不足
柳沢教授によれば、多くの調査で繰り返し示されている通り、日本の中高生の9割は睡眠不足である。医学的に推奨される睡眠時間は、小学生で10時間(1年生と6年生でも違う)、中学生で9時間、高校生で8時間半とされる。小学生が7時に起きるなら9時には寝ていなければならないが、塾に行けば帰宅が10時になることもある。その時点で「完全にアウト」だと柳沢教授は言う。
柳沢教授の研究所には、さまざまな高校から理系の生徒が50人ほど見学に来ることがある。柳沢教授は1時間ほど睡眠の大切さについて講義するが、その間とても眠そうで、たいてい2〜3人は居眠りをしているという。わざわざ筑波大学まで、強制されたわけでもなく自分から手を挙げて来た生徒たちなのに寝てしまう。けしからんと言いたいのではなく「かわいそう」なのだと柳沢教授は強調した。
井たくまは自身の経験として、中学時代に部活が夜8時ごろまであり、その後塾に通っていたこと、睡眠不足で中学時代に一度ひどく心を病んだことを語った。
では塾をなくせばいいのか。柳沢教授は、中国がそれに近いことをしていると紹介した。柳沢教授の理解では、中国は中高生を遅くまで帰さないことを国の政策として禁止しており、その結果アンダーグラウンドの塾のようなものも生まれているため、どこまで徹底されているかはわからないという。競争の激しい中国ですらそうした手を打っており、今や塾通いが一般的なのは本当に韓国と日本だけだと柳沢教授は述べた。
柳沢教授自身は「廃止」とまでは言わない。提案するのは、日本の受験産業が持つノウハウを、たとえば公立の中学・高校がお金を払って取り入れ、昼間の学校にきちんと通っていれば真面目な生徒は受験に必要なことを吸収できるような仕組みを作ることだ。昼間は学校、その後に部活、さらに塾という「二重生活」では、眠れるわけがないというのである。
従業員の睡眠時間が企業の業績を左右する
続いて柳沢教授は、慶應義塾大学商学部の山本先生による論文を紹介した。日本の上場企業700数十社について従業員の睡眠時間を調べ、その平均値で企業をAからEの5グループに分けたものである。Aは従業員が最もよく眠っているグループ、Eは最も眠っていないグループで、縦軸に利益率をとると、よく眠っている企業ほど業績が良いという結果になった。
柳沢教授が特に重要だと言うのは、この研究がその後2年間にわたって追跡調査をしている点だ。1時点だけの調査では相関関係しかわからず、どちらが原因かは判断できない。しかし追跡の結果、AとEの差は開いていった。これを統計学的な因果推論で解析すると、よく眠っていることが好業績の原因であり、従業員の睡眠不足が業績悪化の原因である、と言えるのだという。グラフではDだけがCより上に来ており、出演者は冗談を交えたが、Aが一番上を保っている点は変わらない。
井たくまが「寝たら勤務時間が短くなって業績が悪くなりそうだ」と疑問を向けると、柳沢教授は、よく寝ることで1時間あたりにできる仕事の量、そしてそれ以上に質が良くなるはずだと答えた。寝不足ではすぐに頭のパフォーマンスが落ち、単位時間にできる仕事が減り、ミスも増える。さらに柳沢教授は、AIがさまざまなことをこなす時代には、寝不足の頭でできるようなことはAIでもできることであり、人間にしかできないことは寝不足の頭ではできないと指摘した。「これからの時代、従業員が寝てない企業は本当にダメになる」というのが柳沢教授の見方である。
そのうえで、いま叫ばれている健康経営は、見栄やステークホルダー向けのアピールのためにやるものではなく、なかでも睡眠が一番大事で、業績のためにやらなければならないものだと語った。残業させればよいという考え方ではないことが、このデータからわかるというわけである。
アメリカの子どもたちは塾に行かない
インターナショナルスクール出身の森本によれば、同級生で塾に通っている人はおらず、たまに家庭教師を呼ぶ人がいる程度で、放課後にアルバイトをする人も少なかったため、みんな睡眠が足りている感じがあったという。
柳沢教授には3人の娘がいて、3人ともアメリカで育った。柳沢教授によれば、アメリカで塾や家庭教師を利用するのは、むしろ授業についていけない子どもで、普通に勉強している子は行かない。娘たちも高校時代は夜10時ごろには寝ていたと思うという。
では睡眠の専門家として娘に厳しく言っていたのかというと、一度も言ったことはないそうだ。柳沢教授が睡眠学を始めたのは40歳になるころで、それまでは医学部でも睡眠についてはほとんど習わなかったという。それでも娘たちは誰に教わるでもなく「寝なきゃ」と早く寝ており、アメリカの良い大学に進んだ。勉強熱心ではあったが、ちゃんと寝ていたと柳沢教授は振り返る。
「7時間睡眠が最も健康」は意味がない
話題は最近よく耳にする「ショートスリーパー」に移った。柳沢教授はまず前提として、「7時間睡眠が一番健康」という言い方はあまりにざっくりしすぎていて意味がないと述べた。必要十分な睡眠時間には個人差があり、それ以前に年齢によって大きく変わるからである。
柳沢教授によれば、20歳の平均値は8時間20分ほどとされ、70歳では6時間半ぐらいになる。50年で2時間ほど差がつく計算だ。20歳で7時間で足りる人は少数派であり、逆に60〜70歳で7時間必要な人は、必要ない人のほうが多いくらいだという。さらに各年齢の中にも標準偏差でプラスマイナス1時間ほどの個人差がある。「7時間がいい」というのは全体をまとめた平均値にすぎない。
柳沢教授は「睡眠不足」が専門用語でもあることにも触れた。その定義は「その人にとって必要十分な睡眠時間を確保しない生活習慣」である。
ショートスリーパーはほとんどが「なんちゃって」
必要な睡眠量がつりがね型に分布しているとすれば、極端に少ない人や多い人がいる。そうした人たちを体質的なショートスリーパー、ロングスリーパーと呼ぶ。ただし柳沢教授によれば、ショートスリーパーには皆が認める明確な定義がない。多くの論文では6時間未満や5時間未満とされ、5時間を切る人はかなり稀だが、それも正確な数字は出ていないという。研究が進まない理由の一つは、本当のショートスリーパーは困っていないことだ。少ない睡眠でも元気で病気にもならず、眠くもないので医者に行かない。だから研究対象として集めるのが難しい。
井たくまが「5〜6時間睡眠の日は結構ある」と言うと、柳沢教授は、日本人には平均5〜6時間しか寝ていない人がざらにいるだろうが、それは無自覚な慢性的睡眠不足だと指摘した。5〜6時間が続いても仕事ができていると感じているため、それが自分の適正だと信じ込んでしまうのである。
その怖さを示す研究として、柳沢教授は有名な論文を紹介した。1日4時間しか眠らない睡眠制限を2週間続けると、頭のパフォーマンスは3日3晩寝ていないのと同じくらいまで落ちる。井たくまの補足によれば、一晩徹夜するだけで血中アルコール濃度0.1%相当になるとされ、これは人にもよるが日本酒3〜4合、ワインなら1本、生ビールなら2リットルを飲んだ状態に相当する。4時間睡眠だと5〜6日ほどで一晩の徹夜と同程度になるという。
問題は、4時間睡眠を2週間続けても、本人が感じる眠気は一晩徹夜したくらいまでしか上がらないことだ。つまり慢性的な睡眠不足は自覚できなくなり、眠いという感覚そのものが鈍ってしまう。慣れてしまうとも言える。柳沢教授は、4〜5時間でなんとかなっていると思っている「なんちゃってショートスリーパー」は多いが、ほとんどの場合は足りておらず、騙されたと思って長く寝てみると脳のパフォーマンスが良くなるのを自覚できると語った。
「寝すぎて眠い」は存在しない
週末にたくさん寝るとかえって調子が悪い、「寝すぎて眠い」という経験について、柳沢教授は二つの要因を挙げた。一つは「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)」で、週末だけ睡眠の時間帯が後ろにずれることで体内時計がずれてしまう効果である。もう一つは、一晩長く寝ることで脳が少しまともな状態に戻り、自分が眠いことに初めて気づくという効果だと柳沢教授は推測する。たっぷり寝た後も眠いのは、まだ足りていないということだ。慢性的な睡眠負債は1晩や2晩では返せないという論文もあるという。
柳沢教授によれば、厳密には人間は寝すぎることができない。その人にとって睡眠が本当に充足していれば、それ以上は眠れず、起きてしまう。だから「寝られるだけ本当は寝るべき」だという。理想は、起きなければならない時間に目覚ましが鳴らなくても自然に目が覚める状態であり、よほど早い時間でもないのに目覚ましで起きなければならない時点で、少し足りていない可能性がある。
自分に必要な睡眠時間を測る方法
自分の適正な睡眠時間を知る方法として、柳沢教授が勧めるのは「4日間続けて、寝られるだけ寝てみる」ことだ。途中で起きてもまだ眠ければ二度寝、三度寝をして、もうこれ以上は無理というところまで眠る。
働き世代の日本人はほとんどが寝不足なので、1日目はかなり長く寝る。若い人なら12時間、あるいはそれ以上寝る人もいる。2日目は前日にある程度借金を返しているので、そこまでは眠れない。3日目、4日目ぐらいで落ち着き、その落ち着いた時間がその人にとって必要十分な睡眠時間だという。多くの人は、これまでやりくりしていた時間より長くなり、自分はこんなに眠れるのかと驚く。柳沢教授は、睡眠が足りた4日目ごろの昼間の脳のパフォーマンスを自覚してほしいと話した。ただ、出演者からは「現代人がその時間を作るのは難しい」という声も上がり、柳沢教授も「それが問題」と認めた。
睡眠の質で量はカバーできない
では、すぐに睡眠時間を増やせない人は、睡眠の質を上げることで補えるのか。柳沢教授の答えは「不可能」だった。睡眠に関しては、基本的に質で量をカバーすることはできないという。
柳沢教授はその理由を、脳波で測った睡眠経過図(ヒプノグラム)を示しながら説明した。睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、ノンレム睡眠には浅い・中間・深いのN1、N2、N3の3段階がある。よく言われるようにノンレムとレムがサイクルを繰り返すが、実際のデータを見ると非常に不規則だ。平均1時間半と言われる周期も大きく揺らぐため、「1時間半の倍数で起きるとよい」という話には何の根拠もないと柳沢教授は述べる。良い睡眠の例は、上下の動きが激しくなく安定しており、目立った中途覚醒がなく、寝付きも良いものだという。
柳沢教授が示した事例の一つは30代の女性で、十分に眠っているのに眠いので睡眠の質を高めたいと相談してきた人だった。睡眠時間は5時間半から6時間ほど。ところが脳波を見ると、睡眠の質は非常に良く、これ以上良くするのは不可能なほどだった。最も深いノンレム睡眠である「深睡眠」も、若い人らしくたくさん出ていた。
柳沢教授によれば、睡眠不足の人はたいていこのパターンで、眠っている間の質はほとんどの人が良い。脳の睡眠要求が非常に高まっているため、眠れる間は必死で寝ている状態なのだという。つまり「質で補う」と言っても、睡眠不足の人の質はすでに高いのである。この女性に、騙されたと思ってもう少し長く寝てみてはどうかと提案したところ、非常に調子が良くなった。柳沢教授は「すごい単純なんですよ。アホみたいに単純」と表現した。
柳沢教授は、日本人の8割が「ちゃんと寝ているのに疲れが取れない」と言っているとされる点についても、全員とは言わないが、かなりの部分はおそらく単純な睡眠不足だと見ている。8時間寝ていると思っていても、それはベッドに入ってからの時間で、実際に眠ったのは1時間後ということもある。それでも8時間と言う人はまだましで、実際には6時間ほどしか寝ていないのに十分だと思い込んでいる人が多い。先に述べたように、特に若い層で6時間で足りる人はかなり少数だという。
不眠を訴える人の3分の2は実は眠れている
ベッドに入って時間を確保しているのに眠れないという場合は、別のカテゴリーだと柳沢教授は言う。いわゆる「不眠の訴え」である。ただし不眠の訴えだけでは病気ではない。寝付きが悪い、途中で起きてしまうといった訴えがあり、そのせいで昼間に眠い、元気が出ない、イライラするなど何らかの支障が生じ、それが数週間から数カ月続いている。これらをすべて満たすと不眠症と診断される。
柳沢教授が紹介したのは40代の女性の事例だ。脳波を測った日について本人は、朝4時まで眠れず、時計を見ていたから間違いない、5時ごろに起きてしまってそこからも眠れなかった、実質2時間半ほどしか眠れていないと話していた。本人は本当にそう感じていたのである。しかし脳波を見ると、40代としてはかなり健やかな睡眠で、深睡眠もレム睡眠もしっかり取れていた。3時過ぎから4時ごろに一度目が覚めており、そのときに時計を見たのだろうと柳沢教授は推測する。そこまでは合っているが、その間ぐっすり眠っていたのを本人は全く眠れなかったと感じ、朝の中途覚醒以降も実際にはまだ寝ていた。
柳沢教授は、こうした主観と客観の乖離を「睡眠誤認」と呼ぶが、患者に失礼だとしてこの言い方は最近嫌われているらしいと付け加えた。なお、睡眠中の一瞬の覚醒は誰にでもあり、ほとんど自覚もされず問題はない。数分以上続けば覚えているが、すぐにまた眠れるならそれもあまり問題ではないという。
この女性に脳波のデータを見せて丁寧に説明し、若者のように健やかに眠れていると伝えたところ、本人はそれを信じ、睡眠への不安が取れていって、やがて不眠の訴えそのものがなくなった。睡眠を可視化するだけで、ある意味治療になる人もいるということだ。
井たくまが、普通のメンタルクリニックではこうした検査はできないため、睡眠薬を処方されている人の中にも実際には眠れている人がいるのではないかと尋ねると、柳沢教授は、自分たちが昨年出した論文で、不眠を訴える人の3分の2がこのパターンだったと答えた。こうした人に睡眠薬を処方して何が起きるのか、と柳沢教授は疑問を呈する。現行の睡眠医療では、不眠を訴える人に客観的な測定をすることはなく、ガイドラインにも書かれていない。特にヨーロッパの専門家からは、不眠の訴えに対する客観測定は意味がないとまで言われるという。柳沢教授はそうは考えておらず、ガイドラインを書き換えるまでの道のりは遠いものの、客観測定をしながら診療を進めるほうが本当は正しいのではないかと述べた。
「寝るな」が効く:不眠症の認知行動療法
井たくまが薬以外の手段としてCBT-Iに触れると、柳沢教授は、不眠の治療で最も効果があるのがこの不眠症のための認知行動療法だと応じた。柳沢教授によれば、不眠を訴える人の多くにはちょっとした悪い癖がある。たとえば「寝なきゃ」と思って眠くもないのに早い時間からベッドに入ることだ。眠くないのにベッドで悶々とすることを続けると、パブロフの犬と同じような心理学的な条件付けが起こり、自分のベッドや寝室を「眠れない場所」として覚えてしまう。筋金入りの不眠症の患者には、リビングでリラックスして今日は眠れそうだと思っていたのに、寝室に入った途端に目が冴えてしまうことが本当に起こるという。
CBT-Iはさまざまな要素を組み合わせ、通常は臨床心理士などのプロが行う。柳沢教授によれば、その最も重要な要素は「睡眠制限」、つまり基本的に「寝るな」と指示することだ。朝起きる時間は固定し、それより前の遅い時間までベッドに行かないようにする。睡眠日誌をつけてもらい、たとえば自分は5時間しか寝ていないと言う人には、5時間半以上ベッドにいないよう求める。多くの人は最初、眠れないと言っているのに寝るなとはどういうことかと腹を立てるが、これが効くという。昼間は眠くなるが、それを我慢していると夜に眠れるようになる。ベッドにいる時間を縮めることで、その間の睡眠の質も上がり、自覚的にも眠れるようになり、続けていると本当に眠れるようになる。
不眠症でない人にも応用できる方法として、柳沢教授は、ベッドに入って眠れないときは20分ほど頑張ってだめならベッドを出たほうがいいと勧めた。薄暗いリビングなどでリラックスできることをして、本当に眠くなってから戻る。それで睡眠時間が1時間削られても気にする必要はないという。
スマホの問題は光ではなくコンテンツ
眠れないときについスマホでSNSを見てしまうという話に対し、柳沢教授は、スマホを一律に禁止する必要はないと考えていると述べた。スマホの光が良くないとよく言われるが、柳沢教授はそれを「ほとんど嘘」だとする。今のスマホは暗い場所では画面がかなり暗くなり、黄色っぽくなるようにできているので、その機能を使っていれば光はほぼ無害だという。
問題はSNSのような双方向的なコンテンツである。柳沢教授自身も時々やってしまうというのがショート動画で、AIがその人が面白いと思いそうなものを次々に出してくる仕組みが良くない。強い意志で自分で止められない人は、本当にスマホをやめたほうがいいと柳沢教授は言う。一方、一方通行でぼんやりリラックスして見られるもので眠くなるなら、それはむしろ良い。ワクワクするようなものは向かず、すでに内容を知っている動画や長めのトーク動画のほうが向いているという話になり、自分の動画で眠くなられては困ると井たくまが笑いを誘った。
柳沢教授の「入眠儀式」
柳沢教授が実際に使っているのは将棋の動画だ。柳沢教授は将棋を「見る」のが好きな、いわゆる「見る将」で、藤井聡太のファンだという。好んで見るのは、元奨励会員の「歩」という将棋YouTuberが、プロのタイトル戦の棋譜を解説する動画である。声が癒し系で、解説のレベルが自分には少し高すぎる。それを1.2倍速ほどにして、20〜30分の長めの動画を見ていると眠くなるという。大学でわからない授業を聞いていると眠くなるのと同じことが起きているのだろうと柳沢教授は言う。
大事なのは、眠れない人の多くが明日の仕事や今日あった嫌なことをぐるぐる考える「反芻」をしており、これをしていると眠れないという点だ。それを断ち切るために、少しくすっと笑える、注意をそらせる程度で、のめり込まないものを選ぶ。何が合うかは人によって違い、ミュージックビデオの人もいれば、内容を知っているお笑い動画の人もいる。これを見るとなんとなく眠くなるというものが見つかれば、それを習慣にするとよい。いわゆる「ベッドタイムルーティン(入眠儀式)」で、体がそれを良い意味で覚えるのだという。
柳沢教授のもう一つの入眠儀式は、つまらない論文を読むことだ。言っては悪いが、論文の8〜9割は面白くなく、予定調和で結論がだいたい読めてしまうものが多いという。そうした論文をPDFにして読んでいるとすぐに眠くなるので、今日はどの論文を読みながら寝ようかと考えることもあるそうだ。出演者は、ラスカー賞を受賞した研究者でもそうやって工夫して眠っていると聞くと、睡眠へのプレッシャーが軽くなると受け止め、前編の話はここで締めくくられた。
で、最近はこのショートスリープみたいなね、単語が話題になったりしてますけど。なんかよく聞きますよね。なんか泥酔してるのと同じ。4時間睡眠だとですね、2週間続けるともう3日3晩寝てないのと同じになっちゃうんですよ。本当にグダグダになっちゃうんですよ。何が怖いかと言うと、慢性的な睡眠不足、眠いという感覚そのものまで鈍っちゃう。
睡眠の質みたいなのを上げるとか、そういうことでなんとか睡眠時間の短さをカバーすることってできたりするんですか? それがね、不可能なんです。不可能だ。もうはっきり不可能。無理だ、寝ないと。睡眠に関しては質で量をカバーすることはできないです。すごい単純なんですよ。アホみたいに単純。本当に本当に足りてない。自分では足りてると思ってるだけで実は足りてない。
寝れるだけ寝ていいってこと? そう。寝れるだけ本当は寝るべき。これからの時代ね、従業員が寝てない企業は本当にダメになる。
不動産投資を学ぶなら楽待。
楽待チャンネルをご覧の皆様、初めまして。森本しんたろうと申します。よろしくお願いいたします。はい、初登場でMCということで、何卒頑張っていきたいと思います。お願いいたします。
さあ、今回のテーマはですね、研究の最前線から知る睡眠の新常識ということでございまして、日本人の睡眠時間は先進国の中でも短く、大きな経済損失を出しているというデータもございます。私たちの睡眠で何が間違いで何が正しいのか、本日はニート石井さんと共に掘り下げていきます。よろしくお願いいたします。ニート石井です。お願いします。
ニートと医師って相反するような気がするんですけど。はい。いや、本当奇跡の、僕だけが両立したという例で。オンリーワンの存在なんだ。ちょっとニートでやらせていただ…ちょっとなんか緊張してるんで、ルーティンだけやってもいい?
もちろん、もちろん。それでリラックスするなら。毎回お祈りしてからってやってるんで、ちょっとすいません。今から頑張るって。本当ちょっとすいません。お祈りの相手何なのかなと思いきや、誰ですか? これ、神になったしゅんしゅんクリニックP。しゅんしゅんクリニックP、お医者さん芸人の大先輩ね。これやらないと。これ毎回やってるんですか?
これやらない。これあれですよね。今日タマ森本… 違いますよ。僕のYouTubeチャンネルじゃない? タマ森本と思って… 違います、違います。冒頭で挨拶したでしょ? 楽待をご覧の皆様って。はい。そうなんですね。と思ってきちゃったなら、だいぶシフトチェンジしないといけない。そうですね。じゃ、ちょっとこっからは普通にお願いします。楽待ですか? 楽待チャンネル、切り替えていきましょう。不動産大好き。いや、切り替えすぎです。そこまで行かなくていいです。はい、ちょうど間ぐらいでお願いしますね。頑張ります。
さあ、ということで今回スペシャルゲストに来ていただいてるんですよね。はい、そうです。こちらですね、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構機構長で睡眠の権威、柳沢正史先生です。本日はよろしくお願いします。よろしくお願いします。いや、もうめちゃくちゃすごい先生です。すごい方ですよね。
もう僕でも存じ上げてるぐらいすごい方なんですけど、お医者さんから見て柳沢先生のすごいところっていうのは。
いや、これマジでもうトップオブトップの、日本で世界的な事実を発見したっていうことで。オレキシンっていう物質があるんですけど、それを発見されたんですよね。で、このオレキシンっていうのは何かっていうと、脳の中の物質で、ものすごい簡単に言うと、それが受容体とくっつくと覚醒状態をさせるような物質なんですけど、それを発見されて。で、それがまずナルコレプシーっていう、突然もう眠気が襲ってきて寝ちゃうみたいな病気の原因物質として、そういうのがあるよっていうの。
プラスあとは、今だと睡眠薬のデエビゴとかベルソムラって呼ばれるような、いわゆるオレキシン受容体拮抗薬と言って、これがくっつくと起きるんですけど、ここをブロックしてやることで睡眠を促すという、今結構ホットな、精神科とかで睡眠薬として使われてるお薬の元を発見されたという。すごいことですよね。これすごいことなんですよ。マジで日本でそれを見つけたっていう方がいらっしゃるっていうのは。とんでもない方と今から我々お話できるってことですよね。ボケてる場合じゃない。そうですよ。本当に。
今のやり取り無駄でしたよ。怖かった。横でそんな状態で、しゅんしゅん神様のとか。そんな怖がりながらしゅんしゅんクリニックPを見せてたんです。恐ろしい。もう芸歴5年目の勝負を僕は今やったんで。怖い。本当に、時にはそういったアグレッシブな姿勢も必要だと思いますから。というわけで柳沢先生、よろしくお願いいたします。
はい。最近で言うと、柳沢先生はラスカー賞というのも受賞されました。おめでとうございます。ありがとうございます。こちら改めてどういった賞なんでしょうか? ラスカー賞って、アメリカで1番権威のある医学賞なんですね。
今年は3つ分野があって、基礎医学研究と臨床研究と、それから社会貢献、3つの分野で受賞があってですね。なんと今年は本当にジャパンイヤーで。基礎研究が、私と同じ睡眠を研究してるスタンフォード大学のエマニュエル・ミニョー教授という方と2人で共同受賞。で、臨床部門はですね、なんと中外製薬の研究者3名が、血友病っていう血が固まらなくなっちゃう病気の、全く新しいタイプの治療薬を作ったということで、これも素晴らしい研究で。
それから社会貢献がですね、なんとマイケル・J・フォックスさん。俳優の。そうなんですね。彼はバック・トゥ・ザ・フューチャーでもう人気絶頂の時に、29歳ですかね、パーキンソン病と診断されて、パーキンソン病の研究のためにその財団が支援したお金の総額が50億ドル。50億ドル、8000億円。8000何百億円。とんでもないスケールですね。パーキンソン病研究だけですよ。特化した研究でそれぐらいのお金を。ものすごい額ですよね。要するに財団を作って、自分の知名度を使って患者さんのために。それに対する賞という。
それだけ多くのお金をかけることによって、研究っていうのはぐっと進むもんなんですか? 進んだんだと思いますね。むしろパーキンソン病を研究してる方々が羨ましいぐらいですよね。それだけの潤沢な資金があって。
いや、だからそれを受賞されたということで、ノーベル賞をその後に受賞される方も結構いらっしゃるんですよね。なんかね、私も最近知ったんですけど、特に基礎研究部門の受賞者に多くて、1960年代から今までで、その基礎研究部門のラスカー賞を取った人の約2人に1人以上って言ってましたね。あ、そうなんですか。2人に1人以上が後にノーベル賞を取ってるんだ。そうです。すごい。激アツじゃないですか? パチンコみたいな状態。ちょっとワクワクしますよね。後のノーベル賞にも。
そんな先生にね、たくさんお話聞ければなと思うんですけども。日本は寝ないから貧しくなった。これ本当なんでしょうか? そこの因果関係まできちんと証明するのはもちろん極めて困難なんですけど、色々な状況証拠を合わせると、私はそう言いたくなります。なるほど。
1つはですね、これ結構有名な調査なんですけど、ワールドエコノミックフォーラムっていうシンクタンクみたいなのがあるんですけど、そこが発表してるんですが、縦軸がいろんな国の国民の平均睡眠時間なんですよ、それぞれの。で、これはアンケートじゃなくて、ちゃんと活動量計、加速度計を使って客観的に測った平均睡眠時間。横軸がですね、国民1人当たりのGDPということで、右の方がリッチな国というか、生産性の高い国ですね。そうすると、100か国ぐらい調査してるんですけど、すごい綺麗にですね、正の相関があるんです。リッチな国の方がよく眠ってる傾向にある。で、地域差もあって、やっぱりヨーロッパ、アメリカは眠ってる傾向にあって、アジアの国々はやや短いんですけど。
日本はその中でもね、外れ値なんですよ、もうほとんど。あ、そんなにですか。国民1人当たりのGDPだと日本はもはや先端じゃなくて真ん中辺なんですけど、平均睡眠時間はもうね、ビリです。本当に全世界で1番短くて、ヨーロッパや欧米の平均値から比べると、まるまる1時間近いですよね。それ、なんで日本だけ特に極端に短いんですか?
日本と、あと韓国ぐらいなんですけど、わかんないんですよ、これがなぜなんだか。理由は不明なんですね。アジアの国々の中でも日本は特に短い。色々想像はつくんですが、例えばよく言われるネットとかね、スマホとか、夜が明るいとか、でもそんなの世界中そうなんですよ。そうですね。なんでそれが日本だけなのってなるわけですよね。わかんないんですよ。
で、唯一韓国と日本に共通することって考えていくとですね、子供たちが、中高生がほとんど塾へ行く。ああ。これがね、この2つの国が共通してる部分で、それが効いてんのかなっていう気もしますね。そっか。10代の頃から活動時間が遅いっていうのが身に付いちゃってるんじゃないか。
そう。で、もうね、これ多くの調査で繰り返し言われてるんですけど、日本の子供、もう小学校高学年ぐらいから中学受験があるじゃないですか。で、中学生、高校生、もう9割は睡眠不足なんですよ。え、あ、そうですか。医学的に推奨される睡眠時間って、小学生はもう10時間。1年生と6年生でも違いますけど。で、中学生9時間。高校生でも8時間半って言ってて。それだけ寝てる子いないでしょ? 日本。いないですね。足りてないでしょうね。
だってね、小学生10時間寝なきゃいけないって言ったら、例えば7時に起きるとしたら、もう9時には寝てなきゃいけないわけですよ。で、塾行ってると、うちに帰ってくるのが10時だったりする。そうですよね。10時ぐらいまでクラスのある塾もありますよ、小学生でも。もうだから完全にその時点で完全にアウトなんですよ。ってことか。じゃあもう小学生の時から睡眠不足が続いているっていう。
そう。それで中高生、本当に日本の中高生見てるとね、かわいそうになるぐらい眠そうですよね。私たちの研究所に、よく理系の子が50人ぐらい、いろんな高校からね、見学に来るんですよ。で、私そういう時に1時間ぐらい、睡眠がなんで大事かって講義するんですけど、その講義の間ものすごい眠そうで、大抵2、3人は居眠りしてますよね。
しかも睡眠の重要性みたいなことを言われてるから、寝るのもちょっと罪悪感が薄れるというか、うとうとしてんのもこれいいのかな。いや、わざわざね、筑波大学まで見学にわざわざ来て、しかも強制的に来させられてるわけじゃないわけですよ。手を挙げた子が来てるわけ。自主的に来てるにも関わらずね。だからそれなのに寝ちゃうって。いや、だから僕は別に寝てけしからんって言ってんじゃなくて、かわいそうなんですよ、もう。そうですよね。睡眠が足りてたら、そのお話もきっと聞けるわけですからね。
そう。いや、塾を全部潰した方がいいってことですね、だから。結論的にはないでしょ。でもね。いや、ないですか? それボケじゃないんですよ。マジっすか? いや、中国はそれに近いことやってるんですよね。塾を基本的に禁止したのかな。というか、とにかく中高生を遅くまで帰らせないのは禁止してるんですよ。本当に国のレベルで。で、なんかそのせいで、アングラの闇の塾みたいのはできてる。禁止されたらそういうのが出来上がりますもんね。だから、どこまで完璧かはわかんないけど、国の政策としては本当に禁止してるらしいんですよ。
なんかイメージ、中国はもう寝ずに勉強して。いや、いや、中国もご存知のようにものすごく競争が激しい国なわけでしょ。だから本当に今や韓国と日本ですよ。
石井さん、中学校、塾行ってました? いや、めちゃくちゃ行って、もう寝ずに。あと思うのが、部活とかも日本って結構がっつりやる。あ、確かに。8時ぐらいまで部活やって、その後僕も塾行ってたんで、もう本当に目バッキバキで。小学校ぐらいからやってて。確かそれで僕も中学の時1回めちゃくちゃ病んだんで、睡眠不足のせいで。だからマジで塾は廃止した方がいいって言ってください。なんで僕が代表して言わなきゃいけないんだよ。説得力ないでしょ、僕が言ったら。
いや、だから廃止って言うとあれなんだけど、マジで言うと、受験産業ってすごいじゃないですか、日本の。その受験産業の方々のノウハウをね、例えば公立の中学高校でお金を払って取り入れるとかして、普通に昼間の中学高校だけちゃんと通ってれば、真面目な子はそれでノウハウも含め受験に対応できるようなシステムを作るとかしないと。だって子供は二重生活じゃないですか? 昼間の学校行って部活やって、その後塾に行って。これ眠れるわけないんです。そもそも昼間の学校でこと足りるようにするってのが大事ですよね。
そうですね。せっかく出てるから、この図を説明させてください。これね、慶應大学商学部の山本先生っていう方の有名な論文なんですけど、これですね。ABCDってあるのが、日本の上場企業700数十社の従業員の睡眠時間を調べて、従業員の睡眠時間の平均値で5つのグループに分けてるんです。従業員がよく眠ってるグループがA。1番従業員が眠ってない企業グループがE。そうすると結論は簡単で、縦軸が利益率なんですよ。要するに企業の業績。分かりやすいですね。分かりやすい。だから眠ってる企業ほど業績がいいんですよ。
しかもね、これすごいのは、その後2年間にわたってフォローアップをやっていて、そうするとですね、AとEの差が開いていってるのわかりますよね。だからここから統計学的な因果推論っていうのができて。単なる1か所1回だけだと相関関係でしかないじゃないですか。どっちが鶏でどっちが卵かわかんないわけですけど、これフォローアップして数学的に解析すると、よく眠ってることが好業績の原因であると、従業員の睡眠不足が業績が悪いことの原因であるということになりますよね。まで言えてるんです。3年間調査したからこそ分かる。やっぱこの寝ればAみたいに売上が上がるってのもありますし、めっちゃ頑張ってるなってのもあります。
そうですね。これたまたまDだけちょっと外れてる。寝ずにも頑張ろうって。Cよりも上なんです。Cが良くないかもしれない。ちょっとCがちょっと出すぎかもしんないですね。でも間違いないのは、Aが1番上をキープしてるということですもんね。でも普通、寝たら勤務時間が短くなって悪くなりそうですもんね。
いや、だけどよく寝ることで、多分その会社にいる1時間あたりにできる仕事の量も、それ以上に多分質がすごく良くなるんですよ。本当にね、寝不足だととにかく即座に頭のパフォーマンスが落ちていくんで、単位時間にできる仕事が減っていくし、ミスも増えるし。もっともっとひどいのは、今の時代、AIでいろんなことやってくれるじゃないですか。寝不足でできるようなことはAIがやれることなんですよ。本当に人間じゃなきゃできないようなことって、寝不足の頭じゃできないんです。ってなってくると、AIも活用しつつ、ちゃんと睡眠をとって人間がやるべきことを人間がやる。そう。これからの時代ね、従業員が寝てない企業は本当にダメになっていく時代ですよね。だから海外と比べても怖い。
森本さん、あれですよね、インターナショナルスクールですよね。そこではどうなの? 睡眠とか、外国って考えたら。睡眠に関してレクチャーを受けるとかはもちろんないですけど、塾行ってる人はいなかったですね。たまに家庭教師とか呼んでる人はいましたけど、学校終わりに塾行くとか、アルバイトしに行くっていう人も少なかったんで、割とみんな睡眠が足りてる感じありましたね。
そう、私、子供が3人いて、3人ともアメリカ育ちなんです。私アメリカに24年もいたんで。あ、さっきね、訂正しなきゃいけない。オレキシンはアメリカで見つけたんです。あ、そっか、アメリカです。見つけたのは先生たちの研究チームで、場所はアメリカ。なるほど。テキサスですけど。すいません、ちょっと間違いました。
で、私、3人娘がいて、3人ともアメリカ育ちなんですけど、塾とか家庭教師に行く子はむしろ落ちこぼれというか、ちょっとついていけない子がですよ。ああ、なるほど。で、普通に勉強してる子は行かない。だからうちの子も、誰に教えられるまでもなく、本当に10時ぐらいには寝てたと思いますね、高校生の時。先生は睡眠の権威だから、お子さんが夜更かししてるとちょっと厳しく叱った? いや、それ全然言ったことないです。ていうか私、睡眠学を始めたのがもう40になりつつある年だったんで、それまでは睡眠の字も。医学部で睡眠のことって習わないですよね。いや、そう。医学部は寝てないんで基本的には。そうですよね。確かに睡眠不足なイメージありますけどね。
いや、だから親として寝ろとか言ったことないんだけど、誰に教わるまでもなく、もう寝なきゃ寝なきゃって早く寝てましたよ。うちの娘たちはちゃんとお勉強できる子たちで、みんなアメリカのいい大学行ったんですけど、いや本当に、ガリ勉ではあったけども、ちゃんと寝てたと思います。それだけ効率がいいってことですよね。
だから本当にね、企業にとってね、話戻しますけど、もう健康経営が今叫ばれてますけど、健康経営って見栄とかね、ステークホルダー云々とか、社会的なあれとか、そういうことのためにやることじゃないんですよ。もう健康経営、特に睡眠が1番大事で、もう業績のためにやんなきゃいけないってことですよね。ということですよ。もう残業させればいいみたいなことではないということがこれで分かるということですよね。
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で、最近はこのショートスリープみたいなね、単語が話題になったりしてますけど、これについてはどうですか? あのですね、まずベースになる話からするとね、よくいろんなとこで7時間睡眠が1番健康だとか言うじゃないですか。あれはあまりにもざっくりとした言い方すぎて、あんまり意味がないんです。意味がないと言ってる意味は、必要十分な睡眠時間って個人差があるんですよ。
それ以前にまず年齢によって変わるんですよ。もちろん子供はすごくたくさん寝なきゃいけない。大人になっても、例えば20歳だと平均値として8時間20分とか言われてますね。あ、かなり長い。20歳だと平均でなんですね。平均値が。ところが例えば70歳だと6時間、多分半ぐらい。だから50年かけて2時間ぐらい差がつくんですよ。20歳の若者で7時間で足りる人は少数派です。60歳、70歳のおじいさんで7時間必要な人は、まあ、必要ない人の方が多いぐらい。だから全然違うんですよ。
で、しかも各年齢ごとに個人差があって、標準偏差でプラスマイナス1時間ぐらいって言われてるんですよ。だから7時間がいいっていうのは、本当に全体をぐちゃっとまとめた平均値でしかない。本当ざっくりっていうことなんですね。意味がない。例えば睡眠不足って実は専門用語でもあるんですけど、定義をすると、その人にとって必要十分な睡眠時間を確保しない生活習慣が睡眠不足。
なので話を戻しますとですね、プラスマイナス1時間ぐらいの個人差があって、おそらく必要睡眠量っていうのも釣鐘型の分布になるわけですね。そのうちの極端に少ない人とか極端に多い人がいて、そういう方々を体質的なロングスリーパーって言ったり、ショートスリーパーって言ったりするんですよね。
1番短くてどれぐらいとか、限界というかあるんですか? 実はですね、ショートスリーパーのきちんとした、みんなが認めてる定義ってなくて。あ、そうなんですね。多くの論文では6時間未満とか5時間未満とか。で、5時間を切るともう相当稀ですね。それもね、きちんとした数字が出てないんですよ。数字が出るほど研究できてないし、私はそういうきちんとした論文を見たことがないし。ショートスリーパーって困らないじゃないですか。病気じゃないわけですよね。なんて言うのかな、全く寝なくても元気で病気にもならない。眠くもない人たちなんで医者に行かないんですよ。そっか。別にそれが悩みじゃないですもんね。そう。だから集めるのも難しい。
でもなんか5、6時間だったら意外とそんな日ないすか? 結構。いや、ありますね。じゃ、ショートスリーパーってことすか? でもそれでいつも通りのパフォーマンスが出せるのであればっていうことになります。そう、それを言いたかったんですけど、日本人、まあ平均5、6時間しか寝てないよって人、ざらにいるじゃないですか、多分。でもそれは慢性的な睡眠不足なんですよ。で、しかも無自覚な。ってことですよね。5、6時間がずっと続いて、仕事も別にできてると思ってるから、あ、5、6時間が適正なんだなって自分自身で信じ込んでる人がいるけども。
で、そこがね、慢性的な睡眠不足の怖いところで、これも論文が出てるんですけど、例えばですね、1日4時間しか眠らない状態、睡眠制限を2週間続けると、頭のパフォーマンスはもうね、3日3晩寝てないのと同じぐらいになっちゃうんですよ。もうグダグダですよ、はっきり言って。
なんかよく聞きますよね。泥酔してるのと同じになるみたいな。えっとね、一晩徹夜するだけで血中アルコール濃度0.1%相当になると言われてて。0.1%っていうのはですね、人にもよりますけど、日本酒3から4合、ワインだったらワンボトル。え、ワンボトル。ワンボトル飲んでるのと一緒。徹夜すると。生ビールだったら2L。それを飲んだぐらいの頭のパフォーマンス。一晩の徹夜で。あ、そうですか。
その4時間睡眠だとですね、確かもう5日か6日で一晩徹夜ぐらいになっちゃうんですよね、頭のパフォーマンスで。そうなんですね。2週間続けるともう3日3晩寝てないのと同じになっちゃうんですよ。だから本当にグダグダになっちゃうんですよ。
ところが何が怖いかと言うと、2週間4時間睡眠を続けてても、自覚的な眠気は一晩徹夜ぐらいまでしか上がっていかない。ああ、なるほど。それ以上上がっていかない。3晩分の眠気は来ないということですか? そう、そう。これ有名な論文で、だから何が言いたいかというとですね、慢性的な睡眠不足って自覚できなくなっちゃうんですよ。要するに眠いという感覚そのものまで鈍っちゃう。あ、そういうことなんですね。本来はそれぐらい眠いのに気づかない。そう。あるいは慣れちゃうとも言えますけれども。
だから、そういう人結構いるんですよね。なんちゃってショートスリーパーで、自分はもう結構いけてると、4時間5時間でなんとかなってると思って。なんだけど実はその人にとってはほとんどの場合足りてなくて、騙されたと思ってちょっと長く寝てみると、やっぱり脳のパフォーマンスが良くなるってことを自覚できるんですよ。
それがよく、寝すぎて眠いとかって言うじゃないですか。ありますね。寝不足だったから土日でガーっと寝たら、かえって調子悪いみたいな。あれもですね、難しいんですけど、1つは体内時計が、いわゆるソーシャルジェットラグ、社会的時差ボケって言うんですけど、週末だけ睡眠相が後ろにずれるから体内時計がずれちゃうっていうね。そういうエフェクトもあるんですけど、多分ね、あれは一晩長く寝ることで急に眠気が自覚できるようになるんですよ。要するに脳がちょっとまともな状態に戻って、あ、自分は眠いんだって気がつくみたいな。ああ、なるほど。
それは、たっぷり寝た後もまだ眠いっていうのは、まだ足りてないよってことなんですか? そう。まだそこでは足りてないんですよね。これも論文があってですね、慢性的な睡眠負債って1晩2晩じゃ返せない。あ、そうですか。いや、だから寝すぎて眠いってよく言うけど、厳密に言うと人間って寝すぎることはできないんですよね。要するにその人にとっての睡眠が本当に充足していたら、それ以上眠ることはできないんです。起きちゃうんです、人間は。
なるほど。じゃ、寝れるだけ寝ていいってことですか? そう。寝れるだけ本当は寝るべきなんです。だから理想的に言うとね、本当に朝、大体起きなきゃいけない時間に目覚ましが鳴らなくても起きるのが、本当はその人にとって多分足りてる状態で。よっぽど早いとかだったら別ですけど、普通の時間に目覚ましで起きなきゃいけない時点で、もうちょっと足りてない可能性がある。
その自分の適正睡眠時間ってどうやったら分かるんですか? さっき言ったことと関係するんですけど、私がよく言うのは、4日間続けてやんなきゃだめなんですけど、連続で4日間、寝れるだけ寝てみる。へえ。それが1番確実な方法で。寝れるだけと言ってる意味は、例えばちょっと起きてもまだ眠かったら二度寝、三度寝して、とにかくもうこれ以上無理っていうとこまで眠るんですね。
そうすると、日本人の働き世代はそういうわけでほとんどの方が寝不足なので、1日目は相当寝るんですよ。若者だともう12時間とか、もっと寝る人もいます。で、2日目は1日目である程度借金を返してるんで、そこまで寝れないんですよ。寝ようと思っても短くなります。で、3日目、4日目ぐらいで落ち着いてくるんですね。この落ち着き先があなたにとって必要十分だ。なるほど。この4日目の、できるだけ寝た時間が適正なんじゃないか。
で、これやるとですね、多くの人は自分が思ってるより長いです。あ、そうですか。今までやりくりしてた睡眠時間よりもオーバーする。で、自分はこんなに眠れるんだって思う人が多いし、その時の4日目ぐらいの、充足してるわけじゃないですか、睡眠が。その時の脳の昼間のパフォーマンスを自覚していただきたいんですよ。
その時間を作るのもむずいすよね、現代人は。難しい。無理です。それが問題。そうすよね。
いや、これかなりね、動画を見て、いや、睡眠時間を足りるようにしたいけども、今すぐにはちょっと難しいよみたいな人も多くいらっしゃると思うんですけど、いわゆる睡眠の質みたいなのを上げるとか、そういうことでなんとか睡眠時間の短さをカバーすることってできたりするんですか?
それがね、不可能なんですよ。不可能だ。もうはっきり不可能。無理だ、寝ないと。もう寝ないと、もう時間ですか、やっぱ。睡眠に関しては質で量をカバーすることはできないんですね、基本的に。そうです。
でもなんかいいマットレスみたいなのあるとかね。なぜそういうこと言うかっていうとね、この上側のグラフが睡眠経過図って言って。聞いたことあると思うんですけど、レム睡眠とかノンレム睡眠とかあるじゃないですか。で、ノンレム睡眠は深さがあるんですね。浅い、中間、深い、N1、N2、N3っていうのがその3段階のノンレム睡眠。で、赤いとこがレム睡眠。で、よく言われるノンレム、レム、ノンレム、レムのサイクルになってますよね。
ちなみにこれ、見ていただくと分かるけど、サイクルったってすごいランダムですよ。ああ、なんかイメージある。そんなに規則的じゃないです。あ、そうなんですね。だから平均1時間半って言うんだけど、全然揺らぐんで、あれ全然1時間半って当てにならないです。あ、そうなんすね。1時間半の倍数で起きるってよく言いますけど、全く何の根拠もない。そうなんすね。
で、いずれにしても、そのサイクルを繰り返して朝になるわけですね。で、これは上に書いてあります、理想的な例。すごく安定していて、サイクルが揺らいでるけど綺麗に見えますよね。で、あんまり上下動が激しくないみたいな。で、安定してるとか、目立った中途覚醒がないとかですね、寝付きもいいとか。これがいい睡眠の例なんですね。
そう、これがいい例なんですよ。この方はですね、眠いという30代女性で、まだ比較的若い方ですね。で、十分に眠ってるんだけど眠いから睡眠の質を高めたいって、まさにさっき森本さんがおっしゃったようなことを言っておられるわけです。ちょっと気持ち分かります。で、これ見るとね、睡眠時間が5時間半から6時間ぐらいですね。で、グラフ見ていただきたいんです。質すごくいいんですよ。さっきと同じ感じ。同じ感じ。この方も眠ってる間の睡眠の質はもうこれ以上良くするのは不可能。
大体睡眠不足の人ってこういうパターンなんですよ。眠ってる間の睡眠の質はほとんどの方がいいんです。そういうことなんですね。要するにもう脳の睡眠要求がすごく高まってるので、もう眠れる間は必死で寝てる状態。ある意味悲鳴を上げてる。じゃ質はもうマックスに近い。そう。だから質で補うってよく言うけど、大体睡眠不足の人の睡眠の質はいいんです。そもそも脳が睡眠を欲してるから。
そう。例えばこの緑のとこ、深睡眠って言うんですけど、1番深いノンレム。これ大事な睡眠なんですけど、これもこの方は若いからすごくたくさん出てます。だからこれ以上やるの無理。で、この方の場合はですね、試しに、騙されたと思ってもうちょっと長く寝てみませんかと言ったところ、すげえ調子が良くなりました。
シンプルに。すごい単純なんですよ。そうなんすね。アホみたいに単純。本当に本当に足りてない。よく言うじゃないですか。日本人の8割が、ちゃんと寝てるのに疲れてる、なんか疲れが取れない。その8割の人がそう言ってるって言うじゃないですか。あれ睡眠不足なんですよ。あ、そうなんですね。足りてない。もちろん全員がとは言いませんよ。だけどかなりの部分がおそらく単純に睡眠不足。
自分では足りてると思ってるだけで、実は足りてない。例えば8時間寝てるって自分は思っても、ベッドに入ってから8時間ってだけで、実際眠りについたのはその1時間後だったりするみたいなこと。それでも8時間寝てるって言ってる人はまだましなんですよ。本当に6時間ぐらいしか寝てないけど自分は十分寝てるって思い込んでる人が多くて。さっき言ったように、特に若い層では6時間で足りる人はかなり少数。はい。
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逆にベッドで横になって寝れない人は、逆に寝れてる可能性あるすよね。なんかもう本当に眠い人も、これで考えると入った瞬間寝ちゃう。眠いのに寝れないみたいなパターンもあるじゃないですか。それはね、ベッドにいて眠ろうとしてる、だから睡眠時間を確保してるけど眠れない。これはまた別のカテゴリーなんですよね。これはいわゆる不眠の訴えっていうやつで。そう。これもね、不眠は本当に難しくて。これ難しいです。
ちなみにですね、不眠の訴えだけでは病気じゃないんですね。要するに、時間は確保していて眠ろうとしてるのに思うように眠れない。寝つきが悪いとか途中で起きちゃう、いわゆる睡眠の維持ができない、入眠ができない。で、そういう不眠の訴えがあって、大事なのはそのせいで昼間何らかの支障をきたしていると。単純に眠いとか、元気が出ないとか、イライラするとか何でもいいんですけど。それでかつ、それが慢性的に数週間、数ヶ月続いてると。それを全部満たすと不眠症っていう診断になるんですよ。
で、ところがですね、不眠症は難しくて、この方ね、40代の女性で、この脳波を測った日。ちなみにこのグラフは脳波っていうのを測って、すごい正確に精密に睡眠を見える化してるんですけど、この脳波を測った日も朝の4時まで眠れませんでしたと。2時、3時、4時に時計を見たから間違いない。それに5時ぐらいに起きちゃって、そっからも眠れなかった。だから実質眠れたのは2時間半ぐらいですとかって言ってるんですね。で、本人は本当にそう感じてるんですよ。
ところがこの睡眠を見ると、この方も相当すこやかな。40歳にしてはしっかり。しっかり眠れて、綺麗な。そう。しかも深睡眠もレム睡眠もちゃんと取れてて。これがね、睡眠誤認っていう言い方は最近なんか嫌われてるらしいんですけど、患者さんに失礼だと。要するに客観と主観の乖離ですね。だから客観的には、これ脳波で見る限り眠れてるとしか言いようがないんですよ。
だけど本人は朝の4時まで。で、確かに見るとね、3時過ぎ、4時にちょっと起きてるでしょ。1番上まで行ってて、ちょっと起きてるんですよ。で、その時多分時計見てるんですよ。そこまではあってるんだけど、その間ぐっすり眠れてるのを、全然眠れなかったと本人は感じていた。朝も同様ですね。最後の中途覚醒、5時ぐらいの中途覚醒から先眠れてないと、7時ぐらいの中途覚醒から先眠れてないと感じてたけど、実際はまだ寝てたと。
これ途中で一瞬起きるのは問題ないんです、睡眠。一瞬のね、ポツッ、ポツッてある黒いのはほとんど問題なくて、もう誰でもありますし。本当の一瞬のやつは、あれほとんど自覚しないです。あ、そうですか。覚えてないです。数分以上続くと覚えてるんだけど、それもあんまり問題はないですね。すぐまた眠れるのであれば。
で、この方はご自身が睡眠不足だと思ってるけど、脳波で見たら不足はしてないってことなんですか。不足というかですね、だから睡眠不足というのは睡眠時間を確保しない生活習慣なんですよ。で、この方は不眠の訴えがあって、自分の感覚としてはよく眠れてないから困ってると。昼間眠いとかね、昼間調子が出ないって訴えるわけですよ。
で、測ってみたらこうだったと。で、この方はですね、すごくラッキーな方で、このデータをお見せしてね、丁寧に説明したんですよ。あなたはもう若者のようにすこやかに眠れてますよ、ぐっすりですよと。って言ったら、それをこの方は信じてくださってですね。あ、そうなんですか、脳波を測ってそうならそうなんでしょうと信じてくださって。なんとそういう自分の睡眠に対する不安が取れていって、やがてですね、不眠の訴えもなくなっちゃった。素晴らしいすね。だからこういう方も中にはいるんですよ。要するに睡眠を可視化するだけで、ある意味治療になっちゃう人もいるんです。不眠症は本当に難しいんです。
ああ、なんかぶっちゃけあれですよね。普通のメンタルクリニックとかだったら、もうこんなの絶対検査できないから、こういう風に睡眠薬を出されてる人の中にも本当は寝れてる人もいる。実はですね、私たちそれで去年論文を出してるんですけど、不眠を訴える方のうちの2/3がこのパターンなんですよ。え、そんなにですか。もう過半数なんだ。いや、本当におっしゃる通りで、この方に例えば睡眠薬を処方したとして何が起こるのかって思うわけです。もう眠れてるわけだから。
そういうもんなんですよ。で、今の現行の睡眠医療においては、不眠を訴える方に客観測定をするってことはしないんです。ガイドラインにも書いてないし。特にヨーロッパあたりの睡眠の専門家に言わせると、もう不眠の訴えで客観測定するのは意味がないって言われちゃうんですね。僕はそう思ってなくて、違うんじゃねって思う。こういうケースがあるわけですもんね。ガイドラインを書き換えるまではなかなか道が遠いですけど、やっぱり不眠の訴えがある場合でも客観測定もしつつ、診療を進めていく方が本当は正しいんじゃないかなと。
なんかあれですよね、CBT-Iでしたっけ? そういうのもありますもんね、薬じゃなくて。おっしゃる通りで、不眠の治療で1番効果があるのが今おっしゃったCBT-Iで、CBTっていうのは認知行動療法ですね。不眠症のための認知行動療法っていう心理学的な治療法があって。要するに不眠を訴える方の多くが、なんて言ったらいいんですかね、ちょっとした悪い癖があるんですよ。ほう。
例えば、もう寝なきゃ寝なきゃって言って、眠くもないのにすげえ早い時間からベッドに入ってるとか。それは不眠症をさらに悪化させるんですね。
どうしてかっていうと、それを続けてるとね、要するに眠くもないのにベッド入って、眠れない、眠れないってこう悶々としてることを続けてると、いわゆるパブロフの犬と同じなんですけど、心理学的な条件付けっていうのが起こっちゃって、自分のベッドや自分の寝室は寝れない場所って覚えちゃうんですよ。で、本当に眠れなくなる。
で、筋金入りの不眠症の患者さんって少なからずそういう症状があって、例えばリビングルームでリラックスして、さあ今日は寝れるぞ。で、寝室行った途端に目が冴えちゃう。そういうことが本当に起こるんですよ。
だからCBT-Iのね、いろんな要素を組み合わせて治療するんですけど、プロの心理士、臨床心理士の方が普通はやるんですが、1番重要な要素は実は睡眠制限って言って、寝るなって言うんですよ、基本的に。
逆に。
そう。だから遅寝早起き。もう朝起きる時間は固定しておいて、とにかくより遅い時間までベッド行くなと。
で、例えば睡眠日誌をつけていただいて、もうその日から、例えば自分はもう5時間しか寝てないって言ってるんだったら、例えば5時間半以上はベッドにいるなと。そうすると多くの方は最初頭に来るわけですよ。先生、寝れないって言ってんのに寝るなってどういうことですか。
真逆の対処法。
だけどこれが効くんですよ。で、そうすると昼間眠いわけですね。
もう余計に制限。
そうです。でも昼間眠いって思って、それを我慢してると、本当に夜は眠れるようになるわけです。ぎゅっとこうベッドにいる時間縮めるから、その間の睡眠の質は良くなるんですよ。それに自覚的にも眠れるようになる。それを続けてると本当に眠れるようになるんですよね。
なるほど。
それもうベッド以外の場所で夜遅くまで。
だからこれはね、不眠症の方でなくても、ベッドに入って眠れないなっていう時は、もう20分ぐらい頑張って無理だったら、もうベッドから出た方がいいです。本当に。
あ、そうですか。
で、リビング、薄暗いリビングかどっか行って、なんかリラックスできることして、で、本当に眠くなってからベッドに戻る。それで例えば睡眠時間が1時間削られても、それ気にする必要ないです。
でもそういう時に限って、スマホ見ちゃったりとか、なんか睡眠に良くなさそうと思いながらちょっとSNS見たりしちゃうんですけど、そういうのはダメですもんね。
ダメです。スマホね、私いろんなテレビとかでも言ってんですけど、スマホを一律禁止する必要は私はないと思ってて。
まずスマホって、光が良くないって言うじゃないですか。あれはほとんど嘘で、今のスマホって暗いとこだとすごい暗くなるんですよ、ちゃんと。で、黄色っぽくなるようにちゃんとできてて、その機能をちゃんと使ってれば、スマホの光はほぼ無害なんですね。
で、問題はおっしゃったSNSとか、ああいう、なんて言うの、インタラクティブなコンテンツ。まあスマホのコンテンツほとんどがインタラクティブだと思いますけど、それはダメなんですよ。それやってるとね、本当に。私も時々やっちゃうことあるんですけど、それこそショート動画。
あ、ショート動画。
あ、先生でもたくまさんのショート動画見始めると……
え、僕、睡眠に悪影響与えてるの。
そう。だからこれやるじゃないですか、ね。ショート動画って本当、AIがその人が面白いと思うっぽいやつを次々出してるじゃないですか。あれがダメで、絶対それを強い意思で自分で禁止できない人は、本当にスマホやめた方がいい。
罪な男ですよ。やめられたら困りますけど。
だから、一方通行でぼやっとなんかリラックスして見てればいいようなやつは、それで眠くなるならいいんですよ。むしろ。
ああ。え、でも芸人やってる側から言わせてもらうと、僕の動画見て眠くなられたらちょっと芸人終わり。
それはそれでね。
だからそういうのはたくまさんの動画は向かないってことですよね。
はい。だからワクワクしちゃうようなやつは向かない。もうオチの分かってるやつとかね。
あ、つまんないやつを見た方が。
そうそう。あ、だからもう見たことある誰々さんの動画を何回も見る。しかも長いやつね、割と。長いやつ。トーク動画とかを見た方が。
で、僕がよく使うのはね、僕、観る将なんですよ、将棋。見るのが好きで、藤井聡太さんのファンなんですけど、将棋YouTuberっているじゃないですか。で、要するにプロのタイトル戦とかの棋譜をね、解説してんですよ。
僕が好きなのは、元奨励会員アユムっていう、その道では有名なYouTuberがいるんですけど、彼の声がすごい癒し系で、そのプロの棋譜を解説するわけですよ。そうするとね、僕にとってはちょっとレベルが高すぎるんですよ。
あ、なるほど。
うん。それをちょっとね、早回しぐらいにして、1.2倍とか。ほんで結構長い動画なんですよ。20分、30分。それ見てるとね、眠くなる。
だから難しいものをさらに速くして、あんまり理解できないようにすることで。
そう。ほら、なんか大学とかで分かんない授業って眠くなるじゃない。あれと多分同じことが起こっていて。
2倍速ぐらいでも、難しい回を……
もうこれあんまり興味ないなとか、難しいだろうなっていう回を倍速で聞いて。大事なことはね、眠れない人って大体、なんか明日の仕事とか今日あった嫌なこととか、反芻って言うんですけど、ぐるぐるぐるぐる考えて、それやってると眠れないんです。
だから、それを断ち切るだけの、ちょっとくすっと笑うとか、ちょっと注意をそらすだけのあれはあるけれども、あんまりのめり込まないようなものを選んで。それが人によって違うんですよ。ミュージックビデオがいい人もいるかもしんないし、オチの分かってるお笑い動画がいいかもしんないし。
色々ですけども、それが見つかればね、なんかこれ見てるとなんとなく眠くなるってのが見つかれば、むしろそれを習慣化するのが良くて。そうすると、いわゆるベッドタイムルーティーンって言うんですけど、入眠儀式。
そうか。
そうすると、それを体が覚えるんですね。いい意味で。で、これ見ると眠くなるみたいな。
これを聞くと、これを見ると眠くなるっていう、まあ自己暗示みたいなのがかけられる。
私のもう1つの入眠儀式は、その観る将のやつと、もう1個はですね、非常に単純なんですけど、つまんない論文。
やっぱ眠くなるんすね、先生でも。そんな賞取っててもやっぱ眠くなる論文。
いやいや。だって論文の、こう言っちゃ悪いですけど、8割か9割ぐらいはなんかね、面白くないんですよ。
え、我々がその理解できなくて面白くないとかは分かりますけど、先生でもですか?
なんか予定調和で、もう大体結論分かってる。
じゃあオチが分かってる論文であるってことですか? もしかして。
そういう論文が多いんですよ。
そうなんすね。つまんない。こう振ってたらこう落ちるだろうみたいな、なんかあるあるみたいなのがあるんすね。
ええ、すごい、それ。
いや、本当に、そういうのPDFに落として読んでるとすぐ眠くなるんで。
じゃあ、今日はどの論文読みながら寝ようかなみたいな思ったりするんですか。
そう。
なるほど。こういうの聞くと、睡眠のプレッシャーみたいなのが軽減されますよね。先生でもそうやって色々見たり聞いたりとかして眠くなってんだよってことですもんね。
楽待チャンネルIRニュースコーナー。さあ、このコーナーでは楽待を運営する楽待株式会社の投資家・株主の皆様向けの情報を1分でお伝えします。今回は東証スタンダード市場に上場する楽待株式会社の2026年7月期通期の決算発表についてお知らせします。
売上は36億1700万円で前期比14.5%増。営業利益は18億9900万円で23%増となり、通期の業績予想を売上・利益ともに上回りました。営業利益率は52.5%と高い水準を保ちながら、売上はこの5年で2倍になっています。
27年7月期は売上40億円と5期連続の2桁成長を見込み、年間配当は13円から16円へ増配を予定しています。詳しくは概要欄、コメント欄のIR情報のリンクからご覧ください。
楽待、楽待、楽待。不動産投資は楽待。
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