過去8回の利上げ転換から今回を読む:岡崎良介氏は「ITバブル崩壊前夜」との類似を指摘

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概要

楽待チャンネル「ザキオカに聞け!」第13回では、ファンドマネージャーとして長く市場を見てきた岡崎良介氏が、日銀会合と3年ぶりに利上げへ転じたFOMCを取り上げた。聞き手は株式アナウンサーの佐田志歩氏。中心になる問いは、今回の米国の利上げ転換が、岡崎氏が現場で見てきた過去7回の転換のどれに近いのか、そしてそれが株価にとって何を意味するのかである。岡崎氏は、今回の局面は1999年の利上げ、つまりITバブル崩壊につながった局面に似ていると見る。ただし当時ほど急な引き締めにはならないと予想し、S&P500の下落は最大でも10%程度という見立てを示した。

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日経平均7万円台から6万6000円台へ:「AIの夢」が現実になるとき

前回の収録は6月18日で、そのとき日経平均はまだ7万円台だった。収録時点では6万6000円台まで下がっている。岡崎氏によると、大きく動いたのは日経平均で、TOPIXはそれほど大きく崩れていない。下落のきっかけとして岡崎氏が挙げたのは、6月25日ごろに出たオープンAIの上場をめぐるニュースである。結局オープンAIは6月にも9月にも上場せず、「いつになったら上場するのか」という話になった。AIへの期待で日経平均は7万2300円前後まで上がったが、いったん歩みを止め、どう組み立て直すかを考えている。岡崎氏はいまの6万6000〜6万7000円台を、市場がそうして「瞑想」している状態だと解釈している。

佐田氏は、2週間ほど前に「AI開発を減速させる」というニュースが出て、一時的に半導体株が大きく下げたことにも触れた。岡崎氏はこれを、夢がどんどん現実になっていく過程の一部と捉えている。最近の例として挙げたのが、メタが出した家庭向けAIエージェント「ミューズ」である。岡崎氏が重視したのは機能よりも価格が出たことだった。無料コースがあり、月額30ドルのプランがあり、最上位は月額100ドル程度だという。最大手のメタが価格を出せば、それが業界のスタンダードになる。それより高くはできず、小さな会社はもっと安くせざるを得ない。つまり価格競争が始まる。お金の話になると、投資家は「これは採算に合うのか」とそろばんをはじき始める。価格が決まると事業の輪郭がはっきりし、儲かる投資と儲からない投資の選別が起きる。岡崎氏はこれも減速要因の一つになっていると述べた。

3:28

「第4コーナー」で先頭集団にいるか:SOX指数の選別

岡崎氏は夢の段階と現実の段階の違いを競馬にたとえた。数字がはっきり見えない夢の段階では、スタートラインに10人のランナーがいれば10人全員に賭け、出遅れている者にも賭ける。しかし第4コーナーを回れば、先頭集団にいなければ勝てない。

具体例として挙げたのがフィラデルフィア半導体株指数(SOX)である。構成30銘柄の指数は6月22日に高値をつけ、そこから29%下落し、その後戻した。岡崎氏の記憶では、戻り局面で前の高値を抜いた銘柄は2つしかない。一つはずっと先頭を走っているNVIDIA、もう一つは「AMDだったかな」と、やや確信のない言い方で挙げた。残りの銘柄は高値を抜けていない。これが、夢から現実に移る過程で起きている選別だというのが岡崎氏の見方である。

4:26

日銀会合:2人の反対と「補助金でインフレを下げる」矛盾

日銀は予想通り政策金利を1.25%に引き上げた。岡崎氏が意外だったと話したのは、2人の審議委員が反対したことである。リフレ派はまだ多いという印象を持ったという。ただし、リフレとは何かという議論は不毛になるので深入りしなかった。岡崎氏によると、米国も金融緩和をしてきたし、日本はインフレ率に対して金利が低すぎた。その意味ではどちらもどちらだという。

それでも日本には、国際的に指摘されたら反論しにくい点がある。インフレ対策として補助金を出していることだ。補助金でインフレ率を押し下げ、インフレ率が低いから利上げしなくてもよいという理屈は通らない。そんなことをしている国はどこにもない、という話になる。岡崎氏は、交代する審議委員にもリフレ派が入ってくるかもしれないと述べた。そのうえで、G7の場やベッセント財務長官などから注文をつけられる状況はまだ続くだろうと予想した。

為替については、反対票が出たことで円安に振れ、その後のレートチェックで円高に戻す動きがあった。岡崎氏は今後の方向は米国経済次第だとする。米国の利上げの目的は景気を冷やすことである。景気は成長とインフレの2つでできていて、インフレだけを冷やすことはできない。冷やしすぎて景気が悪くなれば米国は利下げに転じ、円高になる。しかし適温で冷えるか現状維持なら、米国の金利は高止まりするか、もう少し上がる。その場合、日銀があと3回程度利上げしなければ、円安懸念はなかなか払拭できないと岡崎氏は見る。日本のインフレは基本的に海外から来る輸入インフレなので、それまで国民生活の不満は残るという。

3回の利上げで政策金利は2%になる。岡崎氏は、インフレ目標が2%である以上2%は必要で、それでやっと五分だと述べた。来年夏に2%という報道については、可能性はあるとしつつ、審議委員の顔ぶれ次第だと答えた。政府から「刺客」が送られてくれば、利上げのペースは鈍るかもしれない。今のような局面では四半期ベースで戦略を考えざるを得ず、来年夏の予想は「鬼が笑う」という。

7:41

「8度目のターンアラウンド」:現場で見た利上げ転換

米国のFOMCは約3年ぶりに利上げへ転じ、政策金利は3.75〜4.00%になった。岡崎氏はこの回の資料に「8度目のターンアラウンド」というタイトルをつけた。岡崎氏は1987年5月からファンドマネージャーの仕事をしており、そのあいだに金融緩和から引き締めへの転換を見たのは今回で8回目になる。どの回も目の前で起きた光景として細かく覚えているといい、数字や報道にはない、自分が見た景色をたどって今回の意味を考えたいと説明した。

資料のグラフは、1993年までは公定歩合(中央銀行が銀行に貸す金利)、1994年以降はFFレート(銀行同士が融通し合う金利)を政策金利として示している。岡崎氏がまず強調したのは、金利上昇局面で株が暴落したのは8回のうち1番目と7番目だけという点だ。1番目は1987年9月の利上げの翌月に起きたブラックマンデーで、株価は約3割下落した。7番目はコロナ後の局面で、2022年3月から一気に5.5%まで利上げし、株価も大きく崩れた。

岡崎氏によると、この2回に共通するのは、10年金利が1年前より2%以上上がっていたことである。1番目は8%から10%前後へ、7番目は3%から5%前後へ上がった。1年で長期金利が2%以上上がると、さすがに市場はもたない。今の10年金利は約5%で、1年前はおよそ4%だった。岡崎氏はまだ大丈夫だとしつつ、「ギリギリ」「イエロー」と表現した。6%に近づけばパンクするかもしれないという。

ただし2%以上上がれば必ず崩れるわけではない。2番目の1994年2月から95年にかけての局面では、政策金利が3%から6%まで上がったが、株価の下落は8%程度で済んだ。このときは「プリエンプティブ・ストライク(予防的引き締め)」という言葉が市場に浸透し、市場が安心したためだと岡崎氏は説明した。

12:14

インフレ、実質金利、雇用で候補を絞る

では今回の8番目は、過去のどれに似ているのか。岡崎氏はまずインフレ環境で比較した。利上げ時点での最新のCPIは、今回が2.4%、7番目のコロナ後は6.4%だった。利上げ前の実質金利(政策金利からコアCPIを引いたもの)を見ると、5番目(ITバブル崩壊後の正常化)、6番目(金融危機後の正常化)、7番目(コロナ後)はいずれもマイナスだった。これは今の日本と同じで、利上げは金利を正常な水準に戻すためのものだった。一方、1〜4番目は実質金利がプラスのところからの利上げで、目的は過熱した景気を冷やすことにある。岡崎氏は今回を後者と見て、5〜7番目を候補から外した。

次に成長の側面として失業率を比べた。今回の失業率は4.1%である。FOMCメンバーの長期予想から推計される自然失業率は4.2%程度で、失業率はそれを下回っている。岡崎氏によれば、人は余っておらず、むしろ不足気味で、労働需給ギャップはプラスの状態にある。1番目と2番目の局面では失業率が自然失業率を上回っていた。現在のように人手が足りない状況に近いのは、3番目の1997年と4番目の1999年だという。

岡崎氏はマネーサプライ(M2)の伸びも景気の指標として示した。家計にとっての景気は収入や資産が増えることだが、中央銀行にとっては成長とインフレに加え、お金が世の中に広がっているかどうかも景気である。いくら緩和しても通貨量が増えなかったかつての日本のデフレは、誰も借りず、貸さず、売り買いしていない状態だったと説明した。こうした比較から、今回に近いのは3番目と4番目に絞られた。

16:55

1997年:アジア通貨危機のなかで米国株は4割上昇

3番目の1997年3月の利上げでは、その6か月後にアジア通貨危機が起きた。4番目の1999年の利上げでは、その9か月後にITバブルが崩壊した。岡崎氏は、景気を冷やすことは一般の経済活動にとってはブレーキを踏むことで、当然ネガティブだと説明する。通貨危機前のアジア経済やITバブル期のインターネット企業は、アクセルを踏み込んでいた。高速道路を時速100キロで走っているときにブレーキを踏めば事故になる。その事故がアジア通貨危機でありITバブル崩壊だった、という見立てである。

ただし米国株の反応は2つのケースで違った。1997年はアジアが大混乱に陥った。岡崎氏によると、韓国ウォンは半分に、タイバーツは4分の1になり、インドネシアルピアも崩れた。日本では長期信用銀行3行が行き詰まり(現在のみずほや新生銀行につながる)、山一證券も破綻した。それにもかかわらず、米国株は利上げ後に4割上昇した。

理由について岡崎氏は、米国がそれ以上利上げできなくなったからだと答えた。利上げを続ければアジアの危機も日本の金融不安も広がる。だから利上げは打ち止めになる、と市場は受け止めた。米国は大国で、自分たちの生活には関係ない、という見方だったという。10年金利も下がり、金利低下で株が上がるという教科書通りの動きになった。岡崎氏はこれを「他人の不幸は蜜の味」だったと表現した。

19:57

1999年:6回の利上げと、最後の0.5%

1999年はアジア通貨危機が収束した後で、IMFの支援などで危機は封じ込められていた。そのため米国は自国の過熱を抑えるために利上げを続けた。株価は横ばいが続いた後、利上げ開始から190営業日ほどでITバブルのピークをつけ、そこから下落した。10年金利はその1〜2か月前に6.75%でピークをつけており、これは1年前より約2%高い水準だった。

佐田氏は、株価のピーク前に長期金利が下がっていたことに注目し、それが安心感につながったのかと質問した。岡崎氏は政策金利の推移で答えた。1997年は一度利上げした後、アジアの状況を見て様子見に回った。1999年は外部の危機がなく、FRBは6回利上げし、合計幅は1.75%になった。最後の1回は0.5%の大幅利上げだった。岡崎氏はこれを「最後にぎゅっと首を絞めた」「絞めすぎちゃった」と表現した。当時のFRBはそれが適切だと考えていたとも付け加えた。

ITバブル崩壊というと株価が半分になったと記憶されがちだが、岡崎氏は当時実際にIT株を買って「地獄の苦しみ」を味わった立場から、見方が少し違うと話す。2000年3月から2002年ごろまで2年間続いた下落には3つの波があった。最初の1年がITバブル崩壊、次が2001年9月の同時多発テロ、とどめがエンロンとワールドコムという、リーマン・ショック前では史上最大規模の不正会計破綻である。この3回の下げで株価は半分ほどになったが、ITバブル崩壊だけの下落は20%程度だったというのが岡崎氏の整理だ。

23:48

今回の試算:S&P500は最大10%程度の下落

今回はまだ1回利上げしただけである。岡崎氏が先週金曜日時点のCMEのFF金利先物を見たところ、市場は0.25%ずつ4〜5回の利上げを織り込んでいた。1999年のような最後の0.5%の大幅利上げは想定されていない。岡崎氏の見立てでは、今回の引き締めはITバブル期の半分程度の規模で局面を乗り切ろうとするものになる。ITバブル崩壊の下落が自分の見た景色では20%だったので、その半分として、S&P500の下落は大きくても10%程度というのが「今の私の診断」だという。こうした利上げを織り込む形で10年金利は1年前より1%以上上がり、約5%になっている。

佐田氏が、ITバブルのときに「崩壊した」と分かる瞬間はあったのかと尋ねると、岡崎氏はあったと答えた。当時もSOX指数はあっという間に2割以上下がったが、S&P500はほとんど下がらなかった。半導体、ソニーのプレイステーション、光ファイバーと市場は勢いづいていて、半導体は行き過ぎたから下がっただけだと放置された。ところが1年後に大きな下落が来た。今回もSOX指数は6月22日の高値から29%下がったが、S&P500の下落は一時的に4〜5%程度にとどまっている。岡崎氏は「昔見たよな、あのとき俺たちは大失敗したよな」というのが2000年であり、SOXの29%下落を甘く見てはいけないと警告した。

27:06

歴史は繰り返すのか:「100人集まればやることは同じ」

歴史は繰り返すのかという佐田氏の問いに、岡崎氏は、一人ひとりの人間は賢いが、100人集まればローマ時代も江戸時代も今もやることは同じだと答えた。集まって熱狂したり、浮かれたり沈んだりするのは何千年経っても変わらない、というのが自分の価値観だという。

佐田氏はさらに、岡崎氏の著書にあるようにFRBは失敗から学んで市場との対話を重ねてきたのだから、ショックは起こりにくくなるのではないかと質問した。岡崎氏は、学習の成果は景気拡大期の長期化に表れていると答えた。以前の米国では景気拡大は1〜3年程度で終わり、すぐに後退期や金融危機に入っていた。人類が最初に学んだのは金融危機を起こさないことで、そのために、黒字でもたまたま資金が足りない企業にはお金を貸すというセーフティネットを広げた。岡崎氏は、東日本大震災や阪神・淡路大震災で倒産の連鎖が起きなかったのはこのためで、関東大震災のころは災害のたびに次々と潰れたと対比した。ただし金融危機はウイルスと同じで、完全に撲滅されたわけではない。

循環そのものは今も起きていて、ショックの頻度はむしろ増えている。岡崎氏はここ数年の例としてトランプ関税ショックやイラン戦争を挙げ、そのたびに株価は10%、大きいときは20%下がると述べた。政策当局者は過去の失敗の「轍」を踏まないよう勉強しているが、新しい轍もまたできてしまう。そこにはまれば同じことが起きる。

今回は構造的には4番目のケースに似ているが、当時の記憶と記録が残っているので、あれほど急激な利上げはなく、根こそぎ潰すこともないだろうと岡崎氏は見る。当時、世界最大規模の時価総額まで膨らんだシスコシステムズの株価が嘘のように急落したように、行き過ぎたドットコム企業が下がるのは仕方ない。しかし、その後に続いた同時多発テロや不正会計のような事態を起こさせなければ、下落幅は小さく済む。当局はそう考えているだろう、というのが岡崎氏の読みである。

31:28

ウォーシュ新議長は「一番意地悪」:市場に先回りさせる戦略

新しいFRB議長のケビン・ウォーシュ氏は見通しをあまり示さないとされる。この点について岡崎氏は、良し悪しは株価暴落や景気後退が起きたかどうかの結果で判断するしかないと前置きした。そのうえで、自分が見てきた6人の議長(ボルカーかグリーンスパンに始まり、バーナンキ、イエレン、パウエル、ウォーシュ)のなかで、市場に対して「一番意地悪」だと評した。「そんなの自分で考えろ」という言い方をするからだという。

例として挙げたのが先日のジャクソンホール講演である。岡崎氏は講演のテキストをワードにダウンロードし、単語の出現回数を数えている。「インフレーション」が26回、「ハイク(利上げ)」が3回、「イーズ(緩和)」が0回で、利上げのサインだと思った。ところが「ハイク」の部分をよく読むと、ハイキングで有名なジャクソンホールでのハイキングの話だった。岡崎氏はこれを「ブラックジョーク」と呼び、ウォーシュ氏は市場に予想させたくないのだろう、グリーンスパン時代に戻りたいのだろうと推測した。

では市場が織り込む利上げ回数と違う動きになる可能性はあるのか。岡崎氏はすでにその結果が出ていると見る。長期金利が5.2%まで上がり、市場が勝手に引き締めてくれている。FFレートは期間ゼロの金利で、それを上げるのは2年、3年、10年といった金利も上がるよう促すためである。今回は政策金利が0.25%しか上がっていないのに、10年金利はすでに1%上がった。民間の金融機関や市場参加者がウォーシュ氏は利上げするぞと先に織り込んだ結果である。それで景気が多少冷えれば、FRBは利上げしなくて済む。市場は4〜5回を予想しているが、実際は2回で済むかもしれない。岡崎氏はこれがウォーシュ流だと説明した。

背景として岡崎氏は、バーナンキ以降のフォワードガイダンスの時代を「補助輪をつけて自転車を走る」ようなものだったと表現した。3か月後、6か月後はこうなると丁寧に示すのは金融危機を防ぐためだったが、市場はそれに13年間甘やかされてきた。そんなことではだめだというのがウォーシュ氏の考え方だという。佐田氏が「甘やかしてほしい」と返すと、岡崎氏は「でしょ」と笑った。

35:38

個人投資家は「初心に帰れば楽」:10年国債とストックの効果

相場の読みが難しくなるなかで、岡崎氏は、日本の個人投資家は初心に帰ればむしろ楽だと述べた。10年金利は3%ある。10年後に必ず使う、絶対に減らしてはいけないお金は10年国債を買えばよいという。

インフレに負けないかという佐田氏の疑問には、具体的な計算で答えた。年間500万円を消費する家族なら、2%のインフレで消費は年10万円増える。その家族に1000万円の貯金があり、3%の利息がつくなら30万円入ってくる。10万円の支出増に対して30万円の収入なので、インフレに勝っている。岡崎氏は、インフレに負けるのは資産の少ないぎりぎりの生活をしている人で、消費を上回る資産を持っていればインフレは怖くないと説明した。これが「ストックの効果」である。株式業界は「インフレ負けする」としきりに言うが、負けているのは普通預金であり、金融資産でインフレに負けないものは増えているので株だけに頼る必要はないという。

資産が足りない人は働いて資産を増やすしかない。年間消費500万円で貯金100万円という若い人によくあるケースは、まず働いて資産を積み、その過程で勝負として株を買う人もいるだろうとした。ハイパーインフレなら債券ではだめだが、2%程度なら資産のストック効果で賄える。だから「株屋さんの煽り」には乗らない方がよいし、株は溶けることもあると岡崎氏は話した。佐田氏が株の方が増えそうだと言うと、岡崎氏は年代と資金量によると応じた。資金が多い人は配当投資だけでもよく、競争しているわけではないので、各自が判断すればよいという。

39:19

中間選挙と利上げ局面が重なる10月

収録日は9月28日で、9月のS&P500はほぼ変わらずで終わりそうな状況だった。岡崎氏は1966年以降の中間選挙の年、十数例を分析した。中間選挙の年は株が下がると言われるが、特に危ないのは9月で、9月に下げて10月は横ばいか少し戻す展開が多い。年間で見ても中間選挙の年の株価は悪いというのは定説で、それは間違っていないという。

今回は9月16日に利上げし、10月のFOMCでも利上げがあるかもしれない。サイクルとしては利上げ局面に入った。1966年以降、利上げ局面と重なった中間選挙は4回あり、S&P500はその4回とも下落している。岡崎氏は、10月相場はしっかりシートベルトを締めた方がよいと注意を促した。

40:35

日本株は為替次第:最悪ケースは20%下落

ただし日本株が米国株に連動して下がるかは別問題だという。日本は政府関係者が否定しても実質的にはリフレ政策で金利が低く、円安になりやすい。日本株の運用者は営業利益が2割伸びたから上がると説明するが、その営業利益は円安で押し上げられている。岡崎氏は、EPSの効果もあるとしつつ、2013年のアベノミクス以降13年間の日本株は、ざっくり言えば米国株と円安の2つでできていると述べた。

そこから逆算すると、米国株が最大10%下がっても、ドル円が165円方向の円安に進めば日本株はおそらくいい勝負になる。最悪のケースは、米国株が10%下がり、ドル円も10%円高に動く場合で、そのとき日本株は20%下がるという図式になる。

41:47

円は140円台まで戻るべきだという持論

最後に岡崎氏は、個人的な見方として、円は140円台程度まで戻らないと未来はないと語った。150円、160円、200円という絵を描くなら、日本は「労働者の国」になってしまうという。優秀な人材には海外でもまれて学ぶ経験が必要だが、160円、170円、180円で留学するだろうか、と岡崎氏は問いかけた。大谷翔平選手や村上選手のようなスターが海外で活躍することも、円安でインバウンドが伸びることも理解できる。しかし日本が安いというのは労働者として安いということであり、クリエイターやイノベーターは学ばなければならない。円安が行き過ぎると日本人は学ばなくなる、と岡崎氏は懸念する。

100円や120円になるとは思わないが、円高はもう来ないという前提でいると、一人ひとりは労働者や個人投資家として生きていけても、次の世代、その次の世代で優秀な人材が育たないかもしれない。岡崎氏は「140円ぐらいまではまず1回循環していいんじゃないか」と述べ、これはデータに基づくものではないと断ったうえで話を締めくくった。