高配当株は「資産運用のコア」になるか――季節性、下落耐性、配当ローテーション戦略をめぐる議論

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概要

高配当株投資には関心があるが、元手が少ないと配当が思うように増えず、続けにくい。番組冒頭でMCの佐田志歩さんは自分の経験をそう語り、相場が荒れている今は安定した高配当株に資金を入れたい気持ちが強まっているとも話した。この回の問いは、「夢の配当生活」は実現できるのか、そして高配当株をどう位置づければよいのか、である。

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出演者は3人だ。大和証券チーフテクニカルアナリストの木野内栄治さんは、季節性と資金需給の観点から相場を解説した。専業投資家のかんちさんは元消防士で、元手100万円から始めた株式投資で資産はおよそ10億円、保有銘柄は約600、年間配当金は3000万円を超えるという。大和アセットマネジメント執行役員の松本純さんは、同社が2025年10月から運用・上場している「iFreeETF 日本株配当ローテーション戦略」(証券コード435A)の立場から話した。

松本さんは導入で、最近は日本でも一部のハイテク株が乱高下しているが、高配当株は相対的にボラティリティが小さく、比較的安定しているという印象を述べた。高配当株があらためて注目されるのはプラスだという見方である。

4:00

夏以降の相場軟化を「季節性」で読む

AI・半導体株が相場を牽引してきたなか、2026年7月頃から株価が大きく調整する場面があった。木野内さんはこの動きについて、目先の材料よりも長く使える「季節性」の話をしたいと前置きした。そのうえで、2026年夏からの相場軟化の背景には、外国人投資家が買い越しやすい時期が終わったことがあったとの見方を示した。

木野内さんが示したグラフでは、海外投資家の売買には季節性がはっきり出ている。7月頃までは買い越しが多く、その後はいったん売り越し気味になる。特に4月は、1990年以降の37年間のうち34回が買い越しだったという。

理由として木野内さんが挙げたのは、米国人の資金需給である。非居住者の配当課税の振り替えを理由に挙げる説もあるが、木野内さんが重視するのは米国の税還付だ。米国では個人が総合課税で申告し、源泉徴収で払いすぎた分が戻ってくる。その還付が毎年2月から5月上旬にかけて40兆〜50兆円規模になり、それが積み上がるのが4月頃なので、4月に海外投資家の買い越し確率が高まるのだと説明した。

木野内さんは季節性の大切さを麦わら帽子にたとえた。夏のレジャー施設で天気がよいと、子どもに麦わら帽子を買ってやらなければと思うが、現地の売店では割高になりがちだ。株も同じで、みんなが持っていると欲しくなるが、本当は時期をずらして買ったほうがよい。「麦わら帽子は冬に買え」という相場格言がこれにあたる。

「セル・イン・メイ」という格言についても、木野内さんは米国株の過去の平均的な値動きで確認した。米国株は5月頃にピークアウトし、秋頃まで軟化するのが平均的な動きだという。

8:28

6月の日本株を支える配当と、7月のETF分配金

同じグラフでは、6月に米国株が下がる一方で日本株は上がるのが平均だった。木野内さんはこれを日本特有の配当の効果だと説明した。3月決算企業は6月末までに株主総会を開き、その直後に配当を支払う。2026年のこの時期に支払われた配当は約13兆円だったという。

木野内さんによれば、6月の配当支払いには二つの波がある。一つは2月決算企業や一部の委員会設置会社などによる5月中旬から6月上旬の支払い、もう一つは伝統的な3月決算企業による6月下旬の支払いだ。配当を受け取った投資家、特にファンドはそれを再投資するため、6月は米国が「セル・イン・メイ」で下がっても日本株は上がりやすいのだという。

一方、7月上旬にはインデックスETFが年1回の分配金を支払うため、資金を捻出する売りが出る。今年話題になったこの分配金は約1.7兆円あるが、ほとんどが日本銀行に入るため再投資されない。そのため日本株は6月上旬と下旬に上がったあと、ETFの分配金落ちでピークアウトしやすいと木野内さんは話した。

「セル・イン・メイ」には「セント・レジャー・デーに帰ってこい」という続きがある。9月第2週に英国で開かれる伝統的な競馬の日のことだ。サンクスギビング、クリスマス、ハロウィンに帰ってこいという言い方もある。佐田さんが「それではほとんど投資できない」と突っ込むと、木野内さんは笑いながらも、過去の統計からも格言からも、秋からは株式投資によい時期だと分かると述べた。

11:45

秋から2月はバリュー株が強い季節

木野内さんは、秋からはグロース株よりもバリュー株のパフォーマンスがよくなる季節性があるという。ここでのバリュー株は、高配当株の一種と考えてよいと説明した。冬になると米国の税還付が始まるので、外国人投資家の好むグロース株が2月頃から春にかけてアウトパフォームしやすい。グロース株に投資するならまだ少し先だという。

これに対してバリュー株については、年初から翌年度末の3月までの1年3カ月の平均的な値動きをもとに、アウトパフォームしやすい局面を順に示した。6月は配当の支払い時期で、バリュー株ほど配当を多く受け取るファンドが再びバリュー株を買う。8月末から9月にかけては、9月末の配当の権利取りを狙った買いが入る。11月は配当の再投資が始まり、12月には3月末や12月末に権利確定する銘柄の権利取りが起きる。その結果、秋から2月頃まではバリュー株がパフォーマンスを上げやすいのだという。

木野内さんは、季節性はアノマリーの一つだと述べたうえで、アノマリーを「理由は分からないがよく起きる現象」と説明するのは間違いだと指摘した。正しくは「理由を投資家がよく理解していないが、よく起きる現象」であり、バリュー株の秋以降の強さにもきちんとした理由があるという立場である。

15:04

長期データでは配当込みのバリュー株が優位

木野内さんは次に、東京証券取引所が公表している配当込み指数を、遡れる2013年から示した。TOPIX、バリュー株指数、グロース株指数それぞれについて、配当込み指数は配当なしの指数より上にある。これほど長い期間では配当が累積的にパフォーマンスを押し上げており、資産運用の成績に配当が大きな影響を与えることが分かると木野内さんは述べた。1年単位で見ても、12月時点ではバリュー株がグロース株を上回っていたという。

佐田さんは、半導体株があれだけ上がっても長期では配当込みのバリュー株がアウトパフォームしていることを知らなかったと話した。木野内さんは、高配当株は面白くない投資だと思われがちだが成績はとてもよく、その証明がかんちさんだと応じた。

かんちさんは実感として、東証のPBR改革を境に一気に変わったと語った。以前はグロース優位だったが、最近はバリュー優位が続いている。高配当株は増配で株価が上がり、さらに高配当になって株価も上がるという好循環にあるので、今はバリューが有利だと考えているという。

木野内さんも、2023年3月頃にPBR改革の話が出るまではバリュー株が割り負けることもあったが、それ以降ははっきり強くなったと述べた。この程度の短期間では配当込み指数がすべて上回るほどの差は出ないものの、価格の効果が強く出ているという。今後については、5年に1度のコーポレートガバナンス・コード改定で現金保有に説明が求められるなど、株主還元がさらに強化される可能性が高いとの見方を示した。日本企業が何十年も溜め込んできた内部留保を、成長投資か還元に回していく局面に入っており、2023年以降の変化が加速すれば、過去の実績以上にバリュー株・配当株の調子がよくなるかもしれないと木野内さんは話した。

19:11

設定から約1年のETFの運用結果

松本さんは、自社ETFの運用状況を報告した。まだ1年には届いていないが、2025年10月3日の設定時の基準価額は2000円だった。7月31日時点で3回、合計111円の分配金を払い出したあとの基準価額が2683.71円、残高は438億円だった。直近の2026年8月21日時点では基準価額2743.73円、残高489.25億円になっているという。

7月末時点の設定来の分配金再投資騰落率はプラス40.5%で、同じ期間のTOPIXはプラス31.4%。約9ポイント上回ったことになる。3回分の分配金から計算した利回りは約4.14%で、1年という観点ではまだ1回分の分配が残っている。松本さんはかなり高い利回りだとする一方、バリュー株・高配当株に有利な流れがあったことも正直なところで、「できすぎ」のパフォーマンスだとも述べた。

かんちさんは、自分が買う基準は利回り4%で、それ以上なら買うと判断していると話した。4.14%にさらに1回分が加われば5%以上になると見て、非常に優秀だと評価した。

21:46

下落局面での強さはどこから来るのか

松本さんは、TOPIXと比べて下落局面での耐性があると説明した。ボラティリティの高かった2月末から3月後半に、TOPIXは11.48%下落したが、このETFの最大ドローダウンは7.45%のマイナスにとどまった。この期間に限らず、相対的な下落耐性があると松本さんは認識しているという。

理由は二つあるという。一つは、高配当株は株価が下がれば配当利回りが上がり、国債や金利と比べて割安感が出るので買いが入りやすいこと。その結果、高配当でない株より回復しやすい。もう一つはこの戦略固有の特徴で、3カ月以内に配当の権利確定日を迎える銘柄を買うため、配当を取りたい保有者が権利確定前には売りにくく、相場が下がっても売られにくいことだ。7月以降の横ばい相場でのパフォーマンスについては、PBR改革などバリュー株有利の流れにうまく乗れた部分もあるとした。

木野内さんは、プロの間ではファクター分析で配当ファクターが効いていることは科学的に言われていると述べ、分かりやすい比較としてモメンタム株を挙げた。モメンタム株は上がるほど魅力的に見えるが、下落の勢いが出るとどんどん下がっていくように見える。バリュー株は逆で、下がるほど価値が増し、魅力的になる。だから長く見れば、ボラティリティの高い相場ほど優位性が発揮できるカテゴリーだという。佐田さんは、自身はモメンタム株の急降下で大変な思いをしたと明かした。

佐田さんが、全体が下落したときに有名な高配当銘柄を買おうとしても下がっていないので結局買えないと話すと、かんちさんは、保有者の立場からは安心感があると応じた。かんちさんのポートフォリオは高配当株と優待株が中心で、TOPIXほどは下がらない。優待株は下がるほど欲しい人が増え、高配当株も利回りが上がって一定水準になれば必ず買う人がいるからだ。下がるときは下がるが、市場の半分から3分の1程度だという。朝起きたら暴落している「おはぎゃ」の日でも資金が大きく削られず、仮に大きく下がっても買いのチャンスだとかんちさんは話した。

27:19

かんちさんの「リアル配当生活」

かんちさんの1日は「普通」だという。9時から9時半頃まで相場を見て、その後はスポーツクラブで運動と筋トレをし、サウナに入って帰ってくる。ちょうど3時頃に戻れるので、大引けまでの30分ほどまた相場を見る。

生活費は配当と優待で賄えており、配当金の範囲で使っているが、使い切れずに余るという。優待好きなので節約効果もあり、生活コストは普通の人より低い。お米も多く届き、外食はほとんど優待で済み、東京に来てもホテルの優待で泊まれる。出ていくお金が減り、配当は増えていく状態だ。

ただし、かんちさん自身の利回りは、10億円に対して3000万円なので3%程度にとどまる。グロース株など配当がほとんどない銘柄も含まれているためで、利回りだけなら高配当ETFを買ったほうがよほどよいとかんちさんは言う。

元手100万円から始めた段階では配当は多くなかったはずだという佐田さんの問いには、3000万円を超えないと実感は分からないと答えた。3000万円あれば利回り4%で年120万円、月10万円ほどの不労所得になり、配偶者がパートに出ているのと同じくらいの効果があって楽になるという。佐田さんが、個別株では1銘柄を買うにも資金が拘束され、銘柄選びが難しいと話すと、かんちさんも、1銘柄で100万円かかるものや30万円で買えるものをうまく組み合わせないとまともなポートフォリオにならず、そこは面倒だと認めた。

30:04

今は仕込み場なのか――「利回り革命」との比較

今は配当生活を目指す仕込み場と言えるのか。木野内さんは、秋から年度後半は統計上バリュー株・配当株に投資しやすい時期だと述べたうえで、別の視点としてデフレ脱却を挙げた。

木野内さんによれば、前回のデフレ脱却は1949年のドッジ・デフレの後に起きた。当時も今と同じように、配当利回りが預貯金金利より高い状態だった。配当は増配で増えていくのに預金金利より高いのは、本来おいしい状態である。それでもそうなるのは、デフレ下では株価が下がるので、高い配当でなければ見合わないと考えられたからだ。デフレ脱却から10〜15年ほどの間に、配当利回りと預貯金金利の関係が逆転する「利回り革命」が起きた。その後のデフレで1995年に「逆利回り革命」が起き、現在に至っているという。

株価がまた下落基調に入るなら高い配当が必要だが、インフレの時代になり、名目の株価は上がりやすい。そう考えると、今は株式投資をするうえで半世紀に1度ぐらいの恵まれた時代ではないか、というのが木野内さんの見方である。佐田さんはこれを、配当を受け取りながらインフレによる値上がりも期待できる、両方を取れる可能性がある状況と受け止めた。

32:39

疑問1:高配当株は株価が伸びないのではないか

番組では、高配当株に踏み切れない理由として三つの疑問を取り上げた。株価の成長率が低いのではないか、権利落ちで損をするのではないか、管理が難しいのではないか、である。

一つ目についてかんちさんは、PBR改革以前は確かにグロースにかなり負けていたと振り返った。参加しているパフォーマンスランキングでは、1位から50位のうちずっと下の方だった。PBR改革で高配当株に光が当たるようになってから上位に来ているという。

佐田さんは、高配当株は退職金など潤沢な資金を入れるものという印象を持っていたが、株価も上がるなら少額でもやる意味があると感じたと述べた。かんちさんは、株の基本は同じで、増収増益でさらに増配する株を買えば配当も増え、株価もついてくると考えていると答えた。

木野内さんは、高配当株は下がるときにあまり下がらない一方、上がるときもあまり上がらないと述べ、それがデメリットかもしれない、つまりあまり面白くないかもしれないと話した。木野内さんは「株式投資」と「資産運用」を分けて考える。貯金の代わりに少しずつ入れていくのが資産運用だとすれば、高配当株はそれに大変適している。短期で売買して「おはぎゃ」や「おはようにんまり」を楽しむ投資には向かないが、コア資産を振り向けるべき投資対象だというのが木野内さんの立場である。

コアの資産にはインデックス投資が向いているとよく言われる。松本さんは個人的な見解と断ったうえで、米国のインデックスは結局グロース株が上位に来るのに対し、日本の高配当株はかなり違う動きをすると指摘した。インデックスを持っている人が高配当株を併せ持つのは有効な戦略だという。違う値動きのものを組み合わせればリスクが下がりリターンが安定するのが分散投資の本質で、この戦略とMSCI ACWIやS&P500を両方持つと、シミュレーションベースではシャープレシオがかなり改善されるという。配当が安定して入るので、無理に売って現金を作る必要がない点も利点に挙げた。

佐田さんは、S&P500を積み立てていれば将来は安心だと思っていたが、米国株が暴落した時期に老後を迎えたらどうするのかという不安があったと話し、値動きの違う日本の高配当株を組み合わせる意味に納得した様子だった。

39:07

疑問2:権利落ちで結局損をするのではないか

配当の権利確定日の翌日には、株価がその分下がると言われる。これについて木野内さんは、最近は配当落ちがあまり強く発生しなくなったと述べた。かんちさんも、ここ3、4年、権利落ちが最も大きい3月でも自分のポートフォリオの評価額はほとんど変わらないと話した。3月以外にも4月から8月などに権利確定する銘柄を持っているので、3月銘柄の下落が吸収され、権利落ちをあまり感じなくなったという。

木野内さんはその仕組みを説明した。日本銀行が大量に保有するインデックスETFや、TOPIXに連動する年金などのインデックス運用では、配当落ち日に配当相当分が企業に預けたままの形になり、そのままだと指数に連動しなくなる。そこで配当落ち分の先物を買い立てる。つまり配当の再投資は実質的に事前に起きており、その後の落ち分は7月上旬のETF分配金落ちのタイミングにずれている。このため配当落ちによる値下がりが時期的に分散されている、というのが木野内さんの説明である。

そのうえで木野内さんは、ローテーションしていくことで、ETF分配金落ちで下がる部分をうまく回避できているのではないかと松本さんに問いかけた。長年パッシブ運用に携わってきた松本さんは、放置すれば比率が下がるので現金がなければ先物で買うのはパッシブ運用ではむしろ常識に近いと応じた。また、分配金を出さないインデックスファンドも多く、配当のために売る必要がないことも、権利落ちが目立たなくなった理由ではないかとの認識を示した。

ETFの設計にあたっては、権利落ちが発生するのは事実としつつ、中長期的なパフォーマンスへの影響を極力小さくする方法を探したという。それがローテーションという考え方につながった。

43:11

配当ローテーション戦略の仕組みと「7%超」の利回り

松本さんによれば、この戦略は日本企業の配当のタイミングの違いと、半期ごとの配当金額の違いに注目して開発された。日本には3月決算だけでなく、2月決算や12月決算などさまざまな決算期の企業がある。開発時にはタイミングを含め条件を変えてシミュレーションし、配当の権利確定日まで3カ月以内の銘柄に投資する条件が最適だという結果を得た。また、TOPIXのような時価総額加重より、等金額投資のほうがよいことも分かった。

このルールでローテーションしたシミュレーションでは、TOPIXよりかなり高い配当利回りで推移し、直近では7%台になったという。安定して高い数字が取れたことには、自分たちも多少驚いたと松本さんは話した。

かんちさんは、個別株で7%超の銘柄を探すのは難しいと言う。利回りが高すぎる銘柄はそれ以上の配当余力がないことが多く、4〜5%程度が最適で、5%を超えると無理に配当を出している企業も多いので、かなり気をつけないと減配の可能性もある。だからこそ、ローテーションで実質的に高い利回りを確保できるのは大きいという評価である。

松本さんは、高配当株を持ち切りにすると、多い3月決算企業では3月と中間の9月の年2回しか配当を受け取れないが、ローテーションすれば年4回以上受け取るイメージになり、ETFとして相対的に高めの分配金が期待されると説明した。かんちさんは、個人でこれをやるのは非常に難しいと話した。銘柄は3月や9月に偏っており、6月配当の銘柄に乗り換えるために3月銘柄を全部売るわけにもいかない。優待の権利は2月と3月に集中している。個人でうまくやるのは無理だというのが、かんちさんの評価だった。

46:25

疑問3:銘柄選びと管理――かんちさんの手法とETFのルール

高配当株投資には、銘柄選び、入れ替え判断、減配の確認、ポートフォリオの継続管理という四つのポイントがあると番組では紹介された。佐田さんは、不人気で高配当になっているのか、優良企業だから高配当なのかの見極めが難しいと話した。

600銘柄を持つかんちさんは、スクリーニングで売上と利益が右肩上がりなら合格とする。過去10年分が表示されるので、11年目に急に悪くなることはそれほどない。さらに会社四季報に載っている来期・再来期の業績予想を加え、過去10期と新しい2期を合わせて右肩上がりなら持つという。松本さんは、自社の運用でも似た視点のアプローチをとっていると驚いた様子で話した。

失敗もあったという。経験が浅いころは配当利回りしか見ておらず、業績のぶれが大きいシクリカル銘柄を買ってしまった。証券会社などでは5%出ていた配当が0になることもあり、ひどい目に遭ったことが何度かあるとかんちさんは振り返った。現在は、セクター環境がよいところをスクリーニングして買っているという。

ETFの銘柄選定は3段階で行う。TOPIXから大型株100銘柄と中型株400銘柄の計500社を選び、次回予想配当利回りでランキングする。大型株の上位10社と中型株の上位40社、計50社に絞り込む。配分は大型株7割、中型株3割で、それぞれの範囲内では均等に投資する。大型株は1銘柄あたり7%、中型株は1銘柄あたり0.75%となり、高配当の大型株が中心になる。大型株の比率を高くしているのは流動性を考慮した結果だという。

銘柄の選定と投資比率の調整は毎月行う。過去にルール通りリバランスした場合の図では、3・6・9・12月が権利確定月の銘柄が多いものの、それ以外の決算期の銘柄もランキングに応じて組み入れられている。松本さんは、アクティブ運用ではあるが、複雑な仕組みをルール化することで毎月最適な見直しができていると説明した。木野内さんは、相場全体の季節性はおおむね3月決算企業で決まるが、銘柄ごとに季節性は少しずつずれており、そのずれのよいところだけを取っていく手法なのだろうと評した。

NISAでETFを持つ意味

このETFはNISAの対象だ。かんちさんは、個人がNISAで個別株を入れ替えると、売った銘柄の枠がその年は使えなくなるが、ETF内部での入れ替えならNISAの枠に影響しないので、非常に有利だと述べた。

松本さんも、NISAでは売却した枠は翌年まで再利用できないのに対し、ETF内の売買は影響せず、ETFを持ち続ける限り、運用側がどれだけローテーションしても非課税が続くと補足した。NISA枠内で買った分の分配金も非課税で受け取れる。そのうえで、NISA枠の範囲ではこうしたファンドを買い、枠外では自分でいろいろ試してみるという使い分けも考えられると話した。

52:21

高配当株をどう活用するか

最後に、高配当株の活用法をそれぞれが語った。かんちさんは、配当が入ってくること自体が安心感になり、年金だけでは生活できない以上、年金を補う資金として高配当株はよいと述べた。ただし自分で選ぶには技量が要る。自分で選べるようになるまでには、失敗して10年ぐらいダメな期間があったという。そこまで経験を積むつもりがなければ、こうしたETFもよいというのがかんちさんの考えである。

松本さんは、あるファイナンシャルプランナーの話を紹介した。インフレで賃金が追いつかない若い世代にとって、教育費や塾代は定期的な支出であり、そのためにNISAで育てた資産を売ることを考えると、投資しながらキャッシュフローを得られる高配当株は別の意味で検討に値するという。松本さんによれば、このETFを上場日に1000万円買っていたら、分配金はすでに3回で54万円(税引き前)受け取れており、1年という観点ではあと1回残っている。月にすると4万5000円くらいになるという。佐田さんは、S&P500のようにキャピタルゲインだけを狙う投資では取り崩しが難しいが、配当なら使い道を家庭ごとに決められるとの感想を述べた。

木野内さんは、普段この番組ではハイテクやAIといった株式投資の話が好きだが、今回の話は資産運用であり、その意味で配当株は有望な投資対象だとよく分かったと語った。特に向いているのは「アクティブシニア」だという。木野内さんは同級生から、退職金をどうするか、持株会の資金をいつ現金化するかと相談されるという。買うときは時間分散するのに、売るときに一度に現金化するのもタイミングのリスクであり、今後インフレや円安で現金の価値が失われるなら株式を持っていたほうがよい場合もある。最大ドローダウンが小さく分配金も潤沢という性質は、そうした層に合っているとして、同級生に聞かれたら推薦できる候補の一つだが、もっと研究したいと述べた。

松本さんはETFのポイントを三つにまとめた。高頻度に銘柄を入れ替えて積極的に配当収益を獲得しに行くこと、次回予想配当利回りを利用してポートフォリオを構築すること、配当落ちによるパフォーマンスへの影響を抑える工夫をしていること。ルール運用で配当を積極的に獲得し、高いインカム収益を目指すETFだという。かんちさんは、少しずつ成長投資枠で自分でも買いたいぐらいだと述べた。佐田さんは、資金がないと買いにくいこと、銘柄選定や管理が大変なことといった、自身が高配当株に感じていた難しさが解消されると感じたと話し、若い世代も時間を味方につけて早く始めれば将来が楽になると締めくくった。