検証レイヤーは次の市場になるか――Axiomatic AIが狙う「間違えられない領域」のAI基盤
東京大学FoundXFoundXの番組「FoundX Review Startup IdeaCast」では、海外スタートアップのアイデアをAIを使って分析し、起業家や新規事業担当者向けに紹介している。今回取り上げたのは、科学・工学領域向けに検証可能なAIを作る米スタートアップ、Axiomatic AIである。番組冒頭で、分析はAIを活用して整理した情報に基づくため、一部に古い情報や誤りが含まれる可能性があると断っている。
この回の中心的な問いは、生成AIの出力をどうすれば半導体やフォトニクスのような間違いのコストが高い領域で使えるようになるか、そしてその「検証」の部分が事業として成立するか、である。説明役は、Axiomatic AIを「AIが答えを出す時代から、AIの答えが正しいかを確認することに価値の一部が移りつつある」ことを示す企業と位置づける。聞き手がその場で抱いた疑問を投げかけ、説明役が答える形で議論が進んだ。
なぜAxiomatic AIを取り上げたのか
説明役によれば、Axiomatic AIは生成AIの出力を、形式検証、物理モデル、測定装置などと接続することで検証可能にしようとしている。ねらう領域は半導体、フォトニクス、先端製造など、間違えると大きなコストが発生する分野である。社名の「Axiomatic」は数学の公理や証明の世界を想起させ、確率的に「それらしい」回答を返す生成AIではなく、公理・定理・証明といった厳密性をAIに持ち込もうとする姿勢を表している、と説明役は解釈する。
事業の実態は、AIモデルそのものを作る会社というより、AI、形式検証、物理シミュレーション、測定装置をつなぐインフラ企業に近いと説明役は見ている。また、半導体業界では2032年までに16万人のエンジニアが不足するという見通しがあり、そうした人材不足も狙いの背景にあるという印象を語った。
聞き手はまず「これはスタートアップになりうるアイデアなのか」と尋ねた。説明役は、形式検証の領域はまだ参入が少なく、競合はいくつかあるものの多くは入ってきておらず、しかもペインが非常に深いので、十分な需要があるのではないかと答えている。
検証を挟めばハルシネーションはなくなるのか
聞き手の次の質問は、検証を挟むとハルシネーションはなくなるのか、というものだった。説明役の答えは慎重である。完全になくなるわけではないかもしれないが、なくなりやすくなる、あるいは形式化できる範囲で誤りを検出・修正しやすくなる、というのが実態だろうという。つまり「見つけやすくなる」ということだ。
説明役は、数学的な命題、仕様、制約、物理モデルなど、検証可能な形に落とせる範囲が重要になると述べる。一方、形式化できない判断については、引き続き人間が担う必要があるという立場を示した。
この文脈で説明役は、Axiomatic AIの構造を3つのレイヤーで整理した。1つ目は、生成AIが確率的に答えを出す「Probabilistic AI」のレイヤー。3つ目は、決定論的な工学の世界である「Deterministic Engineering」のレイヤー。Axiomatic AIはその間に「Verification Layer」を提供し、両者をつなぐ。この真ん中のレイヤーを担う点が、このスタートアップの一番の特徴だと説明役は見ている。
課題:半導体・フォトニクスでAIを使いにくい理由
ターゲットは、半導体、フォトニクス、先端製造のR&D、設計検証、ラボのチームである。説明役によれば、これらの領域ではAIの誤回答は単なる不便ではなく、試作の失敗、設計のやり直し、装置稼働率の低下、品質問題に直結する。わずかなエラーが数億円規模の損失につながると言われているという。
そのうえで、専門人材の不足、そして複雑化する物理シミュレーションと測定のボトルネックという問題が重なっている。汎用LLMは説明が上手でも、物理法則、寸法の整合性、設計上の制約、実測データとは一致しないことがある。人間によるレビューは重要だが、属人的でスケールしにくく、時間もかかる。結果として「AIを使えば効率化できるかもしれないが、間違うかもしれないので信用できず導入できない」という状況が生まれている、と説明役は整理する。
説明役がAIスタートアップ全般の参考になると強調したのは、課題設定の仕方だ。Axiomatic AIはAIに自動化そのものを期待するのではなく、レビューや検証の負荷をどう下げるか、とりわけコストの高いところからどう下げるかを課題に据えている。
聞き手は「汎用LLMに社内データを入れるだけではダメなのか」と質問した。説明役によれば、社内データを入れても物理法則への整合は保証されず、規格への準拠も保証されない可能性がある。問題は知識不足ではなく検証できないことにある。だからAxiomatic AIはLLMを外部の検証器や測定装置につなぎ、そこから正しさを確かめる仕組みを作ろうとしているのだという。
解決策:LLMをLean 4、物理エンジン、測定装置につなぐ
Axiomatic AIの解決策は、LLMを単独で使うのではなく、MCP(Model Context Protocol)を通じて、形式数学の検証ツールであるLean 4、物理エンジン、測定装置などに接続する構造である。その中心にあるのが「Axiomatic Intelligence」と呼ばれる基盤で、説明役によればチャットAIではなく、LLMを検証器・シミュレーター・測定装置と接続するための基盤である。
役割分担としては、LLMが推論や仮説の生成を担当し、その先でLeanや物理エンジン、シミュレーター、実測機器が検証を担当する。説明役が重要だと指摘するのは、AIに物理をすべて覚えさせるのではなく、AIが出したものを外部の信頼できる道具で確認するという設計思想だ。さらに、AIが設計や測定を考え、実際の物理環境やシミュレーター、あるいは形式数学で結果を得て、その結果を使って次の判断をしていくというループを組んでいる点を面白いと評価した。
聞き手が「MCPは出力を変換するようなものか」と尋ねると、説明役は、変換というよりプロトコル、つまりAIと外部ツール、あるいはAI同士をつなぐ共通のインターフェースだと説明した。Anthropicが作ったオープンなプロトコルで、これを使ってLean、他のソフトウェア、シミュレーター、測定装置と接続し、その全体を管理するのがAxiomatic Intelligenceだという。
初期トラクションと市場
現状のトラクションについて、説明役は、MPI Corporationのような半導体に近い企業や、スイスの企業などと提携しており、フォトニックデバイス向けの自律型統合テストソリューションの共同開発に関する覚書を持っていると紹介した。ただし、これは売上や本格導入とは別物だろうと留保している。それでも、測定装置メーカーやフォトニクス企業との接点を持てていることは、初期の市場検証としては一歩進んでいると評価した。
市場規模について、TAMとして挙げられているのは半導体製造装置市場である。業界団体SEMIによる2025年の世界半導体製造装置売上の数字が引かれ、非常に大きな市場とされている。説明役は、AIデータセンター向けの高速トランシーバーや、HBM、先端パッケージの増加によって検査・測定・検証の負荷が増えており、そこを狙っている可能性もあると見ている。ただし、Axiomatic AIは最初から装置市場全体を取りに行くのではなく、フォトニクスの測定やテストといった、高コストでミスの損失が大きい領域に絞っているという。AI需要で急拡大している業界の技術変化と需要変化をうまく使い、検証負荷が増えているところに差し込もうとしている、というのが説明役の見立てだ。
聞き手はフォトニクス測定・テストから入る理由を尋ねた。説明役によれば、測定が複雑で手作業が多く、ミスや待ち時間のロスが大きい領域だとされる。また実測データが取りやすいため、AIの出力を検証するクローズドループ環境を作りやすいとも言われている。テスト装置市場自体の伸びについては、SEMIの発表でテスト装置の売上が前年比55%増とされ、かなり急速に増えていると説明役は紹介した。
ビジネスモデル:SaaS、API、プロフェッショナルサービス
ビジネスモデルは、説明役によれば「おそらくまだ模索中」である。支払い主体は大手の半導体・フォトニクス企業のR&Dやラボのチームで、収益モデルはエンタープライズSaaS、API課金、プロフェッショナルサービスの組み合わせとされている。
典型的なセルフサーブ型SaaSとは異なり、ハイタッチ営業やPoC、現場統合が必要になるため、高単価のプロフェッショナルサービスを組み合わせているのだろうと説明役は推測する。当然、顧客獲得コスト(CAC)は高くなるが、いったんワークフローに入り込めば装置・データ・運用プロセスと結びつくため解約されにくく、LTVは高くなる可能性がある。検証という一番のボトルネックを押さえることで、ハードウェアツール、エンタープライズR&D、AIプラットフォームを回せる環境を作り、使われるほど検証済みデータやモデルが蓄積されるデータのフライホイール効果が起こる、という構想が語られているという。
コスト面では、初期はLLMのAPIコスト、証明探索の計算コスト、インテグレーション費用がかかるが、スケール後は実測データや検証済みモデルが蓄積して限界費用が下がり、粗利が改善することを狙っているとされる。
聞き手は「最初は個別に入り、だんだんSaaSに近づけていく形か」と確認し、説明役はそうだろうと答えた。最初はコンサルティングの色が強いプロフェッショナルサービスで顧客の装置・データ・ワークフローを統合し、長期的には検証済みの標準的なワークフローをSaaSやAPIにしていく流れだという。
聞き手はさらに、限界費用を下げられなかった場合は一件一件対応するモデルに近くなってしまうのではないか、と問うた。説明役はそれを認め、そこができなければ受託開発に近いモデルになると答えた。推論コストや計算コストが高いままなら粗利も出にくい。初期は人手が必要なコンサルティング型でも、それを置き換えていくモデルが成立すれば、受託ではなくソフトウェア企業になっていく、というのが説明役の整理である。
戦略:既存の環境に検証レイヤーとして埋め込む
戦略面で説明役が強調したのは、新しい作業環境を作るのではなく、既に使われている開発環境や測定装置に埋め込む方針である。CursorのようなIDEや、各種ハードウェアツール・測定ツールに、Axiomaticの検証レイヤーをMCPとして組み込む。ユーザーは新しいUIを覚えるのではなく、既存のワークフローの裏側でAIが検証して信頼性を高めてくれる、という入り方だ。独自UIでユーザーを囲い込むのではなく、MCPを使う分だけ乗り換えられやすくなるかもしれないが、それでも検証レイヤーとして入っていくことがポイントだと説明役は述べる。
LLM基盤そのものはClaudeやChatGPTといった外部のエコシステムを使う想定だという。自社リソースは、Leanとの接続、シミュレーターや実測機器を含む物理モデルとの結合といった、難しくリスクの高い部分に集中する。公式の理想像としては「30x30」というミッションを掲げ、半導体・フォトニクスのハードウェア開発のアクセス性、コスト、スピードを2030年までに30倍にし、科学的手法のAIパートナーになることを目指しているという。
聞き手が「LLM基盤は差別化要素として考えていないのか」と尋ねると、説明役は、LLM自体ではなく、検証レイヤー、物理モデル、測定装置との接続、ドメインデータで差別化する方針だと答えた。モデルが進化するほど検証がボトルネックになり、検証レイヤーの価値が上がる可能性がある。ただし、モデルへの依存、APIコスト、データ管理のリスクは残り、MCP接続であるがゆえに他社も参入しやすいという難しさがある、と説明役は指摘した。
ロードマップ:学術的信頼から現場実装、標準化へ
ロードマップは3つのフェーズで説明された。フェーズ1は学術的な信頼の確立で、Ax-ProverをOSSとして公開し、クローズドベータの「Lemma」を研究者に渡してフィードバックを獲得し、論文を発表することで技術的な信頼を作ってきた。フェーズ2は現場実装とコスト最適化で、特にフォトニクス測定のユースケースで実績を作り、MPI社などの測定装置・ハードウェアとの連携によってクローズドループを実現する段階で、説明役によれば今まさに取り組んでいるところだという。フェーズ3は拡張と標準化で、データとノウハウが溜まった段階で多くの企業に展開し、科学・工学AIのデファクトの検証インフラを目指す。
説明役はこれを、ディープテックの事業化として良い進め方だと評価する。技術的な信頼を築き、ペインの大きいところで初期のROIを証明し、それを水平展開していくという流れだ。
聞き手は、技術的な信頼が本当に顧客獲得や導入につながるのかを尋ねた。説明役は、半導体や先端製造では技術の信頼性が営業の前提になる可能性があると答えた。加えて、ユーザーがR&Dやラボの技術者・研究者であるため、論文、OSS、ベンチマークは信頼形成において大きなインパクトを持つという。
フェーズ2で示す実績の具体像について聞かれると、説明役は、抽象的には「検証できたか」だが、具体的には測定時間の短縮、手作業や再測定の削減、試作や測定ミスの削減、装置稼働率の改善などがROIやKPIになるだろうと答えた。
競合:数学AI系とEDA/CAE大手の間
競合の整理として、説明役は2軸のマップを示した。縦軸は確率的生成から形式検証・決定論的証明まで、横軸は一般的な数学・ソフトウェアから深い物理エンジニアリングまでである。形式検証寄りでソフトウェア寄りの位置には、Harmonicなど形式証明・数学AI系の企業があるが、ハードウェアとの接続はやや弱い。SynopsysやAnsysは間接的な競合で、EDA・CAE・シミュレーションに強いものの、AIの検証レイヤーという形ではない。Axiomatic AIは、形式検証、測定、物理への接続を同時に扱う、まだ誰も手を付けていない領域を狙っているというのが説明役の位置づけだ。
差別化要素として挙げられたのは5つある。1つ目はLeanによる形式検証で、Leanはフォーカスト・リサーチ・オーガニゼーションで進められている研究でもあり、説明役は最近Leanの記事をよく見るようになったと述べた。2つ目はMCPによる既存ツールとのシームレスな統合。3つ目は測定装置との物理的な接続で、説明役は、ここまでやっているところはあまり聞かず、自動化ラボならありうるかもしれない程度だと語った。4つ目はクローズドなドメイン知識と実験データの蓄積。5つ目はMITやICFOなどの研究者ネットワークである。単一のモデル性能ではなく、ワークフロー、データ、専門知識、装置接続を複合したサービスでモートを作ろうとしている、と説明役は見る。
どんな組み合わせが強くなるのかという聞き手の問いに対し、説明役は、最終的には検証済みデータやドメイン知識がサービスに組み込まれて追いつけなくなることが大きいと答えた。直近では測定装置や実験ワークフローとの深い統合が効く。ソフトウェア的・数理的なものならLeanを使えば他社でもできるが、物理的なところを先にやってノウハウを貯めておけば、先端物理と形式検証が交差する領域で強みを持てるという。ただ、LeanやMCPで接続できる分、乗り換えられやすくもあるので、最終的な防御をどう作るかはまだ課題だろうと説明役は認めた。
聞き手はよくある問いとして、SynopsysやAnsysのような大手が同じことをした場合にどう勝つのかを尋ねた。説明役は、特定メーカーの測定機器だけなら大手の検証レイヤーで足りるかもしれないが、複数ツールを横断する検証レイヤーになると大手は手を出しにくくなる、という点を直近の見通しとして挙げた。そのほか、新しい領域でノウハウを持つ研究者ネットワークを先に作ることや、AIネイティブな設計で先行することもレバレッジになりうる。さらに、大手がいることは必ずしも悪くなく、M&Aによる出口にもなりうる、と説明役は付け加えた。
参入戦略:MVPをあえて小さく絞る
初期市場はフォトニクス(光集積回路)と半導体テストの現場である。ペインが大きく、市場も大きく、需要が広がっている領域で、とりわけ測定の複雑さ、大量の手作業、試作ミスの高コストが問題になる場面から入っていく。
MVPとしては、MPI社のプローバーと統合した「スマート・メジャメント・システム」を使ったとされる。設計全体をAI化するのではなく、測定点の選択やデータ解釈といった比較的小さな課題に絞り、責任範囲を限定して成果を測りやすくした。初期の顧客獲得は、論文やGitHubによる学術コミュニティへの露出と、測定機器メーカーとのMOUによる販売チャネル・信頼性の確保、そしてハイタッチ営業で進めていたという。
聞き手は、なぜそこまでMVPを絞ったのかがよく分からないと率直に尋ねた。説明役は、設計全体の自動化は責任範囲が広すぎて最初からやるのは難しい一方、測定点の選択やデータ解釈なら改善効果を比較しやすく、熟練者にとってもボトルネックになりやすい工程だと整理されているので、ちょうどよい課題だったのだろうと答えた。PMFの指標については、ベンチマークの達成率だけでなく、提携先での測定サイクル時間の短縮や測定ミスの削減といったKPIが実際に出るかどうかが重要だと述べた。
ベンチマーク:Ax-Proverの数値
技術評価として説明役が紹介したのは、QuantumTheoremsというベンチマークの結果である。Axiomatic AIの公式発表によれば、同社のAx-Proverが96%、DeepSeek-Proverが61%、Claude Sonnetが40%だったという。聞き手は「強いですね」と反応した。抽象代数など他のベンチマークも測られており、そちらは全体的に数値が低いものの、Ax-Proverは96%には届かないまでも比較的高い数値を出しており、数学的推論でもそこそこ良い結果を出しているようだと説明役は述べた。
チーム:政策・標準化の人材と研究者の組み合わせ
説明役がとりわけ強いと評価したのがチームである。CEOは元ホワイトハウス・NISTの高官とされ、政策、標準化、大企業との信頼構築に強い人物だという。その周りを、MIT EECSのダーク・イングランド教授、MIT物理学のマリン教授、ICFOのフランク・コッペンス教授、トロント大学のジョイス・プーン教授といった研究者が固めている。政策・ビジネスに強い人をトップに置き、研究者ネットワークで技術的信用、初期採用、研究者コミュニティへの浸透を図る構成だ、と説明役は見る。
創業の経緯については、単にAIが流行っているから創業したのではなく、生成AIには大きな可能性があるが科学的厳密性を欠くので、深層学習と形式論理の統合を示さなければ最終的には使えない、という認識から始まったチームだと説明された。
聞き手が、これほどの人たちがどうやって集まったのかと尋ねると、説明役は、詳細は調べても分からなかったと前置きしたうえで、MITなどトップ研究機関の共同研究ネットワークがあったのではないか、物理・フォトニクス・量子情報は近接分野でコミュニティがあったのではないか、生成AIの厳密性不足という共通の課題意識があったのかもしれない、と推測を述べた。聞き手も、使っていて厳密性が足りないと感じることはあると応じた。説明役は、ミスが高コストになる領域ではそこが解決されなければ生成AIはおもちゃで終わってしまうとし、最近ハーバードの著名な物理学者がOpenAIに移ったのではないかという噂が流れていたことにも触れて、物理や理論系の研究者が生成AIを活用しようとする動きの先端にいる会社ではないかと語った。
初期の歩み:LLMとLeanのフィードバックループ
Axiomatic AIの初期の仮説は、LLM単体では工学的・科学的な厳密性を担保できず、外部の検証ツールとの接続が必須だというものだった。説明役によれば、LLMにLeanなどの検証ツールのフィードバックを反復させるシステムを開発した結果、数学や量子物理の証明ベンチマークで自己修正が可能になり、大幅な性能向上を確認でき、仮説通りだったという。
ここで重要なのは、AIの失敗を単なるエラーではなく次の修正のためのフィードバックとして使っている点だと説明役は強調する。Ax-ProverはLLMにLeanツールをMCP経由で使わせ、証明の失敗をコンパイラや検証器からフィードバックさせる設計をとっている。arXivに上がっている論文でも、LLMの推論とLeanによる形式検証を組み合わせると説明されているという。
聞き手が、失敗をフィードバックするとなぜ性能が上がるのかを尋ねると、説明役は、LLMは自分の間違いに気づけないので、外部から「間違っている」という情報を与えることで、それを使ってさらに推論し、良い答えにたどり着けるのだろうと答えた。
設計思想:完全自動化ではなく「共同探索者」
この経験から、Axiomatic AIの設計思想は、AIに完全に自動化させる発想から、AIと専門家が協働しながら検証する「共同探索者(co-explorer)」型へと向かったと説明役は述べる。暗号研究者と協働して複雑な証明を形式化した事例もあるという。
聞き手は、この設計思想の違いはそれほど重要なのかと問うた。説明役は、科学や工学、特に間違いが大きなコストになる領域では、まだAIだけに任せたり、その過程を追跡したりするのが難しいと答えた。専門家が途中経過を見ながら介入し、追跡できることが重要で、完全自動化よりも信頼できる共同作業者としてAIを設計したほうが導入されやすいのではないか。自動化エージェントではなく、検証可能なコラボレーションのエージェントとして売るほうが入りやすい、というのがこの事例の示唆だと説明役は整理した。
資金調達:シードで1800万ドル
Axiomatic AIは2026年3月に1800万ドルのシード調達を行い、累計調達額は2500万ドルとされる。説明役は日本円で約30億円程度と換算した。リード投資家はEngine Venturesで、Kleiner Perkinsなども参加している。説明役は、汎用LLMという激戦区を避け、物理法則と形式検証によるミッションクリティカルな産業インフラという未開拓の領域で、市場が非常に大きいことを示せたことが調達につながったと見る。QuantumTheoremsでの96%というベンチマークで技術力を示し、大企業とのMOUも得ていたことも背景にあるという。
聞き手は「シードで1800万ドルは大きい」と驚いた。説明役は、最近のLLM関連のシード調達にはもっと大きいものもあるので比べれば小さいかもしれないと応じた。聞き手が、これだけの研究者が集まって1800万ドルなら、もっとあってもいいのではと述べると、説明役も、研究者チームや計算コスト、エンタープライズへのSaaS展開を考えればもう少し必要かもしれないと同意した。一方で、投資家が「検証が必要な領域はデフォルトのLLMではできない」という考えから、まず賭けてみたという面もあったのではないかと推測した。
他の評価ポイントとして説明役が挙げたのは、チームへの信頼性、生成AIの弱点であるハルシネーションに形式検証だけでなく物理モデルでも取り組むという明確な差別化、そして失敗コストの大きい半導体・フォトニクスを狙うという妥当な市場選択である。
日本で同じアイデアを事業化するなら
番組では、日本で同じアイデアで起業するならどうするかをAIに出させた案も紹介された。案Aは「既存製造装置のMCP化」で、国産の検査・測定装置にMCPレイヤーを実装し、グローバルなAIエージェントが安全に装置を呼び出せるようにする。案Bは「匠の技の形式知化エージェント」で、熟練技術者の設計や目利きを、AIが検証可能なルールや形式知に変換するシステムである。説明役は、たまに聞く話かもしれないが、よりAIを活用する形だと補足した。案Cは「実測データと形式検証を組み合わせたマテリアルズ・インフォマティクス」で、単なる候補探索ではなく物理制約と実験ループを結びつけた材料探索のラボで、自律型ラボの材料版に近いと説明役は述べた。AIからの推奨は、日本には高精度な物理実験データや品質管理、世界トップクラスの半導体製造関連産業があるので、そこをうまく使うのがよい、というものだった。
聞き手が、Axiomatic AIの事例を踏まえると日本ではまずどこを狙うのがよいかと尋ねると、説明役は検査・測定・品質管理のあたりを挙げた。ほかにも材料開発、プロセス条件の探索、半導体や精密機器の設計確認など、責任範囲をある程度限定でき、実測データがある領域から始めるのがよいのではないかという。
まとめと感想:次の問いは「どこで間違いに気づけるか」
説明役はまとめとして、Axiomatic AIから得られる学びを3点に整理した。1つ目は検証可能性に価値が出てくるという先読みで、生成の速さだけでなく、物理法則や数式に基づく信頼性を、LLMにすべてを任せず外部を使って確保するという考え方を、2〜3年前から仕込んでいた点である。2つ目は埋め込みで、独自UIで囲い込まず、MCPなどを活用して既存のIDE・測定装置・ワークフローに一枚のレイヤーを挟み、そのレイヤーを取りに行くという発想だ。3つ目は共同探索者としてのAIで、AIを自動化パートナーとしてではなく、専門家が介入・追跡できるコパイロット的な存在として設計した点が、間違えてはいけない分野では参考になるという。
説明役は、この事業が示した可能性を、もっともらしい確率的な答えではなく検証可能な答えを出すAIインフラをどう作るか、という問いとして捉える。自社の業務フローでAIの出力が間違っていたときにどこで気づけるのか、その地点を取りに行くところにビジネスチャンスがあるかもしれず、この考え方は医療、法務、金融、製造などにも広がりうる、と説明役は述べた。
最後に聞き手は、ハルシネーションが問題だというところまでは誰でも思いつくが、そこから「検証できる形にすればいい」「そのために外部の測定ツールを接続すればいい」と具体化を重ね、最初の顧客は誰かというところまで設計している点が参考になったと感想を述べた。説明役もこれに同意し、次、その次を読んで作っていくことの重要性を確認して回を締めくくった。
皆さん、こんにちは。FoundXの田です。同じくFoundXの富田です。
今日の雑談ですが、ちょうど日経新聞でスタートアップの創業期の資金調達4割減というのが昨日ぐらいに出てまして、どうでしょうね。そこまで減ってる印象はないんですが、こんなに減ってるんですね。
そうですね。ごめんなさい、記事を見られてないですけど、どういうところで特に減ってるとか、差があったりするんですかね?
そこまでは深くはあの記事では書いてなかった記憶がありますが。元のソースを見てみないとわかんないですね。
そうですね。何か特徴が見えたらいいですけどね。
めっちゃ減ってますね。でも本当に。とはいえ、そこまで減ってるかって言うと、私たちのやってる領域はそんな感じもそこまでしないですけどね。
うん。そんなでもないですね。4割。元々難しいとこではありますけど。
そうですね。はい。業界を賑わすというニュースから入ってみました。
これはお際いですね。
というか、それはさておき、いいアイデアを作れば資金調達にはたどり着けると思ってるので、是非その支援をしていきたいと思ってます。はい、ではここからアイデアキャストのコーナーです。FoundX Review Startup IdeaCastでは、海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析して紹介していきます。これからアイデアを考える人たちの参考になればと思います。
最初にディスクレーマーですが、AIを活用して情報を整理しているので、一部情報が古かったり間違ってる可能性もあります。ファクトを重視される場合は必ずご自身で調べるようお願いいたします。本ポッドキャストはあくまでアイデアの参考情報や考え方を引き出すことを目的としています。
今日紹介するのはこのAxiomatic AIです。すみません、言い方があれですが、アクシオマティックとかアクシアマティック、公理のアクシオムのAIです。
これはどうして選んだんでしょうか?
そうですね、まさにこの生成AIの出力を、形式検証とか物理モデルとか測定装置とかとの接続によって検証可能にしていく。公理系と参照しながら検証をしていくことによって、半導体とかフォトニクスとか、あるいは先端製造といったような間違ってはいけない、AIの価値が生成の速さではない、いわゆる、なんでしょうね、難しい、間違ったらすごいコストがかかるようなところに応用していこうというところに対してのペインを解決しようとしている、すごく面白そうなスタートアップなので紹介したいなと思ったりです。
では早速全体像に入っていきたいと思います。このAxiomatic AIですが、AIが答えを出す時代から、AIの答えが正しいか確認できる、そうした検証の方に価値の一部が移ってきていることを示している、いい企業なのかなと。全体としては、生成AIはどうしても弱点としてハルシネーションがありますが、これを形式検証とか物理モデルとの接続によって抑え込んで、科学的あるいは工学的に信頼できるAIインフラを提供していく、そうしたことをしようとしている会社です。
まさにこのAxiomaticという名前自体が、数学の公理とか証明の世界を想起させるような名前で、いわゆる確率的にそれっぽい回答を返してくる生成AIではなくって、公理とか定理とか証明とかの厳密性をAIに持ち込もうとしている、そんな会社です。特に重要なのが、その対象の市場が一般的な文書生成とかチャットボットとかではなくって、半導体とかフォトニクスとか先端製造とか、先ほどあげましたけれども、こうした間違いのコストが高い領域において、生成AIをうまく使っていくためには検証が必要だよねというのを言おうとしている会社なのかなと思っています。
事業としてはAIモデルそのものというよりは、AIとか形式検証とか物理シミュレーション、そして測定装置をつなぐインフラ企業になっているのかなと。そして、まず入っていこうとしている半導体業界は、2032年までに16万人のエンジニア不足になっていくというところ、そうしたところも狙っているような印象です。本当にミスの許されないミッションクリティカルな領域での生産性向上をしていくための、ただ既存の生成AIは物理法則を無視するためにそこができなかったので、そこをやっていこうというようなスタートアップなのかなと思います。
うん。これってスタートアップになりうるようなアイデアなんですね。
そうですね。形式検証というようなところに関しては、非常にスタートアップとして、なんでしょう、まだ…。競合に関してはいくつかありますけども、あまり入ってきてませんし、加えてそこに対してはペインが非常に深いので、多くの需要があるんじゃないかなという風に思います。
検証を挟むとハルシネーションってなくなるんですか?
そうですね。検証を挟むことによって、完璧にっていうことはないかもしれませんが、ハルシネーションはなくなりやすくなる、もしくは特定の形式化可能な範囲で誤りを検出・修正しやすくなる、そんなところなのかなという風に思います。
なんか見つけやすくなるみたいなところですね。
そうですね。あとは、数学的な命題とか仕様とか制約とか物理モデルとか、検証可能な形に落とせるような範囲が重要なのかなという風に思ってますし、形式化できない判断に関しては人間がやっていく必要があるのかなという風には思います。
ちょっともう少し先だけお話しすると、このスタートアップに関しては大きく3つのレイヤーがあるのかなと思っています。1つがProbabilistic AIみたいな感じで、生成AIが確率的に答えを出していくようなレイヤーがあり、そこに対してVerification LayerみたいなところをこのAxiomatic AIが提供して、そしてDeterministic Engineeringという形で、決定論的な工学の世界みたいなレイヤーにつなげていく。この真ん中のレイヤーをAxiomatic AIがやっていくというのが、このスタートアップの位置付けなのかなという風に思います。
では、課題に入りたいと思います。この課題は先ほど少しお話ししましたが、半導体、フォトニクス、先端製造みたいなところになってきます。特にR&Dとか設計の検証とかラボのチームとか、そうしたところがターゲットです。これらの領域では、AIの誤回答というものが単に不便というわけではなくって、試作の失敗とか設計のやり直しとか装置の稼働率低下とか品質問題に直結してしまうので、非常にミスが高コストになってしまうと。わずかなエラーでも数億ドルあるいは数億円ぐらいの損失に直結するみたいなことが言われています。
一方で、専門人材は不足していて、そこに関しても何かやっていかなければいけないっていうのがあったりしますし、あとは複雑化する物理シミュレーションと測定のボトルネックというのもあると言われています。汎用LLMに関しては、説明がうまくても、物理法則とか寸法の整合性とか設計の制約とか、あるいは実測のデータとかと一致はしないみたいな感じなのかなという風に思いますと。一方で人間のレビューとかは重要ですが、属人的でスケールしづらくて時間がかかるというところで、AIがうまく使えるかもしれないが、AIは間違うかもしれない。信用できないのでなかなか導入できないみたいなところに対して、どうやっていくのかというところが、まさに大事なポイントになってきますと。
本当にこのAIスタートアップ全般にとって非常に参考になるなと思うのが、どこを課題にしていくのかっていうところで、彼らはAIに期待している自動化だけではなくて、レビューとか検証負荷をどのように下げていくのか、特にコストが高いところからどう下げていくのかというところが、非常にポイントになっているのかなと思いました。
あ、そう。その汎用LLMにデータを入れるだけだと、やっぱりそれだけではダメなんですかね。
そうですね。社内のデータを入れるだけだと、物理法則とかに対するみたいなところはなかなか保証されないですし、あとCOの準拠というところも保証されないかもしれないというのが問題としてあります。問題は知識不足というよりは検証ができないというところで、このAxiomatic AIはLLMを外部の検証器とか測定装置につないで、そこから検証していくみたいなことをして、正しさを保証するみたいな、そうしたことをやろうとしてるのかなと思います。
では、実際の解決策に移りたいと思います。このAxiomatic AIですが、LLMを単独で使うのではなくって、MCPというプロトコルを通じて、Leanと言われているような形式数学、Lean 4というバージョンの4ですけども、Leanという形式検証を行うようなツールとか、物理エンジンとか、測定装置とか、そうしたところに接続していくというような構造を取っている、そうしたソリューションになっています。
中心にあるのはAxiomatic Intelligenceということで、これはチャットAIではなくて、LLMを検証器とかシミュレーターとか測定装置と接続するための基盤ですと。LLMは推論とか仮説の生成を担当して、その先にLeanとかPhysics Engineみたいな感じで、シミュレーターとか実測機器とかで、いわゆる検証を担当していきますみたいな、そんな感じです。MCP、Model Context Protocolを通して、AIアプリと外部ツールとデータソースを接続する標準プロトコルを持って、これを工学ツール接続に使ってやっていく。なので重要なのは、AIに物理を全部覚えさせるのではなくって、AIが出したものを外部の信頼できる道具で確認するみたいな、そうした設計を取っているというところかなという風に思います。
そうですね。なので、この辺りをうまく作っていくというところと、あとは何がありますかね?新しいのは、本当にこのAIが設計や測定を考えて、実際の物理的な、あるいはシミュレーター、あるいは形式数学でいけば形式検証にかけて、その結果を使って次の判断をしていくみたいな、そこの設計を取ってるのは非常に面白いところかなと思います。
MCPというのが、なんか出力を変換するようなものになってくるんでしょうか?
変換というよりはプロトコルなので、インターフェースと言いますか、AIと外部、あるいはAI同士みたいなところをつなぐ共通規格になってます。Anthropicが作ってるプロトコルですけれども、これはオープンでやられていて、このオープンなプロトコルを使って、Leanとか別のソフトウェアであるとか、シミュレーターであるとか、測定装置と接続していくみたいなところのマネージをしてるのが、このAxiomatic Intelligenceというものですね。
現状のトラクションというか、今どこまでできてるとか評価されてるというのはなんでしょうか?
そうですね。MPI Corporationみたいなところとか、いわゆる半導体に近いところとかですね。あとはスイスの会社であるとか、そうしたところとの提携を行っていて、フォトニックデバイス向けの自律統合テストソリューションに関しての共同開発の覚書を持っていたりとかしますと。売上とか本格導入とは別物になってるのかなという風に思いますが、測定装置メーカーとかフォトニクスとかの企業を接点として持てていることが、初期の市場の検証としてはちょっと進んでいるというところなのかなと思います。
続いて市場です。TAMとかSAMとかSOMになりますけれども、まずTAMに関しては半導体製造装置市場ということで、2025年2351ドルという非常に大きなところをTAMとしてあげています。SEMIですね、業界団体によりますと、2025年の世界半導体製造装置売上がそれぐらいになっているということが言われています。AIデータセンター向けの高速トランシーバーとか、その辺りとかもあったりはしますが、その辺りに関しては、HBMとか先端パッケージの増加によって検査とか測定とか検証の負荷が増えてきていて、この辺りを少し狙っていこうとされている可能性もあるなという風に思います。
特にその成長ドライバーとして、あとはAxiomatic AIが最初から半導体装置市場全体を取りに行くというわけではなくって、フォトニクスの測定であるとかテストとか、いわゆる高コストでデータミスの影響が大きい領域に絞っていくみたいな、そんなところを見ているのかなという風に思います。本当にこのAIというもので需要が爆発的に伸びている業界と言いますか領域において、この技術変化とか需要の変化をうまく使って、テストとか検証負荷が増大しているところにうまく刺していくというような、そんな展開をしているのかなと思います。
最初にフォトニクス測定とかテストのところに入っていくのって、どういった理由があるんでしょう?
そうですね。一説によると、測定が複雑で手作業が多くて、かつミスや待ち時間のコストが高いというような領域だそうです。あとは実測が取りやすいというのもあるので、そうした意味で、AIの出力を検証するようなループ環境というのを作りやすいと言われています。
テスト装置の市場自体も増えてるんですかね。その中でどれぐらいの割合というか、どんな伸びなのかなというところなんですけど。
そうですね。SEMIの発表だと、テスト装置の売上は前年比55%増ということで、かなり爆発的に増えているということは言われていました。では続いてビジネスモデルです。このビジネスモデルに関しては、おそらくまだ模索中だという風には思いますけれども、今のところをご説明させていただきます。
支払いするのは、大手の半導体とかフォトニクス企業のR&Dやラボチームというところです。収益モデルとしては、エンタープライズSaaS、API課金、プロフェッショナルサービスの組み合わせだという風に言われています。なので、高単価なプロフェッショナルサービスも組み合わせていくと。典型的なセルフサーブのSaaSとはまた違って、ハイタッチ営業とかPoCとか現場統合が必要なので、そうしたプロフェッショナルサービスというのをやっているのかなと思います。もちろんそのためにCAC、カスタマーアクイジションコストは非常に高くなってしまいますが、一度ワークフローに入り込んだらなかなか解約しないと言いますか、実際に装置とかデータとか、あるいは運用プロセスとも結びつくので、LTVは高くなる可能性はあるのかなと思います。
このハードウェアツールとか、エンタープライズのR&DとかAIプラットフォームとか、これらをぐるぐると回していくような、検証という一番ボトルネックのところを取ることによって回せる環境を作って、そして使われるほど検証済みデータとかモデルが蓄積されて、データのフライホイール効果みたいなところが起こっていくんじゃないかみたいなことが言われていますね。あとは、初期はLLMのAPIのコストとか、証明探索の計算コストとか、あるいはインテグレーションの費用みたいなところが必要になってきますが、スケール後は実測データとか検証済みモデルが徐々に効きやすくなっていって、限界費用は低下して粗利率は改善するんじゃないかというのを狙っているようです。なので、高いCAC、カスタマーアクイジションコストでも、ミッションクリティカルで高単価で低解約、高い顧客生涯価値があるような、そうした領域を取ろうとしているのかなと思います。
うん。最初はちょっと個別に入っていって、だんだんスケールさせてSaaSに近くしていくような形を狙ってるところでしょうか。
そういうことなのかなと思いますね。最初はプロフェッショナルサービス、コンサルティングとかの色をかなり強くして、お客様先の装置とかデータとかワークフローを統合し、長期的にはそうした検証済みとか標準的なワークフローを自社でSaaSとかAPI化していくみたいな、そんな形になっていくのかなと思います。
限界費用をデータを貯めることで下げていくってことだったんですけど、それができるってことを検証するんだと思うんですけど、できないと結構、一件一件対応するっていうところに近くなってしまうんですかね、やっぱり。
まあ、そうですね。そこができないと受託開発に近いモデルになっちゃうかなと思います。実際に、あとは推論コストとか計算コストが高いままだったりすると粗利も出づらいというようになると思いますし、初期はコンサルティングサービスって形で人手が必要みたいな。ただ、それをどんどんと置き換えていくっていうようなモデルが成立すれば安くなるし、受託開発じゃなくってソフトウェアの会社になっていくというところかなと思いますね。
では戦略です。彼らの戦略としては、新しい作業環境を作っていくというのではなくって、既に使われているような開発環境や測定装置に、いかに埋め込んでいくのかというところなのかなという風に思います。既存のIDE、統合開発環境としてCursorとか、あるいはハードウェアツールとして、いろんなハードウェアツールとか測定ツールとかあったりしますが、そこにうまくこのAxiomaticのVerification LayerをMCPとして噛ませて、ユーザーは新しいUIを覚えるというよりは、既存のワークフローの裏側でこのAIが検証してくれて、信頼性を高めてくれますよという風な、そうした入り方をしているのかなという風に思います。独自UIでユーザーを囲い込むというよりは、本当にMCPを使って、その分乗り換えられやすくもなるかもしれないんですけれども、検証レイヤーとして入っていくというのが彼らのポイントですと。
LLMの基盤自体は外部のエコシステム、ClaudeとかChatGPTとかを使う想定だそうです。自社リソースに関しては、Leanとの接続であったりとか、物理モデルとの結合、シミュレーターとか、あるいは実測機器とかいうところとの、結構大変なリスクの高いところだと思うので、そこに注力していくみたいな、そうしたものを考えているみたいです。ただ公式の理想像としてはですね、ミッション30X30みたいなことを言っていて、いわゆる半導体とかフォトニックハードウェア開発のアクセス性とかコストとかスピードを2030年までに30倍にするみたいな、そうしたミッションを掲げて、科学的手法のAIパートナーになっていきますということを言っています。
LLMの基盤は外部のものを使うっていうのはちょっとなるほどと思ったんですけど、そこは別に差別化の要素としては彼らとしては考えてないということなんでしょうか?
そうみたいですね。LLM自体で差別化するんじゃなくって、検証レイヤーとか物理モデルとか測定装置の接続、あるいはドメインデータといったようなところで差別化をしていきますということだそうです。モデルが進化するほど検証レイヤーの価値も上がる可能性があると言いますか、検証がボトルネックになれば、検証の方が非常に価値を持っていくことになるので、そこに対して価値を出していこうと。ただもちろん、モデルの依存とかAPIコストとかデータ管理のリスクは残っていきますし、MCP接続を通じているので他社も参入しやすかったりしますし、なんでしょうね、難しいところはあると思いますね。
ではロードマップです。このAxiomatic AIですが、まずフェーズ1として学術的な信頼の確立ということをやっています。彼らのAx-ProverベースというものをOSSで公開していたりとか、Closed BetaのLemmaというものを研究者に渡してフィードバックを獲得したりとか、論文みたいなものを書いて発表していくみたいなことをして、まずは技術的な信頼を作っていくということをしていました。そしてフェーズ2に移って、現場の実装とコスト最適化ということで、特定のユースケース、特にフォトニクス測定ですね、での実績の構築をし、まさに今やろうとしてるところですが、このMPI社等の測定装置とかハードウェアとの連携によるクローズドループの実現というところをやっていきますと。そして、そうしたデータとかノウハウが溜まってきたら、次はフェーズ3、拡張とか標準化にしていくと。いろんな企業様に展開していったりとか、あるいは科学とか工学AIのデファクトの検証インフラ化というのを、彼らとしては狙っているようです。
ある意味、ディープテックの事業化として非常に良い形なのかなと。技術的な信頼を築いて、次に本当にペインの大きなところに関して初期のROIを証明して、それをさらに水平展開していくというような、そんなことをしようとしているというのが、このスタートアップの進み方かなと思います。
最初に技術的な信頼を築くというところだったんですけど、実際にそれってお客様の獲得であったり、導入につながるようなものなんでしょうか。
そうですね。特にこうした半導体とか先端製造とかの辺りに関しては、技術の信頼性って非常に大事になってくると思うので、その技術の信頼性が営業の前提になって入っていく可能性はあるのかなと。あとは、ユーザーがR&Dの人とかラボとかだったりするので、やっぱり技術者とか研究者がユーザーになってきますと。彼ら彼女らに対する信頼形成という観点だと、論文が出てますとか、OSSでありますとか、ベンチマークみたいなところは非常に大きなインパクトを持ってくるものなのかなと思います。
フェーズ2で実績を示すということだったんですけど、具体的にはどういう実績が考えられるんでしょうか?
そうですね。抽象的に言えば、検証できたかどうかっていうところだと思いますが、より具体に落としていくと、測定時間が短縮できたかとか、手作業とか再測定がどれだけ減ったかとか、試作とか測定ミスがどれだけ減ったか、あるいは装置稼働率の改善がどこまで行われたかといったようなところが、おそらくROIとかKPIとかになっていくのかなと思います。
では競合です。Axiomatic AIの競合はいくつか出てきていますというところです。まず二軸で整理すると、縦軸が非検証とか確率的生成から、形式検証あるいは決定論的証明みたいなところ。そして横軸が、一般的な数学やソフトウェアから、深い物理的なエンジニアリングみたいなところで、縦横というのを取った時に、まず形式検証でかつソフトというところに関しては、Harmonicとかスインクみたいなところが、形式証明とか数学AIの方向で近いですが、ハードウェアとの接続はやや弱いというのが、こうした競合の位置付けです。一方で、SynopsysとかAnsysとかに関しては、間接的かもしれませんけれども、EDAとかCAEとかシミュレーションで強いところですが、AIの検証レイヤーという形ではないみたいな、そんな形になっています。このAxiomatic AIは、ある意味誰も手を出してないと言いますか、形式検証とか測定とか物理への接続っていうのを同時に満たす領域でやろうとしているのが、彼らの位置付けになるのかなと思います。
差別化要素がいくつかあるとすると、まず1つ目が形式検証、Leanですね。これはFocused Research Organizationで得られている研究でもあります。最近も結構Leanの記事とかをよく見るようになったなと思うんですが、このLean前提のアーキテクチャーを形式検証では使いますと。もう1個がMCPによる既存のツールとのシームレスな統合。そして3つ目が測定装置との物理的な接続。ここをやってるところはまだ聞かないかなと。実験だったらあるかな、オートメーテッドラボだったらあるかもしれませんが、そこでありますと。そして、クローズドなドメイン知識と実験データの蓄積を4つ目の特徴としてあげていて、そして5つ目はチーム的なところで、MITとかICFOとかの研究者のネットワークがあるというところです。なので、この企業はある意味こうした差別化要素をいくつか持って、単一のモデル性能ではなくて、ワークフローとかデータとか、あるいは専門知識、装置の接続みたいな複合的なサービスを提供していくことで、ある意味モートというのを作ろうとしているのかなという風に思います。
モートの話で、なんかモデルだけではないっていうところだったんですけど、どういう組み合わせがやっぱり強くなるんですかね。
そうですね、最終的には検証済みデータとかドメイン知識とかがうまく自社のサービスとかAIに含み込まれていって、追いつけなくなっていくってのがあると思いますし、直近だと測定装置とか実験ワークフローとの深い統合をすることによって、ソフトウェア的な、数理的なものであればLean使えばいいっていうところは今後いくつか出てくると思いますが、物理的なところを先にやっておくことによって、そこでノウハウを貯めて、物理も関わるような、先端物理と先端的な形式みたいなところがかかってくるところに関しては、ここが強いよねみたいなところを取っていくというところかなと思います。ただ一方で、LeanとかMCPで接続できる分、他社も乗り換えやすいというところがあるので、ここを最終的にどう作っていくのかってのは、まだ課題なんだろうなと思いますね。
なるほど。よくあるやつですけど、SynopsysとかAnsysとかっていったような大手のところが同じことをやった時に、どういう風に勝つ、あるいは逃げ切るようなことを考えてるんでしょうか?
そうですね。Axiomatic AIに関しては、既存ツールを横断して検証レイヤーを用意するというところで、特定の会社の測定機器しか持ってない会社であれば、SynopsysとかAnsysとかが提供する検証レイヤーでいいかもしれませんが、それを横断するってなった瞬間に、多分大手のメーカーとかがちょっと手を出しづらいようになっていくのが1つ、直近見えるところかなと思いますと。あとは、いわゆるAxiomatic AIがやろうとしてるのは新しいところではあるので、そこでノウハウを持ってる研究者のネットワークをちゃんと先に作っていくみたいなところは1つレバレッジになるかもしれませんし、AIネイティブな設計みたいなところで先行していくっていうことはあり得るかもしれないなと。あとは、競合がいることは別に悪いことではない。特に大手に関しては、なぜかというとM&Aの出口というものにもなっていくと思うので、ここに関しては競合も来るかもしれませんが、買収もあるかもしれないというようなことであるかなと思います。
では参入戦略です。この会社ですが、まず初期市場に関してはフォトニクスですね、光集積回路及び半導体テストの現場という、非常にペインが大きくて、しかも市場も大きい、そして需要も広がっているというところにフォーカスをしています。特に測定の複雑性とか多大な手作業とか、試作ミスの非常に高いコストが起こってしまうような領域においてやっていくというのが、まず最初の参入ですと。MVPとしては、MPI社のプローバーを統合したこのスマートメジャメントシステムというものを使ってやったみたいですね。設計全体をAI化するのではなくて、測定点の選択とかデータ解釈といったような、少し課題としては小さいところに絞っていると。これは責任範囲が限定されて成果を測りやすいというようなメリットもあったみたいです。
そして初期の顧客獲得の方法ですが、学術コミュニティへの露出ですね。論文であるとか、あるいはGitHubとかを使いつつ、この測定器メーカーとのMOUを結んで、販売チャネルとか信頼性を担っていく、ハイタッチ営業をしていくみたいなことをやっていたそうです。そしてPMFではないですけれども、QuantumTheoremsみたいなベンチマークの達成率だけではなくて、提携先でのテストの短縮とか、実測の検証みたいなことをしている必要があるのかなという風に思います。
そのMVPをすごく絞ったっていうのは、なるほどなと思う反面、あんまり分かってないところもあって、どういう理由で絞ったんですかね。
そうですね。設計全体の自動化はやっぱり責任範囲が広すぎて、最初から全部やるのはなかなか難しいんじゃないかなという風に思います。一方、測定点の選択とかデータの解釈であれば改善効果を比較しやすいですし、実際人間の熟練者であってもボトルネックになりやすい工程だという風にも整理されていて、そうした意味で、非常にちょうどいい課題になったというところなのかなと思います。
ほう。PMFとか、どうちゃんとソリューションが伸びるかっていうところで、ベンチマークの達成率ってところだったんですけど、他にも何かあったりするんでしょうか?
まあ、実際にどれだけ測定サイクル時間が短縮されたかとか、測定ミスが削減されたかとか、さっき言ったようなところ、このKPIがちゃんと出たかどうかっていうところかなと思います。ちなみにQuantumTheoremsっていうベンチマークでは、Ax-Proverという彼らが出してるやつが、Axiomatic AI公式サイトだと96%をやっていて、DS-Proverという別のものが61%、Claude Sonnetが40%みたいな感じになっていて、かなり高い検証の数値になっているというのが今の現状だそうです。
強いですね。
そうですね。他にもAbstract Algebraみたいなところのベンチマークも測ってますが、それは全体的に低いんですけども、彼らは96%まではいかないですが、比較的高めの数値をやっていて、Mathematical Reasoningにおいても、そこそこいいベンチマークを出してるみたいですね。
では起業のプロセスです。まずこのチームがすごく強いチームになってます。まずCEOのジェイクさん、センジエクテラーさんは、元ホワイトハウス、NISTの高官ですというような形で、政策とか標準化とか大企業の信頼構築というのが非常にできる人がCEOですと。そして次に、Dirk EnglundさんのようなMITのEECSの教授とか、Marinさんのような人はMITのフィジクスの教授とか、そしてFrank KoppensさんはICFOの教授、Joyce Poonさんはトロント大学の教授みたいな感じで、本当に政策、ビジネス、政治に強い人をトップに置いて、横を本当に研究者で固めているみたいな、そうした研究者ネットワークを作っていますと。この研究者ネットワークが作れてるっていうところから、技術的な信用とか初期の採用とか研究者コミュニティへの浸透っていうのをやっていくというところかなと。
創業の経緯としては、単にAIが流行ってるから創業したというわけではなくて、生成AIはすごく可能性があるが、一方でやっぱり科学的厳密性を欠くので、そこに対してやはり深層学習と形式論理との統合を示していかないと、最終的に検証が難しいというか、生成だけだとやっぱりダメだよねっていう、そうした認識から始まったチームみたいです。本当にビジネスをやりつつ、学術的にも物理学、フォトニクス、量子情報といった先生方が集まって、ネットワークで基盤を形成しているというところかなと思いますね。
なんかめっちゃ強いんですけど、どういう風にしてこの方々は集まっていったんですかね?
そうですね。どうなんでしょうね。詳細は私も調べてもあまりわからなかったんですが、MITとかのトップの研究機関の共同研究のネットワークとかがあったんじゃないかなとか、あとは物理とかフォトニクスとか量子情報に関しては近接分野だったので、そこでコミュニティがあるみたいなところがあるのかなと。あとは、生成AIはすごいけれど科学的厳密性が足りないよねという、その共通の課題意識があったのかもしれないなという風に思います。
確かに厳密性は全然足りないなっていうのは使ってても思うところなので、そこはなんか皆さん感じるところがありそうですね。
そうですね。特にミスったら高コストの領域においては、そこが解決されないと、おもちゃで終わっちゃうのかなっていう風には思いますし。最近も、OpenAIにすごい有名なハーバードの物理学者が転職したんじゃないかみたいな噂が流れてましたが、まさにこうした物理とかフォトニクスとか、あるいは他の理論系の方々も、この辺りかなり生成AIをうまく使ってやっていこうみたいな動きが見えてきていて、その先鞭をつけるような会社なのかなと思いました。
では、この会社の初期の歩みというところですが、彼らは、LLM単体では工学的あるいは科学的な厳密性を担保できないということで、外部検証ツールとの接続が必須だという風な仮説を持ちましたと。そして検証結果としては、システムの開発を通じて、LLMにLeanの検証ツールのフィードバックを反復させることで、数学とか量子物理の証明ベンチマークにおいて自己修正が可能になり、そして大幅な性能向上を確認できたと。仮説通りでしたみたいな感じでした。LeanでVerificationのFailと言いますか、間違いがあったらそれをフィードバックして、さらに学習させていくと、うまく回っていったという風なことが言われています。
これは非常に重要で、失敗は単なるエラーではなくって、次の修正のためのフィードバックとして使っていると。エラーかどうかっていうところを物理とかLeanとかで検証して、それをフィードバックしていくっていう風なループを使っていますということでした。あと、Ax-Proverは、LLMにLeanツールをMCP経由で使わせて、証明の失敗をコンパイラーや検証器からフィードバックさせていたという風な、そういう設計をしていると。arXivに上がってる論文においても、LLMの推論とLeanの形式検証というのを組み合わせるという風に説明してる論文があったりします。
なので、本当にAIに完全に自動化させるという発想からですね、AIと専門家が協働しながら、あるいは検証するみたいな、エクスプローラーの設計思想を使って、そうした設計思想にして、研究者と協働して複雑な
証明を形式化したみたいな、そうした事例を作ったというところもあったりはする。
失敗してもフィードバックするといいってことなんですけど、性能が上がる理由ってどういうところなんですかね?
そうですね。その失敗情報をさらに読み込ませると言いますか、与えることによって修正ができるみたいな、そんなところみたいですね。LLMは自分の間違いに気づけないので、いや、間違ってるよっていうのを外部の情報から上げてあげることで、それを使ってさらに推論して、いい答えにたどり着いていくということなのかなと思います。
設計思想がコエクスプローラーになっていったってところなんですが、この設計思想自体はここで言うほどなので、きっとどうで重要になってくるのかなと思ったんですけど、何か大きな違いはあるんでしょうか。
そうですね、科学とか工学という領域、特に間違いがダメな、大きなコストになるような領域に関しては、まだAIだけに任せると言いますか、期待しづらいというところがあると思います。そうした意味ではやっぱり専門家が途中経過を見ながら介入して追跡できるというのが非常に重要で、完全自動化よりもその信頼できる共同作業者としてAIを設計した方が導入されやすいのではないかというのが、この設計思想なのかなと。自動化というよりはその検証可能なコラボレーションのエージェントと言いますか、コエージェントというものを売っていくみたいな考え方の方が売り方としても入りやすいんじゃないかというのが1つのポイントになってくる、発見というか、示唆なのかなと思います。
では、彼らがどのように進んできたのかに関して少し整理をさせていただこうと思います。まずですね、彼らは今現状18ミリオンのシード調達をしています。26年3月に18Mドルなので大体日本円だと30億円ぐらいですかね。調達していて累計の調達額は2500万ドルという風に言われています。リード投資家はThe Engine Venturesで、その他にKleiner Perkinsとかが入っていますという状況です。
彼らはこうした調達をしていく時に汎用のLLMというような激戦区を避けて、物理法則とか形式検証、ミッションクリティカルな領域に技術を作っていく、その物理法則と形式検証による産業インフラみたいなところ、未開拓の領域において、タマが非常に大きいというのを示せて、この調達はできたのかなという風に思いますと。で、KPIに関しても特定のベンチマーク、先ほど言ったクタムセルスみたいなところでも96%というような、そうしたベンチマークを達成していて、技術的にも強いというのを示すことができて、大きな企業とのMOUというところも入ってきているので、この資金調達があったのかなと思います。
いや、シードで1800万ドル調達するんですね。なんか大きいですね。
そうですね。とはいえLLMの、最近のシード調達とか見てるともっと大きいとこあったりするんで、それに比べるとまだまだちっちゃいのかもしれないなと思いつつ、大きめではありますかね。これだけ先生集めて18Mドルかっていうのは確かにもうちょっとあってもいいんじゃない。
あとは、とはいえディープテックとか、研究者チームとか計算コストとかのことを考えたらもうちょっと大きめの資金が必要、エンタープライズでセールスしていくとか考えたら、そこはもう少しあってもいいのかなとは少し思いましたし、一方でやっぱりこの投資家の皆さんが、この検証が必要な領域に関しては、デフォルトのLLMだとできないよねっていう風な、そうした考え方でちょっと張ってみるみたいなところもあったのかなと思います。
他にも評価されたようなポイントってあるんですかね?
そうですね。チームへの信頼性っていうところが1つあるのかなと思いますと。あとは、生成AIの弱点とよく言われているハルシネーションに関して、その形式検証だけではなくって物理モデルで解くと、その検証の方に色々やっていきますっていうところは、明確な差別化にはなってるなと。あとは、そのミスのコストが大きい領域、半導体とかフォトニクスとかを狙っていますっていうところは、リーズナブルですし、お金が調達できる感じもするなと思います。
では、日本で同じアイデアを起業するならというところでAIに出してもらいました。いくつか発想が出てくるのかなと思いましたと。案Aに関しては既存製造装置のMCP化ということで、国産の検査とか測定装置にMCPレイヤーを実装して、グローバルなAIエージェントが安全にその装置を呼び出せるようなレイヤーを作っていくというのが1つ。
そしてもう1つB案というものが匠の技の形式知化、形式知化エージェントということで、熟練技術者の設計とか目利きをAIが検証可能なルールベース、あるいは形式知に変換していくようなシステム、たまに聞くかもしれませんが、もうちょっとAIを使っていくみたいなところですかね。
そして3つ目のC案というところが実測データと形式検証を組み合わせたマテリアルズ・インフォマティクスということで、単なる候補探索ではなくって、物理制約とか実験ログを結びつけた材料探索をしていく、そんなラボというものを作っていくみたいな、オートノマスラボとかに近いのかもしれませんが、そうしたところのマテリアル版なのかなと思います。
日本は比較的この高精度な物理実験データとか品質管理とか、世界トップの半導体製造関連の産業を持ってるところなので、ここをうまく使っていくのがいいんじゃないかというのがAIからのレコメンドでした。
Axiomatic AIの話を踏まえると、日本で最初にどういうところを狙っていくのが良さそうなんでしょうか?
検査とか測定とか品質管理の辺りが1つかなと思います。また材料開発とかプロセス条件探索であるとか、半導体とか精密機器の設計の確認だったりとか、何かしら責任範囲がある程度限定できて実測データがあるような領域から始めていくっていうのは、1ついいのかなとは思いますね。
では、まとめに入りたいと思います。このAxiomatic AI、非常にいろんな参考になるところが多いのかなと思っています。1つはその検証ですね、確実性みたいなところに価値が出てくるんじゃないかというような、そうした1つ先を読んだ話を、今というか2、3年前から仕込んでいるというところですと。生成の速さだけではなくって、特に検証ができる検証可能性、そして物理法則とか数式ベースの信頼性、LLMで全部やるんじゃなくって、外部をうまく使って検証していくというのが1つ。
2つ目が埋め込みですと。独自UIで囲い込むのではなくってMCP等を活用して既存のIDEとか測定装置とかワークフローに1つレイヤーを挟む、そのレイヤーを取りに行きますというような考え方が、この2つ目の参考になるポイントかなと。
そして3つ目が、コエクスプローラーですね、共同検証者としてのAI。AIを単なるエージェントという、自動化していくパートナーとせずにですね、専門家があくまで寄り添って、専門家が介入とか追跡できるような共同探索者として設計していく、本当にコパイロット的にやっていくみたいな、そんな形で、AIを難しい分野、特に間違ってはいけない分野においては、そうした形にして設計していたというのが勉強になるところかなと思います。
本当にこの企業が示した1つの可能性としては、最もらしい、プロバビリスティックな答えではなくって、検証可能な答えを出すAIインフラをどのように作っていくのかという風なところですと。本当に自社の業務フローにおいてAIの出力が間違っていた場合に、どこで気づけるのかというような、そうしたところを取りに行こうとしている。そして、そこにもしかしたらビジネスチャンスがあるかもしれないということを知らせてくれる、医療とか法務とか金融とか製造とか、そうしたところにも広がっていくような考え方を提供してくれるスタートアップかなという風に思いました。
以上、今日はAxiomatic AIを紹介しました。どうでしたか?
なんか、ハルシネーション問題だよねとかっていうのは思いつくところであるんですけど、そこからさらに検証できるような形にすればいいよねっていうので、じゃあツールなんですかね、外部の測定のツールを接続すればいいよねっていう風に、どんどん具体化していって、じゃあ最初の顧客どうなんだっていうところまで設計デザインしていくところが参考になるなという風に思いました。
そうですね。そうした本当に次とか次の次とかをちゃんと読んで作っていきたいところですね。それでは今日はこちらで終了です。FoundX Review Startup IdeaCastでは今後も皆さんのアイデアのために最新のスタートアップを紹介していきます。ご興味の方は是非チャンネル登録やいいねをお願いします。またFoundXの各種プログラムでも募集していますので、周りに考えてる方がいらっしゃれば是非FoundXをご紹介いただければと思います。ではまた次回よろしくお願いします。
ありがとうございました。ありがとうございました。
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