金属を溶かさずに合金をつくる Foundation Alloy:新素材の開発から初回納入までを6週間に縮めた垂直統合
東京大学FoundXFoundXの番組「FoundX Review Startup IdeaCast」は、海外スタートアップをAIで分析し、起業を考える人向けに紹介している。今回取り上げたのは、アメリカのディープテック企業Foundation Alloyである。同社は金属を熱で溶かして混ぜるのではなく、粉末の状態で機械的に合金化し、焼結して、高温や過酷な環境に耐える合金を作る。
番組がこの会社を選んだ理由は二つあった。技術の重い企業を調べたかったことと、2026年6月に約2,200万ドルを調達した直後でタイミングがよかったことである。研究室での科学的な発明を量産工場に移し、ビジネスにしていく過程が、起業を考える人の参考になると番組は考えた。なお番組は冒頭で、AIを使って情報を整理しているため一部が古かったり誤っていたりする可能性がある、と断っている。以下の数値や主張も、番組が調べた内容として紹介されたものである。
なぜ今この事業が成り立つのか:三つの条件の重なり
番組は、Foundation Alloyが今成り立つ背景として三つの要因を挙げた。
一つ目はサプライチェーンの脆弱性である。アメリカの防衛関連部品には、調達リードタイムが最大900日、つまり約2年半に達するものがあり、サプライチェーンが目詰まりを起こしているという。二つ目は、従来の冶金技術が限界にきていることだ。金属を熱で溶かす溶解冶金は性能の上限に近づいており、エネルギー消費も大きく、環境効率の面でも壁に突き当たっているとされる。三つ目は、関連する科学の成熟である。金属をボールミルで粉末にして混ぜる手法や焼結といった長年の研究が、AIやデータモデルと結びつき、産業レベルで制御できるようになってきたという。
Foundation Alloyは、この三つが重なる領域で、金属を溶かす工程をなくした「Metals First」というプラットフォームを立ち上げた。これが同社の全体像として紹介された。
部品調達に900日かかる構造
聞き手は、防衛部品の調達になぜ最大900日もかかるのかを尋ねた。解説役によれば、従来はインゴットを溶かし、鍛造し、熱処理し、機械加工するという複数の工程があり、それぞれを別の専門業者が担い、ときには国をまたいで分業している。さらに、航空宇宙や防衛向けの認証材を扱えるサプライヤーや巨大な溶解設備は限られているため、順番待ちが発生しているという。
では、ボールミルのような古くからある技術が、なぜこれまで産業技術として広まらなかったのか。解説役は、原理自体は以前から分かっていたと説明した。問題は量産時の制御で、ミリング容器やボールからの鉄の混入、酸素の混入といった汚染、バッチごとの品質のばらつき、焼結後の収縮を量産規模でコントロールすることが難しかった。Foundation Alloyは、計算やAIを使って材料の組成を設計し、低温かつ短時間で焼結する技術を用いることで、大きなバッチでも結果を再現できるようにしようとしている、と番組は伝えた。
従来の合金製造が抱えていた課題と、現場で起きていた損失
従来の合金製造は「溶かす、固める、叩く、削る」という長い工程を前提としており、熱効率も悪かった。技術的に最も大きな壁は、融点が大きく異なる金属を溶かして均一に混ぜることの難しさである。融点の高い金属を無理に溶かすと、成分の偏り、小さな空孔、脆い化合物が生じ、割れの原因になることがあった。
この限界は、顧客の現場で具体的な痛みとして現れていた。熱間鍛造やダイカストの現場では、金型が1,000度近い高温にさらされる。金型は軟化し、熱疲労で割れる。金型の寿命が尽きると、単に部材を交換すれば済むわけではない。生産ライン全体が止まるダウンタイムの損失や、再研磨などのメンテナンス費用が発生し、その額は数千万円規模になることもあるという。さらに、新しい合金を開発して顧客の認定を通すまでに数年単位の時間がかかるため、エンジニアは不満を抱えながらも標準材を使い続けるしかなかった。
聞き手は、既存の合金でもコーティングや冷却設計で金型寿命を延ばせたのではないかと問うた。解説役によれば、現場では実際にコーティングや特殊な冷却水路の設計で寿命不足を補っていた。しかしそのぶん表面処理や保守運用のコストが上がっており、素材そのものの耐熱性や強度の限界を引き上げなければ劇的な改善は見込めない状況だったという。
解決策「Metals First」と機械的合金化
Foundation Alloyの解決策である「Metals First」は、材料設計、機械的合金化、成形、焼結を一つのループとして統合したプラットフォームである。中核になるのは、高エネルギーのボールミルで元素の粉末を物理的に圧着しながら混ぜ合わせる「機械的合金化」だ。金属を液体にしないため、従来の方法では難しかった原子レベルで均一かつ微細な組織を持つ合金組成を作れるという。
製造プロセスとしての強みについて、同社は熱の投入量が従来の10分の1になり、特殊鋼やステンレスの製造工程も80〜90%削減できると主張している。新合金のアイデアから初回サンプル納品まで数年かかっていたものを、数週間で終えられるという開発スピードも特徴に挙げられた。また、完成形状に近い「ニアネットシェイプ」で成形できるため、加工費が高く削りにくい高硬度金属のスクラップや加工時間を減らせるという。
実績としては、独自のモリブデン合金が市販の代表的な合金と比べて3倍以上の強度を示し、1,000度で96時間保持しても硬さの97%を維持したと紹介された。過酷な環境に耐える合金を開発できたことを示す数字として番組は取り上げた。
最初にモリブデン合金を選んだ理由
聞き手は、鉄やアルミではなくモリブデンを初期の主力に選んだ理由を尋ねた。解説役によれば、モリブデンはもともと材料価格も加工費も高い。しかも過酷な環境で使われるため、材料が壊れたときの損失が大きい。量産規模が小さい初期段階でも、顧客がプレミアムを払ってでも買いたいと考える経済的価値が生まれやすい領域だった、と解説役は見ている。
市場戦略:金型から航空宇宙・防衛・エネルギーへ
TAM(獲得可能な最大市場)について、同社は世界の金属・合金市場全体を設定している。解説役は「ちょっと広すぎる」と留保しつつ、同社が航空宇宙、防衛、エネルギーなどいくつかの領域を合計して数百億ドル規模の市場を狙うと定義していることを紹介した。
最初に取りに行く市場は、熱間鍛造やダイカストの金型・ツーリングである。材料性能の差が金型寿命やラインの稼働率に直結し、顧客にとっての金額的なメリットがはっきりしているため選ばれた。次に、防衛・航空宇宙向けの材料や、次世代エネルギー向けの耐熱材・耐火金属部品へと拡張する。最終的には特殊ステンレス鋼やニッケル超合金に展開し、産業全体のベース材料のサプライヤーになることを狙っているという。
市場成長のドライバーとしては、アメリカの防衛製造基盤のリショアリング政策、ロケットや核融合といった極限環境技術の進化、そして高機能材へのニーズの三点が挙げられた。
聞き手は、モリブデンで成功しても他の特殊鋼やニッケル合金に展開できるのかと問うた。解説役は、機械的合金化と焼結という物理的な設備やデータ解析のプロセス自体は横展開できると答えた。ただし金属系ごとに酸化のしやすさ、汚染の管理、焼結温度が異なるため、そのまま同じものを展開できるわけではない。新しいレシピや条件の最適化が必要で、そこが技術的なハードルになるだろうと解説役は述べた。
ビジネスモデル:素材から完成部品まで、モジュール型の生産セル
同社は素材を売るだけではなく、顧客のニーズに応じて素材の販売、ニアネットシェイプ部品、機械加工済みの完成部品という三つのレイヤーで柔軟に対応している。
番組がビジネスモデル上の新しさとして注目したのは、工場と設備投資の構造である。従来の特殊合金メーカーは、溶解工場を建てるのに1拠点で230億円以上(番組の説明による)かかる資本集約的なモデルだった。Foundation Alloyは、比較的安価でコンパクトなモジュール式の生産セルを標準化し、需要のある顧客や製造パートナーの近くに分散配置する構想をとっている。これにより巨大設備を建てるより10倍早く展開でき、資本効率も高く生産能力を増やせると同社は主張している。
収益面では、初期は共同開発費やパイロット評価から始め、量産に移行した後は部品単位の見積もり型販売や長期供給契約にシフトしていく考えだという。
聞き手は、利益だけを考えれば材料や粉末だけを売るファブレス型のほうがよいのではないか、と問いかけた。解説役の説明では、材料や粉末だけを売ると、成形や焼結は顧客側で行うことになる。すると顧客の設備で品質不良が起きたとき、材料が悪いと誤解され、評価が不安定になるリスクがある。合金から完成品まで垂直統合することで、プロセスを自社で制御し、付加価値と品質保証の責任を自社で担う形にしているという。
戦略:AIは商品ではなく、物理データを回す装置
番組は同社の戦略を、材料設計と量産プロセスを一体化し、データを蓄積しながら垂直統合していくものとまとめた。ディープテックでは、組成のレシピだけを作っても従来の工場では製造できないことがある。料理にたとえれば、レシピがあっても調理できない状態だ。だから同社は設計から機械的合金化、成形、焼結、部品供給までをフルスタックで管理している。
AIも活用しているが、AIそのものが商品ではない。ラボや工場で日々蓄積される実験データや品質データをAIで解析し、次の開発やスケールアップの条件を導く「加速装置」として位置づけているという。
垂直統合は負荷の高いモデルなので、外部の力も使っている。生産セルの自動化と立ち上げでは、アメリカの製造受託や自動化の専門企業と提携し、資本と人材の負担を分散している。参入障壁が高く閉鎖的とされる日本やアジアへの展開では、技術提携先を販売パートナーとして巻き込んでいる。
10〜20年後の理想像は、あらゆる金属を置き換える会社になることではない。老朽化したアメリカの製造業エコシステムを基盤から再構築し、先進産業の性能限界を引き上げることを目指しているという。聞き手が「アメリカならではの感じがある」と述べると、解説役も、エコシステム全体を作り替えようとするのはアメリカのスタートアップによくあることで、政策の後押しもかなりあるのだろうと調べていて感じた、と応じた。
競争優位は「独自の物理データ」
材料AIのスタートアップが数多く出てくる中で、どう優位性を保つのか。解説役によれば、CEOのジェイク・ガブリン氏は、AIモデルそのものはコモディティ化すると述べている。同氏の考えでは、堀(モート)になるのは、ラボと工場で実際に金属を作り、壊し、蓄積していく独自の物理データセットである。計算だけでなく、実際の製造データや試験データを持っていることが競合に対する堀になる、と同社は考えている。
余談として、社名の「Foundation」はアイザック・アシモフのSF小説「ファウンデーション(銀河帝国興亡史)」シリーズに由来し、先進社会を支える基盤を作るという思いが込められているという。
競合環境と、金属3Dプリンティングとの関係
同社は先端合金の設計、粉末冶金、成形といった要素が交わる位置にいるため、番組は競合を分けて整理した。直接の競合は、従来型製法の大手、つまり老舗の耐火金属メーカーである。規模が大きく、認証や量産の実績もあるが、生産プロセスは従来のものだ。間接の競合は、AIやシミュレーションで新しい合金組成を設計する計算材料設計の企業である。設計は速いが自社で量産工場を持たないため、実際に作って回すループを回しにくい。
そして番組がAIに整理させた結果として紹介したのが、本当の競合は他社ではなく、現場の既存材料をそのまま使い、表面コーティングや補修、冷却で「騙し騙し」運用し続けることだ、という見方である。
これらに対するFoundation Alloyの堀として、番組は知財、独自データセット、開発スピード、垂直統合による品質保証、そしてアメリカ国内生産による供給の確保を挙げた。最後の点について番組は、国内で分散生産することで900日かかっていた調達を数日に縮めることを狙っていると説明した。
聞き手は、金属3Dプリンティング(アディティブ・マニュファクチャリング)のスタートアップとは競合しないのかと尋ねた。解説役によれば、競合でもあり補完関係でもある。レーザー3Dプリントは複雑形状に強いが、造形速度が遅く、大型化や増産ではコストが高くなる。Foundation Alloyは3Dプリントも成形手段の一つとして使いつつ、プレスや粉末射出成形など、用途や量に応じて安く速いルートを選べる。そこが違いであり強みだという。
参入戦略:「スライドより現物」
最初のターゲットは、自動車・防衛産業向けの熱間鍛造と高圧ダイカストで金型やツールを使う企業だった。番組は用語も補足した。熱間鍛造は金属を1,000〜1,250度程度に加熱して柔らかくし、プレス機で圧力をかけて金型で成形する加工法である。高圧ダイカストは、溶かした金属を金型に高圧で注入して凝固させ、部品を得る方法だ。
この顧客層を選んだのは、ペインが明確だったからである。1,000度の高温で金型が軟化し、ヒートクラックで頻繁に壊れる。そのたびにラインが止まり、金型交換や再研磨に大きな費用がかかっていた。
同社が顧客に提示したのは、シミュレーションのグラフやスライドではなかった。顧客の設備にそのまま取り付けて試せる実際の金型部品、あるいは金型そのものだった。「Proof over pitch」、つまり説明ではなく現物を渡し、実際に使ってテストしてもらい、ダメなところがあれば言ってもらうという方針である。顧客から「ここはいいがここはダメ」というフィードバックを受け、数週間で持ち帰って改良し、また現物を出す。この繰り返しを回していったという。
聞き手は、テスト用の部品を出す際に、金型や部品の設計、加工の補正まで同社が行っているのかと尋ねた。解説役によれば、同社が行っている。粉末を固めて焼結する過程で数%から十数%の収縮が起きるため、最終寸法にぴったり合うよう収縮を見越したニアネットシェイプ部品の設計や加工補正を、顧客と協働しながら自社でコントロールしているという。
創業までの4年間と、量産の専門家を最初から入れたチーム
CEOのジェイク・ガブリン氏は、MITのビジネススクール在学中に材料科学の研究発表を聞き、それをきっかけに、後に共同創業者となるMIT材料科学分野のクリス教授と出会った。その後ガブリン氏はインターン先のSpaceX、次の職場のBlue Originで調達やサプライチェーンの実務に携わった。そこで、どれだけ優れたロケットを設計できても、必要な金属部品が適切な納期と性能で調達できずにプロジェクトが止まるという業界のペインを体験したという。
ただし、すぐには起業しなかった。約4年間、ガブリン氏と教授は、技術だけでなく、どのような商業モデルや製造プラットフォームにすれば市場で勝てる優位性を作れるかを議論し検証した。準備が整った2022年に創業した。
チームには、アカデミアの権威であるクリス教授とティム・ルパート教授、R&D責任者のジャスパー・リーンハード氏が加わった。番組が特に注目したのは、COOとして迎えたエリン・マクデビッド氏である。同氏は特殊合金大手で18年間、航空宇宙向け合金の開発、量産化、商業化のプロセスを主導してきた業界のプロだという。大学の発明者だけで固めず、24時間稼働の量産を動かし、航空宇宙企業が納得する品質で納入した経験のある人材を最初からチームに入れた点が特徴だ、と解説役は評価した。
量産メーカーのベテランを入れた理由について、解説役は次のように見ている。ラボで数グラムしか作れないことと、工場で週何トンも歩留まりよく反復生産することは、まったく別の専門領域である。品質管理システム、変更管理、量産や監査に耐える現場づくりも異なるスキルなので、そうした人材を最初から入れることが重要だったのだろう。どうやってこうした人材を招いたのかは個人的に気になる、とも解説役は述べた。
新合金を6週間で納入した開発ループと、スケールアップの壁
初期の歩みとして紹介されたのが、2025年夏のエピソードである。ある顧客向けに新しい高機能特殊鋼のアイデアを思いつき、6月初めに組成を設計した。6月中に20個のテスト片を作って評価し、月末には生産規模を2〜3倍にスケールアップした。7月中旬には最初の顧客にサンプルを納品した。通常、鉄鋼業界で新しい鋼種を開発して納入するまでには数年かかる。設計、製造、テスト、納品のループがこれほど速いことが同社の武器になっている、と番組は説明した。
聞き手は、従来の素材メーカーにはなぜこの6週間ループができないのかを尋ねた。解説役によれば、従来は組成を設計する会社、粉末を作る会社、焼結する会社、加工する会社と工程が分断されており、調整だけでかなりの時間がかかる。加えて、何トンものインゴットを溶解する巨大設備では、20パターンを試作してみるような小回りの利く取り組みが難しい。
一方で、すべてが順調だったわけではない。同社が初期に直面したのは、ラボで週数グラムを作ることと、商業的に意味のある週10〜20kgを作ることの間のギャップだった。1バッチの規模を大きくすると、ミリング時の熱のこもり方、粉末の流動性、焼結時の収縮、酸素汚染が変わる。ラボでうまくいったやり方が工場でそのまま通用するわけではなかった。同社はAIツールによるデータ解析とプロセスエンジニアリングを繰り返し、1〜2年かけて再現性の確保を着実に進めてきたという。こうした初期の試行錯誤を支えたのが、ARPA-Eやアメリカの宇宙分野のSBIR、製造イノベーション機関LIFTでの実証実験だったと紹介された。
ロードマップ:週25グラムから週数トンへ
番組はロードマップを三つのフェーズで整理した。
フェーズ1は創業から現在までで、ラボからパイロット、PMFを目指す段階である。ラボ規模での生産量は週25グラムだったという(別の箇所では週5グラム、数グラムとも述べられている)。これを週10〜20kgに拡大し、モリブデン合金で熱間鍛造やダイカストの顧客5社以上とパイロットを実施した。その結果、金型寿命が2〜4倍になったという成果が出たとされる。
フェーズ2は、生産工場の増強と特殊鋼への横展開である。解説役は、現在はフェーズ1と2の間くらいだろうと見ている。2026年6月に調達した2,200万ドルを使い、マサチューセッツ州に3万6,000平方フィート(約3,300平方メートル)の新工場を開設する。2027年までに生産能力を現在のパイロット規模の約100倍、週数トン規模に引き上げる目標で、製品も市場の大きいステンレス鋼や特殊工具鋼へ広げていく考えだという。
フェーズ3では、ニッケル合金など難易度の高い航空宇宙・防衛材に参入し、技術提携先を通じて日本や東南アジアの製造業への供給を目指す。
聞き手は、航空宇宙のように厳しい産業では、工場の生産能力さえ上げれば売上がついてくるのかと問うた。解説役によれば、材料の認証取得に数年かかるため、工場が完成しても航空宇宙向けの売上が立つまでには時間差がある。だから、すぐに参入できる金型市場を並行して回すロードマップになっているという。
資金調達:「ラボではなく工場」のための資金
同社は2022年のシードラウンドで約1,000万ドルを調達し、初期のパイロット設備を整えた。並行してARPA-EやSBIRなどから合計52万ドル(番組の説明による)の政府助成金を獲得し、次世代原子炉や宇宙向けといったリスクが高く政策性の強い研究開発を進めた。
そして2026年6月、Voyager Ventures主導でシリーズAとして2,200万ドル(約34億円)を調達した。日本の大手商社である兼松と、ヤマハ発動機も出資者に加わっている。調達にあたりCEOが投資家に対して一貫して伝えたのは、この資金はラボのためではなく工場のためであり、工場を建てて本物の部品を届けるための投資だ、というメッセージだった。資金はマサチューセッツの新拠点開発、モジュール型生産セルの構築、週数トンへの能力拡大に向けたエンジニアや量産チームの採用に充てられる。
チームの詳細な人数は公開されていないが、シリーズA時点では15人から20人台半ばと見られている。工場立ち上げに向けて生産オペレーター、プロセス技術者、品質保証などのチームを拡充し、年内に人員を2倍にし、2027年の量産稼働に向けてさらに拡大する計画だという。
日本で同じアイデアを実現するなら
番組はAIに、日本で同様の事業を立ち上げる場合の案を考えさせ、三つを紹介した。
- 案A:レガシー連携特化型。 既存の特殊鋼メーカーや粉末冶金メーカーの遊休設備を間借りし、ミリングなどプロセスの一部だけを導入して初期投資を抑える。
- 案B:自動車OEM特化型。 日本の強みである自動車産業の高圧ダイカストや鍛造金型に特化する。Foundation Alloyから製品を持ち込むと輸入リードタイムがかかるので、その弱点を突き、国内の完成車メーカー専用サプライヤーを目指す。
- 案C:AI設計コンサル型。 設備を持たず、AIによる材料設計と製造パラメーターの抽出だけを提供するアセットライト型。
聞き手は、案Cのようなファブレス型は初期投資を抑えられる一方で弱点もありそうだと指摘した。解説役も同意した。Foundation Alloy側も言うように、設計だけでは量産時の歩留まりや収縮の壁を越えられない。Foundation Alloyの強みを裏返した話になるが、製造現場の物理データや品質のノウハウが蓄積されないため、大手に模倣されたときに堀が薄れるリスクがある、と解説役は述べた。
番組の結論:発明ではなく、再現可能な量産までを製品にする
番組は最後に三つの学びを挙げた。一つ目は、発明ではなく、再現可能なスケールアップまでを製品にすることである。新しいレシピだけなら模倣されやすい。調理法にあたるプロセスと、キッチンにあたる量産設備まで垂直統合して初めて、独自データと品質保証が可能になり、それが堀になる。二つ目は「スライドより現物」である。ハードウェア系ディープテックの初期営業では、プレゼンだけではなかなか信じてもらえない。顧客の設備に直接組み込んでテストできる物理的な部品を届け、フィードバックを受けて最速で改良するループを作ることが重要だとした。三つ目は、スピードがすべてを差別化するということだ。新素材開発にかかる数年を6週間に縮めるイテレーション能力そのものが、レガシー企業に対する優位につながる。
明日から考えられることとして、解説役は、既存産業の中で「物理的な制約があって仕方がない」とされている部分に、技術的に解決できる点がないかを探すことを挙げた。それをどう実現し、どうイテレーションを回せば解決できるかを考える思考実験が役に立つかもしれないという。
締めくくりに聞き手は、Foundation Alloyを、政策的なリショアリングと、アメリカの製造業が現在それほど盛んではないという状況を利用してリープフロッグしようとしているスタートアップだと評した。解説役はこれを受けて、日本企業が事業を考える際にも、政策的な後押しと、日本が一見弱い、あるいはまだ改善の余地がある部分とをうまく結びつけて考えることが大事になるだろう、と述べた。
皆さん、こんにちは。FoundXの小田です。
同じくFoundXのとです。すいません。あんまり雑談のネタがなくて、めちゃくちゃ暑いっていう話になるんですけれども、暑いですね。
暑いですね。暑いですね。ニュースでもやってたんですけど、今日は二十四節気でいう大暑と書いて大暑で、夏の暑さが1番厳しくなる頃らしいです。で、8月23日、1ヶ月後ぐらいには処暑と言って、朝に涼しさを感じる頃が訪れるはずです。
そう願いたいですね。
本当ですね。最近、9月、10月になってまだ暑いっていうのが全然あるので、早く暑さが落ち着いて欲しいなと思います。というところで、IdeaCastのコーナーに移れたらと思います。
FoundX Review Startup IdeaCastですが、海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析して紹介する番組になります。これからアイデアを考える方のご参考になればと思います。
最初にディスクレーマーですが、AIを活用して情報を整理しているので、一部の情報は古かったり間違ったりしている場合もあります。ファクトを重視される場合は必ずご自身で調べていただくようお願いいたします。このPodcastでは、あくまでそこからアイデアの参考情報や考え方を引き出すことを主な目的としています。
今日紹介するスタートアップですが、Foundation Alloyというところになります。ざっくり説明すると、金属を新しく混ぜて作るって言った時に、想像するのは熱で溶かして混ぜるっていうところだと思うんですけど、そうではなくて、粉末にして、それを焼結で結合して、粉末冶金と言われるようなプロセスを使って、高温であったり過酷な環境に強いような金属を作るという、アメリカのディープテックになります。
なぜ選んだんでしょうか?
そうですね、結構技術が重ためのものを調べてみたいなというところが1つあったのと、最近、6月に2200万ドルぐらい調達していて、ちょっとタイミングがいいというところですね。で、技術が重いとお伝えしたのが、研究室の科学的な発明から、だんだん大きくしてビジネスにしていく、量産工場に移行するというところで何かご参考になればというところで選びました。
では、全体像のお話に行けたらと思います。まず、なぜ今このスタートアップが成立するかというところですが、3つの重なりがあります。1点目が、マクロな供給網の脆弱性です。アメリカの防衛関連部品の中には、調達のリードタイムが最大900日、2年半ぐらいに達するものもあって、サプライチェーンが目詰まりを起こしているような状況にあるそうです。2点目が、冶金技術の限界というところで、熱で溶かすような溶解冶金という方法が性能の上限に達しているというところと、あとエネルギーの消費量がとても多くて、環境の効率という点で壁に当たっているそうです。3点目が、計算物理学の成熟というところで、機械的なボールミルっていう、金属を粉末状にして混ぜていくみたいなところであったりとか、相分離焼結っていうような長年の研究っていうところが、AIだったりデータモデルと結びつくところで、産業的に実現ができるような、制御可能なものになってきたというところが3点目として挙げられるそうです。で、これらの要因が重なるような領域で、Foundation Alloyは、金属を溶かして固めるといったプロセスを排除して、Metals Firstというプラットフォームを立ち上げました、というのが全体像になっております。
冒頭で、さっき防衛部品の調達に最大900日っていう話がありましたが、これなんでそこまで時間がかかる構造なんでしょうね。
インゴットを溶かして、鍛造して、熱処理を加えて、機械で加工するっていったような複数の工程があるんですが、それが複数の異なる専門業者であったり、国にまたがっているというところが背景としてあるそうです。で、特に航空宇宙だったり防衛の認証材を扱えるようなサプライヤーであったり、巨大な溶解の設備が限られているので、順番待ちが発生しているというような状況になっているそうです。
さっきのボールミルみたいな話は、技術としては昔からあると思うんですけど、なんで今までこれは産業技術として普及しなかったんでしょうか?
そうですね、科学的な原理は分かっていたそうです。ただ、ミリングの容器であったりボールからの汚染で、鉄であったり酸素が混入してしまうっていうところであったりとか、バッチごとにクオリティがばらついてしまうとか、焼結後の収縮するところを量産するような規模でコントロールするのが難しかったというところがあるそうです。Foundation Alloyについては、計算とかAIを使って材料組成を探索するようなところと、そういった技術を活用して低温で短時間で焼結するっていうようなところを使うことで、大きなバッチで再現するっていうところを担保しようとしているようです。
では、Foundation Alloyが取り組む課題についてです。従来の合金の製造だと、溶かして固めて叩いて削るっていうようなプロセスを踏んでいました。これが大変長いというところと、熱の効率が悪いような工程が前提となっていたそうです。技術的な大きな壁が、融点が大きく異なる金属を溶かして均一に混ぜるっていうところが難しかったそうです。で、融点が高い金属を無理に溶かすと、成分の偏りが起きてしまったり、小さな穴が開いてしまったり、あるいは脆い化合物ができてしまったり、割れや欠陥の原因になってしまうようなことがあったそうです。
こういった技術的な限界が、現場の顧客に対してペインを発生させていったそうでして、例えば熱間鍛造であったりダイカストというような現場だと、1000度近い高熱にさらされるので、金型自体も軟化して、熱疲労で割れてしまうような現象が発生してしまったそうです。で、金型が寿命を迎えてしまうと、単なる部材を交換すればいいっていうだけではなくて、生産ライン全体を止めるようなダウンタイムの損失であったり、新たに再度研磨するようなメンテナンスが数千万でかかってくるような状況があったそうです。
また、新合金を開発して顧客認定を通すまでに数年単位で時間がかかるので、エンジニアは不満を抱えながらも標準材を使い続けるしかないといったようなことが起こっていたそうです。
既存の合金でも、例えばコーティング技術とか冷却設計とかで金型の寿命を伸ばすということもできたのかなと思うんですが、どうなんでしょう。
おっしゃる通りで、現場でもコーティングであったり特殊な冷却水路の設計をしたりして、寿命不足を補うというところはやっていたようです。ただ、表面処理であったり保守運用そのもののコスト自体も上がっていて、材料そのものの耐熱であったり強度の限界っていうところを良くしていかないと、劇的な改善が見込めないっていったような状況だったようです。
では、彼らが唱えた解決策についてです。このFoundation Alloyの解決策がMetals Firstというんですが、これは設計と機械的合金化、それから成形、焼結を1つのループとして統合したようなプラットフォームになっています。1番の核は、高エネルギーボールミルを使って元素の粉末を物理的に圧着しながら混ぜ合わせるような、機械的合金化と呼んでいるようなプロセスになります。このポイントが、金属を液体に溶かさないので、従来のやり方だと難しかった、原子レベルで均一で微細な組織を持ったような合金素材っていうのを作ることができるそうです。
で、製造プロセスとしての強みについては、効率、速度が高いというところのようでして、熱の投入量が従来の1/10になるというところに加えて、特殊鋼であったりステンレスの製造工程自体も80から90%削減できるという風にも主張されています。あとは、従来、新合金のアイデアから初回のサンプル納品までが数年間かかっていたんですが、これが数週間で完了できるといったような、開発のスピードも早いというところも特徴になっているそうです。あとは、完成した形状に近いニアネットシェイプという形で成形できるので、加工費が高くて削りにくいような、硬度の高い金属のスクラップであったり、加工の時間っていうのも減らすことができるようになっているそうです。
トラクションとしては、独自のモリブデン合金だと、市販の代表的な合金と比べて3倍以上の強度を実現していて、1000度で96時間保持しても硬さの97%が維持されるというところで、つまり過酷な環境にも耐えられるような合金を彼らは開発できたということのようです。
初期の主力製品として、鉄とかアルミとかじゃなくてモリブデンみたいなところを選んだ理由ってあるんでしょうかね。
モリブデンは元々の材料の価格と加工費がとても高かったそうでして、加えてとても過酷な環境で使われるので、その材料が壊れた時に損失が大きいといったところがあったからというのが理由になっているようです。なので、初期に量産の規模が小さい段階でも、顧客としては高いプレミアムを払ってでも買いたいって言ったような経済価値が生まれやすいような領域になっていたのかなと思います。
では、彼らが狙っている市場についてです。TAMは、これちょっと広すぎるところではあるんですが、世界の金属と合金市場という風に設定しているんですが、Foundation Alloyについては、いくつかの領域を合計して数百億ドルの規模の市場を狙いに行くっていう風に定義しています。いくつかの市場としては、航空宇宙とか防衛とかエネルギーっていうところが挙げられています。で、まず最初に取りに行く市場としては、熱間鍛造やダイカストの金型とかツーリング市場っていったところが挙げられていて、ここではなぜ選ぶかというところで、材料の性能の差が金型の寿命とラインの稼働率といったような顧客の金額的なメリットに直結するので選ばれているようです。で、そこから次に拡張していく市場としては、防衛・航空宇宙の材料であったり、次世代エネルギー向けの高耐熱であったり、耐火金属の部品の市場になっていくようです。で、最終的には、特殊ステンレス鋼っていったようなところとか、ニッケル合金、ニッケル超合金に展開していって、産業全体のベースの材料のサプライヤーになるっていうところを狙っているようです。
で、この市場の成長を後押しするようなドライバーが3点挙げられますが、1点目がアメリカの防衛製造基盤のリショアリングの政策で、2点目がロケットや核融合など極限環境での技術の進化でニーズがあるというところ。3点目が、半導体向けの高機能材のニーズになるそうです。
このモリブデンで成功しても、他の特殊鋼とかニッケルとかに行けるものなんですかね。
そうですね、粉末の機械的合金化と焼結っていったような、物理的な設備とデータ解析のプロセス自体は、そのまま転用が可能になっています。ただ、金属系ごとに酸化のしやすさであったり、汚染の管理であったり、焼結の温度っていうところは異なってくるので、そのまままるっと同じもので展開できるかというとそうではなくて、新たなレシピであったり条件の最適化というところが必要になっているので、そこは技術的なハードルにはなるかなと思います。
では、彼らのビジネスモデルについてです。Foundation Alloyの提供形態が、素材を売るというところだけではなくて、顧客のニーズに合わせて、素材を販売したり、ニアネットシェイプ部品であったり、完成した部品の3つのレイヤーで柔軟に対応するっていうような形になっているそうです。ビジネスモデル上で新しいポイントとしては、工場であったり設備投資の構造にあるそうです。従来の特殊合金メーカーだと、230億円以上かかるような、とても大きな溶解工場を建てるような資本集約的なモデルだったそうです。ただ、Foundation Alloyは、比較的安価でコンパクトなモジュール式の生産セルを標準化して、需要のある顧客や製造パートナーの近くに分散配置するような構想を取っているようです。これによって、巨大な設備をドーンと建てるよりも10倍早く展開して、圧倒的に資本効率も高く生産能力を増強できるという風に主張しています。収益の仕組みとしては、初期の共同開発費であったりパイロット評価っていったところから始まって、量産に移行してからは部品単位の見積もり型販売であったり、長期の供給契約にシフトしていこうというところを考えているようです。
普通に利益だけ考えると、材料とか粉末だけを売るみたいなファブレスの方がいいのかなと思うんですが、完成部品とかニアネット部品の加工までやった理由っていうのはどういった理由なんでしょうね。
材料だったり粉末を売ると、顧客が成形であったり焼結を行うことになるかと思うんです。そうすると、先方の、買った側の設備で品質の不良が起きた時に、材料が悪いからだという風に誤解されて、評価が不安定になるリスクがあるからとされています。合金から完成品まで垂直統合することで、プロセスの状況を自社で制御して、付加価値と品質保証の責任っていうのを自社で取り組んでやっていくっていう形になっているようです。
彼らの戦略についてです。一言で言うなら、材料設計と量産プロセスを一体化して、データ蓄積型で垂直統合していくっていうような戦略になります。ディープテックだと、組成のレシピだけを作っても、従来の工場だとその製造ができない、レシピで言うなら調理できないっていうような状況があるので、自社で設計から機械的合金化、成形、焼結、部品供給をフルスタックで管理していくということを彼らはやっています。で、彼らもAIを活用しているんですが、それもAIが商品なのではなくて、ラボであったり工場で日々蓄積されるような物理的な実験であったり品質データをAIで解析して、次の開発やスケールアップの条件を導くための加速装置として位置づけているそうです。
垂直統合というところでかなり負荷が高いモデルになっているんですが、その負荷を減らすために外部を活用していて、生産セルの自動化と立ち上げにはアメリカの製造受託とか自動化のプロのような会社さんと提携して、資本と人材の負担を分散しているそうです。また、認証が厳しくて閉鎖的な日本・アジアの展開には、技術商社を販売パートナーに巻き込んでいます。彼らの10年から20年後の理想像としては、全ての金属を置き換える会社ではなくて、老朽化したようなアメリカの製造業のエコシステムを基盤から再構築して、あらゆる先進産業の機能の限界を置き換えるようになるというところを目指してるようです。
なんかアメリカならでは感がありますね。
いや、そうですね。かなりアメリカのエコシステム全体を作り替えていこうみたいなのは結構あるあるなので、政策の後押しもかなりあるんだろうなというのは調べていて思うところです。
ちなみに、この材料AIスタートアップが今たくさん出てきてると思うんですが、Foundation Alloyはそこに対してどういう風な優位性を保っていくみたいなことを考えてるんでしょうかね。
CEOのジェイクさんは、AIモデルそのものはコモディティ化するという風におっしゃっているようで、彼が言うには、モートとしては、ラボと工場と手で金属を作って、壊して、蓄積していくような独自の物理データセットだというところで、こういうことを言っているそうです。なので、計算だけではなくて実際の製造とか試験データを持っているというところが、他の競合に対するモートになるという風に考えているようです。補足として、Foundation Alloyのファウンデーションですが、知らなかったんですけど、SF小説のアイザック・アシモフの『ファウンデーション』(銀河帝国興亡史)シリーズから来ているそうで、先進社会を支える基礎の基礎、基盤を作るという思いが込められているそうです。
読んだことありますか?
名前は知ってて読もうと思いつつ、長そうだからちょっと読めてないです。
確かに。いや、私も気になって、銀伝は読んだんですけど、ちょっとどうなのかなと思って、今度手を出してみようかなと思いました。
では、ロードマップについてです。フェーズ1として、創業から現在に当たるところですが、ここがラボからパイロットであったりPMFを狙っていくというようなところになっています。元々は、ラボの規模だと生産量が週に25gだったそうです。それを週10kgから20kgに拡大していって、モリブデン合金で熱間鍛造であったりダイカストの顧客5社以上とパイロットの実証を行って、金型の寿命が2倍から4倍になったというような成果が出たそうです。フェーズ2として、生産工場の増強と特殊鋼への横展開というところになっています。現在が多分この間ぐらいなのかなと思うんですが、2026年の6月に2200万ドルを調達して、それを使ってマサチューセッツ州に3万6000平方フィート、3300平米の新しい工場を開設するそうです。この段階での目標ですが、2027年までに生産能力を今のパイロットの規模から約100倍の、週に数t規模に引き上げるというところになっているそうです。また、製品自体も、市場の大きなステンレス鋼だったり特殊工具鋼へ広げていくということを考えているそうです。で、フェーズ3としては、ニッケル合金などの難易度の高い、航空宇宙であったり防衛材に参入していく。技術商社を通じて、日本であったり東南アジアの製造業への供給を目指していくということを狙っているようです。
ニッケル合金とかを航空宇宙向けの厳しい産業に売っていく場合、工場の生産能力さえ上げれば売上はついてくるものなんでしょうか。
ここがですね、やっぱり認証を得るというところでタイムラグがあるそうです。航空宇宙であったり防衛については材料の認証がありまして、そこに数年かかるそうです。なので、工場が完成しても航空向けの売上が実際に立つまでには時間がかかるというところみたいで、なので、すぐに入れるような金型の市場を並行して回すというようなロードマップになっているそうです。
では、彼らのモートについてです。Foundation Alloyは、先端合金の設計というところと、粉末冶金と、積層造形と材料みたいな要素がいくつか交わったところに位置しています。なので、競合をいくつか分けて考えます。直接の競合だと、従来型の製造の大手になります。これが老舗の耐火金属メーカーになっているそうです。これだと、規模も大きいですし、認証であったり量産の実績っていうのはあるんですが、生産プロセス自体は従来のものになっています。間接の競合としては、計算材料設計であったりAIっていうところになりますが、彼らはAIであったりシミュレーションを使って新しい合金の組成を設計するというところになるので、設計については早いんですが、自社で量産の工場を持たないので、設計から実際に作って回すっていったようなのがちょっとやりづらくなっているというところです。で、このパートもAIに整理してもらったんですけど、最大の代替手段、本当の競合としては、他社ではなくて、現場の既存材料をそのまま使って、表面コーティングとか補修とか冷却で騙し騙し運用するというところが真の競合になっているとしています。
で、これらに対してFoundation Alloyのモートとしては、いくつかあります。1点目がIPのところです。で、2点目が独自のデータセットについてです。で、3点目が開発スピードになっていて、4点目が垂直統合による品質保証と、それから結果としてというところだと思うんですが、アメリカの国内生産による供給の支配というところで、時間を900日から数日に縮めるという、国内で分散して生産するところになっているようです。
いわゆる金属3Dプリンター、アディティブマニュファクチャリングのスタートアップ系とは競合はしないんでしょうか?
競合でもあり、補完関係でもあるというようなところになるようです。というのが、レーザー3Dプリントだと複雑な形状には強いです。ただ、造形の速度が遅いので、大型化であったり生産量を増やすというところではコストが高くなってしまうというところで、Foundation Alloyは3Dプリントも成形する手段の1つとしては使いつつ、プレスであったり粉末射出成形であったり、用途とか量に合わせて安価で早いっていうようなルートを選べるというところが違いであり強みになっているようです。
では、彼らの参入戦略です。彼らが最初に戦うターゲットに選んだのは、自動車・防衛産業向けの熱間鍛造と、高圧ダイカストの金型ツールユーザーだったそうです。で、用語が、製造業が全然分からなくて調べたんですけど、熱間鍛造だと、金属を1000度から1250度とかっていうところに加熱して柔らかくして、プレス機で圧力をかけて金型で成形する加工法で、高圧ダイカストというのが、溶かした金属を金型に供給して凝固させて目的の部品を得るっていうようなところだったそうなんですけど、そういった技術を使っていて金型とかツールを使ってる会社さんが顧客になったそうです。
で、なぜここになったかと言うと、顧客のペインが明確であったというところだったそうです。1000度の高温で金型自体も軟化して、ヒートクラックで頻繁に壊れる。で、その度に生産ラインが止まって、金型の交換であったり再研磨に大きな費用がかかってしまっていたそうです。で、ここにFoundation Alloyが提供したPoCとしては、シミュレーションのグラフとかスライドではなくて、顧客の設備にそのまま取り付けて試せるような実際の金型部品、あるいは金型だったそうです。彼らのポリシーが「Proof over Pitch」で、スライドではなくて現物を渡すというところで、言葉で説明するんじゃなくて、これを実際に使って思う存分テストしてくれ、ダメなところがあれば言ってくれってところで現物を渡したそうです。で、顧客から、ここいいけどここダメみたいなフィードバックを実際に得て、数週間で持ち帰って改良して、また現物を出すっていうようなイテレーションを回していったそうです。
ちなみに、この顧客にテスト用の現物の部品を出す時に、金型とか部品の設計、加工の補正みたいなところまでFoundation Alloyがやってるんですかね?
やったようですね。粉末を固めて焼結するんですけど、そのプロセスで、ちょっと縮む、数%から10数%縮んでしまう収縮が発生してしまうそうです。なので、最終的な寸法にぴったり合うように、収縮を見越したニアネットシェイプ部品の設計であったり、加工の補正を顧客と協働しながら、自社でコントロールして納品したそうです。
では、創業プロセスについてです。結構長いなというところではあるんですけど、CEOのジェイク・ガグリン氏が、MITのビジネススクールに在学中に材料科学の研究発表を聞いたそうです。で、そこがきっかけで、後に共同創業者となるMITの材料科学のクリス・シュー教授と出会ったそうです。その後、ジェイク氏は、インターン先のSpaceXや、次の職場のBlue Originの調達とかサプライチェーンの実務で、どれだけ最高のロケットを設計できても、必要な金属部品が適切な納期と性能で調達できずにプロジェクトが止まってしまうっていったような業界のペインを体験したそうです。そこからすぐには起業しなくて、4年間、ジェイク・ガグリン氏とシュー教授が話したそうです。その話の中で、技術だけではなくて、どういう商業モデルであったり製造プラットフォームにすれば市場で勝てるような優位性が作れるかっていうところを検証して、準備が整った2022年に創業したそうです。
こういった風に準備も重ねているので、チームもおそらく検討されたのだろうなと思うんですが、チームについては、アカデミアの権威であるようなシュー教授とティム・ルパート教授、それから技術、R&Dの責任者のジャスパー・リーンハード氏を迎えたそうです。注目するチームのポイントとしては、COOとして迎え入れたエリン・マクデビッド氏についてで、この方が特殊合金の大手企業で18年間、航空宇宙向けの合金の開発と量産化と商業化のプロセスを主導してきたっていうような、業界のプロの方を招いてチームを作っていたそうです。なので、大学の発明家というか、大学のメンバーだけで固めずに、24時間稼働するような量産を動かして、航空企業が納得するような品質で納入した経験があるプロの方を最初からチームに組み込んだというところが特徴になるかと思います。
強いですね。強いです。
ちなみに、このエリンさんみたいな量産メーカーのベテランを入れた理由っていうのは何かあるんでしょうか?
いや、元々そのラボでは5gとか数gしか作れなかったそうなので、そういったスキルと、工場で週何tも歩留まりもよく、かつ反復で生産できるスキルっていうのが全然違う専門領域だからというところになるかなと思います。加えて、品質管理のシステムであったり、変更管理とか、量産とか監査に耐えられるような現場をどう作るかというところについても、やはり異なるスキルになるので、そういった方を最初から入れるというところが重要になったのかなと思います。
めちゃくちゃ強くて。どうやってこういった人たちを招いたのかというのは、個人的には気になるポイントでした。
では、彼らの初期の歩みについてです。1つエピソードがあります。それが、2025年の夏に、新しい合金の開発から初回の納入まで6週間といったようなエピソードになるようです。ある顧客向けに全く新しい高機能の特殊鋼のアイデアを思いついて、6月の初めに組成を設計したそうです。で、6月中に20個のテスト片を作って評価して、月末には生産規模を2〜3倍にスケールアップして、7月中旬には最初の顧客にサンプルを納品したといったようなことがあるそうです。これがなぜすごいかと言うと、通常、鉄鋼の業界で新しい鋼種を開発して納入するまでには数年かかるそうです。なので、彼らの大変早いイテレーションのループ、デザインしてビルドしてテストしてデリバリーするっていったループが大変早いというところが武器になっているようです。
ただ、順風満帆に進んだというだけでもなくて、彼らが初期に直面した壁としては、ラボで週5g作ることと、商業的に意味のある週10から20kg作ることの間のギャップといったところになったそうでして、1回のバッチの規模を大きくすると、ミリングした時の熱の持ち方であったり、粉末の流動性とか、焼結時の収縮とか酸素の汚染っていったところが変わってしまって、なのでラボのやり方でうまくいっても工場ではそのままうまくいくわけではないっていったところがあったみたいです。で、これに対して彼らは、AIツールによるデータの解析であったりプロセスエンジニアリングっていうのを繰り返して、再現性をどう担保するかっていうところを1〜2年かけて着実に突破していったということのようですね。
で、こういったような初期の試行錯誤を支えたのが、ARPA-Eであったり、アメリカの宇宙分野からのSBIRであったり、LIFTっていうような製造革新機関での実証実験だったそうです。
従来の素材メーカーは、この6週間っていう開発・出荷のループはできないものなんですかね?
そうですね。従来のやり方だと、組成を設計する会社、それからその設計に従って粉末を作る会社、焼結する会社、加工する会社というところで分断されているそうでして、調整するだけでかなりの時間がかかってしまうっていうようなところがあるので、なかなか難しいのかなと思います。加えて、巨大な設備で何トンものインゴットを溶解するような設備があると、ちょっと20パターン試作してみるみたいな小回りを利かせた取り組みっていうのはなかなか難しいので、そういったところも従来の大手だと難しいポイントだったのかなと思います。
では、彼らの資金についてです。彼らは、まず2022年のシードラウンドで10Mぐらい調達して、初期のパイロット設備を整備しました。で、並行して、先ほど言ったようにARPA-EであったりSBIRのプログラムっていったところから、合計52万ドルの政府の助成金を獲得したそうです。で、そこで次世代原子炉であったり宇宙向けといったような、高リスクで政策性の高いようなR&Dを進めていったそうです。で、今回、2026年6月にVoyager Ventures主導で、2200万ドル、日本円にして34億円ぐらいのシリーズAを達成したそうです。注目するポイントとして、日本の大手商社の兼松さんと、大手の自動車・モビリティメーカーのヤマハ発動機さんっていうところも出資者として加わっているそうです。で、調達に関連して、CEOが投資家に向けて徹底したメッセージとしては、資金はラボのためではなくてファクトリーのためだ、工場を作って本物の部品を届けるための投資だというところを明確に言っていったそうです。そういったところもあって、今回の調達した資金の使途としては、マサチューセッツへの新しい製造拠点の開発と、モジュールの生産セルの構築、それから生産能力を週数tに拡大していくためのエンジニアだったり生産チームの採用っていったところに充てられていくようです。
3300平米、すごいですね。
大きいですよね。
そこに向けて、今現在のチームはどれぐらいなんでしょう?
そうですね、詳細な人数自体は公開されていなかったんですが、シリーズAの時点では15名から20名半ばぐらいだと見られているそうです。で、今回、工場立ち上げに向けて、生産オペレーターであったりプロセス技術者、品質保証っていったようなチームを拡充するので、年内に人員を2倍に拡大して、さらに2027年の量産の稼働に向けて大きくしていくような計画があるようです。
では、日本で同じアイデアで起業するならどういったものが考えられるかというのをAIに考えてもらいました。いくつか挙げています。案Aとして挙げているのが、レガシー連携特化型になります。これは何かと言うと、既存の特殊鋼メーカーや粉末冶金メーカーの遊休設備を間借りして、コアプロセスの一部、ミリングなどのみを導入して初期投資を抑えるようなアプローチがあるんじゃないかというところを言っています。案Bとしては、自動車OEM特化型として、日本の強みである自動車産業の高圧ダイカストと鍛造型に特化したモデルになります。Foundation Alloyからそのまま持ってくると輸入リードタイムがかかってしまう。それを突いて、国内で特化して金型専用のサプライヤーになってはどうかというのが案Bです。で、案Cとしては、AI設計コンサル型として、設備を持たずに、AIでの材料設計と製造パラメーターの抽出のみを提供するようなところで、アセットライトにやってはどうかというのが3点目の案となります。
案Cについては、ファブレスとかは初期投資を抑えられそうですが、逆に弱点もありそうだなっていうのは聞いていて思ったんですが、どうでしょう?
そうですね、まさにFoundation Alloyの方も言ってるように、設計だけだと量産の歩留まりであったり、収縮するような壁を越えられないっていったところが弱点になるかなと思います。Foundation Alloyの強みをそのままひっくり返したような話になるんですが、製造現場の物理データであったり品質のノウハウっていったところが実際に溜まらないので、もし大手に模倣された時に、ちょっとモートが薄れるようなリスクもあるかなと思います。
最後にまとめとなります。まず1点目ですが、発明ではなくて、再現可能なスケールアップまでを製品にすることというところです。新しいレシピだけだと模倣されやすいので、調理法、プロセス自体と、キッチンとして自社設備までを垂直統合することで、初めて独自のデータと品質保証が可能になって、それがモートになっていくというところになります。で、2点目としては、スライドより現物というところです。初期の営業、ハードウェア・ディープテックの営業において、プレゼンだけだとなかなか信じてもらえづらいというところなので、顧客の現場の設備に直接組み込んでテストできるような物理的な部品を届けるというところが重要になってくるところです。そのために、フィードバックを得て最速で改善していくっていうループ自体も構築することが必要になってきます。で、3点目が、スピードが全てを凌駕するというところで、今言った話とも重なるんですが、新素材を開発するための数年っていったところを6週間に短縮するイテレーション能力ですね。このイテレーション能力のスピード自体が、レガシーの企業に対する優位性にもつながるというところになります。
明日から実践できるというか考えられるポイントとしては、既存の産業の中で、物理的な制約があって仕方がないっていうようなところの中に、何かしら技術的に解決できるポイントがあるんじゃないか。で、それをどういう風に実現するか、どういう風にイテレーションを回せばそういったことが解決できるかと考えるのが、1つ思考実験として役に立つかもしれないという風に思います。
以上、今日はFoundation Alloyをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
そうですね、途中でも言いましたが、アメリカならではというか、やはりこの政策的なリショアリングと、アメリカで元々製造業が今そこまで盛んではないっていうところのリープフロッグをうまくやろうとしているスタートアップなんだろうなと見てて思いました。
そうですね。なので、日本の企業も考える時に、やっぱり政策的な後押しとか、日本が一見なんていうか弱いというか、まだまだ改善できるポイントがあるところを、うまく結びつけて考えるっていう点も大事になるかなと思いました。
では、今日はこちらで終了となります。FoundX
FoundX Review Startup IdeaCastでは、今後も皆さんのアイデアのためにですね、最新のスタートアップをご紹介していきます。ご興味のある方はぜひチャンネル登録や高評価お願いいたします。
またFoundXの各種プログラムでもですね、応募者の方は募集しているので、周りに起業考えてる方いらっしゃったらぜひご紹介いただけるとありがたいです。
はい、ではまた次回よろしくお願いいたします。ありがとうございました。ありがとうございました。
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