Noon Energyは100時間蓄電をどう実現しようとしているのか:出力と容量を分けるLDESの戦略
東京大学FoundXFoundXの番組「Startup IdeaCast」は、海外スタートアップのアイデアをAIで整理・分析し、起業を考える人の参考にする番組である。今回は、長時間エネルギー貯蔵(LDES:Long Duration Energy Storage)に取り組む米国のNoon Energyを取り上げた。番組の冒頭で、目的は「この会社が成功するかどうか」を判定することではなく、アイデアを考える際の参考情報を提供することだと説明している。また、AIで情報を整理しているため古い情報や誤りが含まれる可能性があり、事実を重視する場合は一次情報を確認してほしいとも断っている。
解説役がこの会社を選んだ理由は二つある。最近Metaと大型契約を結んだこと、そしてLDESの企業は数多くあるのに番組ではあまり紹介してこなかったことだ。解説役がNoon Energyを面白いと考える点も二つに整理される。一つは、AIデータセンターの電力需要の急増という課題に蓄電の側から取り組んでいること。もう一つは、既存技術を少しずつ改善するのではなく、出力と容量を物理的に分離するアーキテクチャを採用していることである。以下、聞き手の富田氏とのやり取りに沿って議論を整理する。
再エネを「24時間365日使える電源」にする
Noon Energyは、再生可能エネルギーを24時間365日使える電源に変える「ウルトラLDES」を自社のポジショニングとして掲げている。システムは、出力を担う「パワーブロック」と、エネルギー容量を担う「タンク」の二つに分かれている。解説役によれば、同社のウェブページを見ても両者は分けて描かれていて、タンクを簡単に積み増していけるような設計になっている。
この構造では、出力(kW)を増やしたければパワーブロックを増やし、蓄電時間を長くしたければタンクのモジュールを追加すればよい。解説役は、こうした拡張性とそれに伴うコスト構造を、このアーキテクチャの面白い点として挙げた。
なぜAIデータセンターがLDESの顧客になるのか
富田氏は、AIデータセンターがLDESの顧客になる理由を尋ねた。解説役がまず挙げたのは、プレミアム価格を払ってくれることだ。データセンターは電力が一瞬でも止まると事業が止まるため、停電の許容度が極めて低い。そのため電力の確実性に対する支払意思が高い。
二つ目の理由は、系統接続や送電網の増強の遅れである。解説役によると、特に米国ではこの遅れが大きく、電力を待つことで事業の立ち上げが遅れてしまう。LDESを導入すれば送電網の増強や系統接続を待たずに済むのではないか、という期待がある。ただしこれは、火力を使うのではなく再エネを使いたいという前提があっての話だと解説役は補足した。一方で、現在主流のリチウムイオン電池では数日単位の低発電期間をカバーしにくい。その保険としてLDESがデータセンターで求められ始めている、というのが解説役の見立てである。
資金力の高さも理由に挙がった。解説役は、さまざまなグリーン系スタートアップが今AIデータセンターに向かっているのも、この点が大きいのではないかと述べている。
リチウムイオン電池では足りない理由
では、なぜリチウムイオン電池ではだめなのか。解説役は、LDESの議論でよく言われる点として説明した。リチウムイオン電池は8時間程度の蓄電なら非常に強いが、100時間級になると対応が難しいとされている。さらに、資本コスト、設置面積、希少金属の使用、火災リスクといった問題も指摘されている。
これに対しNoon Energyは、容量側を安価なタンクと媒体で増やせる設計を取っている。解説役は、この設計も含めて、Metaのような顧客がリチウムイオン電池よりNoonを使う方がよいと判断した面があったのではないかと推測している。
顧客ごとに異なる課題と「最初はAIデータセンター」
解説役は、Noon Energyが想定するターゲットを三つに分けて整理した。
- データセンター事業者:非常に高い停電コストと、電力確保のスピード(スピード・トゥ・パワー、タイム・トゥ・パワー)が課題。約100時間を超えるような貯蔵は既存の電池では対応できないという、コスト面の壁がある。
- 産業施設:再エネの導入が急務とされるなかで、安定電源が必要になる。クリティカルマテリアル(希少金属)への過度な依存を避けたいというボトルネックがある。
- マイクログリッドや離島などディーゼル燃料に依存する地域:燃料価格、輸送、CO2、レジリエンスが課題。設置面積の制約がボトルネックになる。
ただし解説役は、顧客ごとに購買プロセスや購買の目的が違う点にも注意を促した。全てを同時に攻めると、営業やプロダクト要件が分散してしまう。アーキテクチャはある程度柔軟に対応できるものの、まずはAIデータセンターを狙うのだろう、というのが解説役の見方である。
離島やマイクログリッドについて、富田氏は電力供給以外に何が重視されるのかを尋ねた。解説役は、燃料輸送のリスク、騒音、保守、災害時のレジリエンスを挙げた。LDESが入れば再エネを使え、長時間の蓄電で燃料依存を減らせるので、リスクヘッジになる。ただし初期の設備投資(CAPEX)、メンテナンス、現地サポートの問題は、離島では課題になるだろうとも述べている。
炭素に貯めて酸素で電気に戻す仕組み
解決策の技術面では、パワーブロックは電気エネルギーと化学エネルギーを変換する部分にあたる。容量を増やしたいときにパワーブロックを増やすのではなく、タンク側でエネルギー容量を伸ばせることが、コスト課題への答えだとされている。
充電時には、エネルギーを炭素ベースの媒体に貯める。放電時には、空気中の酸素を取り込んで電気に戻す。主な材料は炭素と酸素なので、環境面の問題も少ないとされる。ただし解説役は、実際のシステムには炭素と酸素だけでなく、さまざまなシステム材料や触媒が使われているはずで、「メインが炭素と酸素」という理解が正確だろうと補足している。
同社が特に打ち出しているのが省スペース性である。固体炭素を使った高エネルギー密度により、リチウムイオン電池と比べて2〜3倍、フロー電池と比べて20倍から100〜200倍のコンパクトさを主張しているという。また、クリティカルマテリアルの使用量をリチウムイオン電池の1%未満に抑えている。解説役は、この点が持続可能性や経済安全保障の面でもポイントになると述べた。
なぜこれまで実現しなかったのか
富田氏が「この電池はとても強く見えるが、なぜこれまで誰も取り組んでこなかったのか」と尋ねると、解説役は次のように答えた。原理が単純でも、化学反応、セル材料、熱管理、効率、耐久性、システム制御が難しいとされてきた。
Noon Energyの創業者は、宇宙で使われていた技術に関わっていた人物である。火星探査機の酸素生成装置MOXIE由来の知見や、固体酸化物系の技術を応用することで、初めて実現できたとされている。解説役は、同社の技術的な優位は材料が安いことだけでなく、システム全体として安定して動かせるかどうかにあるのではないかと見ている。
実証の現状とMeta案件
実証は、コンテナ型モジュールで数千時間の運転と、200時間を超える蓄電容量の実験に成功したとされている。解説役はこれを大きなマイルストーンとして評価した。一方で、商用化には量産、保証、認証、保守が重要になると指摘している。今後はMWh単位での商業運用になるため、まずMetaとの25MW/2.5GWhの初期プロジェクトを最後まで完遂できるかがポイントになるという。
富田氏がこの規模感を尋ねると、解説役は、100時間の貯蔵を想定すると25MWを100時間出し続けられる規模だと説明した。研究段階の実証から商用インフラへの大きな飛躍であり、性能、コスト、納期、保守の約束が守られるかを証明する場になる。ラボから市場へ移る段階での大きな節目だ、というのが解説役の見方である。ただし、これまでの実証の何倍の規模になるのかは分からないとも述べている。
市場:高価格を払う顧客から入る
市場規模について、解説役は2030年までにTAMが5000億ドルに達するという見通しを紹介した(発言の一部は聞き取りにくい)。SAM・SOMとしては、AIデータセンターのバックアップ電源、産業向けのビハインド・ザ・メーター市場、遠隔地のマイクログリッドを最初に狙うとされている。
市場のドライバーとしては三つが挙げられた。一つ目はデータセンターによる電力消費の急増である。二つ目は系統接続の大幅な遅延で、新しい発電・蓄電プロジェクトの接続待ちが長期化し、独自電源やオンサイト電源のニーズが高まっている。三つ目は各国の脱炭素や再エネ100%の義務化の流れである。企業は再エネを調達するだけでなく、常時使える電源を求めている。解説役は、同社が電力市場全体ではなく、高価格を払う顧客から入ろうとしている点を重要視している。
データセンターに何を提供するのかという富田氏の質問に対し、解説役は次のように整理した。データセンター事業者は、発電源の確保に加えて、系統接続、土地、冷却、契約といった多くの課題を解決しようとしている。Noon Energyは、再エネの発電源と組み合わせて電源を常時化する部分を担う。おそらく事業者は再エネの調達契約を結び、短時間蓄電のバッテリーも入れたうえで、Noonのような長時間蓄電を組み合わせて常時電源化を図るのだろう、と解説役は推測している。
離島市場はVCスケールするのか
富田氏は、離島やマイクログリッドは規模が小さいが、Noonにとってどんな意義があるのかと問うた。解説役は、その市場だけではVCが求める規模にはなかなか届かないだろうと答えた。日本は離島が比較的多いので日本については分からないとしつつも、離島だけではそれほど大きくならないという見方である。
一方で、燃料輸送コストやディーゼル依存が大きい場所では、高価格を払ってくれる可能性はある。解説役は、離島で課題を解決して実績を作り、現在のデータセンターのような大きな市場へ進み、さらにその先で系統用の長時間蓄電を狙う、という流れもあり得るかもしれないと述べた。
ビジネスモデルとコスト目標
同社が想定するのは、再エネ発電所からNoonのシステムを通して、需要家や支払者に電力を供給するモデルだ。需要家にはデータセンターのほか、再エネのIPPやマイクログリッド運営者が含まれる。収益の形としては、機器販売、長期サービス契約、電力供給契約、ストレージ・アズ・ア・サービスなど複数の可能性がある。ただし、実際にどの形で売っているのかはケースによる。解説役は、Metaについてはおそらく供給契約だろうとしつつ、普段どのように販売しているかはまだ分からないと述べた。富田氏が「何を売るかは模索中なのか」と確認すると、解説役は、初期は大口顧客との共同実証や予約契約を通じて進めているようだが、今後の事業モデルはまだ模索中だろうと答えた。
ユニットエコノミクスの目標として、システムコストは1kWhあたり20ドル未満、LCOS(均等化貯蔵コスト)は1kWhあたり0.05ドルを掲げている。解説役はこれを非常に野心的な数値だと評した。米エネルギー省(DOE)の「Long Duration Storage Shot」も10時間以上の長時間貯蔵でLCOS 0.05ドル/kWhを目標にしており、Noonはこの水準を狙っていることになる。
富田氏がなぜこれほど低いコストが可能なのかを尋ねると、解説役は同社の主張として、希少金属を使わず、炭素・酸素系の豊富な材料を使うのでタンク側を安く増やせることを挙げた。高価な変換装置であるパワーブロックには一定のお金がかかるが、容量は安い媒体で増やせる。そのため、蓄電時間を100時間、200時間と伸ばすほど、kWhあたりの追加コストはフラットに近づいていく。さらに、タンクの製造で学習曲線を描いてコストを下げていくことも可能だろう、と解説役は見ている。
ただし解説役は、CAPEXはそれなりに大きくなるだろうと指摘する。最終的なLCOSには、効率、稼働率、劣化、保守、設置工事、保証といった要素も効いてくるとの留保を付けた。
セルではなくアーキテクチャで戦う
戦略面では、同社はハードウェアとインフラを提供する形を取っている。解説役が面白いと強調したのは、セルの性能競争ではなく、アーキテクチャの変更によって、再エネを常時電源化するインフラレイヤーを狙っている点である。
富田氏が、なぜアーキテクチャを変えることが強みにつながるのかを尋ねた。解説役はまず、セル単位の改善も不可能ではないが、既存大手の資本やスケールの優位に負けやすい傾向があると説明した。一方でアーキテクチャを変えれば、コスト構造そのものが変わる可能性がある。長時間化したときにタンクを安く増やせばスケールメリットが効くという構造を作ることで、新興企業でも戦えるようになる。その代わりにシステム統合の難しさが上がる。「これまで実現しなかった理由」もそこにあり、同社はまさにその難しさで勝負しているビジネスだというのが解説役の整理である。
外部活用の面では、Metaのような超大型需要家とMOUや予約契約を結び、それをテコに実証と量産を進めようとしている。巨大な予約を後ろ盾にして初期投資のリスクを下げ、スケールさせるという戦略だ。10〜20年後には、ディーゼルなど化石燃料のバックアップをLDESに置き換え、天候に左右される再エネを24時間365日のベースロード電源に変えることを目指しているという。
富田氏は、この壮大な目標と現在のAIデータセンター事業がどうつながるのかを尋ねた。解説役は、データセンターの常時電力需要は、いわば小さな範囲での24時間365日電源化の実証であり、これを大きくしていけば電力システム全体の常時電源化につながる、という見方ではないかと答えた。需要が急増している領域の方が新技術は入りやすい。そこで実績を作り、産業用途やグリッド向けに広げていけるだろうという。
ロードマップ:サイエンスリスクの払拭から量産へ
同社は2018年創業とされる。2018年から2023年の5年間にラボスケールから約50倍のスケールアップを行い、100時間級のコンテナ実証に成功して、まずサイエンスリスクを払拭した。続くフェーズ2では、資金調達を進めながら、化学反応やコストの最適化に取り組んでいる。その中でMetaとの25MW/2.5GWhの初期パイロットを契約し、完遂に向けて進めている。並行して、商用量産の確立とユニットエコノミクスの証明に取り組んでいるのが現在の段階だという。
2028年以降は、海外展開、Metaとの供給契約の本格的な履行(発言では「100GW」、競合の節では「最大1GWを超える大型予約合意」と述べられている)、そしてデータセンター向けから系統・産業用途への展開が想定されている。解説役は、停電が許されず資金力のある市場に最初に入り、性能要件の厳しい顧客で証明してから大きな市場へ広げるという流れを、ディープテックのGo-to-Market戦略として典型的なものだと評した。
フェーズ3で想定されるリスク
富田氏は、Meta案件をクリアした後の拡張フェーズにどんなリスクがあるかを尋ねた。解説役が挙げたのは次のような点である。スケールアップするとラボとは性能が変わり、性能が未達になるおそれがある。コストパリティの実現も難しいかもしれない。製造の失敗や遅延、途中での資金不足もあり得る。
さらに、同社はあくまで蓄電のスタートアップである。系統に接続するにせよ太陽光パネルを自前で設置するにせよ、発電側の許認可が遅れれば蓄電側にも影響が出る。リチウムイオン電池がさらに安く高性能になれば勝てなくなる、という懸念もLDES界隈でよく言われていると解説役は述べた。加えて、データセンター向けに作った性能と、系統向けや海外、産業用途で求められる仕様やビジネスモデルは異なるので、その調整が最終的に必要になるという。
競合との違いと、解説役自身の調査の限界
競合の筆頭はリチウムイオン電池だが、ほかにも鉄フロー電池のESS、Energy Dome、鉄空気電池のForm Energy、「オールエナジー」と聞こえる企業などが挙げられた。差別化として、Noonは放電時間が長く、省スペース性が高いとされている。解説役は、この比較が同社に都合のよい見せ方になっている面も認めている。
同社の強み(モート)として、解説役は五つを紹介した。
- 技術:火星探査(MOXIE)由来の知見と特許
- 供給網:クリティカルマテリアルに依存せず、地政学リスクが低い
- 空間:固体炭素による省スペース性。データセンターや産業施設では土地や設置面積に制約があるため効いてくる
- 構造:出力と容量の分離による限界費用の低下。経済性に直結する
- 顧客:Metaとの最大1GWを超える大型予約合意による先行優位
ただし解説役は、技術や特許を調べてみたところ実はあまり見つからず、自分の調べ方が悪かったのかもしれないが1件しか見当たらなかったと明かした。どのような技術を持っているのかは、もっと詳しく調べるべきだとしている。
富田氏が、リチウムイオン電池の長時間化に勝てないということはないのかと尋ねると、解説役は次のように答えた。リチウムイオン電池が100時間級まで届くかは分からないが、そこまではいかないのではないか。コスト構造も違うので、他の技術にもまだ余地があるという見立ては成り立つ。それでも、リチウムイオン電池の価格低下や8時間を超える放電時間の伸びは脅威として捉えるべきだという。
参入戦略とMVPの設計
参入先は、GPUは確保したものの系統接続待ちで電力を確保できていない、スピード・トゥ・パワーの問題を抱えるAIデータセンターである。MVPとしては、100kW・10MWhで100時間稼働するコンテナ型機を提供している。これは分離アーキテクチャが成立することを証明するための最小構成だという。
MVPのサイズがMeta案件に比べて小さい理由を富田氏が尋ねると、解説役は、どう決めたのかは正直分からないと前置きしたうえで推測を述べた。100kW×100時間で10MWhとなり、100時間級の容量を示せることが一つの理由ではないか。また、パワーブロックとタンクのモジュール設計が機能するかを確かめるのに適したサイズとして選ばれたのではないか、という。
PMFに向けては、長時間の実働データ、システムレベルの往復効率(ラウンドトリップ効率、50%超が目標とされる)が必要になる。解説役は、B2Bハードウェアでは「ユーザーが気に入ったか」やUXだけではなく、厳しい現場条件で第三者が確認できる十分な性能を出せるかが問われると強調した。
火星技術というストーリーが大手企業の獲得に効いたのかという富田氏の問いには、慎重に答えている。初期のブランド作りや注意を引く面では効いたかもしれないが、今のウェブページには「Mars」はあまり出てこない気がするという。最終的には現場の性能、保証、コストで判断されるので、特定の補助金を取りに行く場面では効くかもしれないものの、ストーリーはあくまで入り口程度に見ておいた方がよい、というのが解説役の個人的な見解である。ARPA-Eなど政府系のグラントの獲得や、トップ企業への直接提案にはこのストーリーを活用してきたようだとも述べている。
創業:火星の酸素生成技術を逆回転させる
創業者のクリス氏は、NASAの火星酸素生成プロジェクトMOXIEに携わっていた人物で、2018年に会社を設立した。着想は、火星のCO2から酸素を生成する技術を逆回転させれば、地球の長時間蓄電に応用できるのではないか、という発見だったという。解説役はこれを、極端な環境で磨かれた技術を地球の大きな課題に応用するパターンとして位置づけた。
創業初期には、シリコンバレーのプログラム「Cyclotron Road」に採択され、国立研究所のラボ施設とビジネスリソースを使って初期検証と事業計画づくりを進めた。初期チームは材料化学、電気化学、エネルギーシステムに特化したR&Dの専門家で構成され、人数は多くなかった。顧客への営業より先に、原理が成立し本当に拡張できるかを示すことにほぼ全振りしていたという。解説役は、科学的なリスクを抱えるディープテックでは、顧客に話を聞きに行くだけでなく、物理的に実現可能かをきちんと検証することが大事なのだろうと述べた。
富田氏は、宇宙技術を地球で転用するのはよくある話だが、乗り越えるべき壁はどこにあるのかと尋ねた。解説役は、一番大きいのは事業モデルの再設計だろうと答えた。宇宙では一品物でコストが高くても許されるかもしれないが、地球上で事業を成立させるには保守や量産を考えなければならず、システム設計自体も変わってくる。今回は技術を逆回転させて使っているので、そもそも別物だという面もあるかもしれないという。
富田氏は、これまで番組で紹介した企業には最初からビジネス人材がいたケースが多かったと指摘した。解説役は、Noonの場合は最大のリスクが技術リスクだったため、技術者だけで進めたのだろうと答えた。ビジネス面の助言はCyclotron Roadで得ていたと思われる。顧客開拓、資金調達、製造に進む段階で商業化人材を加えていった様子がうかがえるという。
初期の歩み:グラントでの検証とVC資金への移行
初期の仮説は、再エネを主流にするには、リチウムイオンとは異なるアーキテクチャの低コストな長時間蓄電が不可欠だというものだった。グラントを活用して試作機を作り、14カ月で50倍のスケールアップを達成したとされる(ロードマップの説明では2018〜2023年の5年間で約50倍とも述べられている)。反応が成立するか、繰り返し動くか、スケールできるかを確認し、その後コンテナ型モジュールでの数千時間運転と200時間超の容量の実機実証に成功した。机上の空論から、物理的に動くものへ移ったわけである。
資金面では、まず公的資金を土台にした。ARPA-Eのグラント、NSFのSBIR Phase II(約100万ドル)、さらに8.76百万ドルの補助金を獲得した。これらを使い、100kW・10MWhのLDESを既存の設備と組み合わせて最大100時間の容量を実証したとされる。解説役は、VC資金を入れる前に公的資金で初期の開発リスクを検証した点に注目した。その後、2021年にシードで約300万ドル、2023年にシリーズAで2800万ドルを調達し、R&Dから初期商業化・量産化のフェーズへギアを切り替えた。2025年にはCEOと商業化担当のEVPが加わり、会社全体のKPIが技術の証明から商業プロジェクトへと明確に変わった、と整理されているという。
解説役は、最初の5年の研究期間は長いと感じつつも、投資家がリスクを取れるだけの証拠をその期間に積み上げたのだと評価した。ただし50倍にスケールアップしても、商用スケールとはまだ桁が違う。2800万ドルで十分かという富田氏の問いには、量産や大型商用案件には十分ではなく、追加資金が必要になるだろうと答えている。商用化前にVCが投資した理由については、証拠の積み重ねに加え、市場が巨大でAIデータセンターの需要も来ているため、技術さえ成立すればインパクトが大きいという計算が働いたのだろうと推測した。
日本で同じアイデアに取り組むなら
AIが提案した日本での案として、解説役は三つを紹介した。
- 離島グリッド:日本は離島が比較的多いので、市場規模には上限があるものの可能性はあるかもしれない。
- 地方データセンター:出力抑制が入る地域で、余剰の再エネをLDESに貯める需要が出てくるかもしれない。ただし系統接続や都市規制の壁がある。
- 産業用の排熱・CO2活用:既存工場のインフラを活用できるかもしれないが、企業ごとの個別設計の手間をどう吸収するかが課題になる。
日本独自の強みとして、解説役はセラミックス技術、熱制御、精密加工を挙げた。今回の技術は固体酸化物セルや高温の熱管理が関わる領域なので、こうした技術を生かす余地があるという。一方で、日本では電力制度、系統接続、PPA、補助金などの外部環境が米国とは異なる。熱の制御、実装コストや運用コストの低減なども含めて考える必要があるとも述べた。
富田氏が「完全に同じことをやるのは難しそうだ」と感想を述べると、解説役も同意した。技術的に単純な模倣は難しく、需要も違う。米国ではデータセンター需要が急激に立ち上がっているが、日本は米国ほどではないだろう。逆に言えば、違う技術や違う攻め方ができるかもしれないという。
結論:極限環境技術の転用と、構造を変える発想
最後に解説役は、Noon Energyから学べる点を三つにまとめた。
一つ目は極限環境技術の転用である。火星という極端な制約下で磨かれた技術が、地球の課題をブレイクスルーするきっかけになるかもしれない。
二つ目はボトルネックの物理的な分離である。出力と容量を分けるアーキテクチャの変更が、劇的なコスト削減につながる可能性がある。性能を少し改善するのではなく、コストの原因を分解して別々に最適化し、モジュール化・製造業化していくことで、一品物とは異なるコスト構造を作れるかもしれない。
三つ目は、サイエンスリスクの低減にグラントを使うことである。同社は5年間いわば「潜って」研究開発を続けた。その前にVC資金を入れていたら、VCのファンド期限とは合わなかっただろうと解説役は見ている。
そのうえで解説役は、宇宙に限らず、海や防衛など極端な制約がある分野の技術を地上の大きな課題に転用することを考えてみるのは、面白い思考実験になるのではないかと提案した。富田氏は、アーキテクチャを変えてコスト構造を改善し、他の技術に勝つという考え方はLDES以外でも応用できそうだと感想を述べた。解説役も、性能だけで戦うのではなく構造自体を変えにいく方が、スタートアップとしては面白いと応じて議論を締めくくった。
皆さん、こんにちは。FoundXです。
同じくFoundXの富田です。
はい。今週と言いますか、雑談なんですが、先週北海道に少し行ってきました。
どうでした?北海道?
ああ、涼しくていいですね。
あ、そうですね。花粉もないですしね。
いや、花粉は実はあって、白樺と松が飛んでたみたいで結構私はやられました。
ああ。
はい。でも涼しくて良かったなと思います。また行きたいです。
では、IdeaCastのお話に入っていきたいと思います。FoundX Review Startup IdeaCastは海外のスタートアップのアイデアをAIを活用しながら分析して紹介する内容になっています。目的は、この会社が成功するかどうかとかではなくって、皆さんのアイデアを考える時の参考情報を提供する形になっています。AIを使って情報を整理しているので、古い情報や誤った情報が含まれる可能性があります。
なので、ファクトを重視される場合は必ず一次情報を確認いただければと思います。では、今日はNoon Energyという会社を紹介していきたいと思います。
こちらはどういった理由で選んだんでしょうか?
そうですね、最近Metaと大型の契約をした、エネルギーストレージの会社ですね。LDES、ロングデュレーションエナジーストレージの会社ということで、比較的珍しいところかなというのと、LDESの会社はいっぱいあるんですが、確かあんまり紹介してきてなかったような気がするので、
そうですね。
このタイミングで一社かなと思った次第です。では早速、どういう会社なのかっていうところをお話ししていければと思います。まず全体像です。このNoon Energyですが、先ほど少しお話ししましたがロングデュレーションエナジーストレージ、長時間のエネルギー貯蔵の会社ということです。
再生可能エネルギーを24時間365日使える電源にする「ウルトラLDES」というのが彼らの言っているポジショニングになっています。この会社はいくつか面白い点がありますが、1つは、AIデータセンターの電力需要の急増による課題に、エナジーストレージという観点でタックルしていくというところ。そしてもう1つが、既存技術を漸進的に改善していくのではなくて、出力と容量を物理的に分離するアーキテクチャーを考えているところです。後で少し詳しく説明しますが、エネルギーのタンクと、それに加えて、パワーブロックとタンクですね。出力と容量を担う部分を分離して、それらをうまく組み合わせてやっていくというところが非常に面白いなと思った会社でした。
その顧客がAIデータセンターっていうところなんですけど、こういったLDESの顧客になる理由ってどういったところなんでしょう?
そうですね。まずはプレミアムを払ってくれるっていうところがやっぱり結構大きいと言われています。あと、停電の許容度が極めて低いと言いますか、電力が一瞬でも止まると彼らのデータセンターのビジネスが止まっちゃうので、この電力の確実性に対してかなり高いウィリングネス・トゥ・ペイと言いますか、支払い意思がある顧客になって、プレミアムを払ってくれるというのが1つです。
あとは、系統接続とか送電の増強がアメリカは特に遅れていて、電力を待つことで事業の立ち上げが遅れてしまうというところに対しても支払おうという。なので、LDESをつなぐことによって、送電網の増強とか系統接続を待たなくてもいけるんじゃないかというところです。かと言って、火力を焚くとかではなくって、やはり再エネを使いたいというところがある前提で、とはいえ、今の既存のバッテリーだとなかなか数日単位の低発電期間というものをカバーしづらいので、そこに対する保険としてもこのLDESというものがデータセンターで求められ始めているという状況なのかなと思います。
要は電池だと思うんですけど、リチウムイオン電池ではダメなんですか?
そうですね。ここはよくLDESで言われるところだと思いますが、リチウムイオンバッテリーだと大体8時間とか、それぐらいだったら非常に強いんですが、100時間級とかだとなかなかリチウムイオン電池では対応できないと言われています。また、リチウムイオン電池のもう1個の問題が、資本コストとか設置面積とか、あるいは希少な金属を使っているとか、火災リスクだとか、そうしたいくつかの問題があると言われています。一方このNoonは、容量側を安価なタンクと媒体で増やせる設計になっていて、本当にウェブページを見ていただくと、タンクのところとパワーブロックと言われてる出力のところが分かれていて、タンクを結構簡単に積み増していけるみたいな、そうした設計になっています。そこも含めてリチウムイオンバッテリーに比べるとNoonを使った方がいいんじゃないかという判断になる部分があったのかなと思います。
ちなみにこの出力と容量みたいな話をしていますが、kWとkWhみたいな、そうしたところに関わってきます。今回のNoonに関しては、出力が必要であればパワーブロックと言われている出力を担当する部分を増やせばいいと。長時間化したいんであればタンク自体をいくつか加えていくというか、モジュールを増やしていけばいいみたいな、そうした可変性を持つようなLDESになっていて、そこも非常に面白いアーキテクチャーとコスト構造をしているんだなっていうところが面白い点だなと思います。
では、少し課題の方に入っていきたいと思います。ターゲットによってそれぞれ課題は異なりますが、1つ目のターゲットの課題としては、データセンター事業者の課題ですと。極めて高い停電コストと電力確保のスピードですね。スピード・トゥ・パワーと言いますか、タイム・トゥ・パワーと言いますか、そこが問題になってきているのが1つ。そして、そこが1番プレミアムのお金を払ってくれるところだと思いますが、それ以外にも例えば産業用の施設ですね。再エネの向上が急務だとされているような産業施設に対して、安定電源としてLDESをやっていく。そして3つ目がマイクログリッドとか離島とか、ディーゼル燃料に依存しているところに関して、燃料価格とか輸送とかCO2とかレジリエンスというのが課題になっていて、
それに対してボトルネックがそれぞれにはありますと。AIデータセンターに関してはコストの壁、8時間を超えるような貯蔵に関しては既存電池では対応できないとか、産業施設だとクリティカルマテリアル、希少金属への過度な依存を避けたいであるとか、あるいはマイクログリッド、離島だと設置面積の制約があって、なかなか難しい。そういう時にこのNoonを使っていくと、もしかしたら新しい電力源と言いますか、ストレージとして使ってもらえるんじゃないかということが言われています。
ただ一方で、顧客ごとに購買プロセスとか購買する目的ってのはちょっと違うので、それらを同時に攻めると営業とかプロダクト要件も分散しちゃう。一部プロダクト要件に関しては柔軟に対応できるアーキテクチャを取ってるとは思いますけれど、とはいえ、多分最初はAIデータセンターを狙っていくんだろうなっていう感じはします。
その最初のターゲットがAIデータセンターっていうところだったんですけど、その理由ってどの辺りなんでしょう?
そうですね。先ほど少しお話ししましたが、停電コストと言いますか、停電すると彼らの事業がうまくいかなくなるので、そこに対してのペインが強いというところが1番大きいかなと思いますね。あと資金力がすごく高いので、やはり今様々なグリーン系のスタートアップがAIデータセンターに行ってるのはそこがあるのかなと思います。
離島とかマイクログリッドで、ディーゼル燃料の代替っていうところなんですけど、そこだと電力を供給できるって以外にもどういった面が重要視されるんでしょうか?
そうですね。まずディーゼルのようなものを使っている地域に関しては、燃料輸送リスクであったりとか、あるいは騒音とか、保守とか災害時のレジリエンスみたいなところがすごく気になるところかなと思っています。そこに対して今回のLDESみたいなところがうまく入っていくと、再エネを使えるし、長時間の蓄電で燃料依存を減らせる、そうしたリスクヘッジにもなるのかなと思います。ただもちろん初期のCAPEXとか、メンテナンスをどうやっていくのかとか、現地のサポートに関しては多分離島とかは問題になってくるんだろうなとは思いますが、とはいえメリットもあるのかなと思いますね。
ではそれに対して、解決策というところのお話をしたいと思います。まずNoonのシステムに関しては、パワーブロックと言われてる出力を制御するところと、タンクですね、容量自体っていうところの2つの大きなパーツで構成されています。パワーブロックはいわゆる電気と化学エネルギーを変換する部分です。そして容量を増やしたい時はパワーブロックを単純に増やすんじゃなくて、タンク側でエネルギー容量を伸ばせるという形になります。
課題解決として、コスト課題に関してはこの出力と容量の分離設計によって解決できるとしていますし、環境に関しても炭素と酸素のみが使用されている、そうした物質と言いますか材料を使ってるので、おそらく大丈夫だろうと言われています。あと省スペースっていうところも結構大きいと言われていて、リチウムイオン電池比で2から3倍、フロー電池比で20倍から100、200倍のコンパクトさ、いわゆる固体炭素を使っている高エネルギー密度というところを彼らは1つ押しているというところです。あとは希少金属ですね、レアメタルみたいなクリティカルマテリアルを使わずに、リチウムイオンの1%未満に削減しているというようなところで、持続可能性と言いますか、経済安全保障的なところも多少できているというところがポイントかなと思います。
実際に充電時にはエネルギーを炭素ベースの媒体に貯めていって、放電時には空気中の酸素を取り込んで電気に戻していくというような技術を使っていて、それで出力を制御していると言われています。実際のシステムはもちろん炭素と酸素だけではなくて、様々なシステム材料とか触媒とか、様々なものを使っているとは思いますけれども、メインは炭素と酸素のみという形になるのかなと思います。
なんかこの電池めちゃくちゃ強いなと思うんですけど、逆に今までこういうのに取り組まれてこなかった理由ってあるんですか?
そうですね。原理が単純なものであっても、化学反応とかセル材料とか熱管理、あるいは効率とか耐久性とかシステム制御が難しいと言われていました。で、このNoonは、元々創業者の方が宇宙で使おうとしていた物質とかをうまく使ってやろうとしている、MOXIEと言われているもの由来の知見とか、固体酸化物系の技術を応用して、それを初めてできたと。材料が安いだけではなくって、全体システムとして安定して動くかどうかっていうところに彼らの技術的なアドバンテージがあるのかなと思います。
実証もある程度されてるってところなんですけれども、商用化まではもう少しというところなんでしょうか?
そうですね。今現状、コンテナ型モジュールで数千時間とか200時間超の運転試験には成功したと言われています。実証は大きなマイルストーンとして素晴らしいなと思いますが、商用化には今後量産とか保証とか認証とか、あるいは保守というところが大事になってくるのかなと思います。今後商業運用していくことになるので、こちらに関しては、今後Metaとの大きな契約、まず25MW、2.5GWhの初期プロジェクトがどこまでちゃんと完遂できるかどうかっていうところがポイントになってくるのかなと思います。
では続いて市場です。このNoonが狙っている市場は、データセンターから入ろうとしていますが、それ以外にも色々と大きな市場を狙おうとしています。まずTAMに関しては2030年までに5000億ドルというのが見通しになってるみたいです。SAMとかSOMに関しては、まずはAIデータセンターのバックアップ電源、産業向けのビハインド・ザ・メーター市場、そして遠隔地のマイクログリッドというところを最初狙おうとしているみたいです。まずはデータセンターですね。電力消費の急増があるというところで、ここを狙っていきます。特にスピード・トゥ・パワーみたいなところの問題も一緒に解決していこうとしていると。
そして市場のドライバーとして2つ目が、グリッド接続の大幅な遅延というところで、新しい発電とか蓄電のプロジェクトの系統接続待ちが長期化していて、独自電源とかオンサイト電源のニーズが高まってきているので、Noonのプロダクトが入りやすくなってるんじゃないかというのが1つ。あと市場のドライバーの3つ目として、やはり脱炭素ですね。各国の脱炭素とか再エネ100%義務化というところが波としてまだまだ残っていて、企業は再エネだけではなくって、実際に常時使える電源というものを求めていて、そこに対してNoonはできるのかなと思っています。まずは電力全体というよりは、高価格を払う顧客から市場に入ろうとしているというところが大きいのかなと思います。
なるほど。データセンターに対しては、蓄電以外にも他に色々提供するということなんですかね。どういったものを顧客に提供するのかなと。
そうですね。まずは、そもそも発電をどうしていくのかっていうところを解決しなきゃいけないというのが1つですと。あとは系統接続とか土地とか冷却とか契約みたいなところが必要になっていて、それらを多分データセンター事業者は色々解決しようとしていると。Noonはそこに対して再エネ、発電のところと組み合わせて常時電源化していくっていうところを狙おうとしているのかなと思います。なのでおそらく、データセンター事業者は再エネも同時に契約していて、あと短時間の蓄電のバッテリーも入れて、そして今回のNoonみたいな長時間蓄電を組み合わせて、常時電源化っていうのをやろうとしてるのかなと思いますよ。
離島とかマイクログリッドとかに入っていくところは、市場としては小さくなると思うので、そういったところに入るNoonにとっての意義はどの辺りにあるんでしょうか?
そうですね、おっしゃる通り規模は小さくなりがちなので、なかなかVCスケールというか、VCが求めるような規模感にはそれだけだとならないんだろうなと思います。日本は離島が比較的多いので、そこに関してはちょっと分からないですけれども、とはいえ、離島だけだとそんなに大きくならないかなと。ただ一方で、燃料輸送コストとかディーゼル依存が大きいような場所においては、高価格を払ってくれるかもしれないという可能性はあるかなと思います。実際には多分最初の実績作りみたいなところで離島の問題を解決して、そこからより大きな、今はデータセンターとかですが、その次にもしかしたら系統用の長時間の蓄電というところを狙っていくのかもしれないなと思います。
では続いてビジネスモデルです。彼らは再エネの発電所から、Noonのシステムを通って、需要家・支払い者に対して電力を供給するという、そうしたビジネスモデルを考えているみたいです。需要家にはデータセンターであったりとか、再エネのIPP、マイクログリッド運営者みたいなところが含まれてますと。ビジネスモデルは機器販売もあれば、長期サービス契約もあれば、電力の供給契約もあれば、ストレージ・アズ・ア・サービスみたいな感じで複数の可能性がありますが、今現状どれで売ってるのかっていうのは、それぞれの場合によるのかと。Metaに関してはおそらく供給契約かなとは思いますが、普段どういう感じで売ってるのかはちょっとまだ分からないというところですと。
ユニットエコノミクスと言いますか、目標システムコストは20ドル/kWh未満で、目標LCOS、レベライズド・コスト・オブ・ストレージに関しては0.05ドル/kWh。これはすごく野心的な数値かなと思います。実際DOEのLong Duration Storage Shotに関しても、10時間以上の長時間貯蔵でLCOS 0.05ドル/kWhを目標にしているので、この水準にしていこうというのがNoonの狙っている目標値になってきていますと。
あと彼らはアーキテクチャー上、かなり量産化する、あるいは学習曲線も描けるみたいなモデルかなと思っておりまして、スケールしていくと、出力のパワーブロックと容量のタンクの分離が行われていて、貯蔵時間を100時間、200時間ほど伸ばすとkWhの追加コストがフラットに近づいていくであったりとか、あるいはタンクの製造の学習曲線というものを引いて、どんどんと安くなっていくことも可能なのかなと思います。特に高価な変換装置、パワーブロックの方はある程度お金がかかりますが、容量、タンクの方は比較的安い媒体で増やしていくことができるので、一定の点を超えるとかなりコストが安くなっていくという、そうした特徴を持っているアーキテクチャーです。ただもちろん、CAPEXもそこそこ大きくはなるでしょうし、その後の効率とか稼働率とか劣化とか保守とか、あるいは設置工事、保証というところが最終的なLCOSにはかかってくるんじゃないかなと思います。
結局何を売るかというのは今模索中っていうようなところなんでしょうか?
みたいですね。初期は大口顧客との共同実証とか予約契約みたいなのを通じてやっているみたいですが、今後事業モデルをどうやっていくのかは多分まだ模索中なのかなと思います。
目標のシステムコストが1kWhで20ドル未満というところで、かなり低いようにも見えるんですけど、どういう風にしてそれが可能になると見込んでるんでしょうか。
そうですね。容量側、タンク側を安く増やしやすいというのが彼らの言っているところです。なぜかと言うと、希少金属を使っていなくて、炭素と酸素系の豊富な材料を使っていくので、そこは安く作れますというのが彼らの主張になってますね。
では戦略です。このNoonの戦略ですが、大きくはハードウェアとインフラ提供型という形になるのかなと思います。セルの競争ではなく、アーキテクチャーの変更で、再エネを常時電源化するインフラレイヤーというものを狙っていこうとしてるのが面白い点かなと思います。そして、内部とか外部活用の方針もいくつかありまして、まずMetaのような超大型需要家とMOUとか予約を取って、そこをテコにした実証と量産をしようとしているというところが1つです。特に初期投資のリスクを下げるために巨大顧客の予約を盾にしてスケールさせていこうとしている、需要家を掴んでやっていこうというのが面白い戦略なのかなと思います。
そして10年後から20年後に関しては、やはりディーゼル等の化石燃料のバックアップというものをこのLDESに置き換えていって、天候に依存する再エネを24時間365日の完全なベースロード電源に変革していくというところを彼らは狙っているというところです。なので今現状、AIデータセンターみたいなプレミアムを払ってくれるところから攻めていっていますが、その後のミッションとしてやはり再エネ・脱炭素というところに狙いを定めてやっていっているというところかなと思います。
セルの変更ではなくてアーキテクチャーを変えるっていうところが面白いポイントっておっしゃってたんですけれども、セルではなくてアーキテクチャにすると、面白いとか強みにつながる理由はどの辺りなんでしょうか?
そうですね。まずセルに関しては、セル単位で改善していくのはできなくないんですけども、既存大手のいわゆる資本優位性と言いますか、スケールの優位性というところにどうしても負けてしまいやすいという傾向があるのかなと思いますと。一方アーキテクチャーを変えると、コスト構造がちょっと変わってくる可能性があって、長時間化した時の、今回タンクを安くいっぱい増やすとスケールメリットが効いてきますみたいな話がありましたけれど、そこに関しての構造を変えて自分たちも戦えるというところ。ただ一方で、これまでなかなかできてなかった理由って話もありましたけれども、システム統合の難しさが上がっていくので、そこで勝負してるみたいなビジネスなのかなと思います。
10年後の、今後の理想像として化石燃料のバックアップを排除するっていうのはめちゃくちゃ壮大な話だなと思うんですけど、そこと今やってるAIデータセンターっていうところを、どういう風に大きくしていくように、彼らは今の時点で考えてるんでしょうか?
そうですね。データセンターの常時電力需要というところは、ある意味実証と言いますか、小さな範囲での24時間365日の常時電源化みたいなところなので、これを大きくしていけば、グリッド全体の、あるいは電力システム全体の24時間365日の電源化につながっていくという見方なのかなと思います。データセンターのように、今需要がものすごい勢いで増えてきているところの方が新しい技術が入りやすいので、そこに新しい技術を入れて、そこで実績を作って、今後産業用途とかグリッド向けに広げていくということができるのかなと思います。
では、ロードマップです。まずこの会社ですが、2018年創業だと言われています。まずラボスケールから始まって、2018年から2023年の5年間で約50倍のスケールアップ、そして100時間のコンテナでの成功ということをやって、サイエンスリスクを最初に払拭していったというのが最初の5年だと言われています。
そしてそこから資金調達なども含めてやっていって、フェーズ2としては拡大とかコスト削減をしていったと。その中でMetaとの25MW、2.5GWhの初期パイロットを契約として結んで、今後完遂していくところに向けていきますと。そして並行して商用の量産の確立とかユニットエコノミクスの証明をしていくっていうのが、今やっているところなのかなと思います。そして今後、2028年とかそれ以降に関しては、海外展開であるとか、あるいはMetaとの100GWの供給契約の本格的な履行であったりとか、データセンター向けからどんどんと系統とか産業用途への展開というところをしていくみたいなところなのかなと思います。
なのでまずは、停電が許されず資金力のあるデータセンター市場に入っていって、そこから実績を作り量産効果を狙っていくというところで、これはディープテックのGo-to-Market戦略としても非常に典型的と言いますか、最初にプレミアムを払ってくれるような最も支払い意思が高いところ、そして性能要件が比較的厳しい顧客で証明して、それをより大きいところへ、ということをやろうとしているというのがこのスタートアップのポイントかなと思いました。
Metaとのパイロットの実証が25MW、2.5GWhってところだったんですけど、どれぐらいの規模の大きさだと思えばいいんでしょう?
そうですね。100時間の貯蔵を想定すると、25MWを100時間出せる規模ということなので、最大出力を100時間出せるというような規模感です。研究デモから本当に商用のインフラに移る大きな飛躍ではあるのかなと思います。何倍ぐらいになってるのかちょっとわかんないですけれども。あとはやっぱりここで性能とかコスト、そして納期がちゃんと守られるのかとか保守できるのかみたいなところの証明が必要になってくるので、本当にラボ・トゥ・マーケットの大きなポイントになってくるのかなと思いますね。
なるほど。ちょっと今の話と重なるんですけど、それをクリアしたとしても、フェーズ3の拡張していくまでのリスクっていうのはどういったところがあるんでしょうか?
そうですね。拡張していったら、やっぱり性能がラボとは違う性能になってしまって性能未達になってしまったりとか、コストパリティもなかなか難しいということになってしまうかもしれませんし、製造が関わってくるので、製造がうまくいかなかったり製造遅延とか、あるいは途中で資金が不足してしまうとか、そうしたリスクは十分にあるのかなと思います。
あとあくまで蓄電のスタートアップではあるので、顧客側の発電の方で、系統を接続するのか、もしくは自分たちで太陽光パネルを置いていくのか分かりませんが、そうしたところの許認可の遅れがあると、蓄電側にもちょっと影響が出てくるみたいなところがあるのかなと。あとはリチウムイオンバッテリーの方がもっと安く、もっと性能が良くなると勝てないみたいなのは、よくLDES界隈で言われているところかなと思います。あとはフェーズ3のリスクというところでいくと、データセンター向けに作った性能というものと、系統向け、特に海外とか産業用途とかで必要となるスペックとか、あるいはビジネスモデルというものが違ったりするので、そこの調整は最後必要になってくるんだろうなと思います。
では競合の話です。競合はいくつかありまして、1番はリチウムイオンバッテリーというところがありますが、それ以外にもいくつかあったりはします。ESS、鉄フローと言われているようなところがいたりとか、Energy DomeとかForm Energyとか、Ore Energyとか、鉄空気とかをやっているようなスタートアップがあったりして、そうしたところが競合としてあるのかなと思いますと。
ただ、いくつか違いがあると言われていて、Noonにとってかなり良い感じの比較になってはしまいますが、Noonの方が放電時間は長くて省スペース性が高い、スペースが小さくて済むみたいなのが違いとして言われているところです。
モートとしては、まず技術ですと。火星探査、MOXIE由来の知見と特許を持っていますというのが1つ。そしてもう1つは供給網ですね。クリティカルマテリアルへの非依存性、地政学リスクが低いですよというところ。3つ目が空間ですと。固体炭素を利用していて、圧倒的な省スペース性がありますよと。特に産業施設などでは土地とか面積に制約があるので、そこに対して対応できますというのが3つ目で、4つ目が構造で、出力と容量の分離による限界費用の低下というところがありますと。これは経済性をどのように上げていくのかっていうところに非常に関わることです。5つ目が顧客で、Metaとの最大1GWを超えるような大型予約合意ということで、先行優位があるんじゃないかというところです。
ただ、技術とか特許を調べてみると実はあんまり出てなくてですね、私の調べ方が悪かったのかもしれませんが、1個しか見つかんなくて、どういう技術があるのかとかはもうちょっと詳しく調べるべきかなと思います。
そうですよね。技術は他の会社に勝つためにめちゃくちゃ重要だなと思って、ちょっと関連するんですけど、リチウムイオン電池が長時間化したら、やっぱり難しいですか?勝てないようなもんなんでしょうか?
そうですね。難しいかもしれませんと。ただ100時間級になるかって言うと、そこまでいかないんじゃないかなっていうのと、コスト構造が違うので、まだまだリチウムイオンバッテリー以外の別の技術に余地があるんじゃないかという見立てはできるかなと思います。とはいえ、価格の低下であったりとか、8時間を超えるような蓄電と言いますか放電と言いますか、そうした時間の伸びというものは脅威として捉えた方がいいかなと思います。
では、参入戦略です。これはもう何度も言ってきていますが、ターゲットはAIデータセンターということで、GPUとかはあるけれども系統接続待ちで電力確保はできていないっていう、スピード・トゥ・パワーの問題を抱えるような顧客に対してまずは売っていきますというのが1つ目ですと。そこに対してMVPとして100kWとか10MWh、100時間稼働のコンテナ型機を提供している。分離アーキテクチャーの成立を証明するための最小構成を作って、それを提供しているっていうのがMVPあたりですと。今後やっていくっていうところには、最初は火星技術、火星向けの技術ですみたいなストーリーもあったみたいで、ARPA-Eとかの政府系のグラントもそうした形で取っていたりとか、あるいはトップティア企業への直接提案みたいな、これをうまく使って、LDESの技術を磨いてきたというところです。
最後、PMFに向かっていくとしたら、おそらく実働データ、数千時間における実働データというところが必要だったと思いますし、システムレベルのRTE、ラウンドトリップ効率というものが必要だったりとか、50%超が目標だということですが、その辺も必要だというところと、そしてB2Bのハードウェアに関してはやはり、ユーザーが気に入ったかとかUXとかそんなものだけではなくて、厳しい現場の条件で第三者が確認できるような十分な性能が出せるかというところなので、そこに向けてビジネス的に伸びていって、システム的にもうまくいけばPMFしていくっていう形になるのかなと思います。
このMVPが100kW、10MWhってところで、Metaとの契約と比べるとすごく小さいんですけれども、MVPをそのようなサイズにした理由というか背景はどの辺りなんですか?
そうですね。どうやって決めたのか私も正直分かんないですが、一応、100kW×100時間で100時間級の容量を示せるというのが1つの理由なのかなと思います。100kW×100時間で10MWhになるので。あとは、コンテナ型のサイエンティフィックな実証ということで、コンテナ型というのはパワーブロックとタンクの形、アーキテクチャの設計がうまくいくのかどうか、モジュール設計がうまくいくのかどうかっていうところの調査あるいは実証をするというサイズ感として選ばれたのかなと思いますね。
MVPとしてそれぐらいのサイズ感、というか量が適切だったってところですよね。
そうですね。
火星の技術っていうストーリーがどんな話なのかすごく気になるんですけれども、これってトップティア企業への営業のツールというか、何か獲得に効いたようなことってあるんでしょうか?
そうですね。どうなんでしょうね。初期のブランド作りとか、注意喚起と言いますか、アテンションみたいなところにおいては効くのかもしれないなとは思いますが、ウェブページを見ていてもMarsってそんなに出てこなかった気がするんで、今はどうなのかなと思います。最終的にはやっぱり、利用用途にもよりますが、現場の性能であったりとか保証とかコストみたいなところで判断されるので、1つの切り口としてはありかもしれませんし、場合によっては特定の補助金とかを取りに行く時には効くかもしれませんが、ストーリーはあくまで入り口ぐらいな気持ちで見ておいた方がいいのかなと個人的には思います。
では続いて起業のプロセスです。まず着想の経緯として、創業者のクリスさんという方が、NASAのMOXIEプロジェクトとかをやってた方なんですけれども、2018年に創業されましたと。着想は、火星のCO2から酸素を生成する技術っていうのを逆回転させて、それを地球の長時間蓄電に応用できるんじゃないかという、そうした発見があったというところだったみたいです。この話は、ある意味極端な環境で磨かれた技術を地球の巨大な課題に応用していくみたいな、そうしたパターンなのかなと思いますと。
そして準備期間として、シリコンバレーのCyclotron Roadというプログラムに採択されて、国立研究所のラボ施設とビジネスリソースを活用して、初期の検証とか事業計画を構築していったと言われています。初期のチームの構成は、材料化学であったりとか電気化学、そしてエネルギーシステムに特化したようなR&Dの専門チームを組成して、役割とスキルということで、初期はサイエンスリスクの低減にかなり全部振って、最初のメンバー数もそう多くならずに、まず顧客への営業よりも先に原理が成立して本当に拡張できるかどうかっていうのを示すという、そうした研究開発をやっていたようです。
なので、やっぱりこのディープテック系、特にサイエンティフィックなリスクを持っているところは、最初やはり顧客に話を聞きに行くだけではなくって、物理的・サイエンティフィックに実現可能かどうかみたいなところをちゃんと検証しているのが大事なのかなと思いました。
宇宙技術を地球でも転用するっていうのはよくある話だとは思うんですけど、ちょっと違いがあると思うので、どういうところが乗り越える壁として難しい点なんでしょうか。
まあ、1
一番は事業モデルの再設計じゃないですかねっていうとは思いますけどね。事業をやっぱり地球上で成立させるためには、宇宙は一品物でコスト高くてもいいかもしれないみたいな、そういうのもあるかもしれませんし、保守とか量産とかとはまた違う話になってくると思うので、そこに関してはやはり宇宙とは少し違うものになってくるのかなと。
あとシステム設計自体も少し変わってくるのかなという風には思います。あと今回逆回転させてるってとこもあって、そもそも違うってとこはあるかもしれないですね。
そうですね。技術に結構全振りしてたんですけど、なんか他のこれまでの紹介とかでビジネス人材が割と最初から入ってたチームも多かったんですけど、最初は入れなかったんですね。
みたいですね。最初は一番大きいリスクは技術リスクだったので、多分技術者だけでやっていたと。多分サイクロトロンロードに入ってるので、そこでビジネス的にアドバイスをもらっていたと思いますが、基本は技術者だけでやっていって、顧客とか資金調達とか製造に進む段階で、商業化の人材を入れていったという風な形が少し見えてます。
では初期の歩みの方ですと。まず初期の仮説は、再エネを主流化していくためにはリチウムイオンとは異なるアーキテクチャーの低コストなLDESと言いますか、長時間の蓄電が不可欠だという風な仮説をやっていきましたと。そしてグラントを活用してアボキを作成して、14ヶ月で50倍のスケールアップを達成し、サイエンスリスクを払拭したということになります。そもそも反応が成立するかとか、繰り返し動くかとか、スケールできるものなのかどうかという風なところを確認していったと。
そしてその後にですね、コンテナ型モジュールによる数千時間の運転、そして200時間を超えるような容量というのを実機デモに成功して、机上の空論から本当に物理的に動くものへの移行が行われたと。そして基礎検証が終わって、2023年にシリーズAとして28ミリオンドルの大型調達をして、この資金調達を元にR&Dフェーズから初期商業化とか量産化のフェーズにギアチェンジをしていったと。
なので、スタートアップとして着実と言いますか、最初5年の研究期間は結構長いなとは思いますけれども、ディープテックとして技術を磨いて動いていったというだけではなくって、投資家がリスクを取りやすい、取れるだけの証拠というものを最初の5年間積んでいったという形なのかなと思います。で、50倍のスケールアップとかをしたんですが、ただそれでもやっぱり商用スケールはさらに桁が違うので、ここに対して今後タックルしていくというところではないかなと思いますね。
なるほど。そういった意味で、28ミリオンドルの調達って大きいですけど、十分かと言うとどうなんでしょうか?
十分じゃないでしょうね。特に量産とかやっていくためにはとか、大型商用案件にはおそらく追加資金が必要になると思います。またグラントとかうまく使っていくってのは1つあるとは思います。
では続いて資金の話です。彼らはですね、まずグラントを土台に進んでいきましたと。VCファンディングはその後ですというところです。まずですね、ARPA-Eの500Kぐらいのグラントを取って、NSF、ナショナルサイエンスファウンデーションのファンディング、フェーズ2 SBIRみたいなものですね、これに関して1ぐらい取ったと。そしてCCと言われている補助金8.76ミリオンドルを取っているというところで、最初の助成金、補助金とかをうまく使って、100kWあるいは110MWのLDESを既存の太陽光設備と組み合わせて、最大100時間の容量を実証するみたいな、そうしたことをやっていたようです。VC資金を入れる前に公的資金を使って、初期の開発リスクというものをいわゆる検証していったというところかなと思います。
ただですね、その後のラウンドにおいてはVCが入っていて、2021年にはシードで3ミリオンぐらい調達していて、シリーズAで28ミリオン、2023年にやっているという風な状況です。そんな感じで進んできたみたいですね。
またチームとしては、2025年にCEOが入って、あとEVPという商業化担当のVPも入り、技術の証明が徐々に商業プロジェクトに向けて、KPIと言いますか、会社の全社KPIが明確に変化していったという風に整理されています。
なるほど。てかあれなんですね、2025年にCEOとそのEVPの方が入ったんですね。
みたいですね。
じゃあ結構もう技術からフェーズが変わってきたっていうことなんですかね。
かもしれないですね。量産はまだまだやっぱり大変そうな気はしますけれど。
逆にそうですね、なんか量産というか商用化がまだできてない状況でも、VCは投資をしたんですね。
そうですね。それは彼らのやっぱり証拠を積み重ねてきたっていうところかなと思いますと。で、あとは市場が巨大で、現状需要としてAIデータセンターも来ていてみたいなことで、この技術さえ成立すればインパクト大きくなるんじゃないかみたいな計算が働いたのかなという風には思いますね。
では、日本でもし同じアイデアで起業するならということで、1つ案としては離島グリッドみたいなものをAIが提案してくれました。日本は離島が比較的多いので、市場規模には上限があるものの、あるかもしれないなという風に思いますと。
で、2つ目がデータセンターですと。地方のデータセンターにおいて、出力制御が入る、抑制が入るような地域に関しては、余剰の再エネをLDESに貯めていくというような需要が出てくるかもしれませんと。一方で系統接続とか都市規制の壁はあるのかなと思いますと。
で、3つ目の案としては産業用排熱・CO2活用ということで、既存工場のインフラを活用するというところをできるかもしれないが、一方で企業との個別設計の手間がかかってしまうというところがあるので、そこをどう吸収するのかというのが大事なところかなと思います。
なので、日本独自でもしやっていくんであるとすると、日本のセラミクス技術とか熱制御とか精密加工というものを生かして、今回固体酸化物セルとか使っていたりとか、高温熱管理が関わってくる領域だったりしますので、こうした日本の技術を使って、こうしたNoonみたいなものをやっていくっていうのは1つあるのかもしれないなと思います。
あとは、日本でやっていくんであるとすると、電力制御制度とか系統接続とかPPAとか補助金とか、様々な外部環境というものも変わってくるので、そこも含めてどうしていくのか、プラス技術的にも熱量数化をしていくとか、実装とか運用コストを下げていくとか、そうしたところも含めて考えていかなければなと思いますね。
なるほど。やっぱり同じことをやるっていうのは難しいですね。完璧に一緒のことやるのは難しいんだなと思いました。
そうですね。技術的にも単純な模倣は難しいかなと思いますし、やっぱり需要も違う。アメリカだと今データセンター需要むちゃくちゃ立ち上がってきていると思いますが、日本はアメリカほどかと言うと、多分そんなことはないと思うので、そこに関してもやっぱりちょっと違いが出てきているというところかなと。逆に言えば、違う技術とか違う攻め込み方ができるかもしれませんね。というところです。
では最後にまとめです。Noonから学べるところとしては1つ、極限環境技術の転用というのがあるかもしれないと。宇宙ですね、火星という極端な制約下で磨かれた技術を、地球の課題をブレイクするようになるかもしれないというのが1つ目。
そして、ボトルネックの物理的な分離というのが2つ目にあるのかもしれません。1つが今回のアーキテクチャーですね。出力と容量を分けていくという風なアーキテクチャーの変更が劇的なコスト削減につながっていくみたいな、そうした可能性があるというところは1つ参考になるかもしれません。性能を少し改善するというよりは、コストの原因を分解して別々に最適化していくとか、モジュール化していくみたいな、そうした製造業化していくことによって、一品ものからよりコストの違うような、そうしたコスト構造を築けるかもしれないというのが2つ目ですと。
そして3つ目が、彼らやっぱ5年間潜ったと言いますか、サイエンスリスクを低減していくための研究開発をしていったと。その前にVC資金を入れちゃうと、多分なかなかVCのファンド期限とはマッチしなかったのかなと思いますが、そうしたサイエンティフィックなリスクのところはグラントをうまく使っていくというところが1つあるのかもしれないなという風に思います。
ですので、今回宇宙をやりましたが、宇宙とか、今後例えば海とか防衛とか、極端な制約がある分野の技術というものをうまく転用して、地上の大きな課題っていうのにアプローチしていくというのも1つ面白い思考実験になるのではないかなと思います。ということで、今日はNoon Energyを紹介しました。どうだったでしょうか。
そのアーキテクチャを変えて、コスト構造をこう改善して、他の技術に勝つっていうのは、なんかこのLDES以外でもありそうな話だなって思って、そういった考え方は転用ができそうだなと思いました。
そうですね。性能だけで戦うんじゃなくて、そもそもの構造自体を変えていくって方がスタートアップ的には面白いですよね。
では、こうした形で皆さんのアイデアの参考になれば幸いですと。今日はこちらでFoundX Review Startup IdeaCastは終了となります。今後も皆さんのアイデアのために最新のスタートアップの情報を紹介していければと思います。ご興味のある方は是非チャンネル登録やいいねお願いいたします。またFoundXの各種プログラムでも応募者を募集しています。周りに起業を考えている方がいらっしゃれば是非FoundXを紹介してください。FoundXのプログラムを是非紹介してください。ではまた次回よろしくお願いします。ありがとうございました。
ありがとうございました。
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