蒸発池に「浮かべるだけ」で入り込む:Princeton Critical Mineralsの段階的なリチウム戦略
東京大学FoundXFoundX Review Startup IdeaCastは、海外のスタートアップをAIで分析し、起業家や新規事業担当者向けに紹介する番組だ。今回は、FoundXの馬田と富田が、プリンストン大学発のPrinceton Critical Minerals(旧PureLi、以下PCM)を取り上げた。富田がこの会社を選んだ理由は二つある。一つは、ハードテックでありながら、リチウムを採る既存のプロセスを否定せず改善する側に立っていること。もう一つは、最初の製品が高度なハイテク製品ではなく、池に浮かべる「黒いハスの葉」のような単純なものであることだ。富田はこの入り方を面白いと考えた。
なお冒頭の雑談で、富田は日本ベンチャー学会に向けた論文を提出したことに触れている。共同研究者と半年から1年かけて書いてきたが、表のレイアウト、文字サイズ、斜体、用語の統一といった細部の調整に時間がかかった。こうした点はAIが見逃しやすく、自分の分野では最後に人の目がまだ必要だと感じたという。一方で、友人からは「全部AIでいける」という話も聞くので分野によって事情は違いそうだ、とも補足している。
会社の概要:蒸発池の改善と次世代の直接抽出
富田の説明によれば、PCMはプリンストン大学の研究を基盤とする企業だ。既存のリチウム生産で使われる塩水の蒸発池について、生産効率を上げる浮体型デバイスとAIソフトウェアを提供している。さらに、対象は異なるが、次世代の直接リチウム抽出(DLE)技術も手がける。
背景:30年変わらない蒸発池方式の課題
富田はまず需要と供給の状況を説明した。世界のリチウム需要は2040年までに3倍以上になると言われているが、供給側は追いついていない。現在、世界のリチウムの約40%は南米の塩水(ブライン)から生産されている。地下の塩水を汲み上げ、写真で見ると広大な田んぼのような蒸発池に流し込み、太陽光で水分を蒸発させてリチウム濃度を高める。これが一般的な方法だという。
富田はこの方法の課題として、次の点を挙げた。蒸発による濃縮には18か月以上かかる場合がある。回収率も高いとは言えず、30〜50%程度とされるケースもある。この効率の低さと時間の長さが、急増する需要に対する供給の制約になっている。しかも、この方法は30年ほど前からほとんど変わっていないという。
蒸発池の大きさについて馬田が尋ねると、富田は「自信はないが1つ20平方キロメートルほどだったと思う」と答えた。一説にはマンハッタンの半分ほどとも説明されている。自然蒸発に任せるので生産開始までに時間がかかり、環境への影響も大きい。そのため環境アセスメントや許認可の取得に数年単位の時間がかかり、池を簡単には増やせない。だから既存施設の能力を高めることが即効性のある解決策になる、と富田は整理した。PCMは、既存インフラを壊して新しいプラントを建てるのではなく、既存インフラに「ドロップイン」して改善するアプローチを取っている。
顧客の3つの課題:時間と空間、低濃度、データの欠如
PCMのターゲットは、チリのSQMのような巨大な塩湖を持つ事業者と、米国内の新規資源を狙う事業者だ。富田はこれらの顧客が抱える課題を三つに分けた。
一つ目は時間と空間である。蒸発池は20平方キロメートル規模と巨大で、蒸発には1年から18か月かかる。二つ目は濃度だ。米国内の地下水や石油採掘に伴って出る水にもリチウムは含まれているが、濃度が低すぎて従来の蒸発池方式では採算が合わない。そのためこれまで放置されてきたという。三つ目はデータの欠如である。広大な池を人が手作業でサンプリングしており、蒸発をいつ止めるかといった判断が遅れる。その結果、せっかく濃縮したリチウムが途中で失われることがある。サンプリングから結果が出るまでのタイムラグが原因で、最適なポンプ操作ができていない。
タイムラグが具体的に何を引き起こすのかと馬田が尋ねた。富田は、自分も完全には理解していないかもしれないと断ったうえで説明した。濃度がちょうどよいタイミングで次の池に水を移す必要があり、タイミングがずれると不純物が混ざったり、リチウムが池に残って次の池に移らずロスになったりするという。
別の背景として、富田は米国の事情にも触れた。米国は世界のリチウムの1%以下しか採掘・処理していないが、消費量は大きい。そのため国内資源の活用は国家安全保障上の課題にもなっているという。
代替策としてのDLEとその限界
蒸発池に代わる新技術として注目されているのが、直接リチウム抽出(Direct Lithium Extraction、DLE)だ。富田によれば、DLEは蒸発工程を経ずに塩水中のリチウムを直接分離・回収する技術の総称である。ただしDLEで新しいプラントを作るには巨額の投資が必要で、大量の淡水や化学薬品を使うため、別の環境問題を抱えることになるという。
ソリューション:Lilypad、SmartPond、E-LiTE
PCMの製品は大きく三つある。
一つ目の「Lilypad」は、池の水を速く蒸発させるための単純な製品だ。黒い円盤状のモジュールを池に大量に浮かべる。サイトの写真では、本当にハスの葉のようなものが池一面に浮いているという。黒いため太陽光を約96%熱に変換し、太陽エネルギーを水面に集中させて蒸発を促す。SQMとの実験では、蒸発率を40%から122%向上させたと富田は紹介した。
二つ目の「SmartPond」は、センサー、ドローンによる測量、AIによる予測を組み合わせたソフトウェアで、収穫までの最適なポンプ運用を指示する。
三つ目の「E-LiTE」は性格が異なる。LilypadとSmartPondがチリなどで既存の塩湖を運用する企業向けなのに対し、E-LiTEは低濃度の塩水からリチウムを回収するための技術だ。植物が毛細管現象で水を吸い上げる仕組みに着想を得た特殊な繊維を使い、薬品を使わずに低濃度の水から90%以上のリチウムを回収するという。DLEの一種だが、既存技術と違って吸着剤などを使わず、水や化学薬品の使用量を抑える方式だと説明された。
三つはセットで売るのかという馬田の質問に、富田はこう答えた。LilypadとSmartPondはどちらも既存の池向けなので、組み合わせることで相乗効果が生まれると考えられる。一方、E-LiTEは将来的に、池を使わない低濃度資源を持つ事業者向けに提供するものと位置づけられている。
市場:南米の既存塩湖から米国の低濃度資源へ
市場規模について、富田は最終的なTAMを、4.4兆規模に成長すると予測される世界の電動モビリティ市場全体とした。SAMは世界のリチウム抽出市場で、現在その40%が蒸発池由来である。SOMとしては、まず南米の既存塩湖を狙い、次に米国内の低濃度塩水や石油採掘時に出る水の市場を狙う計画だという。成長の追い風として、米国のインフレ抑制法などによるサプライチェーン国内化の圧力、水資源の制約や保護、環境規制の厳格化を挙げた。
TAMはさすがに大きすぎるのではないか、PCMが実際に取れる市場はどの程度かと馬田が問うと、富田もTAMは大きすぎると認めた。SOMについて具体的な金額は出ていないが、世界のリチウム生産の40%を占める既存設備への投資や効率化の予算がターゲットになるだろう、というのが富田の見立てだ。
ビジネスモデル:ハードウェア販売、SaaS、消耗品
富田が面白いと感じたのは、製品ごとに売り方を変えている点だ。導入障壁の低さと継続的な収益性を組み合わせたモデルだと説明できるという。Lilypadは置くだけの設備なので売り切りで販売し、初期投資のハードルを下げて顧客に入り込む。SmartPondはSaaSとして年間利用料を取り、AI予測を通じて顧客を自社のエコシステムにロックインしていく。E-LiTEは、そこにつながるかは別かもしれないと断りつつ、特殊な繊維を継続的に販売する消耗品モデルになっているようだと述べた。
Lilypadは単純な仕組みだが壊れたり劣化したりしないのか、と馬田が尋ねた。富田によれば、濃度の高い塩水に浮かべるので汚れやすい環境にあり、Lilypadには汚れにくくするコーティングが施されている。ただし塩水や強い日差しにさらされるため、定期的な清掃やメンテナンス、交換はおそらく必要になる。この点は情報源から確認できていないと富田は断ったうえで、保守サービスも収益源になりうると述べた。
戦略:世界の塩水鉱業の「標準OS」を目指す
PCMの長期的な理想像は、世界の塩水鉱業の標準OSになることだと富田は説明した。すべての蒸発池と低濃度の塩水がPCMのネットワークで管理される状態を目指している。内製と外部活用の方針としては、特殊なコーティング技術やAIモデルといったコア技術は自社で開発する。一方、大規模な実証フィールドや日々の現場オペレーションはパートナーのリソースを活用しているという。戦略の型としては、既存インフラへのドロップインで広げていくことと、SaaSを統合していくことの組み合わせだと整理した。
巨大企業が同じようなものを作ってしまうリスクはないのか、という馬田の問いに、富田はリスクはあるだろうと認めた。そのうえでPCM側の読みを推測した。浮き輪のようなハードウェア自体は作れても、表面のコーティングや全体を最適化するAIソフトウェアは巨大企業の専門外なので、そこが堀(モート)になると考えているのではないか。ただし、自社でもできると顧客に判断されるリスクは残るという。
ロードマップ:Lilypadで信頼を得てからDLEへ
ロードマップは三段階だと富田は紹介した。フェーズ1はPMFの実証で、Lilypadによって既存の蒸発池を改善し、実績と信頼を作る。フェーズ2ではSmartPondを導入してデジタル化を進める。フェーズ3では、難易度は高いが市場も大きい米国内の低濃度塩水や、石油・ガス採掘に伴う水の市場に参入する。富田の解釈では、最終的にやりたいのはE-LiTEであり、その手前でLilypadという分かりやすい製品を使って顧客ネットワークと収益を得ていくモデルだ。
Lilypadが売れなかったらロードマップ全体が崩れるのか、と馬田が尋ねた。富田は、資金計画は厳しくなるだろうと答えた。ただしLilypadとE-LiTEは技術的な原理が異なるので、技術的にはE-LiTEに進むことは可能だという。難しくなるのは、そこまで生き残れるか、どう資金をやりくりするかの部分だ。もっとも、PCMはすでにSQMなどから110万ドルの購入注文を確保しており、Lilypadがまったく売れないという状況ではなさそうだと富田は見ている。
競合:大規模DLEプラントとの違い
ポジショニングについて、富田は二つの軸で整理した。物理的な低エネルギー型か化学的な高エネルギー型か、そして既存インフラ活用か新規インフラかである。PCMは低エネルギーで既存インフラを活用する位置にある。対照的なのがDLE企業のLilac Solutionsで、巨大な新規プラントを建て、大量の淡水や化学薬品を使う化学的アプローチを取っているという。
PCMの差別化要素として富田が挙げたのは、化学薬品を使わないこと、Lilypadは置くだけなので工期が短いこと、低エネルギーであること、データ駆動で運用できることだ。これらが重要なのは、顧客にとって最大の関心事が「いかに早く、安く、リスクなく生産量を上げるか」であり、PCMのアプローチがそこに合致するからだと説明した。
では、なぜLilacのようなDLE企業はコストのかかる化学的アプローチを取るのか。富田によれば、抽出スピードが圧倒的に速いからだという。蒸発では12〜18か月かかる工程を数時間から数日に短縮できる技術なので、これまで投資が集まってきた、という説明だった。
Go-to-Market:最初に売ったのは「浮かべるだけ」の製品
富田はMVPの設定が面白いと述べた。最初から複雑なシステムを売るのではなく、既存設備に浮かべるだけのLilypadをMVPにした。チリの巨大企業SQMに対しては、「土地の拡張許可を得ずに今すぐ生産量を上げられる」というメッセージを打ち出した。トラクションを作るうえでは、プリンストン大学発というアカデミアの信頼と、NSFのI-Corpsプログラムなどを通じた政府支援の信頼を背景に、巨大企業への直接営業が成功したと考えられるという。実際にLilypadを試して蒸発率が40〜122%向上するという定量的な結果が出たことが、購入注文につながった。
最初の顧客としてSQMにアプローチできたのはどうしてか、と馬田は驚きを示した。富田は、直接的な記載はないと前置きしたうえで推測を述べた。大学の研究室に産学連携のコネクションがあったこと、技術の新規性がSQMのオープンイノベーション部門の目に留まった可能性、創業者がNSF I-Corpsを通じてヒアリングを重ねていたことが背景にあるかもしれない、という。
チーム:研究者と産業経験者の組み合わせ
富田の説明では、PCMはプリンストン大学のジェイソン・レン教授の基礎研究をもとに、当時ポスドクだった研究者が事業化をリードして始まった。研究をそのまま事業化するのではなく、NSF I-Corpsを通じて市場のペインをヒアリングし、ビジネスの文脈に落とし込んでいった。その後、水処理やインフラ運用の業界で長い経験を持つアンジェラ・ファスナハト氏がCEOとして参画し、体制を固めた。プリンストンのアントレプレナー向けフェローシッププログラムも活用したという。
CEOはどう貢献したのかという馬田の質問に、富田は、米国の水インフラ企業で役員を務めた経験がある人物だと答えた。大規模プラントの運用、スケールアップ、大企業との交渉のノウハウを持つため、ビジネスとして成功しやすい状況が生まれたのではないかと推測している。
スケールアップ:HAXでの泥臭い試作と中国での製造
富田は、失敗というよりラーニングの話だと前置きして、初期の壁を紹介した。研究室で数ミリグラム単位のリチウムが取れても、実際の鉱山では毎時何トンも処理しなければならない。ラボで優れた技術があっても、そのまま売れるわけではない。顧客が導入できる形に仕上げる必要があった。
そこでPCMは、米国のハードウェアアクセラレーターHAXの支援を受け、泥臭くプロトタイピングを進めた。おもちゃのボールやダクトテープを使い、地下のプールにLilypadの試作品を浮かべて素早く改良を重ね、その後チリでの実地実験につなげたという。
大学の研究室ではスケールアップが難しいのかと馬田が聞くと、富田はそうだと答えた。ラボにはスタートアップの成長に見合う設備、たとえば排気設備や電気インフラが足りず、産業グレードの実験施設が必要になったという。さらに創業者は中国の深圳に赴き、HAXの現地チームと協力して製造とサプライチェーンを構築した。これによってLilypadを試作品から実際の製品へと進化させた。
資金調達:シリーズAとグラントの組み合わせ
資金面では、2026年8月に発表された1,600万ドルの資金パッケージがある。内訳はシリーズAの1,100万ドルとグラントの500万ドルだ。富田は、ディープテックによくある形でグラントを大きく活用しながら資金を集めていると評した。この資金で、米国内での製造能力の拡充、南米での商用導入の加速、エンジニアの採用を進めるフェーズに入っているという。
政府が助成金を出している理由について、富田は、リチウムの国内サプライチェーン構築に寄与するからだと説明した。リチウムの国内供給は米国の国家安全保障に直結するテーマとして注目されており、特に低濃度の塩水からリチウムを回収できる技術が評価されているようだという。
日本への応用:地熱水、温泉水、産業排水
最後に、日本での応用可能性をAIにも考えさせた結果を富田が紹介した。日本には南米のようなリチウム資源がなく、土地の制約も環境規制も厳しいので、技術をそのまま持ち込むのは難しい。ただ、省スペースで薬品を使わない物理的な抽出技術には生きる余地がある、と整理されている。
案Aは、地熱や温泉の熱水から小規模分散型でリチウムを抽出するモデルだ。案Bは排水からのサーキュラーエコノミーで、国内の製造業やバッテリーリサイクル工場の廃液から特定のミネラルを選択的に回収するエコシステムを作る。案Cは技術輸出型プラットフォームで、SmartPondのようなAI監視ソフトウェアと日本のセンサーを組み合わせ、世界の鉱山にソリューションとして輸出するという提案だった。
温泉水や地熱水から採算が合う形でリチウムが取れるのか、と馬田が尋ねた。富田は、米国の場合と同様に、これまでは濃度が低すぎて採算が取れなかったと答えた。ただしE-LiTEのように低エネルギーで回収率の高い技術が出てくれば、状況が変わる可能性があるという。
まとめと二人の感想
富田は学びを三点にまとめた。第一に、既存の巨大産業を外から壊して置き換えるのではなく、後付けのドロップインですぐに価値を出すアプローチの賢さ。第二に、段階的なロックインである。いきなりプラットフォームを売るのではなく、分かりやすいハードウェアで入り、データで顧客を定着させ、最終的に次世代のインフラやE-LiTEへ拡張するロードマップを設計している。第三に、グラントという希薄化しない資金も組み合わせてスケールの課題を乗り越えようとしている点だ。そのうえで、考えるヒントとして「自分たちの技術を、既存インフラを改造せずに追加できる形にできないか」を考えてみてはどうか、と締めくくった。
感想を求められた馬田は、Lilypadから入って最後にE-LiTEへ進むという、技術的に非連続なものを段階的に進めようとしている点が珍しいと述べた。富田も、これまで番組で扱ってきた会社とはやり方が違って面白いと応じ、そのやり方で実際に顧客を獲得できていることもすごいと語った。
皆さん、こんにちは。FoundXの馬田です。
FoundXの富田です。今週は、馬田さんにはお話ししてたんですけど、ベンチャー学会に出す論文をめちゃ細かく調整しておりましたというところです。
無事に出せた。
無事に出せました。でも結構、実はもう本当半年とか1年ぐらいかけて共同研究者の人とコツコツコツコツ書いていたんですけど、大枠決まったら早いじゃんと思ってたんですけど、やっぱり細かい調整、表のレイアウトであるとか、文字のサイズとか文字を斜体にするとか、形式的なところもそうですし、用語の統一とか単語の使い方の統一とかっていうようなところですね、かなり時間がかかってしまいまして。で、そういうところって結構AIは見逃してしまうので、0から100まで頼るのはやっぱりなかなか難しいなというのは思いましたね。やっぱ最後は人の目はまだ、私の分野だと必要になるなという風には思います。ただ友達と話してると、もう全部結構いけるよっていうところもあったりするみたいなので、結構色々っぽいなとは思いつつ、今のところまだ最終的な調整、人の目が入る必要がありそうだなっていうのは思っていますというところですね。ここからIdeaCastのコーナーに移れたらと思います。
FoundX Review Startup IdeaCastですが、スタートアップのアイデアをAIを使って分析していく番組になります。これからアイデアを考える方のご参考になればと思います。最初にディスクレーマーですが、AIを活用して情報を整理しているので、一部の情報は古かったり間違ったりしている場合もあります。ファクトを重視される場合は必ずご自身で調べていただくようにお願いいたします。このポッドキャストはあくまでアイデアの参考や考え方を引き出すことを主な目的としています。
というところで今日ご紹介するスタートアップですが、Princeton Critical Minerals、ちょっと長いのでPCMと呼ばせていただけたらと思います。旧名がPureLiというところになります。
じゃ、なぜこのPCMを選ばれたんでしょうか?
これ、ソリューションのところでちょっとお話しするんですけど、ハードテックではあるんですけれども、リチウムを取る既存のプロセスを否定するんじゃなくて、そのプロセスを改善するっていうところをやっているという点と、結構最初の製品が、すごいハイテクな製品というよりは黒いハスの花みたいなところでシンプルなものになっているので、そういう入り方が面白いなと思って、取り上げられたらと思います。
というところで、どういった会社かというところをお話ししていきたいんですが、この会社ですが、プリンストン大学の研究を基盤としていて、既存のリチウムを取る時の、塩水を蒸発させる池の生産の効率を向上させるような浮体型デバイスとかAIソフトウェア、さらには、そことは対象は別として次世代の直接抽出技術、DLEと呼ばれるものを提供するようなテック企業になっているというところです。
では、最初に彼らのビジョンとWhy Nowというところについてお話できたらと思います。そもそも背景としてですね、世界のリチウム需要というのが2040年までに3倍以上に大きくなるという風に言われていますが、なかなか供給側がそれに追いついていないというような状況になっています。というところでリチウムのお話になるんですが、背景として現在の世界のリチウムの40%はですね、南米にある塩水、ブラインと呼んでいたんですが、それから生産されていますと。で、それをどうやってリチウムを取ってるかと言うと、地下の塩水を汲み上げてですね、大きな蒸発池、写真とかで見るとめちゃくちゃ広い田んぼみたいな感じなんですけど、そこに流し込んで太陽光によって蒸発させてリチウム濃度を高める、塩を取るみたいなところで、本当に塩を取る塩田というところだそうですけど、取ってリチウム濃度を高めていくという方法が一般的だそうですと。
ただこの方法、かなり課題が多くありますと。まず蒸発による濃縮なんですが、これが18ヶ月以上の時間がかかる場合もあるそうでして、時間のかかるプロセスになっていますと。それから回収率も高いとは言えないような状況だそうでして、一部の回収率が30%から50%程度とされるケースもあるそうですと。で、こういう風に効率が低いとか時間がかかるというところがですね、急増するようなリチウム需要に対しても供給能力の制約要因となってしまっているそうですと。で、この方法自体が30年ぐらい前から変わらないような同じようなやり方で行われているというところになっているそうですと。
で、この背景に対してこのPCMがですね、既存のインフラを壊して新しいプラントを建てるというのではなくて、そこのインフラにドロップインして改善するというアプローチを取っている会社になっています。
ちなみにこの蒸発の池っていうのはどれぐらいの大きさのところなんですか?
ものすごい広い、1つ20平方kmとかだったかな。ちょっと自信ないんですけども、すごく大きな土地が必要になるらしくて、一説によると、マンハッタンの半分ぐらいという風にも説明もされていて、それぐらいの非常に広い土地が必要になってくるというところだそうですと。プラス自然で蒸発するところに任せるので、リチウムを取って生産開始するまでにめちゃくちゃ時間がかかってしまうし、環境への影響も大きいので、なかなか簡単に拡張できないっていうところもあるそうですと。そうですね。環境の破壊というところで環境アセスメントとか許認可の取得っていうところにも数年単位で時間がかかってしまうので、簡単に広げられないと。ですので、既存施設の能力を高めるというところが結構即効性のある解決策になっているそうです。
というところで、かなり話しちゃったんですけれども、顧客の抱える課題について次にお話ししたいと思いますと。ターゲットがですね、チリのSQMというような巨大な塩湖を持つプレイヤーでしたり、アメリカ国内の新規資源を狙うようなプレイヤーとなっていますと。で、彼らが抱えている課題が3点ありますと。さっき話した内容も重なるんですが、1点目がですね、時間と空間というところです。蒸発池が20平方kmぐらいというところ、とっても大きいというところと、蒸発するのに1年から18ヶ月かかってしまうというようなところになっています。
2点目が濃度になります。アメリカ国内のですね、地下水であったり、石油採掘時に伴うような水にはリチウムが含まれているそうなんですが、これは濃度が低すぎて従来の池で蒸発する方法だと採算が合わないそうらしくて、コストが見合わなくて放置されてきたっていうような状況だそうですと。
3点目がデータの欠如になります。池で蒸発させる方法については、すごい広大な池なんですが、これを人間がですね、手動でサンプリングしているそうでして、なので、いつ蒸発をやめるであるとかの判断が遅れてしまって、せっかくリチウムが取れてても途中で失われてしまったりするようなロスも発生しているそうですと。なので、サンプリングしてそこから結果が出るまでのタイムラグが原因で最適なポンプの操作ができなくなってしまっている、そういう状況だそうですというのが、まず課題としてありますと。
一方で、じゃあそれに対して代替手段があるんじゃないかという話でありますと。で、リチウムの採取の新しい技術として注目されてるのが、ダイレクトリチウムエクストラクション、DLEと呼ばれるようなものになっています。これが蒸発させて取るっていうプロセスを除いてですね、塩水に含まれているリチウムを直接分離回収するための技術の総称になっているそうですと。ただ、このDLEのですね、既存の技術での新しいプラントを作るには巨額の投資が必要でしたり、たくさんの淡水であったり化学薬品を使うような、また別の環境課題を抱えてしまっているというような状況だそうです。
さっき手動サンプリングみたいな話がありましたが、この手動サンプリングによる遅れ、タイムラグというものは、具体的にどういうものなんでしょうか?
そうですね。私もちょっと多分その考えのやり方をちゃんと理解してはいると思うんですが、濃度がちょうどいいタイミングで次の池に水を移すっていうことをするらしくて、それがちょうどいいタイミングじゃないと、不純物が混ざってしまったり、リチウムがそこに溜まってしまって、その結果次の池に移らなくてロスしてしまうっていうような状況が発生しているそうです。あとは背景情報になるんですが、アメリカがですね、世界の1%以下のリチウムしか採掘と処理していないらしいんですが、消費量としてはすごく大きくなっているので、国内資源を活用していこうっていうところについては、国家安全保障上も重要な課題となっているというような状況だそうですと。
で、じゃあこういった課題に対してPCMがどういうソリューションを提供しているかです。彼らは大きく3つ提供しています。まず1つ目がLilypadと呼ばれるものになります。これは割と仕組みというか内容はシンプルなものでして、池の水をめっちゃ早く蒸発させるというようなものになっています。サイトを見たら載ってるんですけど、本当にハスの葉っぱのようなものが池中にむちゃくちゃたくさん浮いておりまして、本当にハスの葉っぱみたいだなと思ったんですけど、黒い円盤状のモジュールを池にたくさん浮かべることで、それが黒いので太陽光がすごい集まって96%ぐらいを熱に変換して、太陽エネルギーを水面に集中させて、めちゃくちゃ蒸発させるっていうことらしいですと。で、SQMとの実験だと蒸発率を40%から122%向上させることに成功したということだそうですと。
2つ目のプロダクトがですね、SmartPondと呼ばれるものですと。これが、センサーとかドローンの測量、それからAIの予測を組み合わせたようなソフトウェアになっていて、ここで需要化先までの最適なポンプ運用を指示するそうです。
3点目のソリューションがE-LiTEというものになります。LilypadとSmartPondは既存のチリとかの塩湖を運用する会社さん向けだったんですけど、E-LiTEは少し変わっていて、これはどちらかというと低濃度の塩水からリチウムを回収するようなものになっています。これがどういったものかと言うと、植物の毛細管現象、水を吸うっていうような現象に着想を得たような特殊な繊維を使って、薬品を使わずに濃度の低いリチウムの入った水から90%以上のリチウムを回収するような技術になっているそうです。これが先ほどお話ししたDLEというところに当たっているそうですが、既存の技術と違って吸着剤とか薬を使わないようなシステムになっているというところで、水であったり多くの化学薬品を使わないっていう内容になっているそうです。
この3つは別々に売ってるものなのか、それともセットで販売してるのかで言うとどっちなんでしょう?
そうですね。LilypadとSmartPondについては既存の池向けに販売するものなので、セットでシナジーが生まれるものだと思いますと。ただE-LiTEについては、将来的には池を使わないような低濃度の資源を持つ方向けに提供されるものとして位置づけられているそうです。
ところで、では彼らがですね、狙っているような市場規模についてお話ししますと。最終的なTAM、これめちゃくちゃ大きいんですけど、最終的には4.4兆規模に成長すると予測されているようなグローバルな電動モビリティ市場全体になっています。で、SAMとしては世界のリチウム抽出市場に当たりますと。現在世界のリチウムの40%がこの蒸発池系由来で作られていて、すごく大きな量となっています。で、SOMとしてはまずは既存の南米の塩湖を狙っていって、次にアメリカ国内の低濃度の塩水であったり、石油を取る時に出てくるような水の市場を狙っていこうという風に考えているそうですと。
で、この市場の成長ドライバーとしては、アメリカのインフレ抑制法などによるサプライチェーンの国内回帰の圧力であったり、水資源の制約、水資源保護であったりとか、環境規制の厳格化というところが追い風になっているというような背景があるそうです。
TAMはさすがにちょっと大きすぎるなとは思ったんですが、このPCMが実際に取れるSOMはどうなんでしょうね。
そうですね。TAMはちょっと大きすぎるなというのは思っているんですが、SOMとしては額が実際に出ているというところではないんですが、世界のリチウム生産の40%を占める既存の市場の設備の投資とか設備の効率化の予算というところがターゲットになってくるかなと思います。
では、彼らのビジネスモデルについてです。これは物によって売り方が違いますよというところになっています。そう組み合わせてるのは少し面白いポイントだなと思っています。彼らのビジネスモデルですが、導入障壁の低さというところと継続的な収益性というのを組み合わせているという風に説明できるかと思います。まずLilypadについては置くだけのものなんですね。なので設備を販売するというところですと。なので、ここで買いやすいというところで初期投資のハードルを下げて入り込んでいきますと。次にSmartPond、これがSaaSの売り方になっていて、ここを導入してもらって年間の利用料を取りながら、AI予測によって顧客を自社のエコシステムにロックインしていきたいところですと。将来的にはE-LiTEにつながるかはちょっとまた別かもしれないんですけど、E-LiTEについては特殊な繊維を使っているので、その繊維とかを継続的に販売するような、消耗品を販売していくようなモデルになっているということのようですと。
Lilypadは単純な仕組みっぽくはありますが、壊れたり劣化したりはしないんですかね?
そうなんですよね。すごく濃度の高い塩水に浮かんでいるので、非常に塩害を受けやすいところには位置してるというところですと。Lilypad自体は防汚コーティング、汚れにくくなるようなコーティング自体はされているそうです。ただ塩水とか強い日差しにもさらされるので、定期的な清掃であったりメンテナンス、交換というのはおそらく必要になってくるかと思うので、情報からはきちっと確認できてないんですけど、そこも保守サービスとしては収益にはなり得るかなと思います。
では彼らのストラテジーについてです。彼らの長期的な理想像ですが、世界の塩水工業の標準OSを狙いたいというところみたいでして、全ての蒸発池と低濃度の塩水がPCMのネットワークで管理されるようなところを狙っていきたいという風に考えているそうですと。で、内製・外部化の方針としては、特殊なコーティング技術であったりAIモデルといったようなコア技術は自社で抱えていって、一方で大規模な実証フィールドであったり、日々の現場のオペレーションといったものについては、パートナーのリソースを活用しているということみたいです。戦略としては一言で言えないところではあるんですけれども、既存のインフラを拡張する、ドロップインで広げていくというところと、SaaSを統合していくというところを取っていますと。なので新しくプラントを建てるのではなくて、既存の資産に後付けするような形で入ろうという風にしているところになります。
他の巨大企業とかが同じようなものを作ってしまうようなリスクはあるんですかね?
それはありますよね。あるだろうなとは思っていて。一応多分彼らとしては、浮き輪とかハード自体は作れても、その表面のコーティングであったり全体最適化するようなAIのソフトウェアっていうのは、巨大企業にとってはちょっと専門外なのでモートになるんじゃないかという風に読んでるんじゃないかなとは思います。ただ自社でもできるんじゃないかっていうリスクはあるとは思います。
では、彼らのロードマップについてです。彼らですね、フェーズ1としては、PMF実証というところで、まずLilypadで既存の蒸発池を改善して実績と信頼を作るというところをやっていますと。次にフェーズ2として、SmartPondを導入してデジタル化を推進していきたいと。最後にフェーズ3として、難易度が高いけれども市場も大きいような、アメリカ国内の低濃度の塩水であったり、石油ガスに付随するような水の市場への参入を考えているということみたいですと。なので、最終的にはですね、多分E-LiTEをやっていきたいんですが、その手前としてLilypadという分かりやすいような製品で顧客のネットワークと収益を得ていくっていうような風なモデルに考えられるかと思います。
フェーズ1のLilypadがもし売れなかった場合は、このロードマップ自体崩壊するっていうわけではないんですよね、多分。
そうですね。資金計画自体は厳しくなるとは思いますと。ただLilypadとE-LiTEについては技術的な原理が異なってくるので、技術的には可能だとは思います。ただそこまで至るまでに生き残れるかであったり、どういう風な資金でやりくりしていくかっていうところは難しくなってくるかなとは思います。ただですね、すでに彼らはSQMなどから110万ドルの購入の注文っていうのは確保しているというところなので、Lilypadが全く売れないわけではなさそうというような状況かなとは思います。
では、彼らの、ソリューションじゃないですね、すいません。モートとコンペティションについてですと。ポジショニングとしては、物理的、つまり低エネルギーであるか、化学的な高エネルギーであるかというところと、既存インフラ活用と新規インフラ活用の2軸で比較すると、彼らは低エネルギーで既存インフラを活用するようなポジションに位置していますと。で、競合としてはLilac Solutionsさんというような直接リチウム抽出の企業もあるそうなんですが、そういった会社さんは巨大な新規プラントを建てて大量の淡水であったり化学薬品を使うような化学アプローチを取っているということのようですと。
で、彼らの差別化要素としては、化学薬品を使わないであるとか、工期が短い、Lilypadは置くだけなのでっていうところとか、回収率が高い、エネルギーとか、データ駆動で運用できるっていったような点がありますが、これらがなぜ重要かというところについては、顧客会社にとって最大の関心ごとが、いかに早く安くリスクなく生産量を上げるかというところに関わっていて、PCMのアプローチがこういったところに刺さるような内容になっているということかと思います。
他のDLEの企業、Lilacとかって、なんでこのコストのかかる化学的なアプローチを取ってるんでしょう?
それがですね、抽出スピードが圧倒的に早いそうなんですね。先ほど蒸発に12から18ヶ月かかるという風にお話ししたんですが、そういった時間がかかる蒸発がですね、数時間から数日に短縮できるというような技術だそうでして、そういった背景があってこれまで投資が集まっていたというような状況みたいです。
では彼らのGo-to-Market戦略についてですと。MVPの設定がちょっと面白いというところなんですが、最初から複雑なシステムを売るのではなくて、既存の設備に浮かべるだけのLilypadがMVPに当たるかなと思いますと。チリの巨大な企業のSQMに対して、土地の拡張許可を得ずに今すぐ生産量を上げられるというようなメッセージを打ち出していってターゲットとしていったという形ですと。で、彼らがトラクションを作る時にはですね、プリンストン大学発というようなアカデミアの信頼と、NSFのI-Corpsプログラムなども通じて政府の支援を受けてっていうところの信頼をバックにですね、巨大企業への直接営業というところが成功していったと考えられます。で、そういったLilypadを使ってですね、実際にMVPを試してみて、実際に蒸発率が40%から122%上がるというような定量的な結果も出て、ここがですね、実際の購入の注文につながっていったということだそうです。
最初の顧客としてSQMなんてところにアプローチできてるってすごいなと思ったんですが、これってどうやったんでしょうね。
そうなんですよね。直接的な記載はないですと。ただ、大学の研究室から産学連携とかでコネクションがあったということもあるそうでして、あとは技術的な面白さというところ、新規性というところで、SQMのオープンイノベーション部門の目には止まったのかもしれないとは思います。あとは創業者のジェンさんとかもNSFのI-Corpsプログラムを通じてヒアリングを行っていったそうなので、そういったところも背景にはあったかもしれないと思います。
というところで、チームについてですと。元々経緯としてはですね、プリンストン大学のジェイソン・レン教授の基礎研究をですね、当時ポスドクであったジェン博士が組んでですね、事業化をリードしていったということみたいですと。研究をそのまま事業化するのではなくて、NSFのI-Corpsというようなプログラムを通じてですね、市場のペインをヒアリングしていってビジネスの文脈に落とし込んでいったということのようですと。で、その後、水処理であったりインフラ運用の業界で長い経験を持つようなベテランの経営者のアンジェラ・ファスナハト氏がCEOとして参画して体制を組んでいったということのようです。あとはプリンストンのですね、スタートアップ・アントレプレナー・フェローズプログラムなども活用されたそうでして、そういったものも活用してビジネスに研究をつなげていったということみたいです。
CEOの方がすごそうですね。どんな感じで貢献してくれた?
そうですね。アメリカのですね、水インフラ企業での役員経験がある方だったそうですと。大規模なプラントの運用であるとか、スケールアップとか大企業との交渉のノウハウというのも持つような方でしたので、そこからビジネスの成功につながっていきやすいっていうような状況ができたのかなと思います。
では、彼らのラーニングについてです。そうですね。うん。〜したというよりはラーニングしたという話なのかなと個人的には思っているんですが、初期の壁としては、研究室での数mgで取れましたよっていう成功を、実際の鉱山では毎日何トンも処理しなきゃいけないというところで結構壁がありますというところですが、なので、そういったラボですごく優れたような技術があったんですが、それがそのまま売れるわけではないというところで、顧客が導入できるような堅牢性を持たなければいけないというところがありましたと。
で、HAX、アメリカのハードウェアアクセラレーターのHAXの支援を受けてですね、彼らが結構泥臭くプロトタイピングをしていったそうですと。おもちゃの玉とかダクトテープを使ってですね、地下のプールでLilypadのプロトタイプを浮かべたみたいなことがあるらしくて、それで素早くイテレーションを回していったというようなことがあるそうですと。で、ここからプロトタイプを作って実証実験につなげていったということのようです。
やっぱ大学の研究室だとスケールアップは難しいんですね。
そうですね。ラボがですね、スタートアップの成長に合わせたような設備がない。排気の設備であったり、電気のインフラがないというか、拡張性が低いっていうところがあったので、実験施設として産業グレードレベルのものが必要になってきたということみたいです。あとは、創業者のジェンさんは、実際に深圳に赴いてですね、HAXの現地チームと協力して、製造であったりサプライチェーンの構築を行っていって、それによってLilypadをプロトタイプから実際の製品に進化させていったってことのようです。
では彼らのリソースについてですと。2026年の8月に発表されたような1600万ドルの資金パッケージだと、シリーズAでの1100万ドルと500万ドルのグラントで構成されているそうですと。なので、ディープテックによくあるものですが、グラントも大きく活用しつつ資金を集めているということですと。で、この資金を使って、アメリカ国内での製造能力の拡充であるとか、南米での商用導入をより加速させるとか、あとエンジニアの人材の採用を行うようなフェーズに入っているという状況です。
政府は結構助成金も出してるんですね。あ、取ってるんですね。
そうですね。500万ドルの助成金を取っていますが、これが背景としては、リチウムの国内サプライチェーンの構築というところに寄与しているからということみたいです。冒頭で申し上げたように、リチウムの国内サプライチェーンっていうのがアメリカの国家安全保障に直結しているというところで注目されているみたいでして、特に低濃度の塩水からリチウムを回収できるような技術が評価されているようです。
で、最後に、じゃあ日本に応用するとしたらどういった可能性があるかというところを、AIにも考えていただきました。日本だと南米みたいなリチウムはないですし、土地の制約も厳しいですし、環境規制も強くなっているので、そのまま技術を使うというところは難しいかなとは思います。ただ、なので、省スペースとか、薬を使わないような物理的に抽出するような技術が生きる余地があるんじゃないかと整理されていますと。そういったところで案Aとしては、地熱や温泉であったりからの熱水からですね、小規模分散型でリチウムを抽出するようなモデルになっています。案Bとしては排水からのサーキュラーエコノミーとして、国内の製造業とかバッテリーリサイクル工場の廃液から特定のミネラルを選択的に回収するようなエコシステムを作るというところです。Cとしては、技術輸出型プラットフォームとありますが、SmartPondのAI監視ソフトウェアと日本のセンサーを組み合わせて、世界の鉱山にソリューションとして輸出するのはどうだろうかという風に提案しています。
温泉水とか地熱の水とかからリチウムが取れるんですね。取れるというか採算が合うんですかね?
そうですね。アメリカのお話と同様で、これまでは濃度が低すぎて採算が取れないというような状況だったそうですと。ただこれがE-LiTEのように、エネルギーもあまり使わないし回収率も高いっていうような技術があると、また状況が変わってくる可能性があるということみたいです。
というところで最後にまとめですと。まず1点目ですが、既存の巨大な産業を外から破壊してリプレイスするのではなくて、後付けのドロップインですぐ価値を出すアプローチの賢さという点になります。2点目が、段階的にロックインを狙っていくというところでして、いきなりプラットフォームを売るのではなくて、まずは分かりやすいハードウェアで入っていって、データで顧客をロックしていく。そして最終的には次世代のインフラとかE-LiTEに拡張していきたいというようなロードマップの設計になります。3点目が、グラントも組み合わせて、希薄化しない資金も使いつつ、スケールの課題を克服していくという戦略になっていますというところで、考えるヒントとして、皆さんが持たれている技術について、既存のインフラに改造せずに追加できる形態というところを考えてみると面白いんじゃないかという風に締めたいと思います。
というところで、今日はPrinceton Critical Mineralsをご紹介しましたが、どうでしたでしょうか?
そうですね、最初Lilypadから入って最後E-LiTEっていう、この非連続なものを段階的にやっていこうとしているのが結構珍しいなみたいな感じですね。
そうですね。やり方がちょっと今までお話ししてきたところとは違うので面白いなとは思いますね。ですし、そこでちゃんと顧客を得てるっていうのもすごいことだなとは思います。
というところで今日はこちらで終了となります。FoundX Review Startup IdeaCastですが、今後も皆さんのアイデアのために最新のスタートアップをご紹介していきたいと思いますので、ご興味のある方は是非チャンネル登録や高評価をお願いいたします。またFoundXの各種プログラムでもですね、応募者の方を募集していますので、是非周りに起業を考えてる方がいらっしゃったら、FoundXをご紹介いただけたら嬉しいです。では、また次回よろしくお願いいたします。ありがとうございました。ありがとうございました。
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