電力ではなく「熱」を蓄える:Tempo(旧RedoxBlox)の熱化学バッテリーは産業熱の脱炭素をどう進めるのか

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概要

FoundX Review Startup IdeaCastの今回の回は、産業用の高温熱を脱炭素化しようとする米国のエネルギー・スタートアップ、Tempo(旧RedoxBlox)を取り上げる。番組は、海外スタートアップの情報をAIで整理・分析して紹介する形式で、冒頭で「一部の情報が古い、あるいは誤っている可能性があるため、事実を重視する場合は自分で確認してほしい」という免責が述べられている。解説役は、産業の熱利用についてほとんど知らなかったことが選んだ理由だと話す。産業の熱はエネルギー消費量が大きいとされる一方、伝統的な領域で変化が進んでいないように見えたため、その重要性と技術を確認したかったという。

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本編に入る前の雑談では、起業家がなぜピボットしにくいのかを扱った論文が紹介された。

雑談:アイデアを「自分そのもの」と見る人はピボットしにくい

スタートアップでは、最初のアイデアに固執せず大きく方向転換することをピボットと呼ぶ。ただ、話者は起業家を見ていて、ピボットはそう簡単には起きないと感じてきたという。Grimesの「ピボット」に関する論文は、その理由を次のように説明している。創業者にとって事業アイデアは自分と切り離されたビジネス案ではなく、自分らしさや世界の見方と結びついている。そのため、アイデアの筋が悪いと言われると、自分自身が否定されたように感じることがある。そのとき創業者は、アイデアを守るか、ビジョンは守りつつ具体的なビジネスアイデアを変えるか、アイデアを手放すかという心の整理を行うのだという。

この論文を引用した別の研究(Angusらによる、批判的フィードバックに誰がどう反応するかを扱った論文)は、パーソナリティの観点から実験を行った。100人ほどの大学生に新製品のアイデアを考えてもらい、ランダムに「平均以上」「平均以下」という評価を返して、誰がアイデアを変えるかを調べたものだ。まず「平均以下」と言われた人は、全体としてピボットしやすくなった。これは予想どおりだと話者は言う。興味深いのは、批判を受けた人の反応がパーソナリティによって異なった点である。自分の行動を観察・理解して動いている人や、物事を前向きに捉え直す力が強い人は、批判されても意外とピボットしなかった。話者は、自分のこれまでの行動に納得しているため、一度批判されても「これで大丈夫」と考えるのではないかと推測している。一方、課題を解くことへのモチベーション(タスクモチベーション)が高い人は、成果を出す意識が強いため、批判されるとピボットしやすかったという。

話者はここから、アイデアをアイデンティティと結びつけている人は変えにくく、目的を達成するための仮説と捉えている人は成果の観点から変えやすいのだろうと解釈した。支援する側としては「ピボットした方がいい」と伝えることはほとんどなく、何を実現したいのかを整理したうえで、そのために何を変え、何を残すかを一緒に考えることが大切なのではないか、と話を締めた。聞き手は「前向きに考え直す人の方がピボットしづらい」という結果を、言われてみれば確かにそうだと受け止めた。論文紹介のコーナーを作ってはどうかという話も出たが、毎週は難しいとしつつ、AIを使えば重要な論文の音声化などはできるかもしれない、という話になった。

Tempoの全体像:天然ガスの熱を熱化学バッテリーで置き換える

Tempoは、産業に必要な高温の熱を、現在の主な熱源である天然ガスの燃焼に代えて供給しようとする企業だ。マグネシウム・マンガン酸化物を使った熱化学バッテリーを開発し、提供している。

社名はもともとRedoxBloxだった。Redoxは酸化還元の略称で、Bloxは「ブロック(積み木)」を格好よく綴ったもの。つまり「酸化還元の積み木」を意味し、技術的に何をしているかは分かりやすい名前だった。しかし商業的にスケールしていく段階では、反応の仕組みを示す名前では顧客に伝わりにくい。そこで、顧客にとっての価値から社名を考え直したという。工場の連続操業のペースを守り、熱を安定して届け、燃料費を下げる、信頼できるビジネスパートナーであることを示すため、Temperature(温度)やタイムシフティングのT、Pace(ペース)のPなどを組み合わせて「Tempo」にしたと紹介された。聞き手はSEOの面で大変そうだと指摘し、解説役も「Tempo」で検索しても出てこず、RedoxBloxの方が明らかに上位に出ると認めた。リブランディングの一環ではあるが、どうするのだろうとも話している。

事業の構造はシンプルだ。太陽光や風力などの再生可能エネルギーは出力にムラがあり、導入が増えすぎると日中の電力価格が非常に安くなる。ただ同然、あるいはマイナス価格になる時間帯も増えている。Tempoはその時間帯に電気を買って熱化学バッテリーを充電し、熱として取り出す。一方、重工業の工場は24時間365日、途切れなく高温の熱を必要とする。発電のムラと常時の熱需要の間のギャップを埋めることがTempoの役割だと説明された。

なぜリチウムイオン電池ではないのか

よく出る疑問として、リチウムイオン電池では駄目なのかという問いが挙げられた。解説役の答えは、コストが高すぎるという点に尽きる。工場が必要としているのは電気ではなく高温の熱であり、リチウムイオン電池に電気を貯めてから熱に変えるのは割高になる。

特に初期コストの差が大きいという。リチウムイオン電池はリチウムやコバルトなど高価な金属を多く使うため、容量あたりのコストが1kWhあたり600〜1000ユーロ程度になる。これに対し、Tempoのような蓄熱・熱化学システムはマグネシウムやマンガンなど豊富な素材を使うため、蓄熱のコストは1kWhあたり20〜80ユーロ程度になるとされる。数分の一以下のコストになり、設備投資額が大きく変わるというのが主な理由だと紹介された。

顧客の課題:連続して高温の熱を使う重工業

ターゲット顧客は、セメント、金属、化学、食品など連続稼働のプロセスを持ち、100〜1200℃の熱を連続的に必要とする重工業の企業だ。米国では産業熱の約95%がいまだ化石燃料、特に天然ガスに依存しているという。既存の代替策には電気ボイラーやリチウムイオン電池があるが、電気ボイラーは電気代の高い夕方や夜にも動かすとコストがかさむ。リチウムイオン電池は高温の熱をそのまま出せず、設備コストも高い。電気を単に熱に変えるだけでは、コスト面で厳しいとされた。

聞き手は、工場側に脱炭素のニーズはどの程度あるのかと尋ねた。解説役によれば、工場はまだそれほど焦っていないようで、安くて安定しているなら天然ガスのままでいい、というのがおそらく本音だという。そのためTempoは脱炭素だけでなく、コスト削減と、燃料価格の変動に対するヘッジを売りにしている。

必要な温度帯は業種によって異なる。セメントでは800〜1500℃の高熱が必要で、石灰石から二酸化炭素を追い出す焼成(カルシネーション)工程などで使われる。金属産業では200℃から1000℃以上、製錬では1500℃を超える温度が必要になる。化学産業は100〜900℃と幅が広く、蒸留・精製、熱分解、乾燥、合成や触媒反応のための熱として使われる。食品は他より低い100〜300℃で、牛乳の殺菌、食品の乾燥、揚げ物などに使われるという。

解決策:マグネシウム・マンガン酸化物の熱化学バッテリー

Tempoが提供するのは熱化学バッテリーである。解説役は、詳細はおそらく企業秘密で、調べてもあまり出てこなかったと前置きしたうえで、公開情報から分かる範囲の仕組みを説明した。材料は、地球上に豊富にあり安全なマグネシウム・マンガン酸化物だ。充電時には電気で材料を加熱し、酸素を放出させて化学エネルギーとして蓄える。放電時には空気を吹き込み、材料が酸素を吸収して酸化する。その反応熱で100〜1200℃に加熱された空気が生まれ、それをそのまま工場に送る。4時間で充電し、24時間連続で熱を出せるとされる。化学式自体はシンプルだが、実際はもっと複雑だろうと解説役は付け加えた。実績としては、UC San DiegoやDow Chemicalなどと実証を進めているという。

聞き手は、電気と化学反応を繰り返すと劣化しそうだと疑問を投げた。解説役もまさにそこが肝だろうとしつつ、詳しい情報は見つからなかったと答えた。そのうえで、研究の過程で、多数のサイクルを回しても劣化が見られない素材を発見したことが強みだと紹介した。特徴的な性質として、この材料は「電気を通すセラミック」だという。一般に皿やレンガなどのセラミックは絶縁体だが、この材料は600℃以上になると電気を通すようになる。こうした性質が劣化しにくさと関係しているのかもしれないが、技術的な細部は分からない、と解説役は留保している。

市場:大きいのに見過ごされてきた産業熱

解説役によれば、この市場はEVやデータセンターより大きいとも言われる。世界の最終エネルギー消費の約半分は熱で、その多くを重工業が占める。産業用熱を完全に電化する市場のTAMは約6兆と言われているという。一方、気候テックへの投資は電力やEVに偏っており、産業熱セクターにはあまり投資が向かってこなかった。市場の成長要因としては、再生可能エネルギーの増加によって電力が安く供給される時間帯が出てきたことと、炭素規制の強化や企業に対するスコープ1排出削減の圧力が挙げられた。

聞き手の「市場は大きいのに見過ごされがちだ」という指摘に対し、解説役はAIに理由を尋ねた経緯を話した。最初の答えは「地味だから」だった。さらに聞くと、ソフトウェアやEVのような派手さがないことに加えて、産業顧客が保守的で生産ラインの変更を嫌うため入り込みにくいこと、天然ガスが安すぎて対抗しづらいこと、立ち上げに大きな投資が必要なのにリスクマネーが投じられにくいことが挙がった。こうした背景から、この分野のディープテックは発展しにくかったという。大企業は既存ボイラーの効率化に注力しがちで、新技術の開発はカニバリゼーションにつながる。そのため熱化学のような技術を統合していく部分では、スタートアップの機動力が強みになるのではないか、と解説役は見ている。

ビジネスモデル:機器販売、保守、熱の従量課金

収益モデルはまだ確定していない。想定されているのは、ハードウェア機器の販売、長期的な保守契約、熱そのものを従量課金で売る仕組みである。プロダクトを売ること自体は決まっているが、保守的な顧客を相手に導入を進めることや、国・地域ごとの法規制に対応することを踏まえ、どの売り方が最適かを今まさに検証している段階だという。

最大の強みは、1kWhあたりのコストの低さとされる。リチウムイオン電池より断然低く、将来的には天然ガスを買うより、安い余剰電力と高密度な自社製品を組み合わせた方が安くなることを目指している。ただし解説役は、この点は現時点では不透明だと付け加えた。製造コストについては、材料がレアメタルではなくマグネシウムとマンガンなので、量産効果が効けば下がるとされている。

ハードウェア販売と熱の販売のどちらが主流になるかについては、初期は工場側が初期投資のリスクを避けるために熱を買う形を好む傾向があり、競合のRondo Energyもこのモデルを採っているという。将来的には変わる可能性もある、と解説役は述べた。

戦略:コンテナ化、ファブレス製造、ドロップイン

Tempoはハードウェア企業だが、プロジェクトごとに特注品を作るのではなく、標準化されたコンテナサイズの製品を軸に展開する。巨大な自社工場は建てず、契約製造会社と組むファブレス方式で製造することを考えているという。

もう一つの大きな特徴がドロップイン設計だ。工場の既存設備を全面的に入れ替えるのではなく、今ある天然ガスの配管に接続するだけで使えるようにしている。導入手順としては、既存の天然ガスバーナーを炉の接続部から取り外し、その位置にTempoから伸びる加熱空気のパイプを取り付けるという。加熱される炉の側から見れば、ガスを燃やした熱風が入ってもTempoからの熱風が入っても物理的には同じなので、工場は生産ラインや配管を改造する必要がない、という説明である。解説役自身は、実際にどうなるのだろうという疑問も口にしていた。

ロードマップ:大学研究から量産、欧州展開へ

ロードマップは、技術を開発して広げていく典型的な形だと紹介された。フェーズ1は大学での基礎研究から始まり、DOE(米エネルギー省)などの助成金を使ったパイロット実証。現在はフェーズ2の量産体制確立の段階にあり、Tempoへのリブランディングとともにサンディエゴに新本社を構え、量産体制に入った。フェーズ3は海外展開で、オーストリアとスペインに拠点を構え、天然ガスが高く規制も厳しい欧州を主戦場にしようとしている。

米国企業がなぜ欧州を狙うのかという問いには、ロシアからのガス供給問題などで欧州の天然ガス価格が高騰しやすく、炭素規制も厳しいため、Tempoの経済合理性が響きやすいからだと説明された。

競合:Rondo Energy、Antora Energyとの違い

直接の競合として挙げられたのは、レンガを加熱して蓄熱するRondo Energyと、炭素ブロックを使うAntora Energyである。提供できる最高温度などは各社で異なるが、Tempoの優位性は、単なる顕熱の蓄熱ではなく化学反応も利用するためエネルギー密度が高いことだとされる。また、1200℃の加熱空気を直接出せるので、既存のガスバーナーの配管につなぎやすく、ドロップイン性が高いという。そして最大の競合は、実は「天然ガスを使い続けること」であり、これに勝つために価格を下げ続けようとしている。

聞き手は、Rondo Energyの方が技術的にシンプルで良さそうに見えると指摘した。解説役もRondoの方が実際に先行しており、技術も非常にシンプルだと認めた。そのうえでTempoは、高密度でよりコンパクトに設置できる点と、空気で熱を運べる点で逆転を狙っているようだと述べた。

参入戦略:天然ガス設備を残すハイブリッド運用

参入先のターゲットは、食品、飲料、化学など、熱を連続して使う工場である。工場全体を電化したり既存の天然ガス設備を廃棄したりするのではなく、天然ガスの燃焼器をバックアップとして残すハイブリッド運用を提案して入っていったという。Tempoのシステムを主熱源としてバイパスで接続し、Tempoが止まったときや電気が高いときにはガスバーナーに切り替える。これによって「ラインが止まったらどうするのか」という工場側の不安を解消している。

顧客の導入の決め手になる数字としては、初期投資を何年で回収できるかと、熱の製造単価(1kWhあたりのドル)が挙げられた。補助金なしでもガスより安くなるという見通しを示せることが決め手になるだろう、と解説役は述べた。

起業の経緯:大学研究、DOEグラント、偶然の発見

起業のプロセスは比較的ストレートだと紹介された。出発点はミシガン州立大学の研究室でのブレイクスルーで、そこからいきなりVCの資金を入れるのではなく、DOEなどのグラントを使って技術リスクを潰していった。技術が証明された段階でプロの経営者を招き、経営とスケールの基盤を固めたという。

研究の源流は2000年代後半にさかのぼる。ジェームズ・クラウスナー教授は、太陽の熱で水や二酸化炭素を分解し、燃料となる合成ガスを作る技術に取り組んでいた。そのためには1000〜1500℃の高温で酸素を吸ったり吐いたりできる、酸化還元材料が必要だった。しかし当時研究されていた材料は1000℃を超えると粒子同士がくっついて塊になってしまい、何サイクルも回すことができなかった。そうしたなか、フロリダ大学でクラウスナー教授のもとにいた博士課程の研究者が、マグネシウムとマンガンを組み合わせると固まらないことを見つけた。これを蓄熱バッテリーに使えばよいと考えたところ、ちょうどARPA-Eに長期エネルギー貯蔵のグラントがあり、そこに応募して研究が発展していったという。

聞き手は偶然が重なってうまくいった印象だと述べた。解説役は、実際にはもっといろいろあったはずで、後からストーリーだけ描くと綺麗になるとしつつ、グラントの存在が燃料製造から蓄熱バッテリーへの転換のきっかけになった点で、方向付けに効いたのだろうと見ている。さらにクラウスナー教授はARPA-Eでプログラムディレクターを務めた経験があり、公的資金の獲得や実証のプロセスに詳しかったことも有利に働いたのではないかという。聞き手が冗談めかして「ずるい」と言うと、解説役は、詳しい人がいると物事が早く進むので、エコシステムごと作っていく必要があると改めて感じると応じた。

初期の学び:環境価値から経済合理性への転換

創業チームは当初、CO2をどれだけ削減できるかという環境価値を前面に押し出していた。しかし実際の顧客である工場の責任者からは、環境のためにコストが上がるのでは取締役会で許されない、という反応が返ってきたという。そこでメッセージを転換し、CO2削減はあくまで副産物と位置づけ、天然ガスより安いエネルギーであることと、操業を止めずにドロップインで導入できることを売り文句にしていった。

聞き手が経済性重視は求められているのかと尋ねると、解説役は、これまで番組で紹介してきた企業でも同様だったと答えた。金利が上がって資金調達が厳しくなってからは、「環境に良いから高くても買う」というグリーンプレミアムに依存するモデルは投資家から敬遠されやすく、経済性が重視されるようになっているという。現CEOのRomano氏もインタビューで、脱炭素は経済的な妥協なしに実現されなければならないと明言しており、それがTempoの目指す世界なのだろうと解説役は述べた。

資金調達:4000万ドル超は量産に足りるのか

資金面では、シード期にBreakthrough Energy Venturesが入り、シリーズAでは総額4000万ドル超を調達した。気候テックやディープテックの目利きとしてトップクラスのKhosla Venturesが入っている点も特徴だという。加えて、DOEなどから累計1560万ドル以上のグラントを得ており、サンディエゴの新しいR&D施設でギガワット時級の量産に向けた準備に入っているとされる。

ハードウェアの量産に4000万ドルで十分なのかという問いに対し、解説役は、自社工場を建てるなら全く足りないが、ファブレスで契約製造するため設備投資が小さく、必要額も小さくなっているのではないかと答えた。ただし足りるかどうかは分からないという。次の調達のタイミングについては、Dow Chemicalなどでの初期商業プラントが実際に稼働し、コスト目標が実績として示された段階で、グローバル展開の資金を集めるのではないかと予想した。

日本市場への応用アイデア

最後に、AIに日本での事業アイデアを考えさせた結果が紹介された。前提として、日本でも再生可能エネルギーが余るエリアがあり、九州、そしておそらく今後は北海道などで、太陽光発電を捨てる出力制限が深刻な問題になっている。これを踏まえてAIは3つの案を出した。

  • 案A(地産地消型):九州エリアの工場向けに、出力制限で捨てられている電力を買い取り、熱にして売る。
  • 案B:既存のボイラーメーカーなどと組み、Tempoのような蓄熱システムを後付けパッケージとして展開する。
  • 案C:日本が得意とするセラミックスや酸化物の素材技術を生かし、Tempoの1200℃を超える高温に特化した素材を開発し、鉄鋼やセメントなど別の業界で勝負する。

聞き手は案Bについて、既存のボイラーメーカーが協力してくれるのかと疑問を示した。解説役は、ボイラーメーカーも脱炭素の流れで電気ボイラーを開発しているが、電気代の高さがネックになっているため、蓄熱と組み合わせることはボイラーメーカーにとってもプラスになるかもしれないと答えた。

まとめ:ディープテックを経済合理性で売る

解説役は3点にまとめた。第一に、ディープテックを環境価値だけで売るのではなく、顧客の損益に直接効く経済合理性から入っていくこと。第二に、顧客の既存インフラを全面的に置き換えるのではなく、バックアップとして残すことで導入リスクを下げられること。第三に、公的なグラントで技術リスクを下げてから、VCの資金を入れてスケールすること。今すぐできるアクションとしては、出力制限が起きている地域や時間帯、24時間稼働の工場がないかを調べてみると、面白いビジネスの種が見つかるかもしれない、と提案した。

聞き手は、これまで紹介してきたスタートアップ、特にシリーズA・Bまで進んだ企業には、ドロップインとモジュール化がある程度共通しているのではないかと感想を述べた。解説役もこれに同意し、既存の施設に入りやすくすることと、スケールして価格を下げていくことの両面で、モジュール化とドロップインが鍵になるのだろうと話して番組を終えた。