ゴキブリは潔癖症、「1匹いたら100匹」は言いすぎ――虫プロデューサー・片田陽依さんが語る、虫が苦手な人のための虫の見方

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概要

楽待チャンネルのこの回では、MCの井上咲楽さんが「なぜ大人になると虫が触れなくなるのか」をテーマに、俳優で「虫プロデューサー」の片田陽依さんに話を聞いている。画面の外からは、虫がとても苦手だという楽待のスタッフも参加した。片田さんの立場ははっきりしている。虫が苦手な人はきっと生きづらいので、その苦手意識が少しでも軽くなれば地球が楽しい場所だと思えるようになり、生きるのが楽になるのではないか、というものだ。

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「虫プロデューサー」とは何か

片田さんは俳優として映画などに出演し、映画やドラマで流れるBGMのような劇伴音楽も手がけてきた。自身が出演していない作品の音楽を作ったこともあるという。虫プロデューサーとしては登録者数13万人のYouTubeチャンネルで虫の魅力を発信し、学会の会員として自治体などでの講演や昆虫観察会の講師も務めている。

「虫プロデューサー」という肩書きは、アイドルのプロデューサーに近いイメージで付けたと片田さんは説明する。自分はあくまで裏方であり、虫というアイドルたちを世の中に「可愛い」と思ってもらえるように売り出す、という意味だ。グループに例えると、誰が見ても可愛いカイコはセンターにあたる。カブトムシやクワガタも昆虫の世界では人気者だ。しかし片田さんが好きなのは、カメムシのように「後ろの方にいる」子たちだという。それぞれに個性や可愛らしいところがあるのに嫌われている現状があるので、その可愛さを見いだして届けたい、と話した。

地球はいわば昆虫の星で、見ても見ても見尽くせないほど種類がいる。だから地球に生まれてよかったと思うことばかりだ、と片田さんは語る。火星移住の計画が話題になっていることに井上さんが触れると、地球の昆虫が好きなので死ぬまで地球で昆虫を追いたいと答えた。ただし火星に虫がいるなら「絶対に飛んでいきます」とも付け加え、何事も「虫ベース」で考えていると笑った。

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子どもの頃は触れたのに、いつの間にか苦手になった

虫が苦手なスタッフは、片田さんの「虫が苦手だと生きづらい」という言葉にうなずいた。家の扉の前にアリに羽が生えたような小さな虫がいたとき、家に入られてしまうのではないかと思い、10分ほど動けなかった経験があるという。片田さんは、家の前に虫がいたら「ゲストが来た」と思って嬉しくなるそうで、スタッフは「早くその境地にたどり着きたい」と応じた。

このスタッフも幼稚園の頃はダンゴムシを道で拾い集めるのが好きだった。ところが、いつの間にか虫が苦手になっていた。はっきりしたきっかけには心当たりがなく、今では幼い頃の自分が理解できないという。片田さんも井上さんも、大人になってから触れなくなる人は非常に多く、大半がそうだと受け止めている。スタッフは実家暮らしで、1階にあり目の前が公園という環境のため、虫が嫌いなのに頻繁に遭遇してしまう。家族ぐるみで引っ越すわけにもいかず、困っているという。

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図鑑を枕に寝ていた幼少期と、井上さんの虫との距離感

片田さんは赤ちゃんの頃から虫が好きだったらしい。番組では1歳の頃の写真が紹介され、図鑑を枕にして寝ている姿が映っていた。この頃から図鑑や外を飛ぶ生き物に興味を持ち、図鑑を手放さない子どもだったという。それから何も変わらず今も好きで、虫を嫌いだと思ったことは一度もないそうだ。最初に惹かれた虫はおそらくチョウだという。子どもの目には、身近をひらひら飛ぶものがとても不思議に見えるうえ、模様も美しい。そこを入り口に、生態の面白さを知ってあらゆる昆虫が好きになった。見た目の美しさから入り、だんだん学術的な関心へ広がったという経緯だ。

井上さんは、熱心に何かを詳しく知っているわけではないが虫は好きだという。実家が山の中にあり、冬にはカメムシが頭上を飛び、カブトムシが網戸に張り付いていた。湿気の多い時期には床で寝ると刺されるかもしれない、という暮らしで、虫は「いつもいる人たち」のような存在だった。昆虫食にも関心があり、薪を割ると出てくるカミキリムシの幼虫はとても美味しいと話す。片田さんは、井上さんの実家の動画を見て「いい虫がたくさんいそう」と羨ましがっていた。

昆虫食について井上さんは、以前共演した哀川さんの前で「カブトムシを食べたら美味しくなかった」と話したら顔が引きつってしまった経験があり、今日も怒られるのではないかと心配していたと明かした。片田さんの答えは、牛や魚を食べるのと同じで同じ命なので何も変わらない、というものだった。家で飼っている子を食べるのは心が痛むが、料理として出されたものをかわいそうとは思わないし、それは文化だという。

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苦手な人ほど、苦手な部分をよく見ている

スタッフは、どの虫ならまだましかと聞かれ、用意された中ではテントウムシを挙げた。丸くて小さく、足があまり目立たないからだ。足はできるだけしまっておいてほしいという。イモムシやカマキリは、腹部のしま模様が怖いと話した。

片田さんの説明では、虫は殻が硬いため体全体が伸び縮みするのではなく、殻と殻の間の部分が伸びる。食事をした後にそこがしま模様に見えるのだろうという。つまり、しまが目立つのはお腹がいっぱいだからだ。スタッフは、それを可愛いと思えるようになるには鍛錬が必要だと正直に答えた。片田さんは、虫が苦手な人はむしろ苦手な部分をよく見ている、と指摘している。

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一眼レフで撮った「茶色い粒」の正体

スタッフのトラウマは、家の中で茶色い小さな粒を見つけたときのことだ。大きさは5〜7mmほどで、BB弾くらいだった。ゴミなのか虫なのか分からないが、近づいて確かめるのが怖い。そこで家にあった一眼レフカメラを持ち出し、離れた場所からズームして撮影した。高解像度の虫の写真が撮れてしまい、いっそう怖くなったという。この話には井上さんも大笑いしていた。

畳のある家の中にいた、茶色で丸っぽくて硬い虫だったという特徴から、片田さんはシバンムシではないかと推測した。写真を見たスタッフも「そんな感じだったかも」と反応している。シバンムシは甲虫の仲間で、小さいためよく見ないと気づきにくい。家の中にいる昆虫で、畳の繊維や穀物などを食べる。乾燥した食品、たとえば開封したパスタや小麦粉に入ってくることもあるという。井上さんは「知りたくなかったかもしれない」と反応していた。

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ゴキブリはなぜ怖いのか、家に出るのはごく一部

スタッフが特に苦手なのはゴキブリで、見た目から名前まですべてが苦手だという。一方の片田さんは、世界最重量のゴキブリであるヨロイモグラゴキブリなど2種類を飼育している。井上さんも食用のマダガスカルゴキブリを飼っていたことがあり、美味しいと話した。

片田さんによれば、家の中に出るゴキブリは全体の1割未満で、大半は森林のきれいな場所で暮らしている。海外にはカブトムシやクワガタのような美しさを持つ種もいる。スタッフが家に出るゴキブリを怖がる理由は、触角、速さ、飛ぶこと、硬さだ。向かってこられたら勝ち目がなさそうに思えるという。片田さんは、人を殺したゴキブリは1種類もいないと応じ、「そんないい子なのに」と申し訳なさそうにしていた。

スタッフは、ゴキブリに似ているという理由でカブトムシやクワガタも怖いという。つやのある感じが苦手らしい。これに対し片田さんは、つやつやしていて足が速いのは高級車のようで格好いいのではないかと返し、井上さんに「何を言ってるんですか」と突っ込まれていた。

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「1匹いたら100匹」と、アシダカグモ「軍曹」

井上さんは自宅での体験を語った。配管工事をした後、家の中に何匹もゴキブリが出るようになった。すると「軍曹」と呼ばれる大きなクモ、アシダカグモまで入ってきた。とても怖かったが、軍曹がゴキブリを消し去り、その後に退場していったという。片田さんは、アシダカグモはゴキブリなどを食べる大きなクモなので食べてくれたのだろう、と説明した。人間目線で言えば益虫ということになる。井上さんは、飼育しているゴキブリや食べたことのあるゴキブリは平気だが、急に出てくるとさすがに驚くとも話した。

よく言われる「1匹いたら100匹いる」という説について、片田さんは100匹はおそらく言いすぎだと見る。ゴキブリが卵を1つ産めば数十匹が出てくることはあるので、可能性がないわけではない。ただ、いるところにはいるかもしれないが、普通の家庭にそれほどいるわけではないだろう、という見解だった。

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ゴキブリ対策:好むのは湿気と狭くて暗い場所

対策として知っておきたい性質を問われ、片田さんはゴキブリが湿気のある環境や狭くて暗いところを好むと説明した。人が家を建てる前は、木のうろや落ち葉の隙間で暮らしていた。そうした性質がたまたま人の住む環境に適応していたのだという。家に出てくるゴキブリは、人がこぼした油汚れや髪の毛のような小さな食べ物を少しずつ食べて生きている。雑食なので、落としたものを片付けてくれる存在だという見方も示した。

井上さんは、玉ねぎの皮や段ボールがあるとゴキブリが出やすいという話は本当かと尋ねた。片田さんは、匂いに引き寄せられることはありそうだし、段ボールは隙間に入りやすい性質と関係しているのかもしれない、と推測の形で答えている。

なぜゴキブリが人前に現れるのかという問いには、基本的には家の中に潜んでいて、餌を探すなどの移動中に出くわしてしまうのだと説明した。わざわざ人に見つかりたくて出てくるわけではなく、生活圏が重なっているということだ。さらに、ゴキブリは人よりはるか昔から地球にいる「大先輩」なので、「出ていけ」というのは無礼だと思ってもらえたら、とも話していた。

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ゴキブリは潔癖症

片田さんがゴキブリの好きなところとして挙げたのは、こまめな手入れだ。触角や脚を口元に持っていき、もぐもぐしながら汚れを取って整える。その仕草にキュンとするという。片田さんによれば、ゴキブリは人が思っている以上に潔癖症で、1日に何度もこの手入れを繰り返す。だから「風呂キャンセル」をしている人間よりきれいかもしれない、と言う。ゴキブリ自体が汚い菌を持っているわけではなく、汚い環境にいるとそこから汚れが付着する、というのが片田さんの説明だ。

家に出る普通のクロゴキブリを飼育していたこともあり、虫かごの中では驚かない限りゆっくり動くという。速いと思われているのは、人を見て驚いた瞬間に走り出す姿ばかりが目に入るからで、基本的にはのそのそ歩いているそうだ。スタッフも井上さんも、速い姿しか見たことがなかったと驚いていた。

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羽を食べ合って浮気を防ぐクチキゴキブリ

山にいるゴキブリには生態の面白い種がたくさんいる、と片田さんは言う。特に可愛い例として紹介したのがクチキゴキブリだ。夫婦で子育てをするゴキブリで、ペアになるとお互いの羽を食べる。どこかへ飛んで行かないようにする、つまり浮気防止だという。その後はオスとメスが協力し、子どもたちに口移しで餌を与える。井上さんは、ゴキブリにもそんな情緒があるのかと感心していた。

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苦手な人でも見られる虫の写真

片田さんは、虫が苦手な人でも見られそうな写真を用意してきた。最初は自宅で飼っていたカイコの成虫だ。幼虫が絹を作ることで知られるが、成虫は顔がとにかく可愛く、白くてもふもふしていて「実在する天使」だと片田さんは言う。蛾はみんなこういう可愛らしい顔をしていて、その顔がたまらなく好きなのだそうだ。次に紹介されたスカシドクガは、名前に「毒蛾」と付くが、幼虫にも成虫にも毒はない。

スタッフは遠目なら可愛いと感じたものの、アップになると思わず一歩引いた。触角が詳しく見えるのが怖いという。片田さんは、ハムスターやウサギと変わらない哺乳類的な可愛らしさがあるし、拡大すれば小さくてよく分からなかったものが分かるようになる、と食い下がった。

選んだ写真に白っぽい虫が多いのは、虫が苦手な人の中にも白っぽいものなら大丈夫という人が多いからだ。ゴキブリも脱皮直後は真っ白で美しいので、白いゴキブリなら苦手意識が減るかもしれない、と片田さんは言う。井上さんは「柔らかくて美味しそう」と反応した。オオムラサキの幼虫の写真では、井上さんが「コアラのマーチみたい」と声を上げ、スタッフも顔は可愛いと認めた。片田さんは、上から見るとシルエットで足ばかりが印象に残るが、顔を見ると意外と愛らしいと説明している。

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知ることで怖さは和らぐ

それでもスタッフは、写真は可愛いかもしれないが、身の回りで遭遇する虫は怖いものばかりで、まだ怖いと率直に話した。怖さを和らげる見方はあるかと井上さんに問われ、片田さんは虫のことを知るのが一番大きいと答えた。得体の知れないものは怖く、気持ち悪さにつながる。しかし種類や何の仲間かを見分けられるようになると嫌悪感が薄れる、という研究もあると片田さんは紹介した。「虫だ」ではなく「シバンムシだ」「シロアリだ」と把握できれば親近感が持てるし、毒があるかどうかも分かるようになる。

スタッフはこれを、駅で急に怒鳴っているおじさんにたとえた。以前は怖かったが、職場では優しくて今は吐き出しているだけなのかもしれない、家族の前でも優しいのだろう、と想像すると可愛く思えるようになったという。虫に対してもそうなりたいと話した。片田さんは、ゴキブリが出てきたら「餌がなくなってきょろきょろ探しているのかな」「ゴキブリにも家族がいるんだな」と思ってもらえたら、と添えた。

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足が多い虫にも親子の絆

街中で出くわしやすい怖めの虫について、スタッフが苦手なのは硬いものと足の多いものだ。セミは怖いが、家の周りに多すぎて耐性がついてしまったという。片田さんは、足の多い虫の代表としてゲジゲジを挙げ、ゲジゲジを可愛いと思えたら最強だと言った。顔がとにかく可愛いのだという。さらに、ムカデなどは卵や子どもを守る習性があると紹介した。母親がとぐろを巻くように卵を囲み、カビが生えないように舐めながら守り続け、子どもが生まれてからもしばらくそうしているという。意外と親子の絆がある、というのが片田さんの説明だ。

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スタッフの変化は「ちょっとだけ」

最後に感想を聞かれたスタッフは、これまで虫が怖すぎて調べることもできなかったが、可愛いところや素敵なところに絞って話を聞けたのがとてもよかったと答えた。「今すぐ出てほしくない」という気持ちが「ちょっとだけ」なくなったという。片田さんも、変化は少しずつだろうと受け止めていた。番組は、後編で虫の世界で起きている危機について聞くと予告して終わっている。