恐竜絶滅から宇宙の始まりまで:VAIENCEの「もしも」と謎20話

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概要

この動画は、科学系チャンネルVAIENCEの複数エピソードを約4時間にまとめたものである。恐竜、古代遺跡、エネルギー、宇宙開発、極地、天体、宇宙の起源まで約20のテーマを扱う。どの回も「もし〜したらどうなるか」「〜はなぜ〜なのか」という問いを立て、架空の「バイエンススーツ」やキャラクターの「ミスター・バイエンス」を使った思考実験で現場を体験させる形をとる。そのうえで研究結果や諸説を紹介し、通説にどこまで根拠があるのかを検討する。以下では、各回で語られた主張・根拠・留保を順に整理する。

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恐竜が絶滅していなかったら

最初の回は、多くの文化に竜の伝承がある理由について、恐竜の化石を竜の骨と誤認したという説を紹介するところから始まる。

動画の説明では、約6600万年前に直径10km〜数十kmと推定される小惑星が現在のメキシコ・ユカタン半島付近に衝突し、地球の生物種の約75%が絶滅したと考えられている。メキシコ湾を高さ1.5kmの津波が襲ったという説や、衝突地点から1800km以上離れた場所でも気温が平均155℃、場合によっては500℃を超えたと推定する研究も紹介される。その後、硫黄を含む塵が地球を覆って気温が急低下し、植物が枯れた。草食動物、次いで肉食動物が餓死し、大量の食料を必要とする大型種が多かった恐竜は絶滅した、というのが有力説だとされる。

ただし動画は、鳥類は恐竜から分岐したものであり、厳密には恐竜は絶滅していないとも指摘する。そのため「恐竜が絶滅しなかった世界とは、今の世界そのもの」になる。それでは面白くないとして、ミスター・バイエンスに小惑星の軌道を変えてもらう思考実験に進む。

衝突がなければどうなったか。動画は、恐竜は衝突前から衰退していたという説や、インドで起きていた地球史上まれな規模の火山活動が影響したという説がある一方で、6600万年前の時点で恐竜は全大陸に進出し、種類は過去最高に達していたとする研究もあると紹介する。そのうえで、衝突がなければ恐竜の勢いを完全に止めることはできなかった可能性が高いと述べる。

大きく変わるのは鳥類と哺乳類の進化だという。両者が生き延びた理由として、穴を掘って隠れられたこと、食べ物の種類が豊富で飢餓の時代を乗り越えられたことが挙げられる。そして恐竜が空けた生態的地位を埋めるように多様化した。水鳥のような生態だったと推定されるハルシュカラプトルの例から、恐竜はかつて現在の鳥類や哺乳類の役割も担っていたとされる。さらに哺乳類は近縁の哺乳形類と激しく競争していて、絶滅後の環境激変で勝利したという説もあるため、衝突がなければどちらが勝ったかは分からないという。

人類のような知能を持つ生物が生まれたかについて、動画は、高度な知能はエネルギーを大量に消費するため必ずしも有利ではないと考える科学者が多いと述べ、疑問が残るとする。仮に誕生していた場合の特徴として、色覚が挙げられる。多くの哺乳類が2色しか識別できないのは夜行性時代の名残(夜行性ボトルネック)であり、鳥類や爬虫類は4色、人類は3色である。恐竜が昼を支配する世界の人類は2色覚にとどまり、視界は色あせたものになるかもしれない、と推測する。一方で、人類は象・ライオン・カバなど危険な動物と隣り合わせで暮らしてきたので、狩り尽くされて絶滅するほどではないだろうとも述べる。

恐竜絶滅の日に何が起きたのか

続く回は、中生代と新生代を分けるK-Pg境界の「その日」を体験させる構成である。当時は二酸化炭素濃度が高く、平均気温は現在より5〜10℃高かったとされ、恐竜は南極大陸を含む全大陸に進出していた。

衝突の証拠として示されるのが、世界中の地層に残るイリジウムである。イリジウムは重いため地球形成時に地下へ沈み、地表にはほとんど存在しないが、小惑星には比較的多く含まれる。また、チョウザメなど当時の魚の骨には季節ごとの成長差による年輪のような模様があり、衝突層から出た化石の分析から、衝突は北半球の春だったと分かっているという。

一方で、未解明の点も残る。小惑星の大きさの推定は10km〜数十kmと幅があり、衝突エネルギーもTNT換算で数千万〜1億メガトンと定まっていない。動画は広島の原爆が0.015メガトン、ツァーリ・ボンバが50メガトンであることと比べ、桁違いの規模だったことだけは確かだとする。

衝突直後の様子は次のように描かれる。太陽の数倍明るい火球が出現し、1800km離れた場所でも気温は100℃を超えた。海への衝突で生じた津波は最大1500mと予想され、海岸線から100km以上の内陸に達し、太平洋沿岸でも10mを超えたという試算がある。宇宙まで巻き上げられた土砂は世界中に降り注ぎ、大気を圧縮しながら再突入して熱を発した。その総エネルギーはTNT換算で2000万メガトンという説があり、北アメリカや、衝突地点の反対側にあたるオーストラリア・インドで大規模な山火事が起きたと考えられている。

動画は、この小惑星が「最悪の位置に最悪の形で」落ちたと強調する。クレーターの地盤密度から45〜60度の浅い角度で衝突した可能性が高く、この角度では岩盤がより多く大気中に放出される。さらに浅い海の海底には硫酸カルシウムを主成分とする石膏が多く、硫黄を含む塵が大量に巻き上げられた。これが成層圏で反応して太陽光を遮り、山火事の煤も加わった。1000億トンの硫黄が放出されて気温が20℃以上下がり、異常気象が30年ほど続いたという説もある。シミュレーションでは、植物が枯れて食料危機が半年続けば食物連鎖が崩壊するとされる。

なぜ恐竜が絶滅し他の動物が生き残ったかについて、動画は人類はまだはっきりした答えを持っていないと述べる。恐竜側の説として、体が大きく温血で多くの食物を必要とした、卵生のため成体と幼体でサイズや生態系での役割が大きく異なり環境変化に弱かった、などが挙げられる。生き残った側については、植物の種を食料にできた、死骸の大量発生で菌類が繁殖し免疫力の強い哺乳類が有利だった、などの説が紹介される。

最後に動画は、SF作家ラリー・ニーヴンの「恐竜が絶滅したのは宇宙開発を進めなかったからだ」という言葉を引く。10km級の小惑星衝突は100年あたり1万分の1という試算があり、現在の技術では観測できても軌道を変えられない、と締めくくる。

ポイント・ネモ:陸から最も遠い海

ポイント・ネモは、世界の海で陸地から最も遠い地点である。1992年にクロアチア系カナダ人の測量技師フルヴォイェ・ルカテラ氏がプログラムで算出したもので、現地を訪れたわけではない。名前はラテン語で「誰でもない」を意味するネモと、『海底二万マイル』のネモ船長にちなむ。2018年の研究では、位置はおよそ南緯49度・西経123度とされる。最寄りの陸地はデュシー島、モトゥ・ヌイ島、マーハー島で、いずれも約2700km離れている。動画は日本の宮古島から稚内までの直線距離(約2720km)を半径とする円を例に挙げ、その内側に陸地がまったくない孤独さだと説明する。最も近い人間は、イースター島の住民か、上空約400kmを通る国際宇宙ステーションの乗組員ということになる。

とはいえ、世界一周ヨットレースは近くを通り、少数ながら貨物船も付近を航行するため、訪れた人がいないわけではない。船での最短到達記録は15日10時間37分とされる。荒れやすい南太平洋を抜けると、南太平洋環流の内側で風も波も穏やかになる。水温は年間平均7℃、水深は約4kmあり、泳ぐのは勧められないという。

生物についても、環流と陸からの遠さのため海水の栄養が乏しく、プランクトンが少なく、マリンスノーも少ない。海底の微生物は環流の外側の1000分の1〜1万分の1程度しかおらず、「地球上の海で最も死んでいる場所」と表現されることもあるという。一方で、熱水噴出孔の周辺には太陽光に依存しない生態系があり、「イエティクラブ」と呼ばれる甲殻類キワが見つかっている。また、ここは役目を終えた人工衛星を落とす場所でもあり、旧ソ連のミールなどが落下した。国際宇宙ステーションも2031年に付近へ落とす計画があるため、「人工衛星の墓場」とも呼ばれる。

ジンベエザメに食べられたら

世界最大の魚ジンベエザメは、一般に10m前後、最大で20m程度になる。動画はまず生殖様式を取り上げる。多くの魚は体外受精だが、ジンベエザメはオスがクラスパーと呼ばれる生殖器を挿入する体内受精を行い、クラスパーは2本ある。1995年に台湾で見つかった母ザメの例からは、受け取った精子を貯蔵し、少しずつ使って妊娠を繰り返している可能性が示されたという。

本題の「食べられるか」について、動画の答えは否である。ジンベエザメはプランクトン食で、性格も穏やかだ。口の中には8000本以上の小さな歯があるが、米粒より小さく退化しており、大きな人間が入っても吐き出されるだけだという。

そこで思考実験として、ミスター・バイエンスを1cm程度に縮め、オキアミに乗せて飲み込ませる。海水ごと吸い込まれたプランクトンは鰓耙で濾し取られ、濃縮されて直径数cmしかない細い食道へ送られる。胃ではオキアミが分解される。ジンベエザメは海面の餌を吸い込むために体を垂直に立てて泳ぐので、食事中の胃の中は揺れ続けることになる。腸には消化吸収の効率を上げるための螺旋状のひだがあり、中を漂う者はそこにぶつかりながら進む。さらに、肛門から腸を裏返して出し、未消化物を洗い出す行動もあるという。これを乗り越えれば、最後は総排泄腔から便とともに排出されて旅が終わる。

モアイ像はなぜ作られたのか

イースター島は、最も近い有人島(人口50人未満のピトケアン島)まで約2000km離れている。動画によれば、モアイ像は西暦1200年頃から作られ始め、最盛期は1500年頃という説が有力である。多くは島の火山の火口付近の柔らかい岩から削り出された。頭だけに見える像も大半は上半身が土に埋まっているだけで、かつてはサンゴと黒曜石の目がはめ込まれていたと考えられている。平均的な大きさは高さ約4m・重さ約10tで、高さ約10m・重さ80tに迫るものもある。

運搬方法ははっきりしていないが、頭にロープを掛け、立てたまま左右に揺らして運んだという学説がある。比較的小さな像なら18人程度で長距離を動かせるという。これは「モアイは歩いて台座まで移動した」という先住民の言い伝えともよく一致するとされる。

建造理由については、信仰と政治の両面から説明される。モアイは祖先を具現化したもので、正式な方法で作ると霊的な力が宿ると考えられていたため、住民を見守るように内陸を向けて建てられた。畑に豊穣をもたらすと信じられていたが、実際に岩を削ることで周囲の土壌に肥料分が加わり、作物がよく取れた可能性があるという研究も最近報告されているという。政治面では、東京23区の4分の1ほどの島に少なくとも2つの勢力が並存していた。モアイは権力者の象徴だった可能性があり、多くの専門技術者を動員して作らせること自体が支配者の力を示す役割を果たしたとされる。

後半では、よく知られた「文明崩壊説」が検討される。21世紀初めに唱えられた仮説によると、モアイ作りのために森林を伐採しすぎて土壌が流出し、食料危機と人口激減が起き、信仰も忘れ去られた。これは地球全体の環境問題への警告として語られ、日本の教科書の題材にもなった。

しかし動画は、この説に反論が多いことを紹介する。森林があったこと、人間の上陸後に消えたこと、1500年頃に降水量が減った可能性は事実としても、先住民の子孫の遺伝子を調べた研究では極端な人口減少は考えにくく、西洋人の到来まで人口は緩やかに増えていた可能性が高いという。モアイや台座が18世紀まで作られていたという説もある。社会を崩壊させたのは西洋人がもたらした疫病と奴隷狩りだとする説では、1860年代に1000人以上が連れ去られ、1870年代には先住民が100人程度しか残らなかったとされる。森林の消失も、人間とともに上陸したネズミの影響のほうが大きかったというのが近年の主流だという。動画は、筋が通って見える説明でも事実かどうかを確認する必要があると述べ、過去を単純化せずに学ぶことが未来の選択肢を広げると結んでいる。

ギザの大スフィンクス

大スフィンクスは全長73m、高さ20mで、数百万個の石を積んだピラミッドと違い、ギザ台地の一枚岩の石灰岩から削り出されている。岩は地質的に3層に分けられ、足は下層、胴体は柔らかい岩と硬い岩が交互に重なる中間層、頭は硬い上層から作られている。動画は、細かい加工が必要な頭部に風化しにくい硬い層を使った点に職人の工夫を見る。一方、胴体は風化が進んでいる。中間層の岩は前に建設予定だった2つの神殿の石材にも使われたが、神殿は未完成のまま放置されたという。

約4500年の間、スフィンクスは砂に埋もれては掘り出されることを繰り返した。19世紀初頭の絵では肩まで砂に埋まっている。胴体の風化から降水量を推定し、7000年以上前の建造だと主張する科学者もいるが、ほとんどの考古学者には相手にされておらず、三大ピラミッドと同時期とする説が主流である。

建造者はカフラー王とする説が主流で、その根拠がいくつか挙げられる。顔がカフラー王に似ていると言われること(ただし父のクフ王に似ているとする人もおり、これだけでは不十分)。カフラー王のピラミッドがスフィンクスの真後ろにあること。春分と秋分の日没時に、前の神殿から見るとスフィンクスの肩とピラミッドの裾の位置に日が沈むこと。

後の時代の関わりも紹介される。約3400年前のトトメス4世は大修復を行い、3.6mの石碑を建てた。碑文には、王子時代にスフィンクスの陰で昼寝をしていると、太陽神がスフィンクスの姿で現れ、掘り出せば王にしてやると告げたと記されている。王位継承順位が第1位ではなかったトトメス4世が、即位の箔付けに利用したと考えられている。石の髭を付けたとも考えられ、1817年に前足付近で髭の一部が見つかった。

失われた鼻については、ナポレオン軍の砲撃説は、18世紀前半にすでに鼻のない絵があることから時代が合わないとされる。有力なのは14世紀後半説で、農民が豊穣を祈って供え物をしたことに怒ったイスラム教徒が鼻を削ったという。

カルダシェフ・スケール

宇宙文明の発展度をエネルギー消費量で測る提案は、旧ソ連の天文学者ニコライ・カルダシェフが1964年に行った。どんな文明も物理法則は無視できず、エネルギー変換効率は100%にならないので、排出されたエネルギーを観測すれば他の文明を探せる、というのがカルダシェフの主張だった。

元の尺度は3段階で、タイプ1は当時の地球に近い文明、タイプ2は恒星のエネルギーを利用する文明、タイプ3は銀河規模のエネルギーを得る文明である。ただしタイプ1の基準は1964年の地球に合わせたもので現在とは差があり、タイプ2も恒星によって値が大きく変わる。カルダシェフ自身も論文で暫定的な尺度だと明記していたという。現在よく使われるのは、カール・セーガンが提案した「消費電力(W)の対数から6を引き10で割る」式である。この式では10の16乗Wでタイプ1となる。

この式に当てはめると、地球に届く太陽エネルギーをすべて使う文明は約1.1、現在の人類は0.7を少し超える程度で、タイプ1にはエネルギーを約500倍に増やす必要がある。それでも世界のエネルギー消費は毎年1〜2%伸びており、2371年にタイプ1に達するとした研究があるという。動画は、化石燃料を積極的に使えば早まるかもしれないが、その場合は気候変動による文明崩壊を心配したほうがよいと付け加える。

タイプ2はタイプ1の100億倍のエネルギーを使う。太陽の全エネルギーを使うと2.0をわずかに超える。こうした文明は恒星の周りにダイソン球のような構造物を作ると想定され、それは「クリスマスツリーのオーナメントのように」光っているはずだという天文学者の表現や、赤外線源を探せば発見できるというフリーマン・ダイソンの主張が紹介される。タイプ2にとって存続の危機は近くの超新星爆発くらいしかないとされる。タイプ3(10の36乗W)はそれすら防げ、恒星の数が減った遠い未来にはブラックホールの周りにダイソン球を作る可能性もあるという。

ただし、タイプ3でも光速の壁は越えられない。天の川銀河の直径は約10万光年ある。提案されているのは、到達した恒星系の資源で自分の複製を作りながら広がる自己複製宇宙機で、50万年ほどで銀河全体を覆えると推定されている。動画は最後に、未熟な文明を見つけた機械が衛星上で休眠し、その文明が衛星に到達したら起動する、というロボットが月で眠っている可能性もゼロではない、という空想で締めくくる。

核戦争が起きたら

冒頭で動画は、2022年時点で世界に約1万3000発の核兵器があると推定されていると述べる。核戦争寸前の例として取り上げるのは1962年のキューバ危機である。米軍に爆雷で追われていたソ連潜水艦は核兵器を積んでおり、士官3名全員の賛成で発射できる体制だった。艦長ともう1名が賛成したが、ワシリー・アルヒーポフが断固拒否した。エアコンが故障し高温となった艦内で激論が交わされた末に拒否が通り、潜水艦は浮上したという。

動画は、一度でも核を使えば報復の連鎖は避けられないと考える専門家が多いとする。ロシアには自動報復システム、通称「死の手」があるとされ、アメリカにも即応体制がある。

具体例として紹介されるのは、プリンストン大学が2019年に発表したシミュレーション「プランA」である。ロシアがドイツ・ポーランド国境付近の軍事拠点に1発を撃ち、NATOが1発で報復する。次にロシアが300発、NATOが180発を撃ち、約3時間で死傷者は260万人。米国がロシアの核関連施設に600発を撃ち、ロシアも米本土へ撃ち返して、45分で340万人。最終局面では双方が相手の大都市を狙い、45分で8530万人。合計で約5時間のうちに死者3410万人、負傷者5740万人と推定されている。

この数字が想像より小さく見える理由として、動画は3点を挙げる。最終段階まで都市を狙わない想定であること、NATOとロシアに限定した戦争であること、核爆発による直接の死傷者だけを数えていることである。より深刻なのは都市火災の煤だという。2019年のコロラド大学の研究では、1億5000万トンの煤が数年間上空に留まり、北半球の多くで気温が20〜30℃下がり、核戦争後5年間の食料生産(カロリーベース)は中国・フランス・ロシア・英国・米国で97%以上、国によっては99%以上減少するという結果が出ている。真っ先に困るのは日本・韓国など食料自給率の低い国で、爆発そのものより飢餓で亡くなる人のほうが多いだろうとする。オゾンが75%程度減るという試算もある。動画は、2022年1月に米・露・中・仏・英の首脳が核戦争防止の共同声明を出したことに触れ、それが口先だけで終わらないことを願うと結ぶ。

核融合発電が実用化されたら

核融合は、同じ重量の燃料あたりで化石燃料の2000万〜1億倍のエネルギーを生むという試算がある。二酸化炭素を出さず、燃料は水から取り出せる可能性があり、反応を止めやすいため重大事故の可能性も低いと考えられている。

難しさの根本は、正の電荷を持つ原子核同士の反発である。地球上で核融合を起こすには少なくとも1億度が必要とされ、それに耐える固体はない。そのため、プラズマを強力な磁場に閉じ込める磁場閉じ込め方式と、燃料ペレットにレーザーで衝撃波を起こす慣性閉じ込め方式が研究されている。前者では1997年に欧州のJETがエネルギー比0.67を達成し、日本も参加するITERが後継として開発中である。後者では2022年に米国の国立点火施設(NIF)が1.5倍を達成したと報じられ、民間企業の参入も相次いでいる。

それでも動画は、実用化のハードルはまだ高いとする。発生エネルギーを電力に変える効率は100%にならず、磁場閉じ込め方式の比率には磁石のエネルギーが含まれていない。これらを差し引いたうえで経済的に成り立つかが問題だという。

実用化された場合の影響としては、まず気候対策には間に合わないと指摘する。産業由来の二酸化炭素の半分ほどは発電や暖房によるものだが、1.5℃目標のためには2030年までに43%削減が必要で、早くても数十年後に実現する核融合では遅すぎるという。また、核融合そのものは長寿命の放射性廃棄物を生まないが、燃料によっては大量の中性子が出て、周囲を囲う物質が放射化する恐れがある。一方で、重水素のみを使う方式が実用化されれば燃料は海水から取れるので、石油や水をめぐる争いが減り、海水淡水化も現実的になるかもしれない。動画は、ITERがある参加国の侵略行為によって今後の貢献が危ぶまれていることにも触れ、核融合によって争いが減ればその後の人類の発展に期待できる、と述べる。

永久機関が完成したら

1812年、フィラデルフィアのチャールズ・レドヘファーは「永久機関」を公開して見物料を取ったが、詐欺だった。動画はまず物理学での仕事(力×移動距離、1kgを1m持ち上げると約9.8J)とエネルギー(仕事をする能力)を定義する。そのうえで、永久機関を「外部からのエネルギー供給なしに、外部へ永久に仕事をする装置」と定義する。風力は太陽エネルギーに由来するので該当せず、宇宙で慣性運動する物体もエネルギーを取り出せば減速するので該当しない。ダ・ヴィンチも重りを使った車輪の構想を練っていたが、成功例はない。熱力学第一法則(エネルギー保存)と第二法則(熱は高温から低温へ流れる)に反するからだと説明される。

それでも思考実験として完成させると、永久機関でさらに永久機関を作ることで、燃料なしに無制限のエネルギーが得られる。海水の淡水化や輸送は容易になる。鉛やビスマスに炭素やネオンの原子核を高速で衝突させれば一定確率で金ができるので、資源不足も解決に向かう。

動画が強調するのは、影響が宇宙全体に及ぶ点である。エネルギーを無から生み出せれば、エネルギーと等価な物質も増える。現在有力な宇宙の未来はビッグフリーズだが、数十億年以上先には増えた物質の重力が膨張に打ち勝ち、宇宙が収縮に転じる可能性も考えられるという。

サハラ砂漠を太陽光パネルで覆ったら

サハラ砂漠は面積約900万km²で、日本の約24倍にあたる。中心部や東寄りでは年間降水量0.5mmの地域もある。年間日照時間は日本の1600〜2400時間に対して3600時間以上、場所によっては4000時間以上で、太陽光発電に向いている。太陽光パネルの効率も長く10%台だったが、2022年時点で20%超が主流になり、価格も大きく下がったという。

太陽光1kW/m²、効率20%、年間3600時間と仮定すると、年間648万TWhになる。高温による効率低下(1℃あたり0.4〜0.5%)や、砂で1か月後に効率が19%下がるというデータを考慮して半分にしても324万TWhで、人類の年間消費量(仮に17万3000TWh)を大きく上回る。

しかし動画は、話はそう単純ではないと続ける。2016年の研究をもとにすると製造時の排出は1kWhあたり二酸化炭素換算で約20gで、サハラ全体では約1.5兆トン、現在の人類の排出量の約37年分になるという。また、砂よりパネルのほうが太陽光を吸収するため、周囲が温まる。サハラの最大50%を置き換えたシミュレーションでは、地球の平均気温が0.4℃程度上がり、北半球の高緯度では2℃を超える場所もあり、アマゾンの降水量が年間数百mm減るとされる。さらに、サハラは多くの国にまたがり、政情不安やテロの懸念もある(2016年にアルジェリアのガス施設が攻撃された例)。現地の資源を他地域のために使うことへの反発も多いという。動画は、実現には技術だけでなく社会の変革が必要だと結論づける。

モンティセロ・ダムの「グローリーホール」

カリフォルニア州ナパ郡のモンティセロ・ダムには、水位が一定以上になると水を流し込む巨大なダム穴があり、朝顔の英名にちなんで「グローリーホール」と呼ばれる。狭い峡谷で他の放流設備を置く場所がなく、建設中に川を迂回させた水路に接続して作られた。最も広い部分の直径は22mで世界最大級である。

吸い込まれた人は、1997年の女性1人だけだという。周囲の呼びかけに応じずに近づき、20分ほど縁につかまった末に落下した。ただし動画は、この穴がむやみに危険なわけではないとも述べる。穴が機能するのは過去60年で25回程度(最後は2019年)で、周囲には遊泳禁止の規制線がある。事故当日の水位は10cm以下と推定され、女性は自ら落ちたという噂もあるという。

思考実験では、雨を降らせて水位を最大にし、毎秒137万リットルが流れ込む状態にする。流線形の穴は音を立てず、近づくまで静かに見えるが、水面が斜面になった地点に入れば吸い込まれるのは確定する。内部は直径22mから最も細い8.5mまで狭まり、落差60m、傾斜84度。世界一高いウォータースライダー(高さ51m、傾斜60度)とは比べものにならない。その後は水平の迂回トンネルに叩きつけられて命を落とすという。水が流れていない時期、このトンネルは地元の若者がスケートボードの練習に使っている。2019年には吸い込まれた鵜が放水路の出口から弾丸のように飛び出したと報じられた。水はパタ・クリークに注ぎ、1997年の女性の遺体も下流で見つかっている。

スペースシャトルはなぜ廃止されたのか

2011年7月21日のアトランティス号の着陸で、スペースシャトルは30年・135回のミッション、総飛行距離約8億7000万kmの運用を終えた。後継機はなく、アメリカは宇宙飛行士を送る手段を失った。シャトルは、翼のある軌道船、2基の固体燃料補助ロケット、オレンジ色の外部燃料タンクで構成され、ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げと修理、国際宇宙ステーションの建設などの実績を残した。

動画は、直接の理由を3つ挙げる。1つ目は費用である。NASAは1970年代初め、年50回前後、1回1500万ドルで打ち上げられると議会に説明していた。しかし実際には、形がすべて異なる約2万4000枚の耐熱タイルの手作業交換、エンジンの分解検査、海に落ちた補助ロケットの回収と洗浄が必要で、外部タンクは使い捨てだった。年間飛行回数は1985年の9回が最高で、平均は4〜5回。1回あたりの費用は稼働期間で約12億ドル、停止期間を含めると15億ドルになったという試算がある。

2つ目は安全性である。1986年のチャレンジャー号は、補助ロケットの継ぎ目のOリングが低温で硬化したことが原因で、技術者が反対したにもかかわらず打ち上げが強行され、73秒後に爆発した。2003年のコロンビア号は、断熱材の落下が翼前縁のRCCパネルを損傷して帰還時に空中分解した。断熱材の落下はほぼ毎回起きていたのに、管理部門は許容可能なリスクとして放置していたと調査委員会は結論づけている。

3つ目は政治判断である。2004年1月、ブッシュ大統領が宇宙探査ビジョンを発表し、ISS完成とともにシャトルを退役させて月・火星計画に資源を振り向ける方針を示した。当時、シャトルはNASA予算の約4分の1を占めていた。

根本的な原因として動画が挙げるのは1970年代の政治事情である。アポロの成功後で国威発揚の動機が薄れ、ベトナム戦争で財政が悪化していた。NASAが本来構想していたのは、両段とも滑走路に戻る完全再利用の2段式宇宙船だったが、開発費を大きく削られ、「何も作らないか、妥協して作るか」の選択で後者を取った。その結果、止められない固体燃料ロケットが採用され、巨大すぎて一度に運べないために継ぎ目が生まれ、それがチャレンジャー号事故の原因になった。打ち上げ頻度が落ちるとコストが上がり、現場がさらに逼迫するという悪循環に陥ったという。

動画はチャレンジャー号事故報告書の「成功する技術のためには、現実が広報に優先しなければならない。自然を騙すことはできない」という一文を引き、予算という経済的側面もまた現実だと付け加える。最後に、2026年4月2日(日本時間)に打ち上げられたアルテミス2のSLSロケットの4基のRS-25エンジンのうち3基がシャトルで使われたものだったことに触れ、シャトルのエンジンはまだ宇宙を飛んでいると結ぶ。

地底都市を作ったら

導入では、埼玉県春日部市の首都圏外郭放水路(地下50m)を例に、人類はすでに地下に巨大施設を作れると述べる。実際に人が住んだ例として、トルコのデリンクユ地下都市(最深部85m以上、2万人収容、数千年前から1920年代まで使用、主に避難所)と、オーストラリアのクーバーペディ(人口2000人前後、半数以上が「ダグアウト」と呼ばれる地下住居に住む)が紹介される。

最大の利点は温度の安定である。地下は1kmごとに約25℃上がるが、それより十分浅ければ年間を通じて快適な温度が保たれる。クーバーペディでは地上が冬2〜3℃、夏50℃超になるのに対し、ダグアウトは19〜25℃に自然に保たれ、地上に住むと電気代が非現実的になるという。世界のエネルギー消費の10〜15%は室温調節に使われるとされるので、節約効果は大きい。地下は小型モジュール炉の設置場所の候補としても挙げられている。

問題も多い。換気が難しく(デリンクユには換気口が50か所以上ある)、岩盤から出る放射性気体ラドンが地上の数倍に達して肺がんのリスクを高める。湿気でカビが増えやすく、乾燥したクーバーペディと違って日本では大きな問題になる。建設費は地上の高層ビルの約2倍という試算があり、火災時には煙が早く広がり、洪水には極めて弱い。日光がないことも深刻で、セロトニンやビタミンDの不足からうつ、骨や睡眠の異常を招く恐れがあるという。

一方で、地上の混雑緩和、地下農業や小型モジュール炉の実証に加え、宇宙線が届きにくい環境という利点もある。ダークマター検出実験に使う銅などの部材は、宇宙線による放射化を避けるため地下で製造・保管されるので、地底都市があれば安く作れ、天文学の進歩につながる可能性があるという。

南極に行ったら

南極大陸は約2億年前、南米・アフリカ・インド・オーストラリアなどとゴンドワナ大陸を形成しており、温暖で森林が広がる時期もあった。分離後に南極周極流が形成されると他の海からの熱が遮られ、遅くとも3000万年前には現在の姿に向かったという。

現在は、アルゼンチン、チリ、オーストラリア、ニュージーランドからの観光船で主に南極半島(南緯63度付近で、グリーンランドの北端より極に近い)へ行けるほか、南極点まで飛ぶ飛行機のプランもある。入念な準備をすれば生還は難しくないという。

準備なしの場合として、動画はまず南極半島を挙げる。真夏の平均最高気温は1℃、最低は−2℃だが、風速40m/sに達することもあり(80m/s超の記録もある)、体感温度は大きく下がる。冬は最高気温でも−10℃を下回り、極夜で真っ暗になる。内陸は氷床のため標高が高く、南極点は標高約2830m、冬の平均気圧は約675hPaで、極端な低温による大気の収縮のため、それより約900m高い富士山頂に匹敵する。年平均気温は−49℃、観測史上最高でも−12℃程度。地球観測史上の最低気温−89.2℃は、南極点から約1300km離れた標高3488mのボストーク基地で記録された。衛星観測では地表付近で−98℃という値もあり、風を加えれば体感−100℃を下回っても不思議ではないという。

人体への影響については、血管収縮による凍傷、低い気圧による酸素不足、湿度0.03%という乾燥による脱水が重なり、数分で凍傷になってもおかしくないと説明される。医師によれば、−40℃以下では人体は機能するように作られておらず、一つの判断ミスが命取りになる。研究では、−50℃ではよほどの厚着でない限り数時間で体温が30℃を下回るとされる。動画は、20世紀前半の探検で倒れた人々の遺体が今も南極で眠っていることに触れて終わる。

青木ヶ原樹海に入ったら

青木ヶ原樹海は富士山の北西に約30km²広がる森で、上から見ると木々が海のように波打って見えることから名付けられたとされる。864年に始まった貞観の大噴火の溶岩が「せの海」という湖を埋め、その名残が精進湖と西湖である。パイオニア植物に続いて樹木が育ったが、硬い溶岩に根を張れないため、今も根が地表をうねっている。

自殺の名所というイメージは、1960年頃に発表された松本清張の小説『波の塔』がきっかけとされる。現在は正確な人数は公表されておらず、自治体は訪問者への声かけを行っている。2020年度には346人に声をかけたという。

遊歩道を歩くだけなら危険はなく、苔やシダ、ギンリョウソウなどの植物、溶岩の内部が流れ出てできた洞窟を楽しめる。富岳風穴は夏でも平均3℃である。しかし遊歩道を外れると、凹凸の激しい地面と360度同じような森に囲まれる。2025年にはキノコ採りの男性がわずか10分で迷い、警察に救助された。動画は、2009年に発表された研究を紹介する。ドイツの森やサハラ砂漠で被験者を歩かせると、太陽や月が見えれば比較的まっすぐ進めたが、曇りや目隠しの条件では直径20m未満の範囲で不規則に回り、平均で100mも離れられなかった。樹海は木々で太陽や富士山が見えにくく、足元の凹凸で方向感覚もずれていくため、この弱点が出やすいという。

一方、「コンパスが狂う」というのは迷信だとする。溶岩の磁性鉱物に近づければ針は影響を受けるが、正しく持てば十分使える。携帯電話も基地局整備が進み、以前ほど深刻ではない。動画が本当の危険として挙げるのは、パニックによる判断の喪失(救助隊を避けるような動きをする例もある)と、ツキノワグマや猛スピードで駆ける鹿などの野生動物である。動画は、樹海の怖さは得体の知れないものではなく、自然の中で人間の弱さがむき出しになることだと述べる。そして、溶岩の後に命が根付いた生命力の象徴として見てほしいと結ぶ。

1億年前の火星と、海を失った理由

現在の火星は、気圧が地球の1%以下で、大気の大部分は二酸化炭素、表面には生物が長く耐えられない放射線が降り注ぐ。動画は時代を遡りながら火星の姿を追う。

1億年前の火星は現在とあまり変わらない。ただし高さ20km超のオリンポス山ではまだ小規模な活動が続いていたと考えられる。また、土壌の過塩素酸塩、特に過塩素酸カルシウムは水の凝固点を約−75℃まで下げうるため、塩分の濃い水が短期間存在した可能性がある。火星由来の隕石から1億7000万年前以降に液体の水で変質した鉱物が見つかったという研究もあり、蜃気楼のようにはかない水を目撃できるかもしれないという。

20億〜30億年前も気圧は現在とほぼ同じだが、地下に眠っていた水が火山活動で噴き出し、大洪水が起きた。流量は最大毎秒10億m³で、アマゾン川(最大約30万m³)の3000倍以上とされる。

37億〜43億年前には、北半球をほぼ覆う海が存在し、深さは最大1.6km以上あったと考えられる。40億年前には少なくとも0.5気圧の大気があったとする研究もあり、金星・地球と並んで青い惑星が3つあった可能性があるという。しかし、太陽風の粒子が大気の分子にエネルギーを与えて宇宙へ逃がす現象が数億年続いた結果、大気が薄くなって海は蒸発した。水蒸気は紫外線で分解され、軽い水素は宇宙に逃げ、残った酸素は鉄と反応して赤錆になった。青から赤への変化は約39億〜30億年前に進んだとされる。

地球との違いは磁場である。多くの科学者は、磁場の維持には液体金属のコアと温度差による対流が必要だと考えている。地球では、固体の内核が成長する際に軽い成分が外核に押し出され、浮力による対流が生じている。火星は直径が地球の約半分、質量が約10分の1で冷えやすいうえ、コアを毛布のように覆う液体の層が内外の温度差を小さくしたと考えられ、磁場は約39億年前に止まったという。動画は、地球も数十億年後には膨張する太陽によって水を失うと考えられていると述べる。

ブラックホール

動画はまず、ブラックホールは「宇宙に開いた穴」ではないと断る。太陽の約8倍以上の質量を持つ恒星が燃料を使い果たすと、鉄のコアが潰れて超新星爆発を起こし、残ったコアがブラックホールになることがある。中性子星同士の衝突でも生まれうる。ビッグバン直後に直接できた原始ブラックホールという説もあるが、まだ見つかっていない。

脱出速度は地球が秒速約11km、太陽が約600kmで、ブラックホールでは光速を超える。見つかっているのは太陽の数倍〜100倍程度の恒星ブラックホールと、数十万倍以上の超大質量ブラックホールで、その中間は確実には見つかっていないという。事象の地平面の内側からは何も戻れない。回転しない場合、その半径はシュワルツシルト半径と呼ばれ、太陽質量なら約3kmである。動画は東京駅を中心に東京タワーや両国国技館あたりまでの範囲に太陽の質量が収まるイメージだと説明する。地平面は表面ではなく、通過しても何も感じない可能性が高いという。

太陽を同じ質量のブラックホールに置き換えても、惑星の軌道は変わらない。しかし太陽の5倍程度の恒星ブラックホールに足から近づくと、中心から20km(地平面から5km)の地点では、1mmの差で地球重力の1万7000倍もの潮汐力が生じ、体は引き伸ばされる(スパゲッティ化)。一方、超大質量ブラックホールでは潮汐力はわずかで、地平面を何事もなく越えられる。内部では、一般相対性理論の記述上、中心へ向かうことが時間の進行のように避けられないものになり、最終的に特異点に至ると予測される。

特異点では計算上密度が無限大になるが、多くの科学者は一般相対性理論が適用範囲を超えているだけだと考えている。候補として、時空に最小単位があるとするループ量子重力理論(特異点の先がホワイトホールにつながると考える物理学者もいる)や、弦理論のファズボール仮説が紹介される。ただし、どれも観測による裏付けはない。

観測史としては、1964年に白鳥座のX線源が見つかり、1971年に伴星の揺れから見えない重い天体の存在が判明した。2019年にはイベント・ホライズン・テレスコープがM87中心の太陽の約65億倍の超大質量ブラックホール(シュワルツシルト半径180億km)を撮影した。最も近いGaia BH1は約1560光年先にあり、太陽の9〜10倍の質量で、太陽に似た星と地球・太陽間ほどの距離で静かに回っている。超新星爆発の後にこれほど整った連星が残るのは説明が難しく、動画は、ブラックホールの誕生や進化について人類はまだ分かっていないことが多いのかもしれないとする。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、宇宙誕生から7億年程度の銀河に不釣り合いに大きな超大質量ブラックホールを見つけており、銀河とともに成長したという従来の仮説は修正を迫られているという。

最後にホーキング放射が紹介される。蒸発にかかる時間は、恒星ブラックホールで10の67乗年、超大質量ブラックホールで10の100乗年程度と予測されている。恒星がなくなった遠い未来には、物体を投げ込んでエネルギーを取り出すことが理論上可能なブラックホールが、生命の最後の拠り所になるかもしれないと動画は述べる。

24の太陽系外惑星

この回は物語を付けずに、6000個以上の確認済み惑星(候補は8000個以上)から24個を紹介する。動画はここから、太陽系が宇宙の標準ではないことが見えてくるとする。

最初に取り上げられるのは、1992年にパルサー「リッチ」の周りで見つかった最初期の系外惑星ポルターガイスト(PSR B1257+12 c)である。毎秒約160回転するパルサーの規則正しい信号のずれから発見された。次に、最も近いプロキシマ・ケンタウリb(4.2光年)。2016年にハビタブルゾーン内で見つかったが、極紫外線は地球の30倍、X線は250倍を浴びている可能性がある。LHS 1140 bは質量の9〜19%が水と推定され、昼側だけが凍らない「目玉」のような世界の可能性がある。ティーガーデン星bは地球とほぼ同じ大きさ・質量で、地球類似性指標が最高水準にある。ケプラー37bは直径が地球の約0.3倍で、動画では2025年時点で最小の系外惑星とされる。

極端な環境の例も続く。かに座55番星eは表面が溶岩に覆われ、昼側で3000℃を超える可能性がある。かつての「ダイヤモンド惑星」説は現在では退けられているという。ホットジュピターの例として、HD 189733 bはケイ素を含むガラスが秒速2000mの風で横殴りに降る青い惑星、WASP-76bは鉄が蒸発して雲になり鉄の雨が降る惑星、TrES-2bは石炭より光を反射しない理由が説明できない黒い惑星として紹介される。密度の対比として、WASP-127bは1cm³あたり0.1gと発泡スチロール並み、TOI-4603bは約14gと鉛を超える。WASP-12bは恒星の重力でラグビーボール状に引き伸ばされ、300万〜500万年後に飲み込まれると推定されている。グリーゼ436bは彗星のように水素の尾を引く。

天文学上の意味を持つ惑星もある。ペガスス座51番星bは主系列星で初めて見つかった惑星で、恒星のすぐ近くにガス惑星はできないという当時の理論を覆した。GJ 1214bは太陽系にない「ミニ・ネプチューン」の代表例とされる。グリーゼ900bは公転に地球の126万年以上かかり、市民科学によって発見された。ケプラー1625bは系外衛星候補を持ち、自由浮遊惑星PSO J318.5−22には主星がない。さらに、ケプラー16bは連星を回る「タトゥイーン」、HD 100546 bはギネス記録上最大の系外惑星である。J1407bは巨大な環を持つとされたが、その存在自体が疑問視されるようになった。

最後に紹介されるのは、JWSTが直接撮影したWD 1202−232 bである。白色矮星の周りで、太陽が白色矮星になった後の木星・土星と似た軌道を回っており、太陽の寿命が尽きた後も木星や土星は残るかもしれないと動画は述べる。

宇宙はどう生まれ、どこへ向かうのか

締めくくりの回は宇宙の起源を扱う。アインシュタインは1917年に静的な宇宙を前提とした論文を書いたが、1929年にハッブルが膨張を示した。時間を遡れば宇宙は超高温・超高密度になるというのがビッグバン理論で、年齢は約138億年とされる。

ただし動画は、誕生の瞬間は分かっていないと強調する。例えとして、子どもが毎年大きくなるという法則だけで遡れば「人は無から生まれた」という誤った結論に達してしまうことを挙げる。一般相対性理論や標準模型が初期宇宙にも成り立つかは分からず、10の−43乗秒より前は全く分かっていないという。

その後は時代順に説明される。大統一時代には重力以外の3つの力が一つだった。続くインフレーションでは、ごく短時間に宇宙が10の26乗倍(一説には10の40乗倍)以上に膨張し、現在の観測可能な宇宙は直径10cm程度になった。理由は不明だが、宇宙背景放射の特徴から、これに似た現象が起きた可能性が高いとされる。電弱時代を経てクォーク時代に4つの力が分かれた。物質と反物質は対消滅したが、約20億個に1個の割合で物質が多かったため現在の宇宙が残った。その理由も分かっていないという。ハドロン時代(約1秒まで)、レプトン時代(約3分まで)を経て、ビッグバン元素合成で水素やヘリウムの原子核ができたが、20分ほどで核融合は止まった。約38万年後、約3000℃まで冷えて原子ができると光が直進できるようになり(宇宙の晴れ上がり)、これが宇宙背景放射になった。その均一さはインフレーションの有力な証拠だとされる。

暗黒時代のうち誕生から約1000万〜1700万年の間は0〜100℃で、気圧さえあれば液体の水が存在できた。動画は、そのとき生命が生まれ、塵に混じって地球に届いたとするパンスペルミア説にも触れる。1億〜5億年後にはダークマターの網の目に沿って銀河ができ、太陽の数百倍の第1世代の星が超新星爆発で重元素をばらまいた。太陽は誕生から約90億年後にできた第3世代の星とされる。同じ頃から宇宙の膨張は加速に転じた。その原因として考えられたのがダークエネルギーだが、正体は分かっていない。

未来として有力なのは、加速膨張が続き、1兆〜100兆年後に星が燃え尽き、10の100乗年後にはダークマターと少量の電子が飛び交うだけになるビッグフリーズである。ビッグリップやビッグクランチの可能性も残る。動画は、すべてはまだ理解されていないダークマター、ダークエネルギー、宇宙の法則次第であり、世界がどう生まれどこへ向かうのかという探究はまだ続く、と結んでいる。