サバンナには誰が暮らしているのか:捕食者、草食獣、鳥、そして水辺と人間

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概要

アフリカを北から南へたどると、砂漠、草原、熱帯雨林、再び草原、砂漠と、風景が帯のように移り変わる。動画は、熱帯雨林の両側で草と樹木がせめぎ合う帯をサバンナと呼び、そこに暮らす動物を一種ずつ紹介する。ナイル川やその源流の一つであるビクトリア湖もサバンナと密接に関わるとして、後半では水辺と人間にも話を広げる。紹介の中心にあるのは、よく知られた姿の裏にある、研究で分かった意外な生態である。

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ライオン:群れで暮らす唯一のネコ科と、たてがみの代償

ライオンはネコ科でも最大級の動物で、オスは体重250kgに達することがある。動画はサバンナの食物連鎖の頂点に立つ存在と位置づける。ネコ科で唯一群れで暮らすのも特徴で、「プライド」と呼ばれる群れの中心は血縁でつながったメスたちである。メスが狩りの多くを担い、時には役割を分けて連携し、子育ても共同で行う。オスは主に侵入者からプライドを守る。

たてがみについては研究結果が紹介される。オスのたてがみの色の濃さは、栄養状態とテストステロンの高さを示す「看板」の役割を果たしていた。色の濃いオスはメスに好まれるだけでなく、他のオスからも一目置かれ、繁殖できる期間が長く、子の生存率も高い。一方で、濃いたてがみのオスは体表の温度が上がりやすく、暑い季節には精子に異常が出やすく、食べる量も減っていた。そのため暑い地域のライオンほど、短く淡い色のたてがみを持つ傾向があるという。

チーター:勝負を決めるのは最高速度ではない

チーターは速さに特化した体をしている。体重は30〜60kg程度が多く、細身で脚が長く、バネのようにしなやかな背骨を持つ。時速100kmとも言われる陸上最速の称号が有名だ。

ただし、トップスピードで獲物を捕らえるというイメージは現実と必ずしも一致しないと動画は言う。GPSと加速度センサー付きの首輪を使った実験では、確かに最高時速93kmが観測された。しかし実際の狩りの大半は、それよりずっと控えめな速度で行われていた。成否を分けたのは、獲物の向きに合わせて減速し、急カーブし、再び加速する能力だった。最高速度のまま向きを変えようとすると回転半径は50m以上になる。だがチーターは時速60kmから14kmまで1秒で減速でき、その状態なら旋回半径は1.2mまで縮む。

もう一つの特徴は、遺伝的多様性が極めて低いことだ。祖先の個体数が極端に減った時期が、10万年以上前とおよそ1万年前の2回あったためと考えられている。その結果、環境変化や病気に弱い。健康な個体でも精子の形態異常率が80%を超えるなど、保全上の脆弱性を抱えている。

ブチハイエナ:悪役イメージと実像

ブチハイエナは前脚が発達し、肩が高く、背中が後ろへ下がる独特の体型をしている。顎を動かす筋肉と、骨さえ砕く頑丈な奥歯を持つ。見た目に反してイヌの仲間ではない。独立したハイエナ科に属し、むしろネコに近い動物である。

悪役のように描かれがちだが、動画によれば実際は多くの獲物を自力で狩る優秀なハンターである。ある研究では、狩りに参加する個体が1頭から2頭に増えると成功率が20%上昇した。ライオンがブチハイエナの獲物を横取りすることも珍しくないという。

社会構造は複雑で、肉食獣というより猿の群れに近いとさえ言われる。徹底した女尊男卑で、子は生まれた瞬間から母の順位を受け継ぐ。母が高順位なら、年上の大人さえ従える。群れは離合集散を繰り返すが、低い家系に生まれた子は生涯低いまま、高い家系は地位を代々受け継ぐ。根深い階層社会だと動画は述べる。

リカオン:くしゃみによる「投票」

リカオンは細身で脚の長いイヌ科の動物で、体重は20〜35kgほど。丸く大きな耳は体温を逃がすとともに、遠くの音を拾うアンテナの役目を果たす。イヌ科では珍しく前脚の指が4本しかない。下顎の裂肉歯は肉を切るための特殊な形をしている。黒・白・茶のまだら模様は個体ごとに異なり、指紋のように個体を見分けられる。かつてはアフリカ大陸の多くの場所にいたが、現在は生息域が小さく分断され、絶滅危惧種に指定されている。

動画が特に取り上げるのは、狩りに出るかどうかをくしゃみで決めているという発見である。狩りの前、リカオンはくしゃみに似た荒い鼻息を出すことがあり、群れの中でその数が一定を超えると群れが動き出す。ただしこの「一票」は平等ではない。順位の高い個体が始めた場合は少ないくしゃみで群れが動くが、順位の低い個体が始めた場合はより多くのくしゃみが必要だった。それでも十分な数が集まれば、群れの総意が格上の意向を覆すこともあるという。

ジャッカル:生涯つがいと「ヘルパー」

ジャッカルは体重6〜19kgほどの小型のイヌ科で、細身、大きな耳、ふさふさした尾、雑食に適した歯を持つ。いくつかの種のうちセグロジャッカルは、哺乳類では珍しい一夫一妻で、生涯つがいを続ける。あるつがいを追跡した調査では、その子供が後に生まれた弟や妹の世話をすることがあり、それが子の生存率を高めていたという。

アフリカゾウ:サバンナを形づくる存在と、声を聞き分ける能力

陸上最大の動物アフリカゾウは、オスで体重7tに達することがある。動画は、サバンナの生態系全体への影響が極めて大きいキーストーン種だと紹介する。乾季には牙で干上がった川を掘り、多くの生き物が集まる水場をつくる。少し育った木をなぎ倒して芽を食べることも、サバンナが草原の状態を保つ要因の一つになっている。

群れを率いるのは経験豊富な最年長のメスである。人間には聞こえない超低周波の音でもやりとりしている。「ランブル」と呼ばれる低いうなり声は遠くまで届き、2.5km離れた個体が反応することもあるという。ランブルからは個体の識別、繁殖の可能性、さらには精神状態まで伝わっている可能性があるとされる。

さらにアフリカゾウは、人間の言語や声の特徴の微妙な違いを判別し、民族・性別・年齢から最も危険な相手を識別できるという。槍を持つマサイ族の成人男性の声には密集して後退する。一方、農耕民であるカンバ族の男性の声や、同じマサイ族でも女性や少年の声には反応が弱かった。

キリン:重力との戦い

現生の陸上動物で最も背が高いキリンは、大型個体なら優に5mを超え、首だけで2〜3mになることもある。首の骨の数は人間と同じ7個で、一つひとつが平均30cmと極端に長い。

動画はキリンの体を「重力との壮絶な戦い」と表現する。頭は心臓より2m以上高い位置にある。そこまで血液を押し上げるため、血圧は平均でも200mmHgを超え、大型個体や首を真上に伸ばした状態では250mmHgに迫ることもある。水を飲むときは頭が心臓より低くなり、すぐにまた高い位置へ戻る。その高低差は人間の立ちくらみとは比べ物にならない。キリンは頸動脈と椎骨動脈をつなぐ迂回路や、首の静脈の逆流を防ぐ弁を備えている。高血圧への耐性や頑丈な骨をつくる遺伝子も持つ。一方で、ポンプ役の心臓自体は巨体相応の普通のサイズだという。

また、キリンは動物界で最も睡眠時間が短いことでも知られる。野生の大人は1日平均30分の睡眠で過ごしていることが観察されている。

シマウマ:縞模様の有力説は虫よけ

シマウマはウマの仲間で、体長2m以上、体重200kg以上になる。短いたてがみ、硬い草をすりつぶす丈夫な歯、そして名前の由来である白黒の縞を持つ。

縞の理由は長く謎だった。草原でのカモフラージュ説や体温調節説があったが、現在有力なのは虫よけ説だと動画は言う。2022年に発表された研究では、シマウマと無地のインパラを比べると、ハエがまとわりつく回数はほぼ同じなのに、うまく着地できた回数はシマウマでは4分の1以下だった。一方、縞の太さは特に影響しないことも分かった。そのため、種によって縞の太さが違う理由や、顔の周りだけ縞が細い理由など、謎はまだ多く残っている。

ヌー:大移動と、川に還る死骸

体重300kgに迫るウシ科のヌーは、四角い頭、大きく曲がった2本の角、灰色の胴体、黒いたてがみ、あごひげを持つ。餌と水を求めて常に移動しており、1年で800〜1600km移動することもある。

移動を象徴するのが一斉出産だ。出産は雨季の始まりの数週間に集中し、多いときは全体の8割もの子がわずか3週間で生まれる。捕食者が食べきれないほどの数を一度に産むことで、我が子が襲われる確率を薄める狙いがあると考えられている。

大移動は命がけでもある。ケニアを流れるマラ川では、渡河の際の集団溺死が毎年のように起きる。ある調査では、100頭以上が溺れる集団溺死が15年のうち13年で発生していた。ただし動画は、これを無駄死にとは言い切れないとする。調査した年には平均6250頭、1100tのバイオマスがマラ川に入っていた。シロナガスクジラ10頭分に相当する死骸が中規模の川に毎年流れ込む計算になる。骨まで分解されるには7年ほどかかるため、ヌーの死骸は川の生態系の重要な栄養源になっている。

アフリカスイギュウ:多数決と集団防衛

ヌーより一回り大きいアフリカスイギュウは、大型個体で体長3m超、体重900kgになる。オスの角は根元が融合し、頭蓋骨を守る硬い盾となる。

獰猛で危険な動物として知られる一方、社会性は極めて高く、群れは2000頭に達することもある。群れがばらばらにならないよう、民主主義に似た行動を見せる。移動の際、各個体がそれぞれ行きたい方向を向き、最も「得票」の多い方向が採用される。そしてリーダーのメスが群れをその方向へ導く。

防衛も巧みで、危険が迫ると子供を群れの中心に囲い、捕らえられた仲間の悲鳴に応えて助けに向かう。群れがライオンとワニの両方から子供を奪い返したという観察例もある。巨体と盾のような角による防御の前では、百獣の王でも簡単には手を出せないと動画は述べる。

カバとサイ:水辺の化学者と、角ゆえの悲劇

カバは樽のような体で体重5tになることもある。巨大な口と、伸び続ける切歯と犬歯を持つ。目・耳・鼻の穴が頭のてっぺんに並ぶのは、体を沈めたまま周囲をうかがうためだ。血のような赤い汗の正体は、皮膚の下から分泌される酸性の色素である。この色素は紫外線を吸収する日焼け止めとして働き、同時に細菌の増殖を抑える抗菌剤としても働くことが分かっている。

カバは下流の湖の生態系も支えている。夜はサバンナで草を食べ、昼は川で排泄する。その過程で陸から川へ大量のケイ素を運んでいた。ある研究によると、カバは1日あたり400kgのケイ素を運び、湖に流れ込むケイ素の総量の76%に影響している。ケイ素は珪藻の細胞壁の材料で、珪藻は湖の食物網の土台である。そのため、カバが湖の生態系の鍵を握っていると動画は説明する。

サイは鎧のような厚く折り重なった皮膚と立派な角を持つ。角は骨ではなく、人間の髪や爪と同じケラチンでできている。視力は弱いが、嗅覚と聴覚に優れる。サバンナには複数種がいるが、大型のシロサイは最大3.5tになる。その巨体でも人間の手からは逃れられず、角を目的に狩られ続けてきた。とりわけ悲劇的なのが亜種のキタシロサイで、生き残っているのはメス2頭のみであり、動画は絶滅は決定的と言える状況だとする。ただ、保存された精子を使った体外受精などでこの亜種を救おうとする人々もいる。かつて100頭を切るまで減りながら回復した亜種ミナミシロサイの歴史が、わずかな希望になっていると動画は述べる。

インパラ、トムソンガゼル、イボイノシシ:中小型の草食獣の工夫

インパラは体重40〜80kg前後の中型のウシ科で、オスだけが竪琴型の角を持つ。後ろ脚の黒い房の根元には中足腺という匂いの腺がある。動画が注目するのは歯で、下の前歯と犬歯が櫛のように並び、2mmほど動かせる。インパラは仲間と交代で、互いの頭や首をこの櫛のような歯で毛づくろいする。毛づくろいは通常6〜12回、きっちり交互に繰り返される。地位の高い個体が多くしてもらうような不平等はなく、血縁のないオス同士でも対等にやり返し合う。目的は、自分の口が届かない場所からダニを取り除くことだと考えられている。霊長類以外の野生動物では珍しい協力関係である。生後1〜2週間の子供でも行うことから、進化の過程で得た本能的な行動だとうかがえるという。

トムソンガゼルは体重15〜35kg程度の小型のウシ科で、淡い体色に黒い横帯、白い腹、やや後ろに曲がった2本の角を持つ。最高時速70kmに達するが、捕食者に追われると奇妙な動きを見せることがある。4本の脚をピンと伸ばして、その場で高く跳ね上がる「ストッティング」だ。一見すると逃走中にエネルギーを無駄にしているだけに見える。しかし実際には、リカオンは跳ねた回数が少ないガゼルを狙う傾向があった。また、チーターのように忍び寄る捕食者に対してはあまり跳ねない。ここから、ストッティングは捕食者に自分の体力を誇示するためのもので、捕食者側もそれを参考にしていると推測されている。

イボイノシシは体重50〜150kg程度の野生のブタの仲間で、平たい大きな頭、上向きの牙、まばらな剛毛、背中のたてがみ、顔のイボを持つ。イボはオス同士の戦いで顔を守るクッションだと考えられている。顔が大きく脚が長い一方で首が短いため、食事の際は前脚の膝を地面につくような姿勢を取る。雨季は短い草を食べ、乾季には鼻先と牙で地面を掘って根なども食べる。ツチブタが掘って放棄した巣穴を住処として使うこともある。そのとき後ろ向きに入るのは、牙を穴の外に向けて、やってきた捕食者を迎え撃つためだという。

ヒヒ:順位とストレス、そして群れの「文化」

ヒヒは体重10〜30kg程度のサルの仲間で、犬のような鼻先、頑丈な顎、鋭い犬歯を持つ。森のサルに比べて尾の器用さでは劣るが、木登りはできる。サバンナに暮らす霊長類として、人間社会を映す鏡のように長く研究されてきた。

オリーブヒヒの群れを長年追った研究では、安定した群れの低順位オスに高いコルチゾール値と血圧、免疫の低下が見られた。順位が低いほど強いストレスを感じているということだ。一方、別の研究では、群れのトップは2番手よりもはるかに高いストレス状態にあった。動画はこれを、人間社会にも通じる部分があるのではないかと投げかける。

もう一つの例は、人間が長年観察してきたある群れの話である。1983年、ゴミ捨て場の汚染された肉から結核が発生し、そこで食事をしていたオスの半数が死んだ。死んだのは、ゴミ捨て場の資源を独占するほど攻撃的なオスたちで、残ったのは非攻撃的な集団だった。この傾向は10年後にも残っており、低順位のオスでも、一般的な群れの低順位オスほど強いストレスを受けていなかった。オスは思春期に生まれた群れを出るため、当時を生き延びたオスはもういないはずである。つまり、新たに加わったオスたちがその群れ独自の文化を学習して受け継いでいたことになる。

ダチョウ、ヘビクイワシ、ハゲワシ、モモイロペリカン:サバンナの鳥たち

ダチョウは現生最大・最重量の鳥で、背丈2.6m、体重135kgに達することがある。翼は走るときのバランス取りや求愛などに使われる。直径5cmの目は陸上動物で最大で、脳より大きい。最高時速70km、時速50kmなら長時間走り続けられ、一歩で3〜5m進む。群れでは生まれる前から生存競争がある。東アフリカでは2〜7羽のメスが同じくぼみにそれぞれ卵を産み、巣には30〜40個の卵が集まる。しかし1羽が抱ける卵はおよそ20個。リーダーのメスは抱けるだけの数以外をくぼみの外へ押し出し、押し出された卵は死んでしまう。リーダーは自分の産んだ卵を押し出すのは避けているらしいという。

ヘビクイワシは背丈1.2〜1.5mほどで、ワシのような体に、肉食の鳥では最も長い脚を組み合わせた独特の姿をしている。頭には羽ペンに似た冠羽があり、獲物を踏むための短く頑丈な指を持つ。狩りの方法は蹴りである。訓練された個体にゴム製のヘビを蹴らせ、隠した測定器で威力を測った研究では、一撃は体重のおよそ5倍に達し、脚が触れている時間はわずか0.015秒ほどだった。毒ヘビを狩るために、この一瞬の一撃を磨いてきたと考えられている。

ハゲワシは幅広い翼で滑空する大型の猛禽類で、多くの種がサバンナに生息する。頭と首は羽が薄いか裸であることが多く、鉤型のくちばし、鋭い視力、強力な胃酸を持つ。死後数時間で死骸に駆けつけ、その7割ほどを片付けることで、病気の拡散を防いでいると考えられている。羽のない頭は、死骸の内部に突っ込んでも汚れがこびりつきにくく、体温調節にも役立つ。飛翔能力も高く、コートジボワール上空の高度1万1300mで飛行機と衝突した事例は、最も高い高度を飛んだ鳥としてギネス世界記録に認定されている。

モモイロペリカンは翼開長3.4mにもなる大型の水鳥で、伸縮する喉袋、短い脚と水かき、桃色がかった顔と白い羽を持つ。鳥類では珍しく協力して漁をし、何羽ものペリカンが円を描いて魚の群れを閉じ込め、時には浅瀬に誘導する。ところが食べる段階になると協力体制は一気に崩れ、ペリカン同士で魚を奪い合うことも珍しくないという。

サバンナはなぜ森にならないのか

動画はここで、サバンナという環境そのものに目を向ける。サバンナは主に熱帯にある、森でも砂漠でもない草原の環境である。定義にもよるが、アフリカ大陸の中部から南部に多く、地球の陸地のおよそ2割を占めるとされる。

なぜ森にならないのか。答えは雨量だけでは説明できないと動画は言う。ある研究によれば、年間降水量が650mm以上あれば草原に木が生い茂り、やがて森になるはずである。それでも草原が保たれているのは、乾季に起きる火事や、ヌーなどの草食動物が木の芽を食べるためだと考えられている。逆に言えば、それらの影響がなければ、雨の多いサバンナは森に変わってしまう不安定な環境だということになる。

ビクトリア湖とナイル川:新しい湖と、変わった大河

サバンナを潤す水をたどると、アフリカ最大の湖ビクトリア湖に行き着く。熱帯の湖としては世界最大で、淡水湖としては世界で2番目の広さを持つ。しかし湖としての歴史は浅く、およそ1万5000年前に一度完全に干上がったと考えられている。現在の湖は、そこに再び水が満ちてできた比較的新しい湖である。この湖ではシクリッドと呼ばれる熱帯魚が繁栄し、多くの種に分かれた。しかし20世紀になると、人間の手によって次々と絶滅していく。一説では、1992年の時点で300種以上の固有種のうち約200種がすでに絶滅したか絶滅の危機にあった。主な原因は、漁業のために導入された肉食魚ナイルパーチだと言われている。

ビクトリア湖から流れ出た水はナイル川になる。ナイル川には二つの源流がある。ビクトリア湖に発する長い白ナイルと、エチオピアのタナ湖に発する青ナイルだ。短い青ナイルの方が、水の量も運ぶ肥沃な土の量も多い。毎年の氾濫が運ぶ黒い泥が、砂漠に文明を育てたと動画は述べる。

その姿は20世紀に大きく変わった。1970年に完成したアスワン・ハイ・ダムは毎年の氾濫を制御し、安定した水と電力をもたらした。しかしその代償として肥沃な土をせき止めた。完成後、運ばれる土砂の98%以上がダム湖にとどまるようになった。土の供給を断たれたナイルデルタは少しずつ沈み込み、地中海の波に削られて縮み始めている。

ナイルワニとナイルオオトカゲ:水辺の捕食者

ナイルワニは全長6mに達することもある大型の爬虫類で、背中は骨質の板で覆われ、力強い尾を持つ。噛む力は生物界でも最大級である。獲物の大部分は魚だが、時にはヌー、シマウマ、カバまで食べる。一説では、ナイルワニに襲われて命を落とす人は年間最大200人にのぼる。主に川辺で洗濯をしている人が誤って襲われているのではないかと考えられている。一方で、爬虫類には珍しく子育てが手厚い。母親は巣を守り、孵化した子が出られるよう巣の上の土を取り除く。孵化した子を口にそっとくわえて水辺へ運ぶ様子も観察されている。

ナイルオオトカゲは全長最大2mの、アフリカ最大のトカゲである。平たい尾を舵のように使って巧みに泳ぎ、10分以上潜っていられる。魚や鳥のほか、卵や肉も狙う。動画によれば、こうした食性によってナイル川の生態系のバランスを保ち、外来種や疫病の蔓延を防いでいる。そのため、数が生態系全体の指標にもなり、極端に減れば付近の環境破壊などが疑われる。また、シロアリの塚に卵を産みつけることでも知られる。塚の中は温度と湿度が孵化に最適で、卵は6〜9か月ほどそこで過ごすという。

サバンナに暮らす人間:マサイ族

最後に動画は、サバンナに生きるのは野生動物だけではないとして、マサイ族を紹介する。マサイ族はケニアとタンザニアにまたがって暮らす、牛とともに移動する半遊牧の民である。季節の雨を追って牧草地を巡り、草に回復の時間を与えながら、野生動物と長く共存してきた。ただし、国立公園の設立に伴う立ち退きなど、その歴史は平坦ではなく、土地をめぐる問題は今も続いていると動画は指摘する。

動画は、人と草と川と無数の野生動物が互いに影響し合い、支え合う一つの大きなつながりとして、この大地が動いていると述べて締めくくられる。