ダッシュボードの先で「直す」まで担う──AIコスト時代のFinOpsスタートアップPointFiveを読み解く
東京大学FoundXFoundX Review Startup IdeaCastは、海外スタートアップのアイデアをAIで分析し、起業家や新規事業担当者向けに紹介する番組である。今回取り上げたのは、クラウドやAIインフラのコスト最適化に取り組むPointFiveだ。解説役は、AIのトークン費用が膨らむ時代にそれをどう管理するかという問いに挑む企業として同社を選んだ。従来のFinOpsが得意としてきた「見える化」にとどまらず、エンジニアが実際にコードや設定を「直す」ところまで踏み込もうとしている点に注目したという。
番組の冒頭で、分析はAIを使って情報を整理したものであり、一部が古かったり誤っていたりする可能性があるという断りがあった。以下の数値や経緯も、番組内で紹介された内容として読んでほしい。
雑談:高性能モデルの使い方とコストへの意識
本編の前に、2人は最近使っているClaude Fableについて話した。聞き手はFableについて、長く考えてくれる点や、複雑な内容でもきちんと整理してくれる点を評価し、コーディング用途に向いていると感じている。ただしコーディングまで任せるとコストが高くつくため、アプリの改修計画だけをFableに立てさせ、実行は別のモデルで行うという使い分けをしているという。そのうえで、本当に性能が良ければサブスクリプションではなく従量課金でも使ってしまうだろうとも話した。
解説役もFableを使っているが、良くも悪くも自律性が高いと感じている。論文修正の計画だけを頼んだつもりが、モデルが自分でファイルを作り始めたことがあったという。少し使うだけで利用上限に近づくため、ヒヤヒヤしながら使っているそうだ。この雑談は、AIの利用がコストに直結し、しかもモデルの自律的な振る舞いで予想以上に消費が進むという、本編のテーマの前振りになっている。
PointFiveの全体像:財務レポートからエンジニアリングの運用へ
解説役によれば、PointFiveは、クラウドやAIのコスト効率化を「財務のレポート業務」から「エンジニアリングの運用規律」へ変えるプラットフォームを掲げている。これまでのFinOpsは、財務向けのダッシュボードによる可視化が中心だった。PointFiveはその一歩先に進み、エンジニアリングのどこをどう修正すればよいかという実行のワークフローまで介入しようとしている、というのが解説役の整理である。
対象もクラウドに限らない。LLMのAPI呼び出し費用、場合によってはGPUやTPU、AIコーディングエージェントのトークン利用など、細かく変動するコストを可視化して最適化することを目指している。番組では、同社がシリーズBで6,000万ドルを調達し、2024年から2025年の1年間でARRが6倍に成長したと紹介された。解説役は、AIのコスト管理という追い風を受けて伸びている企業だと見ている。
同社のキーワードの一つが「Deep Waste(深い無駄)」だ。クラウドの規模拡大と複雑化によって生じる、使われていないリソースのような表面的な無駄は分かりやすい。PointFiveはさらに踏み込み、コードに起因する無駄やアーキテクチャ上の無駄を把握しようとしている。表面的なアイドルリソースの背後にあるインフラのコード、設定、依存関係、性能といったエンジニアリングの問題へ翻訳し、どう解けばよいかを示すという考え方である。
解説役は、PointFiveを「既存カテゴリーの次のボトルネックを解きに行くスタートアップ」と位置づけた。前回取り上げたスタートアップが「検証」を次のボトルネックとしていたのと同じように、PointFiveは「コスト」という次の問題を先取りしようとしており、だからこそ今注目されている、という見方だ。
AIトークノミクスが変えるコストの性質
聞き手は、AIのトークノミクスがどのような変化をもたらすのかを尋ねた。解説役はまず、AIの利用では問い合わせ1回ごと、トークンごと、エージェントの実行ごとに費用が積み上がると説明した。従来のSaaSやインスタンスの時間課金と比べて変動性が高い。スタートアップの世界でも、AIを大量に使うとコスト構造が変わるとよく言われており、解説役もその通りだと考えている。
AIのコストは従来のクラウド費用より単位が細かく、変動も激しい。部署別や用途別に把握することも難しい。そのため月次請求を分析するだけでは足りず、開発現場やビジネスの現場で使い方をどう変えるかが問われる。解説役は、「この作業は軽いモデルに回したほうがよいのではないか」といったルーティングの判断にまで、今後こうしたツールが関わっていくのではないかと推測した。
既存ツールで足りない理由についても、解説役は説明した。現在のツールの多くは財務や予算向けの可視化が中心である。しかし実際に修正するには、エンジニアが安全性や依存関係を判断しながら手を動かす必要がある。その実装や修正の部分まで踏み込んでいるツールは多くないと言われている。ダッシュボードやレポートを作っても、それが実際のタスクに変換されなければ意味がない。PointFiveはそこをエージェント的に処理しようとしているのではないか、と解説役は見ている。
課題:コスト超過は見えても「誰が何を直すか」が分からない
PointFiveが想定する顧客は、年間100万ドル以上のクラウドやAIインフラ支出を持つ大規模エンタープライズのエンジニアやFinOps担当者だ。解説役は、彼らの痛みは単に費用が高いことではないと説明した。コストが超過しているのは分かるが、誰がどう直せばよいか分からず、そこで止まってしまう。これがPointFiveの捉えている課題である。
番組では、84%の組織がクラウドコストの管理に苦戦しているという調査が紹介された。ほかにも、ダッシュボードで警告が出ても誰がどのコードをどう直すかという技術的な文脈が欠けていること、エンジニアは機能追加に追われて最適化のチケットを放置しがちなことが挙げられた。財務部門が異常を見つけても設定は変更できず、エンジニアは後回しにしやすい。Cloudabilityのような既存のFinOpsツールや、AWS純正のCost Explorerは、コスト配分や予算管理には強い。しかしエンジニアがすぐに修正できるだけのコンテキストは提供できていない、というのが番組での整理だった。
解説役は、これを単なる情報不足ではなく、組織の責任分担の問題だと捉えている。Ops、プラットフォームチーム、アプリチーム、SRE、財務のあいだで、コスト最適化の責任が抜け落ちてしまうのだ。
聞き手は、エンジニアがコスト最適化を後回しにする背景を尋ねた。解説役は、これも組織の問題だと答えた。エンジニア組織には売上を伸ばす機能開発のKPIが設定されやすい。信頼性、セキュリティ、納期に関わるチケットも優先されがちで、コスト削減は「動いていればいいのでは」という扱いになりやすい。加えて、コスト削減の試行錯誤に失敗すると障害や性能劣化につながるため、心理的なコストやリスクも高い。修正の安全性が明確でなければチケットは滞留する。インセンティブの面でも、失敗したときの影響の面でも、悩ましい領域だと解説役は述べた。
解決策:Deep WasteとAgentic Remediationの循環
PointFiveの解決策は「Agentic Remediation」と呼ばれる、修正を回す自動循環サイクルである。解説役の説明によれば、同社は500以上の独自ルールを持ち、それに基づいて修正すべき点を洗い出す。流れはおおむね次のとおりだ。
- Deep Wasteの検出:表面的な利用率だけでなく、設定、依存関係、請求をまたいでコードレベルの無駄を見つける。
- プルリクエストのエージェント的な生成:Jira、Slack、IDEなど既存のエンジニアリングツールにつながる形で修正案を出す。別のツールでダッシュボードを見て、自分で翻訳する負担を減らす。
- 人間による承認:エンタープライズで特に重要なHuman-in-the-Loopの設計。完全に自動で修正するのではなく人間が承認し、TerraformやKubernetesなどInfrastructure as Codeの仕組みを通じてデプロイする。どこまでできるかは顧客のクラウド運用の成熟度にも左右される。
- 効果検証:削減見込みではなく実際の請求データでROIを確認し、継続契約につなげる。
導入はエージェントレスかつ読み取り専用で、安全かつ手軽に進められるとされる。導入にかかる時間は約14分と言われており、インフラ設定の深い部分まで入り込んで示唆を出せる点が好評だという。ROIの例として、デジタルバンクのNubankでのPoCでは、導入からわずか10日で年間契約相当の投資を回収したと紹介された。顧客の平均ROIは1,000%以上とも言われている。
聞き手がROIの計算方法を尋ねると、解説役は、プルリクエストがマージされたあと、翌月以降の請求データで確認された実際の削減額にもとづいていると答えた。人間の承認が挟まる点については、「こう修正してはどうか」という提案がレビュー担当者に届き、人間が責任を持って検証してから通す形だという。
用語についても補足があった。Deep Wasteとは、請求、テレメトリ、設定、コミット情報を組み合わせ、未使用リソースだけでなく、設定起因、アプリケーション起因、データライフサイクル、アーキテクチャ上の非効率まで検知する仕組みを指す。Agentic Remediationは、Terraform、CloudFormation、Jira、Slackなどにエンジニアがレビューやマージをしやすい修正案を出すもので、CI/CDの仕組みにも接続しているという。
AIトークンについては「TokenShift」というツールも提供している。AIコーディングエージェントのトークン利用を可視化・最適化・ガバナンスする、ローカル実行型のツールだ。デザインパートナーとの検証で10〜20%のトークン削減を確認したと言われている。
クラウド費用からAIトークン費用へ:市場の変容
解説役によれば、ここ2〜3年で、大手企業の関心はクラウドコストの最適化から、クラウドとAIを含む変動的な原価の管理へと移りつつある。従来のクラウド費用は月額、時間単位、インスタンス単位といった比較的大きなブロックで発生していた。これに対してAI費用は、1トークン、1回の呼び出し、1回のエージェント実行というマイクロトランザクションに近い。その結果、コストは固定的なインフラ費用というより、プロダクトの利用量に比例する性質に近づく。そこに管理の必要性が生まれ、新しい市場ができる、というのが解説役の見立てだ。AIワークロードの急増でインフラコストは変動が激しくなり、しかもブラックボックス化している。そのトークノミクスを管理する需要に、クラウド費用やデータ基盤の費用も重ねて、まとめてコストをマネジメントする。これが一つのポイントだという。
攻め方としては、まず大手テック企業や金融機関のプラットフォームエンジニアリングチームに絞り、その後に広げていく。最初から全企業を狙うのではなく、痛みが強い、あるいは削減額が大きいところから入ろうとしているようだ。
聞き手が、AIのコストはクラウド費用とそれほど違うのかと確かめると、解説役は、使えば使うほど費用が積み上がり、発生するタイミングも細かいと答えた。冒頭の雑談にあったように、AIが勝手に自律的に動いてしまうことも管理を難しくする要因の一つだという。さらに、利用量はプロダクトの機能や従業員のAI利用に直結し、モデルの選択、プロンプト設計、キャッシュ、ガードレールの有無によっても費用が変わる。コストが大きくなることはある程度分かっているが、調整すべきレバーが多く、それを扱うのが大変だというのが解説役の見方である。
聞き手はリスクについても質問した。AI自体が安くなったら、PointFiveはどう価値を維持するのか。解説役はそれをリスクとして認めた。単価の低下、オープンウェイトモデルの普及、安くて速いモデルの登場は脅威になりうる。一方で、利用量やエージェントの実行回数、データ処理量が増えれば、単価が下がっても総額は増えるだろうとも述べた。ローカルLLMという選択肢もないわけではないが、最先端の用途ではやはり増えるのではないか、という程度のリスク把握だという。いろいろなシナリオがありうるが、そこに挑戦するのがスタートアップらしいとも付け加えた。また、コスト管理はいずれ「安く使う」だけでなく、誰が何に使ってどれだけ価値が出ているかを見るものになるだろうと解説役は考えている。価値が生まれるなら利用量も増え、管理すべき量も増えていくという見方だ。
ビジネスモデル:削減額の大きい顧客へのエンタープライズSaaS
PointFiveはエンタープライズSaaSとして、削減額の大きい顧客に販売している。年間数百万ドル以上のクラウドやAI支出があれば、数%の削減でも大きな価値になるからだ。導入のハードルを下げるため、14分のスキャン、48時間以内の価値証明、10日でのROI達成といったメッセージを前面に出しているという。
価格は、年間のクラウドやAI支出に連動する段階的なサブスクリプションモデルのようだ。解説役がどこかの資料で見た例として、支出300万ドルで約7万ドル、支出700万ドルで約14万ドルという数字が紹介された。ただし、スケールしたあとの価格体系がどうなるかは分からないと解説役は述べている。
営業面で解説役が強みと見るのは、コスト削減の提案が「新しい予算をください」ではなく「既存の無駄から支払う」形になる点だ。コンサルティングファームの話を聞いても、コスト削減の案件は分かりやすく、受注しやすく、成果も出しやすいという。
一方でビジネスモデル上のリスクもある。初期の大きな無駄を削ったあとも継続的な価値を出せるか、1回入って終わりにならないか、という点だ。聞き手も、最初に大きく減らしたら「もう十分」となりかねないのはかなりのリスクだと応じた。解説役は、特にアーキテクチャのようなDeep Wasteを一度直してしまうと、この点が論点になるだろうと述べた。継続利用につなげるには、新しい検知ルールを追加し続けること、対象領域を広げること、複数の機能を組み合わせて離れにくくすることが大事だという。LTVを伸ばすには、費用削減にとどまらず、データ基盤、AIトークン、GPU、開発IDEなどへ広げるか、別の価値を提供しなければならない。解説役はこれを、成長させるのが難しいビジネスだと評した。
ただし、顧客が新しいサービスを始めたり、設定を変えたり、AIの利用を増やしたりすれば、無駄は次々に生まれる。それを常に見ておくという訴求はできる、とも解説役は付け加えた。聞き手も、顧客自身が成長している会社であれば常に改善の余地がありそうだと応じた。LTVを高める方法については、一度ワークフローに入り込み、そこからコンパウンド型で新製品や新しい検知領域を追加していくことが挙げられた。FinOpsから入り、プラットフォームチームやCFO向けのレポーティングまで含めれば、高いLTVを達成できるかもしれないという。
「AI Efficiency OS」:横断レイヤーを取りに行く構想
LTVを高める戦略として、解説役はPointFiveが掲げる「AI Efficiency OS」を取り上げた。キーワードは「コンパウンド型」である。単機能のSaaSではなく、クラウド、Kubernetes、データ基盤、AIモデル、開発者ツールを横断するレイヤーを、Deep WasteとRemediationの仕組みで作ろうとしている、というのが解説役の整理だ。
構図としては、下層にAWS、Azure、GCP、Snowflake、AIモデルなどの「インフラファブリック」があり、上層にはチャット、エージェント、アプリケーション、さらにユーザーとのインターフェースがある。PointFiveはその中間に一つのレイヤーを置き、研究、検知、修正プルリクエストの生成、効果検証を集約する。アプリケーションとインフラのあいだのやり取りを仲介するミドルウェアを取りに行く、という見立てである。インフラが複雑になるほど個別ツールでは根本的に解決できなくなるので、それを統合的に扱うミドルレイヤーになる、という考え方だ。
10年後の理想像として、解説役は次のように説明した。セキュリティの脆弱性スキャンが開発で当たり前になったのと同じように、コスト効率のスキャンがCI/CDのプルリクエストやテスト、レビューに毎回組み込まれる。そうなれば、エンジニアリングのパイプラインの一部として最適化と修正が進む世界を作れる。ただし、最初からOS全体を作ることはできない。まずIaaSのコスト削減で信頼を獲得し、次にAIが出てきたのでAIトークノミクスで信頼を得る、というように少しずつ広げている、というのが解説役の見方だ。
聞き手は、そもそもなぜSaaSではなくOSを目指すのかを尋ねた。解説役は、コストの原因がクラウド、データ基盤、AI、Kubernetesなど複数のツールにまたがり、原因と修正の全体像が見えにくくなっているからだと答えた。単機能のツールでは顧客にとって隙間が残る。複合的に見て実行までつなぐレイヤーが必要になる、というのが同社の仮説だろうという。開発範囲が広すぎるのではという問いには、IaaSやAWSの最適化という分かりやすい価値から入り、証明できたら横に広げる、という順番で進めていると答えた。
ロードマップ:AWSからデータ基盤・AIへ
番組で紹介されたロードマップは3段階だった。フェーズ1では、AWS環境での深い無駄の検知に絞った。手作業での対応も含めて自動化の範囲を見極め、実データでROIを証明した。フェーズ2では、Azure、GCP、Kubernetesへ対象を広げつつ、修正プルリクエストの自動生成、つまりAgentic Remediationを確立した。フェーズ3では、AIとデータのエコシステムに入り込む。Snowflakeなどのデータ基盤、TokenShiftによるAIトークンの最適化、MCPを通じた開発者IDEへの直接介入へと広げているようだ。
解説役が評価するのは、広い市場を狙いながら入り口は狭く深くしている点である。顧客の財布に直結する領域で拠点を作り、そこから横に展開している。顧客環境に深く入り込むほど、検知ルール、修正パターン、ROIデータが蓄積され、それが次の拡張の資産になる。さらにTokenShiftによって、重心をクラウドインフラから開発でのAI利用へ移し、今のトレンドに乗っている、というのが解説役の見立てだ。
最初にAWSを選んだ理由を聞かれると、解説役は、支出規模が大きく削減のインパクトを出しやすいこと、顧客がすでに痛みを感じていたことを挙げた。今後の難所については、フェーズ1から2へワークフローをエージェント的に広げるところまではまだ進めるだろうと述べた。そのうえで、フェーズ2から3、つまりAIとデータ基盤への拡張は自然な流れではあるが難易度が上がるという。修正プルリクエストの生成は顧客環境ごとの違いが大きい。AIトークンの削減は開発者体験を損ねると受け入れられにくい。データ基盤はコストモデルが複雑で、業務上の価値と結びつけるのも難しい、と解説役は説明した。
競争環境とモート
競争環境について、PointFiveは2軸で自社を位置づけているという。横軸は対象領域で、IaaSだけか、それより広いか。縦軸は機能の深さで、可視化・財務向けか、自動修正・エンジニア向けか。この図でPointFiveは右上、つまり対象が広く実行力も深い位置に置かれる。解説役は「ちょっとずるいグラフ」と前置きしたうえで、次のように紹介した。CloudabilityやAWS純正ツールは財務向けの可視化や予算管理には強いが、修正の実行まではできない。Kubernetesに特化したCast AIのようなプレイヤーは実行力があるが、対象が狭い。これが同社による整理だという。
同社が挙げるモートは3つある。1つ目は研究チームで、未知の無駄を継続的に発見する能力が単なるルールベースのツールとの差だとしている。サイバーセキュリティの脅威ハンティングのような発想で、未知の無駄を自社研究で探し続けるという。2つ目はAgentic Remediationで、検知にとどまらず、エンジニアがレビューできるIaCの修正プルリクエストの生成まで深く統合していること。3つ目は「エージェントレス&ゼロドリフト」で、読み取り専用で接続し、設定のドリフトを起こさない設計にしていることだ。顧客環境に余計な変更を加えないので、エンタープライズに安全に導入できると主張している。
聞き手が、本当に効くモートはどれかと尋ねると、解説役は自身の見立てを示した。まず、無駄のパターンの蓄積である。検知ルールを改善するための無駄のパターンを蓄積し、ほかの顧客に当てはめられることが、最終的なモートになるのではないかという。次に、修正プルリクエストのうちどれが安全にマージされたか、どれが却下されたかというデータから学習できること。そして、一度ワークフローに入れば、FinOpsやエンジニアリングの中でほかの領域にも広げていけることだ。
最も危うい点としては、修正プルリクエストの品質が挙げられた。誤検知、性能劣化、障害といったリスクが実際に表面化すれば、価値と信頼を一気に失いかねない。また、良い提案ができても、顧客社内の承認フローが多ければプルリクエストがマージされず、削減が実現しない。その場合、結局は価値が可視化で止まってしまう可能性がある、と解説役は指摘した。
参入戦略:MVPではなく「MIP」
参入の切り口として狙ったのは、大規模エンタープライズのプラットフォームエンジニアの苦痛である。ダッシュボードで予算の超過は見えているが、誰がどのコードを直すべきか分からない。そこに入り込むために同社が掲げたのが「MIP(Minimum Integrable Product)」、つまり統合可能な最小単位のプロダクトだという。完璧な自動化ダッシュボードを作る前に顧客の実データに接続し、手作業の裏方作業も交えながら素早くROIと削減額を示す。14分で導入できるようなプロダクトがその入り口になった。PMFに至るかどうかは、実際の請求データで削減が確認されるかがポイントになるだろう、と解説役は見ている。
TokenShiftのように、開発者のIDEやAIコーディングエージェントとLLM APIのあいだに入り、コンテキストや無駄なトークンを削減する入り方もありうるという。解説役は、MVPよりもこうした小さな統合型のツールのほうが実は入りやすいのかもしれないと述べた。一方で、開発者のローカル環境やIDEに入るにはセキュリティ審査が厳しいという難しさもあると付け加えた。
聞き手がMVPとMIPの違いを尋ねると、解説役は次のように整理した。MVPは最小機能の製品であり、MIPは顧客環境に統合されて実データで価値を出せる最小単位である。エンタープライズではワークフローが固まっている場合が多く、単体で動くことよりも既存のワークフローにどう入るかが重要になる。だからこの考え方には意味がある、という。
TokenShiftが入り口として有望な背景については、AIコーディングエージェントのトークン利用が急増している一方で、コストの可視性が低いという、目の前に突然生まれた痛みがあるからだと解説役は説明した。開発者のIDEに近い場所で制御できれば、コストが発生する地点に直接介入できるので節約しやすい。さらに、クラウド管理者だけでなく開発者組織全体に広がるきっかけにもなりうる、と解説役は見ている。
創業チーム:サイバーセキュリティ出身者が見た「コスト管理の地獄」
創業者たちはシリアルアントレプレナーである。イスラエル国防軍の8200部隊の出身で、サイバーセキュリティ企業IntSightsを創業し、Rapid7に約500億円で売却した経験を持つと紹介された。PointFiveの起点となったのは、買収された先の大企業でクラウドコスト管理の「地獄」を自ら体験したことだという。売却後、本来受け取れるはずだった対価を放棄してまで、新しい領域で起業を決意したと言われている。
チームは、前職から10年以上を共にしてきたCEO、CTO、CPOの3人である。解説役によれば、イスラエルでは同じチームで起業を繰り返すパターンがよくあり、その分実行力に定評がある。B2Bのインフラ領域では、信頼された創業チームは大きな強みになる。彼らが経験した「サイバーセキュリティの脅威探索とパッチ対応の地獄」と「FinOpsの地獄」の掛け合わせを解こうとしており、それが巨大なTAMにつながっている、というのが解説役の見方だ。
聞き手がサイバーセキュリティとのつながりを尋ねると、解説役は、見えにくい問題を探す、優先順位をつける、修正するという構造が似ていると答えた。脅威を検知するようにコストを検知する。脅威インテリジェンスの発想を「ウェイスト(無駄)インテリジェンス」に転用し、ダッシュボードにとどめず修正アクションまでつなげている、と言われているという。「よっぽど嫌だったのでは」と聞き手が冗談めかすと、解説役は、新しい機会を見つけたから次に行こうという前向きな動機のほうかもしれないと応じた。
初期の学び:見える化だけでは行動は起きない
解説役によれば、同社の最も重要な学びは「ダッシュボードを与えれば直してもらえる」という前提が誤りだったことだという。見える化は必要だが、それだけでは行動が起きない。これはFinOpsやB2B SaaSによくある落とし穴である。エンジニアが動くには、修正案がプルリクエストとして提示され、ワンクリックに近い形でレビューやデプロイができる必要があった。
検証の進め方は、裏側は手作業、表側は自動化されているように見せるという、昔ながらの「オズの魔法使い型MVP」に近いものだったようだ。解説役は、B2Bでは非常に現実的な初期検証の方法だと評価している。こうすることで過剰な作り込みを避けられる。顧客に見せる前に完璧なプロダクトを作るのではなく、どこを作るべきかを把握し、自動化できる機能だけを実装して、手作業での学びを自動化につなげていったという。
マイルストーンとしては、初期にデザインパートナーの実データで検証し、ローンチから6か月でARR 100万ドル(約1.5億円)を突破した。翌年には6倍に成長し、冒頭で触れたNubankでの10日間のROI証明も実現した。現在はトークノミクスの波に乗ろうとしている段階だと解説役は説明した。ダッシュボードを渡しても直らなかった理由について、解説役は、可視化しても実行責任者に動くインセンティブがない、あるいはタスクが多すぎるといった事情があったのではないかと推測している。
資金調達:希薄化よりもスピードを優先
資金調達は、シードでIndex Venturesから1,600万ドル、シリーズAでSalesforce Venturesから2,000万ドル、最近のシリーズBでAccelから6,000万ドルと紹介された。累計は約1億ドルになる。シリーズBは、クラウドコストの最適化からAI Efficiencyへ拡張し、AI領域へ本格展開するための資金だと言われている。
解説役が注目するのは、希薄化を抑えることよりも、圧倒的なスピードでシェア1位を取りに行く姿勢である。記事によっては希薄化が激しいと書かれていたという。この市場では、クラウド事業者の純正機能が追いつく前に、またAIやデータ料金を含むエコシステムが固まる前に、どれだけ早く取り切るかが重要になる。コスト削減は価値が分かりやすいぶん、競合が数多く出てくる可能性が高い。だからその前にアクセルを踏んだのだろう、と解説役は読んでいる。一方で、資本を入れるほどプロダクトの範囲が広がり、焦点を失うリスクもあるとした。
拡大以外の理由を聞かれると、解説役は対象領域の広さを挙げた。IaaS以外のデータ基盤やAI、さらにIDEまで行くならかなり広い。エンタープライズ営業、セキュリティ、サポート、研究チームにも資本が必要になる。競合が来る前にカテゴリーリーダーの位置を占めるにはスピードが重要だという判断だろう、と解説役は述べた。投資家の選び方については、Salesforce Venturesにはエンタープライズ顧客との接点の提供、Accelにはグロース領域での投資実績と投資先ネットワークでの利用拡大を期待しているのではないかと推測した。B2Bインフラ事業では、投資家が顧客紹介や信頼の補完を担ってくれることも狙いだろうという。
日本市場への示唆:AIが出した3つのアプローチ
番組では、日本企業が同様の領域に参入する場合のアプローチを、AIに3案出させて比較した。
案Aは、SIerやMSPの既存の運用保守サービスに無駄の自動検知機能を組み込む方法である。既存の顧客基盤を使える一方、エンドユーザーのエンジニアから遠くなるという欠点がある。案Bは、オンプレミス、閉域網、平家的なレガシー環境など、日本特有のハイブリッド環境に特化する方法だ。ただしAPIの制約があり、全自動化の技術的ハードルが高く、市場も小さくなる。案Cは、AIが「勝ち筋」とした、TokenShiftの日本版に特化する方法である。日本語LLMやRAGのコンテキスト削減を扱い、開発者のIDEやCI/CDに直接入り込む。トークン最適化、いわば「トークンのためのFinOps」を入り口にして、それを日本企業特有の承認フローやプルリクエストに接続する形で拡張していく、という提案だった。
案Cの有望さについて、解説役は、クラウド領域にはすでに一定の競合がいるのに対し、AIトークンのような新しく出てきた需要にはまだ明確な勝者がおらず、今から入るならありうる入り方だと述べた。
導入時に越えるべき壁としては、セキュリティ審査、権限設計、既存システムとの接続が挙げられた。さらに、提案された修正を誰が承認するのかという組織上の問題もある。技術だけでなく、承認フローまで含めてプロダクト化する考え方が必要になる、と解説役は指摘した。
まとめ:「見る」から「直す」への橋渡し
最後に解説役は、PointFiveから引き出せる示唆を3つにまとめた。1つ目は、見る段階から直す段階への転換である。多くのB2BサービスやAIサービスは可視化で終わってしまう。しかし価値が大きいのは、それを行動、修正、成果までつなげることであり、PointFiveはそこに焦点を置いた。2つ目は、別の領域のメンタルモデルの転用だ。セキュリティの脅威ハンティングや脆弱性対応の考え方を、インフラやAIの無駄の発見と修正に持ち込んだ点が面白いという。3つ目は、AI時代のコストのパラダイム変化に沿っていることだ。コスト最適化は単なる節約ではなく、セキュリティやバグ修正と並ぶソフトウェア品質の一つになるかもしれない。そうなれば、コスト削減から入って、エージェントをうまく使うための方法論として、開発者にとっての必須ツールになれるかもしれない、と解説役は述べた。あわせて、完璧なダッシュボードを作る前にMIPを作り、手作業で回してから自動化していく進め方を、スタートアップの理想的な入り方の一つとして挙げた。
聞き手は、「こうすればよい」と示すだけでなく、具体的な行動まではしごをかけるという発想が、ほかの分野でもヒントになると感想を述べた。自分たちが関わっている起業家教育でも、望ましい行動を促すには言うだけでは足りず、具体的な行動に落とし込み、少しずつつなげていく必要がある。その橋渡しをツールでできないかと考えることは、ほかのアイデアにも通じるという。解説役は、AIを使えば可視化したあとの行動をAIがある程度考え、作業まで担う世界に近づいているとして、そこを取りに行ってほしいと締めくくった。
皆さん、こんにちは。FoundXの田です。
同じくFoundXの富田です。
今日は雑談としては、フェイブルクロードの話を少しできればと思ってます。
はい。
すごいなって思ってます。
どういう点がすごい感じですか?
結構なんでしょうね。やっぱりすごい長く考えてくれるとか、割と複雑なものでもちゃんと整理してくれるとか、結構その辺はコーディングとかですごいなって思ってますね。
確かに。どんなことをお願いしてるんですか?
とりあえず今のアプリの改修計画を。コーディングまでしてもらうと結構コストが高いので、計画を立ててもらって、実行は別のやつでやるみたいな感じですね。
はい。いや、そうですね。
6月は分からないっていう感じですよね。
です。ただ、本当に性能が良ければ、サブスクリプションじゃなくて従量課金でも使っちゃうんだろうなと思ってます。
いや、そうですよね。私も使ってるんですけど。そうですか。
はい。使ってて、良くも悪くも自律性が高くて、私も計画だけ立ててもらおうと思ったんですよ。論文の修正の計画を立ててくださいって言ったら、ファイルを作り始めて、すごいですね。ちゃんとそうしますって言ってました。ちょっと使うだけで結構、プライシングというか、リミットに行きますもんね。
かなり来ます。かなりヒヤヒヤしながら使ってます。
私もなので、次のリミットのクリアが日曜とかなので、それまでに使い切るみたいな感じにしようかなと思ってます。
そうですね。
はい。そんな今日は、AIに関する、AIのコストに関するスタートアップを紹介していきたいと思ってます。FoundX Review Startup IdeaCastでは、海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析して紹介する番組です。これからアイデアを考える人たちの参考になればと思います。
最初にディスクレーマーですが、AIを活用して情報を整理しているので、一部情報が古かったり間違ってる場合もあります。ファクトを重視される場合は必ずご自身で調べるようお願いします。本Podcastはあくまでアイデアの参考情報とか考え方を引き出すことを目的にしています。ということで今日は、このAIのコスト削減みたいなところをやっているPointFiveというスタートアップを紹介したいと思います。
こちらはどうして選んだんでしょうか?
そうですね。本当にこのAIのトークン費用とかが高くなってきている時代において、ここをどうマネジメントしていくのかというのが非常に面白いスタートアップかなと思っていて。いわゆるこれまでのFinOpsとは違う、AI Efficiencyみたいなところを掲げてやろうとしていて、そうした動きから何か参考になるところはないかなと思って、今日取り上げたいなと思ってます。
はい、ということで早速ですが入っていきたいと思います。全体像です。まずこのスタートアップなんですけども、クラウドやAIのコストの効率化を、財務のレポート業務からエンジニアリングの運用規律に変革するプラットフォームということを言っています。少し分かりづらいので詳しく言うとですね、これまでのFinOpsっていうところに関しては、財務のダッシュボードみたいな、いわゆる見える化っていうところが中心だったんですが、それだけではなくて、その一歩進んで、実際にはエンジニアリングでどこをどういう風に修正すればいいのかみたいな、そうした実行のワークフローまで介入していこうとしているのがこのPointFiveなのかなという風に思っています。
さらに、従来のFinOpsはクラウドとか、そっち系だったんですけども、今回AIも入ってきて、クラウド費用だけではなくて、LLM呼び出しのAPIとかの金額とか、場合によってはGPUとかTPUとか、AIコーディングエージェントのトークン利用というものを細かく、変動的になってる部分をちゃんと見える化して最適化していこうというようなことをやっているスタートアップです。このPointFive自体は2026年6月に、シリーズラウンドで60Mを調達しているスタートアップで、2024年から2025年までの1年でARR6倍成長ということで、AIのコスト管理の追い風を受けて成長してるスタートアップなのかなという風に思っています。
従来の表面的な無駄ですね。クラウドの規模の拡大と複雑化によって、いろんなクラウドを作っていく、使っていくとか、いろんなサービスを使っていくみたいな中で、いろんな無駄が発生してきていますというのは分かりやすいんですが、それをこのPointFiveはさらに一歩踏み込んで、Deep Wasteみたいなことを言って、コード起因の挙動を原因とする無駄とかも把握してそこを直していこうとか、アーキテクチャの無駄とかを直していこうとか。本当に表面的なアイドルリソースがあるよねっていうところだけではなくて、さらにその裏のインフラのコードとか設定とか依存関係とか、性能であるとか、そうしたエンジニアリングの問題に翻訳して、そこをどう解いた方がいいのかみたいなところをやろうとしているスタートアップなのかなと思っています。
あとはAIのトークノミクスですね。生成AIのトークノミクスということで、AIのトークンに費用がかかってきてる中で、ここをどう最適化していこうかみたいなことで。起業アイデア的に見ると、既存カテゴリーの次のボトルネックを解きに行こうとしているスタートアップ。前回のアクションAIも、検証が次のボトルネックですみたいな感じだったと思いますけれど、このPointFiveなんかは、ある意味コストっていう次の問題を解きに行こうとしている、先に解きに行こうとしていて、今ちょうど注目されているスタートアップなのかなという風に思ってます。はい。そんなスタートアップです。
今、次の問題っていうところでAIトークノミクスってことだったんですが、それってどういうような影響というか、変化があるんでしょうか?
そうですね。AIの利用は、1回の問い合わせごとに費用が発生したりとか、トークンごとに発生したりとか、あるいはエージェントごとに費用が積み上がっていって、従来のSaaS、あるいはインスタンスの時間課金とかに比べて、割と変動性が高いみたいなことがあったりしますし、従来のスケーラブルな環境のクラウド費用よりも、AIがかかるとコスト構造は変わってきますみたいなことが、よくスタートアップでは言われていると思いますが、まさにそうだという風に思っています。従来のクラウド費用よりも細かいですし、変動も激しいですし、場合によっては部署別とか用途別の把握が難しいので、単なる月次請求の分析だけをしていればいいというわけではなく、開発現場でこれをどうしていくのかとか、場合によってはビジネスの現場でどうしていって、場合によってはルーティングと言いますか、この作業はこっちの軽いモデルでやった方がいいんじゃないとか、そういうところまで多分今後関わってくるのかなという感じはしますね。
なるほど。それは既存のツールでは足りないので、それをやりに行きますということなんですかね。
そうですね。多くの場合、現状は財務とか予算向けの可視化っていうところが中心ですと。ただ、実際の修正には、エンジニアが安全性や依存関係を判断して修正をしていくという必要があるので、その実装部分まで、あるいは修正部分まで踏み込んでるところはそこまで多くないと言われていますと。本当にこれはよくあるパターンですが、ダッシュボードとかレポートを作ったとしても、実際にタスクに変換されないとあんまり意味がないので、そこを多分エージェンティックにやっていこうみたいなところまで考えてるんじゃないかなと思いますね。
では、実際の課題というところを少し見ていきたいと思います。まずターゲット顧客に関しては、年間100万ドル以上のクラウドやAIインフラの支出を持つような大規模なエンタープライズのエンジニアとかFinOps担当者を顧客として見ているようです。痛みですね。彼らの痛みは、単純に高いっていうだけではなくて、コストの超過をしているのは分かったと。ただそれを誰がどうすればいいかっていうところが分からなくて、そこで行き止まっているっていうのがペインじゃないかというのが彼らのポイントですと。
実際に84%の組織がクラウドコストの管理に苦戦していると言われていたりとか、ダッシュボードで警告が出ても、誰がどのコードをどう直すかみたいな技術的な文脈が欠落しているとか、エンジニアは機能追加の開発の方に追われて、コスト最適化のチケットは放置されがちみたいなところがあって。本当に財務部門が異常を見つけたとしても設定変更はできないし、設定変更しようにもエンジニアは後回しにしやすい。そして既存ツールの限界として、コストの配分とか予算管理には強いけれども、エンジニアがすぐに修正できるコンテキストというところがなかなか持てない、そうしたところがあったりはしますと。
これは単なる情報不足ではなくて、組織のいわゆる責任分解の問題でもあって、OpsとかプラットフォームとかアプリチームとかSRE、あるいは財務の間でちょうど抜け落ちちゃうタイプのものなので、そこをうまく解けないかというのが、PointFiveとしては、この後解決策で話しますが、修正可能なプルリクエストを作ったりとか、担当者のルーティングをしたりとか、効果検証というところに翻訳してあげるみたいなところをやっていくというのが今回のところかなと思います。
なるほど。マネジメントまでするようなところなのかなと思ったんですけど、どれぐらい顧客はこの問題に本当に困ってるんですか?
そうですね。さっき言いましたけど、84%の組織が困ってるという、そうした調査がオブザラウドの調査であったりしますとか。あと、既存のFinOpsのツール、CloudabilityとかAWS純正ツールのCost Explorerみたいなものは、財務向けの可視化をやってるけれども、その一歩先の修正が実行できるところまではしてくれてないので、そこで困ってるという風に言われてるみたいです。
今エンジニアがやっぱりコストの最適化を後回しにするってことだったんですけど、それはどういうような背景なんでしょうか?
これも組織の問題だと思いますが、やっぱりどうしてもエンジニア組織とかは、売上を伸ばす方に引っ張られる機能開発をしやすい、KPIとかが設定されやすいとか、あるいは信頼性とかセキュリティとか、あるいは納期みたいなところが優先的にチケットが切られがちで、コスト削減っていうところは、動いてればいいんじゃないみたいな、そんな感じの扱いだったりとか。コスト削減も結構リスクがあって、コスト削減の施策をやって失敗しちゃうと障害とか性能の劣化につながってしまうので、結構心理的なコストも高い、あるいはリスクも高いみたいなことが言えるのかなという風に思ってます。なので、修正の安全性とかが明確じゃないと、どうしてもこのチケットは滞留しがち。インセンティブもそうだし、ミスった時の影響も大きいので、ここが結構悩ましいというところなのかなと思いますね。
じゃあ、こうした問題をどう解こうとしているのかというところですけれども、この問題解決として、Agentic Remediationですね、修正をしていく自動循環サイクルというものをやっていこうというのがこのPointFiveです。中核プロダクトとしては、彼らはDeep Waste、いわゆる500以上の独自ルールを持って、そのルールベースで色々と修正点というところを出して、人間がレビューしてデプロイして結果を確認していく、そうしたサイクルをやっていくっていうのが彼らのものです。
まず最初のステップとして、Deep Wasteですね。コードレベルでの無駄っていうところを、表面的な利用率だけではなくて、設定とか依存関係とか、あるいは請求をまたいで見ていって、次にプルリクエストをエージェンティックに生成していくと。JiraとかSlackとかIDEとか、既存のエンジニアリングのそうしたツールにうまく接続できるような形でプルリクエストを生成して、別のツールを見る、ダッシュボードを見て何か翻訳するっていう負担は減らしていくと。
3つ目が人間の承認ということで、このヒューマン・イン・ザ・ループですね。エンタープライズでは特に重要で、自動修正をしていくというよりは、人間がちゃんと承認する設計を入れて、そしてデプロイしていく。TerraformとかKubernetesとか、いわゆるInfrastructure as Codeみたいな感じで、顧客のクラウド運用成熟度みたいなところにも依存してきますが、その辺をやっていくみたいなところをやっていますと。そして効果検証をしていく、実際の請求とかデータ確認をして、削減見込みではなくて実際の請求データでROIを確認して、そして継続の契約をしてもらうというようなことをやっているみたいです。
本当にエージェントレスかつ読み取り専用という形で、結構安全でかつ手軽に、導入14分とか言われてますけども、導入14分ぐらいでサクっと入れて、そしてインフラ設定の深層、ディープなところまで入り込んで試算を出してくれるというのが非常に受けがいいという風に言われています。実際にROIなんかも示されていて、大手のデジタルバンクのNubankのPoCにおいては、導入からわずか10日間で年間契約相当の投資回収、ROIを達成して、顧客の平均ROIは1000%以上みたいなことが言われていましたので、結構そうしたことをやっているスタートアップです。
はい。ROIってどうやって1000%っていう計算だったんですかね?
そうですね。プルリクエストがマージされて、翌月以降の請求データで削減が確認されたっていう、その実際の削減額で言っていますね。はい。
人間の承認が挟まるってことなので、自動ではなくて、こういう修正をしたらどうですかっていうのがレビューする側に飛んでくるっていうような形なんですか?
みたいですね。はい。なので、人間が責任を持って検証して、OKであればそのままマージしたりとかいうことをするというところみたいです。
ちなみに、Deep Wasteとか言っていますが、これに関しては、請求とかテレメトリとか設定とか、コミット情報とかを組み合わせて、単純な未使用リソースだけではなくて、設定であるとか、アプリケーション起因のものであるとか、データライフサイクルとか、アーキテクチャー上の非効率まで検知する製品のことをDeep Wasteみたいなことで言っているみたいです。
あとAgentic Remediationっていうところは、TerraformとかCloudFormationとか、JiraとかSlackとか、そういうところにどんどんとエンジニアがレビューとかマージしやすい修正案が出てくるみたいな。CI/CD、コンティニュアスインテグレーションとかコンティニュアスデプロイメントとかの仕組みにも接続していて、エンジニアが分かりやすい修正を出してきてくれるみたいな感じみたいですね。
あとはトークンも一応やっていて、TokenShiftということで、AIコーディングエージェントを利用する時の可視化とか最適化とガバナンスをするローカル実行型のツールというものも作っていて、実際にデザインパートナーで、こっちは10%から20%のトークン削減を確認したという風に言われてるみたいですね。
ということで、AIの話を少ししたので、続いてAIトークノミクスによる市場の変容というお話をさせていただこうと思います。従来のPointFiveみたいなところに関しては、クラウドコスト管理の最適化というところが中心だったと思いますが、この2、3年ですかね、大手のところになると、クラウドとAIの可変的な原価管理みたいなところに変わってきていて、従来のクラウド費用を削減する、あるいは最適化していくだけではなくて、このAIのトークン費用をやっていく、そうした市場も出てきてるんじゃないかということが言われています。
実際にこの従来のクラウド費用に関しては、月額とか時間単位とかインスタンス単位とか、比較的大きな単位、それでも小さいとは思うんですけれども、大きめの単位のブロックでコストというものが乗っかってきてましたと。ただ一方、AI費用は本当に1トークンとか1回の呼び出しとか1エージェント実行みたいな、かなりマイクロなトランザクションに近くて、その結果、コストは固定的なインフラというよりはプロダクト利用に比例するものに近づいていって、その結果ここを管理していくという必要性が生まれてくるんじゃないかというのが新しい市場ですと。
このAIワークロードの爆発的普及によって、インフラコストが極めて変動が激しくなって、かつブラックボックス化していく中で、このトークノミクスをうまくマネージしていく需要が生まれて、そこが市場になっていくというのが1つポイントかなと。そこにクラウド費用みたいなところとか、データ基盤の費用とかいうところが乗っかってきて、それらをうまく組み合わせてコストマネジメントをしていくというのがポイントかなと。
最初は特に大手のテックとか金融機関のプラットフォームエンジニアリングチームに絞ってアドレスしていって、その後広げていくみたいな感じですが、最初は全企業ではなくて、痛みが強い、あるいは削減額が大きいところから入っていこうとしてるみたいですね。
やっぱりAIのコストって全然クラウド費用と変わってくるんですね。なんとなく変わりそうな気はするんですけどね。
確かに。使えば使うほど乗っかってきますし、発生タイミングも細かいですし、それこそ冒頭であった、勝手に自律的に走っちゃってみたいなこともあったりするとは思うので、そこが管理が難しくなる要因の1つかなと思います。
あとは、その利用量がプロダクト機能とか従業員のAI利用にも直結してきてしまうし、モデル選択とかプロンプトの設計とか、キャッシュとかガードレールの存在によっても費用が変わるので、コストが大きくなることはある程度分かっているが、一方でコストのレバーがいっぱいあって、それを調整していくのは結構大変みたいなところなのかなと思います。
ですと、AI自体が安くなった時に、PointFiveはどういう風に会社の価値っていうのを維持していくというか、どういう風に価値を出すんですかね。
そこはリスクとしてあるんじゃないかなと思いますね。単価の低下とか、あるいはオープンウェイトのモデルの普及とか、すごい推論が早い、安いみたいなところが出てきたりしたら、ここは結構あれかなと。ただ総量として、利用量とかエージェントの実行回数とかデータ処理量が増えると、単価が安くなっても総額は増えるとは思いますし、ローカルLLMとかもなくはないとは思うんですが、最先端のことをしていくのかとか、ここばっかりはちょっと、増えるんじゃないみたいな感じのリスク把握ぐらいじゃないですかね。はい。
そうですね。いろんなシナリオがありそうですね。
そうですね。いろんなシナリオがありそうですが、そういうところに挑戦するのがスタートアップらしいといえばスタートアップらしいのかなと。いずれコスト管理は、安く使うだけではなくて、誰が何に使って、価値がどれだけ出ているのかみたいなところを見ていくことにはなるとは思うので、価値が生まれていくのであれば利用量も増えるし、管理するべき量も増えていくっていうことでもあるんじゃないかなと思います。はい。
じゃあビジネスモデルです。PointFiveはどういう風にお金を儲けようとしてるかというところですが、まず誰にっていうところは、エンタープライズSaaSですと。削減額が大きい顧客に売っていく。年間数百万ドル以上のクラウド・AI支出があれば、数%の削減でも大きな価値になるので、まずはそこを狙いましょうと。かつ導入コストを下げるために、14分のスキャンとか、48時間以内に価値を証明するとか、10日間でROIが出ましたみたいな、そうしたことをちゃんと訴えていくみたいなところが、今メッセージとして前に出てきてるのかなと思っています。
価格は年間のクラウドとかAI支出額に連動する段階的なSaaSサブスクリプションモデルということをやっているようです。例としては、支出300万ドルで約70K、あるいは約700万ドルの支出のところに関しては140Kドルみたいなことが、どこかの資料で見たというところですけれども、そんな感じのことが言われています。ただ、スケールしていった後にどうなっていくのかというところはちょっと分からないなと思いますと。
営業のタイミングとしてやっぱりこれが大きいのは、コスト削減って、新しい予算をくださいっていうよりは、コスト削減します、既存の無駄から支払いますみたいなところがあって、これはやっぱり入りやすいなと思いますと。いろんなコンサルファームの話とかを聞いていても、コスト削減系のやつって分かりやすくて取りやすいというか、成果を出しやすいので、そういうところから取っていってるっていうのはいいところなのかなと思います。
ただ一方で、初期の大きな無駄を削った後に継続的な価値を提供できるかっていうと、そこが結構問題ではあって、本当に継続的に契約してもらえるか、1回入って終わりじゃないかみたいな。
確かに。
というところはビジネスモデルとしてはリスクがあるのかなと思いますね。なので継続的に使ってもらうには、新しい検知ルールを継続的に追加したりとか、対象領域を広げていくとか、あるいは組み合わせて離れられないようにするみたいなことが大事なビジネスモデルではないかなと。なのでLTVを最終的に増やしていくには、単に費用を削減するだけではなくて、データ基盤とかAIのトークン、GPUとか開発IDEとか、そうしたところにうまく広がっていくとか、あるいは他の価値というものを提供していかなければいけない、継続的な成長の難しいビジネスかなと思います。
確かに、最初に大きくドカンと減ったら、もうこれで十分みたいな風になるのはかなりリスクだなというのは思いました。
そうですね。そこは本当にこういうコスト削減系、特にアーキテクチャーとか、Deep Wasteって彼らが言ってるようなところを直しちゃうと、結構論点になってくるんだろうなと思います。ただ一方で、お客様の方が新しいサービスとか設定の変更とか、AIの利用の増加をしていくと、無駄はどんどんと生まれてくるので、そこを常に見ておきますよっていうのは、1ついいところとか訴えられるところかなと思います。
確かに、お客様自身が成長していくような会社だと、常に改善するような余地がありそうだなと思いました。LTVを高めていくために、どういうような工夫というか、どういう風にサービスを拡張とか、入り込んでいくようなことなんでしょうか?
そうですね。ここに関しては次のスライドでも少し話すところでもあると思いますが、1回ワークフローに入って、その後コンパウンド型で新製品を提供していったりとか、新しい検知領域を追加していって、継続的な価値っていうものを出していくことができるのかなと。とにかく1回ワークフローに入って、FinOpsから入って、プラットフォームとか、CFOへのレポーティングみたいなところまで含めてくると、高いLTVを達成できるかもしれないなと思います。
じゃあ続いて、このAI Efficiency OSという、このLTVをどう高めていくのかという話をしたいと思います。ここでのキーワードはやっぱりコンパウンド型かなと思いますと。単一機能のSaaSではなくて、クラウドとかKubernetesとかデータ基盤とかAIモデルとか開発者ツール、それらを横断するレイヤーを、彼らはこのDeep Waste & Remediationみたいなところで作ろうとしているという風に考えるといいかなと。
その下にあるレイヤーとしてインフラファブリックみたいなことで、AWSとかAzureとかGCPとか、SnowflakeとかAIモデルとか、これらを置いて、このインフラファブリックをうまく編むような中央のレイヤーと言いますか、1つレイヤーを作ろうとしているというところがポイントかなと。そのレイヤーに対して、研究とか検知とか修正のプルリクエスト生成とか効果検証とかを集めて、ここを通して、いろんなデータのやり取りというか、アプリケーションとインフラのやり取りの中間レイヤーとして入っていくというのが彼らが狙ってるところかなと思います。
彼らの上の層には、チャットとかエージェントとかアプリケーションとか、あるいはその上にはユーザーとのインターフェースみたいなところがあったりすると思いますけれども、そこに対して中間層を取りに行く、ミドルウェアを取りに行くというところですかねと思いますと。特にインフラが複雑化していくと、個別ツールでは根本的な解決が不可能になってくるので、そこを統合的に面倒見てあげますよっていうミドルレイヤーとしてやっていくとか。
あるいは10年後の理想像としては、セキュリティの脆弱性のスキャンが開発の当たり前になったみたいに、コスト効率スキャンとか、コンティニュアスインテグレーションとかCD、デプロイメントの、プルリクエストのテストレビューの一部にこうしたコスト効率スキャンが毎回入ってくる。そういうことになってくると、エンジニアリングのパイプラインの一部として全体でこうしたものが最適化されていく、修正されていくっていう世界を作っていくことができると。ただ戦略的に、そのOSを全て作ることは最初からはできないので、まずはインフラストラクチャーサービス的なところの削減とかで信頼を獲得して、多分今回AIが出てきたので、今度はAIのトークノミクスで信頼獲得してみたいな感じで、ちょっとずつ増やしていこうという感じなのかなという風に思います。
そもそもになっちゃうんですけど、SaaSじゃなくてOSを目指す、やらなきゃいけないっていうような理由ってどの辺りなんですか?
そうですね。現在やっぱりコストの原因として、クラウドとかデータ基盤とかAIとかKubernetesとか、そうしたところがかなり複数のツールにまたがっていると。そして原因と修正の全体像が分かりづらいというような状態にあるので、顧客にとっては単一の単機能のSaaSだけだと、どうしても隙間があると言いますか、これだとちょっと違うなみたいなことが出てきてしまうということがあったりするので、そこを複合的に見ていく、そして実行まで繋げてくるレイヤーっていうのが必要になってくるんじゃないかなというのが彼らの仮説かなと。
一方で、OSを目指すと開発する範囲が広すぎる気もしてて、どういう風に広げていくように考えてるんですか?
そうですね。なので最初はIaaSと言いますか、AWSとかの最適化みたいなところから始めて、そこで価値を証明して、今はAIのトークノミクスの方に行ってみたいな感じで、徐々に最初は分かりやすい価値提供から入って横に広げていく、そういうことをやっているのかなと思います。
ということでロードマップの話も少ししたいと思います。彼らはまずAWS環境での深い無駄の検知というところから入っていったみたいです。なので、AWSでこういう設定をすればもっとコスト削減できますよというのをやっていきました。手動対応の自動化に特化してやって、実データでROIを証明したということをやっていたみたいです。次のフェーズとしてエージェントですね、というところにも手を出していくというところをやっていたみたいです。まずAzureとかGCPとかKubernetesとかに広げつつ、Agentic Remediation、つまり修正プルリクエストの自動生成を確立していったという風に言われています。
そしてフェーズ3に関しては、AIとかデータのエコシステムの中に入っていくということで、Snowflakeとかのデータ基盤とか、TokenShiftによるAIトークンの最適化とか、MCPによる開発者IDEへの直接介入というところに広げていっているようです。戦略のうまさは、やっぱり広い市場を狙っているものの、入り口は狭く深い、お客様のペインをちゃんと刺しにいくというところをやっている点かなと。最初から大きく幅を取っていくというわけではなくて、お客様の財布に直結する領域で足場を作って、そこから横展開しているというのが面白いところかなと思います。
本当に顧客環境に実際に入り込めると、検知ルールとか修正パターンとかROIデータとかが蓄積されるので、これが次の拡張の資産になっていくっていうところが1つと、あとやっぱりこのAIのトークノミクスというものが入ってきているので、TokenShiftというツールを使って、クラウドインフラから開発のAIに重心を移していくみたいなことをやって、今のトレンドに乗っているというのが今回のところかなと思います。
最初にAWSから入ったのって、やっぱりかなりペインが大きいっていうのが大きな理由なんでしょうか?
そうですね。やはり支出規模が大きいですし、削減のインパクトも出しやすいというところで、顧客がすでにペインを感じているみたいなところが1つあったという風に言われています。
このロードマップ上だと、1番難しいとか、これから難しそうだなっていうのはどの辺りになるんですか?
そうですね。フェーズ1からフェーズ2、ワークフローをエージェンティックに拡張してワークフローを掌握していくみたいなところに関しては、まだいけると思いますが、その次のAIっていうところに関しては、AIとかデータ基盤に広げるっていうのは自然ではあるんですが、難易度は上がりますし、修正プルリクエスト生成っていうのは顧客環境ごとに違いが大きかったりとか、AIのトークン削減で開発者体験を損ねてしまうとなかなか受け入れられないみたいなこともあるかもしれませんし、データ基盤に関してはコストモデルが複雑で、かつ業務価値との紐付けもちょっと難しいというところがあり、割とこのフェーズ2からフェーズ3の、AIとかデータ基盤へのアプローチっていうところはちょっと難しいところかなと思いますね。
じゃあ、モートと競争環境に関してのお話です。横軸として対象領域ですね、IaaSなのか、それとももうちょっと広いのかみたいなところを左右で取って、縦軸においては、可視化とか財務向けのところから、自動修正とかエンジニア向けみたいなことで取ったら、PointFiveは右上ですよと。ちょっとずるいグラフではありますけれども、IaaSだけではなくて、いろんなKubernetes、データ、AIまで見れますよっていうのと、縦軸は可視化だけじゃなくて自動修正まで入ってきますよというところで差別化をしているみたいです。広い対象と深い実行力ですと。
競合として、CloudabilityとかあるいはAWSの純正ツールとか、これらは財務の可視化とか予算管理は強いけれども、修正の実行まではできないとか、Kubernetes特化のCAST AIみたいな特化型のプレイヤーに関しては、実行力はあるけども対象領域が狭いみたいなことが彼らの整理になっているのかなと思ってますと。
じゃあ、そこに対するモートとして何を持っているのかという観点ですが、1つは研究チームです。5Xリサーチチームというチームを持っていて、未知の無駄を継続的に発見する能力がありますと。単なるルールベースツールとの差ですっていうのが彼らのところです。ある意味サイバーセキュリティのハンティングみたいな発想で、未知の無駄を自社研究で継続的にハンティングしていきますよというのが彼らの1つのモートだと言っています。
2つ目がAgentic Remediationということで、単なる検知ではなくて、エンジニアがレビュー可能なIaC、Infrastructure as Codeの修正のプルリクエスト生成までやっていく深い統合ができてますというところ。3つ目がエージェントレス&ゼロドリフトということで、安全性を担保した読み取り専用の接続と、設定ドリフトを起こさない設計になっているということで、安全にエンタープライズに導入できますよと。顧客環境に余計な変更は加えませんよということを言ってます。
モートを挙げていただいたんですが、本当に効くようなところってどの辺りになるんでしょうか?
そうですね。彼らは今検知ルールって言ってますが、おそらく検知ルールそのものを改善していくための無駄なパターンを彼らは蓄積できるので、そのパターンの蓄積をして他のところに当てていくみたいな、その無駄、Wasteのパターンですね。っていうところが最終的なモートになっていくのかなとは思います。あとは修正プルリクエストの生成をした後に、実際にどの修正が安全にマージされたのかっていうところも見ることができるはずなので、こういったリクエストはOKで、こういうリクエストはダメだったみたいな、そうしたところから学習できるというのが1つ。
あとは、やっぱりこのワークフローに入れるっていうところが、1回入っちゃうと後ろを増やしていけるので、このワークフローに入って、FinOpsとかエンジニアリングの中で他のところにも広げていくっていうのができるのが、モートの1つになるのかなと思います。
競合との差別化というか、負けるとするというか、1番危ない点ってどのあたりになるんですか?
そうですね。Agentic Remediationの、単なる検知ではなくて修正のプルリクエストまで上げますっていうところですが、この品質がどれぐらいなのかっていうところで評判も変わってくるんだろうなと思います。誤検知とか性能劣化とか障害リスクとか、そういう悪いリスクが顕在化してしまうと、それはそれで価値と信頼を失ってしまうというところがあったりするので、ここが多分危ういのかなと。あとは、仮にそれが提案できたとしても、顧客の社内の承認フローとかがすごく多かったりすると、プルリクエストがマージされずに削減が実行されない、実現されないみたいなところがあったりするので、ある意味価値が可視化で止まっちゃう可能性もあるっていうのはリスクとしてあるのかなと思います。
では、参入戦略ですと。1つは、ミクロな課題として大規模エンタープライズのプラットフォーム
エンジニアの苦痛にまずは入っていこうとしていますと。ダッシュボードで予算の超過は見えているが、誰がどのコードを直すべきか分からない。そこから入っていって、彼らが言うMVP、MIPとか言ってるみたいですけど、Minimum Integrable Productということで、統合可能な最小単位として、完璧な自動化ダッシュボードを作る前に顧客の実データに接続して、手動の裏方作業を含めつつ迅速にROI、削減額を提示するというところで、非常に簡単に14分でできちゃうみたいな、そうしたプロダクトを作ってやっているのが彼らの最初の入り方みたいですと。
今後PMFになってくるとしたら、そこがちゃんと実データで実際に削減できてるかどうか、証明されるかどうかっていうところが1つポイントになってくるのかなと思いますと。あとはTokenShiftみたいなところがあったりするので、この開発者のIDEとかAIコーディングエージェントとLLM APIの間に入って、コンテキストとか無駄なトークンを削減するみたいなことも今後していけるので、そうしたとこから入っていくっていうのも1つのポイントとしてはあるのかなと。これある意味、PMFじゃない、MVPですね。MVPよりも実はこうしたちょっとしたツール、MIPみたいなインテグレータブルプロダクトみたいな方が実は入りやすいみたいなことがあるのかもしれないなと思います。一方で、こうした開発者のローカル環境のIDEとかに入るというのはセキュリティ審査が結構厳しかったりはするので、それはそれで難しいところあったりするかもしれませんが、こうしたプロダクトよりはツールとして入っていくっていうのも1つの突破口としてはあるのかなと思いました。
そうですね。なんかインテグレータブルプロダクトってちょっと面白いなと思ったんですけど、どういう風にMVPと変わってくるんですか?
そうですね。MVPは最小機能の製品ですと。MIPは顧客環境に統合されて実データで価値を出せる最小単位だという風に整理ができるかなと思います。エンタープライズでもやっぱり単体で動くものよりも、既存ワークフローがかなりかっちりしているところが多いので、そこにどう入るのかっていうのが割と重要だったりすると考えると、1つの考え方としてはありなのかなと思いました。
TokenShiftから入っていくということなんですけど、そこから入りやすい背景ってどういうものがあるんですか?
そうですね。需要が一気に伸びてる状況、AIのトークンに関してはっていうところで、AIコーディングエージェントのトークンとかが急増していて、コストの可視化が難しい、透明性が低いという、非常に目の前に突如生まれてきたペインみたいなところがあって、ここをちゃんと解けるような製品がまさに求められ始めているというので、突破口になり得るのかもしれないなと思います。特に開発者IDEに近い場所で制御ができれば、コスト発生源に直接入れるので、割とこのトークンの節約とかしやすい。あるいはクラウド管理者だけではなくって開発者組織全体に広がっていく、そうしたウェッジにもなるので、こうしたトークンっていう切り口から入っていくのは1つありなのかなとは思います。
では、起業のプロセスですと。このPointFiveのスタートアップの起業家です。というかシリアルアントレプレナーです。元々ですね、サイバーセキュリティ領域のところで、イスラエル国防軍の8200部隊という有名なところからの出身で、IntSightsっていうところを創業して、Rapid7という会社に大体500億円ぐらいで売却した経験を持つ人たちですと。PointFiveの最大のインサイトはコスト管理ですね。売却先、あるいはその買収された先で大企業のクラウドコスト管理の地獄というのを自ら体験して、そして売却後にもですね、虚無感を感じたというところで、アーンアウトを放棄してですね、つまり自分たちのもらえるはずだったお金を放棄して、新しい領域で起業を決意したということが言われています。
チーム構成としては前職から10年以上を共にする3名の創業チーム、CEO、CTO、CPO。イスラエルだとこういうパターンよくあるんですよね。なんかマインドと同じチームみたいな感じで、その分ですね、実行力の源泉がありますと。あるいはB2Bのインフラ領域においては、こうした信頼された創業チームは大きな強みとなっていて、今まさに彼らが感じていたサイバーセキュリティの脅威の探索とパッチの地獄と、FinOpsの地獄、このANDを取ってここを解きに行くみたいなところをやろうとしていて、さらにそれがTAMがすごく巨大なところに繋がっているみたいな、そうしたところなのかなと思います。
サイバーセキュリティから始まったんですね。どういう……
そう。はい。ある意味その見えにくい問題を探すとか、優先順位をつけるとか、あるいは修正するみたいな、そうしたところが似ているとか、脅威を検知するのと同様にコストを検知するみたいなところを1つ考えてるのかなと。脅威インテリジェンスみたいなところの発想をコスト、ウェイストのインテリジェンスというところに転用して、しかもただのダッシュボードだけではなくって修正アクションまで繋げているみたいなことが言われてます。
よっぽど嫌だったんでしょうね。虚無感すごかったんでしょうね。
新しいオポチュニティを見つけたら次に行こうかって感じになるんじゃないですかね。
そうだ。そっちプラス寄りの方かもしんないですね。確かに。
そうですね。じゃ、初期の学びとマイルストーンみたいな話をしたいと思います。まず最も重要な学びはですね、ダッシュボードを与えれば直すっていうのが誤りでしたということだったみたいです。初期の仮説はFinOpsとかB2B SaaSでよくある落とし穴などと、見える化は必要だけれども、それだけでは行動が起きないので、エンジニアという観点でいきますと、エンジニアが動くには修正案がプルリクエストとして出されて、ワンクリックに近い形でレビューとかデプロイができる、そうした必要性があるということがポイントとしてあったと。
そして検証サイクルとして、裏側は手動対応、表側は自動化に見せるみたいな、昔ながらのMVPに近いようなことをやっていたみたいです。これもB2Bで非常に現実的な初期の検証方法だとは思いますが、実際にはオズの魔法使い型MVPみたいな感じで、裏側は人間がその提案をやって、表は自動化してるように見せたいなというところも1つと、そうやっていくとやっぱりオーバービルディング、過剰構築を回避できますと。顧客に見せる前に完璧なプロダクトを作るんではなくって、どこを作ればいいかというのをちゃんと把握して、過剰な作り込みを排除、意図的に回避しながら、自動化可能な機能だけを実装していって、すぐにその手作業での学びを自動化につなげていくみたいなことをしていったようです。
初期はデザインパートナーの生データで検証して、ローンチ後6ヶ月後にはARRを1ミリオンですね、1.5億円ぐらい突破したと。そして翌年は6倍成長になっていて、10日のROI証明という、冒頭にやったニューバンクの例とかもやったと。さらに今は、そのトークノミクスみたいな波に乗ってやっていくというところなのかなと思います。
ダッシュボードを与えても全然直らなかったんですね。
みたいですね。おそらく見える化しても実行責任者が動かない、そうしたインセンティブがないみたいな、あるいはタスクが多いみたいなところなのかなという風に思います。
では資金調達です。彼らはシードで16ミリオン、Index Venturesから入れてもらって、シリーズAで20ミリオン、これはSalesforce Venturesから。そしてシリーズB、最近あったのが60ミリオンでAccelからですと。シリーズBですね、今回行ったのはAI領域への本格展開を支える資金だと言われています。単なるクラウドコストの最適化からAIエフィシエンシーに拡張するというのを掲げて今回資金調達をしたと。資金調達額は累計100ミリオンですと、大体100ミリオンぐらいになっている状況です。
あとポイントとしては、結構彼らは希薄化を抑えることよりも、圧倒的なスピードでシェア1位を取るみたいなところをやっているみたいで、割となんかダイリューションは激しいみたいなことがどっかの記事で書かれていました。この市場では、CSPのネイティブ機能、クラウド事業者の純正機能が追いつく前にいかに早く取り切るか、AIとかデータ料金を含む広範なエコシステムを制するのかみたいなところが大事なので、結構お金を使って、最初に幅を取りに行くみたいなことをやろうとしているみたいです。本当に、コスト削減のやつに関しては分かりやすいので競合がいっぱい出てくる可能性はかなりあると。なので、それらが取りに来る前に先に取っちゃおうっていうので、今回アクセルと言いますか、エンジンを吹かせて、アクセルを踏んだというところなのかなという風に思いますね。
ただ一方で、資本を入れるほどプロダクト範囲が広がっていって焦点を失ってしまうというリスクもありますので、ここに関しては彼らは1回リスクを取って、1回取りに行くっていうようなところをやったのかなと思います。
いや、めちゃ調達したなと思ったんですけれども、その拡大のため以外にも他にも何か理由があったりするんですか?
最終的には拡大のためだと思うんですけど、対象の拡大とかですよね。まずはAWSとかのInfrastructure as a Service以外のところ、データ基盤とかAIとか、本当にIDEまで行くんだったらかなり広いとか、あるいはエンタープライズ営業とかセキュリティとかサポートとか、あるいは研究チームみたいなところにも資本が必要だったりするので、競合が来る前にカテゴリーリーダーみたいなところの位置を占めるには、スピードが重要だったという判断なのかなと思います。
投資家も、この投資家を選んだ理由ってあるんですか?
おそらくSalesforce Venturesとかはエンタープライズ顧客の接点を持っていて提供してくれるんじゃないかみたいなところの期待があるのかなと思いますし、Accelなんかはグロース領域でかなり投資をしていて、いろんな企業と繋がりがある、あるいは投資先のところにも使ってもらうみたいなこともあるのかなと思います。投資家に関しては、特にB2Bのインフラ事業は顧客の紹介とか信頼の補完とかに関しても、ある意味で提供してもらえるものかなと思うので、そうしたところを狙ってるんじゃないかなと思いました。
では、日本の起業診断ということで、3つの参入アプローチと比較というのをAIに出してもらいました。まず案A、MSP向けということで、SI、MSPの既存運用保守サービスに無駄検知機能を組み込むと。顧客の基盤を使える一方で、エンドユーザーのエンジニアから遠くなってしまうというデメリットはありますが、そうしたものができるんじゃないかというのが案Aですと。
案Bは日本独自のSaaSとハイブリッド特化ということで、オンプレミスとか均トンとか閉域網とか、ある意味日本特有のものに合わせていくみたいなことが1つあるんじゃないかということが言われています。ただこれは一方で、APIの制約があったりとか、全自動化への技術的なハードルが高かったりとか、マーケットも小さくなっちゃうというところはあるのかなと思います。
そして案Cは、これは勝ち筋とAIは言っていますが、TokenShiftの日本版特化ということで、日本語LLMとかRAGのコンテキストの削減とか、あるいは開発者IDE、CI/CDに直接的に入っていくということは可能なんじゃないかということで、ウェッジとしてトークン最適化、このPointFiveに関しては最初クラウドから入っていってますが、まさにこのトークン最適化、FinOps for Tokenみたいな感じで入っていって、それを日本企業特有の承認フローとかにプルリクエストとかを接続する形で拡張していくのがいいんじゃないかみたいなところが提案されていました。
うん。なるほど。案Cがそんなに結構有望なんですね。
どうなんでしょうね。うん。クラウドみたいなところに関してはある程度既存の競合もいるし、今から入っていくとしたら、こうした新しい需要が出てきているAIトークンみたいなところから入っていくと、まだ明確なウィナーもいないし、ありうる入り方かなと思いますね。
その全体に共通するとこですけど、こういうサービスを導入するために乗り越えるべき壁ってどういったものがあるんでしょうか?
セキュリティの審査とかでしょうね。あと権限の設計とか、既存のシステムとの接続みたいなところに関してはハードルがあるんだろうなと思います。さらにその提案された修正を誰が承認するのかとかいうような組織上の問題もあったりするので、技術だけではなくって、この承認フローを込みでプロダクト化をしていく、そうした考えも必要なんじゃないかなとは思います。
では最後にまとめです。今回お話ししてきたこのPointFiveに関しては、やっぱりダッシュボードを作るだけじゃなくって直すみたいな、見るから直すへの転換をしているという点が非常に大きいのかなと。多くのB2Bサービスとか、あるいはAIとかを使ったサービスの多くは可視化だけで終わっちゃうと。ただ価値が大きいのは、それをいかに行動とか修正とか、あるいは成果まで繋げていくかという点で、そこに焦点を置いて作ったというのが1つ大きな部分かなと。
そして2つ目は、別領域のメンタルモデルの適用ということで、PointFiveはセキュリティの脅威ハントみたいなところの考え方とか脆弱性対応っていうところを、インフラの無駄の発見とかAIの無駄の発見、あるいは修正というところに持ち込んで、元々セキュリティ領域の考えをインフラ領域に持ってきたというところが面白いのかなと思いますと。
そして3つ目が、やっぱりAI時代のコストパラダイムの変化にうまく沿っていくというところです。コスト最適化っていうのは節約だけではなくって、セキュリティとかバグの修正と同列のソフトウェア品質課題になっていくかもしれないので、もしかしたらここを取れると、コスト削減から入って、いや実はこのエージェントをうまく使うための方法論みたいな、という風なところに、開発者の本当に必須ツールみたいなところに入っていけるかもしれないというようなことですと。
あとは、MVPとかMIPとか言ってましたが、完璧なダッシュボードを作る前にMIPを作って、手作業で作業して、そして自動化していくみたいなところは、ある意味理想的な1つのスタートアップの入り方なのかなと思います。是非ですね、こうしたスタートアップのやり方、直近のペインとかをちゃんと見つけて作って、そしてその先には広いマーケットが、みたいな、そうしたところを参考に、何か自分たちの周りでないかなっていうことを考えていただけるといいのかなと思いました。以上。
今日はPointFiveを紹介しましたが、いかがでしたか?
そうですね、このまとめでもおっしゃってましたけど、橋渡しする、そのこういうことすればいいよだけじゃなくて、じゃあ具体的にこういう行動しなさいみたいな、その橋渡しするっていうのは、やっぱり他の分野でもヒントになるなっていう風に思いました。例えば私たちも起業教育に関わってますけど、その中でもどうやったら望ましいとか狙った行動まで動くかっていうので、やっぱりこういうことをしなさいよと言うだけではなくて、もう少し具体的な行動に落としたりとか、もう少しそう橋渡ししていくと、やっぱり少しずつ繋がっていくので、その望ましい行動につながるまでの橋渡しを、そのツールとか使って何かできないかって考えるのは、他のアイデアにも共通するようなヒントになりそうだと思いました。
そうですね。なんかAIを使えば、可視化した後の行動までAIがある程度考えてくれるとか、作業してくれるみたいな世界にも近づいてると思うので、その辺りを是非取りに行って欲しいですね。
それでは今日はこちらで終了です。FoundX Review Startup IdeaCastでは、今後も皆さんのアイデアのために最新のスタートアップの情報を紹介していきたいと思います。是非チャンネル登録、いいねお願いいたします。またSpotifyでも配信してますので、定期的に欲しいという方は是非Podcastでも登録いただければと思います。Apple Podcastでも配信していますと。あとはFoundXの各種プログラムでも応募者を募集していますので、周りに考えている方がいらっしゃれば是非FoundXを紹介してください。ではまた次回よろしくお願いします。ありがとうございました。ありがとうございました。
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