天王星の中心からブラックホールの特異点まで――「もしも」で巡る太陽系と宇宙の19の旅

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概要

この動画は、科学解説チャンネル「VAIENCE(バイエンス)」の「もしも」シリーズを約3時間にまとめたものである。架空の「バイエンススーツ」を着た人物が、天王星、海王星、金星などの天体へ次々に落とされる。語り手はその人物をからかいながら、各地の気圧、温度、重力、そして研究でまだ分かっていない点を説明していく。後半は、宇宙の端、ボイド、地球を貫く穴、地球のリング、過去と未来の地球、宇宙エレベーター、宇宙での死、ブラックホールと話題が広がる。スーツは演出上の仕掛けにすぎず、説明の中心は現在の観測や研究が示す環境と、その解釈をめぐる議論である。

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天王星と海王星――氷の雲の下にある「熱い氷」の海

天王星は地球から約30億km離れた、内側から7番目の惑星で、太陽系では3番目に大きい。自転軸が公転軸に対して98度傾いているため、太陽の周りを横倒しで転がるように回っている。最上層の雲には硫化水素が含まれており、動画はそれを「おならの匂いがする」と紹介する。1986年、ボイジャー2号は上層から約8万kmのところをわずか6時間で通過し、惑星と衛星、環について大量のデータを集めた。これにハッブル宇宙望遠鏡や地上望遠鏡の観測を合わせて、内部構造の理解が進んだという。

落下の途中では、ゴルフボール大かそれより大きな岩でできた13本の細い環が見える。上層のメタン氷の雲の中は摂氏マイナス220度を下回り、気圧は約0.5気圧である。天王星の重力は地球よりわずかに弱いので、はじめは地球で自由落下するのに近い速度で落ちていく。その下にある暗い硫化水素の氷の雲では、時速900kmに達する風が吹いている。約130km下ると気圧は約10気圧になる。さらに進むと水の氷でできた雲の層があり、稲妻が光る。この層の底近くでは60気圧以上、摂氏50度ほどになり、落下開始から1時間以上、深さは240kmに達する。

その下が「マントル」である。太平洋の2000倍以上の深さがあるほぼ底なしの海で、天王星の60%以上を占めると考えられている。水にメタンやアンモニアが混ざった物質が、高い圧力で押し固められた熱く高密度の流体になっている。やがて体と周囲の密度が等しくなり、落下は止まる。圧力が数千気圧に達するこの領域では、炭素がダイヤモンドの雨として降っていると考えられており、何百万カラットもの大きさになるとも言われる。数週間かけて数千km沈むと、岩石、鉄、見慣れない氷でできた小さな核にたどり着く。

続く海王星は、直径が地球の約4倍で、天王星よりわずかに小さいが質量は上回る。探査機が訪れたのは1989年8月のボイジャー2号の1回だけで、研究の多くは地上望遠鏡によるものなので、内部にはまだ謎が多い。深い青色に見えるのは、上層大気のメタンが赤い光を吸収するためである。環は5本あり、主に塵でできている。重力は地球より14%大きいだけなので、落下速度は地球とあまり変わらない。上層のメタン氷の雲は0.5気圧、マイナス200度以下。約50km下ると、約5気圧のアンモニアと硫化水素の雲に入る。ここでは太陽系最速の風が時速2400km、音速の約2倍で吹いている。約160km下の水の雲では巨大な稲妻が光り、気圧は50気圧を大きく超える。約6400km沈むとマントルに達し、スーツは1万気圧以上に耐えなければならない。ここでも天王星と同じくダイヤモンドの雨が降っていると考えられている。数千km下の核は摂氏5000度超、700万気圧超で、岩石や鉄、氷からなり、ダイヤモンドが積もった層がある可能性もあると動画は述べる。

冥王星――青い空と消えつつある大気

冥王星は2006年に惑星の定義が変わって準惑星になった。直径は地球の5分の1以下で、月の約3分の2しかない。2015年にニューホライズンズが訪れるまでほとんど何も分かっておらず、現在の知識の大半はこの探査機のデータによる。直径約2400kmの冥王星に対し、衛星カロンは直径約1200kmもある。そのため両者は共通の重心の周りを互いに回っており、「二重惑星」と呼ぶ人もいる。冥王星とカロンは互いに常に同じ面を向け合っているので、冥王星の裏側からカロンを見ることはできない。

冥王星の大気圧はごく小さい。大気中のわずかなメタンが太陽の紫外線などと反応してソリンという物質になり、霧を作ると考えられている。霧は高度約200kmから始まり、そこでは約マイナス193度だが、高度20〜30kmでは最高のマイナス173度まで上がる。動画はこれをメタンの温室効果によるものとしている。地表の平均温度はマイナス231度で、重力は弱く、体重60kgの人が約4kgの重さしか感じないと説明される。

地表の景色は落ちた場所で大きく変わる。ハート型の地域では、固体窒素でできた氷河と、標高3000mを超える水の氷の山脈が見える。その隣のクトゥルフ・マキュラは、降り積もったソリンによって焦げ茶色をしている。公転周期は248年で、自転軸は120度傾いているため、数十年も太陽が見えない場所がある。太陽に最も近づいても距離は地球と太陽の約30倍で、最も明るい時間でも地球の日没直後くらいの明るさにしかならない。カロンは地球から見た月の約8倍の大きさに見える。一方で、冥王星の空はメタンなどのガスが光を散乱するため青い。動画は、これを数年前まで誰も知らなかった発見として紹介している。

ただし、この大気は急速に失われているという情報がある。冥王星が最後に太陽に最も近づいたのは1989年で、それ以来遠ざかり続けている。地表の温度が下がると大気の主成分である窒素が凍り、雪のように降り積もる。2030年までに大気が完全になくなるという研究結果もあるという。語り手は、あと約90年待てばカロンによる日食が見られると告げて、主人公を置き去りにする。

金星――灼熱の地表と「生命がいるかもしれない」上空

金星は大きさ、質量、内部構造が地球に似ているため双子と呼ばれることがあるが、共通点はそこまでだと語り手は言う。1950年代には、地球の熱帯のような環境を予想する科学者もいた。実際の環境ははるかに過酷で、地表で最も長く活動した探査機である旧ソ連のベネラ13号でも、記録は127分にとどまる。可視光で見た金星は白い。よく見かける黄色い画像は、レーダー観測データか、紫外線画像に人工的に色をつけたものである。

高度150kmでは温度は0度だが、気圧はほぼない。スーツを外せば15秒以内に意識を失い、3分以内に死に至る。高度90kmではマイナス100度になる。高度70km付近からは、75%以上が硫酸でできていると考えられる雲が広がり、風速100mを超える暴風が吹く。高度60kmでは0度、そこから45km付近までは温度が100度を超えず、気圧も1気圧を少し上回る程度である。このため高度50km付近は、人類の移住先の有力候補の一つとされる。厚い雲が放射線を遮り、硫酸や二酸化炭素から酸素や水を作れるので、巨大な気球のようなコロニーを浮かべる構想があるという。動画は、条件によっては火星を上回るとまで述べている。

生命の可能性については賛否を併記している。2020年には、生命活動以外では大気中に大量に存在しないと考えられていたホスフィンのシグナルが見つかったとして話題になった。しかし現在は、解析方法に誤りがあり、実際は二酸化硫黄だったという見方が主流になりつつある。それでも高度50km付近には紫外線を吸収する正体不明の何かがあり、探索への期待は続いている。一方で、生命には水が少なすぎるという研究や、高温と強い酸性の両方に耐える微生物は地球では見つかっていないという反論もある。

雲の下の高度40km付近では硫酸の雨が降るが、30km付近で蒸発して地表には届かない。地表は460度、90気圧で、大気は二酸化炭素96.5%、窒素3.5%である。鉛や亜鉛も溶け、地表から蒸発した硫化鉛などが温度の低い山頂に雪のように積もる。地表の風は強くても秒速2m程度だが、大気の比重が水の6.5%ほどあるので、風上に向かって歩けないかもしれない。1日は117日あり、昼でも曇りの日程度の明るさしかなく、夜も気温はほとんど下がらない。金星がこうなった理由には、磁場がなく太陽風から水を守れなかったという説や、太陽からのエネルギーが多く水蒸気の温室効果が暴走したという説などがある。地球も太陽の明るさが増すことで十数億年後には金星のようになると考えられており、人類の二酸化炭素排出がそれを早めるかもしれないと語り手は皮肉る。3億〜5億年前に地表全体が塗り替えられた出来事があり、プレートテクトニクスの消失が磁場の消失を招いたという説もあるという。

水星――地味な惑星の意外な居住適性

語り手は水星を「存在感のない惑星」と紹介し、そのうえで評価を覆していく。冥王星が外れた今、水星は太陽系で最も小さい惑星である。半径は約2400kmで、衛星のガニメデ(約2600km)やタイタンより小さい。一方、平均密度は1立方cmあたり5.4gと惑星では地球に次いで高く、質量はそれらの衛星の2倍以上ある。これまで訪れた探査機はマリナー10号、メッセンジャー、ベピコロンボの3機しかない。その理由は優先順位の低さではなく、到達の難しさだと動画は説明する。太陽に近づくと速度が上がってしまい、そのままでは水星を通り過ぎるしかない。そこでスイングバイを繰り返す必要があり、ベピコロンボは地球1回、金星2回、水星6回のスイングバイを経て、打ち上げから7年で周回軌道に入る予定だという。

大気がほぼないので、数十億年前のクレーターも風化せずに残っている。赤道付近は、水星が太陽に最も近く太陽が最も高いときに427度に達する。それでも金星の平均464度には届かない。大気がないので熱が宇宙に逃げるためである。88日続く夜にはマイナス160度を下回り、太陽系で最も表面の温度差が大きい惑星になる。軌道の離心率は全惑星で最も大きく、太陽との距離は4600万kmから7000万kmまで1.5倍変わる。受け取るエネルギーには2.25倍の差があり、遠いときの赤道の最高温度は280度程度と考えられている。自転軸の傾きは0.03度しかないので、極は太陽からほとんどエネルギーを受け取らない。数十億年間日が当たらない場所には、琵琶湖の水量を軽く超える氷が存在することが分かっている。

さらに、地下を1mほど掘ると温度は大きく安定し、中緯度の地下は人間に最適な22度付近を保つと主張する研究がある。重力は地球の38%で、火星とほぼ同じである。氷は農業用水や、分解して燃料・空気に使える。太陽光発電も利用でき、過去の小惑星衝突で金、白金、コバルト、ニッケルが表面近くに眠っている可能性もある。こうした点から、水星の地下は金星の上空と同じく、条件によっては火星をしのぐ候補になりうると動画は述べる。

火星――着陸の難しさと地下に残る可能性

火星の大気圧は地球の1%以下で、気温は最高20度、最低マイナス150度、平均はマイナス60度程度である。純粋な液体の水は存在できず、あるとしても大量の塩を溶かした塩水がわずかに短時間たまるだけである。磁場もないため放射線が降り注ぐ。動画は有人探査計画にも触れ、SpaceXの目標は以前紹介した2026年から、2022年5月時点で2029年に変わったと述べる。

落下の場面で強調されるのは、大気の「中途半端さ」である。パラシュートだけでは減速できないほど薄いのに、突入時の圧縮による加熱は問題になるほどの厚みがある。火星ミッションのおよそ半数が失敗し、その多くが着陸段階のトラブルだという。2018年打ち上げのインサイトは1500度超に耐える熱シールドを備え、着陸直前には逆噴射が必要だった。2004年のスピリットは24個のエアバッグで衝撃を和らげた。主人公にはどちらもなく、時速約1000kmで地面に衝突させられる。空は酸化鉄を含む塵のため普段は薄い黄土色で、夕焼けは太陽の周りだけが青い。地球とは逆の配色である。

表面に生命がいる可能性は低いが、地下は別だと語り手は言う。地下は温度が安定しており、かつての海の水の一部は鉱物と結合して地中に残っているという説がある。深さ1〜100mには大量の氷があり、かつては地下水のネットワークが惑星全体に広がっていた。南極の氷の下には液体の水の湖があると分かっており、火星大気のわずかな酸素でも好気性生物が生きられると推定した研究もある。ただし、火星の土には0.5%以上の過塩素酸塩が含まれる。カリフォルニア州は飲料水中の濃度を1Lあたり6μg以下に制限しており、火星の土はその数万倍以上になる。穴を掘り始めた主人公は、汚染と未知の細菌の恐れから地球へ帰還できなくなる。

火星はいつ赤い惑星になったのか

1億年前の火星も、現在とほぼ同じ赤い惑星だったと動画は説明する。違いとして、高さ20kmを超えるオリンポス山で小規模な火山活動が続いていた可能性がある。また、過塩素酸カルシウムは水の凝固点をマイナス75度付近まで下げる。表面には液体の塩水の跡のような地形があり、今も実際にそうした現象が起きているかはまだ結論が出ていない。火星由来の隕石から、1億7000万年前以降に液体の水で変化した鉱物が見つかったという報告もある。このため1億年前には、蜃気楼のようにはかない量の水が見られたかもしれないという。

20億〜30億年前でも気圧は低かったが、地下深くの水が火山活動で表層を破って噴き出し、大洪水が起きていた。その流量は毎秒最大10億立方mで、アマゾン川の最大約30万立方mの3000倍以上だとされる。37億〜43億年前には、北半球をほぼ覆う海があり、最深部は1.6km以上あった。40億年前に少なくとも0.5気圧以上の大気があったと主張する研究もあり、金星、地球と合わせて青い惑星が3つあった可能性があるという。

変化の原因は太陽風である。粒子が大気分子に衝突してエネルギーを与え、大気が宇宙へ逃げていく。気圧が下がると水は蒸発し、水蒸気は紫外線で水素と酸素に分かれる。水素は火星の重力では引き止められずに逃げ、残った酸素は鉄と反応して赤い錆になる。この変化は39億〜30億年前にかけて進んだと考えられている。地球を守った磁場は、内核が成長するときに押し出された軽い成分が浮力を生み、外核で対流が起きることで維持されている。火星は直径が地球の約半分、質量が約10分の1で冷えやすく、さらに核を毛布のように覆う薄い液体層が内外の温度差を小さくした。そのため磁場は形成から数億年、約39億年前に止まったと考えられている。ただし、惑星に磁場ができる条件そのものがはっきり分かっているわけではない、と動画は断っている。

スペースコロニーと宇宙エレベーター

スペースコロニーは、破局噴火や小惑星衝突、核戦争といった「砂上の楼閣」のような地球のリスクへの備えとして紹介される。英語圏では「コロニー」が帝国主義を連想させるため、スペース・セトルメントなどの呼び方を勧める専門家もいるという。月や火星の基地と比べた利点は2つある。夜がないので太陽光発電を常に使えること(月の夜は2週間続く)、そして重力が小さく出入りが楽なことである。一方で微小重力は、国際宇宙ステーションの飛行士が訓練をしても骨密度や筋肉が落ちるほどの問題になる。そのため多くの構想は回転による遠心力で重力を再現する。1929年のバナール球は直径500mで、毎分1.9回転すれば赤道部で地球並みの重力になる。オニール・シリンダーは直径8km、全長最大32kmで毎分約0.5回転し、居住空間あたりの資材が少なくて済む。スタンフォード・トーラスは直径1.8kmのドーナツ型で毎分1回転し、資材は多いが、ドッキング用の回転しない部分を設けやすい。

最大の障害は資材の調達である。低軌道でも1回の打ち上げで送れるのはせいぜい140tで、国際宇宙ステーションは全長約100mなのに400tを超え、稼働まで10年かかった。そこで月や小惑星に基地を置き、資源を送る方法が考えられている。コロニーの内部は居住区と食料生産区に分け、物質を完全に循環させる。水は放射線を遮る壁にもなる。気候を制御できるので台風も地震もない。回転しない区画は、無重力プールのような観光施設や、欠陥が少なく大きなタンパク質結晶を作る研究に使える。語り手は、やがて住民が地球人とは別の存在を自覚するようになると予想し、それでも太陽の寿命を超えて人類が存続するために必要な一歩だと位置づける。

宇宙エレベーターは、海上基地から静止軌道の基地までケーブルを伸ばし、その上に重りを置いてかごで昇降する構造である。重力と遠心力のつり合いで成り立ち、ロケットのように燃料を使い捨てにしないので輸送コストを大きく下げられると考えられている。ただし課題は多い。鋼鉄やアラミド繊維では強度が足りず、有力なカーボンナノチューブも、2022年時点で作られた最長のものは数十cmしかない。静止軌道までは約3万6000kmある。原子1つ分の欠陥で強度が70%に落ちるというデータや、現実的な強度は理論値の30%程度とする研究もある。風雨、雷、流星物質、放射線を考えれば数倍の余裕が必要で、足りるかどうかは全く分からないという。静止軌道から1万km上に置く場合でも1万t以上の重りが必要になること、かごを動かすには数百m四方の太陽光パネルが要ること、2010年代以降の民間参入でロケットのコストが下がり優位性が薄れていることも挙げられる。

それでも完成すれば、宇宙旅行が一般人に手の届くものになり、振動に弱い精密機器も運べる。例として、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が振動試験に多くの時間とコストをかけたことが挙げられる。静止軌道の基地はすでに秒速約3kmで動いているので、ケーブルをさらに伸ばして火星や木星へ直接送り出す構想もある。その研究は、火星への到達時間の短縮と打ち上げ時期の制限の撤廃を主張している。火星や月では現在の技術でも建設可能とする説もあるという。

宇宙の端とボイド――どこまで行っても端はない

私たちは、約138億年かけて届いた光を宇宙の端として観測している。ただし宇宙は膨張しているので、その光を出した場所は現在約465億光年離れている。この光が宇宙マイクロ波背景放射で、ビッグバンから約37万年後、温度が下がって電子と原子核が結びつき、光が自由に進めるようになったときのものである。スーツでそこへ移動しても、景色は地球から見たものとほとんど変わらない。見えている宇宙は全体の一部にすぎず、その「端」は特別な場所ではないからである。

一方向に進み続けても端には着かない、というのが現在の定説だと動画は述べる。空間の曲率が0以下なら宇宙は無限に広がり、0より大きければ球面のように有限だが元の場所に戻ってくる。どちらの場合も端は存在しない。背景放射に見える温度の高い領域と低い領域の見かけの大きさは、理論的な大きさとほぼ一致する。空間が曲がっていれば光も曲がって大きさがずれるはずなので、曲率はほとんど0だと分かる。なぜそうなっているのかは解明されていない。

ボイドは、銀河フィラメントの間に広がる、銀河がきわめて少ない空間である。天の川銀河の直径は約10万光年、ラニアケア超銀河団は約5億光年、それが属するフィラメントは約16億光年ある。ボイドの多くは直径3000万〜3億光年で、10億光年に迫るものもある。コップの中の空気分子は1立方mあたり約2.5×10の25乗個あるのに対し、銀河内の空間は10万〜100万個、銀河の外では1個以下と推定されている。うしかい座ボイドは直径2億5000万光年で銀河が60個しか見つかっていない。天の川銀河周辺の密度を当てはめれば1万個程度あってもおかしくない空間である。2014年の研究は、ボイドが宇宙の体積の77%を占めながら質量は15%程度にすぎないと推定した。

肉眼で見える銀河は、アンドロメダ銀河(約250万光年)が余裕で見え、三角座銀河(約300万光年)が限界に近いことから、せいぜい数百万光年以内だと動画は説明する。ボイドの中心ではどの方向を向いても真っ暗である可能性が高い。ただし、ボイドとそうでない空間は明確に分けられないので、発見が発表されるたびに論争が起きる。天の川銀河自体が直径20億光年のKBCボイドのほぼ中心にあると主張する研究もあるが、反対意見もあるという。

日本からブラジルへ穴を掘って飛び込む

地球の中心は摂氏5200度、360万気圧に達すると考えられている。その中を1万3000kmの穴が通っているという前提で、動画は物理的な問題を順に取り上げる。1つ目はコリオリの力である。東京は時速約1350kmで東へ動いているが、地球の内部ほど回転半径が小さく速度が遅いので、落下する人は東側の壁に時速100km以上で押しつけられる。動画はこれを、地球の自転軸を穴に合わせて「解決」してみせる。

2つ目は空気抵抗である。穴の中の気圧が地表と同じなら、終端速度は時速約200kmにとどまり、1万3000kmを進むには60時間以上かかる。しかも中心へ近づくほど頭上の質量が増えて下向きの重力が弱まり、中心で無重力になり、その先は逆向きに引き戻される。そのため、減衰する振り子のように往復したあと、中心で止まってしまう。

穴を真空にすれば、中心で時速3万5000kmに達し、ブラジルの地表でちょうど速度0になる。内部の密度の変化を考慮すると、所要時間は約38分である。斜めの穴でも、摩擦がなければどの2点間もおよそ40分になる。距離が短いほど重力の向きが穴と直角に近くなって加速が小さくなり、2つの効果が打ち消し合うからだ。最後に語り手は、穴を開ける、自転軸を変える、真空にする、耐熱耐圧スーツを作るという「簡単な4点」を挙げて締めくくる。

地球に土星のような環があったら

土星の環の起源は分かっていない。40億年以上前に土星と同時にできたという説と、1億5000万年前以内にできたという説があり、どちらも決め手に欠ける。どちらにせよ、近づきすぎた天体が引き裂かれた残骸という見方が有力である。初期の太陽系ではそうした出来事が起きやすかったことは、古い起源説の根拠になる。一方で、環の氷は汚れが少なく、数十億年経っていればもっと塵をかぶって暗いはずである。極端な例では約1500万年前に形成されたと予想する研究もある。環の粒は最大でも10m程度で、微小隕石の衝突や、太陽風によるイオン化と磁場による捕捉で、毎秒400〜3000kgずつ失われている。およそ3億年後には消えている可能性があるという。

土星の環(最も内側のD環の内径約6万7000km、E環の外径約48万km)をそのまま地球に移しても、2つの理由ですぐに消える。1つは、水の氷が固体でいられる境界が火星と木星の間にあり、地球の位置では蒸発してしまうこと。もう1つは、地球の重力が弱いので、その距離では粒が集まって衛星になってしまうことである。実際に、巨大衝突でできた環から月が生まれたと考えられている。現実的な地球の環は岩石でできており、内径は最大約1万km、外径は最大約1万8000km程度で、外側は月の重力で濃淡が周期的に変わる構造になるだろうと動画は述べる。

環があれば、夜が真っ暗になることはない。月明かりで産卵時期を決めるサンゴや、星空で方角を知るフンコロガシにとっては一大事だが、初めから環があればそうした生物はそもそも生まれなかったかもしれない。人類にとっては、地上からの天体観測が難しくなり、打ち上げも秒速数kmで飛ぶ粒子を避ける必要が出てくる。見た目の素晴らしさがそれに釣り合うかは微妙で、環は土星の特権のままにしておくのがよいかもしれない、と語り手は結論づける。

ジュラ紀と1億年前の地球

ジュラ紀は約2億年前から1億4500万年前までの時代で、名前はジュラ山脈の地層に由来する。前後の境界は大量絶滅で区切られ、鳥類もこの時代に初めて現れたと考えられている。ティラノサウルスが生きていたのは約6800万年前なので、ジュラ紀よりも現代に近い。ジュラ紀で警戒すべきなのは、全長10mで時速55kmで走れたという予想もあるアロサウルスである。気温は現代より5〜10度高く、氷床はほとんどなかった。一方で二酸化炭素濃度は現在の約400ppmに対して1000〜2000ppmだったという試算があり、1000ppm程度でも知的活動が低下し、めまいや頭痛が起きうるとする研究もある。ただし、この影響についてはっきりした結論はまだ出ていない。最大の問題は食料である。米、麦、トウモロコシ、ジャガイモ、果物などの被子植物がほぼ存在せず、裸子植物やシダだけでは栽培による生活が難しいので、小型の哺乳類や昆虫を狩るしかないという。

1億年前の白亜紀は、酸素濃度が現在と同じか多少高く、二酸化炭素は数百〜1000ppmと、ジュラ紀より過ごしやすい。インドは島で、オーストラリアと南極はつながっていた。南極が独立していなかったため氷に閉ざされておらず、海水面は現在より200mも高かったという説がある。北アメリカ大陸の中央には浅い海ができかけていた。平均気温が30度付近だったという極端な予想もあり、火山活動も活発だった。ステゴサウルスはすでに絶滅し、ティラノサウルスやトリケラトプスはまだ現れていない。代わりに、背中に1.5mの帆を持つ体長14mのスピノサウルス、ティラノサウルスより大きかった可能性のあるギガノトサウルス、体長30〜35mのアルゼンチノサウルスがいた。フラミンゴのような口ばしの翼竜プテロダウストロ、ペリカンのような下顎を持つワニのストマトスクス、爪切りのような口のニジェールサウルスなど、動画は形の奇妙な生物も紹介している。ハチやチョウが受粉を担い始め、それまで少数派だった被子植物が増えていく時期で、イネ科の草原はまだなかった。白亜紀には世界の石油の約60%が生成されたとも考えられている。

恐竜絶滅の日

約6600万年前のK-Pg境界では、生物の約75%が絶滅したとされる。世界中の地層に含まれるイリジウムは、地表にはほとんどないが小惑星には多く含まれており、衝突の証拠になっている。衝突地点はユカタン半島沖である。衝突層から出たヘラチョウザメの化石の骨には年輪のような模様があり、その分析から、衝突は北半球の春だったと分かっている。一方、小惑星の大きさの推定は10kmから数十kmまで幅があり、エネルギーもTNT換算で数千万〜1億メガトンと正確には分からない。広島の原爆は0.015メガトン、史上最大の核爆弾ツァーリ・ボンバでも50メガトンである。

衝突の瞬間には太陽の数倍明るい火球が現れ、1800km離れた場所でも気温が100度を超えたと予想されている。津波は最大1500mともされ、100km以上内陸まで達し、太平洋沿岸でも10mを超えたという試算がある。宇宙まで巻き上げられた土砂が大気に再突入して熱を出し、世界中で気温が急上昇して、植物が自然発火した地域もあったと考えられている。北アメリカや、その反対側のインド、オーストラリアでは大規模な山火事が起きた。さらに、衝突は45〜60度の浅い角度で、石膏(硫酸カルシウム)を多く含む浅い海底に落ちた。これが最悪の条件だったと動画は述べる。大量の硫黄と煤が太陽光を遮り、一説では1000億tの硫黄が放出され、気温が20度以上下がり、異常気象は30年ほど続いた。光合成が止まって食物連鎖が崩れた。

なぜ恐竜だけが絶滅したのかには、はっきりした答えがない。体が大きく食料を多く必要とする恒温動物だったという説や、卵から生まれるので大人と子供の大きさが大きく違い、生態系での役割が分かれていたために弱かったという説がある。鳥類や哺乳類が生き残った理由としても、植物の種を食べられたという説や、死骸で増えた菌類に対して哺乳類の免疫が強かったという説などが挙がる。語り手は作家ラリー・ニーヴンの「恐竜が絶滅したのは宇宙開発を進めていなかったから」という趣旨の言葉を引き、10km級の衝突確率を100年あたり1万分の1とする試算にも触れる。そのうえで、現在の人類には10kmの小惑星をそらす技術がないと指摘する。

1億年後の地球

近い将来では、月の影響で地球の自転が遅くなり、うるう秒でも追いつかなくなって時刻の統一が難しくなるという。約1万5000年後には歳差運動で自転軸の向きが逆転し、北半球の夏と冬の太陽との距離が入れ替わる。季節の差が大きくなり、約1万年前と同じようにサハラ砂漠がサバンナになると推定されている。2万年後には、1986年のチェルノブイリ原発事故の汚染地域全体が問題のない放射線量まで落ち着く。ただし、文明を崩壊させうる破局噴火は5200〜4万8000年周期で起きているとする2017年の研究もある。5万年後には氷河期が来ると予想されているが、二酸化炭素排出でさらに5万年遅れるという試算もある。約6万4000年後には、シリウスが南極星のような位置に来る。

1万年から100万年後の間には、ベテルギウスやアンタレスが超新星爆発を起こし、数か月間満月に匹敵する明るさになるかもしれない。生命に影響が出るのはおよそ30光年以内とされ、この2つは数百光年離れている。ただし、8400光年先のWR104は100万年以内に爆発し、ガンマ線バーストが地球を直撃する可能性が指摘されている。発生の仕組みはよく分かっておらず、当たる可能性は低いと動画は留保をつけている。約129万年後にはグリーゼ710が0.17光年まで近づき、全天で最も明るい恒星になる。これがオールトの雲の彗星の軌道を乱し、一部が内側に飛ばされて地球に衝突する恐れがある。

1000万年後にはアフリカ東部が裂けて大陸が2つに分かれる。それより先の予測はモデルによって大きく異なり、日本とハワイの衝突説もプレートの動きが逆転する場合があるので断言できないという。あるモデルでは、5000万年後にヨーロッパとアフリカが衝突して地中海が消え、ペルシャ湾の位置までヒマラヤのような山脈ができる。南極の氷床が溶けてグリーンランドとともに海面が90m上昇し、8000万年後には現在のハワイ諸島が沈み、2億5000万年後には超大陸パンゲア・ウルティマができるとされる。地球は約50億年後に赤色巨星となった太陽に飲み込まれ、生命は28億年後まで存続できると推定する研究もあるという。

宇宙で死ぬと

コマロフやチャレンジャー号の事故は大気圏内で起きたもので、上空100km以上で人が亡くなった例は1971年のソユーズ11号の3人だけである。帰還時の装置の誤作動で高度168kmで船内の空気が抜け、全員が窒息死した。1965年のボスホート2号では、宇宙服が膨らんでハッチに入れず、飛行士が機転を利かせて空気を抜いて帰還した。ミールでの火災や衝突、2013年のヘルメット内への浸水も危うい例として挙げられる。

NASAは公式には宇宙で死者が出た場合のマニュアルはないとしている。ただし、国際宇宙ステーションへ向かう訓練には、乗組員が死亡した想定の演習がある。遺体の扱いや帰還手段を検討している最中に、「SNSに事故が投稿され、記者から連絡が来た」という情報が追加され、公式発表や家族への連絡まで対応を迫られる。この訓練は関係者に好評だという。ステーション内では遺体が地上と同じように腐敗し、病原菌や臭いが乗組員を脅かす。そのため密閉袋に入れて貨物区画に置き、帰りの便を待つ可能性が高い。宇宙へ捨てることはデブリを増やすので、緊急時以外はありえないとされる。

宇宙服なしで外に出た場合、宇宙空間はマイナス270度でも、熱を伝える物質がないので放射でしか体温は失われない。体温が0度を下回るまで18時間程度かかるという試算がある。液体の水は安定して存在できないので、遺体はやがて凍ったミイラのようになり、半永久的に漂う。数十年かかる恒星間航行で死者が出たときにどうするかは、技術面だけでなく法律や倫理の面でも、まだ誰も答えを持っていない。語り手は、この問題を解決しない限り人類は宇宙規模の文明とは言えないのかもしれないと述べる。

ブラックホールへの落下――恒星質量か超大質量か

ブラックホールは直接観測できないが、見えない何かに引き裂かれた天体や、見えない天体同士の衝突による重力波などから、その存在は確実視されている。十分に離れていれば他の天体と変わらず、太陽を同じ質量のブラックホールに置き換えても惑星の公転は変わらない。

太陽の5倍の質量を持つ、回転していないブラックホールの場合、事象の地平面の半径は約15kmで、東京23区が収まるほどの大きさしかない。100万km離れた地点でも重力は地表の約70倍である。問題は頭と足にかかる重力の差で、身長170cmの人が頭から落ちると、2800kmの地点で差が地球の重力の10倍を超える。ここが人間の生存限界とされる。中心から20kmでは、わずか1mmの差で1万7000倍になり、体は細く引き伸ばされる。これが「スパゲッティ化」である。

一方、天の川銀河の中心にある太陽の430万倍の質量を持つ、いて座A*では、事象の地平面は中心から約1200万kmにあり、そこでの頭と足の重力の差は0.01%程度にすぎない。落下していくと、黒い球体を回る降着円盤が見え、球の上下にも円盤が見える。これは裏側の円盤から出た光が重力で曲げられて届いたものである。円盤は数千度に達し、紫外線や青い光を放つ。回転していない場合、中心から3600万kmが最小安定円軌道で、それより内側では物質は安定して回れない。さらに内側の光子球では、理論上、自分の後頭部から出た光がブラックホールを1周して目に入る。地平面の近くでは時間の進みが極端に遅くなるので、外から見ると落下する人は赤く暗くなり、地平面で止まったように見えたあと消えていく。

回転するブラックホールでは、地平面に「ファイアウォール」と呼ばれる高エネルギー領域があるという説もある。地平面の内側では一般相対性理論の式の上で時間と空間の役割が入れ替わり、中心の特異点へ向かうことは避けられない。脱出しようとすると、かえって到達が早まるという。特異点は計算上は密度が無限大になるが、多くの科学者はそれを計算の産物とみなし、一般相対性理論に代わる別の理論で正しい姿が分かると考えている。特異点が実際にどうなっているのか、現代物理学は答えを持っていない。動画はその未知の場所まで主人公を連れて行き、スパゲッティ化で分解させて旅を終える。