創業77年の西田精機はERPで何を変えたのか:生産と会計の分断から「データで話す」経営へ
PIVOT 公式チャンネル医療機器向けの精密部品を手がける西田精機は、2020年にSAPのERP採用を決め、2022年に導入した。本記事は、SAP NOW AI Tour TOKYOで行われたセッション「成長企業に学ぶデータ経営 西田精機が挑んだERP活用3年間のリアル」の内容をまとめたものである。登壇したのは西田精機常務の西田真氏とSAPジャパンの吉元宣裕氏で、司会はPIVOTの野島氏が務めた。
主題は、勘と経験に頼ってきた中小製造業が、ERPによって生産と会計をつなぎ、経営判断や社員への還元、取引先との関係をどう変えたかである。西田氏は、導入初年度に原価計算すらできなかったことや、現場に過剰な入力負担をかけたことも含めて振り返った。
西田精機という会社と、SAPとの接点
西田氏によると、西田精機は創業77年、3代続く同族企業である。もともとは東京都板橋区で事業をしていたが、6年ほど前に本社工場を福島県へ移し、現在は福島県内の2拠点で生産している。売上は約17億円、従業員は約200名。極小部品の精密加工を得意とし、主な製品は医療機器用の部品で、登録品目は2500にのぼる。
吉元氏は2019年から会津若松市のスマートシティの取り組みを支援しており、その中で中小製造業の生産性向上に携わってきた。西田氏とはそこで知り合い、6年以上の付き合いになるという。吉元氏は、SAPがもっと中小企業を支援し、日本の競争力を高める余地があると考えて活動していると述べた。今日の事例については、一社の取り組みとしてだけでなく、大企業を含むバリューチェーン全体が世界とどう戦うかのヒントにもなるはずだと位置づけた。
「西田スタンダード」と生産・会計の分断
導入前の状態を、西田氏は三つの課題にまとめた。
一つ目は、勘と経験への依存である。社内には「在庫を持つことが正義」という独自の成功体験があり、同社はそれを「西田スタンダード」と呼んでいた。会社はそこに縛られていたと西田氏は言う。
二つ目は、データの分断である。生産データ(MESのデータ)はあったが会計とつながっておらず、正確な損益が見えなかった。
三つ目は、変化への対応の限界である。コロナ禍もあり、市場の急な変化についていくのが難しくなった。事業継承への不安も表面化した。
会社紹介のVTRでは、社長も当時をこう振り返っている。「安く、早く、品質よく」は当たり前だと思っていたが、その価値の重さをきちんと測れていなかった。作ったものの原価はすぐには分からず、年1回の決算で初めて利益が出たかどうかを知る状態だった。何をするにも社長の承認が必要な社風で、管理職から企画や発想が出てくることも少なかったという。
「このままでは次世代にバトンを渡せない」という危機感から、個別最適から全体最適への転換が必要だと痛感した、と西田氏は語った。バトンを受け取る立場として入社当時に不安はなかったかと問われると、西田氏は「数字も見えていなかったので、がむしゃらについていった」と答えている。焦る以前に、数字が見えていなかったということである。
自社開発MESでは足りなかった
西田スタンダードから抜け出すための最初の手は、MES(製造実行システム)だった。同社はベンダーと協力して独自のMESを開発した。製造現場に特化したシステムで、会計とはまったくつながっていなかった。
MES導入前は、Excel、紙、Accessに分かれたデータを最後に一つにまとめる作業が発生していた。MESによってある程度デジタル化され、データがつながったと西田氏は感じていた。一方で、紙からデジタルへの移行には現場から不満も多く、「今までの方がやりやすい」という声がかなり上がったという。
しかし会計と連動しないため、製造原価の計算はまったくできず、そこは社長の勘と経験に頼ったままだった。MESを2年ほど使った末に、SAPの導入が決まった。
S/4HANAベースのERP採用と「Fit to Standard」
2020年9月、同社はSAP S/4HANAを核にした中小企業向けの共同利用型ERPの採用を決めた。西田氏はこれを社長の英断だったと言う。業務をシステムの標準に合わせる「Fit to Standard」の考え方を取ったため、従来の西田スタンダードを捨てるという苦闘がここから始まった。西田氏は今では、これが西田スタンダードからグローバルスタンダードへ移るための第一歩だったと捉えている。
プロジェクトでは、ロジスティクス、生産、財務の各領域に責任者を置き、全部署を巻き込む体制を作った。さらにMESと会計を連動させ、売上・原価・利益をすぐに把握できるようにした。そのうえで、徹底した無駄取りによって利益を生み出すことに取り組んだ。
1年目は原価が出なかった:マスター整備と入力の粒度
導入は順調ではなかった。西田氏によると、1年目は原価計算ができなかった。マスターが整っておらず、現場で入力されるデータも正しくなかった。そもそも原価計算に必要な情報が足りていなかったという。
2年目にはマスター整備が進み、ようやく原価が見えてきた。すると今度は、経営に必要なデータと現場に必要なデータのずれが問題になった。当初は現場にできるだけ細かく入力してもらう設計にしていたため、現場の作業工数が大きく増え、現場は疲弊した。VTRでも西田氏は、ここまで細かく把握することが、現場で扱う個数に見合っていたのかと振り返っている。
吉元氏はこれを「あるある」だと述べた。SAPもコンサルティングファームも、教科書的には、データをきちんと入れてそれをもとに正しい経営判断をしようと勧める。それ自体は間違っていない。しかし何千もの製品と関連部品をすべて登録すれば精度は上がるものの、実際にはそこまで正確に入力できず、結果として原価計算ができないという事態が起きる、と吉元氏は説明した。
吉元氏によれば、西田精機の場合は、他社でERP導入を経験した人がいたことが幸いした。すべてのデータを新しく入れ直すのではなく、経営に必要な収益判断の軸でデータを捉え直した。現場のものを全部取ろうとしても、そこまでの細かさは結局見きれない。だから優先順位をつけ、業務負荷と経営に必要なデータのバランスを整理した結果うまくいった、というのが吉元氏の説明である。西田氏も、まず現場で必要なデータと経営で必要なデータを整理するところから始めたと述べた。
経験者がいない企業はどうするか
そうした経験者がいない中小企業も多いのではないか、と司会は問いかけた。吉元氏は、欧米ではSAPの資格を持つ人がユーザー企業に普通にいるが、日本ではSIerに偏ってきたと指摘した。ただし最近は、SIerにいた人がユーザー企業に移るケースや、ユーザー企業間の転職も増えており、人材の流動性は高まっていると見ている。それでも経験者がいない会社はあるので、全体を俯瞰して見られる人を育てることが重要になるだろう、と述べた。
ロジ・生産・財務に責任者を置いたことについては、吉元氏は全社ERPプロジェクトの「王道」であり、絶対に必要だと述べた。各部門の責任者が議論に加わり、それを役員が取りまとめて、トップダウンとボトムアップをきちんと合わせることがプロジェクトの勘所だという。司会は、データの粒度を決める場面でも、現場を知らない人が決めれば現場が疲弊すると補足し、西田氏もこれに同意した。
1年ごとに見えるものが増えた
導入から4年が経ち、現在は5年目に入っている。西田氏は、この間の変化を次のように振り返った。1年目は原価が見えなかった。2年目になって、前年度と今年度に入力したデータの差がようやく分かるようになった。3年目から4年目にかけては予算を組んで管理できるようになり、長期的に数字が見えるようになったことで、中期経営計画を初めて作り、その実行を始めている。
現在は、ダッシュボードでPSI(生産・販売・在庫)情報を日次で見られる。工程別・品目別の損益や工程別の原価も月次で把握できる。これによって問題のある品目や工程を特定し、ピンポイントで改善できる体制が整いつつある。標準原価と実際原価の差を毎月の経営会議で共有し、現場に落として改善する流れを繰り返しているという。
経営判断のもとも、社長の勘と経験から、原価計算、負荷計画、採算基準といった形式知へ移りつつある。VTRで西田氏は、品目ごとに原価が見え、工程別に掘り下げられるようになったことで、どこを改善すれば目標にどれだけ近づき、利益がどれだけ得られるかが明確になり、管理職が改善の優先順位をつけやすくなったと語っている。西田氏は、すべてを数字で会話できるようになったことが大きな変化だとまとめた。
ベースアップは「未来が予測できるようになったから」
同社は利益の向上を原資に、2年連続で5%のベースアップを実施し、年間休日も8日増やした。
吉元氏はこの点について、原因を正確に捉えるべきだと述べた。西田精機と話していると、人が本当に採用できないという状況がある。採用するには給与を上げる必要がある。ただし「ERPを入れて生産性が上がったから給料が上がった」というのは少し違う、と吉元氏は言う。正確には、ERPでデータを活用することで未来がある程度見えるようになり、給料を上げてもこれだけ利益を確保できると予測できるようになったから上げられたのだ、という。ボーナスなら結果が良かったから払えるかもしれないが、人を雇うにはベースを上げる必要があり、そのためには予測が欠かせない。そうしなければ中小企業の人材不足は解決できない、と吉元氏は論じた。
意識の変化はまだ管理職まで
社員の受け止めについて、西田氏は控えめに答えた。ベースアップによって自分たちの成果は見えているものの、一人ひとりの意識が変わったかといえば、まだそうではない。数字が見えてお金を意識できるようになったのは現時点では管理職までで、今後は管理職への教育を進めたうえで現場に落とし込み、目標に向けて改善を重ねていきたいと述べた。
これに対し吉元氏は、管理職がその細かさで数字を見られるようになったこと自体がすごいと評価した。以前は社長に何度も確認して意思決定していたのが、今では部門長や組織としてお金に換算して判断できるようになっており、組織力が明らかに上がっている、と長く同社を見てきた立場から述べた。
下請けから戦略的パートナーへ
三つ目のテーマは社外との関係である。西田氏によると、原価や製造実績を開示することで、従来のQCD(品質・コスト・納期)だけでなく、改善の根拠となるデータを示しながら顧客とやりとりできるようになりつつある。同社は、交渉から共創へ進み、信頼される数値で選ばれるパートナーになることを掲げている。下請けという立場を超えて、顧客と未来を共につくる不可欠な存在になることが目標で、その挑戦は続いているという。
主要取引先のオリンパスとの関係について、西田氏は、データでコミュニケーションが取れるようになった点が大きいと答えた。以前は、どのデータを開示してよいのかも分からなかった。数字が見えるようになり、開示すれば顧客と戦略的に製品や活動を展開できるという理解が社内に浸透したことで、開示できるデータが増え、深いところまでやりとりする機会が少しずつ増えているという。
吉元氏は、オリンパスの役員と話した際の内容を紹介した。オリンパスは西田精機のような中小企業に支えられており、その中小企業が持続可能性に危機を感じていることは、自社のサプライチェーンの課題でもある。だから大企業も自分ごととして一緒に取り組む必要があり、データを共有しながら進めることに大きな意味がある、という趣旨だった。
吉元氏は具体例も挙げた。西田精機がデータを開示するだけでなく、オリンパス側からもローリング12か月でおおよその発注予定を教えてもらえれば、まだ確定受注でなくても、それに応じた生産計画を立てるなど打てる手が増える。データを互いにやりとりすることで信頼性が高まり、ひいては競争力が高まる関係だと吉元氏は述べた。
取引先を選ぶ基準についても、吉元氏は、大企業にとってはQCDだけでなく、持続的に付き合えるかどうかもリスクとして見られるようになっていると指摘した。西田精機はそれを強みにしていくのではないか、という見立てである。西田氏自身は、導入前はデータが社内や顧客との関係をここまで広げるとは意識していなかったが、導入して結果が出たことで初めて腹落ちした、と語った。
外の世界を見ることで分かったこと
販路拡大について、西田氏は、営業部隊を立ち上げて展示会や商談会に参加していると述べた。これまでは外の世界をあまり知らず、取引の幅も広げていなかったため、主要顧客に深く入り込むには何が必要かを把握できていなかった。外を見ることで、自社のベンチマークや、顧客にどう深く入っていけばよいかがようやく見えてきたという。VTRでも、外の世界を知らなければ自分たちの位置は把握できず、ERP導入で外とつながったことが西田スタンダードからグローバルスタンダードへの一歩になったと語っていた。
AIレディな会社へ
AI活用について、西田氏はまず正しい情報が重要だと述べた。社内で正しい情報が整っていなければ経営判断が難しくなる。AI活用の土台としてERPの整備が必要で、それを整えることで自然とAIレディな状態になり、意思決定の高度化や自動化を加速できると考えている。そのデータと仕組みを基盤に、PLMの導入やカーボンフットプリント(CFP)の算出などにも取り組もうとしている。現在は「ERP×RPA×AI」で企業価値の最大化を目指しているという。
吉元氏は、AIの時代にはERPが企業の学習基盤になると述べ、子どもの成長にたとえた。素直な子どもはすっと伸びる。同じように、標準的なERPが素直に入っていればすぐに学習できるが、データがスパゲッティ状態であちこちつながないと使えない状態では、なかなか成長できない。学習基盤としてERPがきちんとあれば、AIを競争力につなげられるという。
吉元氏はさらに、今年の中小企業白書が「中小企業にとって現状維持は最大のリスク」とまで踏み込んで書いていることに触れた。これまでの考え方や価値観のまま進められる時代ではなくなっている、という認識を示したうえで、西田精機の取り組みを参考にしてほしいと述べた。司会も、中小企業を経営する自身の父親がいつも「現状維持でいい」と言うことを挙げ、少しずつ成長していなければ現状維持すらできない中で、どう成長を続けるかが問われていると応じた。
数字は現場・経営・顧客をつなぐ
最後に西田氏は、数字は現場と経営、さらに顧客をつなぐ「最強のコミュニケーションツール」だと考えていると述べた。データを正しく活用することで、企業の成長やAI活用、競争力の向上につなげられるという。ERPを基盤にデータを活用し、これまで培ってきた伝統を次の世代に引き継いで、100年企業を目指して挑戦を続けたいと締めくくった。
吉元氏は、中小企業が元気になることは日本を元気にし、日本の競争力を取り戻すことだと述べ、その手伝いをしていきたいと語った。
西田氏自身が認めているように、数字で考える意識はまだ管理職までにとどまっている。それを現場一人ひとりに広げられるかが、西田精機に残された課題である。
グローバル水準のERPというのがキーワードになってるかと思いますが、まだまだ日本の中小企業、導入足りないですか?
中小企業さんが今持続可能性に危機を感じてると。これは中小企業さんだけの問題ではなくてサプライチェーンの課題でもあるんだと。危機感の中からERP導入を決断して、現場に落として改善をしていくっていう繰り返しを今進めております。
データ経営によって現場の景色が変わりつつあります。経営に必要な収益判断をするための軸でデータを捉えようと。明らかにね、組織力が上がってるんですよね。利益向上を原資とし、2年連続の5%ベースアップすることができました。さらに年間休日数も8日増やすことができて、社員のワークライフバランスの向上にも貢献できるようになりました。
社外の景色はどう変わったのか?これもお願いします。
今までのQCDだけではなくて、改善するためのデータ根拠っていうところを開示しながらコミュニケーションが取れるように。全てを数字データで会話として話せるようになったというのが大きな変化ですね。皆さんこんにちは。
PIVOTの野島です。本日はSAP NOWのイベントセッションからお届けするスペシャルコーナーとなっております。トークテーマはこちら。「成長企業に学ぶデータ経営 西田精機が挑んだERP活用3年間のリアル」と題してお届けします。
では本日お二方ゲストご紹介します。まずはお1人目、西田精機常務取締役、西田真さんです。よろしくお願いいたします。そしてSAPジャパン ミッドマーケット事業本部 第三営業部 部長、吉元宣裕さんにもお越しいただいてます。よろしくお願いします。
はい。よろしくお願いいたします。
まずは西田精機というのが一体どんな会社なのか。世界トップレベルの精密加工を手掛けているなんて聞いていますが、どんな会社なんでしょう?
データドリブン経営の変革と100年企業への挑戦というところで説明させていただきます。まず会社について紹介させていただきます。創業77年で3代続く同族の企業です。元々は東京の板橋区の方で事業を展開していましたが、6年ほど前から本社工場を福島県に移転しております。現在は福島県の2拠点で生産活動を行っております。売上規模は約17億円。従業員は200名の中小企業です。
ですね。これ極小部品の精密加工が得意と書いてるんですが、どういったところに提供されてる部品なんですか?
主に医療機器用の部品になります。
ほお。多分医療のものの部品ってたくさんあると思うんですけれども、何種類ぐらい手掛けてらっしゃる?
弊社の登録は2500品目あります。
多いですね。それらを組み合わせて売上を立てているということなんですが、じゃあこの西田精機さんと吉元さんの関係がどんな関係なのか。
はい。改めまして、SAPジャパンの吉元と申します。私はですね、会津若松市のスマートシティの取り組みを2019年からずっと支援させていただいておりまして、その中で中小製造業のものづくりの生産性をどうやって上げていくのかっていうところを取り組んでおりました。その中で西田精機さんとご一緒させていただいて、かれこれ6年以上のお付き合いになるというところです。
SAPというとグローバル水準のERPというのがキーワードになってるかと思いますが、まだまだ日本の中小企業、導入足りないですか?どうですか?実態として。
もっともっとSAPが中小企業さんのお手伝いをできる、もっともっと日本の競争力を高めていくっていうところにお手伝いできるのかなという風に思って取り組みをしております。
なるほど。中小企業が99%以上ある日本で、どう生産性だったりとかその底力を上げていくのかというところのヒントとして、皆さんに是非今日お話をお伺いしていきたいなと思うのですが、整理のためにですね、西田精機が一体どんな会社で、SAPのERPを導入してからどんな変化があったのか、まずはVTRにまとめておりますので、こちらご覧ください。
小さい部品に対してのものづくりを特化してきたというのが弊社の強みだったと思っています。安く早く品質よく、ここは当たり前だという風には当時からも思っていました。その価値についての重さというか重要度というか、それをきちんと測ることができてなかった。生産と会計が連動していない、結びついていないような企業体でした。当然作ったものの原価もすぐ分かるような状況ではありません。年に1回の決算をしてみて利益が出ていたのかどうなのかというような状態の企業でした。
全て社長に承認を受けないと次に動けないというような社風でもありましたので、最終承認は私が必要かもしれないですけども、それに至るまでの企画ですとか、その辺の発想すらですね、なかなか管理職の中にもございませんでした。
SAP導入後はですね、原価が分かるようになり、製造してるものの価値というものを数字的にきちんと捉えることができるようになりました。各作業現場で正しいデータを自分が入力すると、それが正しい数字となって現れて、管理職の判断、あと社長の判断、ここに繋がっていると。これによりましてお客様との価格交渉ですとか、あと将来への投資ですね、こういうものも数字的に読み取れることによって、未来を見ながら事業展開を行えるような企業になってきた。
品目ごとに原価が見えて、さらに工程別に深掘りできるようになりましたので、そのデータを使ってこれを改善すると自分たちの目標にどれぐらい近づくのか、利益がどれぐらい得ることができるのかっていうところが明確になりましたので、管理職のお金についての考えでしたりとか、どんなものから改善していけばいいのかっていう優先順位っていうところがつけやすくなりました。
当初は今まで弊社で作り上げてきた西田スタンダードをシステムに反映してきたっていうところがありました。なので1番最初は製造で必要な細かい管理っていうところをこのシステムに求めていましたが、本当にここまで細かく把握することがこの製造現場で使用している個数に対して見合っているのか。1年目、2年目と、今社内でどんなデータが必要で、どういうデータがあると経営につなげて、そのデータを未来につなげることができるかっていうところがやっと少しずつ見えてきた。
まずは外の世界を知らないと自分たちがどの位置にいるのかっていうところが把握できないので、このERPを導入したことによってかなり外の世界に繋がるというか、今までの西田スタンダードっていうところからグローバルスタンダードっていうところの一歩を踏み出せた。SAPのデータを使うことによってですね、この2年間連続してですね、約5%のベースアップができています。勘と経験ではなくですね、数字を見ながら次にバトンを渡す方にもですね、未来への良いイメージがつけられるような事業にしたいという風に思っています。
様々なキーワード出てきたなと思うのですが、やはり気になったのは生産と会計が繋がっていなかったと。じゃあそもそも製造業と言っても色々ありますので、西田精機さんがどんな製造工程があったのか、ここから一度整理していきましょうか。全体像お願いいたします。
弊社の製造工程は、まずお客様から受注データをいただきます。それをERPシステムに入力するところから始まります。入力後にはDXによる一貫した全社システムにて機械加工、仕上げ、外注コントロール、品質検査、出荷処理を連携した形で統括して、お客様に製品としてお届けしております。この一貫したデジタル管理によって、今日のデータドリブン経営の基盤となってるという風に思っております。
続いてERPの導入前の状態について説明させていただきます。導入前は勘と経験への依存と事業の不安がありました。西田スタンダードと呼ばれる、在庫を持つことが正義という独自の成功体験に弊社は縛られていました。またデータの分断のところでは、生産データ、MESのデータはありますが、会計と連動していませんでした。なので正確な損益が見えていない状況でした。3つ目に変化への対応の限界というところで、コロナ禍もありましたが、市場の急激な変化に対応することが難しく、さらに事業承継の不安っていうところが露呈していました。このままでは次世代にバトンを渡せないという強い危機感を持っていましたので、個別最適から全体最適への転換が必要不可欠だということを痛感しておりました。
今いらっしゃる西田真さんは、その事業承継のバトンを渡される側にも立ってらっしゃると思うんですけれども、やっぱり入った時はこれで大丈夫かなっていうのは感じました?
これで大丈夫かなというよりは、まだまだ数字も見えてなかったので、がむしゃらについてったっていうようなところが非常に大きいですね。
数字が見えてなかった。そうか。大前提、数字が見えてないから、焦る焦らないの前の段階にいたわけですよね。じゃあそこからどんなアクションがあったのかお願いします。
はい。このような課題を解決するために、弊社は2020年9月にSAP S/4HANAを核とした中小企業向けの共同利用型ERPの採用を決断しました。これは社長の英断でした。業務をシステム標準に合わせるFit to Standardという考えのもと、従来の西田スタンダードを捨てる苦闘がこれから始まりました。ただこれはまさに西田スタンダードからグローバルスタンダードへ展開するための第1歩だったという風に今思っております。実際に導入のプロジェクトの中では、プロジェクトを立ち上げてロジ、生産、財務に責任者を配置して、全部署を巻き込んだ変革体制を整えていきました。さらにMESと会計を連動させて、売上、原価、利益を迅速に把握できる体制を整えました。徹底的な無駄取りによる利益創出への挑戦を進めることになりました。
後ほどこの導入での困難であったりとか、その前にどんな葛藤があったのかみたいなのも是非深掘りしたいなと思っております。じゃあアフターとして、導入した後どう変わったのか、ここはいかがでしょうか?
ERP導入後4年が経ちました。データ経営によって現場の景色が変わりつつあります。現在はダッシュボードでの可視化によってPSI情報を日次で可視化することができるようになっています。さらに工程別の損益でしたりとか品目別の損益でしたり、工程別の原価っていうところが月次で把握できるようになりました。これが把握できるようになると、問題のある品目でしたりとか工程を検出することができて、改善をピンポイントに行えるような体制が整いつつあります。経営判断もですね、今までの社長の勘と経験っていうところが、原価の計算でしたり、負荷の計画、採算基準っていうところの形式知へと移行しつつあります。これらの改善を含めて利益向上を原資とし、2年連続の5%ベースアップすることができました。さらに年間休日数も8日増やすことができて、社員のワークライフバランスの向上にも貢献できるようになりました。
これもね、本当にすごい数字だなと思いつつ、そこまでの施策についても是非後ほどお伺いしましょう。では最後に社外との景色はどう変わったのか、これもお願いします。
データ経営によって社外の関係も進化できるのではないかという風に思っています。原価を開示したりとか製造の実績をデータを根拠に開示することによって、お客様とデータでコミュニケーションが取れるような関係が今少しずつ増えております。これからデータをもとに、交渉から共創へ、信頼の数値で選ばれるパートナーになり、透明性の高い経営をしていくところで、下請けという立場を超えてお客様と未来を共に作る不可欠な存在へなるための挑戦を今続けております。
楽しみですね。ではここについても是非深掘りをしていきましょう。深掘りをする前にですね、是非吉元さんに、この全体像を見た上で今日いらっしゃっている会場の皆様にどんなところを共有したいなと思ってるのか、そのゴールも含めてちょっと一言いただけますか?
西田精機さんの取り組みが、中小企業の一社としての取り組みという視点はもちろんなんですけれども、やっぱりこの日本の全体の競争力、それは中小企業だけではなくて大企業も含めたバリューチェーンの中でどうやって世界と戦っていくのかみたいなところについてもヒントになるんじゃないかなという風に思います。
分かりました。では本日も3つのキーワードで深掘りをしていきます。西田スタンダードからの脱却。2つ目、ERP活用後の変化とは。さらに3つ目、進化するパートナーシップと題しております。
1つ目から参りましょう。西田スタンダードからの脱却。先ほどね、在庫を持つことが正義。あと勘ね、そういった言葉に頼っていたというところがありましたけれども、その当時の課題というのが一体どういうものだったのか、振り返っていかがですか?
MESっていうものを自社とベンダーさんと協力しながら自社で独自で作っていました。会計とは全く繋がっていない、製造に特化したシステムを導入しておりました。
製造業での現場がいかに回るかというその効率性だったりとか、その現場に特化したシステムというのがMESという理解でよろしいですか?これを自社で開発されてたんですよね。
ベンダーさんと協力しながら、自社オリジナルのものを作っていました。
それではうまくいかなかったんですか?
それでは会計と繋がってなくてですね、実際に製造の原価計算っていうところが全くできていない状況でした。ここも社長の勘と経験に頼っていたっていうところになります。
じゃあ西田スタンダードからの脱却の第一手としてMESは入れてみたんだけど、まだ足りないよねというところで課題感があったんですね。
そうですね。
これ現場の皆さんはどんな反応でしたか?
当時はMESの導入前は、Excelでしたり紙でしたりAccessでしたりっていうところで分断されたデータを1つに最終的にまとめ上げるっていう作業が発生していました。ただ自社で開発したMESを導入したことによって、少しデジタル化されたというか繋がったのかなっていう風には思っていました。なのでMESを導入した際にも、紙からデジタルになるところへの現場からの不満というか、今までの方がやりやすいっていうところは非常に多く声は上がっていました。
うん。それを2年くらい使っていたけれども、うまくいかなかったからSAPの導入が決まったという話を伺っています。
はい。
導入の壁はあったのか。ここはいかがですか?
導入後はですね、まず1年目は原価の計算ができませんでした。それはマスターの整備でしたりとか、現場で投入するデータが正しくなかった。そもそも原価を計算するための情報が少なかったっていうところが大きかったです。1年目を通して、2年目になるとマスターの整備が整いつつあり、やっと原価も見えるようになってきました。ただ経営で必要なデータと現場で必要なデータっていうところに差が発生していまして、最初は現場により細かくデータを入力してもらおうっていうところで設計していましたので、かなり細かいデータを現場に入力していただいていました。なので現場が疲弊するというか、今までにない作業工数が非常に増えていったなっていうのがありました。
そうか。経営者としては、いや、データが欲しいからとにかくみんな入力してくれと。それをお願いすると現場が逆に疲弊してしまったと。ここは吉元さん、あるあるなんですか?
はい。あるあるですよね。SAPも、私もそうですし、コンサルティングファームさんとかもそうですけど、やっぱ教科書的にはデータをきちっと入れていただいて、そのデータをもとに正しい経営判断をしていきましょうっていうことなんですよね。やっぱりデータをきちっと入れるっていうことが重要ですと。それは間違ってはないんですけれども、とは言ってもねっていう理想と現実がやっぱりあって、現場の方々の理解度だったりとか意識みたいなことを考えてみた時に、そもそもね、その何千も部品、製品があって、それに関連するいろんな治具みたいなものもあって、そういうところまで全部登録してやるっていうのは確かに精度はめちゃめちゃ高くなると思うんですけど、実際そのデータをきちっとね、入れられないので、そうすると原価計算できませんでしたみたいなことがやっぱり起こってしまうんですよね。なので、西田精機さんの場合は良かったのは、当時、他社でERPを導入されていた方がいらっしゃったので、1回立ち戻って、全部のデータを細かく入れるっていうことじゃなくって、あくまでも経営に必要な収益判断をするための軸でデータを捉えようと。現場にあるもの全部取ろうとすると、そこまで細かくはどうせ見きれないから、そこはある意味メリハリをつけて、業務負荷と経営に必要なデータっていうところを整理してうまくいったっていうような、そういう経緯がありました。
はあ。じゃあ西田精機さんとしては、データをとにかく集めようのフェーズから、一旦そういった人材もいらっしゃったからこそ、目的は経営のためだよねっていうのを再確認したみたいなところはあるんでしょうか?
そうですね。はい。
その施策としてやってよかったなっていうのは、やはり必要な粒度というのを決めるということですか?
はい。そうですね。現場で必要なデータと経営で必要なデータっていうのをまず整理するところから始まりました。
ただこれ吉元さん、そんな人材が、SAPの導入経験がある人たちがいっぱいいればいいんですけど、なかなかそうはいかないという中小企業多いと思うんですが、ここには何とアドバイスされますか?
そうですね。やっぱそこは難しいところですけど、欧米と日本だと、欧米は結構SAPの資格を持ってる人が実はユーザーさん企業に普通にいらっしゃって、日本はどちらかというとSIerさんに多いみたいなのが今まででしたね。それが少しずつ変わってきていて、そのSIerさんにいらっしゃった方がどこかの会社の資料になられてるとかっていうケースも結構増えてきてますし、そこの流動性ってのは上がってると思いますし、ユーザーさん企業の中でも転職みたいなことも随分と増えてきていると思いますから、人材の流動性は高まってるのかなという風に思います。ただやっぱりそういった方がいらっしゃらないところも当然ありますから、そうするとやっぱり俯瞰して見るっていうところができる方を育てていくとかっていうのは、やっぱり重要になってくるんでしょうね。
あとキーワードとして出てきたのが、このパワーポイントで言うと03のところですね。ロジ、生産、財務に責任者を配置したと。こういった部門横断で責任者をちゃんと置いていくみたいな施策というのは1つできそうなことかなと思うんですが、ここは吉元さん、どうお答えしますか?
ERPの全社プロジェクトをする時には、やっぱり各部門の責任者の方が必ず入って議論をしていくっていうのは、これはもう王道ですから、これはもう絶対必要ですよね。これを取りまとめる、だったりとか役員の方がいらっしゃって、トップダウンとボトムアップというところをきちっと合わせていくみたいなことが、プロジェクトとして進める肝なポイントですよね。
西田さんもやっぱりこういった、じゃあ粒度を決めましょうってなった時に、現場のこと知らない人たちが、じゃあ粒度これくらいでって言われても、現場が疲弊しますもんね。
そうですね。はい。
うん。だからこそ、こういった責任者を配置することも重要であると。では2つ目、ERPを導入した後にどんな変化があったのか。こちらキーワード2つ目となっております。活用されてから現時点ではどれぐらい経ったんでしたっけ?
2022年に導入をして4年が経ちました。5年目ですね。
はい。5年目に入ったと。じゃあそれから1年目、2年目、3年目と今振り返った時に、どんな変化があったのかってどう思い返されますか?
はい。まず1年目は原価が見えてない状況でした。2年目になると、ようやく前年度の入力したものと今年度のデータ入力したものの差が分かるようになりました。そこから3年目、4年目の中では予算を組んで管理できるようになりましたし、長期的に数字が見えるようになりましたので、中期経営計画を初めて作成をして、それに向けて取り組みをスタートしている。さらに原価も見えてきましたので、標準と実際の差がどれぐらいあるのか、それに対してどんな改善をしていけばいいのかっていうのを毎月経営会議の中で共有をして、現場に落として改善をしていくっていう繰り返しを今進めております。もう全てを数字データで会話として話せるようになったというのが大きな変化ですね。
これ、今おっしゃってた中期経営計画が立てられるようになったと。もちろん大企業で上場してる企業のね、やつはよく見ますけれども、中小企業レベルでこれができるようになるということの大きさというのは、吉元さん、どう見てらっしゃいますか?
もちろんね、中小企業でそういうことをやっていくべきだと思うんですけど、多分その今困られてるところの1つに、人材不足って当然あるわけですよね。西田精機さんなんかとお話してると、人がね、本当に採用できないっていうような、やっぱりそういう状況なわけですよ。じゃあどうやったら採用できるかって言うと、給与を上げることですよね。じゃあどうやったら給料上げられるのかって言った時に、ここの西田精機さんのスライドにもありますけど、ERPを入れて生産性が上がったから給料が上がったっていうのはちょっとだけ違って、正確にはERPを入れてデータを活用することによって、ある程度未来が見えるようになってきたので、であるならば給料上げてもこれぐらい確保できるよねって予測ができるようになったから給料上げられるんですよね。ボーナスは結果が良かったからボーナスかもしれないですけど、ベースをやっぱ上げないと人って雇えないので、そうするとやっぱ予測をして給料上げてくっていう風にしないと、やっぱり中小企業の人材不足って解決できないんですよね。
このワークライフバランスがまさにその従業員の皆さんの中でも上がってきたという話あったと思いますが、それはお声としてどんな風に受け止めてらっしゃいますか?
従業員のところも、実際にはベースアップによって自分たちのやった成果っていうところが見えてるんですけど、実際にじゃあ1人ずつマインドチェンジできてるかっていうと、まだまだそうではない状況があります。実際に数字が見えるようになってきて、お金についてしっかり意識できるようになってきたのはまだ管理職のところで、ここからさらにしっかり教育を行った上で、現場に落とし込んで目標に向けて達成するっていうようなところを、日々改善を繰り返していくことを進められればなっていう風に思ってます。
いや、西田さんハンブルだなと思ったのが、管理職の人たちは逆に言うと、もうそのレベルの粒度感で見れてるとこなんか。
やっぱそこがすごいですよ。私もずっと西田精機さん見させていただいてますけど、明らかにね、組織力が上がってるんですよね。今までは社長の経験と勘で、社長に何度も聞いて意思決定してましたが、これが部門長だったりとか組織でお金に換算して見れるようになってきてるから、そこから組織力がね、劇的に上がってるんですよね。
確かに。だからこそ、それをちゃんと従業員に還元できているというところも素晴らしいサイクルだなというところで、1つのいい事例として皆さんにもね、共有させていただきました。じゃあ、その皆さんの変化を受けてですね、改めて社外とはどう変わったのか、ここもいきましょうか。パート3つ目。進化するパートナーシップと題して、改めて先ほどもご説明ありましたが、社外の皆さん、ステークホルダーの皆さんとはどんな関係性の変化って感じてらっしゃいますか?
はい。まずはデータでコミュニケーションが取れるようになってきています。原価の開示、あとは製造実績の開示をすることによって、今までのQCDだけではなくて、改善するためのデータ根拠を開示しながら、データでのコミュニケーションが取れるようになりつつあります。
下請けって言うと、本当にイメージとしては、これやって、はい、分かりましたっていう、なんとなくのがやっぱり上下関係というのが言葉としてもやっぱ出てたと思うんですよね。こういったものの概念が変わる時代なのかもしれませんね。
お客様とやり取りしていく中で、より良いものを加工するだけではなくて、お客様により深く入り込んで、戦略的パートナーシップという風に呼ばれるような立場になるように、下請けという立場を超えてお客様と一緒に未来を作るために不可欠な存在になるような関係性をこれから築いていければいいなという風に思ってます。
お客様で言いますと、やはり西田精機さんは大企業のオリンパスさんとの取引が大きいというイメージありますけれども、オリンパスさんとの関係性で大きく変わったことって何か感じてらっしゃることありますか?
データでコミュニケーションが取れるようになったっていうところが大きいです。弊社も今までこのデータは開示して良いのかどうなのかっていうところも分からない状況だったんですけど、数字が見えてくることによって、ここを開示することによってお客様と戦略的に製品でしたりとか活動に展開できていくんではないかっていうのが社内に落とし込めたことによって、お客様に開示できるデータも増えましたし、やり取りもかなり深いところまでやり取りさせていただくっていうところが今少しずつ増えてきてます。
これパートナー側としても、そこが可視化できるというのは、次の彼らの施策を考えたりとか、中計を考える上でも非常にありがたいなと思うので、まさにそれがパートナーという言葉に落とし込まれるのだろうと。これは支援する立場としては、吉元さん、どのように見られてらっしゃいますか?
大企業さんとも当然お付き合いがあるので、私もオリンパスさんとお話しさせていただいたことがありますけど、オリンパスの役員の方がおっしゃられていたのは、やっぱりオリンパスさんのサプライヤーさん、西田精機さんのような中小企業にオリンパスさんも支えられてるわけですよね。じゃあそういった中小企業さんが今持続可能性に危機を感じてるというのは、これは中小企業さんだけの問題ではなくて、自分たち自身のサプライチェーンの課題でもあるんだと。であるならば、やっぱり大企業も自分ごととしてやっぱり一緒に取り組んでいかなきゃいけない。その中でデータを共有しながらやっていくことっていうこの意味っていうのはすごくあるんですよね。例えば西田精機さんの場合で言えば、今西田精機さんの方からデータを開示するってお話でしたけど、例えばオリンパスさんの方からも、大体1年間ローリング12ヶ月でどのくらいこれから発注する予定ですよみたいなこととかを教えていただけると、じゃあそれに応じてどういう風に生産計画を立てていくのか。実際にはまだ受注はしてない、確定はしてないけれども、そういう情報があれば、こちら側もまた色々とやる策ができるわけですよね。こうやってデータをお互いにやり取りすることによって信頼性も高まるし、ひいては競争力が高まっていくっていうような、そういう関係性ですよね。
ERPは信頼なんですね。でも今の話聞いてても、やっぱり製造業だけでなく、どの企業さんもこのサプライチェーンというのが、今の世界の状況を見ててもやはりと。そうなった時に、じゃあどの下請けの皆さんと一緒にやっていこうかなって選ぶ時にも、こういったデータがあるのかないのかって、なんか判断基準になってきそうだなと思ったんですが、吉元さんはどう感じますか?
今西田さんがまさにそういうことを言われてらっしゃるんだと思いますけど、多分そのQCD、クオリティとコスト、デリバリーっていうところだけではなくて、持続的に継続的にお付き合いできるかどうかっていうところも、当然今大企業からするとやっぱりリスクですよね。そういったところも見られて取引っていうのは進んでいくんだと思います。そういったところをまさに今西田精機さんも、ある意味強みにしながらお取引をされていくんじゃないかなという風に思います。
どうですか?今の言葉を受けて。
いろんな危機感の中からERP導入を決断して、導入してよかったなっていう風に思ってます。データがここまで、社内もそうです、お客様との関係っていうのが広がっていくというか、未来に向かってできていくっていうところが、導入する前はあまりそこまで意識してなかったんですけど、導入して初めて結果として自分に腹落ちするというか、意識できるようになってきたなっていう風に思ってます。
なんかここまでやっぱり現在地が見えると、次の一手というのを考えやすくもなると思うんですね。そうなった時に、やはり販路の拡大であったりとか、そういったところも考えてらっしゃるんでしょうか?
営業部隊を立ち上げて、展示会でしたりとか商談会っていうところに今参加させていただいています。ただあまり外の世界を知らなかったと言いますか、幅を広げてなかったので、主要のお客様に深く入り込んでいくためにはどういうことが必要なのかっていうところが全然把握できてなかった部分が、外の世界を見ることによって、自分たちのベンチマークでしたりとか、どういう風に深掘りしていけばいいのか、深く入っていけばいいのかっていうのがやっと見えるように今なってきています。
ああ、だからこそ冒頭にもありましたが、グローバルスタンダードへの第1歩を踏み出せたということなんですよね。では、改めてこのデータという話をしていると、やはりAIというキーワードが出てきてしまうと。じゃあAIを今後中小企業としてどう活用するのか、いろんな皆さんが悩んでらっしゃると思いますが、西田精機さんの道筋というのはどんなものなんでしょう?
まずは正しい情報が重要だという風に思ってます。これが社内で整っていないと経営の判断がしづらいような状態になります。AIの活用をする土台に対して、ERPの整備っていうのが非常に必要になってきて、そこを整備することで自然とAIレディな状態っていうところになるという風に思っています。それによって意思決定の高度化、自動化が加速することができますし、そこをベースに弊社で今PLMの導入でしたりとか、カーボンフットプリント、CFPの算出など、可視化されたデータでしたりとか仕組みを基盤に、いろんな取り組みをしていこうという風に思ってます。今現状ではERP×RPA×AIっていうことで企業価値を最大化しようという風に思っています。
本当に外から見ていても、やはりミクロンレベルでの加工技術、そういった製造技術というのはなかなか世界で見てもあまりないと。そういった中で日本の中小企業が世界で戦えるんだというところを見せるための基盤が、まさにAIによってさらに加速できる未来が見えてるってことなんですよね。ここも楽しみだなと思いつつ、やはりAIレディな会社へというところに関しては、吉元さん、皆さん悩まれてらっしゃる方多いかなと思うんですが、この今西田精機さんたちが掲げていること、そして中小企業の皆さんにアドバイスをするとしたらどんなところをお伝えするのか。
ERPってこのAIの時代になると、企業の学習基盤になると思うんですよね。例えば私、子供とか見ていると、やっぱ素直な子供ってすごいさっと伸びるなと思うんですけど、もしこれ、じゃあ子供をシステムに考えてみると、スタンダードなERPが素直に入ってます、だとすぐ学習できますと。でもこれがスパゲッティ状態であっちゃこっちゃ色々とデータを繋がないとできませんと、なかなか成長できないですよね。なのでやっぱり素直な子供が成長するのと同じように、学習基盤としてちゃんとERPがあれば、AIをもっとね、競争力につなげるっていうことができると思うんです。中小企業白書って年に1度出てますけど、今年の中小企業白書は一歩踏み込まれていて、中小企業にとって現状維持は最大のリスクだという風に、そこまで踏み込まれて今書かれてますね。やっぱり今までの考え方とか今までの価値観の中で進めているわけには、多分もういかない世の中になってきているっていうことなので、そういったところをまさに西田精機さんが取り組んできたようなところを参考にしていただきながら、私たちもいろんな会社さん、あるいはこの日本の企業社会をサポートしていきたいなという風に思います。
いや、本当に確かに、私の父親も中小企業の小さい会社のトップをしてるんですけれども、本当に現状維持でいいっていつも言うんですね。でもこれって結構課題だと思っていて、現状維持というのは少しずつ成長していないとできないというのが今大前提の中で、どうその成長を維持していくのかがまさに今問われてるということだと思うんですが、会場の皆さんに向かっても、多分頑張ってらっしゃる方々も多いと思うので、どんなメッセージをお伝えしたいのか、西田精機さんからいかがでしょう。
まずはデータをしっかり整備をして思っているところは、数字は現場と経営、さらにお客様をつなぐ最強のコミュニケーションツールっていう風に思っています。このデータを正しくしっかりと活用することによって、企業の成長でしたり、先ほどのAI活用でしたりとか、競争力をより高めていけるんじゃないかなっていう風に思っております。ERPの基盤をベースにデータをしっかり活用して、今まで培ってきた伝統っていうところを次世代につないで、弊社は100年企業を目指してこれからも挑戦していきたいと思います。
またアップデートがありましたら、是非PIVOTでもその進捗をお伺いできればなと思うので、引き続きよろしくお願いいたします。吉元さんからも最後、会場の皆さんにお願いします。
やっぱり中小企業が元気になるっていうことは、日本を元気にする、日本の競争力を取り戻すっていうことだと思いますから、やっぱり皆さんと一緒に日本を元気にしていく、そういうお手伝いを是非させていただきたいという風に思っております。
改めてお時間になってしまいました。お2人に大きな拍手をお送りくださいませ。ありがとうございました。
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