Fervo EnergyのS-1を読む:次世代地熱を「反復可能なプロダクト」にする事業設計
東京大学FoundXFoundXのポッドキャスト「FoundX Review Startup IdeaCast」は、ふだんは海外スタートアップのアイデアをAIで分析して紹介している。今回は特別編として、次世代地熱発電(EGS:Enhanced Geothermal Systems)のFervo EnergyがIPO時に提出したS-1(上場申請書類)を取り上げた。番組によれば、Fervoは収録した週に上場し、初日から買いが集まって時価総額は1兆円を超えた。
話者が立てる問いは、立地に左右され、スケールしにくいとされてきた地熱事業を、Fervoがどのように投資家と金融機関が評価できる「インフラ資産」に変えたのか、である。話者の答えは、技術の一点突破ではないというものだ。石油・ガス技術の転用、モジュール化、需要契約、金融、土地の確保を組み合わせた全体設計に強みがある、と話者は読む。なお番組冒頭で、AIを使ってS-1の情報を整理しているため誤りや古い情報を含む可能性があり、事実確認は各自で一次情報にあたってほしいという断りが入っている。
強みの全体像:技術転用、モジュール化、需要、金融、土地
話者はまず、S-1から読み取れるFervoの強みを6つの層に分けて説明した。
1つ目は既存産業からの技術転用である。シェールオイル・ガス産業で培われた水平掘削や水圧刺激のノウハウを地熱に持ち込んだ。2つ目は技術の組み合わせで、掘削技術に光ファイバーセンシング、AI、発電ユニット、さらに金融までを束ねることでブレイクスルーを生んでいると話者は説明する。
3つ目はモジュール化である。50MWの標準化ユニット「GeoBlock」を積み上げ、大規模な「GeoCluster」にしていく。モジュール化によってスケールを可能にし、同時に学習曲線を効かせていく設計だという。サプライチェーンも標準化しており、最大35基分のGeoBlockに相当するORCタービンの供給を確保しているとされる。
4つ目は需要側の工夫だ。Googleなどのハイパースケーラーと長期の契約を結んでおり、Googleとの間には115MWの地熱調達の枠組みがある。5つ目は金融で、PPA(電力購入契約)やGFA(後述するフレームワーク契約)によって需要を示し、それをプロジェクトファイナンスやデット調達につなげている。例えば主力プロジェクトのCape Stationでは、第1フェーズ向けに4.21億ドルのノンリコース・プロジェクトファイナンスを確保した。話者は、EGSが銀行が融資できるインフラになったことを、Fervoの成長のポイントの1つとして挙げた。
6つ目は先行者利益である。競争が激しくなる前に土地を押さえ、地下データ、IP、拘束力のある契約を積み上げてきた。
聞き手が「技術の一点突破ではないということか」と確認すると、話者はそうだと答えた。技術単体ではなく、データ、土地、PPA、金融、参入障壁までを揃えている。さらに話者は、聞いた話としてではあるが、Fervoはプロジェクトマネジメントがかなりうまく、マイルストーンをきちんと達成してきたので信頼されている、という評価も紹介した。
市場カテゴリ:24時間365日動くクリーンな安定電源
話者によれば、Fervoが競っている市場は「再生可能エネルギー」一般ではない。24時間365日安定して稼働する、クリーンな安定電源という市場である。
話者はこの位置づけを、他の電源と比べて説明した。太陽光や風力は安価で導入も速いが、天候に依存し、広い土地を必要とする。ベースロードという概念がどこまで有効かには議論があると話者は留保しつつ、ここに制約があると述べた。従来型の地熱は供給が安定しているものの、熱・水・蒸気・火山帯といった特殊な自然条件が揃う場所でしか開発できず、自然の条件に依存するためスケールしなかった。SMRなどの先進的な原子力は安定した大容量電源になりうるが、規制対応、開発期間、社会的受容性、建設リスク、立地の制約が大きく、今から作っても稼働は10年後、15年後になる、と話者は見る。
これに対してFervoのEGSは、条件が一部揃っていない場所でも人工的に条件を整えられるので、場所を選びにくい。熱源さえあれば、水などは自分たちで人工的に用意する。そのうえで地熱本来の24時間365日の安定供給ができる。話者はDOE(米エネルギー省)の整理にも触れた。データセンターの電力需要に応えるには、太陽光・風力・蓄電に加えて、次世代地熱や原子力のようなクリーンな安定電源をスケールさせる必要があるという内容である。電源の評価軸は発電単価だけでなく、導入スピード、容量価値、系統接続など複数ある。Fervoは最安の電源ではないかもしれないが比較的安く、止まらない、カーボンフリーで、調達しやすい規模感を満たせる電源だ、というのがS-1の語り口だと話者はまとめた。
どこまで実証されているのかという聞き手の質問には、過去のプロジェクト「Project Red」で600日を超える運転を公表していると答えた。一方で、商用規模の実績はCape Stationの稼働を待つ必要がある。安定性、スケール性、立地の柔軟性は、これから検証の精度が上がっていく段階であり、実績が出ればさらにファイナンスがつきやすくなるだろう、と話者は見ている。
成長ストーリー:トヨタとSpaceXの手法をインフラに持ち込む
S-1でFervoは、トヨタやSpaceXのような製造業の手法をインフラ開発に持ち込み、エネルギー業界のルールを変える、という物語を語っている。
話者はその中身を2つに分けた。1つは、石油・ガス産業の水平掘削や水圧刺激の技術を地熱に転用することで、既存のサプライチェーン、技術、労働力をそのまま活用できる点である。もう1つは、発電所を一品物のプロジェクトとして扱わず、モジュール化・標準化・単純化によって反復可能なプロダクトにする点だ。Fervo自身も、水平掘削、光ファイバーセンシング、貯留層エンジニアリングによって反復可能な産業的アプローチを構築していると説明している。トヨタ的な継続改善で反復回数を増やし、工程を学習して学習曲線を回し、コストと工期を下げる。SpaceX的な発想で、巨大インフラであっても垂直統合、反復、データ回収によって学習速度を上げる。
話者の読みでは、S-1は技術のすごさを語るのではなく、投資家が理解できる成長ストーリーを語っている。IPOの価格決定や大型調達は、AI、電力、インフラ投資というテーマへの投資家の需要をつかむ必要があり、Fervoはそこを狙っているという。
聞き手が、このストーリーの優れた点は投資家に伝わりやすいことかと尋ねた。話者は、技術も紹介しつつ、データセンターの需要という市場の話から入り、その需要を満たす供給ができるのかという問いに「反復モデル=製造業」で答え、学習曲線で安くしていくと語り、実際の契約と資金調達の実績も示すという順序で説明しているからだと答えた。資本市場が理解しやすい構成だということである。
契約バックログとGoogle:需要をどう示すか
長期契約について、Fervoはすでに658MW、金額にして約72億ドル相当の拘束力のあるPPAをバックログとして抱えている。これらのPPAは平均で約15年の残存期間がある長期契約で、長期にわたって安定した収益を生むことを示している。加えてGoogleとは、3GWの地熱開発プロジェクトに関する枠組み合意がある。そこに50MWの標準化発電設備GeoBlockを展開していく、という流れが非常に分かりやすいと話者は評価した。
これから検証が必要な点としては、商用の大規模な実績がまだないことを挙げた。Cape Stationの稼働、実際のコスト、納期は上場時のリスクとしても記載されている。現状の売上規模について話者は「確か2000万円ぐらいだったかな」と曖昧な記憶で触れ、まだそれほど事業は動いていないことがリスクだと述べた。
TAMの見せ方:「地熱市場」ではなく米国のベースロード不足
市場の定義について、Fervoは地熱市場をTAMにしていない。2035年に米国で不足する98GWのベースロード電源をTAMとして捉えている。この98GWは、Rystad Energy系の推計として報じられている数字をS-1が引用したものだという。
需要側のドライバーとして挙げられているのは、AIデータセンター、米国への製造業回帰(リインダストリアリゼーション)、電化の進展である。その一方で石炭火力の退役が進み、需給のギャップを埋めなければならない。この不足を埋めた場合、年間約700億ドル、発電アセットの寿命を30年とすると約2.1兆ドルという巨大な市場機会になる。Fervoはこう見せたうえで、人工貯留層によって地熱を自然発生的なものからエンジニアリングの対象に変え、ポテンシャルを大きく広げる、という市場の転換を狙っていると説明している。
聞き手は、700億ドルに30年を掛けて2.1兆ドルにする見せ方が面白いと感想を述べ、実際に取れるのはどの程度かを尋ねた。話者は、このTAMは電力システム全体の不足量の話なので、Fervoが実際に取れる部分はもっと小さいかもしれないと答えた。ボトルネックとしては、そもそもの地質条件、送電網、許認可、資本の制約を挙げた。
ビジネスモデル:Build-Own-OperateとGeoBlock/GeoCluster
Fervoのビジネスモデルは、話者によれば垂直統合に近い。自ら建設し、所有し、運営し、PPAで電力を売るBuild-Own-Operate型である。収益源は長期PPAで、ソフトウェア的な売り切りやライセンスではなく、インフラ資産でキャッシュフローを作る。
その中核がGeoBlockとGeoClusterだ。GeoBlockは50MWの標準化されたORC発電ユニットで、GeoClusterは複数のGeoBlockを束ねた数GW級の発電ハブ構想である。Cape Stationはユタ州ビーバー郡の500MWのプロジェクトで、2026年にまず100MW級の商業運転を始め、2028年に400MWを追加して合計500MWを目指す。Cape Stationの公式サイトでも、フェーズ1は2026年後半に送電開始、2027年初めに約100MW、フェーズ2は2028年が目標とされている、と話者は紹介した。
強みとリスク分散の観点では、まず共有インフラがある。送電接続、道路、変電所、調達、用地をクラスター内で使い回す。また複数の井戸と複数のモジュールで構成するため、単一の井戸が不調でも全体の停止に直結しにくく、追加掘削などで全体の出力を補える。サプライチェーンについては、米国内での部材供給を5年契約で確保しており、最大8億ドル規模の契約として発表されているという。
なぜ運営まで自社で担うのか
聞き手は、なぜ運営までやるのかと尋ねた。話者はいくつかの理由を挙げた。電力はコモディティなので買い手がいて、PPA収益を取りやすい。ライセンスモデルは最終的に使う人たちが買ってくれなければ意味がないので、自分たちでやったほうが安全な場合もある。
自社運営の最大のメリットとして話者が強調したのは、運用のデータと学習を自社に蓄積でき、それが資産価値になる点だ。Fervoは光ファイバーとAIによる高度な地下モニタリングを行っており、データをリアルタイムかつ高解像度で監視し、次の掘削や継続的な最適化に使える。
あまり知られていない独自の仕組みとして、話者は「Fervo Flex」も紹介した。地熱発電でありながら、需要に応じて出力を柔軟に調整できるシステムである。電力需要が低いときや太陽光・風力の発電が多いときには生産を絞り、地下の貯留層に圧力を蓄える。需要が高まったらそれを解放して出力を急速に引き上げる。蓄電池を経由しなくても調整できるというわけだ。
細かい点として、GeoBlockの50MWという規模は、反復しやすさ、ファイナンスのしやすさ、標準化のしやすさなど、さまざまな技術的制約の最適解として選ばれているようだ、と話者は付け加えた。
KPI設計:技術・顧客・金融の3種類を並べる
Fervoは単なる発電量ではなく、将来の収益性とコスト競争力をKPIとして開示している、と話者は指摘した。
1つ目は潜在容量で、Cape Station単体で4.3GWとされる。これは現在の稼働容量ではなく、地下資源を含む将来のポテンシャルである。2つ目は契約バックログで、658MWの契約済みオフテイクに基づく潜在収益だ。ここにはSouthern California Edison、Google、Shellなどが含まれているという。3つ目はkWあたりの導入コストで、現在は約7,000ドル/kWだが、今後約3,000ドル/kWまで下げると説明している。
話者の評価では、技術のKPI、顧客のKPI、金融のKPIを並べ、投資家に分かりやすい形で示している点がうまい。バックログはすぐに売上になるものではないが、実際に電力を供給すれば収益になる契約なので、それを見せることは企業価値を高めるストーリーテリングの一種だという。
聞き手は、最初に解消すべきボトルネックは技術なのかと尋ねた。話者は、技術以外にも許認可、送電網、資本調達があるかもしれないと答えた。資本は今回かなり調達したので大丈夫だろうとも述べ、さらに地質評価も挙げた。
学習曲線:掘削時間とコストはどこまで下がるか
Fervoは自らを製造業と位置づけ、反復による学習曲線で掘削期間とコストを下げると語っている。報告されている数字は次のとおりだ。Cape Stationでは最速21日で1本の井戸を掘り終えた。Project Redの最初の水平井と比べて掘削日数は70%短縮した。Cape Stationの最初の4本の井戸では、1本あたりの費用が940万ドルから480万ドルへとほぼ半減した。S-1では、掘削時間の75%削減、コストの70%削減が語られているという。井戸の延長、より高温の地層への掘削、ドリルビットの寿命延長、掘削速度の向上といった改善を積み重ねた結果だという説明である。
Fervoは、最初のProject Redを生産設備ではなく学習用のプラットフォームだったと説明している。約2MW級だったProject Redから設計を変えながら次へ進み、今後は水平距離をさらに延ばし、より高温の地層を狙い、光ファイバーセンシングとAIで地下データを蓄積していく。その経験とフィードバックを次世代のGeoBlockの設計と標準化に反映させる狙いだ。
聞き手は、大きく改善しているのは確かだが、一時的な改善にとどまる可能性もあるのではないか、学習の転用が難しい点はあるのかと尋ねた。話者は、初期は改善幅が大きくなるものなので、最終的にどこまで学習が効くのか、コストをどこまで下げられるのかはまだ分からないと答えた。さらに、地質条件が変わると再検証が必要になり、それまでの学習が使えるかどうか分からない。この点は多少リスクがあるかもしれないと述べた。
Go-to-Market:信用力のある顧客との契約で資金を呼び込む
市場への展開について、話者はFervoのやり方を次のように要約した。技術を売るのではなく電力を売る。それを信用力の高い顧客に売る。その契約が金融機関にとっての信用になり、資金が流れ込んでプロジェクトが実現する。
具体例として、Googleの「Clean Transition Tariff」の枠組みで115MWの新規地熱を供給する設計がある。Googleは2030年までにデータセンターやオフィスを24時間365日カーボンフリーエネルギーで運用する目標を掲げており、Fervoのプロジェクトはその一環に組み込まれている。こうした需要のシグナルが金融機関の信用にもつながっているという。
ただし話者は注意点も挙げた。Googleとの3GWのGFAは拘束力がなく、Googleに電力購入を義務づけるものではない。一方で既存のPPA 658MWは拘束力がある。Cape Stationに対する4.21億ドルのノンリコース融資は、PPA、技術実績、建設計画の3つが揃って資金を引き寄せた例だと話者は見ている。
聞き手がGFAとPPAの違いを尋ねると、話者は次のように説明した。GFAはフレームワーク・アグリメントの略で、枠組みや将来の機会を示すもので、拘束力はない。PPAは個別プロジェクトごとの電力購入契約で、拘束力がある。
モート:ハードウェア、地下データ、先行取得した土地
防御力について、話者は大きく3つの構造を挙げた。
1つ目はハードウェア・技術面である。人工貯留層を作る技術で、シェール業界から転用した水平掘削や水圧刺激がその中心になる。2つ目はデータで、光ファイバーセンシングと、そのデータを使った貯留層エンジニアリングがある。Project Redの600日を超える運転実績や、温度・流量・圧力といった地下データを持っており、アップタイムは98.4%だったとされる。3つ目は土地だ。Fervoは約59万5,000エーカー、ほぼ60万エーカーの地熱リースを保有している。これを2019年から2021年ごろ、平均約4ドル/エーカーで取得した。熱が取れないと思われて安くなっていた時期に先に押さえたわけだ。土地は単なる面積ではなく、熱資源、掘削可能性、送電網までの距離、規制を踏まえて選んでいるという。
話者の見立てでは、IPや知財単独では守りきれない部分もあるかもしれない。だがFervoは、現場データ、土地、需要契約、許認可、サプライチェーンを統合してモートにしている。競合が石油・ガス系の技術をコピーしても、地下データを使った学習は再現できず、土地も後から取るのは難しい。聞き手も、石油・ガス技術だけでも土地だけでもないという点に納得を示した。
データをどう使うのかという質問に対しては、地下予測の精度向上、井戸配置の最適化、コスト削減、金融機関へのリスク説明を挙げた。ただしデータ単体でうまくいくわけではないかもしれない、と話者は留保をつけている。
リスク要因:送電網、許認可、サプライチェーン、先行投資
S-1には投資家向けのリスク要因も記載されている。話者によれば、Fervoが前面に出しているのは技術そのものより、送電網の制約、許認可の遅延、先行投資の重さである。
送電網については、発電に成功しても系統に接続できなければ収益にならない。米国では新規の送電網建設に時間がかかり、変圧器やケーブルにもリスクがある。サプライチェーンではタービン、ケーシング用のチューブ、変圧器、掘削装置が挙げられている。許認可では、土地利用、水利、環境規制、連邦規制、地域合意がある。さらに資本集約型であることのリスクとして、収益が出る前に巨額の掘削費と建設費が必要で、許認可が下りる前から莫大な費用がかかる。プロジェクトが遅れれば、すぐに流動性の危機や資金枯渇を招きうる。話者は、これにスタートアップが挑んでいることに触れた。
技術リスクとしては、貯留層の熱低下、流量不足、水の回収率なども記載されている。ただし話者は、あえてそこまで前面には出していない印象だと述べた。
どのリスクが最も大きいかと聞かれた話者は、単体のリスクではなく統合リスクだと答えた。どれか1つでも揃わなければ全体が遅れるモデルなので、統合と実行が最大のリスクだという見方である。
日本への応用:資源は大きいが、そのままでは持ち込めない
番組はAIがまとめた材料をもとに日本への応用も議論した。日本の地熱資源量は世界3位規模で、約2万3,000MWとされる。一方で2022年の稼働は540MWにとどまり、発電所は98か所だという。資源の約80%が自然公園内にあるが、規制緩和によって開発の見込める割合が25%から約60%に広がったとされる。
課題としては、温泉法との兼ね合い、地域の合意、掘削リスク、サプライチェーン、系統の問題が挙がった。一方で話者は、日本に有利な点もあると見る。資源量が大きいこと。地下を「当てに行く」従来の発想から、データで設計し、地下をエンジニアリングし、反復で改善するFervo型のアプローチとは相性がいいかもしれないこと。標準化と継続改善はトヨタ的なカイゼンのノウハウを活かせるかもしれないこと。ゼネコンやプラントエンジニアリングに強い企業が多いこと。そしてエネルギー安全保障の観点からも熱資源を活かすことは大事だという。
聞き手が、Fervoのモデルはそのまま日本で使えるのかと尋ねると、話者はそのままというわけにはいかないと答えた。地質条件が違うので技術的にも異なる可能性があり、規制も違う。米国のように誰も持っていない広大な安い土地は多くないので、近隣の地域合意が重要かつ大変になることは容易に想像できる。それでも、標準化、データ化、既存産業をうまく活かせばEGSを実現できるのではないか、そしてそれを地質条件の近い東南アジアなどに展開することもできるかもしれない、と話者は述べた。
スタートアップへの示唆:最小モジュール、ボトルネック資源、信頼性の販売
話者は議論を抽象化し、ディープテック全般への示唆を3つにまとめた。
第一に標準化である。ディープテックであっても一品生産ではなく、モジュール設計・モジュール生産を行う。複雑なハードテック事業では、最小単位のモジュールをどれだけ早く定義し、量産体制に移れるかが鍵になる。Fervoが50MWのGeoBlockを定義し、それをクラスター化していったやり方は他の領域にも転用できるかもしれない、と話者は言う。
第二にリソースの確保だ。技術が確立する前に、将来ボトルネックになる資源を競争に先んじて押さえておく。Fervoの場合、それは土地、送電網の接続枠、特殊部品だった。顧客との契約も同様に押さえておく。
第三に、技術ではなく信頼性を売ることだ。顧客が買うのは最新技術ではなく、納期、稼働率、価格の安定性、脱炭素の価値である。顧客が求めるのは求めた通りのものが届くことなので、テクノロジーリスクは内部に閉じ込め、顧客から見た契約はシンプルで分かりやすくしておくことが大事だという。話者は、これは垂直統合に近い形になるかもしれないとも付け加えた。
スタートアップは早めに何から動けばよいかという聞き手の問いに、話者は繰り返して答えた。ボトルネックになりそうな資源を考え、先に押さえる。顧客とはPPA、LOI(レター・オブ・インテント)、覚書など何らかの合意を取っておく。実証の場所や重要な部品も押さえておく。
ディープテックの資金調達プレイブック
最後に話者は、Fervoの学びから資金調達のプレイブックを描いた。
- シード〜シリーズA:技術検証やPoCを中心に据えつつ、将来必要になるリソースのオプションを安いうちに仕込む。調達はエクイティ中心で、次の調達で語れる「反復単位」を見つけることが大事になる。
- シリーズB〜C:商用パイロット、最初のオフテイク契約、既存プレイヤーとのサプライチェーン構築を進め、オフテイク契約に近いところを狙う。
- シリーズD以降:標準化したモジュールを展開し、低コストのプロジェクトファイナンスやデットを使うなど、ファイナンスの手法自体を変えていく。
Fervoの実例として、話者は次の経緯を挙げた。2025年12月に4.62億ドル(約607億円)のシリーズEを調達し、Cape Stationとパイプライン開発を加速させた。約3か月後の2026年3月に4.21億ドルのノンリコース融資を確保し、2026年5月にIPOの価格決定に至った。このスピード感も参考になるという。
シードの段階で真似できることを聞かれた話者は、最初の実証単位を決めること、データ取得を設計すること、将来の顧客や規制を見ておくこと、ボトルネックを早期に特定することを挙げた。デットやプロジェクトファイナンスは最初から使うものではない。プロジェクトファイナンスの話をすれば、技術実績、PPA、許認可は揃っているのかと問われるので、それらが揃った段階で使うものだと話者は説明した。
結論:発明を「予測可能なインフラ資産」に変える
まとめとして話者は、Fervoの設計の核心を、技術の発明そのものではなく、それを顧客にとって価値のある「予測可能なインフラ資産」に変換した点に見る。不確実性の高い地下の技術を標準化してスケールできる形にし、契約、土地、データ、金融のリスクを自社で背負ったうえで電力を提供する。そういう事業設計の事例だという。
ただし話者は、最終的な勝負はCape Stationの実行にあると念を押した。今回の調達額があれば一度失敗してももう一度挑戦できる、という判断なのかもしれないとも推測し、期待値が高い時期にIPOするという戦略自体も面白いと述べた。AIデータセンターの時代に電力不足が叫ばれ、電力が成長の制約条件になりつつある中で、電源企業の上場は注目を集めやすく、良いタイミングだったという見方である。
聞き手は、1つの要素で尖るのではなく、技術、モジュール化による反復、PPAの確保を組み合わせることで説得力を持たせている点がすごいと感想を述べた。話者も、ディープテックだからテクノロジーが中心というより、全体を設計することが大事なのだと締めくくった。商用規模での実績、学習曲線がどこまで続くか、そして統合的な実行がうまくいくかは、Cape Stationの稼働を待たなければ分からない問いとして残されている。
皆さんこんにちは。FoundXの田です。
はい、同じくFoundXの富田です。
最近暑くて、蚊がもう飛んでる季節になっちゃいましたね。
そうですね。田さん自身は何か刺されたりとかもありましたか?
いや、私はまだないんですけれど、最近FoundXにお越しいただいたゲストの方が2名、別の方が別のタイミングで蚊に刺されてて、虫刺され薬を貸しました。
5月、早いですね。早いですね。
本当に気候変動起こってるなと、15年ぐらい前のものを見て思いました。
そうですね。今日見てて、1度ぐらい気温が上がってそうな感じでした。
そうですね。いや、こんなに早く変わるもんだなって思いますね。じゃあ早速ですが、今日は少し特別編ということで、IdeaCast、FervoのS-1の分析というのを始めていきたいと思ってます。
まずIdeaCastなんですけれども、このFoundX Review Startup IdeaCastですが、普段は海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析して紹介する番組ですが、今日はですね、Fervoという新しいEGSの企業がこの度上場して1兆円を超える企業になったので、そちらを紹介したいと思います。ディスクレイマーとして、AIを活用してこのS-1の情報とかを整理しているので、誤った情報がある可能性があります。ファクトを重視される場合は必ずご自身で調べるようにお願いいたします。ということで、FervoのS-1、これは上場申請書みたいな感じですね、のものを紹介していきたいと思います。はい。じゃあ紹介しますね。
はい。お願いします。
はい。このFervoですが、Enhanced Geothermalと言われている次世代地熱発電のスタートアップです。このS-1が出てですね、かつ今週、私たちが撮影してる今週に上場をして、株価としては、時価総額としては1兆円を超えたという、そうしたスタートアップになっています。初日もですね、かなり高騰してと言いますか、かなり買いが入って、かなり上ぶれした上場になりましたということで、スタートアップを目指していくってこういうことなんだなっていうのをちょっと見ていきたいなという風に思っています。ということで、早速ですが、どういう企業なのかというところを含めて、まずは主要な示唆のところからお話ししていければと思います。
まずこのFervoというスタートアップですが、地熱とスタートアップですと。ただ、いわゆる地熱っていうのはなかなか難しいプロジェクトと言いますか、プロダクトですと。だからそこをですね、彼らは反復可能なプロダクトにしていったというところが1つ大きなところなのかなと思います。
1つが技術の転用です。シェールオイルとかですね、ガスとか既存産業の技術を転用して、水平掘削とかをやって、水圧破砕とか、そうしたノウハウをですね、地熱に転用したというところが1つあります。もう1つがですね、技術の結合的なところですね。掘削の技術だけではなくって、後ほど少し説明しますが、光ファイバーセンシングとかAIとか発電ユニットや金融を束ねて、それらを使ってブレイクスルーを生んでいるというところが1つです。
もう1つがモジュール化というところです。50MWの標準化ユニット、GeoBlockというものを積み上げて、GeoClusterとして大規模にしていくみたいな、そうしたモジュール化によってスケーリング可能にして、かつ学習曲線をハックしていったという風なところがあります。あとはサプライチェーンの標準化みたいなこともしていて、最大ですね、35個の50MWのGeoBlock、合計1750MW分のORCタービンの供給っていうのを確保しているみたいな、そうしたところをやっているというところです。
あとはですね、需要側も結構工夫していて、Googleなどのハイパースケーラーと長期の契約、例えばGoogleのところとは115MWの地熱調達モデルとか、なんでしょうね、Googleが技術を約25倍規模に拡張していく位置付けの、最初の大きなカスタマーになったみたいな、そういったところが1つあります。それに加えて金融支援ですね。PPAとかGFAによる需要証明がプロジェクトファイナンスやデット調達を可能にして、こうしたところをですね、引っ張ってきてうまくやってるというのが1つですと。
そして、少し長くなっちゃいますが、例えばですね、Cape Stationというところですと、彼らは第1フェーズ向けに4.21億ドルのノンリコース・プロジェクトファイナンスを確保したりとか、EGSが、なんでしょうね、ある意味銀行が融資可能なインフラシステムみたいな感じになっていくことができたというのがFervoの1つの成長のポイントだったという風に言われています。
そして最後が先行者利益ですと。競争が激化する前に土地とかを抑え、地下データとかIPとか長期契約を抑えている。こうした技術、供給側のブレイクスルー、転用しながらのブレイクスルーと、需要側をきちんと最初からハイパースケーラーとPPAで結んでやっているとか、そしてそこに加えて金融、そして土地というところを抑えてやっているというのが、このFervoの強み、S-1から読み取れる強みというところかなと思います。
そうすると強みは技術1点突破っていうものではないっていうことですかね。
そうですね。技術単体ではなくって、もうデータとか土地とかPPAとか金融とか、あと参入障壁の部分とか、あとは噂で聞く部分によりますと、そのプロジェクトマネジメントがかなりうまくて、結構ちゃんとマイルストーンを達成してきている企業だから信頼が置けるみたいな、そんな感じの強みもあるみたいですね。
では続いてですね、どういうカテゴリーになるのかっていうところを少し整理したいと思います。彼らがやっている市場というのはですね、再エネみたいなところだけではなくって、24時間365日安定して稼働するクリーンで安定した電源というところで勝負していると言われています。太陽光とか風力に関してはもちろん安価で導入も早いと。ただ一方で天候の依存があったりとか、非ベースロードで、ベースロードという概念がどこまでなのかっていうところは正直議論としてあるんですが、いくつかの制約がありますと。土地とか送電網の制約もあったりとかしますみたいな。あと広大な土地が必要、その面積が必要っていうところは太陽光とかの弱点ではあると言われています。
そうしたところに比べて、地熱は安定供給できますと。特にトラディショナルなジオサーマルにおいても安定していますというところですが、一方で自然のですね、熱、水、蒸気、火山帯とか、いくつかの特殊な条件、自然条件があってですね、それ以外のところでは従来の地熱ができないみたいな。そして自然の恵みに依存するためスケールができないみたいな問題がありましたので、ここで地熱というのはなかなか課題が一部あったということが言われています。
一方で、先進的な原子力ですね、Advanced Nuclear、SMRとかに関しては、安定して大容量、いわゆるベースロードと言われているような、安定して供給できるようなものかもしれませんが、一方で規制対応とか開発期間とか、社会的な受容性あるいは建設リスクというところが大きいみたいな、あとは立地制約も結構あるっていうところがあり、原子力は原子力で、今から作っても10年後、15年後ですし、なかなか難しいみたいなところがあったと。
じゃあ、この今回のFervoのEGS、Enhanced Geothermalというものはどういうものかというと、場所を選びにくいですと。これは一部の条件が揃ってなくても人工的にその条件を揃えることができるというメリットがあるのがFervoのEGSです。あと、地熱の特徴である24時間7日間365日安定供給できるというところのポジションがあります。
そしてですね、DOEの、データセンターの電力需要というものに対応していく。DOEがそうした予測をしているんですが、そのDOEによると太陽光、風力、蓄電に加えて、次世代地熱とか原子力のようなクリーンな安定電源というものがスケールしていく必要があるという風に整理もされていて、そうした意味でもですね、このFervoのEGSというところは安定供給という面でも非常に大きいと。そして彼らはモジュール化によって導入が早くスケールが容易な技術を用意していて、そして熱源さえあれば、水とかその辺りは自分たちで人工的にしていくみたいな、そんなことをやっていくことによって、いわゆる発電単価だけではなくですね、導入スピードとか容量価値とか系統接続とか、いろんな軸がある中で、このFervoは、安い電力じゃないかもしれませんが、比較的安いとは思いますけども、止まらない電力とかカーボンフリーとか、あるいは調達しやすいような環境と、そして規模感を満たせる1つの電源ではないかというところが言われているのかなと思ってます。
どこまで実証されてるかっていうところなんですが、安定性っていうところで何かしらすでにもう検証されたようなポイントっていうのはあるんでしょうか?
そうですね、これまでの実証のプロジェクトの中で、Project Redっていうところだと600日を超える運転を公表していますと。ただ、商用規模の大規模なものにはCape Stationの実績を今後待つ必要があるかなみたいな、検証点かなっていう風に言われてますね。
そうなると、全部の項目かもしれないですけども、その安定性とかスケール性、設置性制約とかはこれから、より検証の精度が高まっていくっていうような状況ということでしょうか?
そうですね。そうなってくるとまたファイナンスがつきやすくなってとかっていう感じになってくるのかなと。
ではですね、ここから少しナラティブ、どういうナラティブなのかっていうところを見てみたいと思います。彼らはこのS-1ですね、いわゆる上場にあたって、どういう風なことを言ってるかというところですが、これはいわゆるトヨタやSpaceXの製造業の手法をインフラ開発に持ち込んでエネルギー業界のルールを変えますということを言っています。どういうことかと言うと、いわゆるオイルとかガス産業で培われた水平掘削とか水圧破砕の技術を地熱に転用しますみたいなことを言って、まず始まりますと。そうすることで既存のサプライチェーンとか、あるいはその技術、労働力というものを転用しているというのが1つ目ですと。で、もう1つがですね、発電所をもう一品物のプロジェクトとして扱うんじゃなくって、反復可能なプロダクトにしていきますと。いわゆるモジュール化していって、標準化していって、シンプルにして、そして、なんでしょうね、どんどん大きくもしていけるし、標準化もしていけるみたいな、そんなことをやろうとしているというところです。
で、Fervo自身もですね、水平掘削とか光ファイバーセンシングとか精緻な貯留層のエンジニアリングによって反復可能な産業的アプローチを構築しているという風な説明がなされていたりとか、あとトヨタ的な継続改善とか、いわゆる反復回数を増やして工程学習して学習曲線を走らせて、コストや期間を下げていくとか、そしてSpaceX的な発想と言いますか、巨大インフラでも垂直統合とか反復とかデータ回収で学習速度を上げていくっていうようなところを語っています。こうしたS-1を見てて思うところとしては、やっぱり投資家向けにはその技術のすごさというところではなくって、その投資家が理解できる成長ストーリーというところを語っているというところなのかなと思います。IPOの価格決定と大型調達は、やっぱり、なんでしょうね、AIとか電力とかインフラ投資のテーマの投資家の需要をかなり掴むものではあるので、そこを見ていっているなというところですね。
このナラティブというかストーリーが優れてる点っていうのが、その投資家に伝わりやすいっていうようなところなんでしょうか?
そうですね。その技術を語るっていうわけではなくって、技術ももちろん紹介しつつ、市場の需要、そのデータセンターの需要とかで、じゃあその需要を満たせるような供給ができるのかっていうところで、反復モデルみたいな製造業ですと。つまり拡大、拡張していきます。学習曲線で安くしていきますみたいなところも語り、そして実際に契約があります。資金調達もやってきてますみたいな、そうした流れに沿って説明していて、割とこの資本市場が理解しやすいような話をしているのかなと思います。
実際長期契約という観点ですと、既に658MW分、金額にすると約72億ドル相当に達するような拘束力のあるPPAを、バックログとして、受注としてですね、抱えているというところなので、しかもそのPPAが平均約15年の残存期間があるという長期契約なので、かなり長期間にわたって安定した収益を生み出すというところも語っていると。それ以外にもGoogleさんとの話とか、Googleさんと3GWの地熱開発のプロジェクトに関する枠組み合意とか、そこに対して50MWの標準化された発電設備GeoBlockをどんどんと展開していきますよっていう風な、そこが非常に分かりやすいのかなと思いますね。
これから検証していくような点はどういったところが残ってるんでしょうか?
そうですね、上場したからと言って完璧な企業ではないのでリスクもありますと。リスクとしてはやはりその商用の大規模な実績っていうところはこれからだと。Cape Stationの稼働とか、あと実際のコストとか、あるいは納期っていうところがその上場のリスクとしては挙げられてます。実際に今現状、売り上げ規模としては確か2000万円ぐらいだったかな。それぐらいの規模感なので、まだそんなに実際には動いていないみたいなところはリスクとしてあるのかなと。
ではですね、彼らのマーケットディフィニションとかTAMの話をしたいと思います。まずですね、彼らは地熱市場というところを市場の定義にしているわけではありません。2035年に米国で不足する98GWのベースロード電源というのをTAMにして捉えているみたいです。この98GWっていうのは、S-1が引用する推計ですね、Rystadっていうところ系の推計として報じられてる数値ではありますが、こうした推計があるというところからまず引っ張ってきてると。
需要側のドライバーとしてはいくつかあります。1つがAIデータセンターですね。がありますというところと、アメリカに製造業が返ってきますと、リインダストリアライゼーションっていうのは進んでいて、かつ電化も進んでいます。その中で石炭火力とかが退役していきますということで、このギャップを非常に埋めていかなければいけないということが言われています。
で、もしこの不足を埋めた場合、年間約700億ドル、30年間のアセットライフで2.1兆ドルの巨大な市場機会になってくるという風な、そうした見せ方をしています。で、それに対して、今回のマーケットのシフトとしては、技術で人工貯留層を作って、この地熱というものを自然発生的なものではなくってエンジニアリングに変えて、ポテンシャルを劇的に拡張していくんだということを彼らは狙っているという、そうしたマーケットの定義をして、そこに対してどういう風にやっていくのかっていうところを考えているというところですね。
この計算の仕方も非常に、なんでしょうね、700億ドル×30年で2.1兆ですみたいな見せ方も非常に面白いなっていうのは思いました。はい。その中でも取れるのって一部になってくるとは思うんですけれども、どの辺りがその制約というか、どの辺りが取れそうな感じなんですかね。
そうですね。TAMはこれはシステム、その電力システム全体の不足量の話なので、実際にFervoが取れるのはもうちょっとですね、小さいのかもしれないなと思いますし、ボトルネックとしては、地質とかがそもそもっていうところあると思いますし、送電網とか許認可とか、あるいは資本制約っていうところも入ってくるのかもしれないなとは思います。
では、ビジネスモデルの話ですと。彼らのビジネスモデルは簡単に言うとかなり垂直統合に近いところです。Build-Own-Operate型、つまり建設して、所有して運営して、自分たちが電力を売ると。PPAで電力販売契約をやっていきますというところです。収益は長期PPA、つまり電力の販売契約です。なのでソフトウェア的な売り切りとかライセンスとかではなくて、インフラ資産でキャッシュフローを作っていくというモデルになってます。そのためのコアな技術とかアーキテクチャーというものがGeoBlockとGeoClusterです。GeoBlockは50MWの標準化されたORCの発電ユニットになっていますと。で、GeoClusterとはそうした複数のGeoBlockを束ねて数GW級の発電ハブにしていくという構想です。
で、Cape Stationという話をいくつかしていますが、これはユタ州のBeaver Countyの500MWのプロジェクトになっていて、2026年に商業運転開始で、100MW級をまずはやりますと。で、2028年に追加400MW、合計500MWを目指すというようなプロジェクトになっています。今年ってことですね。Cape Stationの公式サイトでもフェーズ1は2026年後半に送電開始で2027年初めに約100MW、フェーズ2で2028年が目標ですという風なことを言っています。
で、強みとリスク分散の観点でいきますと、まず共有のインフラを活用してサプライチェーンを一元化していますということを言っています。どういうことかと言うと、送電接続とか道路とか変電所とか調達、用地っていうのをクラスター内で使い回しますというのが共有インフラです。リスク分散という観点ですと、複数の井戸、掘ったところとか、複数モジュールで構成すれば、単一の井戸の不調がですね、全体の停止に直結しづらいので、追加掘削とかでもまた全体の出力とか補完可能なので、こうしたクラスターでいわゆるリスク分散をしているというところです。
あとはサプライチェーンとしては、とあるところとですね、5年契約で米国内の構成部材の供給を確保していて、最大8億ドル規模の契約という風なことが発表されていたりもして、サプライチェーンも盤石にしていますよというところかなと思います。
なんかビジネスモデルでもう運営までやっちゃうんですねっていうところであるんですけど、そこまでする背景って何かあるんでしょうか?
そうですね。まずコモディティとして電力を売れる、電力はコモディティなんで買ってくれるっていうところがありますと。で、PPA収益を取れますというところが分かりやすくありますと。あとは、なんでしょう、マントレイトとかのところでもあったかもしれませんが、やっぱり技術ライセンスは最終的な人たちがいて買ってくれないと意味がないので、そこはやっぱり自分たちがやりますっていう方が安全な時もあるのかなと。一方で自分たちがやることのメリットはやっぱりデータとか学習ですね、運用の学習を自社に蓄積できるところとか、資産価値を作れるところっていうのがあるのかなと。
AIと光ファイバーによる高度な地下モニタリングをやってるという話を少ししましたが、こうしたことをすることによって彼らはそのデータをリアルタイムかつ高い解像度で監視して、そのデータを使って次に掘ったりとか継続的な最適化を行っていたりとかいうのができると思いますし、あとあんまり出てきてないですが、Fervo Flexみたいな独自なアプローチがあって、これは地熱発電でありながら需要に応じた柔軟な出力調整を可能にしているシステムになっています。電力需要が低い時とかですね、いわゆる太陽光とか風力なのが大きい時には、生産を絞ることで地下の貯留層に圧力を蓄えて、電力需要が高まった時にそれを解放して急速に出力を引き上げるみたいな、そうした調整もできるようにしていて、なんでしょうね、蓄電池に1回送らなくても大丈夫みたいなことをやっている。そうしたデータを使った発電の最適化ということもやっているのが1つポイントとしてあるのかなと思います。あと細かいとこですが、GeoBlockの50MWっていうのは実は反復しやすいとかファイナンスしやすいとか標準化しやすいとか、そうしたいろんな技術的な制約の最適解として50MWのモジュールにしてるみたいですね。
では、KPI設計とかを少し見ていきたいと思います。彼らはですね、単なる発電量だけではなくって、将来の収益性とコスト競争力というのをKPIとして投資家に開示しています。1つがですね、潜在容量というところ、キャパシティポテンシャル、4.3GWですと。これはCape Station単体が持つ潜在容量として提示されています。これは現在稼働してる容量ではなくって、地下資源とかを含む将来ポテンシャルというところです。で、契約のバックログに関しては658MWの契約済みのオフテイク契約に基づく潜在収益として言われていると。そこにはですね、Southern California EdisonとかGoogleの話とかShellとかが含まれていますということだそうです。で、あとですね、コストパーkW、導入コストというところですが、これが3000ドル/kWということで、現在は約7000ドルみたいなんですけども、それに対して今後約3000ドル/kWにコストダウンしていきますよみたいなことを言っています。
このKPIのうまい点は、その技術KPIというところをまず1つ示しているのと、顧客のKPIも示しているというところと、金融的なKPIというところも示していると。これを投資家に分かりやすい形で表示しているというのが、うまいストーリー設計なのかなと。で、バックログとかは即時の売上ではないんですが、それを使って電力を実際に導入した場合に契約があって、潜在収益になっていくということなので、この辺も見せておくっていうのは、自分たちの価値を高めていくストーリーテリングの1つの一種なのかなという風に思いますね。
いや、なんか見せ方がうまいなと思いつつ、どの辺りが最初の、なんですかね、ボトルネックというか解消すべきところになるんですか?技術ですかね、やっぱり。
そうですね。最初のボトルネックはどこでしょうね。もしかしたら許認可とか送電網とか、あとは資本の調達、今回結構調達したのでしばらく大丈夫だと思いますけれど、なんかそんなところも、もしかしたら技術以外にもあるのかもしれないなと。あと地質評価とか。
ではですね、彼らのユニットエコノミクスと、その成長のエフィシエンシー、グロースエフィシエンシーみたいなところをお話ししたいと思います。彼ら曰く反復ですね。彼らは製造業ですと言ってるので、反復による学習曲線がこの掘削の期間とコストを下げていきますという風な話をしています。Fervoはまず、Cape Stationで最速で21日の井戸の掘削を達成しましたと。で、Project Redの最初の水平の井戸と比べても掘削日数が70%短縮しているという風に発表しています。それぐらいですね、その掘削の時間っていうのを削減したという実績があると言われています。
で、実際にその結果、コストもですね、Cape Stationの最初の4本の井戸に関しては1本あたり940万ドルから480万ドル、大体半分ぐらいに低下したという風な説明をしていたりします。で、S-1でもですね、以前に比べて掘削時間の75%削減、コストの70%削減というところが語られていて、やっぱりこの学習曲線として、井戸を長くしたりとか、より高温の層に掘ったりとか、ドリルビットの寿命を伸ばしたりとか、掘削速度を上げたりとか、そうしたことがしていけて、その結果こうした掘削コストの削減ができますよみたいなことが言えるということが言われてるのかなと。
で、Fervo曰く、最初のProject Redみたいなのは生産設備ではなくって学習用プラットフォームでしたみたいなことを説明していて、あくまでその最初の学習のためにこのProject Redっていう最初のやつをやって、Project Redは約2MW級だったんですけども、そこからですね、設計を少し変えて、次にどんどんとやっていくみたいなことをやっているみたいですね。なので、今後はより長く、水平距離とかをより長くしていくのと、より熱い地層に掘削を伸ばしていくのと、光ファイバーセンシングとAIによって地下データを蓄積していて、その経験値とフィードバックによって次期のGeoBlockというものを設計、標準化していくというところを狙っていくみたいです。
すごいめちゃくちゃ改善してるなと思いつつも、掘削のコストとかって、なんですかね、一時的な改善に過ぎない可能性もあって、大事なのはその学習をどれだけ早く回したかっていうところだとは思うんですけれども、どういう風にこの改善を生かしていくのかとか、もしくは汎用化が難しいようなポイントがあるんですかね。
そうですね。やっぱり初期は改善幅は大きくなっていくので、最終的に今後、本当に学習が効いて最低限のところまで行くのか、コストをどこまで下げられるのかっていうところはあるのかなと。で、あとは地質条件が変わると、もしかしたらもう1回再検証と言いますか、学習が使えるのかどうかっていうところがあるので、そこに関してはややリスクがあるところかもしれないなと思います。
では続いてですね、Go-to-Marketに関して見ていきたいと思いますが、彼らがやったのは、その信用力を持っているお客様ですね、顧客と契約を作って、枠組みを作って、それを使ってデットで調達していくみたいな、そういうところかなと。技術を売るんじゃなくって電力を売りますと、そしてそれを信用力の高い顧客に売っていきますというのが1つ面白いところなのかなと思ってます。そうした顧客の契約というものが金融機関の信用を生んで、金融機関の資金を流し込んでもらってプロジェクトを可能にしていると。
実際このGoogleですね、のClean Transition Tariffっていうところだと、115MWの新規次世代地熱を供給する設計になっていますと。その先にはGoogleが2030年までにデータセンターやオフィスを24時間7日カーボンフリーエナジーで運用するという目標を掲げていて、Fervoのネバダのプロジェクトはその一環として組み込まれているというところがあります。こうした重要な需要シグナルと言いますかっていうのがあって、そこが金融機関の信用も取ってきていると。
ただ一方でですね、このGFA、Geothermal Framework Agreementに関しては非拘束的で、Googleが電力購入を義務付けられているものではないので、PPAとちょっと違うというところは注意が必要かなと。一方で既存のPPAは658MWあって、これはバインディングで、3GWはちょっとバインディングではないんですけれども、658MWはバインディングとしてありますというところは言われています。で、このCape Stationが最初の大きな商用機になると思いますが、ここに4.21億ドルのノンリコース融資が行われていて、まさにこれはPPAと技術実績と建設計画が金融を引っ張ってきたみたいな、そんな感じになるのかなと思います。
用語の質問なんですけど、GFAとPPAって似たような文脈で使われてるようにも思うんですが、どう違ってくるんですか?
そうですね。GFAはGeothermal Framework Agreementの略で、これはですね、枠組みとか将来機会というところで、バインディング、拘束的なものではないと。で、PPAはどっちかって言うと電力購入契約、個別プロジェクトの電力購入契約のアグリメントになるので、ここは拘束力があるという風な契約になってるっていう違いがあります。
ではですね、じゃあ彼らのモートとかディフェンシビリティみたいなところの説明をしたいと思いますが、大きく3つの構造があるのかなという風に思います。1つがハードウェアです。ハードウェア的なテクノロジーIPと言いますか、というところがあります。まずはその人工貯留層と、技術としては水平掘削から始まり、それはシェールガス、オイルの技術の転用ですね。水圧刺激とかがあり、そうしたテクノロジーを生かしていくというところが1つ。で、それに加えてデータアキュムレーションですね、光ファイバーのセンシングとか、あるいは貯留層のエンジニアリング、さっきのセンシングのデータを使った貯留層のエンジニアリングをしていきますという風なところがあったりする。そのデータを使ってハードウェアを生かすみたいなところ。プラスして、もう1個が先行して取得した土地。まだ安いうちに、いわゆるここでは熱取れないよねって思われていて安くなってる土地を最初にもう取得しておいて、この3つのモートっていうのを築いているというのがポイントかなと。
で、その3つのモートを築くために、さっきの技術ですね、水平掘削、水圧刺激、光ファイバーセンシング、それを踏まえた貯留層のエンジニアリングをしていきますというところが1つ。そしてデータに関してはProject Redの600日以上を超える実績とか、あるいは温度とか流量とか圧力の地下データを持っているというところが1つ。アップタイムは98.4%だったと言われていますと。で、プラスして土地ですね。に関しては、Fervoが今大体59万5000、60万ぐらいの地熱リースを保有していて、これが2019年から2021年ぐらい、結構前に平均約4ドル/エーカーで取得したという風に言われていて、こういう土地もちゃんと抑えていると。で、土地はもちろん単なる土地ではなくて、熱資源とか掘削可能性とか、送電網の距離とか、規制とか、そうしたところも踏まえて取ってるみたいです。
なので、ある意味そのIPとか知財とか単独だけでは守れないとこもあるかもしれませんが、彼らはその現場のデータとか、土地を持ってるとか、既に需要契約がある、あるいは許認可がある、サプライチェーンがあるみたいな、そうしたものをうまく統合してモートを作っているというところなのかなと。なので競合がもし、オイルガス系の技術をコピーしても、地下データとかの運用、地下データとかを使った学習とかはできませんし、土地を後から取ろうとしてもなかなかできないというところがあるのかなと思います。
確かに、オイルガス技術だけでもなく、土地だけでもないっていうのはそうだなと思いました。あとはデータっていうのはどういう風にモートになっていくというか、どういう風に活用していくような予定なんでしょうか?
そうですね。地下の予測の精度の向上であったりとか、井戸の配置の最適化であったりとか、コスト削減とか、あるいは金融機関へのリスクの説明みたいな時に、こうしたデータがあると、単体だけではなかなかうまくいかないかもしれませんが、少なくとも何かあるのかなという風に思いますね。
で、S-1とかにはリスクファクターもちゃんと載せてる、投資家向けにリスク説明しなきゃいけないのでっていうところでリスクファクターがありますと。じゃあこのリスクは何なのかと言うと、少しお話はしましたが、最初のボトルネックとか、リスクに関しては技術そのものというよりは送電網の制約とか許認可の遅延とか、先行投資というところを彼らは挙げているのかなと思っています。
まずはグリッドのリスクですね。インフラ接続リスク。発電に成功しても送電網に接続できなければ収益ができないというところで、ここのグリッドのリスクがありますと。実際に先進国の特にアメリカとかは、新規の送電網の建設ってのは結構時間かかるので、ここに関して、あとは変圧器とかケーブルとかいうところにリスクありますよっていうことが言われてたりはしますと。もう1個がサプライチェーンと許認可ですね。サプライチェーンに関してはタービンとか井戸用のチューブとか、変圧器であったりとか、掘削装置みたいなところ。あと許認可に関しては土地とか地熱利用とか水利用とか、ある環境規制あるいは連邦規制みたいなところ、地域合意みたいなところがある。
そして資本集約リスクとして、やっぱり収益前に巨額の掘削費とか建設費が必要なので、ここをどうにかしていくのか、許認可が降りる前に莫大な費用が必要で、このプロジェクト遅延は即座に流動性の危機、資金枯渇を招いてしまうという問題があって、これにスタートアップが挑んでるんだなとは思いますけれども、そうしたリスクはありますよということが説明されています。技術リスクに関してはちょっと触れられていて、貯留層の熱低下とか流量の不足とか水回収率とか、そういうところは触れられているんですけれども、あえてそこまで全面に出してないのかなという風に思いますね。
ほう。この中で1番大きいものってどの辺りになるんでしょう?
そうですね。単体のリスクというよりはやっぱりその統合リスクなのかなという感じはしています。どれか1つでも揃わないと全部遅れちゃうっていうモデルなので、その統合リスク、実行みたいなところかなみたいな気がしますね。
では、少し日本に絡めてお話をしていきましょうというところです。1つですね、日本のある意味この製造業の強さとか、ものづくりの強さっていうところは、このモジュール化していく戦略と相性がいいのかなという風にAIがまとめてくれてますと。まず地熱という観点でいきますと、日本は地熱資源量が世界3位規模で、そもそも地熱に関して割とこの資源量が多いというところです。一方で、地熱資源量が大体2万3000MWとされていて、一方で2022年の稼働は540MWということで、何分の1とは言わないですけれども、それに近いようなものしか使われていないと。発電所は98箇所だけになっています。
ということで、日本の資源はなかなか活用されていません。一方で、日本の地熱資源の約80%が自然公園内にあって、規制緩和によって開発見込み地が25%から約60%に拡大したという風な、そうしたものもあって、結構そこは可能性として拡大できてきているというところです。で、日本に関して言うとさらに、
規制のところで言うと、温泉とか温泉法とかとの兼ね合いとか、地域の合意とか、掘削リスクとか、掘削のいろんなサプライチェーンの問題とか、色々あったりはしますし、系統とかもあったりはするんですが、一方でそうしたいくつかのポイントを乗り越えてもいい点があるのかなと思っていて、まずは容量が大きいですっていうところが1つと、Fervo型の地下を当てに行くみたいなところから、データで設計してエンジニアリングして、地下をエンジニアリングして反復で改善していくっていうところは、もしかしたら相性がいいかもしれない。そして標準化のアプローチみたいなところと継続的な改善をしていくアプローチっていうところは、日本のトヨタ的な継続改善みたいなところも、ノウハウとして使えるかもしれませんし、あるいは既存の産業とのアスと言いますか、ゼネコンとかプラントエンジニアリングが強い企業がいっぱいいますので、そういうところを生かさせていただくであるとか、あるいは日本のエネルギー安全保障とかいう観点においても、こうした熱資源っていうところをうまく生かしていくってのは非常に大事かなと思います。
このFervoでやっているようなやり方、モデルっていうのは日本にもそのまま使えるようなものなんでしょう?
いや、そのままっていうわけにはなかなかいかないのかなとは思います。まずは地質条件が違いますというところなので、技術的に違うかもしれないというのが1つと、規制もちょっと違いますし、アメリカほど広大な遊休地と言いますか、誰も持ってない土地、安くなる土地っていうのはそこまで多くはないので、おそらく近隣の地域合意というものが一部重要になってくるというか、大変になってくることは容易に想像できるかなと思います。ただ一方で、標準化とかデータ化とか、既存の産業とかが日本にはいっぱいあったりするので、そこはうまく生かせば、このEGSというものを実現できるんじゃないかなと。で、それを使って、地質状況の近いような東南アジアであるとか、他の地域とかにも展開をしていくっていうのはできるのかもしれないなと思います。
では、そろそろスタートアップの話をしていきたいと思いますが、少し抽象化して考えると、ディープテックと言っても、プロジェクトの一品生産をしていくわけではなくて、モジュール生産、モジュール設計をしていくというところは、1つ他の領域にも使える設計なのかなという風に思います。
そしてあとは、リソースの確保をどうやっていくのかっていうところがこのFervoのやり方として非常に面白いかなと。1つが標準化のところです。複雑なハードウェアとか、ハードテック事業において、いかに早く最小単位のモジュールを定義して、量産体制に移っていけるかっていうところが1つこのFervoのポイントになってくると思っているので、Fervoは5メガワットのGeoBlockでそれをクラスターとしてやっていくみたいな、そのやり方ってのはもしかしたら他のところでも転用できるかなと思います。その上で資源確保ですね。技術確立の前に将来のボトルネックになるであろう資源、今回は土地とか送電網とか特殊な部品っていう感じでしたけれども、そうしたところを早期に抑えておく。あとは顧客契約みたいなところを抑えておくっていうのが1つ、より抽象化すると参考になるところなのかなと思いますと。
あとはですね、テクノロジーだけではなくって、他のものを売る、今回はリライアビリティを売るという風なことを言っていますけども、お客様が買うのは技術ではなく、納期とか稼働率とか価格の安定性とか、ある脱炭素価値みたいなところだったりするので、そこをうまく丸めてこっちが売っていく、ある意味垂直統合に近い形になるかもしれませんが、そうしたリライアビリティを加えた何かを売っていくみたいなことが必要なのかなと。お客様が求めるのは大体最新技術ではなくって、期日通りに求めたものが入ってくるかというところなので、テクノロジーリスクは内部に閉じ込めて、契約はお客様から見た時にはシンプルでかつ分かりやすいものにしておくっていうのが、非常に大事な組み込み、まとめ方みたいなところかなと思います。
スタートアップからすると、早めに何から動いていくといいんですかね?どういう風に生かせるかなというところですか?
そうですね。途中でも言いましたが、ボトルネックになりそうな資源みたいなところ、このFervoの土地とか送電枠であるとか、特殊部品みたいなところをきちんと考えておいて、そこを先に抑えておくというのが1つ大事なところかなと思います。あとは顧客のPPAとかレター・オブ・インテントとかいうところをちゃんと抑えて、お客様と何かしら契約もしくは覚え書きみたいなものを抑えておくみたいなところとか、実証実験の場所とか重要な部品であるとか、そうしたボトルネックになっていきそうなところをちゃんと抑えておくのが大事というところかなと思いますね。
では、こうした学びから少しプレイブックというものを考えてみると、こんな感じで言えるんじゃないかなと思いますと。シードとかシリーズAとか最初の方は、技術検証とかPoCであるとか、そうした将来リソースのオプション確保みたいなところも含めてやっておく。テックバリデーションを中心にやりつつ、安価な将来リソースの仕込みをしておくという、エクイティ中心の調達をしておきますと。で、次の調達で語れるような反復単位を見つけるっていうところが大事かなと思います。
シリーズB、Cぐらいになってくるとですね、商用のパイロットとか最初のオフテイク契約とか、既存プレイヤーとのサプライチェーンの確立であるとか、その辺をやって、割とオフテイク契約に近いところを狙っていくというのが1つポイントになってくるのかなと思います。シリーズD以降は、もう標準化したモジュールをデプロイしていく、そして低コストなプロジェクトファイナンスをやったりとか、デットをうまく使ったりとか、ファイナンスのやり方も変えていくというような、そうした状況になってくると。
実際Fervoなんかは2025年12月に4.62億ドル、大体607億円ぐらいのシリーズEを調達して、Cape Stationとパイプラインの開発を加速させて、その後2026年3月ですね、約3ヶ月後に4.21億ドルのノンリコースみたいな、そして2026年5月にIPOの価格決定みたいな、結構そういうスピードで進めてきてるので、こういうのも1つ参考になるのかなと思います。
まずスタートアップが最初、シードで真似できそうなところってどの辺りなんでしょうか?
そうですね、最初の実証の単位を決めたりとか、データの取得の設計をしたりとか、将来の顧客とか規制とかを見ておく。あとはボトルネックを早期に特定しておくみたいなところではないかなと思いますね。あとはデットとかプロジェクトファイナンスに関しては、最初からというよりは、技術実績とかPPAとか許認可とか、普通にプロジェクトファイナンスの話をするとその辺ないんですか?って言われると思うので、その辺が揃った時にやるという風な形になるのかなと思います。
では、コンクルージョンということで最後のメモスライドですと。今日はですね、このFervoのS-1というものを見ていきました。いつもアイデアを紹介しているんですが、実際に大規模でIPOをしたスタートアップ、特にディープテックかつインフラ系のスタートアップを紹介してきましたが、彼らのこれまでの歩みとトーキングポイントを見てきたと。彼らはやっぱり技術の発明だけではなくって、それをいかにお客様にとって価値のあるもの、今回は予測可能なインフラ資産という形だと思いますが、そうした変換をしてきたという風なところに設計の妙があるのかなと思ってます。
ある意味S-1とかIPOとか技術とか事業は、不確実性の高い地下の技術というものを標準化して、スケーリングできるようにして、それを契約とか土地とかデータとかあるいは金融というものを彼らがリスクとして背負って、電力を提供していくという風に事業を設計してきた事例なのかなと。ただ一方で、最終的な勝負というものはCape Stationの実行の後にあるので、もしかしたら今回の調達の後に1回失敗しても、この調達金額があればもう1回できるみたいなことなのかもしれませんが、そうした期待値の高い時にIPOをやっていくっていう、そうした戦略も非常に面白いなという風に思います。
特に今ちょうどAIデータセンター時代ということもあって、電力の不足が叫ばれている中で、制約条件になってくるであろう電力の上場というところは非常に注目を浴びて、非常にいいタイミングで、いい感じに提供できたというところになってるのかなと思いますね。その中でもやっぱり技術の不確実性をいかに標準化して反復可能なプロセスにして学習可能にしたのか、それは全体設計をちゃんとしていったっていうところがこのFervoの1つのポイントなのかなという風に思いました。
どうでしょう?これを聞いて。
いや、なんかこう、全体的に組み立てているというか、1個で尖ってるのではなくて、技術もありますとか、ちゃんと反復できるようにモジュール化してますとかっていうのに加えて、ちゃんとPPAが確保できてますと、そういった複合で説得力を持たせているっていうところがすごいなと思いました。
そうですね。ディープテックだからテクノロジーというよりは、全体をやっぱり設計していくというのが大事なのかなという風に思った、FervoのS-1でした。
S-1はもう公開されてるので、是非皆さんも読んでいただければと思っております。はい。では、FoundX Review Startup IdeaCast、今日は特別編ということでFervoのS-1を紹介しました。今後はですね、皆さんのアイデアのためのスタートアップの、特にまだIPOしてないようなスタートアップを紹介していきたいと思っていますが、たまにこうした特別回もできればと思っています。ご興味のある方は是非チャンネル登録やいいねをお願いいたします。またFoundXの各種プログラムでも応募者を募集しています。周りに起業を考えてる人がいれば是非FoundXを紹介してください。ではまた次回よろしくお願いします。ありがとうございました。
ありがとうございました。
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