銅精錬を常温近くの液式プロセスに置き換える、Still Brightの参入戦略とスケールアップの課題
東京大学FoundXFoundXの番組「FoundX Review Startup IdeaCast」は、海外スタートアップのアイデアをAIで整理・分析し、起業を考える人の参考になる論点を二人のスタッフが話し合う番組である。冒頭で、AIを使って情報を整理しているため一部が古かったり誤っていたりする可能性があると断っている。今回取り上げたのは、米ニュージャージー州を拠点に銅の抽出・精錬技術を開発するStill Brightだ。説明役のスタッフは選定理由として、銅は普段あまり意識されないが需要が伸びており、その供給側に問題がある点を挙げる。Still Brightは精錬のプロセスやモデルそのものを変えようとしており、その点を大きな取り組みとして評価したという。
高温の乾式精錬ではなく、液体と電気分解で銅を取り出す
従来の銅精錬は、約1200℃の熱で鉱石を処理する乾式精錬が中心である。Still Brightは代わりに、同社が「RACER」と呼ぶ湿式のプロセスを開発している。常温・常圧に近い液体で鉱石を処理し、その後の電気分解で銅を取り出す仕組みだ。
同社は目標として、銅の抽出を安全かつ効率的にすること、そして重要鉱物が豊かに得られる世界をつくることを掲げている。そのための考え方が「フルバリューマイニング」である。鉱石には銅以外に金、プラチナ族、ニッケル、コバルト、モリブデンなどが含まれている。これらを同時に回収し、原料1単位あたりの価値を最大化するという発想だ。従来は廃棄の対象になったり、精錬所に持ち込むとペナルティを課されたりしていた原料を、「お荷物」から収益源に変えられると同社は訴えている。
背景として、EVやAIインフラの発展により、2040年までに銅需要が約40%伸びるという見通しが紹介された。一方、既存の乾式精錬には環境汚染の問題があり、許認可に数十年かかる場合もある。これが供給のボトルネックになっているという整理である。銅の供給不足がいつ表面化するかという質問に対し、説明役は、既存の採掘プロジェクトだけでは需要に追いつかないとの見方を紹介した。不足はすでに表面化しつつあり、今後10〜20年で不足幅がさらに広がると予測されているという。
顧客が抱える3つの課題
同社の資料をもとに、説明役は顧客の痛みを3点に整理した。
1点目は「ダーティ精鉱」である。アンチモンなど、精錬所に持ち込むとペナルティの対象になる不純物を多く含む銅精鉱を指す。既存の精錬所では減額されたり、受け入れを断られたりする可能性がある。
2点目は、米国内の精錬能力の不足と海外依存である。Still Brightの資料では、米国は未精錬の精鉱を年間約30億ドル相当輸出しているとされる(発言中では「3億ドル」とも言い直しており、数字ははっきりしない)。同社はこれを課題として打ち出している。
3点目は、ヒープリーチングという従来手法の限界である。ヒープリーチングは、採掘した鉱石を砕いて山状に積み上げ、上から酸を散布し、隙間を通る液で金属を溶かし出す方法だ。低品位の酸化鉱には有効だが、硫化鉱では固まったり表面に膜ができたりして溶けにくくなり、処理に時間がかかるという。
初期ターゲットはポリメタリック鉱床と不純物の多い精鉱
同社が顧客として想定しているのは、ポリメタリック鉱床を持つ鉱山会社と、不純物の多い精鉱を抱える事業者である。ポリメタリック鉱床とは、単一の金属ではなく複数の有用金属が一緒に含まれる鉱床のことで、銅とモリブデン、銅と金が同時に取れるものなどを指す。つまり同社は良質な鉱石の市場全体を狙うのではない。既存の手段でうまく処理できていない原料に絞っている。
聞き手は、それではターゲットがかなり限られるのではないかと質問した。説明役は、この初期市場の正確なSAMやSOMは、調べた範囲では数字が出ておらず、小さい可能性も十分にあると認めた。そのうえで、採れる鉱石の品位が下がり、処理が難しい原料が増えていけば、既存手段で困っている層は広がる可能性があるとの見方を示した。
RACERの仕組みと、同社の主張する性能
RACERはバナジウム系の試薬を使う。常温・常圧の液体に鉱石を入れると数分程度で反応が起き、その後の電気分解で銅や他の金属を取り出す。プロセスはクローズドループになっており、有毒な排出を防げるとされる。同社によれば、短時間で銅の90〜99%を抽出でき、ヒープリーチングで問題になる不動態化も避けられる。さらにRACERをモジュール化してソリューションとして提供することで、CAPEXを70〜90%削減できると同社は主張している。
現状は、コロンビア大学の特許技術を基盤に年産2トン規模のパイロット試験を行っている段階である。抽出効率と試薬の再利用性を確認したとされる。
聞き手は「夢のような技術」に聞こえるとして、常温常圧に近い条件で本当に高い抽出効率が出るのかと尋ねた。説明役は、現時点ではあくまで同社の主張だと答えている。鉱石の組成が変わった場合、前処理の条件が異なる場合、連続稼働させた場合にそれぞれ結果が変わりうる。規模を大きくしても同じ回収率が出るかは、これから検証が必要だという。
安全性や副生成物のリスクについては、プロセスの各所にセンサーなどの計測手段を入れ、有害物質が外に出ていないかを把握する必要があると説明役は述べた。これも今後の検証事項であり、実データの計測と第三者評価が求められる段階だという。
CAPEXを大きく削減できる理由は、同社の説明によれば次のとおりである。乾式精錬に必要な大型の溶鉱炉や、そこから出る排ガスの処理設備が要らなくなる。そしてRACERを組み込んだコンパクトなモジュールで工程が完結する。
市場:EV・再エネ・AIが押し上げる銅需要
大きな枠で見た対象市場は、世界の精錬銅市場である。2040年までに需要が40%増え、年間3400万トン規模になるとの予測が紹介された。需要を押し上げる要因は3つ挙げられた。1つ目はクリーンエネルギーへの移行で、再エネ設備は従来の電源より多くの銅を必要とする。2つ目はEVで、ガソリン車の約3倍の銅を使うとされる。3つ目はAIインフラで、データセンターの電力設備、冷却、配線・配電を通じて銅需要が増える。
一方、初期市場であるダーティ精鉱やポリメタリック鉱床の規模は、公開資料からは分からないと説明役は繰り返した。言えるのは、品位低下や処理困難な原料に悩む顧客が存在するだろうという程度だという。聞き手は、切実なニーズを持つ初期顧客はいそうだと受け止めつつ、銅価格が下がった場合にこの市場規模が成り立つのかという不安を口にした。説明役もその可能性は十分あると認めた。そのうえで同社の主張として、金やモリブデンなど別の金属も提供できること、持ち込み時に払っていたペナルティを避けられること、環境リスクを下げられることを挙げ、これらを組み合わせて事業を成り立たせようとしているのだろうと述べた。
ビジネスモデルとユニットエコノミクス
同社のモデルは、従来は無価値かマイナスの価値だった鉱山廃棄物、ダーティ精鉱、低品位・処理困難な原料を投入し、銅、金、ニッケル、プラチナなどを取り出すというものだ。顧客にとってのコストを原料に変える構図である。収益化の方法としては、モジュール設備の販売、ライセンス提供、処理のサービス提供が挙がっている。説明役は、どれにするかはまだ決まっておらず、探りながら進めている段階ではないかと見ている。
収益性の改善要因としては、CAPEXが小さくなることと、従来は廃棄・放置されていた副産物を回収できることが挙げられた。ただしユニットエコノミクスは前提条件に大きく左右されると説明役は言う。鉱石にどの金属がどれだけ含まれるか、変動の大きい金やプラチナの価格、電力コスト、試薬の消耗ペース、後処理などである。
聞き手は、モジュールを買う顧客側で運用の負荷が増えるのではないかとも尋ねた。説明役は、その可能性はあると認めた。一方で同社の説明では、モジュール型でオンサイトに設置できるため鉱石の長距離輸送が減り、クローズドループなので廃棄物管理の手間も減るとされている。
集中型精錬から分散型・オンサイト処理へ
既存の精錬業は、大量の精鉱を大型の精錬所に集めて高温処理する、規模の大きなモデルである。そこには輸送負荷、有害物質の排出、許認可の長さに加え、精錬拠点がアジアに集中している地政学リスクがあると説明役は整理した。Still Brightは分散型で、鉱山の現場に近い場所で処理する。鉱山ごとの組成や処理量に合わせて設備を最適化し、輸送コストと地政学リスクを減らせるという。同社の理想像は、資源国が環境破壊を伴わずに国内で銅の精錬を完結させ、エネルギー安全保障と経済的な独立を確立することだとされる。
聞き手は、既存の精錬所と正面から戦わず、そこで受け入れられない原料から入る点が戦略の要だと確認した。説明役も、少なくとも最初の入り方はそうだと答えている。分散設備ではメンテナンスが大変ではないかという質問には、次のように説明した。初期はStill Brightのチームが運用を支援し、将来的にはパートナー企業との連携や遠隔監視を取り入れ、サービスとして提供する形が想定されている。
経済安全保障との関係については、同社の事業が米国内サプライチェーンの強化やエネルギー安全保障に直結するため、すでにDOE(米エネルギー省)から補助金を獲得しており、それが後押しになっていると説明役は見ている。
ロードマップ:2トンのパイロットから500トンのデモプラントへ
ロードマップは3段階である。フェーズ1は現在で、年産2トンのパイロット試験を通じてラボレベルでPMFと技術を検証している。ダーティ精鉱を対象に、抽出効率、クローズドループ、連続稼働がどこまでできるかという基本を確かめる段階だ。フェーズ2は2027〜2028年で、年産500トンのデモプラントを実際の鉱山現場で運用する。連続稼働と副産物回収を含め、ユニットエコノミクスが狙いどおりになるかを証明する。フェーズ3では年産1万トンの商用システムを構築し、複数の鉱山へのモジュール展開やグローバル市場への進出を狙う。説明役は、小さく始めて段階的に拡大する、ディープテックによくある進め方だとまとめた。
パイロットからデモへ移る際の最大のリスクについて、説明役は次のように答えた。フェーズ1で得られているのはラボ環境での成功にすぎない。フェーズ2では過酷な鉱山環境で連続稼働させ、そのうえでユニットエコノミクスを狙いどおりに安定させる必要がある。壁になるのはオペレーションとエンジニアリングだという。
差別化要素と競合
同社の差別化要素は主に技術面で、5点が挙げられた。常温・常圧での稼働、数分単位の高速処理、不動態化の回避、クローズドループによる有害排出ゼロ、金やプラチナなどの副産物回収である。AIによる競合比較では、環境負荷の低さと処理速度を軸にとり、Still Brightをどちらも優れる位置に置いた。ただし説明役は、この軸の取り方はあまり良いものではなかったと留保している。
競合として、チリを拠点とする銅抽出スタートアップ(発言では「セイボ」)が挙がった。従来技術では処理が難しい硫化銅を扱うが、環境負荷はStill Brightのほうが低いとAIは整理したという。クローズドループという点ではPH7 Technologiesも近いが、同社は銅に限らず、プラチナやイリジウムなど重要金属全般の回収を目指している点でやや立ち位置が異なる。聞き手がジェッティなど他社との違いを尋ねると、説明役は次のように答えた。競合は既存設備へのアドオンや統合を狙っているのに対し、Still Brightはプロセスそのものを置き換えるシステムを丸ごと提供する点が異なる。
競争優位(moat)については、技術や特許だけでなく、鉱石ごとの処理レシピ、実規模で動かしたときのデータ、試薬の再生方法などのノウハウが一つずつ積み上がって強くなる性質のものだと説明役は述べた。特許の基盤はコロンビア大学にあり、CTOが同大学に所属していることからスピンアウトの形をとっているという。
既存プレイヤーが嫌がる領域から入る
参入戦略を改めて整理すると、初期ターゲットは不純物を多く含むダーティ精鉱や鉱山廃棄物を抱える事業者である。彼らは既存の精錬所で高額なペナルティを取られ、処理を断られ、輸送コストも高いという痛みを抱えている。MVPは「環境に良い抽出技術」という打ち出しではない。既存手段では処理できない原料から銅と副産物を確実に取り出すパイロットモジュールだという。既存の精錬所が得意とする良質な原料ではなく、既存プレイヤーが嫌がる、あるいは対応しにくい領域に入ることが工夫の要点だと説明役は評価した。
PMFはまだ確認途中だとしたうえで、検証済みの点も紹介された。HAXなどのアクセラレーターを通じて業界ネットワークを活用して試験を行い、ラボレベルで銅の回収率90%超を確認したという。
オンサイト稼働に許認可は必要かという質問には、必要になると説明役は答えた。ただしクローズドループで乾式精錬より環境負荷が低いため、規制当局や地域の承認を得やすいという強みにつながるとされている。鉱山会社をどう説得するかについては、説明役は自身の考えとして2つの方法を挙げた。1つは、顧客が実際に使っている原料のサンプルで試験し、回収率、取り出せる副産物の種類、その金額を示すこと。もう1つは、既存工程に影響を与えない小規模な導入から始めることである。
電池研究から生まれた技術と起業の経緯
起点はコロンビア大学での研究である。CTOのジョン・バードナー氏(字幕の表記による)はバナジウムフロー電池を研究しており、それを銅の抽出に応用したのがRACERの技術的背景だという。2022年に大学発のディープテック企業としてスピンアウトした。技術側にはコロンビア大学の研究者らが加わり、科学的な厚みがある。ビジネス側には、VCでの経験やスタートアップ支援の経験を持つCEOがおり、外部への説明力でチームを補っているという。説明役は、科学・技術側だけでなくビジネス経験者がいる点をバランスの良さとして挙げた。同社はいきなり商業化したのではなく、HAXやActivateなどの支援プログラムを使って、研究から事業化へ少しずつ進めてきたという。
なぜ電池の研究から銅の抽出技術が生まれたのかという問いには、説明役も自分も気になっていると答えた。フロー電池で使うバナジウム系の試薬の電気化学反応が銅の還元抽出にも応用できると着想したようだが、きっかけは分からないという。逆側の反応を使っているのではないか、というのが説明役の推測である。
学び:環境に良いだけではコモディティ産業は動かない
同社の学びとして説明役が紹介したのは、当初の仮説の修正である。「コストが既存と同じで環境に良ければ市場は動く」と考えがちだが、コモディティ産業ではコストが同等であることは当然の前提であり、導入の理由にはなりにくい。顧客を動かすには、既存より明確に経済性が良くなる理由が必要になる。Still Brightの場合は、副産物の回収、ペナルティ回避、CAPEX削減、環境リスクの低減を重ね合わせて顧客への価値にしているという。
直面している困難は、ラボから実際の現場へスケールする際に扱う原料が増え、それを連続処理できるかというオペレーションの壁である。説明役は、これは同社固有というよりハードテック全般に共通する話だとし、この壁を越えられるかが今後のマイルストーンになると述べた。同社はそのためにDOEやVCから資金を得ている。聞き手が、スケールアップの設計には早い段階から多くの人を巻き込む必要があるのかと尋ねると、説明役は次のように答えた。工場や大規模設備を設計するプロセスエンジニア、現場の運用や保守に詳しい人材、許認可をどう取るのが最善かという制度面の視点を、初期から入れることが重要になる。
資金調達と組織体制
資金面では、VC資金に加え補助金やグラントも得ており、合計で約2080万ドル規模とされる(字幕では「20.8ドル規模」)。2025年7月には1870万ドルのシードラウンドを実施しており、ディープテックとしてはかなり大型のシードだと説明役は評価している。Breakthrough Energy Venturesのような気候変動系の投資家も参加している。気候変動と供給安全保障という2つのストーリーを活用できるようになったこと、希薄化を伴わない補助金も得ていることも紹介された。
従業員は12〜15人ほどで、年産2トンのパイロットから年産500トンのデモプラントへ移行するステージにあるという。聞き手がまだ小さな組織だと指摘すると、説明役は実際のプラントを運用するならこの人数では済まないと認めた。そのうえで現状について、自前で巨大な工場を持つのではなく、モジュール設計と特許技術の開発に特化し、試験もパートナーと共同で行う体制をとっているため少人数なのだろうと述べた。
日本で起業するなら:都市鉱山とリサイクル
日本で似たアイデアを事業化する場合についてはAIに考えさせたとして、その提案が紹介された。日本は一次鉱山が少ないため、Still Brightのように鉱山現場に入るのではなく、二次資源、リサイクル、既存の精錬ラインへの組み込みが現実的だという。案は3つある。
- 案A:都市鉱山に特化し、電子機器の廃棄物やスクラップ、使用済み電子部品から銅、金、銀、プラチナを回収する。
- 案B:既存ラインへの後付けで、精錬残渣、スラグ、廃液など既存工程で価値化できていない部分から金属を取り出す。
- 案C:鉱山や工場の排水に含まれる有用金属を選択的に回収する。
AIは、自前で設備を建てるのではなく、国内の精錬業者やリサイクル企業と組み、既存ラインへの組み込みを図るべきだとしている。説明役はこれを現実的な提案だと受け止めた。聞き手が日本の都市鉱山の規模を尋ねると、説明役は一般に言われていることとして、日本の都市鉱山はかなり大きいとされると答えた。参入の難しさは別としても、市場としては大きい可能性がある。既存の回収インフラに乗せることで、金、レアメタル、プラチナなどを追加で取り出せる可能性はあるという。
まとめ:Must-haveな価値をどう作るか
最後に説明役は3点をまとめた。第一に、コストが同等であることは参加条件にすぎず、既存産業を覆すには新たな収益源のような圧倒的な付加価値が必須になる。第二に、科学的な実証と現場での運用は別物であり、ラボで反応が成立しても現場で安定して動くかは別問題なので、初期から運用を見据えた設計が必要になる。第三に、環境価値を単なるPRで終わらせず、許認可のスピードや地域の合意といった優位性に転換する必要がある。視聴者への問いかけとしては、自分の事業アイデアが「あれば良いもの(nice-to-have)」なのか、痛みを取り除く「特効薬(painkiller)」なのかを見極め、顧客がどんなインセンティブを持つかを整理し直すことを勧めた。
聞き手は感想として、参入の仕方はまさにペインキラー型だと評価した。一方で、その後のスケールアップは難しそうで、そこをどう進めるかを見ておきたいと述べた。説明役もスケールアップはこれからの課題だとして追いかけたいと応じた。同社はいずれ既存の領域にも広げようと考えているはずだとし、次にどこから入っていくのかを今後も見ていきたいと話して回を締めくくった。
皆さん、こんにちは。FoundXの田です。
はい、同じくFoundXの富田です。ということで、もう終わりかけではあるんですけど、助成とかコンテストシーズン中で、FoundXにいる皆さんも結構バタバタされてらっしゃるのを見ますね。
そうですね。やっぱり4、5、6月は忙しいですね。
そうですね。この前FoundXが出してる補助金のリストみたいなのを更新しようと思って調べてたんですけど、結構更新されてて、しかも5月末とか6月頭ぐらいに締め切りのものがかなりあったので、ちょっと今シーズンだなと思うところでした。
ところで、そういったアイデアを考えていこうとする方の役に立てばというところで、IdeaCastを始めていけたらと思います。
FoundX Review Startup IdeaCastですが、海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析して紹介する番組になります。これからアイデアを考える方たちのご参考になればと思います。
最初にディスクレーマーです。AIを活用して情報を整理しているので、一部の情報は古かったり間違ったりしている場合もあります。ファクトを重視される場合は、必ずご自身で調べていただくようお願いいたします。本ポッドキャストはあくまで、そこからアイデアの参考情報や考え方を引き出すことを主な目的としています。
今日紹介するスタートアップですが、Still Brightになります。こちら、なぜ選んだんでしょうか?
そうですね、これは銅の精錬に関するスタートアップなんですけど、意外と銅とか銅線ってあまり普段考えないような気もするんですが、すごく需要が伸びていて、その銅を生むところに問題がある。それを解決しようとしているスタートアップで、従来のプロセスとか精錬のモデル自体を変えるっていうところの大きな取り組みだなと思って挙げました。
で、そのままStill Brightの簡単な紹介を始められたらと思います。このStill Brightですが、ニュージャージー州に拠点があるような、銅の抽出・精錬の技術のスタートアップになります。
Still Brightですが、従来銅を精錬する時って、1200°の熱で燃やすような乾式精錬というものをやるんですが、それではなくて、湿式のプロセス、RACERと彼らが呼んでいるもので、常温常圧の液体を使って、プラスそれを電気分解して銅を取り出すといったようなプロセスを開発しているものになります。
では、Still Brightの全体像です。一言で言うと、彼らが目指しているものとしては、銅の抽出を安全かつ効率的にして、かつそれだけではなくて、重要鉱物の豊かな世界を作るという風に彼らは言っています。で、フルバリューマイニングという風に彼らは言ってるんです。これは銅以外にもモリブデンとかニッケル、プラチナ、金といったような他の鉱物を合わせて取り出すというところを目指しているそうです。
で、Whyというところでは、EVとかAIのインフラの発展によって、2040年までに銅の需要が40%ほど伸びるという風にも言われています。一方で今のやり方、既存の乾式精錬だと環境汚染と、それから数十年に及ぶような許認可の期間が必要になってくるので、そこが供給のボトルネックになっているという風に考えられます。
で、そこからStill Brightは供給側にアプローチして、環境負荷もなく、かつ銅以外も取り出せるようにして、既存のものよりも価値を生むようなものにできたらというところでやっているものになります。
銅の供給不足っていうのは、いつぐらいから顕在化する見込みなんでしょうか?
そうですね。今動いてる既存の採掘プロジェクトだけだと需要に追いつかないそうでして、今もおそらく顕在化しつつあると思うんですけど、今後10年から20年でさらに不足幅が拡大するという風に予測されているようです。
あと、このフルバリューマイニングっていうことを言ってますが、これもう少し具体的に言うとどういうものなんでしょう?
はい。銅を取り出す時に、鉱石には銅以外も含まれるというところで、同じ原料に含まれる金とかプラチナ族、ニッケル、コバルト、モリブデンといったような銅以外の金属を同時に回収して、原料1単位当たりの価値を最大化するという考え方だそうです。
で、彼らは、従来は廃棄とかペナルティの対象だったような原料があって、それをこのフルバリューマイニングで取り出すと、要は今まではお荷物だったものを収益源にも変えられますよっていうところを謳っているようです。
で、彼らが対峙している課題についてです。これは、Still Brightが担う顧客の痛みといったところを具体化しているページになります。まず1点目の課題ですが、ダーティ精鉱と言われるものです。これがどういったものかというと、アンチモンとかいった不純物とか、持ち込むとペナルティになってしまうようなものを多く含むような銅だと、既存の精錬所で、ペナルティ化されるとか、受理を断られるっていう可能性があります。
で、2点目の課題ですが、これが米国内の精錬能力の不足と海外依存といったところになります。アメリカから年間30億相当の、3億ドル相当の精製されていない未精製銅が海外に輸出依存しているといったところから、Still Brightの資料によると、そういったところがあるので、これって課題ですよねっていう風に謳っています。
で、3点目の課題ですが、これが従来のヒープリーチングといったやり方の限界になります。ヒープリーチングっていうのは、採掘された鉱石を細かく砕いて山状に積み上げて、それから上から酸を散布して、それが砕かれたものの間を通って金属を溶かし出すっていうようなやり方なんですけど、これだと低品位の酸化鉱には有効だそうなんですが、硫化鉱だと固まっちゃったりとか、表面に膜ができてしまって溶けなくなってしまって、処理に時間がかかってしまうってことが起こるそうです。
で、こういったような課題があるようなターゲットを彼らは顧客としていて、それがポリメタリック鉱床を持つ鉱山で、ここでポリメタリック鉱床っていうのは、単一金属じゃなくて、複数の有用な金属が一緒に含まれている鉱床です。ポリとメタリックなので、ポリがいっぱいっていうことなんですけど、具体的には、銅とモリブデンが一緒に取れるような鉱床とか、銅と金が一緒に取れるような鉱床です。こういったポリメタリック鉱床を持つ鉱山会社と、あとは不純物の多い精鉱を抱える事業者をターゲットにしているそうです。
なので、Still Brightが対象としているのは、良質な鉱石の市場全体ではなくて、既存の手段がうまく対応できていない原料に絞って、そこを顧客としているということになります。
逆に、そういう意味だとターゲットは割と限られているようにも聞こえますが、市場性っていう観点はどうなんでしょうか?
そうですね、おっしゃるように、今ターゲットにしているという風に話したようなところの正確なSAMとかSOMっていうのは、今調べた限り数字が出ているところではないです。なので、小さい可能性も十分にあります。
ただ、今取っている良質な鉱石の品位が下がっていったりとか、処理が困難な原料が増えていくってことを考えると、今の手段で困っているセグメントは拡大する可能性はあるかなとは思います。
で、こういった課題に対してStill Brightが提案している解決策になります。ここではまず技術についてお話できたらと思います。彼らがまず、ペナルティ原石という風に言ってるんですが、先ほどのダーティ精鉱を取り出して、それを使って彼らが開発しているRACERという湿式精錬のもので、銅以外にも、銅とか金、プラチナっていうのも取り出していくっていうことをやっています。
で、このRACERですが、バナジウム系の溶液を使って取り出すようなものになっていて、常温常圧の液体を使って、そこに鉱石を入れて、比較的数分ぐらいで反応が起きるそうなんですが、その後に電気分解して銅とか、それ以外の金属を取り出すといったようなところをやっているそうです。
で、このRACERがクローズドループになっていて、有毒な排出を防げるといったところで、かつ時間が短くて、90%から99%の銅を抽出できる。また、ヒープリーチングで課題になっていた硫化鉱が不動態化するっていう現象も回避できるそうです。
また、このRACERという技術、プラスこれをモジュールにして、ソリューションとして提供しようとしているそうなんですが、その結果、CAPEXを70%から90%削減することが可能になるという風に彼らとしては謳っています。
で、今の現状としては、コロンビア大学での特許技術を基盤として、年間2tのパイロット実証を行っていて、抽出の効率とか、溶液が再度使えるっていうところを確認したような状況になっているそうです。
なんかすごい夢のような技術な感じもしますけれど、これは例えば常温常圧に近い条件で、本当に高い抽出効率は出せるんですかね?
そうですね。今のところだと、彼らが主張しているといったところになるそうです。彼らとしては、数分で90から99%を回収できるという風には主張はしています。ただ、鉱石の組成が変わったらどうなんだとか、前処理の条件はどうなんだとか、また連続で稼働するとどうなんだってところでまた変わるので、これから規模を大きくしていって、本当に同じような効率が出せるのかといったところについては、これから検証が必要なものになります。
あとは、この安全性とか副生成物みたいなところのリスクとか、そういったところはどうなんでしょう?
そうですね。あり得ますので、RACERの各種プロセスの中にセンサーとか何か測るようなものを入れて、有害な物質が外に出ていかないかっていうところを把握することは必要になっていきます。
なので、そこも今から検証というところになるんですけれども、実際にデータを測ってみてどうなんだとか、第三者の評価がきちっとあるのかといったところは、これから求められているところだと思います。
あとCAPEXが70%、90から70%ぐらい削減可能みたいな話がありましたが、これなんでそれぐらい削減できるんですかね?
そうですね。従来の乾式精錬だと大きな溶鉱炉とか、その溶鉱炉から出てくる排ガスを処理するような大規模の設備が必要なんですが、そういったものが不要になってくる。プラスRACERを組み込んだモジュール、コンパクトなモジュールを提供することになるので、そのモジュールで全てが解決するので、CAPEXが落ちますよっていうようなことを彼らとしては主張しているようです。
では、対峙している市場についてです。ここについては、先ほども申し上げたように、SAMとかSOMといったところは実際どうなんだってところについては少し難しいんですが、TAMとしては世界の精錬された銅の市場になります。ここが2040年までに銅の需要は40%増加して、年間3400万t規模に拡大するという風に予測されています。こういった風に大きくなるようなドライバーが3点挙げられまして、1点目がクリーンエネルギーの移行です。再エネの設備が従来の電源に比べて多くの銅を必要とするそうでして、そのためにTAM自体も大きくなっていくというところです。
2点目のドライバーですが、EVです。EVはガソリン車の約3倍の銅を必要とするという風にされているそうで、これもドライバーになります。3点目がAIインフラです。データセンターだと電力設備とか冷却、配線、配電といったものを通じて、それに必要な銅の需要が増えていくところになるので、ここもドライバーになるという風に考えられているそうです。
ちなみに、この初期市場の高不純物精鉱とかポリメタリック鉱床っていうところ、こちらの規模自体は、SAMはまだ明示されてないということでしたが、どれぐらいあるんでしょうか?
そうなんですよね。そこがあまり規模としてはまだ分かってないというところです。ただ、品位が低下してる鉱石とか、処理が難しいダーティ精鉱とかといったようなペインを抱えるような顧客は存在するだろうというぐらいで、規模については公開されてる資料からでは明らかになってないっていう状況です。
なんかバーニングニーズみたいなのがありそうな初期顧客がいるんじゃないかみたいな感じですね。
そうですね。
あとは、この銅の価格が下がった時にも、これぐらいの市場規模になっていくのかなっていうところは、ちょっと不安というか。
そうですね。おっしゃるように、それはあり得る話だと思います。プラス彼らが主張しているところとしては、銅に加えて金とかモリブデンとか別の金属が提供できるよってところと、プラス今まではダーティ鉱石とかだと原料を持ち込むだけでペナルティでお金を払っていたので、そういったペナルティを回避できますよっていったところとか、環境リスクも低減できますよっていったところも彼らとしては提供しているので、そこで成立するようにしたいということだと思います。
そして彼らのビジネスモデルです。今お話ししたところと近いんですけれども、従来は無価値あるいはマイナス価値だったような鉱山の廃棄物とかダーティ精鉱、低品位や処理困難な原料になります。そこが、原料というよりは顧客が困っていたようなコストといったところになりますが、この鉱石をインプットして、彼らのプロセスを通じて、銅とか金とかニッケル、プラチナっていったところを取り出すよっていったものになります。
収益のモデルとしては、モジュール設備を販売するとか、ライセンス提供する、もしくは処理をサービスとして提供するといったようなものもあって、ここは多分まだ決まっているものではなくて、まだ探り探りやっているのかなっていうところになります。
で、収益性が改善するんですが、そこがどういった内容かというと、先ほどもお話してるようにCAPEXがすごく小さくなりますよっていうところと、従来は廃棄とか放置されてたような副産物が取り出せるので、ユニットの粗利が改善しますよってところになります。
このユニットエコノミクスって、どういうので成り立つんでしょうね。
そうですね。その前提によってかなり異なってくると思います。鉱石がどういうような割合で、どの金属がどれぐらい入ってるのかといったような組成であるとか、共産物、金とかプラチナといったものの価格、ここも今変動がとても大きいところだと思うので、この価格がどうなるかといったところ、また電力とか溶液がどれぐらいのペースでなくなっていくかとか、あとは後の処理とかってところがかなりあるので、かなり条件とか前提によって左右されるところではあると。
あとは、顧客側もそのオペレーション、リサイクリングのモジュールを買った時のオペレーションの負荷とかが結構増えそうな感じもしますが、どうなんでしょう?
そうですね、そこはあり得るとは思います。ただ、彼らが言ってるところとしては、モジュール型なんだと。プラス、そのままオンサイトで設置することができますと。なので、鉱石を遠くに運んでいくような輸送の負荷は減りますと。プラスクローズドループなので、有害な物質が外に出ていくってことはないので、廃棄物を管理する手間が減るんだといったところで、負荷が少ないという風には説明されています。
で、彼らの戦略についてですが、既存の精錬所だと大量の精鉱を大型の精錬所に集約して、高温で処理するっていうところでスケールがとっても大きいものでした。ただ、輸送の負荷であるとか、有害物質が外に出ていくっていう環境負荷、それから許認可もありますし、そして地政学のリスクっていうのもありました。というのも、銅を精錬するような場所がアジアに集中しているってことですね。
で、そこからStill Brightとしては、分散型で、鉱山現場に近い場所で処理することができるようになっているということのようです。そうすると、鉱山ごとの組成とか処理量に合わせて設備を最適化して、輸送コストとか地政学のリスクを排除することができるというところで、彼らはそういった戦略を取っているそうです。で、彼らの理想像としては、資源国が環境破壊を伴うことなく、自分の国内で銅の精錬を完結させて、エネルギー安全保障と経済的な独立を確立することが狙いということになります。
既存の精錬所と正面から戦うんじゃなくて、今既存の精錬所だと受け入れられないところから入っていくのが、戦略の大きなポイントですね。
そうですね。最初の入り方としては、まさにそういったところになります。
一方で、このモジュールで分散で設備をやっていくと、結構メンテナンスとかも大変だなという風に思うんですけれど、この辺りどうやっていくんでしょうね。
そうですね。初期については、Still Brightのチームで運用のサポートをしつつ、将来的にはパートナー企業と連携するとか、遠隔での監視システムを取り入れて、それでリサイクルをサービスとして提供します。リサイクル・アズ・ア・サービスとしての提供も想定されているそうです。
あと、この経済安全保障という文脈で、今回色々と戦略が含まれてるのかなと思いますが、この辺りは政府とも一緒に色々やってるって感じなんですかね。
そうですね。おっしゃるように、やってる内容がアメリカの国内のサプライチェーンの強靭化とかエネルギー安全保障といったところと直結するので、すでにDOEから補助金とかを獲得するようなところで、後押しになっているかなと思います。
そして彼らのロードマップについてです。フェーズ1、現在ですが、PMFとかラボでの検証になります。今が年産2tのパイロット実証をしていて、ダーティ精鉱を対象にして、抽出効率とか、クローズドループ、それから連続稼働がどれぐらいできるかっていう基本を検証するような段階になっています。次にフェーズ2、2027から2028年だそうなんですが、ここだと年産500tのデモプラントを運用すると。で、実際の鉱山現場で連続稼働と、それから副産物の回収、そういったものを含めてユニットエコノミクスがどの程度になるか、狙った通りになるかってところを証明するような段階になります。
そしてフェーズ3、将来的にですが、年産1万tの商用のシステムを組み立てて、複数鉱山にモジュールを展開していったりとか、グローバル市場の進出を狙ったりするってところになります。なので、ディープテックでよくあるところかもしれないですけど、小さいところからだんだん大きくして、スモールスタートでやっていくところになります。
そのパイロットからデモプラントにスケールアップしていくフェーズで、大きなリスクってのは一体どういうところですかね?
そうですね、これも多分過去のポッドキャストでも話してるかと思うんですが、フェーズ1でできてるのがラボ環境での成功なんですね。ですので、これをフェーズ2に持っていく上で、実際の鉱山の過酷な環境、屋外ですよとか雨も降りますよって言ったような過酷な環境で連続稼働させる。で、その上でユニットエコノミクスが狙った通り安定したものを維持できるかといったところなので、オペレーションとかエンジニアリングっていうところが壁になります。
で、彼らのMOATと競合についてですね。まず差別化要素としては、技術的な要素がかなり大きくなっています。5点挙げられていて、1点目が常温常圧での稼働といったところ。それから2点目が、処理が非常に速い、数分単位で高速に処理ができるというところ。3点目が硫化鉱の不動態化が回避できるところ。そしてクローズドループなので、有害排出ゼロにできるといったところ。そして金とかプラチナとか、共産物が回収できるってこともMOATに挙げられています。
競合と比較すると、環境負荷の低さ、処理速度の軸で、Still Brightは、ちょっとあまりいい軸ではなかったんですけど、環境負荷が低くて処理の速度も速いよっていうところになります。
他のスタートアップだと、Ceiboって言ったようなチリを拠点とするような銅の抽出技術のスタートアップがあるんですが、ここは従来の技術だと処理が難しいような硫化銅を扱っているんですが、環境負荷はStill Brightの方が低いという風にAIが整理しています。
他にもクローズドループというところだと、PH7 Technologiesといったところも近いんですけれども、PH7 Technologiesだと、銅以外にもプラチナとかイリジウムといったような重要な金属全般を回収するようなスタートアップで、少し立ち位置が違うかなっていうところもあります。
で、Still BrightのMOATなんですが、先ほどお伝えした技術もあるんですが、そういった技術や特許だけではなくて、鉱石ごとの処理をどういう風に行っていくかというレシピのようなものとか、実原料で動かしたらどうなるかのデータ、そして再生、どうやって再生するんだろうとか、そういったものが1つずつ積み上がって強くなるようなものにもなります。
競合のCeiboとか、Jettiとかいうところとの違いが、もう少しあるとしたらどういうところがあるんでしょう? そうですね。競合の会社さんだと、既存設備のアドオンとか、既存設備との統合といったところを狙っているそうです。
ただ、Still Brightは、そこよりももう少しプロセスそのものを置き換えるといったような、システムをドンと提供するという点が異なっているそうです。
あと特許の話がありましたが、コロンビア大学からのスピンアウトって感じなんですね、これは。
そうですね、CTOの方がコロンビア大に所属しているそうでして、そこの技術を基盤としているので、そこで保護していることになります。
彼らの参入戦略です。今までもお話ししているところであるんですが、初期のターゲットは、不純物を多く含むようなダーティ精鉱とか、鉱山廃棄物を抱えるような事業者でした。で、これらの原料が既存の精錬所で高額なペナルティを取られるとか、処理を断られるとか、輸送コストが高いといったようなペインがあるような顧客になっていました。で、ここに対してMVPとして、環境にいい抽出技術ではなくて、既存では処理できないような原料から銅と共産物を確実に抜き出すようなパイロットのモジュールを提供しますよっていったところがMVPになります。
なので、既存の精錬所が得意とするような良質な原料ではなくて、既存のプレイヤーが嫌がったりとか対応しにくいっていうような領域に入るっていう点が工夫の点になります。で、PMFはまだ確認してるところであると思うんですが、まず検証された点としては、HAXなどの業界のアクセラレーターとか、業界ネットワークを活用して試験を実施して、ラボレベルではあるんですけれども、銅の回収率が90%を超えるというところを確認されたそうです。
オンサイト稼働に関して、許認可ってなんか必要なんですかね?
そうですね。必要にはなってきます。ただ、クローズドループのシステムなので、従来の乾式精錬と比べると環境負荷は低くなるので、許認可、規制当局の承認を得やすかったりとか、地域の承認も得やすいっていうような強みには繋がってくるだろうという風に言われています。
もしこれをやるならですが、その鉱山の会社を説得するとしたら、どういう風にすればいいんでしょう?
そうですね。今やってるところかなとは思うんですけれども、ラボレベルではあるんですけど、実際に使ってるような原料とかサンプルを使ってみて、回収率と、他に共産物としてどういったものが取り出せますかとか、それがいくらぐらいですかっていったところで価値を示すっていったところがまずできるかなというところと、あとは既存の工程に影響を与えないような小規模なところから始めるところにはなるかなとは思います。
で、彼らの起業プロセスについてです。まず起点としては、コロンビア大学での研究になります。CTOの方がジョン・バードナーさんという方だそうなんですが、バナジウムフロー電池に関する研究をなさってたそうで、それを銅の抽出に応用したっていうのがRACERの技術的な背景になるそうです。で、2022年にスピンアウトして、大学発のディープテックとして会社化されたそうです。
で、基礎科学とか技術側には、コロンビア大の研究者とか教授の方もいらっしゃるそうで、そこがチームにいるので科学的に厚いですよってところになります。また、ビジネス側にもVCの経験のある方とか、スタートアップを支援してきたようなCEOの方がいらっしゃるそうで、そこが外部に説明するっていう点で、うまくスタートアップを強くしていっているそうです。
なので、そこが強みにもなるんですが、科学側、技術側だけではなくて、ビジネス経験のある人も一緒にチームの中にいるというところで、バランスが良くなっているそうです。で、彼らも最初からいきなり商業化したとかではなくて、HAXとかActivateのような支援プログラムを活用して、研究から事業化にっていうのを少しずつ進めていったそうです。
電池の研究からのスピンアウトみたいな感じって話でしたけれど、なんで電池の研究から銅の抽出技術が生まれたんでしょう?
そうですよね。それ私も気になってはいるんですけれども、フロー電池で使われるようなバナジウム系の溶液での電気化学、その反応自体を銅の還元抽出にも応用できるっていう風に着想を得たとか、気づいたみたいでして、なので逆側の反応だったのかなとは思うんですけれども、どういうきっかけで気づいたかちょっと分からないんですけれども、CTOの方が、これって銅の還元にも使えるんじゃっていうところで始まったそうですね。
で、彼らの学びと初期の歩みについてです。最初の仮説として、コストが既存と同じで環境に良ければ市場が動くという風にも考えがちなんですが、コモディティ産業なので、コストが同等なのはもう当然というか当たり前になっちゃって、それを導入するっていう理由にはなりにくいそうですと。なので、顧客を動かすためには、既存より明確に経済性が良くなるといったような理由が必要になってきますと。そして、Still Brightの場合は、共産物の全回収とか、ペナルティが回避できるよと、CAPEXも削減できるよ、環境リスクも低くなるよっていうところを色々重ねて、それで顧客に訴えるような価値になっています。
で、困難と転機というところでは、彼らが今直面しているところではあると思うんですが、ラボから実際に動かすにあたって、スケールするにあたって原料も大きくなっていくので、そこを連続で処理していくことができるのかっていうようなオペレーションの壁は生じているというところになります。ここが、彼らが実際に今そうかっていうよりは、どちらかというとハードテック全般の話にはなります。
で、この壁を超えられるかっていうのが、今後のマイルストーンになってくるかと思います。ただ彼らとしても、それを超えていくために、DOEとかVCからの資金獲得もしている状況になります。
なるほど。そういう意味だと、このスケールアップの設計とかをやっていくためには、早い段階から結構いろんな方々を巻き込んでおかなきゃいけないっていう感じなんですかね。
そうですね。初期から、そういった工場とか大きな設備を設計するようなプロセスエンジニアとか、現場の運用とか保守に詳しい方とか、または制度面、許認可を得るためにどういう風に動いていくのが最善かといったような許認可の視点を入れることが、最初の方から重要になってくるかなと思います。
そして彼らの資源についてです。資金調達として、VCからの資金に加えて、補助金とかグラントっていうのも取っております。合わせて2,080万ドル規模という風に言われています。2025年7月にシードラウンドを達成していて、それが1,870万ドルというところで、ディープテックとしてはかなり大型の調達になっているそうです。で、ここでBreakthrough Energy Venturesといったような気候変動に特化したような投資家も入るっていうところで、気候変動とか供給の安全保障といったようなストーリーが強くなって、それを活用することもできるようになったそうです。加えて、希薄化しないような補助金も得ていっているそうです。
で、現在としては従業員の数が12から15人ぐらいの規模で、年2tのパイロット検証から年500tのデモプラントへの移行に向けたようなステージに今なっているそうです。
なんか12人とか15人とかって、まだそんなに大きくはないって感じなんですね。
そうですね。おっしゃるように、実際のプラントを運用するってなるとそれどころでは済まないと思うので、まだ自前で巨大な工場を持つっていうのではなくて、今はモジュールの設計とか特許技術の開発に特化しているっていうところで、試験自体は自社だけではなくてパートナーと共同で行うっていうような仕組みとして作っているっていうところで、まだ少数精鋭になっているのかなと思います。
では、日本で似たようなアイデアで起業するならというところで、AIにも考えてもらいましたが、日本は一次鉱山が少ないので、Still Brightのように鉱山現場に入っていくのではなくて、二次資源とかリサイクルとか、それから既存の精錬ラインへ組み込んでいくっていうのが現実的ではないかと言っています。
で、案Aとしては、都市鉱山に特化して、電子機器の廃棄物とかスクラップ、使用済みの電子部品とかから、銅とか金、銀、プラチナを回収するっていったところになります。案Bとしては、既存のラインに後付けするものですね。精錬の残渣とか、スラグとか廃液っていったところ、つまり既存の工程で価値化ができてないようなところを狙って、それを取り出すのはどうかっていうところです。
案Cは、排水からの選択回収というところで、鉱山とか工場からの排水に含まれるような有用な金属を回収するのはどうだろうかという風にも言っています。
ただ、結構AI現実的だなと思ったんですけど、自前で設備を建てるんじゃなくて、国内の商社とかリサイクル企業と組んで、既存のラインへの組み込みを図っていくっていうのが必要なんじゃないかということのようです。
なんか都市鉱山の規模とかってどうなんでしょうね、日本だと。
そうですね。一般に言われてることになっちゃうんですけど、日本にはやっぱり都市鉱山がかなり大きいという風に言われているそうなので、ここに入っていくのがどうかっていうのは置いといてにはなっちゃうんですけど、市場としては大きいのかなとは思います。なので、今ある回収インフラに乗せることで、プラスアルファして金とかレアメタル、プラチナといったものを取り出せる可能性はあり得るかなと。
最後にまとめになります。まず1点目ですが、コストが同等になるっていうところは参加条件に過ぎなくて、既存の産業を覆していくのはそれだけではなくて、圧倒的な付加価値、新規の収益源とかが必須になってくるっていうところになります。2点目ですが、科学的な実証と現場での運用は別物というところで、ラボで反応が成立しても、実際の現場で安定して低コストで動くかっていうのは別の問題になるので、初期の段階から運用を見据えて設計していくことが必要になってきます。3点目については、環境価値が単なるPRだけではなくて、許認可のスピードとか地域の合意といったような優位性に転換することが必要になってくるというところになります。
なので、今後のアクションというか、考えていただくといいかなという点として、自社の事業のアイデアがNice to haveか、もしくは苦痛を取り除くような特効薬、ペインキラー、Must-haveなのかっていうのを見極めて、顧客がどういったインセンティブを持つかってところを再度整理することになるかなと思います。それで以上、今日はStill Brightを取り上げましたが、いかがでしたでしょうか?
そうですね、参入の方法が非常にまさにペインキラーな感じの入り方なスタートアップだなという風に思いました。一方で、その後のスケールアップっていうところは難しそうだなっていうのは思ったところでもあって、ここの辺りはどうしていくのか見ておきたいですね。
そうですね。そこはこれからになってくるので、ちょっと追いたいなという風にも思いました。おそらく既存の方にも広げていこうっていうのはきっと考えているとは思うので、どこから入っていくかっていうのを今後も見ていきたいなと思います。では、今日はこちらで終了となります。
FoundX Review Startup IdeaCastですが、今後も皆さんのアイデアのために、最新のスタートアップをご紹介していきます。ご興味のある方は是非チャンネル登録や高評価をお願いします。また、FoundXの各種プログラムの応募者を募集しています。周りに起業を考えてる方がいらっしゃったら、是非FoundXをご紹介いただけたらと思います。ではまた次回よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
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