韓国ブランド、古着、シルバー、YOOX。MBが語る「得する服・損する服」

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概要

ファッションバイヤーのMBが、同じ服でも買う場所や買い方で支払う金額が大きく変わる例を4つ紹介する回である。業界的には触れにくい部分もあると前置きしたうえで、価格差が生まれる理由と、自分ならどう買うかを具体的な数字を挙げて話している。番組名は、かつて日本テレビで放送され、本人も出演したことがある『得する人損する人』から借りたものだという。

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海外ブランドが日本で高くなる理由

1つ目のテーマは韓国ブランドだ。MBの結論は、韓国ブランドを韓国で買う人は得をし、日本のセレクトショップで買う人は損をする、というものである。

前提として、MBは海外ブランドが日本で売られるまでの流通経路を説明する。分かりやすいのはヨーロッパで、プラダの服をイタリアで買うと、MBの感覚では日本価格の20%オフ程度になる。以前は40%オフくらいだったが、今は為替が日本人に不利なので20%程度だという。日本で10万円の商品が、現地では8万円で買える計算になる。

本国より他国のほうが高くなる理由として、MBは物流コスト、代理店に払う費用、タグや製品表示を日本向けに作り直す手間を挙げる。プラダには日本法人があるが、小さな海外ブランドは日本の代理店を通して流通させるので、本国と同じ価格にはできない。これらのコストがゼロになることはないので、原理的に他国のほうが高くなる、とMBは説明する。

服が好きな人のなかには、ヨーロッパのアウトレットへ買い物旅行に行き、日本価格と比べると100万円分ほど得をした、という人もいるとMBは言う。ただ今はロシア上空を飛べず遠回りになるため、イタリアまではトランジットを含めて20時間ほどかかり、あまり現実的ではない。

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韓国なら日帰りでも元が取れる

韓国なら事情が違う、とMBは続ける。東京から福岡へ行くくらいの感覚で行けて、LCCを使えば1万円かからずに渡航できることもある。代理店費用や物流コストが上乗せされた日本価格で韓国ブランドをわざわざ買うのは、少し損だとMBは考えている。

MBは実際に、日本で人気のある韓国メンズブランドの日韓価格差を調べた。名前を挙げたのは、Juun.J、SYSTEM、WOOYOUNGMI、SONGZIO、ANDERSSON BELL、POST ARCHIVE FACTION(PAF)、ADER ERRORである。

ADER ERRORは差が小さく、韓国で買っても15%ほど安いだけだった。この15%にはタックスリファンドを含めている。外国人旅行者は韓国の消費税にあたる税金を負担する必要がなく、帰りの空港の機械で手続きすると、10%には届かないものの7〜8%ほどが戻ってくるという。

ADER ERRORは例外で、ほとんどのブランドは韓国で買うと30%ほど安かったという。特にJuun.Jは差が大きく、最大で40%以上になる。MBが撮影中に見ていた商品は、韓国では13万9000円ほどだが、まったく同じものが日本では24万9600円だった。タックスリファンドまで含めると約40%の差で、10万円以上安くなる計算だ。

そのためMBは、日本で20万円のJuun.Jを迷った末に買うのは賢いとは言えないと話す。時間に余裕があるなら日帰りでも韓国へ行くべきだという。LCCなら往復1万円ちょっとの航空券があり、空港からタクシーで狎鴎亭あたりにある旗艦店か、ロッテ百貨店のJuun.Jへ行けばよい。交通費や食事代を足しても10万円はかからないので、韓国旅行のついでに買ったほうが得になる、というのがMBの計算である。

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転売という「褒められない使い方」

MBは、この価格差を使って韓国で人気ブランドの服を買い、日本のメルカリで売って差額を稼ぐこともおそらくできるとも話した。ただし、販売目的で仕入れる以上は税関を通さないと違法になる。旅行ついでに仕入れ、キャリーケースに入れたまま申告せずに持ち帰る人は実際に多いとMBは見ているが、違法行為なので自分のチャンネルでは勧めないと明言している。それでも、この方法で稼いでいる人は少なくないという。

この話は余談だとしたうえで、MBは日本で韓国ブランドを買うときは本国の値段を一度調べるくらいはしてよいと勧める。ブランドによっては、本国価格に送料を払えば日本まで発送してくれる場合もある。送料はかかるが、基本的には日本で買うよりずっと安いという。

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ADER ERRORだけ差が小さい理由

ADER ERRORの価格差が小さいのは、日本に進出して東京や大阪に店舗を構えているからだとMBは説明する。本国との価格差が大きすぎると日本の店で売れなくなるので、「内外価格差」を調整する必要がある。ADER ERRORはそれだけ大きなブランドになった、というのがMBの見方である。

一方、それ以外のブランドは調べてみて驚くほど安かったという。MB自身はJuun.Jを「着やすいバレンシアガ」のような感覚で気に入っていて、毎回韓国で買っており、日本で買ったことはないと思うと話す。何度も通うので、店員から「どこに住んでいるのか」と2回ほど聞かれた。日本から来ていると答えると「その割に先月も来たよね」と言われ、片言の英語同士でのやり取りを楽しんでいるという。

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地方の古着屋と東京の古着屋の価格差

2つ目のテーマは古着である。得をするのは地方の古着屋で買う人、損をするのは東京の古着屋で買う人だという。

MBが例に挙げるのは、人気のある青のラルフローレンのオックスフォードシャツ、XLサイズだ。地方の古着屋では4000円ほどで買えることもあるが、高円寺や下北沢の店では、高いところだと1万円を超える。4000円は安めの例で、MBの地元・新潟などでは6000円ほどが多いという。東京では1万円に届かなくても9000円ほどにはなるだろう、とMBは見積もる。

MBはこれを古着ならではの性質だと説明する。新品のブランド品は本部が定価を決めているので、地方でも東京でも同じ価格になる。古着は値付けが店ごとに任されている。状態がそれぞれ違うので完全に同じ商品とは言えないが、仕入れ値はだいたい同じだという。

MBは自身も古着の仕入れをしていた経験から、国内の倉庫でラルフローレンのシャツを仕入れると今は2000円前後、卸倉庫で最も安く仕入れれば500円程度ではないかと見積もる。東京の古着屋の掛け率はだいたい3倍で、3000円で仕入れたものを9000円で売るのが普通だという。

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固定費の違いと、東京の「付加価値」

地方の店が安くできるのは固定費が低いからだとMBは説明する。家賃が3万円ほどで、オーナー1人で営業しているような店なら、限界まで値段を下げられる。地方で9000円で売ろうとしても、そうした店があるので太刀打ちできない。そのため新潟などでは自然と値段が下がる。逆に東京は家賃も人件費も高いので、下北沢や高円寺の一等地で店を出すなら、それを値段に反映させないと割に合わない。

MBによれば、そのぶん東京にはコンセプトのはっきりした店が多い。「90年代の古着を集めた店」や「ラルフローレン専門店」のように世界観を作って付加価値をつける店で、特に中目黒に多いという。仕入れたものをそのまま並べる地方の店と違い、商品を厳選し見せ方を考えているので、高い値段でも売れてファンがつく。

MBはどちらが良い悪いという話ではないと繰り返す。ビジネスとしては、仕入れ値が安く売り値が高いほうが正しく、客が納得して買っているならそれに越したことはない。「地方の店はこれだけ安いのだから値段を下げろ」と求めるのは明らかにおかしく、そんなことを言ったら日本経済が回らなくなる、とMBは言う。付加価値をつけて高く売れるよう演出するのがブランドの考え方であり、BEAMSをはじめとするセレクトショップもそうしてやってきた、と話している。

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古着を安く買う具体的な方法

そのうえでMBは、得をしたいなら地方の古着屋のネットショップを調べると、同じものが東京より安く見つかるかもしれないと勧める。さらに安いのはタイの古着屋やナイトマーケットで、国内の古着バイヤーが仕入れに行く場所だが一般の人でも行けるという。旅行がてらタイのナイトマーケットへ行くのが一番得だとMBは考えている。ただ、フライトが6時間ほどかかり航空券もそれなりにするので、ハードルは高いと認めている。

現実的な方法として、中目黒で気に入ったラルフローレンのシャツを見つけたら、地方でもっと安く売っている店を検索してみる、という使い方をMBは提案する。これはラルフローレンに限らず、カーハート、リーバイス、パタゴニア、L.L.Bean、エディー・バウアー、チャンピオン、ブルックス ブラザーズ、GAP、NIKE ACGなど、定番のブランドネームが入った古着全般に当てはまるという。

一方でMBは、世界観があり、スタッフがアドバイスしてくれる東京の店で買いたいと思うなら、その付加価値に対価を払うのも1つの選択だとも付け加えている。

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シルバーとゴールドは素材そのものに価値がある

3つ目のテーマはシルバーとゴールドだ。MBは「得」という話とは少し違うと断りつつ、どうしても伝えたいと話し始めた。

MBによれば、服は布と糸でできていて原材料費はたかが知れている。綿を紡いで糸にし、生地にして加工し、縫製して服にするという工程で、職人などの人件費がかかって値段が上がる。素材自体にはほとんど価値がないので、時代やトレンドが変われば無価値になるのが服の宿命だという。

ところがシルバーとゴールドは無価値にならない、とMBは言う。ゴールドが貴金属として価値を持つのは周知のとおりだが、シルバーもこの20年で約20倍になったとMBは話す。MBの記憶では20年前は1グラム20円ほどで、今は380円ほどだという。極端に言えば、20年前に1万円で買ったシルバーが今は20万円分の価値になっている。シルバーアイテムの価格には職人の加工費やブランド料も含まれているが、それを差し引いても、20年前に買ったものは今売れば購入価格を超える値段で買い取られるはずだ、とMBは見ている。20年間使って楽しんだうえで、お金が必要になったら購入額を大きく上回る金額を回収できるという話である。

シルバーは曇っても黒ずんでも元に戻せるほど安定した素材なので、黒ずんでいても問題なく買い取ってもらえるという。量が少なくても多くても、1グラムあたりいくらで買い取ってくれるので、リセールにとても強いとMBは説明する。

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「迷ったら買い」という提案と、その留保

今だけ高いのではないかという疑問に対し、MBは銀価格の推移を見ると、上下はあっても全体としては右肩上がりだと答える。ただし、今後絶対に下がらないとはまったく保証できないとはっきり断っている。そのうえで、長い期間で見て大きく下がることは少ないだろうというのが業界の見方であり、金は特にそうだと述べている。

服はトレンドが過ぎるとリセールが難しく二束三文になるが、シルバーはどんなトレンドになっても素材自体に価値がある。田中貴金属に持っていけばグラム単位で買い取ってもらえる。そのため、気に入らずに失敗したと思ったものでも、持っていれば価値が上がる可能性がある、とMBは話す。損をさせることが「ないとは言えない」と言葉を選びつつ、売る側としても勧めやすい商品だという。

MBの結論は、欲しくないものを買う必要はまったくないが、欲しいけれど高くて迷うくらいなら、シルバーやゴールドはあまりためらわずに買ってよいのではないか、というものだ。これはあくまで個人的な考えだと前置きしている。

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YOOXで「型落ち」のハイブランドを買う

最後のテーマはYOOX(ユークス)である。ハイブランドやメゾンブランドのアウトレット品、型落ち品を通販で扱うサイトで、たとえばバレンシアガを見ると、御殿場のアウトレットとほぼ同じ価格・同じ品揃えで買えるという。仕組みはアウトレットを通販にしただけで特別なものではない、とMB自身も言っている。

それでもMBがこれを得な買い方として挙げるのは、海外のデザイナーズブランドがトレンドの1歩も2歩も先を行っているからだ。日本で着るなら型落ちくらいがちょうどよく、1年落ち、2年落ちでも十分だという。例として、日本ではようやくぺたんこのスニーカーが流行り始めたが、マルジェラやドリス・ヴァン・ノッテンは2年ほど前からやっていた、とMBは指摘する。

さらに今は為替が日本に不利で、メゾンブランドを新作で買うと現実的ではない値段になる。マルジェラのTシャツが10万円もするのは「何かの冗談かと思う」とMBは言い、自分が若い頃のマルジェラはそれほど高いブランドではなく、Tシャツも3〜4万円ほどで買えたと記憶している。もちろん当時との物価の差もある、とMBは付け加えている。

無理をして新作を買うより、40〜50%オフになっていることもあるYOOXで型落ち品を手に入れれば十分だとMBは考えている。MB自身もそれで満足できているという。