「グリーンだから」ではなく「安いから」勝つ:Hertha Metalsの製鉄プロセス刷新とニッチ参入戦略
東京大学FoundXFoundXのIdeaCastは、海外スタートアップのアイデアをAIで分析し、起業を考える人向けに紹介する番組である。冒頭で、AIで情報を整理しているため一部の情報が古かったり誤っていたりする可能性があると断っている。今回取り上げたのは、米国テキサス州ヒューストンを拠点に製鉄プロセスの見直しに取り組むディープテック・スタートアップ、Hertha Metals(ハーサ・メタルズ)である。
解説役がこの会社を選んだ理由は、鉄という「大根より安い」とも言われる世界最大級のコモディティ市場で、環境価値だけを掲げるのではなく、圧倒的なコストと安全保障にアジェンダを移し、プラグマティックな戦略でスケールしようとしている点にある。これまでの鉄鋼系スタートアップとは違い、多くの起業家の参考になると解説役は考えている。以下、聞き手との質疑を交えながら進んだ議論を整理する。
Flex-HERS:高炉と転炉を単一の反応炉に統合する
Hertha Metalsが開発しているのは、従来の高炉と転炉の役割を、電気アークを用いた単一の反応炉で置き換える「Flex-HERS」という手法である。反応温度は2500℃以上とエネルギー密度が高く、変換効率は95%以上だという。解説役の説明では、この95%とは、投入したエネルギーや還元剤(今回は天然ガスや水素)のうち、鉄鉱石の還元や溶解に寄与する熱・化学的な効率を指す。過酷かつ高効率な環境を制御する技術によって、既存の多段階プロセスを一工程にまとめようとしている。
解説役は、この会社を「グリーンスチール一般」の企業としてではなく、低炭素な一次製鉄技術と、高純度鉄の国内供給を担う会社として捉えてほしいと述べた。厳密に言えば鉄鋼市場そのものというより、鉄鉱石から鉄や鋼を作る上流工程の脱炭素化、つまり製鉄プロセスの転換を狙っているという整理である。
なぜ今か:脱炭素圧力、関税、安価な天然ガス
「なぜ今か」について、解説役はいくつかの要因を挙げた。まず、鉄鋼セクターは世界の人為起源の温室効果ガス排出の7〜10%を占める大きな排出源であり、1850年代頃から続く石炭依存の製鉄プロセスからの脱却が急務とされ、多くのスタートアップが立ち上がっている。
次に地政学的な変化がある。解説役によると、米国の鉄鋼輸入依存度は完成品で18〜30%程度あり、これを国内に戻すためにセクション232に基づく関税が25%から50%へ強化されるなど、オンショアリングへの政治的圧力がかかっている。
さらに米国は天然ガスの産地でもある。Hertha Metalsは豊富で安価な天然ガスを使い、石炭よりもクリーンな形で鉄を作ろうとしている。最終的にはクリーンな水素に移行したいが、クリーン水素はまだ高コストなので、その普及を待たずに今すぐ経済性を出せる現実的なアプローチを取っている、と解説役は説明した。
技術面の「なぜ今か」もあるという。供給側ではシェールガス革命による安価な天然ガスの普及、もう一つは高温プラズマアークの制御技術が成熟し、高温下でのアーク制御がやりやすくなってきたことだ。
政策依存と天然ガス利用への疑問
聞き手はここで二つの疑問を投げかけた。一つは、関税のような政策に依存しすぎると、それが覆ったときに危ういのではないかという点である。解説役は、政策の追い風はいずれ逆風に変わるかもしれないリスクがあることを認めたうえで、Hertha Metalsの強みはそもそも既存法より20〜25%安いという純粋なコスト競争力にあり、政策なしでも自立できるモデルを目指していると答えた。
もう一つは、天然ガスを使うことが環境対策と矛盾しないかという疑問である。解説役によると、同社は設備を変更せずに水素へ移行できるデュアルフューエル設計を採っているとしている。まず天然ガスで動かし、同じ設備のまま水素に移っていく。天然ガス利用は移行期の現実解という位置づけだという。
既存プロセスが抱える課題
続いて解説役は、同社が解こうとしている課題を整理した。既存の高炉は巨額の設備投資を必要とし、老朽化した設備の更新時期が迫っているが、CO2排出の観点から新設は難しいと言われている。
代表的なクリーン製鉄の方法にも制約がある。鉄(Fe)の含有量が67%以上の高品位ペレットが必須だが、これは世界の供給の2割程度しかないとされ、原料制約から調達コストが急増している。つまり低品位の鉱石が使えない。聞き手がその理由を尋ねると、解説役は「そこまで詳しくはない」と前置きしたうえで、固体のまま還元を行う仕組みのため不純物(スラグ)を分離しにくく、後工程の電炉の負荷が大きくなるためだと説明した。
一方で需要側には強い痛みがある。防衛やEVに不可欠なNdFeB(ネオジム)レアアース磁石は重量の約70%が高純度の鉄だが、米国はその90%以上を中国などからの輸入に頼っている。国内で調達できないことが国防上の強烈なペインになっている、と解説役は述べた。クリーンな製鉄に移行しようとすると高くつき、豊富にある低品位鉱石は現行技術では使えず、需要が高まる高純度鉄は海外依存である。こうした複数のペインが重なっているのが現状だという。
なお、既存の高炉メーカーの対応について聞き手が尋ねると、解説役は日本でも試みられているように既存の高炉に水素を吹き込んで排出を減らす取り組みがあるが、根本的な解決ではないとの見方を示した。
単一工程化による「ネガティブ・グリーンプレミアム」
従来の製鉄は、鉄鉱石の粉を焼き固め、石炭を蒸し焼きにしてコークスを作り、それらを高炉に投入して銑鉄を作り、転炉で炭素などの不純物を除いて鋼にする、という多段階のプロセスを経る。Flex-HERSはこれを単一モジュールに統合し、還元と溶解を一工程にまとめたうえで、低品位の鉱石でも天然ガスや電力を使って直接同時処理できる技術だという。
解説役が紹介した同社の主張は次のとおりである。コストは従来法比で20〜25%削減でき、グリーンプレミアムが上乗せされるのではなくむしろマイナスになる「ネガティブ・グリーンプレミアム」を実現する。エネルギー消費は30%削減、CO2排出は天然ガス利用時に約50%減、水素利用時には約98%削減が可能だとしている。原料面では、低品位鉱石、粉鉱石、ミルスケールのような廃酸化物まで、あらゆるグレードの原料をそのまま投入できる柔軟性を持つという。
そしてテキサスの拠点で、1日あたり1トンの連続稼働パイロットの実証に成功しており、机上の空論ではないと解説役は強調した。
聞き手がコスト低減の要因を尋ねると、解説役はコークス製造や鉱石のペレット化といった高コストな前工程を省略できることと、安価な低品位鉱石を使えることの二点を挙げた。「ネガティブ・グリーンプレミアムは本当に計算上成り立つのか」という問いには、前工程の省略によるコスト削減と安価な原料を使える技術的優位を組み合わせれば理論上は可能だとされている、と答えている。
1日1トンは業界にとってどの程度の意味を持つか
聞き手は、1日1トンという規模が鉄鋼業界で十分と言えるのかを尋ねた。解説役によると、同社が鉄鋼業界の幹部にヒアリングした結果、連続で1日1トンの安定稼働が次のフェーズに進むための最低限の信頼の基準とされていたという。
技術的な難所としては、スラグ内での大量のガス流の制御、耐火物の寿命確保、高温下での流体力学や材料工学的な制御が挙げられ、同社はそこをアーク制御でうまく処理している点がポイントだという。ただ解説役は、この部分がボトルネックになる可能性は高く、電気アーク炉のように電力で鉄を溶かす方式と比べると、そこが制約になるかもしれないと自身の見方も添えた。
市場規模:高純度鉄から一次製鉄、世界市場へ
市場について、解説役はSAM・SOM・TAMの枠組みで整理した。初期市場(SOM)として狙うのは、米国のレアアース磁石向け高純度鉄市場である。供給不安が強く、安全保障上多少高くても買ってもらえるため、ここを起点にする。SAMは米国の一次製鉄・低炭素鋼市場で、スクラップだけでは賄えない高級な一次鉄の需要を狙う。TAMは年間約18.5億トンと言われる世界の鉄鋼市場全体だという。
成長ドライバーは三つある。一つ目は規制で、セクション232による関税強化と国内回帰、そして将来クリーン水素を使う際には水素生産税額控除「45V」の恩恵を受けられる可能性がある。二つ目は需要の変化で、データセンター、EV、防衛などで高級鋼や磁石の需要が増えている。三つ目は技術の成熟で、再生可能エネルギー電力の増加と米国の天然ガスの価格競争力がある。これが「なぜ米国から始めるのか」の答えにもなっていると解説役は述べた。
聞き手は、これだけの技術なら最初から世界の鉄鋼市場を狙えるのではないかと質問した。解説役の答えは、汎用の鉄鋼は重さあたりで大根より安いと言われるほどなので、初期の小規模プラントでは価格競争に勝てず、まず価値の高いニッチ市場で実績を作る戦略だろうというものだった。世界展開も検討はしているだろうが、現在は天然ガスが安く政策支援も手厚い米国市場に完全にフォーカスしているようだという。
ビジネスモデルとドロップイン型モジュール
収益構造について、解説役はインプットとアウトプットに分けて説明した。インプット側では、安価な低品位鉱石と安い天然ガスの組み合わせで変動費を圧縮し、前工程を不要にすることで設備投資も削減する。アウトプット側では、磁石メーカーに高純度鉄をプレミアム価格で販売する。環境配慮型でありながら、中国製よりも安く提供できるかもしれない点が大きいという。
初期は自社プラントで高純度鉄をプレミアム価格で販売し、バリューチェーンを長く取ってフルスタックに近い形で事業を行う。実現可能性を実証した後は、自分たちの強みの部分にバリューチェーンを短くし、スケールは既存メーカーとのジョイントベンチャーなどで確保していくモデルではないか、と解説役は見立てている。
特徴的なのが「ドロップイン」のモジュール設計である。従来のグリーンフィールド型の新設では、製鉄所は一つの街ほどの規模になり、数千億円単位の投資が必要になる。Hertha Metalsは、老朽化した高炉と転炉の部分だけをFlex-HERSモジュールに置き換え、下流の精錬・鋳造・圧延設備は既存メーカーの埋没資産をジョイントベンチャー方式で活用する計画だという。既存プレイヤーを敵に回すのではなく、その資産を生かしてパートナーに変えるゴー・トゥ・マーケット戦略であり、最初から巨大な製鉄所をフルスクラッチで建設せずに済むため、スケールアップの「死の谷」のリスクを回避できるのではないかと解説役は述べた。将来的には、米国全土の老朽化した高炉をモジュールに置き換え、天然ガスから水素へ移行させていくことが最終的なゴールになるだろうという。
聞き手は、既存メーカーが本当にそうした置き換えに応じるのかを尋ねた。解説役は、高炉の寿命が来て改修時期を迎え、環境規制も迫っているタイミングであれば、巨額の改修費をかけるより低設備投資の代替案として検討されうるのではないかと答えた。物理的な接続については、Flex-HERSが下流に渡すのは成分調整済みの溶鋼や高純度鉄なので、既存の鋳造ラインへスムーズに受け渡せるとされている、と説明した。
リスク:水素経済性と天然ガス価格
解説役は、このモデルにはリスクもあると述べた。水素コストが高止まりすれば水素への切り替えが進まない。逆に安価なクリーン水素が普及すれば、純粋な水素DRI(直接還元鉄)の魅力も高まり、バランスが崩れる可能性がある。また、天然ガスの価格が高騰する場合もありうる。これについては長期供給契約などで軽減できるかもしれないが、インプット側のリスクは多少残るだろうと解説役は見ている。
ロードマップ:1トン/日から1万トン/年、50万トン/年へ
ロードマップとして、フェーズ1では1日1トンのパイロット連続稼働を完了し、スラグ制御などのデータも取得した。フェーズ2では年間1万トン級のプラントを建設し、レアアース磁石向け高純度鉄の商用供給を2026〜2027年頃に始めるとされる。2030年に向けては年間50万トン程度のマイクロミルを展開し、既存メーカーとの提携で本格的な鉄鋼生産に進む。いきなりコモディティで戦わず、高単価で供給不安の強いニッチで初期収益と信用を築く定石を踏んでいる、と解説役は評した。
聞き手は、1日1トンから年間1万トンへのジャンプの大きさを指摘し、技術面・資金面の難しさを尋ねた。資金について解説役は、同社がこれまでに約1,740万ドル(約25億円)を調達しており、今後はシリーズAや政府(DOE)の補助金を組み合わせて建設していく想定だと説明した。技術的には、1万倍のスケールアップであり、高温プロセスのスケールアップは歴史的に見ても鬼門だとされる。ただ同社はモジュールを並べて並列化することを特徴としているため、未知の巨大炉を一つ作るよりリスクを低減できると想定しているようだという。
競合:Stegra、Boston Metal、スクラップ電炉との違い
競合として解説役がまず挙げたのは、旧H2 Green SteelのStegraである。水素と高品位ペレットを使う水素DRIで大型の製鉄所を新設する方式だが、原料制約と巨額の設備投資が弱点だという。Boston Metalは溶融酸化物電解(MOE)による全電化の方式で、原料の柔軟性はあるが電力依存度が高く、基本的に新設が前提になる。電気が安ければ成立するが高いと難しく、解説役は最近のBoston Metalのページを見ると鉄以外の物質にも手を広げている印象があると述べた。既存大手のNucorなどスクラップ電炉系は強みがある一方、一次鉄源の確保が難しく、供給が不安定という課題がある。
これらに対しHertha Metalsは、単一工程であること、低品位鉱石や粉鉱石でもよいこと、ガスと水素のデュアル燃料に対応していること、低設備投資のドロップイン型であることを組み合わせている。個々の要素より総合的な事業設計に差別化があり、特に設備投資の低さが最大の堀(モート)になっていると解説役は見ている。ネガティブ・グリーンプレミアムも加わり、Boston Metal、Electra、Stegraなどとは違う攻め方をしているという。
聞き手が知財面のモートを尋ねると、解説役は特許はまだあまり出ておらず出願中の段階であり、真の武器は特許よりも、パイロットでの実稼働データとスラグ制御のノウハウにあると言われていると答えた。
さらに聞き手が「比較だけ聞くと全部強いように聞こえるが、弱点はないのか」と問うと、解説役は技術リスクを挙げた。溶融層での単一工程は誰も達成したことのないプロセスであり、耐火物の寿命や連続稼働時の安定性(アップタイム)を商用スケールで証明できるかはまだリスクとして残っているという。
参入戦略:MVPは「ラボデータ」ではなく連続稼働
参入戦略について、解説役は改めて「ウェッジ戦略」として整理した。コモディティをいきなり狙わず、痛みが深く小さな市場、つまり高純度鉄を必要とするNdFeB磁石向けを狙い撃ちする。磁石の重量の70%が高純度鉄であり、米国はこれを自国で生産できず他国に依存しているため、国防やEV産業のアキレス腱になっている。
解説役が重視したのは、MVPの設定の仕方である。ラボデータではなく、1日1トンの実際の連続稼働パイロットをMVPに据えた。重厚長大産業の顧客は、論文があっても本当に連続で動くのかを信じてくれないので、その実績作りをまずMVPとしたという。そのうえで、磁石メーカーが求める厳格な不純物基準であるFe 99.97%以上をクリアし、試験提供を通じてオフテイク(長期取引)契約を獲得した、と解説役は説明した。今後は高級鋼、特殊鋼、最終的に汎用コモディティへと広げる構想だという。
聞き手が、メーカーから何が評価されたのかを尋ねると、解説役は、低品位鉱石から高純度の鉄を安定して分離・抽出できたこと、そして炉が壊れずに連続稼働できたことが評価されたと答えた。ただし現状について問われた際には、複数の米国の磁石メーカーに試験サンプルを提供して評価を受けている段階で、契約に向けた協議をしていると聞いている、とも説明しており、契約の進捗については説明に幅が残っている。
創業者:水素スタートアップからのピボット
創業者はローレン氏で、MITで材料科学や機械工学を研究し、アルミニウムの活用や水素生産の研究を経て、水素のスタートアップを立ち上げCEOを務めた。若くしてPhDを取得した人物だという。その経験の中で、クリーン水素を作っても使う人がいない、出口となる重厚長大産業のプロセスが変わらなければコストが合わない、ということに気づいた。そこで水素を売るのではなく、需要側である鉄鋼のプロセスを作るべきだと考えを変えたという。
聞き手がこのピボットのきっかけを尋ねると、解説役は、水素スタートアップのCEO時代に「作った水素を誰が買ってくれるのか」を徹底的にヒアリングして回った結果、鉄鋼業界に行き着き、こちらの課題のほうが大きいと感じたのだろうと推測した。
創業者は鉄鋼の伝統的な業界出身ではない。そのため、NucorやU.S. Steelなどからレガシー鉄鋼の人材を採用しつつ、Blue OriginやAirbusのような先端航空宇宙産業の出身者も雇い、異分野融合のチームを作っているという。伝統産業の知見と、スタートアップ的な急速なスケールアップの手法を、学ぶことが好きなCEOが融合させている、と解説役は見ている。
聞き手が、専門外の人が鉄鋼の専門家をどう採用できたのかと疑問を示すと、解説役は、実際に動くパイロットプラントが証拠となり、資金調達だけでなく採用にもつながったのではないかと推測した。パイロットに至るまでの初期の経緯はもう少し調べる必要があるとしつつ、補助金を取っていたようなので、それをうまく使ったのではないかという。
初期仮説の修正と12カ月でのパイロット
初期仮説の変遷について、解説役は二段階のピボットを説明した。当初は、水素還元でグリーンスチールを作れば、市場はプレミアムがあっても買ってくれるはずだと考えていた。しかし技術経済性分析(テクノエコノミック・アナリシス)を行った結果、既存法より安くなければ絶対にスケールしないと感じ、現在の安価な天然ガスでもまず動くデュアルフューエル設計のFlex-HERSへ転換したという。聞き手が「鉄にピボットし、さらに水素から天然ガスへもピボットしたのか」と確認すると、解説役は、元々は水素だけでやることを念頭に開発していたが、顧客と市場の状況を見てガスにも対応できる設計にしたようだと答えた。
また、拠点の開設から約12カ月以内に、研究室レベルのアイデアを1日1トンの連続稼働パイロットまで持っていったという。解説役はこの資本効率とスピードが次の資金調達につながったと見ている。スピードの要因として、ヒューストン地域は石油・ガスの優秀なエンジニアやサプライチェーンが密集しており、人や協力者を集めやすい立地を選んだことが一因ではないかと述べた。
資金調達とスケールアップの壁
資金面では、Khosla VenturesやBreakthrough Energy Fellowsから資金を受けている。気候変動やディープテックに強いVCが入っていることで、信用を補完できているのではないかと解説役は述べた。KPIとしては1日1トンの連続稼働を完了し、技術リスクの多くを払拭したとされる。ハードテックやクライメートテックへの投資が冷え込む中でも、「エコだから」ではなく「安い低品位鉱石が使えるから儲かる」という経済合理性を示したことで投資家を説得できたのではないか、と言われているという。DOEのプロジェクト支援も活用し、株式の希薄化を抑えながら次の段階へ進もうとしている。
聞き手は、累計約1,740万ドルで年間1万トンのプラント建設に足りるのかを尋ねた。解説役は、1万トン規模の建設には数十億円から100億円規模が必要と推測でき、シリーズAやシリーズBの調達、あるいはプロジェクトファイナンスが必要になるだろうと答えた。Stegraなどと比べて資金規模が小さいのではという問いには、Stegraや(それに近い形で)Boston Metalは大規模プラントを一気に作る資本集約型であるのに対し、Hertha Metalsはモジュール化と既存設備の活用による低設備投資で勝負しており、最終的にはどちらが早いか、どちらが安いかの勝負になるだろうとの見方を示した。
日本で同じ領域に挑むなら
番組では、日本で同じ領域で起業する場合についてAIが提案した案も紹介された。前提として、日本は資源が乏しく、既存設備は重要でありながら老朽化しており、自動車向けなど品質要求が高いという特性がある。
AIの提案は三つである。一つ目は、自動車やモーター産業向けに高品質な特殊鋼や高純度鉄に特化するニッチプロバイダーで、日本の厳しい品質基準や認証をクリアすることを後発の優位性にする案。二つ目は、自社で製鉄所を持たず、老朽化した国内高炉メーカーに対して、既存インフラを生かしたまま還元・溶解プロセスだけを更新する設備や技術を提供するアライアンス特化型のレトロフィット案。三つ目は、操業を制御するソフトウェアやスラグ制御、原料のばらつきを安定化させるAIモデルを開発し、Hertha Metalsのような新興ハードウェア企業にライセンス提供する案である。解説役自身は、これらは少し小さいという感想を漏らしている。
聞き手が米国との最大の環境の違いを尋ねると、解説役は、まず安価な天然ガスがないことを挙げた。加えて、日本の鉄鋼メーカーは本当に優秀であるがゆえに、既存メーカーの系列やサプライチェーンの壁が厚く、新しいメーカーと組むことで安定性が損なわれるリスクを嫌い、大手がなかなか調達しないということがあるかもしれないと述べた。
学び:経済合理性、ドロップイン、ニッチからのレバレッジ
最後に解説役は、この事例からの学びを三つにまとめた。一つ目は、環境価値はもちろんありつつも、最終的には圧倒的に安くなる、原料制約を解消できるという経済合理性のストーリーを作っていること。最初は多少のグリーンプレミアムが乗るかもしれないが、最後は安さで勝てるという筋立てである。二つ目は、レガシーインフラをグリーンフィールドで作り直すのではなく、既存資産や埋没資産にモジュールをドロップインして設備投資を抑え、既存企業をパートナーにするやり方。三つ目は、いきなり巨大市場を狙わず、供給網リスクや安全保障という別のアジェンダがある強烈なペインを持つニッチ市場(磁石向け鉄)で着実に実績を積み、そこからレバレッジをかけていく参入の仕方である。
特に解説役が強調したのはMVPの考え方である。狙う業界の既存大手に、新技術に対して譲れない最低条件、たとえば稼働時間や品質のブレ幅をヒアリングし、そのスペックに向けてMVPを作る。MVPとは機能の少なさではなく、顧客にとって「ミニマムでバイアブル」なものは何かを把握することであり、そこで実証して信頼を得て次につなげる。これはディープテック全般で使える発想だと解説役は述べた。
聞き手は感想として、水素から鉄へ、さらに水素から天然ガスへという二度のピボットがどうやってできたのかが気になったこと、そして「安さこそが価値だ」という判断は言われてみればそうでもなかなか踏み切れないと感じたことを挙げ、どちらも現実を直視する現実主義を貫いている点が特徴だと述べた。解説役はこれに、技術経済性分析で最終的に安くなることを示すような理想主義、知らない領域でも勉強すればなんとかなるという楽観主義も混ざったスタートアップだと応じ、こうしたスタートアップが日本でも出てきてほしいと語った。聞き手が「なかなか楽観的になれない」と返すと、解説役も自分も含めて考えなければいけないかもしれないと述べ、番組を締めくくった。
皆さん、こんにちは。FoundXの田です。
同じくFoundXの富田です。
最近、新しいマーケティング活動を考えてるじゃないですか。考えてますね。なんかうまくいくといいなと思いつつ、あとこのアイデアキャストについてもこのままでいいのかっていうところがあるので、いや、聞いてる皆さんも。そうです。
結構周りからはなんかね、聞いてますって伺ってありがたいなではあるんですけど、なんかはてなブックマークでも紹介いただいてありがたいなと思っております。
が、いや、なんかね、どっちのマーケティングをしていこうかっていうところが、いや、これを続けるべきかどうかっていうところもあったりするんで、是非皆さんのご意見。そうですね。お待ちしております。
とはいえ、こういうアイデアの紹介をすることで皆さんのアイデアのヒントがこういう形で手に入るといいなとは思ってはいるものの。私たちも勉強になりますしね。そうですね。いや、でもなんか参考になってるのかしらと思いながら、自分は詳しくなるけどみたいな気持ちではおりますけど、皆さんからのご意見をお待ちしてます。ということでここからアイデアキャストのコーナーです。
FoundX Review Startup IdeaCastでは海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析して紹介しています。これからアイデアを考える人たちの参考になれば幸いです。最初にディスクレーマーですが、AIを活用して情報整理しているので一部情報は古かったり間違っている場合もあります。ファクトを重視される場合は必ずご自身でチェックいただくようお願いいたします。今回のこのポッドキャストはあくまで皆さんのアイデアの参考情報や考え方を引き出すことを主な目的にしています。
ということでですね、今日はこのHertha Metalsというところのご紹介をしたいと思ってます。そちらを選んだ、取り上げた理由はどういったところにあるんでしょう?
そうですね。まずこの鉄ですね、というような、グリーンにも非常に関わる、かつ世界最大のコモディティ、その大根より安いみたいなことが言われているような市場において、この環境価値、グリーンだけではなく、圧倒的なコスト優位性と安全保障というような、ある意味そのアジェンダを少し変えてですね、非常にプラグマティックな戦略でスケールしていこうという点がこれまでの鉄系のスタートアップとちょっと違うなと思って、多くの起業家の参考になるかなと思って紹介させていただこうと思いました。で、簡単にこのHertha Metalsの話をさせていただきます。
Hertha Metalsはですね、この製鉄プロセスの見直しに挑む米国発のディープテックスタートアップです。従来の高炉と転炉の役割を電気アークを用いた単一の反応炉、後ほど説明しますがFlex-HERSという手法で統合して置き換えるということをやっています。反応温度が2500℃以上とエネルギー密度が高くて、しかもですね、変換効率95%以上という極めて高効率な環境を制御するような、過酷かつ高効率な環境を制御するような技術を開発しています。ちなみにこの変換効率95%というのは、投入したエネルギーとか還元剤、天然ガスとか水素ですね、今回は、が鉄鉱石の還元とか溶解に寄与する熱とか化学効率が95%という、非常に高効率な還元をしているという、そうした技術になってますと。そうすることでですね、既存の製鉄プロセス、高炉・転炉というものを単一工程に統合していこうというような試みをしています。そしてこのHertha Metalsですが、グリーンスチール一般というよりは、低炭素の一次製鉄技術と高純度鉄の国内供給というところをやっている会社だという風にお考えいただければと思っていて、この辺り少し詳しく説明していきたいと思います。
ではこのHertha Metals、なぜ今かというところですが、鉄鋼セクターがですね、世界の人為起源の温室効果ガスの排出の7%から10%を占めているという非常に大きな排出源になっています。そして1850年代ぐらいから続くこの石炭依存の製鉄プロセスというものの脱却が急務だと言われていて、様々なスタートアップも立ち上がってきています。で、それと同時にですね、少し地政学的な変化というものがあります。米国の鉄鋼輸入の依存度が、大体完成したものの約18から30%みたいな感じになっていて、それがですね、今後鉄鋼輸入依存を少し国内に向けていこうということもあって、セクション232に基づく関税強化、関税が25%から50%に変わっていきますというような、そうしたことがあり、国内への回帰、オンショアリングというところをやっていこうみたいな、そうした政治的な圧力が今かかってきているというところです。そしてその中でですね、米国は天然ガスの生産地でもあるというところで、この豊富で安価な天然ガスを活用して、石炭よりもややクリーンというところな、そうしたものを使って鉄鋼を作っていこうというようなことをやっています。最終的には水素、よりクリーンな水素というところに持っていきたいというところですが、まだクリーンな水素というものは高コストなので、その普及を待たずにですね、今すぐ経済性を出せるような、そうした現実的なアプローチというものを今現在Hertha Metalsは取っているというところです。ある意味ですね、このHertha Metalsというものは、厳密な鉄鋼市場そのものというよりは、鉄鉱石から鉄とか鋼ですねを作る上流工程の脱炭素化というものをしています。そうした製鉄のプロセスの転換というところを今やろうとしているというのが、今このHertha Metalsのアプローチということになります。
なぜ今かっていうところで関税も挙げられてたんですけど、結構その政策リスクに依存しすぎていると、それがダメになった時が怖いなと思うんですけど、どういう風に捉えてるんでしょうか?
そうですね。政策はそのリスクはあると思います。政策的に追い風が吹いているものの、いずれどっかのタイミングで逆風が吹くかもしれないリスクはあります。ただ、このHertha Metalsの強みはですね、既存の方法よりもそもそも20から25%安いみたいな、純粋なコスト競争力もあるというところです。なので政策なしでもですね、自立可能なモデルというものを目指しているというのが、彼ら彼女らの、CEOは彼女なんですけど、彼ら彼女らの方向性というところになりますね。
天然ガスを使うっていうのを、なんかその環境対策っていうところと矛盾するようにも感じるんですけれども、どういう風にして整合性を取ってるんでしょうか?
そうですね。最終的には水素に設備変更なしで移行できるようにしていると、デュアルフューエルみたいな設計だという風に言っていますが、まずは天然ガスでやりますが、そのままの設備で水素にも移っていきますよということで、今は移行期と、そういう風に見出して、現実解という、彼女らにとっての現実解という風な位置づけをしているというところですね。あとは、Why Nowという観点でいきますと、技術的にも実はWhy Nowがあって、まずはWhyっていうところは、米国のシェールガス革命による安価な天然ガスの普及というのが1つ供給側でありますが、もう1つですね、高温プラズマアーク制御技術みたいなところが成熟してきて、その高温度におけるアーク制御というものがやりやすくなっているというところがですね、このHertha Metalsの裏にあるWhy Nowというところかなと思います。
じゃあ、そうしたこのHertha Metalsが取り組もうとしてる課題に関してお話しすると、このようになっていますと。まず既存の高炉ですね。これは巨額のCAPEXが必要ですと。で、老朽化している設備の更新時期も迫っているという状態なんですが、CO2の排出の観点から新設というものはなかなか難しい状況だと言われています。そして現在の代表的なクリーン製鉄とかの方法に関しては、鉄、Feの含有量が67%以上の高品位のペレットが必須になっています。ただこれは世界の供給の2割しかないという風に言われていて、原料制約が厳しくて、調達コストが急増しているという状況があったりします。なので低品位な鉄鉱石が使えないという風なところが、今の現状のクリーン製鉄の課題という形になります。そして一方ですね、需要が増えてきている防衛とかEVに不可欠であるNdFeBレアアース磁石みたいなところに関しては、重量の約70%が高純度の鉄になっていますが、米国はその90%以上を中国などからの輸入に頼っているという風な、国内での調達ができないという風なところに強烈なペインがあると、国防上あるという風に言われているというところです。一方で豊富にある低品位鉱石というものがなかなか使えないという状況なので、クリーンな製鉄に行かなきゃいけないが行こうとするとなかなか難しい、高いとか、一方で今のDR技術だと低品位ができないとか、そして需要が高まってきているものの、それを海外に依存している状況といったような、様々なこのペインが存在しているというのが現状なのかなと思います。なるほどです。
既存の問題とかについて伺っていきたいんですけど、今は高炉メーカーさんっていうのはどういう風に対応されていらっしゃるんでしょうか?
そうですね。これは日本でも色々と試されてるところですが、既存の高炉へ水素を吹き込んでとかっていうところで排出を減らそうとしています。が、とはいえ根本的な解決というわけではないかなと思いますね。
既存のクリーン製鉄だと低品位な鉄鉱石が使えないってことだったんですけど、どうしてなんですか?
そうですね。私もそこまで詳しくはないんですけども、固体のまま還元を行うような仕組みになっているので、不純物、スラグですね、が分離しづらくて、後工程の電炉での負荷が大きくなるということが言われていて、今の技法だとちょっと難しいということだそうです。
じゃあそこに対して彼らHertha Metalsが何をしようとしてるのかって言うと、このFlex-HERSっていう単一工程化による価値提案ということをしようとしています。従来ですね、多段階のプロセスがありました。焼結して、あるいはコークス、石炭を蒸し焼きに、鉄鉱石の粉を固めて、で、コークスで石炭を蒸し焼きにして、で、それを高炉に投入して、鉄鉱石を溶かして銑鉄を作り、そしてその銑鉄を作ったものを転炉に送って、転炉では銑鉄から不純物、炭素とかですね、を除去して鋼にするみたいなところで製品加工に移っていくわけなんですけれども、こうした多段階のプロセスというものをFlex-HERSという単一モジュールに統合するというようなブレイクスルーの技術を作ろうとしています。この技術はですね、還元と溶解を単一工程化して、しかも低品位の鉱石とかでもですね、天然ガスとか電力で直接同時処理をしていけるというような、そうした技術になっています。この結果ですね、従来法と比較してコストを20%から25%削減できるというような経済性を持っている。彼女はネガティブグリーンプレミアムとか、たまに見たりしますが、グリーンプレミアムがついてるんじゃなくてマイナスですと。そもそも安くなりますというところで、しかもグリーンですというところですと。で、クリーンっていう意味ですとエネルギー消費を30%削減できるし、CO2排出は天然ガス利用時には50%ぐらいダウン。そして水素利用時には98%ぐらい削減可能だと言っていますと。そしてフレキシブル、低品位鉱石であったりとか、粉の鉱石であったりとか、あるいは廃酸化物、ミルスケールとか、そうしたあらゆるグレードの原料をそのまま投入できる原料の柔軟性、フレキシビリティというのを持っているというのが今現状の技術になっています。で、実際にですね、テキサスのヒューストンで連続1t、1日あたり1tぐらいのパイロット実証にも成功していて、決して机上の空論ではないというところです。で、今後ですね、天然ガスから水素とかに切り替えていく、あるいは電力も使って、本当にいろんなグレードの鉄鉱石とかを使えるようにしていきたいということだそうですね。
なかなかすごい技術で尖ってるんだなと思ったんですけど、コストが結構下がるっていうのは要因はどの辺りなんでしょうか?
そうですね。コークスの製造とか鉱石のペレットとか、高コストな前工程の方を省略できるというところがポイントの1つですと。あともう1つが安価な低品位鉱石を使えるということが、従来の高品位の鉱石に比べると安く済む理由だそうですね。
1日1t稼働できるってことだったんですけど、それって鉄鋼業界だと十分っていう風にも言えるんでしょうか?
一応ですね、鉄鋼業界の幹部へのヒアリングの結果、連続1日あたり1tの安定稼働が次のフェーズに進むための最低限の信頼の基準とされているみたいです。あとは技術的には、スラグ層内でのガスの滞留時間の制御であったりとか、耐火物の寿命の確保とか、高温下での流体力学とか材料工学的な制御が難しくて、そこをアーク制御でうまくやってるというのが技術的なポイントみたいですね。で、あとは本当にそこがボトルネックになる可能性が高くて、エレクトリックアークファーネスみたいな、その電炉ですね、電力で鉄を溶かすであるとかに比べると、その辺りはボトルネックになるのかもしれないなという風には思います。
じゃ、この市場規模と成長ドライバーというところですが、まずはSOM、初期市場として彼女らが狙ってるのは米国のレアアース磁石向けの高純度の鉄市場だという風に言われています。で、ここはですね、供給の不安というところが強いというか、安全保障上、ちょっと高くても買ってくれるみたいなところで、そうしたところを起点にしていこうというのを考えてるみたいです。そしてSAMに関しては、USですね、米国の一次製鉄とか低炭素鋼市場というところで、スクラップだけでは賄いきれないような高級鋼などの一次鉄みたいなところの需要を狙っていくと。そしてTAMは、グローバルの年間約18.5億tと言われているような、そうした世界の鉄市場全体の規模というところを狙っていくというのが、TAM、SAM、SOMという感じなのかなと思います。で、成長ドライバーとしては3つありますと。1つが規制ですね。鉄鋼関税強化、セクション232による国内回帰というところと、あとクリーン水素、いずれ使っていくということですが、このクリーン水素に関しては生産税額控除45Vというところの恩恵が受けられるんじゃないかというのが1つ。あとはもう1つ、需要の変化というところがあります。データセンターであるとか、EVとか防衛とか、そうしたところでですね、高級鋼及び磁石の需要というものが増加してきていて、ここに関して狙えるんじゃないかというところ。そして3つ目が技術の成熟という点で、再エネの電力が増えてきている。そして米国の豊富な天然ガスの価格競争力というところがあり、ここはですね、うまく使って、このUSから始める理由、Why USというところも1つというところなのかなと思いますね。
その解決策を伺ってると、最初から世界の鉄鋼市場を狙えるようにも聞こえるんですけれども、そこから行かないというか、狙わないっていうのは何か理由があるんでしょうか?
そうですね。汎用の鉄鋼というのは本当に大根より安いっていう風に、重さあたりで言うと言われているので、その初期の小規模なプラントでは価格競争で勝てないと。なのでまずは価値の高いニッチな市場で実績を作っていくというのが戦略なのかなと思います。
成長ドライバーを伺ってると、Why USってところで、アメリカにまずは注力するんだろうなと思うんですけど、将来的には世界の市場も狙っていくようなことは検討されてるんでしょうか?
検討はされてるんじゃないかなと思います。ただ、現在はその天然ガスが安くて、しかも政策支援が手厚いような米国市場というところに完全にフォーカスしてるみたいですね。では続いてですね、収益構造とユニットエコノミクス、いわゆるビジネスに関して整理していきたいと思います。
まず彼ら彼女らに関しては、インプットとして安価な低品位鉱石と安い天然ガス、この組み合わせによって変動費を圧縮していく、サプライを安定的にかつ安く仕入れていくというのが1つと、そしてプロセスの優位性、前工程が不要になるCAPEXの削減という風なところをやっていきますと。そしてアウトプットとして、磁石メーカーに高純度鉄をプレミアム販売していくというところで、しかも環境配慮型で、中国材よりも安く提供できるかもしれない。この辺りが割と大きいというところです。それに加えてですね、スケールのダイナミクスというところに面白いところがありまして、彼らはドロップインのモジュラリティで拡張していくっていう風なことができます。従来の新設、グリーンフィールドモデルだと数千億円単位で、製鉄所ってもう本当に1つの街ぐらいのサイズ感なので、それぐらいの大きなものを作っていかなきゃいけないところを、彼女らは既存のインフラを活用してモジュール設計にしていくことによって、ドロップインで拡張していけるみたいな、そんな感じでモジュール構造を作ることによって徐々にスケールしていくこともできるみたいな、そんなことを考えているみたいですね。
実際の収益源っていうのは鉄の販売になるんですか?どういうのを売って収益を得るっていう形になるんでしょうか?
そうですね。まず初期に関しては、自社プラントによる高純度の鉄の販売をプレミアム価格でやっていくと。いわゆるバリューチェーンを結構伸ばして、フルスタックに近い形でやっていくのをやっていますと。ただ、将来的には既存メーカーとのジョイントベンチャーとかをやって、いわゆる拡張性を確保していくみたいな。最初バリューチェーンを伸ばして、本当にできることを示した、実証した後に、徐々に自分たちの強いところに多分バリューチェーンを短くしていって、で、スケーリングのところは他の企業さんと一緒にやっていくみたいな、そうしたモデルなのかなと思いますね。うん。
ネガティブグリーンプレミアムっていう、輸入するより安くなるっていうのはできるとすごいなって思うんですけど、本当に計算というか、できるようなもんなんでしょうか?
理論上は可能だということだそうです。特に前工程の省略によるコスト削減効果と、安価な低品位鉱石を使える技術的優位性というものを使えば理論的に可能だそうです。楽しみですね。すごいですね。
そうですね。とはいえ多少リスクもあって、水素の経済性と言いますか、この水素のコストが高止まりしちゃうと水素に切り替えることができないみたいなところがあるかもしれませんし、逆にですね、安価なクリーン水素が普及すると、純粋な水素DRIの魅力も上がってしまって、ここでちょっとうまくバランスが取れなくなっちゃうっていうところもあるかもしれないと言われていますと。あとはですね、天然ガスが逆に価格が高騰した場合っていうのもあるかなと思っていて、この場合はですね、多分長期供給契約みたいなことで軽減していくみたいなこともできるのかなと思いますが、その辺のインプットのリスクっていうところは多少ある可能性があるなとは思いますね。
ということでドロップインモデルに関してもう少しだけお話をしようと思います。このHertha Metalsですが、老朽化した高炉と転炉の部分のみをこのHerthaのFlex-HERSモジュールというところに置き換えていくというのをやろうとしているみたいです。で、下流の方ですね、精錬とか鋳造とか圧延設備といったようなものに関しては、既存メーカーが持つ埋没資産を活用するということが言われています。これはジョイントベンチャー方式で活用していくみたいなことを計画してるみたいです。既存プレイヤーを競合として敵に回すんじゃなくて、彼らの資産も生かす、特に埋没資産、サンクコストとかをうまく生かしてパートナーに変えていく。そうしたようなGo-to-Marketの戦略を作っているみたいです。そしてその結果ですね、彼女らにとっても、最初からフルスクラッチで巨大な製鉄所を建設するということをやることなくですね、次に行けるというのがこのHertha Metalsの戦略の類型なのかなという風に思います。ある意味その、スケールアップの死の谷のリスクを回避できるんじゃないかっていうところがこの戦略であり、そしてですね、今後米国全土の老朽化した高炉をモジュールに置き換え、転換していって、天然ガスからさらに水素にも移行していくみたいな、そうした部分的な置き換えをどんどんやっていって、既存のものをうまく使っていくみたいなことが最終的なゴールということになっていくのかなと思います。なるほど。
そのドロップインとはいえ上流の方は置き換えることになるってことなんですけど、既存の鉄鋼メーカーって、そういう置き換えって対応してくれるんでしょうか?
そうですね。高炉の寿命ですね。改修時期とかが来たタイミングで、環境規制も来ているしっていうところで、巨額に改修費をかけるよりは、低CAPEXの代替案として検討はできるのかもしれないなと思いますね。
ドロップインのところで、物理的にも接続が簡単なんですかね?どういうものが上流から出されるようになってるんでしょうか?
そうですね。Flex-HERSを上流とした時には、Flex-HERSが排出する、下流に持っていくのは成分調整済みの溶融、溶鋼であったりとか高純度鉄であるので、既存の鋳造ラインにはスムーズに受け渡しが可能だという風に言われてます。あとは、後ほど競合もいくつかお話ししようと思いますが、競合はですね、割とグリーンフィールド、Stegraとかは、グリーンフィールド、いわゆる大規模な新設ですねを前提としているんですけれども、このHertha Metalsはドロップインを前提としているモジュール設計になっていて、ここは結構大きな差別化要因になってきているというところですね。
こんなHertha Metalsですが、どういう風に進んできたのかというところと、これからどう進んでいくのかというところです。まずは技術的な成立をしていくというところで、まずですね、1日あたり1tのパイロット連続稼働というものをフェーズ1で連続稼働を完了して、さらにスラグ制御などのデータも取得したという状況です。そしてフェーズ2として、それを拡大、そして商用の実証ということで、今後ですね、年間1万t級のプラントを建設して、レアアース磁石向けの高純度の鉄の商用の供給を開始していく。これが2026から2027ぐらいみたいなことが言われています。そして2030年に向けてスケールアップしていく、年で言うと50万tとか、それぐらいのマイクロミルを展開して、既存メーカーとの提携で本格的な鉄の生産に行くと。このフェーズ、ロードマップを見てみますと、コモディティの鉄鋼とかでいきなり戦わずに、高単価で供給不安の強いニッチ、磁石向けの鉄であるとか防衛であるとかというところで、初期の収益と信用を築いていくっていう風な、ある意味そうした定石を踏んで進んでいこうとしてるのかなと思います。
現在フェーズ1っていうところで1日あたり1tってことなんですが、フェーズ2が1年あたり1万tって結構すごいジャンプだなと思っていて、技術的な難しさとか、あるいはその資金的な難しさっていうのはどういう風に対応しようとしているんでしょうか?
そうですね。今現状このHertha Metalsに関しては、1700万ドルぐらい、日本円で25億円ぐらいですかね、の資金調達をしていますと。で、今後シリーズAのラウンドとか政府の補助金、DOEの補助金とかを組み合わせて建設していくみたいなことになっているようです。そして技術的にももちろんリスクは高くて、1tから1万t、1万倍ってことなので、高温プロセスのスケールアップはいわゆる歴史的に見ても鬼門だと言われていますと。ただ、このHertha Metalsはこのモジュールを並べて並列化するってことがその特徴の1つでもあるので、そうしたアプローチだと、未知の巨大炉を作るというよりはこのモジュールを増やしていくみたいなことで対応できるかもしれないので、その巨大なものを1個作るというところよりはリスクを低減してやっていくっていうことはできるんじゃないかなというのが想定されてるみたいですね。
ではモート、競合に関して少し整理したいと思います。まず直接的な競合はStegra、H2 Green Steelと言われていたところです。ここはですね、水素と高品位ペレットで新設の大型の施設を作っていくというところが1つありますと。で、このStegraに関しては、高品位な、水素を使ったDRIということをやっていきますというのがポイントです。ただ原料制約と巨額のCAPEXというものが弱点になってくるというのが、このStegraの課題という形になってきます。で、一方Boston Metalもですね、ここも有名なものだと思います。ここはもう全て電化ですね。溶融酸化物電解、いわゆるMOEと言われているものですけれども、このMOEはですね、原料の柔軟性はありますが、電力依存度が高くて、しかも何かを作る時には新設寄りのことになってしまう。電気が安ければすごくペイするモデルですが、一方で電力が高いと難しい、プラス新しい施設も作っていかなきゃいけないということで、Boston Metalなんかは最近のページを見ていると、割と鉄以外のいろんな他の物質に行ってるような印象もあります。あとは既存の大手、Nucorとかですかね、のリサイクル系とかですと、スクラップ電炉とかで強いというところがありますが、一方でそのスクラップ系はやっぱり一次の鉄源の確保というところが非常に難しい課題になってきます。電気を使ってうまく高品位な鉄を作っていけるかもしれませんが、サプライがやや不安定というところが1つ問題としてあるということで、それに比べてHertha Metalsのところは単一工程ということで、かつ低品位の鉱石でもオッケー、粉でも大丈夫というところ。そして、ガスとか水素、プラス電力が必要になってくるんですが、そこのガスと水素のデュアル燃料に対応している。将来的に水素にすれば綺麗になるというところ。そして低CAPEXのドロップインみたいなところを組み合わせていて、総合的な事業設計、他のところとの差別化要素がいくつかあって、しかもCAPEXが低いというところが最大のモートになっている事業なのかなと思います。そして負の環境プレミアム、ネガティブグリーンプレミアムもあり、最終的に安くなるかもしれないというところもありということで、割といろんな、他のBoston MetalとかElectraとかStegraとかとも違う攻め方をしているなというところですね。
そのモートのところで、知財とか技術的なモートっていうのもあるんですか?
そうですね。知財はあんまり出てなくてですね。一応出願中ですと。だから真の武器は特許というよりは、パイロットでの実証データとスラグの制御ノウハウにあるという風に言われてますね。
その比較だけ聞くと、Hertha Metals全部強いじゃんっていう風にも聞こえちゃうんですけれども、逆に弱点というかリスクとかってあるんでしょうか?
それは技術的なところというところが1つありますと。溶融層での単一工程というところは、未踏の、まだ誰も達成したことないプロセスなので、例えば耐火材の寿命とか連続稼働時の安定性、アップタイムとかを商用スケールで証明できるかどうかっていうところはまだリスクとして残ってるということです。
ではですね、次が参入戦略ですと。これはもう何度も言っていますが、まずですね、コモディティのところをいきなり狙わずに、周辺の痛みの深い小さい市場、高純度の鉄というところが必要としているところをですね、狙い打っているというのがウェッジストラテジーという形になります。磁石ですね、NdFeB磁石は重量70%が高純度の鉄が必要とされていて、米国はこれを自国で生産できずに輸入に依存している。これが国防とかEV産業のアキレス腱になってるので、ここを何とかしたいというニーズが非常に大きくて、ここを何とかしていきたいというのが1つです。そして、MVPとしてはラボデータではなくって、1t per dayみたいな、そうした実際の連続稼働のパイロットを実現した、そこに設定したというところが大きいのかなと思っています。重厚長大産業の顧客は、本当に動くかどうか、連続で動くかどうかという、論文があってもなかなか信じてくれないので、その実績を作るっていうところをまずMVPとして設定して、そこをウェッジの1つにしたというところがポイントかなと思います。そして最終的にですね、磁石メーカーが求める厳格な不純物基準、99.97%以上のFeというものをクリアして、そして試験提供を通じたオフテイク契約、長期取引契約というものを獲得したというのが、このHertha Metalsの1つのウェッジのストラテジーなのかなと。で、そこから今後は高級鋼とか特殊鋼とか、そして最終的に汎用のコモディティのところまでやっていくみたいな、そうしたことを考えてるみたいです。
MVPで論文ではなくて1日あたり1t稼働できるっていうところが評価されたっていうところだったんですけど、磁石メーカーさん的にはどういう点が評価されたんですか?
そうですね。低品位鉱石から高純度なものをちゃんと作れた、安定して分離抽出できたというところ、そして炉が壊れずに連続稼働できたというところが評価されたみたいですね。
そういうのが評価されてオフテイク契約が獲得できたということなんですけど、今どういうような状況なんでしょう。
そうですね。今はその複数の米国の磁石メーカーと試験試料の提供をしているというところですと。で、評価待ちという状況だそうです。で、あとは契約に向けた協議があるということを聞いています。では起業のプロセスに関して振り返りたいと思います。
創業者はですね、お1人、ローレンさんという方で、元々ですね、バックグラウンドとしてはMITで研究していたという方です。材料科学とか機械工学をやっていて、まず水素のスタートアップとかをやっていたそうですね。研究だとアルミニウムの活用とか水素生産の研究みたいなところをやっていって、そして水素のスタートアップを始めましたと。そしてですね、アルケマーという水素のスタートアップなんですが、そこでCEOをやって、クリーン水素は非常に大事だと。ただ、それを作っても使う人がいない。出口となる重厚長大産業のプロセスが変わらなければコストが合わないということに気づいて、その結果ですね、水素を売るのではなくって、そのユーザー側、需要側の炉をですね、鉄鋼の方に移り、炉を作るべきという風に変えていったということだそうです。なので、鉄の伝統的な産業の出身者みたいなところではないというのが非常に面白いなと思いますね。なんかすごい若い時にPhDを取った結構天才的な方だそうなんですけども、それでもですね、やっぱり1発目は、間違いではないとは思うんですが、ちょっと違うところで事業を作って、そこから学びを生かして、今は鉄の方にピボットしたというところが、その起業の大きなプロセスになっています。で、とはいえ鉄の領域に関してはあまり詳しくはないということで、そのレガシー鉄鋼の人たちを雇ってきたというところ、NucorとかUS Steelとかですね、の人たちを獲得してきたというところと、プラスしてですね、Blue OriginとかAirbusみたいな先端航空宇宙産業出身者というものもうまく雇って、その異分野融合のチームを作っているということだそうです。伝統的産業の泥臭さと、先端的な急速なスケールアップ、スタートアップの手法というものを、その水素も知っているかつ、天才的に色々学ぶことが多分好きなんだと思うんですけども、いろんなことを学べる人、CEOがその鉄のことを学び、それらを融合させているみたいな、そうしたチームになっているみたいですね。ちょっとピボットすごいですね。
水素から鉄鋼って、連続する領域ではあると思うんですけど、結構変わったようにも聞こえて、その鉄鋼の課題に気づいてこれにフォーカスしようっていうのはどういうような背景というか出来事があったんでしょうか?
そうですね。まさに本当に水素のスタートアップのCEOの時代に、作る水素を誰が買ってくれるのかみたいなところを徹底的にヒアリングして回ったと。その結果鉄鋼業界に行き着いて、こっちの方が課題が大きいなという風に感じて、多分こっちに移ったっていうことなんだろうなと思います。ですね。
いや、あとどういう風に採用を進めていったのかとかも気になりますね。自分の専門でもないでしょうから、鉄の人来てやりましょうっていうだけでも来るのかとか思います。
そうですね。多分その実際に動いているパイロットプラントがちゃんとあって、そうしたものが証拠になって、資金調達だけじゃなくって採用にも繋がったんじゃないかなと思います。最初の方は本当にどうそのパイロットプラントまで行き着いたのかっていうところはもうちょっと調べた方がいいかもしれませんけれど、補助金は取ってたみたいですし、その辺をうまく使ってやってたのかなと。ただいずれにせよ、ここまで行き着けるところは、別に鉄の専門家でなくても1つの発想があれば、割とうまくお金を集めて次のフェーズにはいけるというところなのかなと思いますね。
では、初期の歩みと学びというところです。この初期仮説はですね、先ほど言った通り、水素を作っていましたと。で、その水素を使ってグリーンスチールを作っていこうみたいなところが1つあったのかなと思います。ただ一方でですね、この脱炭素に貢献するグリーンスチールというものを、水素還元製鉄とかで作れば、市場はプレミアムがあっても買ってくれるはずだという風に思っていたところから少しピボットして、これはテクノエコノミックアナリシスですね、いわゆる技術経済性分析ということをした結果、やっぱり既存法よりも安くなければ絶対にスケールしないということを感じたそうで、その結果ですね、現在の安価な天然ガスで
もまずは動くデュアルフューエル設計というところに転換したということが言われていますので、その水素からグリーンスチール、で、グリーンスチールでもまずは水素ではなくって天然ガスでも動くようなものをやっていこうみたいなことを考えて、デュアルフューエル設計のFlex-HERS、というところに転換していったということが言われています。
で、そしてコロ拠点の開設から約12ヶ月ですね、12ヶ月以内に本当に研究所レベルのアイデアを1t/日の連続稼働パイロットにまで持ち上げた、そうした驚異的な資本効率とスピードみたいなところを達成できて、それが次の資金調達にも繋がってるのかなと思いますね。
いやあ、すごいですね。鉄にまずピボットして、しかもその中でも水素を使うところから天然ガスを使うっていう風に、またその中でもピボットしたっていうことですか?
みたいですね。元々やっぱ水素のスタートアップを担当やってたので、元々は水素活用、水素だけでやっていくみたいなところを念頭において開発していたみたいですが、顧客と市場の状況を見て、ガスにもピボットしたというか、ガスにも対応できるような設計にしたということだそうです。
12ヶ月でパイロットまで行くのもなかなか早いというか、ものすごい早いですよね。
そうですね。そのコロってのはヒューストンの地域で、このヒューストンってやっぱりオイル&ガスの、いわゆる優秀なエンジニアとかサプライチェーンが密集する地帯なので、これを選んだ、その立地を選んだっていうところが、人を集めやすくて、割と協力してくれる人も集めやすくて、1つの勝因になったのかなと思いますね。
では、こちら、今の資金調達状況とKPIの推移ですと。まずは今ですね、コースラベンチャーズとブレイクスルー・エナジー・フェローズから受け取っていますと。で、気候変動とかディープテックにこうした強いVCが入っているということで、かなり信用を補完できてるのかなという風に思いますと。
今現状のKPIとしては、その1t/日の連続稼働、これに関しては完了していて、技術リスクの多くを払拭したと言われていますと。で、資金調達の壁ではあったと。ハードテックとかクライメートテックに関する投資が冷え込む中、やっぱりですね、このスタートアップはエコだからではなくって、安価な低品位鉱石が使える、安い低品位鉱石が使えるから儲かるという風な、圧倒的な経済合、最終的にそういう経済合理性が取れますよというところを提示したことによって、色々説得できたんじゃないかなっていう風に言われています。
また、DOEのプロジェクト支援とかも活用していて、株式の希薄化であるとかを抑えて、次につなげていくみたいな、そうした戦略もやっていて、今1tがクリアできたので、次1万tに向かっていくということがされているのかなと思います。
その17ミリオンドルの調達を累計でしているってことなんですけど、今こうプラントを建設するってことだったんですが、それに対してはこう規模感足りてるような感じなんですか?
そうですね。1万tぐらいの建設にはやっぱり数十億円から100億円規模が必要という風に推測できますと。なので多分シリーズAとかシリーズBの調達もしくはプロジェクトファイナンスとかで検討しなければいけないかなと思います。
17Mもすごく大きいんですが、一方でこうステグラとかと比べると小さいようにも見えるので、そういった大きな競合には勝てるというか、どういう風に勝つようなことを考えてるんでしょうか?
そうですね。先ほど説明した通り、ちょっとアプローチが違うので、このステグラとかは、あとはボストンメタルもそれに近いですが、結構その大きなプラントを一気に作る資本集約的な方でやっていこうとしていますと。一方ハーサメタルズに関してはモジュール化と既存設備の活用という形で、低CAPEXで勝負するという形ですね。どっちが早いか、あるいはどっちが安いかというところで最終的には勝負になっていくのかなと思います。
では、これを日本で同じ領域で起業するならというところですが、まずですね、日本の特性としては、資源があんまりありませんと、あるいは既存設備も老朽化していて、さらにですね、品質要求は結構高い、車とかでも使われるのでっていうところで、この3つの特性を持つ中でじゃあどうやっていけばいいのかというのをAIが提案してくれました。
1つがですね、特殊鋼とかニッチのプロバイダーですと。自動車とかモーター産業向けに高品質な特殊鋼であったりとか高純度の鉄に特化して、日本の厳しい品質基準をクリアすることをある意味後発の優位性にしていく。国内の厳格な品質安定性と認証基準をクリアするみたいなところで、ニッチが取れるんじゃないかというのが1つ。
あとはもう1つ、レトロフィットの技術提供。自社で製鉄所を作らずに、老朽化した国内の高炉メーカーに対して、既存インフラを生かしたまま還元とか溶解プロセスだけをアップデートする設備とか技術提供というところに特化していくというような、アライアンス特化型のものというのもありなんじゃないか。
そして3つ目が、操業を制御するソフトウェアと、スラグ制御とか原料のバラつきを安定化させるAIのモデルの開発をして、ハーサのような新興ハードウェア企業に対するライセンス提供していくというのが1つありなんじゃないかっていうことが提案されています。ちょっとなんか、ちっちゃいなって感じはしますけれど。
はい。そうですね。あの、ハーサメタルズと違うというか、環境がそもそも違うので、そういったのも背景にあるかなと思うんですけど、1番大きな違いというか、環境変化みたいなとこだと日本だとどうなるんでしょうか?
そうですね。まあ、1番は多分安価な天然ガスがないっていうところじゃないですかね。それに加えて、日本の鉄鋼メーカーは優秀ではあるので、本当に優秀だなと思うので、既存の鉄鋼メーカーの系列とかサプライチェーンの壁というところが厚かったりとか、新しいその鉄鋼メーカーと色々やろうとすると、その安定性というものが損なわれちゃうっていう風なところをリスクとして捉えて、大きなところはなかなか調達しないみたいなことはあるかもしれないなと思います。
では最後に学びとアクションということですが、やはりですね、このスタートアップが面白いところは、非常にプラグマティックなエコノミクスを追求している環境テック、環境とかエコとか、そういうのではなくって、もちろんそれもあるんですが、環境価値はもちろんあるものの、一方で最終的に圧倒的に安くなりますとか、原料制約を解消できますみたいな、いわゆる、もう本当に経済合理性が最終的に出てくるから、最初は多少グリーンプレミアムと言いますか、乗るかもしれませんが、最後は安さで勝てますっていうような、そうしたストーリーをちゃんと作っているところ、これが1つ大きいかなと思いますと。
で、もう1個がドロップインのモジュラリティというとこですね。レガシーのインフラというものをグリーンフィールドでスクラッチから変えていくのではなくって、既存の資産とか、あるいは埋没資産になってるようなものをモジュール設計でドロップインしていけるようにしてCAPEXを抑える、さらに既存企業をパートナーにしていくみたいな、そうしたやり方を考え、
そして3つ目がですね、どうやって入っていくのかというところで、いきなり巨大市場を狙うわけではなくて、供給網リスクなど、あるいは安全保障とか、そういう別のアジェンダのある強烈なペインを持つようなニッチマーケット、これが磁石向けの鉄とかですが、そこから着実に実績を積んでいく、そうしたことによって、最初の顧客を掴んで、そして次にどんどん大きくしていく、というようなレバレッジをかけていくということを考えてるのが、非常に参考になるかなと思います。
ある意味本当に、なんでしょうね、狙う業界の既存の大手に、新規技術に譲れない最低条件、例えば稼働時間とか、品質のブレ幅とかをヒアリングして、で、そのスペックが決まったらそこに向けてMVPを作っていく。ある意味MVPというのは機能の少なさではなくて、顧客にとってミニマムでバイアブルなものは何なのかっていうものをきちんと把握して、それに向かってプロダクトを作っていくことで、この最低限のスペックというものをきちんとヒアリングして、そこに向けて最低限のものを作り、そしてそこで実証して信頼を掴んで、それをレバレッジして次につなげていく。
こうしたものに関しては本当に、ディープテック全般で使えるような発想だと思いますし、この戦略の部分とか、ドロップインのところとかに関してもやっぱり、非常にこう勉強になるスタートアップかなと思います。以上、今日はこのハーサメタルズ紹介しましたが、いかがでしたか?
いや、まずピボットがちょっとすごい、なかなかできないと思うので、水素から鉄にピボットし、その中でも水素使うとこではなくて天然ガス使うっていうピボットも、いやあ、なんか難しかっただろうけどどうやってできたんだろうって気になりましたっていうのと、あとこう安さが価値というか、そこが価値だよねっていうところも、言われてみればそうだけど、なかなかそこに踏み切れないなと思うので、そこもすごいなと思って。でもそのどっちも結局その現実主義というか、現実見るとそうだよねみたいなところを貫いているっていうのが特徴だなという風に思いました。
そうですね。現実主義でありつつ最終的に理想主義的なところもあるのかなという感じもしますけどね。で、このエコノミックアナリシスで最終的に安くなってくるんでみたいなとか、なんかそういうところちゃんと示せるようであるとか、あとは何でしょう、この自分の知らない領域でも勉強すればなんとかなるみたいな、そうした楽観的なところも含めて、なんか現実主義と理想主義と楽観主義とうまく混ざった、なんかいい感じのスタートアップだなという風に思います。こういうスタートアップ、日本でも出てきてほしいですね。
いや、なかなか楽観的になれないなとも思うので、その点はなんか見習いたいなと思います。
はい。私も含めてですね、考えなきゃいけないかもしれないですね。色々勉強すればなんとかなるんで。はい。ということで、そんな最終的な結論になりましたが、今日のIdeaCastは以上で終了です。で、今日もですね、皆さんの学びになれば幸いでした。
是非今後もですね、皆さんのアイデアのために最新のスタートアップ紹介していければと思っています。ご興味のある方は是非チャンネル登録、いいねお願いいたします。またFoundXは各種プログラムでですね、応募者を募集しています。こうしたアイデアとかを一緒に考えていったりとか、最近このテクノエコノミックアナリシスするようなプロンプトとかを公開したりしたので、そうしたところをうまく使っていただければと思っています。周りに起業考えてる方がいらっしゃれば是非FoundXも紹介してみてください。ではまた次回よろしくお願いします。ありがとうございました。ありがとうございました。
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