夜空はなぜ暗いのか 大栗博司が「本当のこと」として語った宇宙膨張とビッグバン
PLAYERS公式経済学者の成田悠輔が、理論物理学者の大栗博司を迎えた対談である。番組名の「夜明け前」にちなみ、成田は「夜明け前の空はなぜ真っ暗なのか」という身近な疑問から話を始めた。大栗はこの問いを定量的に考え、宇宙の膨張、ビッグバン、光の速さの有限性へと話を進める。さらに、物理学者が宇宙を考えるときに置いている仮定や、自らの研究目標についても語った。
「視聴者を置いてけぼりにしていい」という前提
冒頭で成田は番組の方針を説明した。普通のテレビ番組は、物理の話でも誰にでも分かるように説明しようとする。そうしなければ視聴者を置いてけぼりにし、視聴率が下がるからだ。しかしこの番組はもともと視聴率が低いので、視聴者のことは気にしなくていい。専門用語でも数式でも自由に使ってほしい、と成田は頼んだ。大栗はこれを受けて「じゃ、本当のこと教えてあげましょう」と応じ、ホワイトボードを使って説明を始めた。
なお二人が前に会ったのは約1年前で、コロンビア大学での会合だったという。大栗は、資金集めをしている財団に関わっていた縁でその場にいたと話している。
問い:星が無数にあるなら、なぜ夜空は暗いのか
成田の疑問は次のようなものだ。素朴には、太陽が出ていれば明るく、沈めば暗いと考えがちである。しかし宇宙には大量の星があり、太陽はその一つにすぎない。多くの星が光を放っているなら、太陽があってもなくても空が明るくて構わないように思える。それなのに、太陽の有無で真っ暗な世界と青空の世界が入れ替わるのはなぜか。
大栗は、これはケプラーも考えた昔からの問題だと答えた。何百年も解けなかったが、約100年前に解けたという。そして「非常に正しい質問」だと評価し、物理学は定量的に物事を考える学問なので、その方法で考えてみようと述べた。
距離の2乗で考えると、どの距離からも同じ量の光が届く
大栗はまず、地球の周りに天の川銀河があり、さらに広く見ると銀河が宇宙に一様に広がっている、というのが現在の観測的宇宙論の結果だと説明した。そのうえで、星が宇宙に一様に分布していると仮定する。
地球からある距離にある球面上に、星が4つあるとする。距離を2倍にすると、球面の面積は4倍になる。星が一様に分布していれば、その球面上の星の数も4倍になる。一方、1つの星から届く光の強さは、距離が2倍になると4分の1になる。成田が理由を尋ねると、大栗は「同じこと」だと答えた。1点から出た光が広がるとき、距離が2倍になれば光が広がる面積が4倍になるので、単位面積あたりの強さは4分の1になるのだという。
つまり、1つの星あたりの光は4分の1になるが、星の数が4倍になるので、その距離の星全体から届く光の合計は変わらない。3倍の距離なら面積は9倍、星も9倍、1つあたりの光は9分の1で、やはり同じ量になる。1万倍先でも1億倍先でも、それぞれの距離から同じ量の光が地球に届く。したがって、宇宙が無限に広ければ、全部を足し合わせた空は無限に明るくなるはずで、どの方向を見ても太陽の表面のように見えるはずだ、と大栗は説明した。
エドガー・アラン・ポーが『ユリイカ』で出していた答え
大栗によると、この問題は小説家であり随筆家・編集者でもあった人物がすでに指摘していた。『モルグ街の殺人事件』で知られるエドガー・アラン・ポーのことで、大栗はポーが亡くなる数年前に書いた長編『ユリイカ』の名を挙げた。日本の雑誌『ユリイカ』の名前の元でもある。(字幕では人名が「江戸川乱方」と表記されているが、作品名と文脈からポーと判断した。)
ポーはこの作品で、宇宙が無限に広ければどの方向を見ても視線は必ず星に行き着くはずだと考察した。それなのに夜空には黒い空間がある。ポーはその理由を、そこからの光がまだ地球に届いていないからではないかと書いた。大栗は、これは「ほとんど正しい」と言う。成田は、ポーがこの時点ですでに光の速さを有限と仮定していることに注目した。
ハッブルの観測とゴムひものモデル
では本当の答えは何か。大栗は110年ほど前の観測を紹介した。ロサンゼルス近郊にウィルソン山があり、大栗が勤めるカリフォルニア工科大学のオフィスからも見える。その山頂の天文台は、当時世界でも第一級の望遠鏡を備えていた。今はロサンゼルスの光が強すぎて観測に使えないという。そこでエドウィン・ハッブルが観測を行った。ハッブルは、天の川銀河の外に別の銀河があることを初めて検証した人物でもある。彼は遠くの銀河が地球からどれくらいの速さで遠ざかっているかをドップラー効果で調べ、遠い銀河ほど速く遠ざかっていることを見つけた。
これは地球が宇宙の中心にあるという意味ではない。大栗はそれを示すために、物理学者がよく使う簡単なモデルを持ち出した。3次元の宇宙の代わりに1本のゴムひもを考え、その上に星が等間隔に並んでいるとする。ゴムひもが一様に伸びると、ある時間の後、隣の星までの距離が1から2になれば、元々2離れていた星は4になる。元の距離に比例して遠ざかるので、遠い星ほど速く離れていく。しかも同じことは、ゴムひも上のどの星から見ても成り立つ。宇宙が一様で、一様に膨張しているなら、どの星から見ても遠い星ほど速く遠ざかって見えるはずだ、というのが大栗の説明である。
大栗によると、ハッブルの測定には「少しいい加減」なところもあった。しかし後のより精密な観測で、銀河は実際に距離に比例して遠ざかっており、宇宙は一様に膨張していることが分かったという。
説明の途中で大栗はホワイトボードへの不満も述べた。消すと跡が残る、ペンのキャップを外す一手間がある、指が汚れる、といった点だ。何より、ホワイトボードに書くと印刷物のような完成品を書かなければと構えてしまう。黒板にチョークで書くほうが、遊びながら考えを組み立てていく感覚があるという。今年から理学部長を務めることになり、新しい建物を建てているが、共用スペースをホワイトボードにするか黒板にするかで教授たちの議論になっている、という話も出た。
アインシュタイン方程式と、その適用限界
宇宙が一様に膨張しているなら、過去にさかのぼるほど宇宙は高密度・高温だったことになる。これがビッグバンであり、大栗は「138億年だっけ」と確かめながら、およそ138億年前に起きたとされていると述べた。
大栗は、これを単なる逆算ではなく、もう少し正確に言えると補足した。宇宙の膨張はアインシュタインの方程式で決まる。この方程式は、宇宙にどんなものがあり、初期条件がどうなっているかを与えれば、空間がどう膨張するかを計算で示す。そしてその予測は、現在の膨張だけでなく銀河の分布など多くの天体観測で検証されている。物理の基本方程式は、現在が分かれば将来も過去も計算できる。現在の膨張を入力して過去を計算すると、約138億年前に非常に高温・高密度の状態があったという結果になる。
成田は、膨張と収縮を繰り返している可能性もあるのではないかと質問した。大栗はその可能性は認めつつ、物理法則には適用限界がある点を説明した。ニュートン力学は日常生活ではほぼ正しいが、原子の物理には使えない。同じように、アインシュタイン方程式がどこまで使えるかもよく分かっている。そのため、ビッグバンが起きていた頃までは間違っていないという確信があると大栗は言う。それより前は温度が高すぎて、アインシュタインの理論をそのまま使えない領域に入ると考えられている。その先を知るには超弦理論のような、アインシュタインの理論を超える理論が必要になる。そうした理論で、それ以前に宇宙が膨張していたか収縮していたかを議論することはできる。ただし夜空が暗い理由を説明するには、そこまでは必要ない。大事なのは、約138億年前に高密度の状態があり、宇宙には始まりがあったという点だ、と大栗は整理した。成田はこのあたりで「すでに僕混乱し始めてるんですが」と漏らしている。
光の速さも宇宙の年齢も有限だから
ここで話はポーの答えに戻る。宇宙が無限の過去から存在していたなら、どれほど遠い星の光でもいずれ届くはずだ。しかし光の速さは有限で、大栗の表現では1秒間に地球を7周半回る程度の速さである。1光年先の星の光が届くには1年かかる。宇宙が138億年前に始まったなら、およそそれより遠いものは見えない。大栗は、宇宙が膨張しているので実際の計算はもう少し複雑だと断ったうえで、大まかには100億光年より先は見えないと説明した。
成田はこれを、宇宙の年齢はとてつもなく長いかもしれないが有限で、光もとてつもなく速いかもしれないが有限だ、だから光が届いていない黒い部分がある、とまとめた。
ビッグバンの光はどこへ行ったのか
しかし、宇宙の始まりが高温・高密度だったなら、どの方向を見てもその高温の状態が見えるのではないか。大栗はこの疑問を自ら取り上げ、そうはならないと述べた。初期の宇宙では波長の非常に短い光が飛び交っていたが、宇宙の膨張とともに波長も引き伸ばされた。現在ではマイクロ波、つまり電子レンジで食べ物を温めるときに使う程度の波長になっている。
大栗は身近な例として、ブラウン管テレビの砂嵐を挙げた。深夜に放送が終わると、画面にザーッというノイズが映る。あれはアンテナが大気中の電磁波の雑音を拾って映しているもので、大栗によると、その1割ほどはビッグバンの光が引き伸ばされたマイクロ波なのだという。成田は、138億年前の光が今テレビ画面に映っているのかと驚いた。大栗は、マイクロ波で宇宙を見れば真っ白だが、肉眼では見えない、と述べた。肉眼で見える光については、光が届いている星しか見えない。宇宙に始まりがあったから夜空は暗い、というのが大栗の答えである。
「宇宙が黒い幕で覆われているだけ」は排除できるか
成田は素人としての疑問をぶつけた。宇宙は有限で、黒い幕のようなものに覆われていて、星がまばらにしかないから暗いだけ、という説明はどうやって否定できるのか。
大栗の答えは「それはできない」だった。人間は地球上からしか観測できず、何百億光年先へ行って確かめることはできない。そこで物理学者は、宇宙はどこから観測しても同じように見えるはずだという仮定を置く。これをコペルニクスの原理と呼び、この仮定を置かなければ宇宙のことは絶対に分からない、と大栗は言う。成田の挙げたシナリオは、地球が特別な位置にいると考えていることになる。
大栗は、その可能性自体はあると認めた。たとえば138億光年より先に全く違う世界があり、そこの知的生命体が人類をからかっているのかもしれない。しかし、そうした仮定はあまり役に立たない。役に立つ仮定とは、たとえば「宇宙はどこから見ても同じだと仮定してみよう」というものだ。そこからいろいろな結論が導け、その結論が正しいかを検証できるからである。
名前の由来として、大栗はコペルニクスの地動説にも触れた。当時のキリスト教会は、地球が中心にあり太陽や月や星がその周りを回るという天動説を支持していた。コペルニクスは、地球は太陽の周りを回る惑星の一つにすぎないとし、地球の位置を特別なものではなくした。この考えを宇宙全体に広げ、太陽系も特別な場所にあるわけではないとするのがコペルニクスの原理である。先ほどのアインシュタイン方程式による過去の計算も、この原理を仮定して解いたものだと大栗は付け加えた。
観測と合わない部分:ダークマターとダークエネルギー
成田は、現代の物理学者が置いている他の重要な仮定についても尋ねた。大栗は、アインシュタイン方程式が成り立つこと、宇宙が一様かつ等方的で、どちらを見てもどこから見ても同じであることを挙げた。
これらの仮定のもとで方程式の解と現在の宇宙を比べると、うまく説明できない点が出てくる。アインシュタイン方程式は、宇宙の膨張を宇宙の中の物質の分布で説明する。しかし、既知の原子や光だけが宇宙にあると仮定して膨張を計算すると、観測と合わない。大栗によると、宇宙の始まりからの光の精密な観測など、現在の様々な精密観測と合わないのだという。そこで導入されたのがダークマターやダークエネルギーである。それらが何なのかはまだ分かっていないが、存在すると仮定すれば観測を説明できる、と大栗は述べた。
究極のゴールはあるのか
成田は、宇宙の科学的解明に「これが分かればゴール」と言える究極の目標があるのかを尋ねた。大栗の最初の答えは「ないですね」だった。ただし、すぐに「あるかもしれないけれども」と補っている。
大栗によれば、物理学の目標は自然界の基本法則を理解し、それで森羅万象を説明することだ。しかし人間が究極の基本法則にたどり着けるかは明らかではない。仮に法則が分かっても、それを解いて宇宙を理解するのは大変な作業である。それを目指してはいるが、すぐに達成できるわけではなく、途中には多くの問題があり、それを順に解いていくことになる。そして大栗は、今のところ進歩の速度が落ちているようには思えないので、まだまだ理解できることはあるだろうと考えている。
重力と量子力学の統合、そして宇宙の終わり
究極のゴールの手前にある大きなステップとして、大栗は先ほどのダークマターやダークエネルギーの正体解明を挙げた。自身の研究目標としては、重力の理論である一般相対性理論と量子力学の統合を挙げ、それが実現すれば自然界の基本法則を探求するうえでの一つのマイルストーンになると述べた。
統合で何が分かるのかと成田が問うと、大栗は、現在理解している自然界の基本法則のすべてを一つの数学的体系で説明しようとすることだと答えた。重力と量子力学の両方を含み、しかも縦・横・高さのある現実の空間を説明できる理論は、超弦理論しかないという。
話題は宇宙の終わりにも及んだ。大栗は一つの可能性として、宇宙がこのまま膨張を続け、銀河同士がどんどん離れ、それぞれの銀河の中の星が次々に死んでいき、非常に「つまんない世界」になる、というシナリオを挙げた。成田はそれを「孤独死みたいな」と表現し、大栗も同意した。大栗は他の可能性にも触れかけたが、収録された範囲はそこで途切れている。
一番いいなと思ったのは、全員ちんぷんかんぷんで全く伝わってないことが分かりながら、満面の笑みを崩さない大栗先生のサイコパスぶりが素晴らしかった。
で、アインシュタインの方程式の適用限界も僕らちゃんと分かっていて、だからビッグバンが起きていた頃までは絶対間違いないという確信がある。
すでに僕混乱し始めてるんですが、
ビッグバンの世界っていうのは非常に高温高密度で、それをどんどん遡っていくとどんどん高密度になっていくので、ある時点でこういう現象が問題になるわけです。例えば今何時とか今どこにいるのっていう問いすら意味がない。ちょっと水分補給、ちょうど。
1人だけ残ってた視聴者がゼロになったかもしれない。
宇宙に漂うちりの皆さんこんばんは。夜明け前がテーマのこの番組。気づいてみれば夜空に漂う星、そしてその裏側にある宇宙について考えたことがなかったなとふと思い至りました。ということで今日は宇宙について、そしてその宇宙を形づくっている粒子について、そしてこの世界の成り立ちについて考えてみたいと思います。そのために最適なゲストの方にお越しいただいております。
宇宙から素粒子まで自然の理について研究されている物理学のラスボス、大栗博司先生です。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
お忙しい中お越しいただいてありがとうございます。どうもありがとうございます。
ありがとうございます。どうぞ。はい。
いやあ、大栗先生にお越しいただけ。
いやいやいや、こちらこそお呼びいただきましてありがとうございます。
1年ぶりぐらいですかね。1年。前回お会いしたのはコロンビア大学で、花沢さんの会かなんかがあって。
あ、そうですよね。そう。あのファンドレイジングをやっている財団にちょっと関わってまして。
あ、そうなんだ。
たまたまその縁もあって。
ああ、なるほどね。
今日は僕が色々とってきた…はい。普通テレビ番組っていうと、物理でも分かりやすく誰でも分かるように説明するっていう名目でやると思うんですね。そうしないと視聴者を置いてけぼりで、視聴率もだだ下がりだと。
うん。
ただこの番組、元々視聴率が超低空飛行ということもあって、視聴者のことは気にしないというスタイルで。
はい。はい。
じゃ、本当のこと教えてあげましょう。
あ、是非よろしくお願いします。視聴者だけではなく、僕も置いてけぼりにしていただいて構いませんので、ホワイトボードも存分にお使いいただき、どんな専門用語でも固有名詞でも、あるいは数式でも何でも展開していただいて、全てを置いてけぼりにする暗号のような1時間にしていただければなと思った次第です。
でも最初どこから伺うかなと思ってたんですが、ちょっと身近なところから伺いたいんですが、この番組は夜明け前のPLAYERSっていう名前なんですね。
うん。
で、夜明け前の世界に出ると暗いじゃないですか。
はい。
で、空を見上げると真っ暗だと。
はい。
あれがなんでなんだろうとちょっと気になって。
はい。これは昔からね、ケプラーとかも考えた問題です。
これやっぱりずっと長く考え…
長く謎ですね。もう何百年も謎で、実は100年ぐらい前に解けたんですけど。
あ、そうなんですか。
そうなんですね。
ちょっと考えると不思議だなと思うんですよね。つまり素朴には、もちろん太陽が上がってれば明るい、太陽が落ちてれば暗いって考えがちじゃないですか。
はい。
だけど宇宙には大量に星があって、太陽はそのうちの1つでしかないわけですよね。
はい。
で、色々な星が光を放ってるとすると、別に太陽があろうがなかろうが、空が明るくても全然おかしくないような気もしますよね。
そうですよね。
なのに太陽の有無でこんなに黒い世界と青空の世界がひっくり返るのはなんでなんだろうってちょっと気になったんですね。
はい。はい。はい。
それは非常に正しい質問で、で、これはもう、物理学っていうのは定量的に物事を考えるっていう学問なので、ちょっとそれを考えてみたいと思います。例えばせっかくホワイトボードがあるので、ここに地球があるとするじゃないですか。
で、この前ここに太陽があったりするわけですけど、今おっしゃってたのは星なので、もっと広い世界を考えます。
地球の周りだと銀河系、天の川銀河っていうのがあって、そこの中に星が集まってるんですけども、もっともっと広い世界を考えると、銀河が今度は宇宙に広がっていて、最終的には一様に広がっているというのが、今の観測的な宇宙論の結果なんですね。
ですから、星が宇宙に一様に広がってるとするじゃないですか。そうするとある距離のところに星がここにあるわけですよね。例えばここに4つあったとするじゃないですか。
大体均等に。
均等に星がある。はい。で、これの倍ぐらいの距離に行ったとするでしょ。
はい。
そしたら何個ぐらい星があるかということですよね。
うん。
そうすると距離が倍になるわけですよね。そうするとその周りにどのくらい星が散らばってる空間があるかって言うと、面積ですよね。
うん。ですね。はい。
ここの地球からある距離にあるところの面にどのくらい星があるかということですから、距離が倍になると面積は4倍になる。
ですね。4倍になりますよね。はい。はい。
2の2乗ということで、ということは16個。
ね、半径が2乗になるから。
半径が2乗になるから、面積はいっぱいあるわけじゃないですか。はい。だからこれが倍になると4倍になると。これを1としたら、これが2としたら、これは4倍星があることになりますよね。
でも、星1個1個は遠いので、例えばこっから来る光とこっから来る光っていうのは強さが違うわけですよね。
うん。うん。
で、距離が倍になると光の強さっていうのは1/4になると。
2倍遠いところにある星からの光は1/4になるんですよね。
それはなんでなんですか?
それはなぜかって言うと同じことなんですよ。あるところから光が広がってくるじゃないですか。距離が倍になると広がる面積が4倍になるから、だから1/4になるっていうことなんですよね。
なるほど。
だから距離が倍になると、こっちから光が地球に届く時に、こっちから見ても球の周りの面っていうのは4倍面積があるから、1/4になるわけですね。
じゃあこいつとこいつが同じだけの光を放っていたとしても、1/4の強さでしか見えないと。遠く離れているから1/4の分しか届かないってことですね。
そう。でも4倍ある。
はい。
ということは、距離が倍になっても、これ全部足した強さっていうのは同じなんですよね。
ですね。
そうですね。だからある距離のところにある星の数×光の強さと、その倍のところにある星の数×光の強さは同じなんですよね。
1個の星あたりの光の強さは1/4になる。しかし星が4倍になるので、合計は変わらない。
そうです。変わらないですね。3倍になってもそうですよね。
3倍になったら今度は、その3倍のところにある面の面積っていうのは9倍になる。ということは3倍のところには9倍の星があるわけですよね。1個1個の星からの光の強さは1/9。だからその3倍のところにあってもやっぱり同じだけの光が来る。
うん。
1万倍先でも同じだけの強さが来ると。
はい。
で、1億倍あっても同じだけの強さがあると。
はい。
どんなに遠く離れても同じだけの光が地球に注いでくるわけじゃないですか。ですから宇宙が無限に広いとしたら、全部足したら無限の強さで宇宙は光るはずであると。
無限に明るい空が広がってるはず。
無限に明るい空が。だからどっちの方向を見ても太陽の表面みたいに見えるはず、というわけなんですよね。
うん。うん。
これは実は、エドガー・アラン・ポーっていう小説家、詩人、編集者がいるんですけど、その人がすでに指摘していることで、彼が亡くなるちょっと前に…
そう、そう、そう。『モルグ街の殺人』っていうのがありますよね。他にも色んな有名な仕事をしてる人なんですけれども。あ、どうぞお書きください。それで、その人が死ぬ数年前に書いた『ユリイカ』っていう長編の…日本に『ユリイカ』って雑誌ありますよね。
その中でまさしくこの問題を考察していて、宇宙が無限に広かったら、どっちの方向を見ても必ず視線が星に行きつくはずであるっていうことを言ってるわけね。
うん。
しかし夜空を見ると色んなところに黒い空間があると。それはなぜかと。はい。で、それはまだそこからの光が地球に届いてないんじゃないかっていうことを書いてるわけ、エドガー・アラン・ポーは。
はい。
で、これはほとんど正しいんですよ。で、本当の答えっていうのはどういうものかっていうと、実は100年ぐらい前に、110年ぐらい前ですけど、カリフォルニアのウィルソン山っていうのがあって、それはロサンゼルスの近郊にある山で、実は僕のカリフォルニア工科大学のオフィスから見えるんですけれども、そこの山頂に天文台があったんですね。今はもうちょっとロサンゼルスの光が強くって観測できないんですけど、昔はそれが世界でも第1級の望遠鏡で、そこにエドウィン・ハッブルっていう人がいて、その人が天体観測をして、それでその人は実は、そもそも天の川銀河の外に銀河があるということを初めて検証した人なんですけど、その遠くの銀河たちが地球からどのくらいの速さで遠ざかっているかっていうことを調べたんですね。
ドップラー効果を使って調べたんですけども、そうすると遠い銀河ほど速く地球から遠ざかってるということを見つけたんです。
遠いものほど遠ざかって。で、これはちょっと考えるとどういうことを言ってるかっていうと、宇宙が今膨張してるということを表してるんですね。
はあ。
これちょっとまた説明します。それはどういうことかと言うとですね、あ、僕なんかホワイトボードってこれが嫌いなんですよね。
微妙に残る。
消すのがね。せっかく用意していただいて文句を言うのもなんですけど、僕は黒板の方が好きで。そもそも今こうやって立って書こうとするじゃないですか。
はい。ワンステップあるんですよね。
はい。
これも苦手ですね。あ、指についたでしょ。それと、もう1つ問題は、ホワイトボードに何か書こうとするじゃないですか。
はい。
なんかもうこれが、ファイナルプロダクトっていうか、ちゃんとしたものを書かなきゃいけないと思って構えちゃうでしょ。
なんか印刷物みたいな。
そう、そう、そう。黒板だと白墨っていうチョークで書くから、なんか泥遊びしてるみたいな感じで作っていくっていう感じがあってですね。すいません。
それで何を説明しようとしてたかって言うと…
全てのオフィスはホワイトボードを撤廃して黒板を導入して。
いや、それ今すごい問題になってて、僕は理学部長を今年からやることになって、今新しい建物を建ててるんですけど、はい。もう教授の間で共用スペースをホワイトボードにするか黒板にするかで喧々諤々で。いや、ちょっと全然違う話になって、すいません。ちょっと説明しますね。
エドウィン・ハッブルが遠くの銀河を見たら、遠くの銀河ほど地球から速く遠ざかってるって話。で、これはちょっと不思議なことで、ちょっと考えると、じゃあ地球は宇宙の中心にあるのかとか思ったりするわけですよね。物理学者っていうのはよく、モデルを考えるっていうことをするんです。
簡単に考える。
ということをするんですけど、宇宙はもちろん僕らの空間で3次元、縦横高さ3次元あるわけですけれども、仮に一方向にしか宇宙が伸びてなかったとする。で、宇宙が膨張してるっていうことで、ちょっとゴム紐みたいなものを考えてください。
はい。
ゴム紐。
宇宙を1本のゴム紐だと仮に思ってください。もしあれだったら2次元のゴム紐でもいいし、もっと想像力がある人だったら3次元のゴムがわっと広がってると思ってもいいですが、ここに書くためには仮に1次元と。
1次元。はい。
でここに星が一様にあるとします。で、これ1個1個が星です。
星ですね。
1個1個が星です。で、僕らはこの中のどれかにいるわけです。例えばここにいるとします。
はい。
いいですか?
はい。
で、これが一様に膨張してると。
はい。
こっちに伸びて、一様に伸びてる。そうするとどういうことかって言うと、ある時間経つとですね、例えばここからここの距離が倍になって、倍になって…
はい。
倍になって、という感じになるわけじゃないですか。
はい。
だからこれが…
両側からゴム紐を引っ張ってるようなもんですよね。
こうなって、あれ。
あ。
これが私ちょっと苦手なところですね。例えば、黒板だと指で消せるんですよね。すいません、文句ばっかり言って。こうなるわけじゃないですか。で、そうすると、これが1だとしたら、ここが2という感じに一様に広がってるわけですよね。
はい。
で、そうするとこれ2でしょ?
これ1ですね。
あ、なるほど。
これ1ですよね。これ何ですか?
元々…4ですよね。
4ですよね。そう、そう、そう。だからこっからここに来る時に、この星は2倍になってるわけです、距離が。
はい。
でも、こことここの距離は4倍になってるでしょ。
はい。
だから遠い星ほど速く遠ざかっていくわけです。
元々の距離の何倍分だけ遠ざかるから、元々遠いものほど。
そう、遠いものはそうです。そうです。だから距離×時間だから、遠いものは速く遠ざかっていくってことなんですよね。だけど実は、これは地球が宇宙の中心にあるってわけじゃないんですよね。同じことを、この星の人から見ても、ここは2倍だし、ここは4倍なわけです。
はい。
というわけで、宇宙が一様であって、それが一様に膨張しているとしたら、どの星から見ても、遠い星ほど速く遠ざかっているはずであると。
うん。うん。
しかもハッブルの観測によると、ほぼ距離に比例して遠ざかって。そこがね、ちょっとハッブルの測定って少しいい加減だったところがあるんですけど、でもその後のより精密な観測で、実際に距離に比例して速く遠ざかってる。
距離に比例してる、これっぽい状況になってる。
そうそうそう。だからまさしく一様に膨張しているということが分かったというわけですね。
なるほど。
ええ。おかけください。
ゴムボールが一様に膨らんでるような状態になってそうだった。
だから今から110年ぐらい前に、ハッブルの観測によって宇宙が一様に膨張してるっていうことが分かったんですね。宇宙が一様に膨張してるってことは、過去を遡れば宇宙の始まりはもっと高密度で高温度だったってことになるじゃないですか。で、それがいわゆるビッグバンと。
はい。
宇宙のビッグバンっていうものなんですね。はい。で、これが大体138億年だっけ、前に起きたと言われているんですけども、それは今の宇宙の膨張の仕方を逆戻しにして推定するわけですけれども、ということは宇宙に始まりがあったってことなんですよね。
え、それは今観測した事実から、ずっと膨張し続けてきたはずだって。
そう、そう、そう。それで実はね、それはもうちょっと正確に言うことができて、宇宙の膨張っていうのはアインシュタインの方程式で決まってるんですよね。
はい。
アインシュタインの方程式っていうのは、宇宙の中にどういうものがあって、初期条件がどういう風になってると、宇宙の空間がどのように膨張してるかっていうことを計算で示してくれることができる。
うん。
で、これは実は、今の宇宙の膨張だけじゃなくって、例えば銀河の分布であるとか、天体観測で検証されていることなんですよ。
だから僕らはアインシュタインの方程式が正しいと思ってるんですけども、アインシュタインの方程式に沿って、現在宇宙がこういう風に膨張してるということをインプットしてやると、物理のそういう基本的な方程式っていうのは、現在のことが分かっていたら将来のことも分かるし、逆に過去のことも分かると。
だからアインシュタインの方程式を使って過去がどうだったかっていうのを計算してやると、138億年かなんか前に、宇宙の始まりにすごい高温高密度の状態があったと。ビッグバンであったと。
ちょっと気になるのは、今膨張していって、それの起源を遡るともっと高温高密度の状態があったっていう可能性も当然あると思うんですよ。ただもしかしたら膨らんだり縮んだりを繰り返してるって可能性もあります。
あるんですけども、ただ物理学っていうのは、そもそも自然界の一番基本的な法則を見出して、それから森羅万象を説明しようっていう学問なんですよ。しかし与えられた法則っていうのが適用できる限界っていうのがあるわけですね。この辺までは適用できるけど、こっから先は適用できない。
例えばニュートンの古典的な力学っていうのは僕らの日常生活ではほぼ正しいんですけれども、例えば原子物理とかを理解しようと思ったら使えないとか、適用限界ははっきり分かってるんです。で、アインシュタインの方程式の適用限界も僕らはちゃんと分かっていて、だからビッグバンが起きていた頃までは絶対間違ってないという確信があるんですよ。
ですから、先ほど言ったみたいに、現在の状況が分かってると過去のことはもう確実に分かるから。
うん。
ビッグバンの頃までは分かるんですよね。
うん。
で、そっから先は実は高密度になりすぎて、高温になりすぎて、アインシュタインの理論がそのままでは使えない領域に入っていってしまうと思われているんですけど、だからそっから先のことは、アインシュタインの理論を超えるような、例えば超弦理論とかそういうものを使わないと分からないんですけれども。
だからそういうアインシュタインの理論を超える理論でもって、宇宙が実はその前にもっと膨張してたかとか収縮してたかとか、そういうことを議論することはできるんですけども、でも今の宇宙がなぜ暗いかの話にはそこはまだ必要なくって、宇宙の始まりがあったっていうことだけが…宇宙の始まりにビッグバン。
その始まりが138億年ぐらい前だった。で、そこに高密度の状態があって、そっから宇宙が始まった。だから宇宙に始まりがあったってことなんですよね。
すでに僕混乱し始めてるんですが、それとさっきの夜空の話はどう繋がってるんです?
これからそれをご説明します。これがエドガー・アラン・ポーの話に繋がるんですけど、エドガー・アラン・ポーは、まだ夜空に暗いところがあるっていうことは、まだ光が届いてないってことであるという風に『ユリイカ』に書いてるんですよ。
でも宇宙が無限の過去から現在まであったとしたら、どんなところからでも光が届くわけですよ。
すでにエドガー・アラン・ポーは光の速さが有限だと仮定してるんですね、この詩の中で。
あ、そうですね。
うん。で、実は光の速さって有限で、お聞きになったことあると思いますが、1秒間に地球を7周半回るとかいうくらいの有限の速度なんですよ。ですから、例えば1光年先の星からは1年かからないと光が来ないわけですよね。
はい。ですから、138億年前に宇宙が出来上がったとしたら、138億光年より先のものは見えない。実は宇宙は膨張してるからその計算は正しくないんですけども、およそ100億光年より先のものは見えないんですよ。
なるほど。
ですから、宇宙の始まりがあったっていうことは、まだ光が届いてないところがあると。
宇宙の年齢はとんでもなく長いかもしれないが有限で、光の速さもとんでもなく速いかもしれないが有限だ。だから黒い、見えてないところがある。
それが宇宙の…でもね、宇宙の始まりが高温高密度だったら、どっちを見てもその高温高密度が見えるかもしれないって思うじゃないですか。それもないんですよ。
うん。
それはなぜかというと、宇宙の始まりの頃は高密度だったんですけど、そうするとすごい波長の短い光みたいなのが飛び交ってたわけですけど、宇宙が膨張してくると波長も伸びてきて、現在ではマイクロ波ぐらいになってるんですよね。
はい。
だから実は宇宙の中に、そのマイクロ波ぐらいの…
宇宙が膨らむと同時に、その中で動いてる波全てのものが広がる、波長も広がる。
だから宇宙の始まりのものすごい波長の短い光っていうのが、宇宙が膨張することで伸びていって、今大体マイクロ波ぐらいになってる。
マイクロ波って、例えば電子レンジで食べ物を加熱する時に使うぐらいの電磁波の波長ですね。はい。
成田さんは若いからあれですけど、僕は子供の頃は、テレビは本当にブラウン管、YouTubeっていう時のチューブだったんですけれども、そうすると深夜に放送が終了するとザーッとなんか…
あ、あります。
僕も子供の頃にギリギリ体験して。
それの大体10%ぐらいは宇宙の始まりからのマイクロ波が見えてるんですよ。
え、どういうことですか?
だからあれは、大気中の雑音を拾ってるわけじゃないですか、電波が。アンテナがあって、アンテナが大気中の電磁波の雑音を拾って、それがブラウン管に映し出されてるからザーッとなってるんですよ。
でもそのアンテナは、宇宙の始まりの時、ビッグバンの時の光が引き延ばされてマイクロ波ぐらいになってるやつも拾ってるんですよ。で、それがブラウン管に映ってる1割ぐらいがそれ。
え、じゃあ宇宙が138億年前に存在してた光が引き延ばされて…
ええ。
今テレビ画面に映る。
映ってるんですね。
ああ。
だからそれは見えてるんですよ。でもそれはマイクロ波だから肉眼では見えないですよね。だからマイクロ波で宇宙を見たら真っ白です。
うん。
でも肉眼で見ると、光が今届いてる星以外は見えないですね。だから宇宙の始まりがあったから。
ああ。
だから宇宙…
でも1個夜空について素人の疑問は、単純に宇宙が有限で、黒い幕みたいなもので覆われてて、星はちょっとしかないから、ほとんど真っ暗な夜空が見えてるっていう、ただそれだけっていうのはどうやって排除できるんですか?
あ、それはできないですね。実は、僕らは地球上にしかいないから、例えば何百億光年向こうまで行って観測することはできないんですけれども、だからそれは仮定で、コペルニクスの原理っていうやつなんですけど、それは宇宙っていうのはどっから観測しても同じように見えるはずであるっていう仮定なんですよね。
ああ、なるほど。
ええ、で、それを仮定しないと宇宙のことは絶対分かんない。
つまり今僕が言ったシナリオは、地球がなんか特別なポジションにいるっていうことを考えてるわけです。
そう、そう、そう。で、もちろんその可能性はあるんですよ。例えば宇宙の138億年より先に全然違う世界があって、そこにいる知的生命体が僕らのことをからかってるのかもしれないし、そういうことを言い出したらシナリオはあり得るわけだけども、でもそういう仮定っていうのはあんまり、なんていうか、役に立たないですね。
うん。
例えば役に立つ仮定っていうのは、例えば宇宙が仮にどっから見ても同じだったと仮定してみようと。そうするとそっから色んなことが言えて、それからの帰結が正しいかどうかを検証することができる。
うん。
というわけ。
それを、今言ったのがコペルニクスの…
コペルニクスの原理っていうんですね。コペルニクスは、ご存知のように、それまでは地動説と天動説どっちが正しいかっていう議論があって、当時のキリスト教会は天動説を支持してたんですよ。
地球が宇宙の真ん中にあって、その周りを太陽も月も星も回っていると。コペルニクスはそうではなくって、地球っていうのは太陽を回ってる惑星の1つに過ぎないっていう。だから要するに地球のポジションっていうのをワン・オブ・ゼムにしたっていうことですよね。
で、それを宇宙全体に広げて、実は僕らのいる太陽系も特別な場所にあるんじゃなくって、宇宙の他の星と同じものであると。なるほど。
だから例えば全然違う、遠くの何億光年も先の星から宇宙を観測しても、宇宙は同じように見えるはずだ。
そういう仮定を…だから先ほど、アインシュタインの方程式を解くと、現在宇宙が膨張してるっていう観測から過去のことが分かるって言いましたけども、そこにもコペルニクスの原理を使うんですよね。コペルニクスの原理を仮定してアインシュタインの方程式を解くとそういうことになると。
なるほど。
ということ。
ちなみに番組ホームページではノーカット版の配信もしています。番組が大赤字で大変です。是非皆さんよろしくお願いします。
ちなみに現代の物理学者が宇宙について考える時に置く重要な仮定っていうのは他にありますか?
あ、ありますね。もちろんアインシュタインの方程式が成り立つっていうことですし、それから宇宙が一様等方。
どちらを見ても同じだし、どっから見ても同じであるっていうことも仮定しますね。
で、そういうことを仮定して、現在の宇宙と方程式の解を比べるんですけども、そうすると、うまく説明できないことがあるんですよね。
はい。
それは、どういう仮定を置くとうまく説明できないかっていうと、アインシュタインの方程式っていうのは、宇宙がどのように膨張していくかっていうものを宇宙の中の物質の分布で説明するっていう方程式なんですけども、現在僕らが知っている物質っていうのは原子ですよね。
で、原子とか光とかがアインシュタインの方程式の中にあると仮定して宇宙の膨張を計算してみると、観測と合わない。
うん。
合わないんですよ。これはもう現在様々な精密観測が行われていて、例えば今の宇宙の始まりからの光のすごい精密な観測も行われているんですけども、そういうものと合わない。
はい。
それで、ダークマターとかダークエネルギーとかね、そういうものが出てきたわけですよね。
まだ知らないものを合わせるために。
合わせるためにそういうものが必要だっていう。それはどういうものかまだ分かってないんですけども、そういうものがあると仮定すると説明できる。だからそれもですね、そう。
なるほど。
今夜空の話からアインシュタインの方程式を経由してビッグバンの話まで来たんですが、
はい。
そうやっていくつか仮定のもとで分かってることがある。で、究極のゴールは何なんだろうっていうこともちょっと気になったんですね。
つまり宇宙についての科学的な解明は、これができたらとか、これが分かったらゴールにたどり着いたって言えるような究極の目標とか…
ないですね。
ゴールってあるんでしょうか?
いや、それはないです。いや、あるかもしれないけれども、もちろん物理学の目標っていうのは、自然界の基本法則を理解して、それで森羅万象を説明するというのが目標なんですけれども、究極の基本法則を人間が分かるかどうかは明らかではないし、それから全ての法則が分かっても、それを解いて宇宙のことを理解するのも大変な作業で、もちろんそれを目指しているわけですけれども、それはすぐには達成できないわけで、それまでに色んな問題があるわけですよね。
で、それを順々に解こうという。それで今のところ、そういう進歩は速度が遅くなってるようには思えないから、まだまだ理解することはあるだろうと思ってるんですけれども。
はい。
じゃあ、究極のゴールはこれってのは言えないかもしれないんですが、そこに近づいていくステップとして、
はい。
次とか次の次にこれができたら大きなステップだって言えるような未解決問題とか…
それはもちろんあるわけで、先ほど言ったダークエネルギーとかダークマターの本性っていうのもありますけれども、僕の研究の1つの目標っていうのは、重力の理論、一般相対性理論と、それから量子力学を統合するというのが1つの大きな目標で、それが達成されると、自然界の基本法則を探求する上の1つのマイルストーンっていうか、そういう風に思っています。
うん。
その理論が統合できると何が分かる?あるいは何が理解できる?
それは、現在僕らが理解している自然界の基本法則の全てを1つの数学的な体系で説明しようということで、重力の理論と量子力学を両方含むような、しかも僕らの住んでるこの縦横高さのちゃんとあるような空間を説明するような理論っていうのは、超弦理論しかないです。
宇宙の終わりについては、膨張してる宇宙がこのまま膨張していって、だんだん銀河との距離が離れていって、各々の銀河の中の星がだんだん死んでいって、宇宙はものすごくつまんない世界になるっていう可能性が1つあるし、それから…
孤独死みたいな。
そう、そう、そう。
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