セメントの「化学式由来のCO2」をどう回収するか:Litherm Technologiesの電化キルンと産業パートナー戦略
東京大学FoundXFoundXの番組「FoundX Review Startup IdeaCast」は、海外スタートアップの事業アイデアをAIで分析し、起業を考える人向けに紹介している。今回取り上げたのは、ドイツのクライメットテック企業Litherm Technologies(リサームテクノロジーズ)だ。番組は冒頭で、AIを使って情報を整理しているため一部が古かったり誤っていたりする可能性があると断っている。本記事の数値や経緯も、番組内で報告・推測された内容として読んでほしい。
解説役がこの会社を選んだ理由は二つある。一つは、同社が対象とするセメント産業が世界のCO2排出量の約8%を占め、市場として大きいこと。もう一つは、シード期から顧客候補を巻き込み、実証用の敷地と原料の供給を受けている進め方が巧みだと考えたことである。
会社の概要:完全電化と蒸気流動層による石灰・セメント製造
Litherm Technologiesは2019年に創業し、ドイツを拠点とする。完全電化と蒸気による流動化の技術を使って、石灰とセメントの製造を脱炭素化することを目指している。2026年3月には650万ユーロのシード調達を実施した。
目指すのは、CO2排出ゼロの石灰・セメント製造プロセスである。番組が強調した前提は、石灰やセメントの製造で出るCO2の約6割が燃料ではなく原料に由来する点だ。石灰石(CaCO3)を分解すると、化学式どおりCaO(生石灰)とCO2が生じる。そのため燃料を100%再生可能エネルギーに置き換えても、排出の60%は残る。
これに外部環境の変化が加わる。解説役は、EU ETS(EUの排出量取引制度)の価格と、2026年から適用される炭素国境調整メカニズム(CBAM)によって、規制の圧力が強まっていると説明した。聞き手の馬田氏が「炭酸カルシウムを原料とする限り化学式からは逃れられない」と応じると、解説役は、競合には原料そのものを変える会社もあると補足した。そのうえで、炭酸カルシウムを使い続けるならCO2の発生は避けられないため、出さないようにするのではなく回収しやすくする方向を選んだ会社だと位置づけた。
課題:既存のキルンでは排ガスが「汚れて」いる
ターゲット顧客は世界の石灰・セメントメーカーである。石灰はセメント以外にも鉄鋼や水処理など用途が広い。解説役によれば、石灰は市場参入の段階で必要性を証明しやすいことも、対象に含めている理由のようだ。
既存のCCUS(炭素回収・有効利用・貯留)には弱点がある。従来のキルンの排ガスには窒素や未燃成分などが混ざっており、そこからCO2だけを分離・回収するには追加の設備が多く必要になる。エネルギーとコストもかさむ。一般的なセメントキルンの排ガスのCO2濃度は15〜30%程度で、これを90%以上に濃縮するのが難しいという。
後付けのコストについて、解説役は調べた範囲の数字を挙げた。設計研究ベースではトン当たり50〜100程度で、実案件では回収設備だけで数十億円から百数十億円規模になる。輸送や貯留まで含めると負担はさらに重くなるとされる。そこでLitherm Technologiesは、最初から混じりけのない純粋なCO2をいかに取り出すか、という課題に取り組んだ。
原料を置き換えるアプローチについても、この段階で触れられた。代表例はBrimstoneで、最終的に作るものが既存の石灰・セメントとは変わる。そのため建築基準や供給網の変更が必要になり、普及に長い時間がかかると見込まれている。
解決策:「薪に火」から「IHで加熱」へ
同社の解決策は、完全電化の流動層反応器と、蒸気による流動化の組み合わせである。解説役は、従来のキルンを「薪に火をつけ、薪自身が燃えて熱を出す」イメージにたとえた。これに対してLitherm Technologiesのリアクターは、「フライパンをIHで加熱し、その上の材料が変化する」ような仕組みだという。
メリットは二つある。一つ目は、燃焼を伴わないため燃料由来の排ガスが出ず、窒素酸化物を含む排ガスも発生しないこと。二つ目は、流動化の媒体に蒸気を使うため、排出ガスを冷やすだけで水とCO2に分けられることだ。解説役自身もここは調べて理解したと述べ、リアクター内の様子を「お湯がボコボコ沸く」状態にたとえた。細かい粒子にした石灰石を蒸気でボコボコと流動させて反応させると、出てくる気体は水蒸気と、石灰石から出たCO2だけになる。これを冷やせば水蒸気は水に戻り、CO2が取り出せる。
馬田氏は、大量の蒸気をつくる水とエネルギーのコストを質問した。解説役によれば、同社は凝縮時に得られる温かい水を蒸気づくりに再利用するクローズドループ設計をとり、熱エネルギーの消費をなるべく抑えているという。
ラボから商用規模に広げる際の技術的な壁も尋ねられた。解説役は、ちょうど今より大きな規模で試している段階だろうとしたうえで、推測を述べた。リアクターが大きくなったとき、流動する粒子がどう動くかといった点がハードルになるのではないか、という見立てである。
市場:年間約30億トンの排出と、規制が生む需要
市場規模は金額ではなく排出量で示された。石灰・セメント産業全体で年間約30億トンのCO2を排出している。この市場の需要は消費者の嗜好ではなく、企業が事業を存続できるかどうかという規制対応によって生まれる。初期ターゲットは、ETSのような環境規制が世界に先行しているEU市場だ。
馬田氏は、規制の緩和や後退がリスクになるのではないかと問うた。解説役は、それが最大のリスクだと認めた。ただし同社は欧州の脱炭素の流れを不可逆だと見ており、遅れることはあってもなくなる可能性は低いと見込んでいるようだ、と紹介した。
ビジネスモデル:プラントを持たないアセットライト型
現段階の同社は、自社でプラントを建設・保有しないアセットライトなバリューチェーンをとっている。自社は特許とコア設計に特化し、実際の建設はパートナー企業が担う。収益源として見込んでいるのは、特許技術のライセンス供与とコンポーネントの販売である。
馬田氏は、やることを意外とコンパクトに絞っていると感想を述べた。解説役は、これは今後変わるかもしれないとしつつ、見通しを語った。業界標準のプラットフォームになれれば、世界中のプラントからライセンス収益を得るモデルにもなりうる。保守運用で稼ぐ可能性についても「あるかもしれない」と応じたが、どこまで見込んでいるかは現時点の情報からは見えづらいとした。
EPC(設計・調達・建設)企業の巻き込み方も話題になった。馬田氏は、日本で大型のスタートアップを立ち上げようとする人がEPCとの関係で困りがちだと指摘した。解説役によれば、同社のケースでは、脱炭素化で既存キルンの建設が減っていく中、次世代の脱炭素プラントを新しい案件パイプラインとして得られることがEPC側の誘因になると見込まれている。これを受けて馬田氏は、自身の推測を付け加えた。日本のEPC企業は海外に市場を求めて出ていくほど強いからこそ新しいものに手を出しにくく、EU側はむしろ弱いから新しい案件に飛びつくのかもしれない、というものだ。
戦略:顧客候補から敷地・原料・資本を得る
番組が「産業パートナー連動型のディープテック実装」と呼んだのが、同社の戦略の核心である。インフラを自社単独で構築するリスクを避け、顧客候補を含むエコシステムから、工場の敷地、既存の原料供給ライン、資本を外部調達している。自社で内製化するのは、特許と、リアクターの熱・流体設計のノウハウだけだ。長期的には、燃焼式キルンを過去のものにし、電化とプロセス一体型のCO2回収を新しい業界標準にすることを狙っている。
馬田氏はここを高く評価した。日本の同種のスタートアップがバリューチェーンを自ら伸ばす理由の一つは、顧客がなかなか使ってくれないことにあると馬田氏は考えている。すでに乗ってくれる顧客がいるなら自分たちで伸ばす必要はない、という判断は合理的だと述べた。解説役は、こうした関係がどういう経緯で生まれたかまでは確認できなかったと断った。そのうえで、場所を提供した会社から投資も受けているようだと紹介した。
重要な経営リソースは何かという問いに、解説役はまず知財を挙げた。加えて、CEOにはプラント設計に関わる業界経験があるようだと述べ、相手企業のCEOと渡り合えるビジネス面のスキルも求められるのではないかとした。
ロードマップ:ラボ、パイロット、商用化
ロードマップは典型的なディープテック型である。フェーズ1(2019〜2023年)はラボでの検証で、プロセス開発、特許取得、技術原理の証明に取り組んだ。現在のフェーズ2では、前述の拠点でパイロットプラントの建設と試運転を始めている。フェーズ3では、これを拡張して商用化を進める。
パイロットで検証すべき点について、解説役は効率に加えて、ラボとの違いとして耐久性と安定性を挙げた。長期間止まらずに連続稼働できるかどうかである。フェーズ3ではデモプラントの建設が必要になり、数十億から数百億円規模の資金を要すると見られる。この段階から大きな資本を巻き込むことが求められるという。
競合比較:最終製品は変えず、工程を作り直す
解説役がポジショニングで面白いと述べたのは、最終製品を変えずにプロセスを新しく作り直す点である。競合は次のように整理された。
- 既存設備に後付けで回収を行う企業(番組内では「ライラク」と呼ばれた。説明欄の競合リストではCalix)
- 電化はするが、プラズマなど別の技術を使うSaltX
- 新素材を出すSublimeとBrimstone
Litherm Technologiesの参入障壁(モート)は、特許と業界大手との実証関係にあると解説役は見る。
馬田氏は、Breakthrough EnergyがBrimstoneも支援している点に触れた。解説役は、両社とも同じ大きな市場と排出削減ポテンシャルに取り組んでいるため評価されていると述べた。一方で勝ち筋が違うため、両方を支援しているのだろうと推測した。Litherm Technologiesは石灰石をそのまま使い、熱の与え方と蒸気の使い方を変える。これにより燃焼由来のCO2と汚れた排ガスをなくし、石灰石由来のCO2を副産物として取り出しやすくする。反応自体は変えない。これに対してBrimstoneは、炭素を含まないケイ酸カルシウム岩を原料にしており、材料から作り直すタイプである。
馬田氏は、建設領域は排出が多いので、どの「山の登り方」でもゼロにできればよいというポートフォリオ的な賭け方だろうと述べた。解説役も、長期的にはBrimstoneかもしれないが、置き換えやすさではLitherm Technologiesと考えられているのかもしれない、と応じた。
Sublimeとの違いについても説明があった。製品をがらりと置き換えるアプローチは認証などが必要で、市場浸透に時間がかかると考えられている。Litherm Technologiesは生産物が変わらないため、規格や安全性の壁をすぐに越えられる。さらにSublimeとBrimstoneがセメント代替に特化しているのに対し、同社は石灰という他の領域も扱っている。既存産業の枠組みを壊さないので、既存の石灰・セメントメーカーをパートナーとして巻き込みやすい。
馬田氏は、中期と長期でそれぞれ最適な解が違うという話だと受け止めた。そのうえで、電化するなら電力をどうするかという問題も出てくると指摘した。解説役は、再エネでなんとかするという程度の見立てかもしれないと答えた。SaltXとの技術的な違いについては、蒸気で石灰石を「沸かす」方式とCO2の分離しやすさがLitherm Technologiesの特徴で、SaltXはプラズマで加熱する点が異なる、と説明した。ただし詳しくは調べられていないと断っている。
参入戦略:MVPとBreakthrough Energy Fellowship
初期ターゲットは、脱炭素の意思はあるが、燃料転換だけでは限界を迎える石灰メーカーだ。MVPはプラントではない。解説役は、電化した蒸気流動によってCO2を高純度で分離できることを示したラボ実証がこれに当たると見る。
顧客獲得では、Breakthrough Energy Fellowshipにドイツ企業として初めて採択されたことをテコにした。資金、実証環境、産業パートナーを同時に囲い込んだという。なぜこの支援が効くのかと馬田氏が問うと、解説役は理由を二つ挙げた。厳格な技術デューデリジェンスを通過したことが「お墨付き」になること。そして保守的な重厚長大企業の背中を押しやすいことである。
既存ワークフローへの適合性は、具体的には物理的なつながりを指す。原料が同じなので、既存の採掘・粉砕ラインからそのまま石灰石を受け取れる。出口も同じなので、既存の貯蔵・出荷に製品を渡せる。
起業プロセス:特許を先行させ、現場に統合する
初期チームは、技術・研究系のメンバーと事業化を担うマネジメント系のメンバーで構成されている。CEOのフェリックス・ネレス氏は研究者ではない。世界的なメーカー(音声では「クセラ」)で脱炭素・排出削減のプロジェクトマネージャーを務め、その前はバイオマスや廃棄物のガス化プラントといった重厚長大なクリーンテック設備の事業開発をしていたという。ほかに共同創業者が2人いるが、解説役は技術系のバックグラウンドだろうと推測するにとどめた。大学発かどうかは公開情報からは明確でない。ただし、技術系創業者が温めてきた着想がベースではないか、と解説役は見ている。
創業期の同社は、プロダクトづくりより特許による保護を優先し、先に参入障壁を築いた。2020年以降はハードウェアのスケールアップとパートナー開拓に移り、2024年にプラント建設用の敷地と原料の供給を受けた。解説役は、ラボでの物理仮説の検証、知財による防御、現場への統合の三つが連動している点を評価した。中でも現場への統合が最も大きく、稼働中の石灰プラントの敷地内に実証地と原料供給ラインを確保できたことが大きな転換点になったという。
最初の実証先をどう口説いたかの詳細は分かっていない。解説役は、ビジョン、ラボでの実証、フェローシップ採択が効いたのだろうと推測した。開発コストについては、高温・高圧を扱う部品と安全性を担保する設計に多くかかったのではないかとした。実験も何度も繰り返せるものではなさそうなので、パイロット建設まで5年かかったのだろうと述べている。
資金調達:出資者が敷地と原料も提供する
2026年3月のシードラウンドは約650万ユーロ(番組内では10億円以上と表現)である。投資家の構成に特徴がある。Breakthrough Energyのような気候系の出資者、ドイツで実績の多いベンチャーキャピタルに加えて、石灰・石灰石を中心とした素材を扱う老舗の産業企業も出資している。さらに、出資者であるSigmaRocのドイツ子会社がパイロットプラント用の敷地と原料の供給を担っている。
業界大手がシード段階から出資した理由について、解説役は二点を挙げた。従来プロセスを変えずに済む技術に早くアクセスできること。将来のライセンス交渉を有利に進められることである。馬田氏は、スタートアップ側にとってM&Aによるエグジットの道も開けるかもしれないと付け加えた。解説役は同意し、出資しているセメント・石灰のメジャーやプラントエンジニアリング大手が買い手候補として見えてくるだろうと述べた。
日本で起業するなら:AIが考えた3つの案
番組はAIが考えた日本での起業アプローチを3案紹介した。
- 案A:既存のセメント大手とジョイントベンチャーを組み、その敷地内で実証して設備投資のリスクを分散する。
- 案B:鉄鋼やファインケミカルなど、高品質で脱炭素プレミアムがつきやすい特定用途向けの小型プラントから始める。
- 案C:アセットライトに徹し、既存のEPC企業と組んで自社はリアクターの設計IPとライセンスに特化する。
日本のセメント業界の状況について、解説役は、欧州ほど強烈な規制圧力がないので動きは慎重になるだろうとした。一方でグローバルなサプライチェーンからの脱炭素要請もあるため、徐々に始まっていくのではないかと見ている。馬田氏は、日本は電力コストが高く電化は難しそうだと指摘した。解説役もこれを認め、まずは九州のように再エネの出力制御が起きている地域や、今後多く起きそうな地域から始めることになるだろうと答えた。
番組が引き出した教訓
解説役がまとめた学びは三つだ。第一に、後処理ではなく工程そのものを問い直すこと。排ガスを後から処理するのではなく、プロセス自体を再設計して最初から問題を防ぎ、複雑な問題をシンプルに解くという視点である。第二に、最初の顧客候補を実証パートナー兼資本提供者に変え、単なる販売先ではなくエコシステム全体をシード段階から巻き込むこと。第三に、特許だけでなく物理的な実証の実績を組み合わせることで、より強い参入障壁になること。実践できるアクションとしては、自分の業界で仕方なく払っている不可避なコストや排出を探し、アウトプットの製品は変えずにプロセスだけを変えられないかを考える思考実験を勧めた。
馬田氏の感想は三点だった。当たり前のことを当たり前にやっているが、それが難しいからこそすごい。顧客候補がいればバリューチェーンを短くでき、いなければ長くせざるをえないので、顧客や状況に応じて自社の取るべき位置を決めることが勉強になった。そして、Litherm TechnologiesだけでなくSublimeやBrimstoneも含め、難しい領域の脱炭素にはどれが当たるか分からない以上、技術のポートフォリオを持って取り組む必要がある。どれかが当たれば非常に大きくなるので、その「どれか」をきちんと作っていかなければならない、と語った。解説役も、似た問題に対して複数のアプローチが取れるようにしていきたいと応じて、番組を締めた。
皆さん、こんにちは。FoundXの馬田です。
はい、同じくFoundXの富田です。今日の雑談なんですが、少し前なんですけど、パーソル総研から出てた生成AIと働き方に関する実態調査っていうのが出てまして、その内容をご紹介できたらと思います。
IdeaCastなんですが、これはもうバリバリにAIを使ってると思うんですけど、全体っていうか、その他の方ってどれぐらい使ってるのかなというので見てたんですが、馬田さんも多分AIを毎日使われてると思うんですけど、どうですか?
そうですね。毎日使ってますね。
そうですよね。で、結構面白かったポイントとして、意外と使ってる人が少ないというような結果が出ていて、これは業務利用での生成AIの利用なんですけど、32%ぐらいしか使われてないってところで、使ってる内容は我々と似たようなところで、企画とか相談とか文書の生成っていったところだったんですけど、意外と少なくないですか?
そうですね。会社で使えるAIの性能とかが悪くてとか。
そうですね。それもあるかもしれないですね。何のAIを使えるかとかはあるかもしれないですね。
馬田さんもそうかもしれないんですけど、生成AIを使って削減できた時間を何に使いますかっていうので、ほとんどというか、過半数が仕事をすることっていうところなので、減った時間分を仕事に回すみたいなところになってるみたいですね。実態としてどんな感じなのかなっていうのがちょっと面白かったです。
そうですね。削減できてる感じはしないっちゃしないですけどね。
どうなんですかね。一応週30分ぐらいは減ってるらしいですよ。企画相談とか思考の整理とか文章の作成とかデータ分析とかで減ってるっていうところらしいです。馬田さんはより良いクオリティを出そうとするからっていうところがあるかもしれないですね。同じクオリティを出すのに時間が減るような意味かもしれないです。
確かにそうかもしれないですね。IdeaCastとかもAIがなかったら多分やってないんで、逆に絶対増やしてる。めっちゃ増やしてる。
いや、そうなんですよね。今、全国平均だとそういうような状況らしいですっていう話でした。では、ここからIdeaCastのコーナーに移りたいと思います。
FoundX Review Startup IdeaCastは、海外のスタートアップのアイデアをAIを使って分析し、紹介する番組になります。これからアイデアを考える方たちのご参考になればという風に思います。最初にディスクレーマーですが、このポッドキャストはAIをバリバリに活用して情報を整理しているので、一部の情報は古かったり間違っていたりする場合もあります。ファクトを重視される場合は必ずご自身で調べていただくようお願いいたします。本ポッドキャストはあくまでそこからアイデアの参考情報とか考え方を引き出すことを目的としています。今日ご紹介するスタートアップですが、ちょっと読み方が音で分からなかったです。英語読みでLitherm Technologiesになります。
はい。こちらはなぜ選ばれたのでしょうか?
そうですね。この会社が対象としている石灰、セメント産業ってところが、世界のCO2排出量の約8%を占めるっていうようなところで、CO2の市場としては大変大きいというところ。あとは事業の進め方として、顧客候補をシードぐらいから巻き込んで、実証のためのフィールドとか原料の供給を受けているっていうのはなかなかうまいポイントだなと思ったので、ご紹介できたらと思います。
では、始めていけたらと思いますが、このLitherm Technologiesですが、2019年に創業された、ドイツに拠点があるようなクライメットテックのスタートアップになっています。ビジョンとしては、完全電化と蒸気流動技術を使って、世界のセメント製造の脱炭素化を狙っているというところになります。最近、2026年の3月に650万ユーロのシード調達を実施した会社になります。
まず、Litherm Technologiesの全体像ですが、完全電化と蒸気流動によるCO2排出ゼロの石灰・セメント製造プロセスになります。石灰とかセメントを作る時にCO2が排出されるんですけど、その6割は燃料からではなくて、石灰石を化学分解する時に、CaCO3からCaOとCO2になる時に自然に発生するというか、分解したら化学式でそうなってしまうよっていうところになります。なので、燃料を100%再エネにしても、排出の60%は残ってしまうってところになっています。
こういった背景に加えて、外部環境としてEU ETSという排出量取引市場の価格のことと、2026年からのCBAMっていうのかな、炭素国境調整メカニズムが適用されることで、規制の圧力がすごく高まってしまうっていうところになります。それで、CO2排出ゼロの石灰・セメント製造プロセスを目指していこうといった企業になります。
いや、もう本当に化学式的に逃れられないですもんね。炭酸カルシウムを原料とする限り。
そうですね。なので、競合となるような会社さんだと、そもそも原料を変えるっていうところもあるようなんですが、炭酸カルシウムを原料とする限りは不可避っていうところです。なので、出さないようにするのではなくて、回収しやすくするっていうようなアプローチを取ることが求められて、この企業はそれを取ったような会社になります。
では、少し今のお話とも重なるんですが、このLitherm Technologiesが対峙している課題についてです。まずターゲット顧客ですが、世界のセメントの製造業者になります。石灰も対象としているんですが、それはセメントだけではなくて、石灰は鉄鋼とか水処理とかの用途が広くて、市場参入として初期の需要性を証明しやすいってところもあって対象になっているようです。
既存のCCUS、炭素回収とか有効活用・貯留っていったところですが、従来のキルンだと排ガスが、窒素とか未燃ガスが混ざっていて、すごく汚れた排気になっているそうです。そういったところからCO2だけを分離回収するプロセスっていうのは、追加の設備がたくさん要りますし、エネルギーとかコストも多く必要になってきますと。ですので、ここにLitherm Technologiesは着目して、解決するべき課題として、いかにして最初から混じり気のない気体、純粋なCO2を抽出するかといったところに着目して取り組んだ会社になります。
先ほど少し触れていた代替素材を使うアプローチって、この後説明するかもしれませんが、何かあったりもするんですか?
そうですね、この後もお話しできたらと思います。Brimstone社とかっていうのがあるんですが、ただ、提供するもの、作るもの自体もちょっと変わってくるので、既存の石灰とかではなくなってしまう。なので、建築基準法とか、サプライチェーンの変更を伴うっていうところもあるので、普及に長い時間がかかるんじゃないかという風に読めるというか、見込まれるっていうところになるようです。
既存のCCUSを付けるというような話もありましたが、この汚れた排気の前提となってくるCO2の濃度って通常どれぐらいなんでしょうか?
そうですね、一般的なセメントのキルンの排ガスだとCO2濃度が15%から30%程度になるそうです。これを純粋なっていうところで90%以上に濃縮するっていうのがなかなか難しいということのようです。
一方で、既存のCCUSを後付けするのも、仮にやったとしても結構コストかかるんですよね、きっと。
そうですね。ちょっと調べたところによると、設計研究ベースだと1トンあたり50から100ぐらいで、実案件だと回収設備だけでも数十億から数百億円程度かかる。さらに輸送とか貯留まで含めるともっと重たくなるんじゃないかという風に言われているそうです。
はい。統合していこうとすると結構大変そうですよね。
そうですね。そういったプロセスも含めてやっていくっていうのがなかなか大変っていうところになってくると思います。
そういった課題に対して、Litherm Technologiesが出している解決策になりますが、完全電化の流動層反応器プラス、蒸気による流動化というところになります。従来のキルンだと、石灰石を燃焼させるんですが、そのイメージとしては、薪に火をつけてその薪自身が燃えて熱を出すっていうようなところになりますが、それを電化することによって、フライパンをIHで熱してその上の材料が変化するってようなことを、Litherm Technologiesの釜の中、リアクターの中では起こしています。
この結果というか、その便益として、そもそも燃焼を使わないので、燃料が燃える分の排ガスが発生しないっていうところ。プラス、窒素酸化物っていうような排ガスが発生しないっていうのが1点目のメリットになります。2点目のメリットとして、流動化の媒体として蒸気を使うので、排出ガスを冷却するだけで水とCO2に分離ができるってことのようです。
ここも分からなくて調べたんですけど、キルンで起こってる反応が、お湯がボコボコ沸くみたいな形で、ボコボコ沸くのが石灰石とかの細かい粒子になっていて、ボコボコさせるのが水蒸気ってことになるようです。それを反応させることで、出てくる気体が水蒸気と石灰石から出たCO2になるので、それを回収する。それを冷やすと、水蒸気は水になるので、CO2が取れるというようなことのようです。
なんかすごいですね、仕組みが。
なかなか面白いですよね。
とはいえ、この大量の蒸気を作るとなると、水とかエネルギーのコストがかかってくると思うんですが、これはどうするんでしょう?
そうですね、彼らが言ってるところによると、凝縮する時に得られる温かい水を蒸気を作るのに再度使うっていうクローズドループな設計をしていて、熱エネルギーの消費とかをなるべく減らしているっていうことのようです。
あと、ラボスケールで実証成功ということでしたが、ここから商用スケールに拡張していく時に、どこが技術的な障壁になりそうなんでしょう?
そうですね、多分今ちょうど商用というか少し大きい規模で試しているところだとは思うんですが、リアクターの中でボコボコさせる時の流動の規模が大きくなることによって、粒子がどういう風に動くかとかっていったところがハードルになるんじゃないかと思われます。
このLitherm Technologiesが対応してる市場ですが、ちょっと金額っていうところではないんですが、TAMとしては、石灰・セメント産業全体で年間約30億トンのCO2を排出しておりますと。市場の特性として、消費者の需要ではなくて、企業の事業が存続するかしないかっていったところの規制対応で需要が喚起されていくってところになります。初期のターゲットの市場ですが、最初の方にありましたEU ETSといったような環境の規制が世界で先行しているようなEUの市場を狙うということのようです。
規制の緩和とか後退とか、そういう場合のリスクってあったりするんですかね。
いや、それがすごく1番大きいだと思います。ただ、彼らが見込んでいるところによると、欧州における脱炭素の流れっていうのは不可逆なんじゃないかという風に読んでるらしくて、遅れることはあっても、なくなってしまうっていう可能性は低いんじゃないかという風に見込んでいるようです。
そして、彼らが取っているビジネスモデルについてです。今の段階だと、自社でプラントを作ったりとか保有しないアセットライトなバリューチェーンを作っています。Litherm Technologiesは特許とコアの設計に特化していて、実際の建設はパートナー企業が担うような形になっているそうです。収益としては、見込んでいるところとして、特許技術のライセンス供与、それからコンポーネントの販売といったところを考えているそうです。
意外とやることはコンパクトにしてるんですね。
いや、そうなんですよね。なので、これはもしかしたら今後変わるかもなというのは私も思っているんですが、業界標準のプラットフォームにもしなることができれば、世界中のプラントからライセンス収益を得るようなモデルにもなり得るのかなと思います。
保守運用で稼ぐみたいなのもあるのかなと思ったんですけどね。
はい。それももしかしたらあるかもしれないですね。どこまで見込んでるかっていうのは、今の情報からだと見えづらかったところになります。
EPCパートナーって、日本でこういう大きめのスタートアップをやろうとしてる人たちが困りがちなんですけれど、EPCをどう巻き込んでいってるんですかね?
そうですね。既存のキルンの建設自体が脱炭素化で減少していくところで、次世代の脱炭素プラントみたいなところを新しくパイプラインとして獲得できるところがインセンティブになっているそうです。なると見込んでいるというか。
日本のEPC企業とかは海外に市場を求めていってますが、逆にそれが強くてできるからこそ、あまりこの新しいものはしなくて、EU側はもしかしたら弱いから、こういう新しい案件に飛びつくみたいなこともあるのかもしれないですね。
かもしれないですね。で、彼らの取っている戦略ですが、産業パートナー連動型のディープテック実装という風にもありますが、自社単独でインフラを構築するリスクを回避していますと。エコシステムを活用して、顧客候補から、実際に工場の敷地とか既存の原料供給ラインとか、あとは資本とかを外部から得ていますと。なので、自社のコンピタンスとしては特許、それからリアクターの熱とか流体設計のノウハウのみを内製化して、かなり身軽にやろうっていうのが戦略としてあるようです。長期的な理想としては、燃焼でのキルンっていうのを過去のものにして、電化とかプロセス一体型のCO2回収をするような新しい業界の標準設備になることを狙っているそうです。
いや、すごいですね。顧客候補とすでにそういう敷地の連携とかやってるっていうのは、日本のそうした関係のスタートアップが自分たちのバリューチェーンを伸ばす理由って、顧客がなかなか使ってくれないからっていう面もあるのかなと思ってはいるんですけど、そうじゃなくて、もうすでにいるんだったら、別に自分たちで伸ばさなくてもいいじゃんっていうのはリーズナブルだなと思いました。
いや、そうなんですよね。そこが結構うまいところだなと思いつつ、どういうエピソードでそうなったかとかっていうところまでは確認ができなかったんですが、ただ、場所とかを提供してくださった会社から投資を受けたりとかもしているようですね。
そういう意味で、何が重要な経営リソースなんでしょうね、ここの。もちろん知財とかはそうだと思いますが。
そうですよね。多分知財が大きいんだろうなとは思うんですが、CEOの方もプラントの設計とかだったかな、少し業界にいらっしゃったこともあるようなので、そういった点で、向こうのCEOとも渡り合えるような、ビジネス系のスキルが求められるのかなとは思います。
では、ロードマップですね。これは結構ディープテックっぽいロードマップを取っています。まずフェーズ1で、2019年から2023年で、ラボでの検証を行っています。プロセスの開発、また特許の取得、それから技術の原理を証明するっていったところに取り組んでいたようです。今フェーズ2でパイロットに取り組んでいて、先ほど言ったような拠点でのプラントの建設と試運転を開始したっていうところになります。将来的に、フェーズ3としてはこれを拡張して商用化していく。商用のデモをやって大きくしていくってところを狙っているようです。
フェーズ2のパイロットで検証するべき重要なポイントというか、マイルストーンって何なんでしょうね。
そうですね、効率ももちろんだと思うんですが、ラボと違う点としては、やっぱり長期間停止せずに安定して連続して稼働できるかっていうところの耐久性とか安定性っていうところが見られるかなと思います。
じゃあ、その次のフェーズ3の商用化で想定される資金というところはどんな感じなんでしょうね。
そうですね、デモプラントの建設が必要になってくるので、そこに主に使うっていうところのようで、数十億から数百億円ぐらいの規模になるというところで、かなり大きい資本を巻き込んでいくことが今の段階から求められるようですね。
そして、このLitherm Technologiesのモートと競合についてです。まずポジショニングなんですが、ここはちょっと面白いところで、SublimeとかBrimstoneとかと違って、最終製品は既存の素材になりますが、プロセスを後付けするんじゃなくて、新しくプロセスを作り直すっていったところになっています。競合は、Calixっていう既存キルンの後付けの回収をやるようなところとか、SaltXっていうところで、電化はするんだけれども技術が違っていて、プラズマを使うなどの高温の技術を使っているようなところ。新素材を出すものとしては、SublimeとかBrimstoneっていうところがあるようです。
そうですね。で、モートとしては、特許と、あとは業界の大手との実証の関係ってところが大きいように思います。
Brimstoneとかは、Breakthrough Energyも今回支援してるって感じですよね。
そうなんですよね。なので、どちらも支援を受けているってのはなかなか面白いなとは思ったんですが、どちらも、市場と排出削減ポテンシャルっていうのは、同じような市場に取り組んでるので非常に大きいってところから、Breakthroughは評価しているようです。ただ、技術の勝ち筋とか勝ち方が違うので、どちらも支援してるのかなという風に思います。
Litherm Technologiesは、石灰石はそのまま使うけれども、炉を置き換えるようで、それで燃焼由来のCO2と汚い排ガスをなくして、石灰石から生まれるCO2を副産物として取り出しやすくするよっていうアプローチになりますと。なので、これは既存の石灰とかセメントの工程の反応自体は変えずに、熱の与え方とCO2の取り方を変えるっていうようなタイプになってますと。Brimstoneは、そもそも石灰石じゃなくて、炭素を含まないようなケイ酸カルシウム岩を原料にしていると。なので、材料源から作り直すっていうタイプになっていて、少しアプローチの仕方が違うってところで、どちらも評価しているのかなと思います。
そうですよね。建設領域ってかなり排出が多いんで、どこかのアプローチ、山の登り方でなんとかゼロにできたらいいなっていう感じで、ポートフォリオ的に張ってるんでしょうね、Breakthrough Energyも。
そうですね。多分長期的にはBrimstoneとかかもしれないけれども、やっぱり置き換えやすいとかって点ではLitherm Technologiesといった風に考えられるのかもしれないなとは思います。
そういった点で、Sublimeとかとの違いにはなるんですが、ガラッと置き換えるようなのがSublimeなんですが、そこだと、先ほど言ったように承認とかも必要になってくるので、市場に浸透するまでにすごく時間がかかるんじゃないかという風に考えられているそうです。一方で、Litherm Technologiesだと、できるもの自体は変わらないので、規格とか安全性の壁がすぐにクリアできるっていうところ。あとは石灰っていうのも扱っているっていうのもあるようです。SublimeやBrimstoneはセメントの代替に特化してるんですけど、石灰っていったところのその他の領域も少し取り組んでいるってことですね。あとは、既存の産業の枠組み自体を壊すわけではないので、既存の石灰・セメントメーカーがパートナーとして巻き込みやすいのも、Litherm Technologiesの利点というか戦略になるようですね。
なるほど。中期と長期で、それぞれ最適なものは違ってくるみたいな、そんな話なのかなという風に聞いて思ったのと、Lithermの方は電化すると、電気の方をどうするかみたいな問題も出てくるとは思うんですけれど、そこはなんとかなるって踏んでるのかもしれないですね。
そうですね。そこは再エネとかでなんとかするぐらいの感じかもしれないです。
ちなみに、SaltXとの技術的な違いっていうのは、さっきおっしゃってたところ以外に何かあったりしますかね?
技術が主に違うようで、Litherm Technologiesだと、蒸気でボコボコ石灰を沸かすみたいなところと、あとCO2の分離をしやすくするってところらしいんですけど、SaltXはプラズマで熱するっていうところが違うようですね。ちょっとあんまり詳しくは調べられてないんですけど。
では、Litherm Technologiesの参入戦略ですね。初期のターゲットですが、これは脱炭素の意思はあるが、燃料の転換だけでは限界を迎えるような石灰メーカーになります。MVPとして彼らが取ったようなところとして、プラントではなくて、まずは電化で蒸気流動によるCO2を高純度で分離できるっていったところのラボの実機に当たるかなと思います。
あとは顧客の獲得方法も、これもディープテックあるあるではあると思うんですが、Breakthrough Energyのフェローシップにドイツ企業として初めて採択されたようで、それをテコにして、資金とか実証の環境とか、産業のパートナーを同時に囲い込むっていうことをしていったようです。
なぜなんでしょうね、Breakthrough Energyの支援が効くんですかね。私たちも聞くとすごいなって思っちゃいがちですけど。
そうですね。そこは一緒なのかもしれないんですけど、厳格な技術のデューデリジェンスを通過したっていうのはお墨付きになっているので、重厚長大企業って結構保守的だとは思うんですが、それが背中を押しやすいってところがあるようですね。
あとは、既存のワークフローへの適合性みたいな話が何度か出てきてますけれど、これって具体的に言うとどういうものなんでしょうか?
そうですね。原料が一緒なので、既存の石灰石の採掘とか粉砕のラインからそのまま原料が受け取れる。また、後ろも同じなので、既存の貯蔵とか出荷に製品を渡せるっていったところの物理的な繋がりが結構適合しているってことのようですね。
そして次に、起業プロセスです。初期チームですが、結構技術とか研究系の方と、事業化っていうマネジメントの方がやっているっていうところになります。CEOの方がフェリックス・ネレスさんという方のようなんですが、研究者ではなくて、元々クセラという世界的な石灰メーカーにいらしたそうで、脱炭素化とか削減のプロジェクトマネージャーをなされていたそうです。さらにその前は、バイオマスとか廃棄物のガス化プラントっていったような重厚長大なクリーンテック設備の事業開発っていうのをなさっていたようです。他にお2人共同創業者がいるようなんですが、その方たちはおそらく技術系のバックグラウンドの方なのかなという風に思います。
彼らはまず創業期、2019年に創業ですが、プロダクトを作っていくところよりも、特許での保護っていうのを優先して、先に特許を作ってモートを構築していったようです。2020年以降に、ハードウェアのスケールアップとパートナー開拓に移行していって、2024年に、プラントを建設するような場所の提供とか、原料の供給ところを受けているようですね。
結構しっかり技術開発してから取ったっていう感じなんですね。
そうですね。かなり時間をかけてしっかりやっているようには見えますね。
これは大学発のシーズなんですか?
いや、それは公開されてる情報からは明確ではないです。ただ、創業者の技術系の方たちが温めてきたような技術的な着想がベースなんじゃないかなとは思われます。
で、彼らの初期の学びと初期の歩みですが、事業の立ち上げにかなり難しいポイントがいくつかあるとは思うんですが、うまく組み合わせてやってますよというところで、1点目が、ラボでちゃんと物理仮説が検証できたというところと、2点目として、パテント、知財で防御を取っていくようにしてるところと、現場に統合、これが1番大きいんですが、現場に統合しているってところが連動しているようなものになっています。理論上はラボでは成功していたんですが、そこから実際に稼働している石灰プラントの敷地内に物理的な実証地と原料供給ラインっていうのが確保できたっていうところが大きな転換点になったようです。
この最初の実証ってどうやって口説き落としたんでしょう?
そうなんですよね。ここは詳細がなかなか分かりきってないところではあるんですが、ビジョンとか、あるいは加えて、ラボでちゃんと実証できてますよってところがあったっていうのと、あとはBreakthroughのフェローシップに通ったこととかっていうのがあるんだろうなと思います。
結構コストかかりそうですけど、どの辺にコストかかってるんですかね。
いや、そうですよね。結構高温高圧なので、そこの部品とか、あと安全性とかを担保するための設計っていうのがかなりかかったんじゃないかなという風に思われます。
実験も大変そうですよね。
そうですね。何度もできるようなものでもなさそうな気はするので、時間はかかって、だからこそパイロット建設の開始まで5年かかってるのかなとは思いますね。
で、彼らが今得ているような資源についてです。調達ですが、最近シードラウンドを行っています。2026年の3月に、約10億円以上のシードラウンドを成功させてます。少し特徴がありまして、金融系のVCだけではなくて、特にクライメットのようなBreakthrough Energy Foundationとかっていうのもあれば、ドイツで経験が多いようなベンチャーキャピタルの方もいれば、インダストリー、産業の方からも投資を受けている。グレモントットってのは、石灰とか石灰石を中心とした素材を作るような老舗の産業の企業で、そこからも受けているってところになります。
この資金調達が面白いところが、資金を確保するだけではなくて、出資者であるようなSigmaRocのドイツの子会社がパイロットプラントのための敷地とか原料の供給を行うというところで、産業パートナーと組んでやっているってところが特徴になります。
すごいですね。こうしたうまく、投資だけでなくサプライもしてもらうとか、そういう組み方って素晴らしいなと個人的に見てて思いました。
いや、そうですよね。なので、従来のプロセスを崩さないっていう点から、競合するものじゃないよというところで、脱炭素化のゲームチェンジャーになるような技術に早くアクセスできるとか、将来のライセンス交渉において優位に進められるっていうところから、味方につきやすかったのかなと思います。
業界大手がシードから早期に出資するって、そうそうないと思うんですけれど、これをなぜやったっていう風に分析されてるんでしょうか?
そうですね。先ほどのお話と重なるんですが、従来のプロセスを変えなくてもいいので、技術に早くアクセスできることと、あとはライセンスを交渉していく時に有利に進められるんじゃないかと。
そうですよね。あとイグジットが、もしかしたらこれによってスタートアップにとってはM&Aイグジットもできることになるかもしれませんしね。
そうですね。おっしゃる通りだと思います。出資しているようなセメントとか石灰のメジャーとか、プラントエンジニアリングの大手企業さんとかにも、M&Aとして見えてくるようなところになってくるかなと思います。
そして、日本でこのアイデアで起業するならというところで、AIが考えたアプローチの案になります。まず案Aですね。これが既存の大手とのジョイントベンチャーで、初期はセメント会社との、既存の大手と組んで、敷地内で実証を行って、設備投資のリスクを分散するようなものになるそうです。案Bとしては特化型で、鉄鋼とかファインケミカルっていったところで、高品質で脱炭素プレミアムがつきやすいような特定用途の小型プラントから始めていくっていうようなものになるそうです。案Cとしては、アセットライトに特化して、既存のEPCの企業と組んで、自社はリアクターの設計IPのライセンスに徹するっていうようなところになるようですね。
日本のセメント業界は、こういったディープテックの導入に積極的なところもあればそうじゃないところもあると思うんですけれど、状況としてはどうなんでしょうね。
いや、そうですよね。冒頭で言っているように、欧州の規制の圧力っていうのが大きく影響してるところになってますと。なので、日本はそういった欧州ほどの強烈な圧力っていうのはないので、動きは慎重になってくるとは思います。ただ一方で、グローバルサプライチェーンからは脱炭素の要請もあるので、だんだん始まっていくんじゃないかなとは思います。
あとは、電化のことを考えると、日本はなかなか電力コストが高いから、そこは難しそうですよね。
そうですよね。そこはおっしゃる通りだと思います。なので、まずは再エネの出力制限が発生しているような九州とか、あるいは今後多く発生するだろうっていったところのエリアからやっていくことになるんじゃないかなと思います。
では、最後にまとめになります。今回お話ししたところから学べるところとして、1点目として、後処理ではなくて工程そのものを問い直すというところになります。排ガスを後から処理するのではなくて、燃焼のプロセス自体を再設計して最初から排出を防ぐってところになります。複雑な問題をプロセスを変更することでシンプルに解決するっていうのは視点になります。2点目の教訓ですが、これは最初の顧客候補を実証パートナー兼資本提供者に変換するってところですね。単なる顧客ではなくて、エコシステム全体をシード段階から巻き込んでいくっていうようなしたたかさといったところは、参考になるかなと思います。最後に、モートとしてIPの構築っていうところと物理的な検証を組み合わせて進めていく。特許だけではなくて実機を持つことで、より強いモートになっていくっていう点ですね。
最後に、これから実践できるアクションとしては、自身の業界における、仕方なく支払っているような不可避なコストとか排出ってところを見つけてみて、それでアウトプットの製品は変えずにプロセスだけを変えるっていうようなことはできないかっていうのは、思考実験として面白いかなと思います。今日はLitherm Technologiesをご紹介しました。どうでしたか?
そうですね。当たり前のことを当たり前のようにやっていて、でもそれが難しいからすごいなっていうのが改めて思ったところと、あとやっぱり、顧客候補がいれば自分たちのバリューチェーンを短くできるかもしれないとか、逆にいないとやっぱり長くしなきゃいけないとか、顧客とか状況に応じて、自分たちの取るべき位置とかを持っていくっていうところはすごく勉強になったなと個人的には思ったのと、あといいなって思ったのは、やっぱり今回のLithermだけでなくって、SublimeもあればBrimstoneもあればみたいな、本当にいろんな技術のポートフォリオを持って、この難しい領域の脱炭素というものに取り組んでいかないと、どれが当たるか分からないので、逆にどれかが当たればすごい大きくなると思うので、そのどれかっていうのをちゃんと作っていけないといけないんだろうなと思いました。
そうですね。我々としては、本当に似たような問題でも複数のアプローチが取れるようにやっていきたいですね。
そうですね。
では、今日はこちらで終了となります。FoundX Review Startup IdeaCastでは、今後も皆さんのアイデアのために最新のスタートアップをご紹介していけたらと思います。ご興味のある方は是非チャンネル登録をお願いいたします。ではまた次回よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
ありがとうございました。
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