電力・部品・許認可の「摩擦」を解くスタートアップ戦略:GridCare、Westmag、Nebexに共通する構造
東京大学FoundXFoundX Review Startup IdeaCastの今回の回では、個別のスタートアップを紹介するいつもの形式ではなく、複数の企業に共通する一つのアプローチを横断的に分析している。取り上げたのは、AIが「摩擦解消型インフラストラクチャー戦略」と名付けた考え方だ。進行役の富田氏が質問し、もう一人のFoundXの話し手が解説する形で進む。番組冒頭では、AIを使って情報を整理しているため一部に古い情報や誤りが含まれる可能性があり、事実確認は各自で行ってほしいと断っている。
中心となる問いは、AIやロボットの性能が上がっても、電力、部品、許認可、契約といった物理的・制度的な制約が導入を止めているなら、どこに事業機会があるのかというものだ。話し手は、最終製品を作る企業だけでなく、製品が製造・接続・契約・運用されるまでの摩擦を取り除く「見えないインフラ」の企業にも大きな機会があるという立場をとる。
摩擦解消型インフラ戦略とは何か
話し手の説明によれば、この戦略は製品そのものではなく、製品が製造され、契約され、運用されるまでの制約に介入するものである。垂直統合の事例も扱うが、全工程を自社で抱えることは目的ではない。顧客が成果を得るのを止めているボトルネックを選び、その工程について自社が責任を持つ。今回は特に物理的な制約を中心に扱う。
対象となる摩擦として、電力容量、部品供給、許認可、施工、金融、政府調達、決済などが挙げられた。スライドには迷路の図が示されており、話し手はこれを「迷路を解く」のではなく、顧客が目的地に到達できる新しい経路をつくる、迷路を壊すようなものだと表現している。摩擦を解くという発想自体は他のビジネスと変わらないが、物理の領域であること、そして解決方法を反復可能なインフラにできるかどうかが、このアプローチの特徴だという。
このテーマを選んだ理由について、話し手は「難しそうだから試しにこれから始めよう」と冗談めかしつつ、最近の課題として重要度が高まっていると述べる。需要が明確なのに供給が逼迫している市場では、製品機能よりも導入までの時間や確実性に価値が生まれる。これまで番組で紹介したWestmagやGridCareがこの例に当たる。
AIに整理させた構造は、環境変化、未解決の問題、戦略上の着眼点、作用のメカニズム、事例による検証、自己拡張という流れである。話し手はここで、市場の成長そのものではなく、成長によって不足し始めた資源や能力を見ることがポイントだと解釈している。AI需要の増加は環境変化であり、電力接続や部品不足は新たに生じた未解決問題だ。そのうえで時間、費用、確実性のどこがうまくいっていないのかを見て改善する。AI時代に最も価値ある企業は、ドローンやデータセンターといった最終製品を作る企業ではなく、物理的・契約的なボトルネックを解消する見えないインフラになるかもしれない、というのが全体の結論として示された。
垂直統合との違いと関連事例
富田氏は、垂直統合との違いはパーツに集中するか全体をやるかだけなのかと尋ねた。話し手は、垂直統合はあくまで手段の一つであって目的ではないと答える。顧客の成果を止めている工程が複数あれば、垂直統合で解くパターンもある。ただ今回は主に一つのボトルネック、特に物理的な部分を解く企業を想定している。物理の周辺には取引市場やデータ基盤もあるため、物理だけに限った話ではないとも補足した。
これまで番組で扱っていない例として、Crusoeが挙がった。AI需要の増加で電力と建設が問題になったとき、同社は電力からクラウドまでを垂直統合し、AI向けのクラウド環境を提供している。話し手は、Crusoeはどちらかといえば垂直統合寄りの例だと位置づける。もう一つはLoft Orbitalで、衛星を一社ごとに作るのではなく共通の基盤に載せる。衛星バス、打ち上げ調整、運用、地上系を共通化し、顧客が自社のセンサーやミッションに集中できるようにするインフラを提供している。
ビットの世界とアトムの世界
このアプローチがわかりやすく当てはまるのが、ソフトウェアの世界と物理の世界がぶつかる場面だと話し手は言う。ソフトウェアは複製しやすく、限界費用がほぼゼロで、スケーリングの障壁が極めて低いとされる。一方でアトムの世界には、電力、労働力、部品といった物理的な制約がある。
話し手は、2030年までに米国のデータセンター電力需要が倍増するといった見通しや、IEAも世界のデータセンター電力需要の増加を示していることに触れ、需要と供給のギャップが出やすい領域だと述べた。問題は発電能力だけではない。送電、変圧器、冷却、用地、規制もボトルネックになる。フィジカルAIについても、知能のモデルを作るだけでは足りず、モーター、減速機、センサー、電池、組み立てがボトルネックになりうる。さらに規制や安全認証も共通の制約として入ってくる、という見方が紹介された。
既存企業の増産で足りるのではないか
電力や部品が不足するなら既存企業が増産すればよいのではないか、という富田氏の問いに対し、話し手は既存企業が最適な場合も多いだろうと個人的見解を述べている。実際、国内の大手メーカー(字幕では三菱の名が挙がる)がかなりの受注を抱えているという話も聞いているという。
ただ、既存企業の製品規格が、変動する需要や新しい大きな需要に合わない場合もある。例として、AI向けの800Vのような新しい仕様が挙げられた。そうした新しい需要に対して大きく供給を立ち上げることは、スタートアップが成立させうる領域だという。逆に既存企業が簡単に対応できるなら、スタートアップでやる必要はないとも明言している。
ここで以前紹介したBase Powerにも触れた。電力不足に対し、同社は家庭用蓄電池を自社の設備として所有し、系統運用にも使う。大きな用地を取得せず、家庭内のスペースを使わせてもらい、それを組み合わせてグリッドの安定化に使う。富田氏は、電力会社との契約や設備工事も自分たちでやっていたと補足した。
イノベーションを阻む3つの物理的ボトルネック
話し手は、よく見られるボトルネックを3つに整理した。
1つ目はエネルギー供給の限界である。単純な発電量ではなく、送電容量、変電設備、接続審査が問題になっている。 2つ目はサプライチェーンの脆弱性である。ネオジム磁石やモーターの供給は約90%を中国に依存しており、地政学リスクが大きい。ここからWestmagのようなスタートアップが出てきた。 3つ目は主権国家との複雑な取引である。宇宙領域では巨額の政府調達が絡まざるを得ず、コンプライアンス、決済、資金繰りに摩擦がある。Nebexはこれを決済・契約のプラットフォームのような形で扱っている。
すべてのケースで3つが同時に起きるわけではなく、最も支配的な制約を特定して解くことが大事だと話し手はいう。富田氏は、3つは別々というより重なっている場合も多いのではないかと問うた。話し手はそれを認め、工場を建てても電力がなければ動かない、部品を作れても政府の支払いが遅れれば納品できない、といった例を挙げた。それでも最初の事業設計では、顧客の成果への影響が最も大きい一つのボトルネックを選ぶほうがよいという。同時に解けばできることは増えるが、資本と組織の負担が大きくなるからだ。
どんな不足を狙うべきか
不足を見つければよいという話ではない、という富田氏の指摘に対し、話し手は見極めのポイントを挙げた。まず、供給不足の期間が設備投資の回収期間より長いかどうか。次に、顧客が実際に予算を持ち、長期契約や容量予約をする意思があるかどうか。既存企業が短期間で対応できる場合、スタートアップの優位性は小さい。
加えて、米国は資本が集まりやすいが日本はそうではないことを踏まえると、相対的に少ない資本で物理的ボトルネックを解消できるなら、スタートアップとして狙いやすいとも述べた。
その例がLineVisionだ。送電線に非接触のセンサーを設置し、気象や導体の状態に基づいてその時点で安全に流せる電力量を算出し、動的な線路定格を運用に組み込む。固定的な容量評価ではなく「もっと流せる」ことを示す点でGridCareに近い。ただし、GridCareが系統全体や大口の接続を扱うのに対し、LineVisionは送電線単位で測定する。話し手は、LiDARを使っているようなのでコストは高いかもしれないが、比較的ましな差し込み方だと評している。規制の領域では、建設許可を扱うPermitFlowのように、手続きそのものが供給制約になっているならソフトウェアで解決する道もあると述べた。
銅線とコンクリートだけでは間に合わない
発電所、送電線、変電所、工場の新設には、計画、許認可、資材調達、建設、検査がどうしても必要になる。一方で、AIの計算需要や防衛需要は数か月単位で増える可能性がある。対応策として、既存容量の再評価、需要抑制、蓄電池、オンサイト電源、立地の変更、条件付き接続などが提案されることがあるという。
話し手は、ソフトウェアが有効なのは物理法則を変えるからではなく、保守的な計画値と実際の運用可能範囲の差を明らかにし、計画以上に流せることを示せるからだと説明する。7〜10年かかるインフラ整備に対し、GridCareのように計算によって「もっとできる」と示すこと、あるいは許認可について、これまで専門家や弁護士による調整が入っていた部分をAIで速めることも考えられるという。
富田氏は、その期間だけを埋める事業では長期的な事業になりづらいのではないかと問う。話し手は、需要が一時的な不足なのか長く続くのかを考えなければならないと答えた。そのうえで、立地、審査、運用、契約のデータが継続的に更新され、次の案件に再利用されて価値になるなら、短期需要を通じた学習が意味を持つ。さらに構築後の設備利用率、保守、増設判断といった運用まで入り込めれば、継続的な価値を生める。
関連例として、オーストラリアのNearaが挙がった。既存設備をどこまで使えるかを物理モデルで計算し直し、3次元モデルから容量、耐性、保守優先度を解析する。また「ベーシズ」という企業(字幕上の表記)は、系統接続、許認可、土地情報を統合し、設備建設前の立地選定やデューデリジェンスを支援しているという。話し手は、Lux Capitalが定期的に出している投資仮説のレポートで、新設設備への関心に比べて既存資産の保守や予防的な設備が過小評価されているという仮説を示し、その後その領域に投資していることにも触れ、実際にスタートアップが数百億円規模を調達しているのを見ていると述べた。
顧客成果に必要な範囲だけを垂直統合する
ボトルネックを解くとき、どの工程を垂直統合し、どの部分を業界共通のものとして水平展開するかを考える必要がある。話し手が強調するのは、製品を既存企業に販売しても、その企業が導入や運用を変えなければ成果が出ない場合があるという点だ。
その例として、富田氏とのやり取りの中で地熱探査のZanskarが思い出された。最初はソフトウェアを提供していたが、それを使って掘ってもらえなかったため、自分たちで掘ることにしたという話である。こうした場合、スタートアップ自身が顧客との契約、運用、製造、場合によっては掘削まで持つフルスタックに近い形が選択肢になる。
垂直統合の範囲は技術的に可能な範囲ではなく、顧客成果に必要な範囲で決める、というのが話し手の整理だ。清掃、輸送、汎用品など差別化につながらない工程まで持つ必要はない。一方、内製することで学習できるなら自分たちでやってもよい。最初の顧客に個別対応が必要でも、それを繰り返す中で共通の判断や契約を抽出し、水平展開できる。ドローンやAIモデルといった最終製品を作るのではなく、それらを動かす製造、電力、取引所のような中間レイヤーを統合し、業界全体に提供する。話し手はそれをエコシステムの「血管」や「筋肉」のようなものと表現し、業界標準のプラットフォームにしていくパターンだと説明した。
どこまで自社で持ち、受託企業化をどう避けるか
全部を統合すると重くなるが、どこまで統合すればよいかという問いに、話し手は判断基準を挙げた。自社で成果を保証できる範囲か、自社のほうが速くできる範囲か。外注したときの失敗頻度やそれによる損失が大きいなら自社でやってみる価値がある。内製化で学習できるなら知見を社内に蓄積する意味がある。
富田氏はさらに、最初の顧客への個別対応を続けるうちに、共通基盤になる前に受託企業になってしまう可能性があるのではないかと尋ねた。話し手はその可能性を認め、だからこそどの案件を取るかが重要だと答える。次にも使える知見が得られるか。案件の中で繰り返される判断を記録し、共通の入力と出力を定義して使えるようにしているか。2件目、3件目で学習が生き、導入期間や必要な人員が減っているか。減らないのであれば、プラットフォームとして水平展開するより専門会社として経済性を再設計する可能性もある。スタートアップらしくはなくなるかもしれないが、そうした事業転換もありうるという。
ボトルネック解消から需要集中、自動化、スケールへ
AIの整理では、このアプローチは次のようなループを描く。物理的・契約的な摩擦を解くことで、供給を渇望しているOEMや政府の需要を集中的に獲得する。獲得したスケールが次のプロセスの自動化を支え、自動化で限界費用が下がり、他社が追いつけない業界標準になっていく。
話し手は、最初の需要集中は長期的な独占ではなく一時的な供給上の優位である可能性が高いと注意する。だからこそ、その優位があるうちに、どの工程が繰り返され、どこでコストを下げられるかを見極め、実行と改善を重ねて差を広げる必要がある。
需要が集まることと自動化の間に何があるのかという問いには、学習できるかどうかだと答えた。物理的なものなら学習曲線が本当に下がるかがポイントになる。同じ工程が十分な頻度で繰り返されるか、製品仕様がある程度一定か、共通部品・共通契約・共通の審査項目を用意して当てはめられるか。需要が集まるだけでなく、それをどこまで学習に生かせるかが問われる。
例として、倉庫や輸送を案件ごとに手配するのではなく共通ネットワークに束ね、倉庫、輸送、受注管理、配送をソフトウェアと運用で統合してブランド向けに一つの物流サービスとして提供するStordが挙がった。またZiplineは、ドローンを売るのではなく自ら配送サービスを行っており、配送回数が増えるほど運行データ、保守、規制対応の能力を蓄積し、他社が真似できない能力になっていく例として紹介された。
摩擦の性質に応じた3つのアプローチ
話し手は、入り方を3つに整理した。
1つ目はデータと最適化である。稼働率が低い既存インフラ、たとえば送電網に対し、AIで膨大なシナリオを解析し、柔軟な制御によって容量を可視化する。GridCareがこれに当たる。設備はあるが能力を発揮しきれていない、判断が保守的、運用が固定化されているといった場合に、解析精度を上げて運用の変更や契約の変更につなげる。
2つ目は金融と契約である。Nebexのように、巨額で複雑な政府や主権国家との取引において取引レイヤーを作り、標準化や資金供給を統合する。一部では自ら事前払いをするようなこともあったと話し手は記憶している。買い手も売り手も予算はあるが、信用、審査、資金の時期が一致しないときに、そこを自社が埋める。
3つ目は物理的な製造である。地政学リスクやハードウェア部品によるリスクを踏まえ、自動化によってコストが下がることを前提に、米国内での垂直統合や量産で供給能力を構築する。Westmagのように、部品そのものが不足し、既存の供給者が増産できない部分を提供する。
富田氏は、自分なら資本負担が小さそうなデータと最適化から入りそうだが、それでよいのかと尋ねた。話し手は、ありえなくはないとしつつ、顧客や電力会社が運用を変えなければ成果が出ないという問題を指摘する。ダッシュボードを作っても誰も使わなければ成果は生まれない。データ最適化で入るなら、解析結果を契約、制御、施工までつなげる権限や力を持つ必要があり、レポートだけでは人は変わらない。その意味で、統合や営業が非常に重いアプローチになる可能性があるという。
物理系の例としては、Hadrianが挙がった。話し手の記憶では最近2,000億円規模を調達しており、米国で不足している供給能力に対し、工場をサービス化する形で、ほぼ自動化した工場を建て、製造ソフトウェアや品質管理を統合して航空宇宙・防衛部品を製造している。また、Andreessen Horowitzが今年2月ごろに出した、スタートアップ向けの工場の経済性に関する記事にも触れた。製造方法と生産能力が競争優位になる企業では、原価、歩留まり、学習曲線、設備容量、資本構成が事業の中心になるという内容で、話し手は「懐かしのソフトウェアではない物理の話」が出てきていると感想を述べている。
代表事例:GridCareと電力接続待ちの短縮
改めて代表例として紹介されたのがGridCareである。AIデータセンターは、土地を先に押さえる「ランドファースト」から、電力を先に確保する「パワーファースト」へと変わっており、電力接続に数年待つ状況で立ち往生している。一方で、米国の送電網は平均30%しか稼働していないとも言われていたという。
GridCareは物理ベースのAIで膨大な数のシナリオをシミュレーションし、稼働率の余力を可視化した。そのうえで、ピーク時の需要抑制や蓄電池の活用を条件とする柔軟な接続を電力会社に提案した。その結果、数年かかる接続プロセスを数か月に短縮し、数百MWの容量を解放したと言われている、と話し手は紹介する。立地条件や系統条件を解析し、従来の基準では利用できないとされていた容量を見つけて解放したアプローチだ。
富田氏は、これはAI企業と呼ぶべきか、電力契約の会社と呼ぶべきかと問う。話し手は、コア技術である解析だけを見れば電力会社向けソフトウェアのAI企業に近いと答えた。しかし顧客が欲しいのは電力容量であり、そこまで提供するには立地選定、接続提案、運用や監視まで必要になる。そのため競争優位はAIだけではなく、系統データ、電力会社との運用経験、契約形式の組み合わせになっていくだろうという見立てだ。ただし公開情報からはどこまで実際に行っているかは見えにくく、わからないとも留保している。
比較対象として挙がったのがTerabase Energyである。既存容量で足りない場合は、建設そのものを速めるパターンもある。Terabaseは太陽光発電の設計、現場データ、ロボットによる施工、進捗管理を一つのプラットフォームに統合し、新しい発電設備の建設を反復可能にしようとしている。話し手は、既存系統の余力を使うGridCareが短期的な容量を増やし、新設の工期と人員を削減するTerabaseが長期供給を担うという、補完関係のような見方もできるかもしれないと述べた。
GridCare、Westmag、Nebexに共通する構造
番組でこれまで紹介してきた3社は、エネルギー、ロボティクス、宇宙経済と業界が異なる。GridCareは系統状態のデータと柔軟接続の運用を制御点とし、物理制約の可視化で介入した。Westmagはモーター設計、ステーター加工、組み立て、供給網を制御点とし、製造インフラの垂直統合で入った。Nebexは政府の宇宙契約における複雑な資金や決済に対し、供給者の審査、取引資金、法的な所有、決済順序を制御点として、承認や決済の中間レイヤーを作った。業界は違っても、データや統合プロセス(物理的なものも含む)を所有し、摩擦を一気になくそうとしている点が共通していると話し手は整理する。
どこまでが共通で他社にも適用できるのかという問いに対し、話し手は、この3社がいずれも最終製品を作っていない点を挙げた。テスラは垂直統合して車という最終製品まで売るが、GridCareはエネルギーを、Nebexは衛星を売るわけではない。Westmagは製品に近いものの、フィジカルAIを売るのではなく部品を売る。ただし単一の部品を供給するのではなく、重要な部品を提供できるようになるまでのいくつもの摩擦を統合的に解消している。
近い例として、設計から3Dプリント、組み立てまでを一つの生産システムに統合し、ロボットによる組み立てまで手がけるDivergent Technologiesも紹介された。Westmagがモーターという共通部品に集中するのに対し、Divergentは生産方式そのものを共通化して複数産業に提供しようとしている。データと実工程を自社で持つ点は共通でも、何を提供するかは異なるという。さらにVCのConstruct Capitalが、産業の自動化を「Sense(データ取得)」「Think(判断)」「Act(実行)」の3段階として捉え、分断されたデータと制御の統合を重要な機会としていることにも触れた。
成立する条件、機能しない条件、Katerraの教訓
機能する条件として、話し手はまず需要が供給を圧倒的に上回っている状況を挙げる。防衛やAI基盤のように顧客のスイッチングコストが極めて高い市場も機能しやすい。需要の切迫度は、前払い、容量予約、長期契約で測るとよいかもしれないという。
機能しない条件としては、対象市場の製品規格がまったく標準化されていない場合、既存の大企業がデータやプロセスを容易に模倣できる場合が挙がった。失敗の兆候は、顧客が自社をインフラとしてではなく、一時的なコンサルティング会社や代替品として捉えている場合だという。複雑性については、単なる面倒くささではなく、既存企業が模倣しにくい工程や認証があるかが問われる。スイッチングコストの面では、データ移行、再認証、業務停止などが伴うと高くなる。
複雑で競争が少ない市場ならスタートアップに有利なのではないか、という富田氏の問いに、話し手はデメリットも挙げた。複雑性が少数の顧客に固有のものであれば、競争が少なくてもスケールしない。許認可に時間がかかりすぎると、スタートアップの資金が先に尽きる。事故や保証による損失が1件あたり大きい場合は、保険や資金力が必要になり、スタートアップに向かない可能性がある。
失敗例として挙がったのがKaterraだ。建設系の垂直統合スタートアップで、話し手の記憶では20億ドルを超える資金を調達していた。設計、資材調達、工場生産、建設まで広く統合して建設の工業化を目指し、複数の地域、複数の製品、複数企業の買収を並行して進めたが、2021年に破産手続きに入った。話し手は、垂直統合だけが原因ではなく急速な拡張も問題だったと考えられ、COVID-19の影響もあっただろうとしたうえで、広げすぎることにリスクがあるのは間違いないと述べた。
工場を建てる前のMVP
工場が必要と聞くとMVPも工場だと考えがちだが、AIのまとめではそうではないとされている。最初に検証すべき仮説は、顧客はこの特定の摩擦が解けるなら、未完成の製品でも巨額の契約を結ぶのか、というものだ。完璧なソフトウェアや巨大な工場を最初から作らず、少数の大口顧客と手作業で確実な契約を結び、本当に買ってもらえるのか、それを自動化できるのかを見極める。手作業で進めつつ、将来メガディールにつながるかを見ることも大事だという。
具体的には、候補地の一覧ではなく「一定期間内に接続可能なサイトの確保」という成果を手作業でも提供し、買ってもらえるかを見る。製造なら巨大工場を建てる前に外部設備や小規模なラインで顧客の仕様を生産してみる。Nebexのような取引市場なら、最初は創業者が主導して申請や接続を行う。案件ごとに学びを積み重ねて次につなげることが、最初の実行単位になりうるという。
大きな契約が取れないとダメなのかという問いに、話し手はできれば大きいほうがよいが、適切な初期契約の規模は市場によって変わるので、規模を過度に重視しなくてよいと答えた。重要なのは、実証に付き合う程度の支払いではなく、前払いがあるか、本当に需要があるか、予算から対価が出るかを確かめることだ。
例として最近のMonumentalが挙がった。最終的には建設の自動化を目指しているが、最初はレンガ積みロボットから入り、サブコントラクターとして施工の成果を売っていったと言われている。未完成の製品であっても、ロボットではなく成果を欲しがる顧客に入り込み、そこから広げていく。話し手はこれを、Y Combinatorのかつての「スケールしないことをしよう」を、より大きな市場でやる話かもしれないと評した。
手作業の問題解決から業界の共通基盤へ
進み方としては、まず創業者が手作業で(場合によってはロボットと組み合わせて)個別の問題を解決する。第2段階でプロセスを蓄積・標準化し、より安く速くできるようにする。最後に業界のプラットフォームになる。話し手はこれを一般的な進み方とし、学習曲線を回せるかが鍵だと言う。自動化率だけでなく、導入期間、担当者1人あたりの案件数、再作業率が減っているかを成果として測るべきだという。また、この3段階は直線的に進むとは限らず、新しい地域や新しい商品に進めば再び手作業に戻ることを繰り返すのかもしれないと述べた。
どの段階でソフトウェアに移行すべきかという問いには、一概には言えないとしつつ、同じ判断を複数回行っている、入力と結果を定義できる、といった状態なら自動化しやすいかもしれないと答えた。最も時間がかかる、エラーが多い、頻度が高い工程を自動化するとインパクトが大きい。ソフトウェア化した後も、人間による確認を残して結果を比較しておくことが大事だという。
物流自動化のOutriderも例に挙がった。もともとは公道での自動運転を考えていたようだが、まず物流ヤードという限定環境から始め、工場や倉庫の敷地内でトレーラーの移動、連結、検査を自動化し、その後に公道へ広げていくという広げ方である。AIの分野でも似た話として、Bessemer Venture Partnersが2026年1月に出した「Building Vertical AI」に言及した。技術起点ではなく明確で反復可能なワークフローから始め、価値を示した後に中核業務へ拡張する。曖昧で標準化されていない業務はすぐには自動化せず、人間の判断を残す。話し手は、これを物理版として考えるとよいのではないかと述べた。
モートの作り方:プロセス、データ、ネットワーク
事業が強くなり続けるための堀(モート)として、3つが挙げられた。1つ目はプロセスの習熟で、現場で学習を蓄積し後発企業が追いつけないようにする。2つ目はデータで、膨大なシミュレーションと実際の運用データが結合することで、精度の高い独占的な予測モデルになる可能性がある。3つ目はネットワーク効果で、供給者、需要者、資金供給の手段が一つのシステムに集まることで流動性が高まり、スイッチングコストが上がる。これを最初から考えておくことが大事だという。
モートができているかは顧客の継続率だけでなく、見積もり精度、導入期間、歩留まりといった、より先行指標的なものでも見られると話し手は言う。
プロセスやデータを人ではなく組織に根付かせるにはどうするかという問いには、重要な判断や判断のログを個人の経験に残すのではなく、システム、設備設定、検査基準など再利用可能なものに移すことだと答えた。特に複数工程の統合データは1人の従業員では再現しにくいので、どうまとめるかが問われる。ただし、一部の技術の秘密情報や契約、アクセス管理だけでは完全なモートにはならず、継続的な改善が必要だとも述べた。
例として、見積もり、品質、工程選定を共通化するスタートアップ(字幕では社名が聞き取りにくい)や、先に触れたStordが挙がった。Stordは拠点数を持つだけでなく、在庫配置や配送判断が改善しているかを見ていくことでモートが作られていくのだろうという。Bessemerの続編記事でも、モデル単体より複雑なワークフローへの統合や、測定の難しさ、複数のデータ形式がモートになるという議論があり、話し手はAIで言われていることが物理でも使えるかもしれないとまとめた。
結論:どんな企業に向く戦略か
最後のスライドで話し手は、フィジカルAIの時代に勝つ企業は最終製品を作る企業だけではなく、製品が製造・接続・契約・運用されるための共通条件を作る企業にも大きな機会がある、とまとめた。ただし最初からすべてをやる必要はなく、成果を大きく左右する一点を見つけて摩擦を減らすことが大事だという。品質以外にも、支払い、供給の追加、時間など重要な要素がある。実行するほど改善する工程、その改善を保持するデータや契約をどう作るかを考えるべきであり、「採用しない判断」も重要だと強調した。提携、ライセンス、販売代理店で同じ成果が得られるなら、そのほうがリスクを抑えられる。摩擦とは嫌われている業務を自分たちで引き受けることであり、それを解いた後に自社に何が残るかを見ながら、見えないインフラを敷いていくことを勧めた。
どんな企業・環境に向くかという最後の問いに対し、話し手は、共通の供給制約で導入が止まっている領域があり、その制約を解く工程を自社で管理でき、顧客が時間短縮、容量、確実性に支払う意思を持っている状況を挙げた。案件を重ねるほど判断、コスト、品質が改善するか、資本や責任を引き受けても十分な価値を獲得できるかも判断軸になるという。
富田氏は、情報量が多く整理しきれていないとしつつ、供給が追いついていない領域について、なぜ追いついていないのかを一つずつ分析していくことなら自分にもできそうだと感じたと話した。同時に、何が圧倒的に不足しているかを見極めるには業界理解が必要で、起業しようとする業界へのヒアリングや勉強は必須だと改めて思ったという。話し手は、ボトルネックさえ見つかればその後は従来型のMVPの手法も使えるので、初めての起業家でも取り組めるかもしれないと応じ、解消すべき摩擦と、それを解くことで学習が進むかという観点で各業界の課題を見てほしいと締めくくった。
皆さん、こんにちは。FoundXのです。
同じくFoundXの富田です。
今日はですね、少し普段のIdeaCastとは違って、分析編ですね、50回記念の分析編でやっていた、アプローチの整理から逆にこのアプローチを紹介していくみたいなことをやってみたいなと思っております。ですので、いつものスタートアップを紹介していくのではなくて、複数のスタートアップを横断的に見ながらアプローチ1つに限って見ていくということをしたいと思います。
とはいえ、AIを活用して情報整理しているので一部情報が古かったり間違っている場合もあります。ファクトを重視される場合は必ずご自身で調べるようお願いしますというのを、ディスクレーマーで最初させていただければと思います。ということで、今日は物理世界を動かす摩擦解消型インフラストラクチャー戦略と、AIがまとめてくれたアプローチを紹介したいと思います。
これは何かと言うとですね、製品そのものではなく、製品が製造されて、契約されて運用されるまでの制約を中心に介入していく、そうした戦略のことですと。で、バーティカルインテグレーションのところもいくつか紹介はしていくんですが、全工程を自分たちで持っていくというわけではなくって、あくまでこのボトルネックになっているような、顧客の成果を出すことを止めているところを選んでですね、その工程において自社で責任を持っていくというような、そうしたところ、かつ物理型みたいなところを中心にやっていこうと思っています。ちなみにこの対象となる摩擦というものは、電力容量であったりとか部品供給とか許認可、施工、金融、政府調達あるいは決済とか色々あって、この迷路みたいな図をスライドだと出しているんですけども、迷路を解くというのではなくって、顧客が目的地に到達できる新しい経路を構築していく、なんか迷路を壊していくみたいな、そんな感じの話になるのかなと思っていますので、この摩擦を解いていくっていうところは基本的な考え方、他のビジネスとも同じだとは思うんですが、そういう物理というところと、かつ解決方法を反復可能なインフラにしていけるかどうかみたいなところを紹介していけるといいなと思っているところです。
なんか今回これを取り上げた理由はあるんでしょうか?
そうですね。難しそうだから試しにこれから始めようかというところですが、一方でですね、やっぱりここって非常に最近課題にはなってるかなと思っていて、AIとかロボットが非常に注目されていますが、それらの性能が上がっても、電力であるとか工場であるとか、あるいはその内部の部品であるとか許認可みたいなところが不足すると、そこがボトルネックになってしまうと。特に需要が明確なのに供給がなかなか逼迫している市場においては、製品機能そのものというよりは導入までの時間とか確実性とかに価値が生まれてくると。従来とは違う価値の生まれ方みたいなところもあったりするのかなと思っていて、ここを少しですね、紹介していこうかなと思っています。これまで紹介してきた中で言うとWestmagとかGridCareとか、そうしたところかなという風に思います。
アプローチの全体像に行きたいと思います。まずですね、このアプローチの全体像というところですが、環境変化があって、未解決の問題があって、戦略上の着眼点があって、作用のメカニズムがあって、事例による検証があって、自己拡張があるみたいな、そんな感じで構造が整理できるんじゃないかという風にAIには整理してもらっています。何かと言うと、なんでしょうね、市場の成長そのものを見ているというよりは、この成長によって不足し始めた資源や能力というような、そうした環境の変化を見て、そこから問題を見つけているというところなのかなと思っています。AIの需要の増加というのは環境の変化であって、接続とか部品不足が未解決問題として新しくできてきていると。で、そこに対して戦略上の着眼点、作用のメカニズムみたいなところ。なんで時間とか費用とか確実性がうまくいってないのか、そこをどう改善するのかみたいなところを見てですね、事例検証と言いますか、企業の発表とかいうところから検証して実行していくっていう風な、そうしたアプローチではないかというのが、このスライドでは整理されているところです。このAI時代においては、最も価値ある企業は、最終製品ですね、ドローンとかデータセンターを作る企業ではなく、もしかしたらこの物理的な部分であったりとか契約的なボトルネックを解消する見えないインフラになるかもしれない。そうしたところに気づけるかどうかが非常に大事ではないかというのが、全体のアプローチの通底するところかなと思います。
こう垂直統合との違いっていうと、そのパーツだけにフォーカスか全体やるかってところもあると思うんですが、他にも違いがあるんでしょうか?
そうですね。垂直統合は1つの手段だとは思ってます。ただ目的ではなく、あくまでこの顧客の成果を止めている工程を解消していく中で、複数のボトルネックがあるんであればそれを垂直統合して解いていくっていうパターンもあれば、今回は割とその1つのボトルネックを解いていく。特に、次のスライドとかもかもしれませんが、そうしたボトルネックを解いていくみたいな、特に物理的なところを解いていくような企業を想定して考えているアプローチなのかなと思っています。もちろん物理的なところだけではなく、その物理の周辺には取引市場とかデータ基盤とか、そうしたところもあるので、物理だけではないんですけれども、こうしたところっていうのがあるのかなという話でした。
一応、他のこれまで紹介してきてないところとして、こうしたパターンとしてはクルーソテクノロジーみたいな、彼らはどちらかというとバーティカルインテグレーション寄りですが、AI需要の増加という環境変化が起こって、電力と建設期間が問題になった時に、彼らは電力からクラウドまでの統合というものをバーティカルインテグレーションでして、そのクラウド環境を提供していくみたいな、AI向けのものを提供していくみたいなこともあればですね、ロフトオービタルみたいな会社もあって、ここは、なんでしょうね、衛星を一社ごとに作らずに共通基盤に載せていくみたいなことをやっているところです。衛星バスとか打ち上げ調整とか運用とか地上系というものを共通化して、顧客が自社のセンサーとかミッションに集中できる、そのインフラを提供するみたいな、そうした衛星インフラスタートアップみたいなところもあったりはするみたいな感じですね。
これが1番分かりやすいのが、やはりこのビットの世界とアトムの世界の激突みたいな感じで、物理的な世界ですねが、非常にここで分かりやすくボトルネックになりやすいというパターンがあります。で、そこでは複製しやすい、限界費用ゼロの成長モデルがあったりとか、スケーリングの障壁が極めて低いビジネスだという風に言われていますが、いわゆるアトムの世界、物理の世界に関しては、ソフトウェアとは異なってですね、物理的な制約が結構あるとか、電力とか労働力とか部品っていうものが必要だったりとか、その中で2030年までには米国データセンター需要は倍増していくみたいなことで、かなりこの需要と供給のギャップが出やすい領域だということが言われているのかなと思います。実際、米国かなり上昇して、エネルギー需要が増えていくとか、IEAもですね、世界のデータセンター電力需要が増えていくであるとか言われていて、需要の増加というものは電力を作る能力だけではなくって、その周辺にある送電であったりとか、変圧器、あるいは冷却とか、用地、あと規制みたいなところも結構ボトルネックになってきて、ここをどう解くのかっていうのが結構アトムの世界で大事になってきますと。あとフィジカルAIに関しても、単純にこの知能のモデルを作っていくだけではなくてですね、モーターとか減速器とかセンサーとか電池とか、あるいは組み立てみたいなところがボトルネックになり得る。そしてそれらに共通するところとして、規制とか安全認証とか、そうしたところも割となんか需要として入ってくるので、ボトルネックになるんじゃないかっていうことは言われていたりします。
なるほど。一方でこう電力とか部品が不足するんだったら、既存の会社・企業がより増産するみたいなの、それじゃ足りないというところってどういったところなんでしょうか?
そうですね。既存企業さんが最適な場合がもう結構多いんじゃないかなと個人的には思いますし、実際に三菱行子行さんとかかなり受注を受け取ってるみたいな感じのことを聞いてはいるので、そういうパターンもあるのかなと。ただ一方で、既存企業の製品規格とかが、新しい需要とか、変動している需要とか、新しい大きな需要、AIとかだったら800Vの運動みたいなところとかに合わない場合もあったりして、そうしたところに対して、スタートアップがその新しい需要というものに対して、なんでしょうね、大きく新しく供給していくみたいなことを成立させることができるのかなと思います。ただもちろん、既存企業が簡単に既存の需要に対応できるんであれば、スタートアップでやる必要はないのかなという風に思いますね。あとはこの辺で言うとBase Powerとかも紹介しましたが、まさに彼らは電力不足に対して、家庭用蓄電池を設備として所有して系統運用にも使うみたいなことをやって、アトムの世界のボトルネックというものを一気に解いていった。用地とかを、いわゆる自分たちで大きな用地を取得せずに、家庭内の用地を使わせてもらって、それを組み合わせていって、グリッドの安定化にも使っていくみたいなことをやっていたスタートアップなのかなと思います。あとあれか、電力会社の契約とか設備工事とかも自分たちでやってましたね。
次にですね、イノベーションを阻む3つの物理的ボトルネックということで、よくあったボトルネックに関して説明をしたいと思います。1つ目はエネルギー供給の限界というものです。これは単純に発電というわけではなくですね、送電の容量であったりとか変電設備、接続の審査といったものが問題になってきた。例をいくつかこれまで紹介してきたかなと思ってます。もう1個がサプライチェーンですねの脆弱性ということで、ネオジム磁石とかモーター供給というところが約90%中国に依存をしていて、地政学リスクが結構多くなってきて、Westmagみたいなところが重要なスタートアップとして出てきていると。で、3つ目が主権国家との複雑な取引ということで、特に宇宙領域だと巨額の政府調達が絡まざるを得ないんですが、それに対するコンプライアンスとか決済とか資金繰りというところにも摩擦があって、Nebexみたいなところが、それを決済のプラットフォームみたいな感じで、決済契約のプラットフォームみたいな感じで対応していくみたいなことがあったりはしました。全てのパターンでこの3つが全て起こるというわけではないので、最も支配的な制約というものを特定して、そこを解いていくというところがあるとは思いますが、ボトルネックとして代表的なものはこうしたところではないかみたいなことが言われています。
結構、3つってあったと思うんですけど、それぞれが別々というよりはかなり重なってるパターンもあるなとも思うんですけど、その辺りってどこにフォーカスすべきか、どう理解していけばいいでしょうか?
そうですね、実際にはなんか複数重なっているところもあるんじゃないかなと思いますと。で、工場建てても、例えば電力がなければ動きません。サプライチェーンの脆弱性とエネルギー供給の限界というものが重なってる部分があると思いますし、部品を作れても政府の資金が遅れていれば納品できないとかいうのがあったりはします。ただ、最初の事業設計においては、顧客の成果への影響が最も大きい1つのボトルネックを選んでいく、そうした方がいいのかなと思いますね。やっぱり垂直統合みたいな手法もなくはないんですが、そうすると、同時に解くことによってできることは増えるんですが、資本と組織の負担というものが大きくなってしまうので、どこまで自分たちでボトルネックを解消するのかは考えるべきかなと思いますね。
今日はこう不足を見つければいいっていう話でもないかなと思っていて、なんかそこに追加で、何か見つけるべきポイントとか取り組むべきポイントっていうのはあるんでしょうか?
そうですね。1つはやはりこの需要というものがいつまで続くのかっていうところかなと思います。その不足ですね、需要に対して供給が不足している、その期間というものが設備投資の回収期間よりも長いかどうかであるとか、顧客が実際に予算を持っていて、前払いする気があるかとか、長期契約する気があるかとか、あるいは容量予約をする必要、必要と言いますか、そうしたやる気があるのかみたいなところとかも結構大事なところかなと思います。あとは既存企業が短時間で対応できるような、そうした場合においては、スタートアップの優位性は小さいのかなと思いますね。あと、場合によっ、アメリカは資本がすごい集まりやすいんですけれど、日本はそうではないということを考えると、資本も少なく、相対的に資本の少ない形で、こうした物理的なボトルネックっていうものを解消できるのであれば、スタートアップとして狙いやすいということが言えるかなと思いますね。
そうした意味で、紹介してこなかったですが、LINEビジョンみたいな、こちらは送電線の容量の解析をしているスタートアップですけれども、いわゆるエネルギー制約を解決していこうとする時に、彼らは送電線に対して非接触のセンサーを設置して、気象や導体状態に基づいて、その時点で安全に流せる電力量を算出して、そこをですね、動的に線路の定格を運用に組み込んでいくみたいな、固定的な容量評価ではない形でもっとできますよってこととかをやっていくみたいな。GridCareにも近いのかもしれませんが、GridCareはどっちかというと系統全体とか大口需要の接続をしてますが、LINEビジョンは送電線単位で測定をしてやっていくみたいな、資格的こう、と言ってもライダー使ってたっぽいので、コスト高いのかなという気もしますが、比較的まだマシっていうところというところで、そうしたところの差し込み方っていうのができるかどうかってのは1個あるのかなと思いますね。あとは規制系もそうですよね。パーミットフローみたいな建設許可系、許認可系で、物理的な設備ではなくて許認可手続きそのものが供給制約になっているのであれば、それをソフトウェアとかで解決していくみたいなこともできなくはないかなと思います。
続いて、銅線とコンクリートに依存するアプローチの限界ということで、何が言いたいかというとですね、発電所とか送電線とか変電所とか工場には、計画や許認可、あるいは資材調達、建設検査というものがどうしても必要になってきます。一方で、AIの計算需要とか防衛の需要とか、数ヶ月単位で増えるという可能性があって、対応策としては既存容量の再評価であるとか、需要の抑制とか蓄電池とかオンサイト電源、立地変更、条件付き接続みたいなものが提案されることがあったりはします。そうした意味で、ソフトウェアが有効なのは物理法則を変えるからではなくって、保守的な計画値とか、あるいは実際の運用可能性の範囲を明らかにして、より多くのことが実は計画以上に流せるんじゃないかみたいなことを言っていくことができるのかなという風には思いますと。それが1個のアプローチとして、今回紹介してるもの、インフラとか7年から10年とかかかっていくところを、GridCareとかだとそういう計算でもっとできますよとか、あるいはなんでしょうね、その許認可というところに対してソフトウェアによって、従来であれば属人的な照者とか弁護士とかによる調整が入っていたところを、AIで早くして、この規制とかを早く許可に持っていくみたいなこともできるのかもしれないなと思いますと。そうしたいわゆる通常の物理で解いていく以外のアプローチもありますよということなのかなと思います。
一方で、その期間だけを埋めるのだとすると、その後も続くような長期的な事業にもなりづらいようにも感じて、この辺りってスタートアップとしてはどのように判断していくべきでしょうか?
そうですね。まさにさっきも言っていた、その需要がどこまで続くのか、あくまで一時的な不足なのか、それでも長期的に続いていくのかっていうところをちゃんと考えなければ、長期的な事業にはなっていきづらいのかなと思います。で、立地とか審査とか運用とか契約のデータがもし継続的に更新されて、次の案件に再利用されて、それが結果の価値になるのであれば、もしかしたら短期的な需要というものを通して、いろんな学習ができるということもあるかもしれませんし、あるいは、こうした設備が整って、最初の構築の時にこうしたサービスが入ったとして、その後設備利用率とか保守とか、増設の判断であるとか、そうしたいわゆる保守運用みたいなところまで入っていけるんであれば、継続的な価値というものを運んでいけるんで、そこまでいけるかどうかなという風に思いますね。
この辺だと、他にはネアラっていうところ、オーストラリアのところですが、既存設備はどこまで使えるのかっていうところを物理モデルで計算し直すみたいなことをやっている、3次元モデルを作って、容量とか対抗性とか保守優先度を解析するようなところがあったりとか、あるいはベーシズっていう風な、これは設備を建てる前の立地審査や許認可というところを、系統接続とか、許認可、土地情報とかを統合してですね、適地選定とかデューデリジェンスを支援するような。そうしたスタートアップも出てきていたりはします。ちなみに2024年のラックスキャピタルのレポートだと、なんか新設の設備の関心に比べて、既存資産の保守とか性とか予防的設備が過小評価されているみたいな投資。彼ら、四半期に1回この投資仮説のレポートを出しているんですが、2020のQ1にそういう仮説を出していて、で、その後結構そうしたところに割と投資してるので、まさにそういうところが投資仮説としてあって、まさにスタートアップが今数百億調達してるなっていうのを見てたりします。
続いてです。製品ではなくインフラと市場をハックするということですが、このボトルネックを解く時にですね、ある意味、さっきも垂直統合の話が出てきましたが、垂直統合という手段も取り得ますと。その時に、どの工程を垂直統合するのか、そしてどの部分を業界の共通として水平展開で確保していくかっていうところを考えていく必要があるのかなと思っています。特にですね、製品を既存企業に販売しても、その企業が導入とか運用を変更しなければ成果が出ない場合がありますと。これ地熱とかにもあった話かなとは思いますけれども、地熱探査のスタートアップのあれどこでしたっけ?名前忘れちゃいましたけど。マントレートでしたっけ?
あ、マントレートもあれです。途中の適地を探すみたいなところですか?
いや、なんか導入結局してくれなかったから、なんか自分たちで掘ることにしましたみたいな。
ああ、ありましたね。マントレートではないですね。
ありました。
多分そういうところが、地熱系でもあったと思いますけども、まさにそうした場合があるので、その時にはやっぱり自分たちスタートアップ自身が、顧客との契約とか運用とか製造とか、あるいはその自分たちで穴を掘るみたいなフルスタック型に近いところが選択肢になってきますと。ただもちろんその時でも、清掃とか輸送とか汎用品とか、差別化につながらない工程までは持つ必要はないとは思うんですが、そうした垂直統合をしていくことによって複数の摩擦を一気に消すことができるみたいなことはあり得るのかもしれないなという風には思います。なので、自らがドローンとかAIモデルを作るわけではないかもしれませんが、それらを動かすための見えない中間レイヤーとかを垂直統合して、業界全体に対して提供していくというような、そうしたパターンが1つあるということですと。で、そうすることによって、完成品を作るとはちょっと違いますが、すごい重要な筋肉とか血管みたいなところをインフラとして自分たちが持って、そこを割とその業界標準のプラットフォームにしていくみたいなことが、このインフラと市場をハックするというパターンとしてあるのかなと思います。
では、続いて製品ではなくインフラと市場をハックするということですが、ここから垂直統合を少し話していきたいと思います。このボトルネックを解く時にたまにですね、この垂直統合をした方が複数の摩擦を一気に解消できていいんじゃないかみたいなことがあったりするのかなと思います。垂直統合に関しては、技術的に可能な範囲ではなくって、顧客成果に必要な範囲で決めていくというのが1つポイントとしてあるのかなと思います。で、最初の顧客には個別対応が必要であってもですね、これをうまく繰り返していく中で、同じ判断とか契約を抽出して水平展開していくってこともできるので、そうした学びを得られるところであれば、垂直統合というのを1つポイントとして持っていくのがあるのかもしれませんと。で、スタートアップに関しては、なんでしょうね、製品をですね、自分たちがパーツを販売しても、既存企業にパーツ販売しても、その企業が導入とか運用を変更しなければ成果が出ない場合があったりすると。これは地熱のスタートアップでも何か昔紹介したなと思いますが、
Zanskarでした。
Zanskar、Zanskarですね。Zanskarだと、自分たちが最初ソフトを追ってたけど、それを使って掘ってくれないから、自分たちで掘りますみたいなことがあったりしたなと思います。なので、そうしたことを考えると、結局スタートアップ自身がお客との契約とか運用とか製造、そうしたものを持つフルスタック型に近い形の垂直統合というのが選択肢になり得るのかもしれないなと。ただもちろん、差別化にならないような汎用品とかは別に持つ必要はなくて、自分たちが内製することによって学習とかができるんであれば、おそらく自分たちでやってもいいんじゃないかみたいになったら、最初にした方がいいとは思いますけれど、そうしたアプローチがこのインフラと市場をハックしていくということに近いのかなと。特に、最終製品ですね、ドローンとかAIモデルみたいなところ、最終製品を作っていくのではなくって、それらが動くためのレイヤーとして中間レイヤーがいくつかありますと。製造とか電力とか、あるいは取引所みたいなところもあったりして、そうした間の部分を垂直統合して業界全体に提供していくことによって、最終的にそのエコシステム全体の血管とか、あるいはなんか筋肉みたいなものとして、欠かせないものとして提供していく、それを水平化していくみたいなことができるんじゃないかというようなアプローチもあるのかなと思います。
やっぱこう統合と言っても、全部を統合してしまうと結構重たくなってしまうと思うので、どこまでを統合するといいんでしょうか?
そうですね。やっぱり自分たちで成果を保証できる範囲内ということが1つありなのかなと思います。あとは自分たちで、なんでしょうね、早くできる範囲内とかいうところが1つかなと。あとは外注時の失敗頻度とか、あるいはその失敗による損失が大きいのであれば、もしかしたら自分たちでやってみるとか、あと内製化によって自分たちが学習できるんであれば、自分たちの中で知見を溜め込んでいくみたいなことが、1つポイントとしてはあるのかもしれないなと思います。
こう最初の顧客には個別対応が必要ってことだったんですが、それをやっていくと、共通の基盤になる前に結構受託企業になり得る可能性もあるなと思っていて、どこで判断したりとか、どこまで行ってこうだったら、それを避けるためにやめようとか、どういう判断ができるんでしょうか?
そうですね。まさにそうした可能性もあると思っていて、だからこそやっぱりこの各案件、どの案件を取るのかみたいなところがまず1つあるのかなと思ってます。次にも使えそうな知見が得られるかどうかっていうところと、その案件の中で繰り返し行われている判断っていうのを記録したりとか、共通の入力とか出力っていうのをきちんと定義して使えるようにしていくとか、あるいは2件、3件でちゃんとその学習が生かせて、導入期間とか必要な人が減ってるかどうかを見ていくっていうようなことが1つかなと。で、もし減らなかったら、プラットフォーム側と言いますか、水平展開をしていくというよりは、専門家として経済性を再設計していくっていう可能性もなくはないかな。スタートアップになりづらいかもしれませんが、そうしたビジネスチェンジというものをしていく可能性もなくはないかなとは思いますね。
続いて、ボトルネックの解消による需要独占とスケールの因果ループと。このアプローチは、この制約を解くことによって、物理的あるいは契約的な摩擦の解消をすることによって、供給を渇望しているようなOEMとか政府の需要を独占するみたいなことから入り、獲得したスケールが次のプロセスと言いますかの自動化を支えていって、そして自動化によってさらに限界費用が押し下がって、もう他のところは追随不可能なくらいの業界標準になっていくみたいな。まずそうしたところから、細かい摩擦の解消から入りつつ、そのループを回していくっていうようなことができるんじゃないかというのが、AIの整理になっています。で、特に最初の需要の集中というところをいかにやっていくのかっていうところは、長期的な独占ではなくて一時的な供給の優位である可能性が高いので、なんでしょうね、この供給の優位があるうちに、自分たちが、どこの工程が繰り返されて、どこだったらコストダウンできるのかっていう、そうした実行を繰り返していって、改善していって、どんどんと追いつけなくしていくみたいな、そうしたことをやっていく必要があるんじゃないかというのが、このアプローチなのかなと思いますね。
こうなんですかね、需要がまず集まっていくと自動化にも繋がっていくってことだと思うんですが、需要だから自動化とも違って、途中にどういったプロセスがあって自動化に繋がっていくんでしょうか?
いや、まさにそこは学習ができるかどうかだとは思いますね。その物理的なもので言うと、ラーニングカーブがちゃんと落ちていくのかっていう風なところがポイントかなと思います。なので、ソフトウェア的にもここは学習が非常に大事だと思っていて、同じ工程を十分な頻度で繰り返されるかどうかみたいなところとか、製品仕様が毎回ある程度一定なのかどうかであるとか、あと、自分たちで共通部品とか共通契約とか共通の審査項目みたいなものを用意しておいて、それに当てはめていくみたいなことをして、学習がちゃんと回っていくループを描けるかどうかというのがポイントだと思います。需要が集まるだけではなくって、それがちゃんと学習にどこまで活かせるかどうかなのかなと思いますね。
近いところ、近いか分かりませんが、ストードっていう物流をやってるスタートアップに関しては、倉庫とか輸送を1件ずつ手配するんじゃなくて共通ネットワークに束ねていくみたいなことをやっていて、倉庫とか輸送とか受注管理や配送というものをソフトウェアと運用で統合していて、ブランド向けに1つの物流サービスとして提供しているみたいな、そうしたスタートアップがあったりします。あとはジップラインとかもそうかもしれないですね。で、彼らは、いわゆるドローンの垂直統合に近いような、ドローンを売ってるんじゃなくて、自分たちが配送サービスをやってるスタートアップですが、配送回数が増えることによって、運行データとかあるいは保守とか規制対応っていうような能力を自分たちで蓄積していって、それが他には真似できないような、そうしたスケールと言いますか、他で真似できないような能力になってスケールしていくことができるというような、そうしたことが1つあり得るのかもしれないと思いますね。
で、続いて、摩擦の性質に応じたアプローチの設計ということで、いくつかの、なんでしょうね、アプローチがあるのかなというところですと。1つがデータと最適化です。稼働率が低い既存インフラ、送電網とかに対して、それを変数として、AIを用いて、数千兆シナリオの解析と柔軟な制御による容量の可視化をしていく、GridCareみたいな感じで、こうした既存の設備を最大限に生かすための手法を提供していくみたいなことが1つなのかなと思います。設備が存在するけれども能力がまだ十分発揮できてないとか、判断が保守的であったりとか、運用が固定化されている場合は、こうした解析精度を上げて、さらに運用変更と契約変更していくことが1つポイントのアプローチとしてありますと。もう1つが金融と契約です。巨額で複雑な政府とか主権国家の取引という観点だとNebexとかを紹介しましたけれども、そうした取引において取引上のレイヤーを作ったりとか、標準化とか資金供給を統合したりとか、ベンダー様に資金供給とか、一部自分たちで事前払いするみたいなこともあったりしたと思いますけれども、この買い手と売り手と予算はあるけれども、信用とか審査とか資金時期みたいなのが一致しない時に、そこを自分たちが提供するみたいなことがあったりするかもしれません。あと3つ目が物理的な製造ということで、ここは地政学リスクとかハードウェアのコンポーネントによるリスクというものを鑑みて、自動化をあくまで前提として、安くなっていくことを前提とした米国内での垂直統合であったりとか、量産による物理の構築。Westmagさんとかはそうだったと思いますけども、部品そのものが不足しているところに対して、既存供給者が増産できないような、そうしたものを提供していくみたいなことが1つアプローチとしてあったのかなと思います。
なるほど。うん。なんかどこから、自分だったらどこを選ぶかなっていうところで、なんか最初のデータと最適化というところが資本の負担が小さいようにも見えるので、そこから入りそうだなっていう風に自分は思うんですけれども、どれを選ぶべきというか、最初にデータ最適化からアプローチしてもいいものか、どうでしょうか?
なくはないとは思います。その、なんでしょうね。ソフトウェアとかデータの最適化とかいうところ、最終的に顧客とか電力会社が運用を変えなければ成果が出ないっていう問題はあると思ってます。いわゆるそのダッシュボードを作っても誰も使わないみたいなのだと新しい成果は出ないので、逆に、このソフトウェアとかでやっていくデータ最適化アプローチでやっていくんであれば、その解析結果を契約とか制御とか施工まで繋ぐ、そうしたことができる権限とか、あるいは力を持っている必要があるのかなと思っています。レポートだけだとやっぱ人は変わらないと思うので、そこを変えていく、ある意味、統合とか営業とかいうところがすごく重いアプローチになっちゃう可能性はあるなと思います。あとは物理系でいくと、Hadrianとかは1つスタートアップとしては分かりやすいとか、最近も2000億円ぐらいですかね、調達してたと思いますけれども、供給能力そのものがアメリカでは不足しているので、工場をサービス化して、スタートアップ・アズ・ア・ファクトリー、ファクトリー・アズ・ア・スタートアップみたいな感じで、ファクトリーをプロダクト化みたいな感じで、もうほぼ自動化した工場を作っていく、製造ソフトウェアとか品質管理を統合して、航空宇宙とか防衛部品の製造というのをやっていくみたいなスタートアップがあったりもするのかなと思いますね。この辺は、なんでしょうね、アンドリーセン・ホロウィッツが今年の2月ぐらいに、プライマー・オン・ファクトリー・エコノミクス・フォー・スタートアップスみたいな記事を書いていて、製品だけではなくって製造方法と生産能力が競争優位になる企業においては、原価とか歩留まりとか学習曲線、設備容量、資本構成みたいなものが事業の中心になってきますよみたいなことを言って、なんか懐かしの、ソフトウェアではない物理の話が出てきてるなみたいな、そんな感じのメモもあったりはしましたね。
改めて、代表事例1つ紹介したいと思います。既に紹介したスタートアップですが、GridCareというところです。彼らは、ランドファーストからパワーファーストへということで、AIデータセンターが数年単位の電力接続待ちになっていて、ある意味立ち往生しているという状況です。ただ一方で、実は米国の送電網が平均30%しか稼働していないとも言われていました。そうした時に彼らは物理ベースのAIを用いて数千兆のシナリオをシミュレーションして、稼働率や余力を可視化して、それに対してピーク時の需要抑制とか蓄電池を活用する柔軟接続を条件としたものをですね、電力会社に提案して、その結果、数年かかる接続プロセスを数ヶ月に短縮して、数100MWの容量を解放したみたいなことがあったりしたと言われています。ある意味、あとは立地条件とか立地とか系統条件とか、いろんなものを解析して、従来の規格では利用できなかったとされていた容量を探して、そこを解放したということが言われている、そうしたアプローチを取ったスタートアップなのかなと思いますね。
なんかこう改めてなんですが、これって、AI企業と呼ぶものなのか、電力契約の会社と呼ぶものなのか、どういう風に理解するといいんでしょうか?
そうですね。解析技術、彼らのコアの1つである技術だけを見れば、電力会社向けのソフトウェアみたいな、AI企業みたいなところに近いのかなと思います。ただ顧客が欲しいのは、あくまで電力容量ではあるので、そこまで提供しようとすると、立地の選定とか接続の提案とか、運用とか監視まで提案していく必要があるので、おそらく彼らの競争優位性というものは、そのAI的なところだけではなくって、系統データとか電力会社との運用経験とか契約形式の組み合わせみたいなところになっていくのかなと思います。もちろんどこまでやってるのかって公開情報だと見えづらいところがあると思うので、ちょっとどこまでやってるのか分かりませんが、とはいえAI企業としてうまくやってるだけではないんだろうなとは思いますね。
この辺で言うと近いところ、近いところというか、Terabase Energyというところがあって、既存の容量で足りない場合、建設そのものを早くするっていうパターンもありますと。GridCareはソフトウェアで物理制約を解いて、条件とかをより解析して分析して提供していたというところでしたが、実際に物理的なところまでやっていくというのもあったりはします。Terabaseは、太陽光発電の設計とか現場データ、ロボットの施工、進捗管理というものを1つのプラットフォームで統合して、新しい発電設備の建築というものを反復可能にしていくみたいなことをやっています。GridCareはいわゆる既存系統の余力を利用していく。Terabaseは新設の設備の工期と人員の削減をしていくみたいな、こうした短期的な容量をなんとか増やしていくのがGridCareで、長期供給はTerabaseみたいな、そうした補完関係的なところのやり方というのもあったりするかもしれないなと思いますね。
では、これまで紹介してきたいくつかのスタートアップを共通して見ていきたいと思います。GridCare、Westmag、Nebex。それぞれ3つ、これまで紹介、この50回の中で、52回の中でやってきましたが、それぞれエネルギー、ロボティクス、宇宙経済と、ちょっと違ってはあります。GridCareは系統状態のデータとか柔軟接続の運用を制御の点として、そこを物理
制約の可視化という形で介入していったという形になります。Westmagは、モーター設計やステーター加工、磁石組み立て、あるいは供給網というものを、ある意味ボトルネックとして捉えて、そこに対して製造インフラの垂直統合というアプローチで入っていったという形です。そしてNebexは、宇宙経済という形で政府契約ですね、政府宇宙契約の複雑な資金や決済というところに対して、供給者の審査や取引資金、法的な所有や決済順序みたいなところを見て、そこに対して商流や決済の中間レイヤーを作っていきますよということをやっていく。それぞれ業界は違えど、物理的な限界というものを、データや統合プロセス、これは物理的な統合プロセスも含んで所有して、自分たちで一気にここの摩擦をなくしていこうとしているというところがポイントなのかなと思います。
構造っていう風に、共通しているっていう風におっしゃっていただいたんですが、どこまでが共通してて、どこまでがそのまま他の会社にも適用できるのかなっていうと、どこの範囲になるんでしょうか?
そうですね、ここもなかなか難しいなと思うんですが、これ紹介してきたこの3つに関して言えば、最終製品は作ってませんっていうのが1つあるのかなと思います。例えばテスラだったら垂直統合して車という最終製品まで売っていますが、GridCareもWestmagもNebexも、その最終製品、エネルギーを売るとか衛星を売るとかまでは行っていない。Westmagは製品に近いですが、フィジカルAIみたいなものは売っていないってことで、あくまで部品ですと。ただ部品と言っても1つの部品を提供するんじゃなくて、その部品を、すごく重要な部品で、かつその部品を提供できるまでの摩擦、いくつかの摩擦を統合的に解消しているみたいなところなのかもしれないなと思いますね。
あと近いところだとダイバージェント・テクノロジーズみたいなところもあって、この製造領域において設計から3Dプリント、組み立て、これを1つの生産システムに統合していくっていうのがダイバージェント・テクノロジーズというスタートアップです。ロボット組み立てまでやっていくというところまでをやっていこうとしているんですが、これは複数産業向けの制御システムと生産を構築しようとしているのかなと。で、Westmagはモーターみたいな共通部品にかなり集中して提供していこうとしてるのに対して、ダイバージェントは割とその生産方式そのものを共通化して複数産業向けにしていくということになっています。データと実工程を自分で持つという点は共通していますが、どういう製品を提供するのかというところはちょっと違うかもしれないなと思いますね。はい。
ちょっと近いところで言うと、コンストラクト・キャピタルというようなVCがいて、彼らのドキュメントだと「センス・シンク・アクト」みたいなことでまとめていて、産業の自動化を、センス、データの取得とか、判断、シンクですね、実行、アクトみたいなところの3段階として捉えて、分断されたデータと制御の統合というところをしていくのが重要な機会になるんじゃないかということを言われています。
では、こうした戦略がどういった条件で成立するのか、あるいはどういった時に破綻するのか、機能しないのかというのを見てみたいと思います。まず機能する条件としては、やっぱり需要が供給を圧倒的に上回っているという状況であろうと思いますと。あとは顧客のスイッチングコストが極めて高い市場、防衛とかAI基盤とかには機能しやすいんじゃないかというのが1つの整理です。あとは、その切迫度っていうところを測るために、前払いとか容量予約とか長期契約とか、そういうところで測っていくといいのかもしれませんねというのは1つですと。
で、あと機能しない条件としては、対象市場の製品規格が全く標準化されてない場合であるとか、既存の大企業が容易にデータとかプロセスを模倣できるようなところは、おそらくなかなか難しいと。あとは失敗の兆候としては、顧客が自社をインフラとしてではなくて、あくまで一時的なコンサルティング会社とか代替品として捉えてる場合は、失敗の兆候が高いのかもしれないなというところです。いずれにせよ、この需要の切迫度ですね、というところと、規制とか物理的な複雑性というのが高いところをいかに解いていくのかというところがおそらく大事なんだろうと。切迫度にはさっき言った前払いとかありますが、複雑性という観点だと、面倒くささだけではなくって、既存企業が模倣しにくいような工程とか認証とか、そうしたものがあるのか。そして顧客の切り替えコスト、スイッチングコストという観点だと、データの移行とか再認証とか業務停止みたいなところが含まれてると多分スイッチングコストが高くなっていきますよというようなところがあるかもしれないなと思いますね。
なるほど。そうですね。ただ、結構複雑な市場で競争が少ないんだったら、むしろスタートアップにとってはいいようにも見えるんですけれども、逆にデメリットもあったりするんでしょうか?
そうですね。複雑性がその顧客、少数の顧客に固有のものであれば、競争が少なくてもスケールがしないっていうような問題はあったりするかなと。あと許認可に時間がかかりすぎる、複雑すぎると、スタートアップの資金が先に尽きてしまったりするかもしれないとか、あとは事故とか保証による損失が一件あたり大きい場合は、保険とか資金力が必要になってくるので、そこはスタートアップに向いてないのかもしれませんねとは思いますね。
あとは実際、失敗例というのもやっぱ結構あって、Katerraとかですね、これは建設系の垂直統合型スタートアップで、かなり調達をしていた、20億ドルを超えていたのかな、というところですけれども、彼らは設計から材料調達、工場での生産、建設みたいなところを広く統合して、建設をいわゆる工業化していこうとしていましたし、複数の地域とか複数の製品とか複数の企業の買収を並行して進めていたんですが、やりすぎたせいか2021年に破産手続きをしていったという形になります。垂直統合だけが理由ではなくて、こうした急速な拡張とかも問題だったのかなと思いますし、COVID-19とかもぶつかったので、そこも問題としてあったとは思いますが、一方でやっぱりこの広げすぎるとそれはそれでリスクがあるってのは間違いないかなと思います。
ではどうやってここをやっていくのかというところです。MVPをどう作るのかというところですね。一般的にこの工場とかを作らなきゃいけないって聞くと、MVPとしても工場かなと思うかもしれませんが、おそらくそうではないんじゃないかというのが、AIによるまとめですと。最初に検証するべき仮説は、顧客はこの特定の摩擦が解けるんであれば、未完成の製品でも巨額の契約を結ぶのかというような、従来型の、なんでしょうね、ところから入っていくといいんじゃないかとかいうことを整理しています。最初から完璧なソフトウェアとか巨大な工場を作らずに、まず少数の大口の顧客と手作業で確実な契約を結んで、本当にこれを買ってくれるのか、あるいはこれを自動化できるのかっていうところをちゃんと考えていくのが1つポイントかもしれませんと。で、あと手作業でやっていくとしても、今後メガディールが成立するかどうかっていうところを見ていくのが大事かもしれないなと。
最初に作るべきものは、製品工場ではないかもしれませんが、顧客が契約できる、購入できるような、そうした1つ何かを作り、それは手作業でも構わないですが、そうしたものを作って契約してみる。それは例えば候補地の一覧ではなくですね、一定期間内に接続可能なサイトの確保みたいなところ。これも結構大変なことだと思いますけれど、それを成果としてやって、それで買ってくれるかどうかを見てみたりとか、製造であれば、巨大工場の建設の前に外部設備とか小規模なラインで顧客の仕様を生産してみて、それを本当に買ってくれるかどうかを見てみたりとか、あるいは取引市場であったら、Nebexみたいなものですね、だったら、最初は創業者が主導で申請とか接続をしていったりみたいなことをしながら、徐々にその各案件で学びを貯めていって次につなげていくということが、1つこの最初の実行単位としてあり得るんではないかなと思います。
どこで成功・失敗を判断するかっていうところで、それは大きな契約が取れたらいいとは思うんですけど、それが取れないとダメっていうことになるんでしょうか?
そうですね。できれば大きい方がいいと思いますけれども、市場によって適切なこの初期の契約の規模っていうのは変わってくると思いますので、過度にその契約の規模というものを重視しなくてもいいのかなと。重要なのはやはり、この実証に支払うというような、そうした意向ではなくって、ちゃんと前払いとか、その需要がすごいあるかどうか、その予算から対価が出るかどうかみたいなところをちゃんと見ておく必要があるかなと思いますね。
あとは、最近あったMonumentalみたいなところも1つ面白いスタートアップだったのかなと思ってます。彼らは最終的に建設を自動化したいが、最初はレンガ積みロボットから入って、そこから徐々に、サブコントラクターとして入っていって、レンガ積みのロボットの成果を売っていったというところがあったと言われてます。レンガ積みのロボットであっても、そうした未完成な製品であっても欲しいと言ってくれるような、ロボットだけではなく成果の方なんですが、というところが欲しかった顧客に入っていって、そこから徐々に広げていくってことができるかもしれないなと。まさにY Combinatorの昔の「Do Things That Don't Scale」、スケールしないことをしようを、より大きなマーケットでやろうという話なのかもしれないなと思います。
では、属人的な問題解決から業界のOSへ、というところになってますが、ここですね、属人的な問題解決から入っていって、創業者の手とか、あるいは場合によってはロボットプラス自分でやっていきながら、フェーズ2に入ってプロセスの蓄積とか標準化をしていって、より安く、より早くできるようにしていき、そして最後に業界のプラットフォームになっていくみたいな形が、1ついわゆる一般的な進み方と言えるのかなと思います。本当にここの学習曲線をいかに回せるのかどうかというところがポイントで、自動化率だけではなくって、本当に成果という観点で、導入期間とか担当者1人当たりの案件数とか、再作業率とかが減っているかどうかっていうのを測っていくというのが大事ではないかなと思います。
またこのフェーズ1からフェーズ3までは直線的に進むとは限りませんし、新しい地域とか新しい商品でやったら、再び手作業に戻ってもう1回やり直していくっていうのを繰り返し繰り返しやっていくことかもしれませんねとは思いますね。
そこ、よく聞く話ではあるかと思うんですけど、どの段階からソフトウェアに移行していくべきなんでしょう?
うん。ここもなかなか一概には言えないと思うんですけれども、同じ判断をやっぱ複数回行っているとか、そういうことがあったら時期かもしれませんし、入力と結果っていうものを定義できたら、もしかしたら自動化しやすいのかもしれませんね。あとは最も時間がかかっているとか、エラーが多いとか、あるいは頻度が高いみたいな、そうしたところを自動化すると割とこのインパクトが大きいので、そこをちゃんとやっていくのがいいのかなと。あとはソフトウェア化した後であっても、人間による監査とかを残して結果を比較しておくってのは大事ではないかなと思います。
そうですね。あとは物流の自動化をしているOutriderというスタートアップもあって、ここは元々公道で自動運転みたいなところを考えていたっぽいですが、まずは物流ヤードみたいな限定環境から始めて、そこから徐々に広げていく、工場とか倉庫の中の敷地内でトレーラー移動とか連結とか検査とかを自動化した上で、その後公道とかに出ていくみたいな、そうした広げ方っていうのもあるのかもしれませんねと思いますね。これはAI系でも多分似たような話があって、ベッセマー・ベンチャー・パートナーズですね、が出していった2026年1月の記事と言いますか、レポートと言いますか、「Building Vertical AI」というレポートがあったりしますけれども、これは技術起点ではなくって、明確で反復可能なワークフローから始めて価値を示した後に中核工程に拡張していく。で、曖昧で標準化されてない工程は、すぐに自動化せずに人間の判断を残していくみたいな。手作業から標準化に進むために、普通のAI企業でもこうした考え方ができるという話があって、この物理版として考えていくといいのかなと思いました。
そして、スライドとして見えているのはモートの話になります。この事業として強くなり続けるか、そのモートをどう構築していくのかというところがポイントで、1つがプロセスの習熟、現場で学習が蓄積して後発企業が追いつかないようにしていくのが1つのプロセス習熟、プロセスという点にありますと。もう1つがデータですと。膨大なシミュレーションと実際の運用データ。これらが結合することによって精度の高い独占的な予測モデルになっていく可能性がありますと。で、最後にネットワーク効果、供給者とか需要者、あるいは手法っていうものが1つのシステムに集まることによって流動性が高まる、あるいはスイッチングコストが劇的に上昇するみたいなことがあり得るので、こうしたモートをどう作っていくのかというのを最初から考えておくのが大事ではないかなと思います。で、このモートができているかどうかっていうところは、顧客の解約率だけを見るのではなくて、見積もりの精度とか導入期間とか歩留まりとか、もう少しその先行指標的なエンゲージメントというところを見ていくこともできるので、この辺りを見ながら自分たちのモートがどこまでできているのかを考えておく必要があるかもしれません。
プロセスやデータを元にしていくっていうのはよくあるやり方だと思うんですけれども、それを組織に根付かせるというか、人が持つんじゃなくちゃんと組織に根付かせるためにはどういう風にしていくことが必要なんでしょうか?
やはりこの重要な判断とか判断のログというのを個人の経験だけに残さなくて、システムとか設備設定とか検査基準とか、様々なその再利用可能なものに残していく、移していくというのが大事ではないかなと思います。特に複数工程の統合データは1人の従業員だけでは再現しづらいと思うので、ここをどうやってまとめていくのかというところかなと。ただもちろん、技術の一部の秘密情報であったりとか、契約とかアクセス管理だけでは完全にはモートにはならないと思うので、この継続的に改善していくってのは大事かなと思いますね。この辺りだとフィクティブとかですね。フィクティブは見積もりとか品質とか調達先選定を共通化するみたいな話をやってるスタートアップですが、ストーとかもですね、さっきも少し物流で紹介しましたけれども、拠点数を持っているスタートアップですが、それだけではなくって在庫配置とか配送の判断とかがちゃんと改善してるかみたいなところを見ていったりとかすることによってモートが作られていくということなのかなと思います。この辺もAIで、ベッセマー・ベンチャー・パートナーズがさっきの続きの記事で、いわゆるモデル単体よりも複雑なワークフローへの統合であったりとか、測定とか複数のデータ形式みたいなところが実はモートになるんじゃないかみたいなことを言っていて、まさにこのAIで言われてるようなことを物理でも使えるかもしれませんというような話かなと思います。
では最後のスライドになります。すいません、スライド見えてない方は大変恐縮ですが、YouTubeとかSpotifyのビデオで見れますので、もしよかったら見ていただければと思いますが、フィジカルAI時代という形で、AIが今需要が高まってるので、AI中心に今日紹介してきましたけれども、今回フィジカルAIの摩擦みたいなところを中心に紹介してきました。この時に勝つ企業というのは最終製品を作る企業だけではなくって、その製品が製造されて、あるいは接続されて、契約される、あるいは運用される、そうした共通の条件というのを作っていく企業にも大きな機会があるんじゃないかということが言えるのかなと思います。製品が存在するための摩擦というのを取り除いていって、最終製品、今回AIですね、AIがちゃんと機能するためのその地ならしをしていくスタートアップというところに機会があるかもしれないということでした。
ただ最初から全てやっていく必要はなくて、大きく1つの成果を左右するような、そうしたポイントを見つけて、そこの制御をしていく、そこの摩擦を減らしていくということが1つ大事ではないかなと。あと支払いとか供給追加時間とか、いろんな、実は品質以外にも重要なポイントがあったりするので、そうしたところを見つけていくのが大事ではないかなという話でしたが、あとはモートを考えながら、実行するほど改善する工程とか、その改善を保持するためのデータとか契約をどう作っていくのか、そして採用しない判断というのも重要で、バーティカルインテグレーションのところは結構多かったりはしますけれども、一部はその提携とかライセンスとか販売代理店を使うとかで同じ成果を得られるんであれば、そっちの方がリスクはオフにできるので、そうした判断もしていく必要があるんじゃないかなと思います。そして、ある意味その摩擦っていうのは嫌なことと言いますか、嫌われている業務を自分たちでやるということだかと思います。その嫌われてる業務を探した上で、その業務を解いた後に自分たちに何が残るのか、それを見ながら、自分たちのこの見えないインフラを敷いていくというようなことをやっていくといいんじゃないかなと思います。
最後になんですが、結局どういう企業、あるいはどういう環境にある企業がこの戦略を取ると良いんでしょうか?
まあ分かりやすいのはやっぱ供給不足のところですよね。共通の制約、供給制約によって導入が止まってるところがあればそこを解いていく。で、その制約を解くための工程を自分たちで管理できて、そして顧客がそうした時間短縮とか、あるいは容量とか確実性というものに支払い意思があるというような状況だと、非常に合っているかもしれないなと思います。あとは学習という観点でも、案件を重ねるほどに判断とかコストとか品質が改善したりとか、あるいはその資本とか責任を引き受けたとしても十分な獲得できる価値があるかどうかというところが、1つの判断軸になっていくんじゃないかなと思いますね。はい。
そうですね。ちょっと今色々聞きすぎて自分の中で整理できてないところはあるんですけれども、確かに供給が、なんですかね、追いついてないところで、じゃあそれでなんで追いついてないかっていうのを1個1個きちっと分析して見ていくっていうところは、なんというか自分もできそうだなという風に思いましたね。はい。ただ何が圧倒的に供給足りてないかっていうところについて、やっぱり業界の理解も必要になってくるとは思うので、その業界に対する、起業しようと思ってる業界に対するヒアリングであったり勉強であったりっていうのは必須だなと改めて思いました。
そうですね。で、しかもその後は割と従来型のMVPみたいなものを使っていくこともできたりするかもしれないので、供給ボトルネックが見つかれば、もしかしたら初めての起業家でもやってけるかもしれないですね。
そうですね。
ということで、今日はちょっと少し違う、摩擦解消型インフラストラクチャー戦略という戦略アプローチの紹介をしてみました。今後ですね、是非皆さんも解消するべき摩擦みたいなところを見つけていただいたりとか、その摩擦を解決すると改善していく、学習できていくかどうかみたいなところの観点で、いろんな業界の課題というのを見ていただいてもいいかもしれないと思います。それでは今日はこちらで終了です。
FoundX Review Startup IdeaCastでは、今後も皆さんのアイデアや事業作りの参考になるようなスタートアップの戦略やアプローチ、アイデアというものを紹介していければと思います。ご興味のある方は是非チャンネル登録やいいねお願いいたします。またFoundXの起業支援プログラムにも応募者を募集していますので、周りに起業を考えてる方がいたら是非FoundXをご紹介ください。ではまた次回よろしくお願いします。ありがとうございました。
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